【実施例】
【0015】
図1(A)は、本発明の実施例に係るアンプル供給装置の平面図、
図1(B)は、その正面図、
図2は、側面図である。本実施例のアンプル供給装置10は、個別のアンプルを切り出す機能と、アンプルの姿勢を変更する機能とを備え、個別に切り出された直立姿勢のアンプルは、水平方向に姿勢を変更されて排出される。このアンプル供給装置10は、好ましくは、アンプルの自動包装システムにおいて利用可能であり、アンプル供給装置10によって姿勢を変更されたアンプルは、次工程であるラベル貼付工程へ供される。
【0016】
本実施例のアンプル供給装置10は、アンプル20の軸方向の姿勢を90度変換して供給するものであり、
図1に示すように、複数のアンプル20をターレット40へ向けて搬送する入力側のベルトコンベア30と、ベルトコンベア30上に載置されたアンプル20を1つずつ搬送する回転体としてのターレット40と、ターレット40により回転搬送されたアンプル20の姿勢を変更するガイド部材50と、ガイド部材50により姿勢を変更されたアンプル20を1つずつターレット40から受け取り、各アンプル20を搬送する搬送ローラを備えた出力側のローラーコンベア60とを有する。
【0017】
アンプル20は、内部に薬液を収容するものであり、その典型的なものを
図3に示す。アンプル20は、径が一様な円筒部分20Aと、円筒部分20Aに接続された径の細い先端部分20Bとを含むガラスから構成される。先端部分20Bの付け根には切込み20Cが形成され、先端部分20Bを軸方向と異なる方向に押圧することで、先端部分20Bが切込み20Cを介して容易に破断されるようになっている。切込み20Cの近傍には、破断位置が認識できるようにワンポイントマークが付されている。
【0018】
入力側のベルトコンベア30には、アンプル20の円筒部分20Aの底面がコンベア表面に接するように、すなわちアンプル20がコンベヤ表面に直立するように、複数のアンプル20が搭載される。入力側のベルトコンベヤ30は、ターレット40の所定の位置に位置合わせされ、アンプル20は、回転されるターレット40により1つずつ抽出される。
【0019】
図4は、ターレット40の正面図とその側面図である。ターレット40は、例えば樹脂などの材料から構成される。ターレット40は、垂直軸を有し、ターレット40の円周上には、アンプル20の円筒部分20Aを保持するための複数の溝42が形成される。1つ1つの溝42内には、アンプル20の円筒部分20Aが収容される。溝42の形状は、1つの好ましい例では、略矩形状であるが、これに限らず、アンプル20を収容できるものであれば、円形状であってもよい。また、ターレット40の中央には、回転体と結合するための開口44が形成される。
【0020】
好ましい態様では、ターレット40の溝42は、一定の円弧状の長さを有する不連続部46によって複数の組に分割される。
図4に示す例では、1つの組の溝42は、10個の連続した溝から構成される。1つの組の溝42は、アンプルを収容する波形収容ケース80に収容されるアンプルの数に対応する。波形収容ケース80は、
図3(B)に示すように、台紙82上に複数の波紙84を有し、波紙84と波紙84の間に1つのアンプル20を収容する。
【0021】
次に、ガイド部材について説明する。好ましい態様では、本実施例のガイド部材50は、ターレット40の内周側に配置される内周ガイド100と、ターレットの外周側に配置される外周ガイド120と、ターレット40の下側に配置されるアンプル20の底面に接触する底面ガイド160を含んで構成される。
【0022】
内周ガイド100は、ターレット40の溝42に対して内側に配置され、外周ガイド120は、溝42に対して外側に配置される。後述するように、内周ガイド100および外周ガイド120は、ターレット40の溝42内に収容されたアンプル20の姿勢を、直立した状態から水平状態へ変更させるものである。
【0023】
図5(A)に内周ガイド100の平面図、
図5(B)にその断面図を示す。内周ガイド100は、樹脂等の材料から構成され、上面102、当該上面102に対向する底面104、傾斜角が連続的または線形に変化しアンプル20の側面と摺動可能な摺動側面(ガイド面)106、当該摺動側面106と対向する側面108、上部側面110、および下部側面112を含む略6面体から構成される。また、内周ガイド100には、後述する支持部材との接続を行うためのネジ穴114、116が形成されている。
【0024】
摺動側面106は、上部側面110から下部側面112に向けて、ターレット40の円周上を略円弧状に延在する。摺動側面106は、上部側面110から一定距離だけ離間された傾斜開始位置106Aから下部側面112に向けて、その下端が徐々に内側に遷移するように傾斜される。
図6(B)の断面1〜断面21は、
図6(A)の切断線1〜21にそれぞれ対応する。すなわち、傾斜開始位置106Aに対応する切断線1において、摺動側面106は、上面102に対し直角であり、傾斜角θa=0である。この傾斜角θaは、下部側面112に向けて徐々に大きくなり、切断線21において、摺動側面106の傾斜角θa=45度になる。切断線21から下部側面112まで、摺動側面の傾斜角θaは45度である。傾斜開始位置106Aにおける摺動側面106は、ターレット40の溝42の底面とほぼ一致する位置にあり、すなわち、溝42内に保持されたアンプル20を外周方向に押圧しない位置である。摺動側面106は、そこから下部側面112に向けて、溝42の底面を越えてターレット40の半径方向に徐々に突出する。このため、溝42内に収容されたアンプル20の円筒部分20Aの側面は、摺動側面106によって外周方向に押圧され得る。
