(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5996960
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】積層鉄心の製造装置
(51)【国際特許分類】
H02K 15/12 20060101AFI20160908BHJP
H02K 1/27 20060101ALI20160908BHJP
【FI】
H02K15/12 E
H02K1/27 501D
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-171366(P2012-171366)
(22)【出願日】2012年8月1日
(62)【分割の表示】特願2010-278335(P2010-278335)の分割
【原出願日】2010年12月14日
(65)【公開番号】特開2012-210148(P2012-210148A)
(43)【公開日】2012年10月25日
【審査請求日】2013年10月17日
【審判番号】不服2015-17697(P2015-17697/J1)
【審判請求日】2015年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000144038
【氏名又は名称】株式会社三井ハイテック
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(72)【発明者】
【氏名】長井 亮
(72)【発明者】
【氏名】加藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】吉田 康平
【合議体】
【審判長】
中川 真一
【審判官】
堀川 一郎
【審判官】
前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−197693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モールド金型と保持金型の間に、複数の磁石挿入孔にそれぞれ磁石片が挿入された積層鉄心本体を入れて、前記モールド金型の、前記磁石挿入孔の半径方向内側の対応する位置に設けられた樹脂溜め部から上下動するプランジャによって前記磁石挿入孔にモールド樹脂を充填して、前記磁石片を前記磁石挿入孔に固定する積層鉄心の製造装置において、
前記モールド金型と前記積層鉄心本体との間に、前記樹脂溜め部から前記磁石挿入孔に向かう前記モールド金型側に開く有底の溝を用いて形成される樹脂流路を有し、該樹脂流路の上流側は前記樹脂溜め部に連通し、下流側には前記磁石挿入孔に通ずるゲートを備えた平板からなるガイド部材を配置したことを特徴とする積層鉄心の製造装置。
【請求項2】
請求項1記載の積層鉄心の製造装置において、前記ガイド部材は1枚の平板からなって、前記ゲートは前記樹脂流路の端部に設けられた貫通孔であることを特徴とする積層鉄心の製造装置。
【請求項3】
請求項1記載の積層鉄心の製造装置において、前記ガイド部材は2枚の平板からなって、前記樹脂流路は、前記モールド金型に接する平板に表裏貫通して形成され、前記ゲートは前記積層鉄心本体に接する平板に形成され、前記樹脂流路の下流側に接続される貫通孔であることを特徴とする積層鉄心の製造装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1記載の積層鉄心の製造装置において、前記ゲートは、平面視して前記磁石挿入孔より小さくなって、しかも前記磁石挿入孔に半径方向内側からラップすることを特徴とする積層鉄心の製造装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1記載の積層鉄心の製造装置において、前記ガイド部材の直径は前記積層鉄心本体の直径より大きいことを特徴とする積層鉄心の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに使用され、軸方向に貫通して形成された複数の磁石挿入孔にそれぞれ磁石片を樹脂封止した積層鉄心の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載のように、回転子積層鉄心の積層鉄心本体に複数の磁石挿入孔を設け、各磁石挿入孔に磁石片を入れて固定するマグネットモールド工法Aが知られている。この工法は、
