(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5996965
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】平判紙の積層状態不良検知方法および平判紙積層状態不良検知装置
(51)【国際特許分類】
G01B 11/25 20060101AFI20160908BHJP
G01N 21/88 20060101ALI20160908BHJP
【FI】
G01B11/25 H
G01N21/88 Z
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-179695(P2012-179695)
(22)【出願日】2012年8月14日
(65)【公開番号】特開2014-38013(P2014-38013A)
(43)【公開日】2014年2月27日
【審査請求日】2014年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000200334
【氏名又は名称】JFEプラントエンジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100108914
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 壯兵衞
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】池田 孝之
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 純也
(72)【発明者】
【氏名】稲川 利郎
【審査官】
▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−194124(JP,A)
【文献】
特開2000−337827(JP,A)
【文献】
特開平06−024649(JP,A)
【文献】
特開2000−081396(JP,A)
【文献】
特開2014−038012(JP,A)
【文献】
特開2014−038014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00−11/30
G01N 21/84−21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定寸法に裁断された平判紙を積層してなる積層物に平判紙の積層状態の不良があるか否かを検知する方法であって、
前記積層物の側面に対して下向きに傾斜した角度で積層物の周囲に配置されたレーザ照射装置から前記積層物の各側面にレーザ光を前記積層物の高さ方向に沿って線状に照射すると共に、前記積層物の各側面を前記積層物の側面に対して下向きに傾斜した角度で積層物の周囲に配置された撮像装置により撮像し、前記撮像装置から出力された画像信号を処理して前記レーザ光の照射軌跡を表わす二値化画像を作成し、前記レーザ光の照射軌跡が前記積層物の高さ方向に連続する照射軌跡であるか否かを判定することによって、前記平判紙の積層状態の不良を検知することを特徴とする平判紙の積層状態不良検知方法。
【請求項2】
前記積層物の4つの隅部のうち対角線上に位置する2つの隅部に対し、前記レーザ照射装置を2台ずつ配置すると共に前記撮像装置を1台ずつ配置して、前記平判紙の積層状態の不良を検知することを特徴とする請求項1に記載の平判紙の積層状態不良検知方法。
【請求項3】
前記積層物の側面に対する前記レーザ照射装置の傾斜角度を30°以上75°以下に設定するとともに、前記積層物の側面に対する前記撮像装置の傾斜角度を35°以上80°以下に設定して、前記平判紙の積層状態の不良を検知することを特徴とする請求項1または2に記載の平判紙の積層状態不良検知方法。
【請求項4】
前記レーザ光の照射軌跡が前記積層物の高さ方向に連続する照射軌跡であるときに前記積層物の側面に前記平判紙の飛び出し及び不揃いが存在しないと判定し、前記レーザ光の照射軌跡が前記積層物の高さ方向に不連続の照射軌跡であるときに前記積層物の側面に前記平判紙の飛び出し及び不揃いが存在すると判定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の平判紙の積層状態不良検知方法。
【請求項5】
前記レーザ光の照射軌跡が前記積層物の高さ方向に不連続の照射軌跡であるときに、前記積層物の側面から突出する平判紙の飛び出し量及び/又は前記平判紙の飛び出し数を前記撮像装置で得られた画像から求め、前記平判紙の飛び出し量及び/又は前記平判紙の飛び出し数を基準値と比較して良否を判定することを特徴とする請求項4に記載の平判紙の積層状態不良検知方法。
【請求項6】
前記レーザ光の照射軌跡が前記積層物の高さ方向に連続しているか否かを判断し、連続している場合には、前記積層物の側面のうねり量を算出し、連続していない場合には、前記積層物の側面から突出する平判紙の飛び出し量を算出し飛び出し量の判定を行うとともに、前記平判紙の飛び出し数のカウントを行い前記積層物の側面が不揃いか否かを判定し、その上で、前記積層物の側面のうねり量を算出し、算出されたうねり量を基準値と比較し、算出されたうねり量が前記基準値を超えていないときに、前記積層物の側面にうねりが存在しないと判定し、算出されたうねり量が前記基準値を超えているときに、前記積層物の側面にうねりが存在すると判定することを特徴とする請求項5に記載の平判紙の積層状態不良検知方法。