【0025】
図6に外周ガイド120の平面図、左側面図、右側面図および正面図を示す。外周ガイド120は、樹脂等の材料から構成され、上面122、当該上面122と対向する底面124、側面126、側面128、上部側面130、下部側面132、上部側面と側面126の間に形成された摺動側面(ガイド面)134を含んで構成される。また、外周ガイド120には、後述する支持部材との接続を行うためのネジ穴136、138が形成されている。
【0026】
摺動側面134は、その外縁がターレット40の円周方向に略円弧状に延在し、側面126に向かうにつれて面が傾斜しかつ厚さが薄くなるように構成される。
図6Aに示す断面1〜断面41は、
図6に示す切断線1〜41に対応するものである。
【0027】
切断線1に対応する断面1では、摺動側面134は、底面124に直交し、上面122の近傍に突起部140を有する。この突起部140は、アンプル20の円筒部分20Aと先端部分20Bとの間の肩部と接触可能な位置にあり、摺動側面134上に円弧を描くように形成されていて、アンプル20のくびれ部20Cに略一致し、遠心力によるアンプル20の飛び出しを防いでいる。また、摺動側面134は、側面126に向かうにつれて、徐々に面が傾斜し、それと同時に、底面124から突起部140までの高さhは徐々に小さくなり、これにより、前述の突起部140と相まって、アンプル20が飛び出すことなくターレット40の溝42に収まりながら滑らかに倒れるようにしている。例えば、断面1では、摺動側面134の傾斜角θbはゼロであるが、切断線23に対応する断面23では、摺動側面134の傾斜角θbは約45度であり、最終的に、切断線41に対応する断面41では、摺動側面134の傾斜角θbは90度である。
【0028】
図7(A)は、内周ガイド100および外周ガイド120が取り付けられたときの平面図、
図7(B)は、そのA−A線断面の拡大図である。同図に示すように、内周ガイド100および外周ガイド120は、ターレット140の外周近傍に、指示部材150によって取り付けられる。支持部材150は、一方の端部において、ネジ部材152により一対の支柱154の一端に接続され、支柱154の他端は、ネジ部材により内周ガイド100の開口114、116に結合される。こうして、内周ガイド100は、ターレット40の回転に干渉することなく、ターレット40の表面から僅かに離間された状態でターレット40にほぼ並行に固定される。さらに、支持部材150は、他方の端部において、ネジ部材156により一対の支柱158の一端に接続され、支柱158の他端は、ネジ部材により外周ガイド120の開口136、138に結合される。この外周ガイド120は、底面ガイド160上に固定される。
【0029】
次に、本実施例のアンプル供給装置の動作を
図8を参照して説明する。
図8(A)は、ターレット40の溝42内にアンプル20が直立した状態を示している。アンプル20の底面は、底面ガイド160上に載置され、アンプル20の軸方向は、ターレット40の軸方向と平行であり、底面ガイド160の面に垂直である。このとき、内周ガイド100の摺動側面106は、溝42の底部と略一致しており、かつ摺動側面106の傾斜角θaはゼロ(
図5(B)の断面1)にある。従って、摺動側面106は、アンプル20に接するか、あるいは近接し、アンプル20は、摺動側面106によってターレット40の半径方向に押圧されない状態にある。換言すれば、
図5の傾斜開始位置106Aにある溝42内のアンプル20を示していることになる。
【0030】
一方、外周ガイド120の摺動側面134は、内周ガイド100の摺動側面106と平行であり、底面ガイド160に対して垂直である。つまり、摺動側面134の傾斜角θbはゼロである(
図6Aの断面1)。摺動側面106と摺動側面134のターレット40の半径方向の間隔は、アンプル20の円筒部分20Aの径よりも僅かに大きい値に調整される。
【0031】
ターレット40が回転すると、ターレット40とガイド部材100、120間の相対運動により、内周ガイド100および外周ガイド120の摺動側面106、134の傾斜角がターレット40の進行に合わせて滑らかに変化し、ターレット40上のアンプル20は、摺動側面106と134によって形成される空間を倣うように姿勢を変更されていく。
【0032】
図8(B)に示す状態では、ターレット40の回転により、内周ガイド100の摺動側面106が溝42内に幾分突出し、かつ摺動側面106には僅かな傾斜角θaが生じる。アンプル20は、摺動側面106によって押圧された状態で摺動側面106を摺動され、摺動側面106の傾斜角θaに対応する角度で傾斜される。また、外周ガイド120の摺動側面134は、内周ガイド100の摺動側面106とほぼ平行となるような傾斜角θbであり、かつ摺動側面134は幾分半径方向へ向けて後退する。
【0033】