図8に示すように、回転子積層鉄心70の半径方向外側領域に設けられた複数の磁石挿入孔71に磁石片72を入れて、一定温度に加熱し、磁石挿入孔71に上型73(又は下型74)からモールド樹脂75を注入し、このモールド樹脂75を硬化させることで、磁石片72を積層鉄心本体76に固定させている。なお、77は搬送治具、78は上固定プレート、79は下固定プレート、80はガイドポスト、81はプランジャである。
【0003】
ところが、特許文献1に記載の方法では、回転子積層鉄心の表面の樹脂流路部分とゲート部分にモールド樹脂75が残留する。このため、モールド樹脂の充填の後に、表面に残留した樹脂を除去する工程が必要となる。そこで、特許文献2に記載のようなダミー板を用いたマグネットモールド工法Bが提案されている。
【0004】
このマグネットモールド工法Bは、
図9に示すように、積層鉄心本体76の表面側に金属製のダミー板82を配置し、このダミー板82に形成した樹脂注入口であるゲート83からモールド樹脂75を注入している。これによって、注入したモールド樹脂75は積層鉄心本体76の表面側ではなく、ダミー板82の表面に固着して残るため、積層鉄心本体76からダミー板82を取り外すことで、残留したモールド樹脂も同時に除去している。なお、84は上型73に形成された樹脂流路である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3786946号公報
【特許文献2】特許第4414417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2に記載するマグネットモールド工法においては、積層鉄心本体の磁石挿入孔の位置や数が変わる毎に、樹脂溜め部のあるモールド金型(上型又は下型)の形状、及びダミー板を、対象となる積層鉄心本体に合わせて変更する必要がある。従って、回転子積層鉄心の種類に合わせて、モールド金型を用意すると、製造コストの増大を招くばかりでなく、生産ラインにおいて、回転子積層鉄心の種類を変える毎に、モールド金型の交換も行わなければならず、モールド金型交換後の調整まで含めると、生産再開まで数十分から数時間を要するため、生産時間の短縮を妨げる要因となっていた。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、異なる回転子積層鉄心に対してもモールド金型の変更を行うことなく、従って、他
の種類のモールド金型を用意する必要がなく、生産ラインのリードタイムを短くすることが可能な積層鉄心の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的に沿う積層鉄心の製造装置は、モールド金型と保持金型の間に、複数の磁石挿入孔にそれぞれ磁石片が挿入された積層鉄心本体を入れて、前記モールド金型の
、前記磁石挿入孔の半径方向内側の対応する位置に設けられた樹脂溜め部から上下動するプランジャによって前記磁石挿入孔にモールド樹脂を充填して、前記磁石片を前記磁石挿入孔に固定する積層鉄心の製造装置において、
前記モールド金型と前記積層鉄心本体との間に、前記樹脂溜め部から前記磁石挿入孔に向かう前記モールド金型側に開く有底の溝を用いて形成される樹脂流路を有し、該樹脂流路の上流側は前記樹脂溜め部に連通し、下流側には前記磁石挿入孔に通ずるゲートを備えた平板からなるガイド部材を配置した。
ここで、積層鉄心本体が垂直方向に立設されている場合、モールド金型は積層鉄心本体の上又は下に配置し、これに対応してガイド部材を積層鉄心本体の上又は下に配置することになる。
【0009】
本発明に係る積層鉄心の製造装置において、前記ガイド部材は1枚の平板(例えば、ステンレス板、鋼板等の金属板)からなって、前記ゲートは前記樹脂流路の端部に設けられた貫通孔であるのが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る積層鉄心の製造装置において、前記ガイド部材は少なくとも2枚の平板(例えば、ステンレス板、鋼板等の金属板)からなって、前記樹脂流路は、前記モールド金型に接する平板に表裏貫通して形成され、前記ゲートは前記積層鉄心本体に接する平板に形成され、前記樹脂流路の下流側に接続される貫通孔であるのが好ましい。
【0011】
本発明の積層鉄心の製造装置において、前記ゲートは、平面視して前記磁石挿入孔より小さくなって、しかも前記磁石挿入孔に半径方向内側からラップしているのが好ましい。ここで、平面視するとは積層鉄心本体を軸方向に見ることをいう。これによって、磁石挿入孔とゲートの境界部分に位置する樹脂が折れ易くなり、不要の樹脂の除去が容易となる。