【請求項7】
一定寸法に裁断された平判紙を積層してなる積層物に積層状態の不良があるか否かを検知する装置であって、前記積層物の側面に対して下向きに傾斜した角度で積層物の周囲に配置されたレーザ照射装置から前記積層物の各側面にレーザ光を前記積層物の高さ方向に沿って線状に照射すると共に、前記積層物の各側面に照射されたレーザ光を前記積層物の側面に対して下向きに傾斜した角度で積層物の周囲に配置された撮像装置により撮像し、前記撮像装置から出力された画像信号を処理して前記レーザ光の照射軌跡を表わす二値化画像を作成し、前記レーザ光の照射軌跡が前記積層物の高さ方向に連続する照射軌跡であるか否かを判定することによって、前記平判紙の積層状態の不良を検知することを特徴とする平判紙積層状態不良検知装置。
【請求項8】
前記積層物の側面に対する前記レーザ照射装置の傾斜角度を30°以上75°以下に設定するとともに、前記積層物の側面に対する前記撮像装置の傾斜角度を35°以上80°以下に設定したことを特徴とする請求項7に記載の平判紙積層状態不良検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の平判紙からなる積層物の側面に、平判紙の飛び出し、不揃い、うねりの積層状態の不良が存在するか否かを検知する平判紙の積層状態不良検知方法および平判紙積層状態不良検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、印刷用紙や情報用紙などを製造する製紙工場では、巻取紙を所定の寸法に裁断して得られた多数の平判紙の積層物を製品として出荷する場合、積層物をコンベアにて包装機に搬送し、包装機に搬送された積層物を包装紙や包装フィルムなどで包装してから出荷するようにしている。
この場合、
図8(a)に示すような平判紙の飛び出しが積層物2の側面に存在すると、積層物2を包装する際に積層物2の側面から突出する平判紙1が折損したりすることで不良品の発生を招くため、積層物2を包装する前に積層物2の側面から平判紙1が飛び出しているか否かを検査する必要がある。また、
図8(b)に示すように、飛び出しとまでは言えない微小な紙の出入りがある積層物2の状態を不揃いと呼び、これは製品の見栄え上の問題がある。さらに、
図8(c)に示すように、平判紙が斜めに積層されているうねりの場合、ハンドリングの途中で荷崩れを発生させることや包装時に問題となるケースもある。
【0003】
しかし、積層物側面の外観検査は検査員の目視検査によって行われているため、平判紙の飛び出し等を見逃してしまう場合があった。また、不揃いやうねりの場合、不良品か否かの判断が検査員によって異なるという問題もあった。
そこで、検査員の目視検査に頼ることなく積層物の側面を検査する技術として、
図9に示されるように、多数の感光性シート材からなる積層物91の側面91aにレーザ光Lをレーザ光源92から線状に照射すると共に、積層物91の側面91aで反射した反射レーザ光Lrを撮像装置93にて撮像し、撮像装置93で得られた画像を画像処理してシート材の飛び出しを検知する技術が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
また、特許文献2には、紡績工場で生産されるパッケージの巻形状の良否を検査する方法として、パッケージの側面から端面にかけて帯状の照明光を照射しながらパッケージのエッジ形状をCCDカメラにて撮像し、CCDカメラで得られた画像から巻形状の良否を検査する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−337827号公報
【特許文献2】特開平6−24649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された技術は、レーザ光源92が積層物91の側面91aに対して45°〜60°の角度θ3で水平に配置されているとともに、撮像装置93が積層物91の側面91aに対して90°(又は135°〜150°)の角度θ4で水平に配置されているため、積層物91の側面91aから突出するシート材の厚さがシート紙のように薄く、かつ積層物91の側面91aから突出するシート材が1枚の場合には、積層物91の側面91aに照射されたレーザ光Lの照射軌跡を表わす画像が例えば
図10に示すように、レーザ光Lの照射軌跡の左側に飛び出しを示す小さな点Pがひとつ表示されるような画像となってしまう。このため、特許文献1に記載された技術では、積層物の側面から突出するシート材が1枚の場合にはシート材の飛び出しを検知できない可能性がある。また、撮像装置93で得られる画像からシート材の飛び出し量を算出し、算出された飛び出し量を基準値と比較して良否を判定する場合、特許文献1に記載された技術では、レーザ光源92と積層物91と撮像装置93の位置関係が正確に求められていないとシート材の飛び出し量を正確に算出することができないという問題もある。
【0007】
一方、特許文献2に記載された技術では、CCDカメラで撮像された検査対象パッケージの形状を、メモリに予め記憶されている正常パッケージの形状と突合せ、そのマッチング度合から良否を判定している。このため、特許文献2に記載された技術を適用して平判紙の飛び出しを検知しようとすると、特許文献1に記載の技術と同様に、積層物の側面から突出する平判紙が1枚の場合には平判紙の飛び出しを検知できない可能性がある。また、積層状態の異常は、その異常の程度が小さい場合は許容される場合もあるが、マッチング方式を採用する方式では許容値の設定ができないという問題がある。