ターレット40の回転に伴い、
図8(C)、(D)、(E)に示すように、アンプル20の軸方向の姿勢が徐々に傾斜される。アンプル20の自重がアンプルに作用する遠心力に勝る場合には、アンプル20は直立しようとするため、アンプル20の円筒部分20Aは、内周ガイド100の摺動側面106に接する。しかし、アンプル20に作用する遠心力がアンプル20の自重よりも勝ると、アンプル20は傾倒するが、アンプル20の円筒部分20Aが外周ガイド120の摺動側面134によって受け取られる。このため、アンプル20に衝撃が生じることはなく、アンプル20の先端部分20Bが割れることも防止される。
【0034】
1つの例では、
図8(E)に示すように、内周ガイド100の摺動側面106がターレット40の溝42を越えて半径方向に突き出し、かつ摺動側面106の傾斜角θaが約45度になったとき、アンプル20は、傾斜し、外周ガイド120の摺動側面134によって受け取られる。このとき、摺動側面134の傾斜角θbは摺動側面106の傾斜角θaと等しくなる角度の形状であり、摺動側面134と摺動側面106との間隔は、アンプル20の円筒部分20Aの径より若干大きく、アンプル20への衝撃はほとんど発生しない。また、摺動側面134の突起部140は、アンプル20の肩部に係合する位置にあり、アンプル20が遠心力により飛び出すことが防止される。
【0035】
ターレット40が回転され、
図8(F)の状態に遷移する。ここでは、内周ガイド100は、アンプル20を傾倒させる役割を完了しているため、
図8(E)の状態を継続する。一方、外周ガイド120の摺動側面134はさらに傾斜し、アンプル20の軸方向の傾斜を水平方向に近づける。
【0036】
次に、
図8(G)、
図8(H)の状態になると、外周ガイド120の摺動側面134はさらに傾斜され、最終的に、
図8(I)の状態に到達する。このとき、アンプル20の軸方向は、ターレット40の軸方向と直交し(または、底面ガイド160と平行)、アンプル20の姿勢は略水平方向に変換される。
図9は、アンプル20の軸方向の姿勢変化と内周ガイド100および外周ガイド120との関係を示した図である。こうして、アンプル20は、直立した状態から水平状態に姿勢を変更され、その状態で、
図1に示すベルトコンベヤ60上に移送される。
【0037】
上記実施例では、アンプル20が投入される位置(あるいは切り出される位置)と、アンプル20が供給される位置は、ターレット40上の角度でみると180度の関係にあり、アンプル20の投入方向(入力側のベルトコンベヤの搬送方向)と出力側のローラーコンベヤ60の搬送方向は直角であるが、これは一例であり、アンプル20の投入位置と供給位置は、任意の角度に選択することができる。例えば、アンプル20の投入位置と供給位置は90度であってもよく、この場合、アンプル20を投入するベルトコンベヤ30の搬送方向とローラーコンベヤ60の搬送方向は平行である。このように本実施例では、ターレット40の僅かな旋回角度で、安全にアンプルの姿勢変更が可能となる。
【0038】
上記実施例では、円筒容器としてアンプルを例示したが、本発明は、これ以外にも、粉末等を収容する円筒容器としてバイアル瓶にも適用することができる。バイアル瓶の場合、封止蓋の上面につく保護キャップは、その特性上、容易に外れ易いので、外周ガイド120の摺動側面134に形成される突起部140は、封止蓋の下側の瓶のくびれに入り込むように設計されることが望ましい。さらに本発明は、アンプルやバイアル瓶以外の円筒状の容器の姿勢の変更に適用できることは言うまでもない。
【0039】
さらにアンプル等の円筒容器は、底側がターレット40の溝42によって旋回するように力を受けるが、先端部の方は、外周ガイド120または底面ガイド160またはこれらの任意のガイドによってブレーキがかかる。そのため、円筒容器の先端部からターレット中心とを結ぶ線は、円筒容器の底からターレット中心とを結ぶ線とは同一ではなく、先端部が遅れるような角度持つことになる。このことが、次のコンベア上への落とし込みの際に、先端部からではなく、底から先に落下し、先端部が後から落下することになり、コンベアと先端部が衝突することを回避して円筒容器の破損を防ぐことができる。
【0040】
また、従来の方法では、円筒容器の姿勢を変更することは可能であるが、本実施例のように1つの装置内で円筒容器の切り出しと姿勢変更を実現することができない。さらに、円筒容器の形状等の変更があった場合、装置の段取り替えは、ターレット40、底面ガイド160、内周ガイド100、外周ガイド120を交換することになるが、ターレット40と各ガイドは、それらの隙間や角度を予め決定できる位置決めピンによって調整済みのものを一体で載せ替えることが可能であるため、段取り替え時間を大幅に短縮することができる。
【0041】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、上記実施例では、内周ガイドと外周ガイドとを接続部材により接続する例を示したが、これらの部材は、一体形成であってもよいし、他の部材を用いて連結するようにしてもよい。さらに、内周ガイド、外周ガイドのサイズや摺動側面の形状、傾斜角等は、円筒容器の形状、サイズ等に応じて適宜選択することができる。