【0012】
本発明の積層鉄心の製造装置において、前記モールド金型には複数の前記樹脂溜め部があって、前記積層鉄心本体に形成されたグループ分けされた複数の磁石挿入孔群(1又は複数の磁石挿入孔を有する)に前記モールド樹脂を供給しているのが好ましい。
また、本発明に係る積層鉄心の製造装置において、前記ガイド部材の直径は前記積層鉄心本体の直径より大きいのが好ましい。これによって、樹脂封止後のガイド部材の取外しが容易となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る積層鉄心の製造装置においては、以下のような効果を有する
(1)稼働中の製造ラインにおいて、途中からモールドする製品(即ち、積層鉄心)種が変更になっても、モールド金型を交換せず、製品に合わせたガイド部材をセットするだけでモールドが可能となるので、製造ラインを停止することなく、連続して生産を行うことができる。
(2)即ち、特定の製品種においては、製品種の変更に伴いガイド部材の交換のみで済む場合があり、リードタイムの短縮が可能となる。
(3)製品種毎にモールド金型を製作する必要がないので、金型コスト及び製品コストの大幅減となる。
【0014】
特に、ガイド部材に少なくとも2枚の平板を使用することによって、製品表面への樹脂残り付着を防止できると共に、少なくとも2枚の平板を分離させることで、樹脂残りを極めて容易に除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る積層鉄心の製造装置の説明図である。
【
図3】(A)は同装置に使用するガイド部材の平面図、(B)は同装置によって製造された積層鉄心の平面図である。
【
図4】(A)は本発明の第2の実施の形態に係る積層鉄心の製造装置に用いるガイド部材の平面図、(B)は同装置によって製造された積層鉄心の平面図である。
【
図5】本発明の第3の実施の形態に係る積層鉄心の製造装置の説明図である。
【
図6】(A)、(B)は同装置に使用するガイド部材の説明図あり、(C)は同装置によって製造された積層鉄心の平面図である。
【
図7】(A)、(B)は本発明の第4の実施の形態に係る積層鉄心の製造装置に使用するガイド部材の平面図で、(C)は同装置によって製造された積層鉄心の平面図てある。
【
図8】従来例に係る積層鉄心の製造方法を示す説明図である。
【
図9】従来例に係る積層鉄心の製造方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る積層鉄心の製造装置は、モールド金型の一例である上型10と、保持金型の一例である下型11との間に、上下に貫通する対となる磁石挿入孔12、13(
図3(B)参照)を半径方向外側領域に複数組有する積層鉄心本体14を、各磁石挿入孔12、13に磁石片(未励磁の永久磁石)15を入れた状態で配置し、上型10に設けられた樹脂溜め部の一例である樹脂溜めポット16からガイド部材18を介してモールド樹脂19を磁石挿入孔12、13に充填しようとするものである。なお、磁石片15の高さは積層鉄心本体14の高さと同一であるか僅少の範囲(0.1〜2mm)で小さい。
【0017】
積層鉄心本体14は、複数の対となる磁石挿入孔12、13(1つの磁石挿入孔群を形成する)を複数対(この実施の形態では8)備え、平面視して山形状になった磁石挿入孔12、13の半径方向内側には、重量軽減用の貫通孔21がそれぞれ形成されている。積層鉄心本体14の中央には軸孔22が設けられ、軸孔22の内側には対向する平面視して四角形状の突出部23、24(
図3参照)が形成されている。この積層鉄心本体14は磁性板材(例えば、硅素鋼板)をプレス加工した同一形状の鉄心片25をかしめ積層して形成されている。
【0018】
上型10は
図3(A)に示すように、平面視して谷状に形成される対となる磁石挿入孔13、12の半径方向内側に対応する位置に、断面円形の樹脂溜めポット16を有している。各樹脂溜めポット16は図示しないシリンダーによって上下動するプランジャ27によって内部に溜まった液状のモールド樹脂(熱硬化性樹脂)19を積層鉄心本体14側に向けて押し出す構造となっている。
【0019】
ガイド部材18は、厚みが例えば0.2〜3mmの範囲にある1枚の平板(例えば、ステンレス板、鋼板)からなって、樹脂溜めポット16に上流端が連通し、下流端が磁石挿入孔12、13(点線部分)の半径方向内側に形成された貫通孔からなるゲート30に繋がる有底の上型10側に開く溝からなる樹脂流路31が形成されている。この樹脂流路31の深さはガイド部材18の厚みの30〜70%の範囲となって、樹脂流路31の下流端に形成されているゲート30は矩形孔からなって、下方の磁石挿入孔12、13の半径方向内側中央に位置している。なお、ゲート30は矩形孔に限らず、丸孔、三角孔等他の形状を採用することができる。
【0020】
ゲート30の長辺長さは、磁石挿入孔12、13の長辺長さの0.3〜0.7倍となって、短辺幅も磁石挿入孔12、13の短辺幅の0.3〜0.7倍となっている。
ガイド部材18はその直径が積層鉄心本体14の直径より1〜10%の範囲で大きくなって、内部に積層鉄心本体14の軸孔22と同一直径の軸孔32が設けられている。この軸孔32の内側には、軸孔22の内側に設けられている突出部23、24と同一の突出部33、34が設けられている。
【0021】
この実施の形態においては、積層鉄心本体14は搬送治具36に載置された状態で、下型11及び上型10の間に位置決めして挟持されている。
搬送治具36は、
図2に示すように、載置台37とその中央に配置されたガイド軸38とを有し、ガイド軸38は積層鉄心本体14の高さより長くなって、上端は面取り39が形成されている。なお、上型10にはこのガイド軸38が嵌入する穴40が設けられている。ガイド軸38の径方向両側には、突出部23、24、33、34が密着嵌入するキー溝41、42が設けられている。なお、積層鉄心の軸孔外周にキー溝を形成し、ガイド軸にキー溝が嵌入する突出部を設けてもよい。
【0022】
以上の構成となった樹脂封止装置を用いた積層鉄心の製造方法について説明する。
予熱されて搬送治具36に搭載された積層鉄心本体14の上にガイド部材18を重ねて、上型10及び下型11の間に配置する。上型10を降ろして、積層鉄心本体14及びガイド部材18は搬送治具36のガイド軸38が上型10の穴40に嵌入することによって位置決めされる。
【0023】
この状態で、プランジャ27を図示しないシリンダで押し下げて、樹脂溜めポット16内の溶融したモールド樹脂19を下方に押し出し、樹脂流路31からゲート30を介して各磁石挿入孔12、13にモールド樹脂19を充填する。ゲート30は磁石挿入孔12、13の半径方向内側からラップして設けられているので、磁石片15は磁石挿入孔12、13の半径方向外側に押される。
【0024】
モールド樹脂19は熱硬化性樹脂からなっているので、予熱された積層鉄心本体14によって加温して硬化する。
この後、上型10を上昇させて、ガイド部材18を積層鉄心本体14の上から外すと、固まったモールド樹脂19もゲート30部分又はその近傍で破断する。この作業は下型11の上で行ってもよいし、搬送治具36を別位置に移動させて行ってもよい。
【0025】
次に、
図4(A)、(B)に示す本発明の第2の実施の形態に係る積層鉄心の製造装置について、第1の実施の形態に係る積層鉄心の製造装置と異なる点について説明する。上型10、下型11、搬送治具36については第1の実施の形態に係る積層鉄心の製造装置と同じものを使用する。積層鉄心本体44には、磁石挿入孔12、13の他に更に磁石挿入孔45が設けられて、磁石挿入孔群を8個形成している。従って、この積層鉄心本体44の上に載るガイド部材47にも、磁石挿入孔45に対応する樹脂流路48及びゲート49を有する。
【0026】
第2の実施の形態に係る積層鉄心の製造装置の操作手順は、第1の実施の形態に係る積層鉄心の製造装置と同一であるので、詳しい説明を省略する。
これらの実施の形態においては、2又は3の磁石挿入孔に対して一つの樹脂溜めポットから樹脂を充填しているが、一つの樹脂溜めポットから一つの磁石挿入孔、又は4以上の磁石挿入孔に樹脂を充填する場合も本発明は適用される。
【0027】
続いて、
図5、
図6を参照しながら、本発明の第3の実施の形態に係る積層鉄心の製造装置について説明する。なお、上型及び下型については第1の実施の形態に係る積層鉄心の製造装置と同一であるので、詳しい説明を省略する。また、積層鉄心本体の搬送治具は、以下の実施の形態では省略しているが、第1の実施の形態のように用いるのが好ましい。また、以上の実施の形態と同一の構成要素については同一の番号を付して重複した説明を省略する(第4の実施の形態においても同じ)。
【0028】
図5、
図6に示すように、上型10、下型11の間に、ガイド部材51を載せた積層鉄心本体14を配置する。積層鉄心本体14には前述のように、磁石挿入孔12、13が設けられている。この実施の形態においては、ガイド部材51が、それぞれ例えば厚み0.2〜2mmの2枚のステンレス製の円形平板52、53からなって、樹脂溜めポット16に接する平板52に、樹脂溜めポット16から下流側のゲート54への樹脂流路55が形成され、積層鉄心本体14に接する平板53には積層鉄心本体14に形成された磁石挿入孔12、13に樹脂を流し込む前記したゲート54が形成されている。
【0029】
樹脂流路55は平板52を上下貫通して形成され、ゲート54は平板53に上下貫通して(貫通孔として)形成されている。ゲート54は、平面視して磁石挿入孔12、13の半径方向内側中央に位置している。樹脂流路55の上流側は、樹脂溜めポット16に連通され、下流側はゲート54に連通している。
これによって、2枚の平板52、53は一体となって、第1の実施の形態における樹脂流路31及びゲート30が設けられたガイド部材18と同一の働きをする。なお、平板52、53の直径は積層鉄心本体14の直径より大きく、除去が容易となっている。
【0030】
このガイド部材51の使用方法は第1の実施の形態と同様である。また、ガイド部材51の除去にあっては、2枚の平板52、53を同時に外すことになり、更に平板52、53を分離することによって、樹脂流路55に溜まったモールド樹脂を容易に除去できる。
なお、
図5には記載していない搬送治具36を使用するのが好ましいが、ガイド部材51と積層鉄心本体14の位置決めができる位置決め手段(例えば、凹部と凸部)を設ける場合には、搬送治具を省略できる。また、
図6において、57、58は突出部を、59、60は軸孔を示す。
【0031】
次に、
図7を参照して本発明の第4の実施の形態に係る積層鉄心の製造装置について説明する。この実施の形態は、第2の実施の形態に係る積層鉄心の製造装置に用いた積層鉄心本体44を使用している。この第4の実施の形態に係る積層鉄心の製造装置においては、ガイド部材62を構成する2枚の平板63、64を用い、平板63に上型に形成された樹脂溜めポットから下流側のゲート54、65に繋がる樹脂流路55、66を形成している。そして、平板64には前記したゲート54、65を備え、このゲート54、65は積層鉄心本体44の磁石挿入孔12、13、45の半径方向内側中央に符合している。
【0032】
従って、磁石挿入孔12、13、45内に所定の磁石片15を入れた積層鉄心本体44の上に位置決めしてガイド部材62を載せて、上型と下型で挟持し、樹脂溜めポットからモールド樹脂を、樹脂流路55、66、ゲート54、65を介して磁石挿入孔12、13、45に充填する。これによって、磁石片15が磁石挿入孔12、13、45に固定される。ガイド部材62を除去することによって、積層鉄心本体44の上にモールド樹脂が残ることなく除去される。
【0033】
以上のように、ガイド部材18、47、51、62を積層鉄心本体の形状に応じて製作することによって、モールド金型の形状は変更しないで済むので金型の製造コストを下げることができる。
また、積層鉄心本体の形状に応じてガイド部材18、47、51、62を交換すればよいので、積層鉄心本体が変わった場合も簡単に装置替えができる。
更に、ガイド部材が2枚以上の平板からなる場合は、積層鉄心本体の形状に合わせて、これらの一つのみを変更して対応できる場合もある。
【0034】
前記実施の形態においては、上型に樹脂溜めポットを設けたが、下型に樹脂溜めポットを設け、各磁石挿入孔に下からモールド樹脂を充填することもできる。
更に、前記実施の形態においては、具体的寸法を示して説明したが、本発明の要旨を変更しない範囲で数値変更をしてもよい。
また、第1〜第4の実施の形態を用いて本発明に係る積層鉄心の製造装置を説明したが、第1〜第4の実施の形態を組み合わせて本発明を構成することもできる。
【符号の説明】
【0035】
10:上型、11:下型、12、13:磁石挿入孔、14:積層鉄心本体、15:磁石片、16:樹脂溜めポット、18:ガイド部材、19:モールド樹脂、21:貫通孔、22:軸孔、23、24:突出部、25:鉄心片、27:プランジャ、30:ゲート、31:樹脂流路、32:軸孔、33、34:突出部、36:搬送治具、37:載置台、38:ガイド軸、39:面取り、40:穴、41、42:キー溝、44:積層鉄心本体、45:磁石挿入孔、47:ガイド部材、48:樹脂流路、49:ゲート、51:ガイド部材、52、53:平板、54:ゲート、55:樹脂流路、57:突出部、58:突出部、59:軸孔、60:軸孔、62:ガイド部材、63、64:平板、65:ゲート、66:樹脂流路