【0008】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、後工程で問題が発生する状態や見栄えの問題がある状態を確実に検知することのできる、平判紙の積層状態不良検知方法と平判紙積層状態不良検知装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、一定寸法に裁断された平判紙を積層してなる積層物に平判紙の積層状態の不良があるか否かを検知する方法であって、前記積層物の側面に対して下向きに配置されたレーザ照射装置から前記積層物の側面にレーザ光を前記積層物の高さ方向に沿って線状に照射し、前記積層物の側面に照射されたレーザ光を前記積層物の側面に対して下向きに配置された撮像装置により撮像した後、前記撮像装置から出力された画像信号を処理して前記レーザ光の照射軌跡を表わす二値化画像を作成し、前記レーザ光の照射軌跡が前記積層物の高さ方向に連続する照射軌跡であるか否かを判定することによって、前記平判紙の積層状態の不良を検知することを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の平判紙の積層状態不良検知方法において、前記積層物の4つの隅部のうち対角線上に位置する2つの隅部に対し、前記レーザ照射装置を2台ずつ配置すると共に前記撮像装置を1台ずつ配置して、前記平判紙の積層状態の不良を検知することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の平判紙の積層状態不良検知方法において、前記積層物の側面に対する前記レーザ照射装置の傾斜角度を30°以上75°以下に設定するとともに、前記積層物の側面に対する前記撮像装置の傾斜角度を35°以上80°以下に設定して、前記平判紙の積層状態の不良を検知することを特徴とする。
【0011】
請求項
4の発明は、請求項
1〜3のいずれか一項に記載の平判紙の積層状態不良検知方法において、前記レーザ光の照射軌跡が前記積層物の高さ方向に連続する照射軌跡であるときに前記積層物の側面に前記平判紙の飛び出し及び不揃いが存在しないと判定し、前記レーザ光の照射軌跡が前記積層物の高さ方向に不連続の照射軌跡であるときに前記積層物の側面に前記平判紙の飛び出し及び不揃いが存在すると判定することを特徴とする。
【0012】
請求項
5の発明は、請求項
4に記載の平判紙の積層状態不良検知方法において、前記レーザ光の照射軌跡が前記積層物の高さ方向に不連続の照射軌跡であるときに、前記積層物の側面から突出する平判紙の飛び出し量及び/又は前記平判紙の飛び出し数を前記撮像装置で得られた画像から求め、前記平判紙の飛び出し量及び/又は前記平判紙の飛び出し数を基準値と比較して良否を判定することを特徴とする。
【0014】
請求項
6の発明は、請求項
5に記載の平判紙の積層状態不良検知方法において、前記レーザ光の照射軌跡が前記積層物の高さ方向に連続しているか否かを判断し、連続している場合には、前記積層物の側面のうねり量を算出し、連続していない場合には、前記積層物の側面から突出する平判紙の飛び出し量を算出し飛び出し量の判定を行うとともに、前記平判紙の飛び出し数のカウントを行い前記積層物の側面が不揃いか否かを判定し、その上で、前記積層物の側面のうねり量を算出し、算出されたうねり量を基準値と比較し、算出されたうねり量が前記基準値を超えていないときに
、前記積層物の側面にうねりが存在しないと判定し、算出されたうねり量が前記基準値を超えているときに
、前記積層物の側面にうねりが存在すると判定することを特徴とする。
【0015】
請求項
7の発明は、一定寸法に裁断された平判紙を積層してなる積層物に積層状態の不良があるか否かを検知する装置であって、前記積層物の側面に対して下向きに傾斜した角度で積層物の周囲に配置されたレーザ照射装置から前記積層物の各側面にレーザ光を前記積層物の高さ方向に沿って線状に照射すると共に、前記積層物の各側面に照射されたレーザ光を前記積層物の側面に対して下向きに傾斜した角度で積層物の周囲に配置された撮像装置により撮像し、前記撮像装置から出力された画像信号を処理して前記レーザ光の照射軌跡を表わす二値化画像を作成し、前記レーザ光の照射軌跡が前記積層物の高さ方向に連続する照射軌跡であるか否かを判定することによって、前記平判紙の積層状態の不良を検知することを特徴とする。
【0016】
請求項
8の発明は、請求項
7に記載の平判紙積層状態不良検知装置において、前記積層物の側面に対する前記レーザ照射装置の傾斜角度を30°以上75°以下に設定するとともに、前記積層物の側面に対する前記撮像装置の傾斜角度を35°以上80°以下に設定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、平判紙の飛び出しや不揃いが積層物に存在しない場合は積層物の側面に照射されたレーザ光の照射軌跡が積層物の高さ方向に連続する直線状の照射軌跡となり、平判紙の飛び出しや不揃いが積層物に存在する場合は積層物の側面に照射されたレーザ光の照射軌跡が積層物の高さ方向に連続しない照射軌跡となる。従って、積層物の側面に照射されたレーザ光の照射軌跡が積層物の高さ方向に連続する照射軌跡であるか否かを撮像装置で得られた画像から判定することで、平判紙の飛び出しや不揃いが積層物に存在するか否かを確実に検知することができる。
【0018】
また、積層状態にうねりがない場合は積層物の側面に照射されたレーザ光の照射軌跡が積層物の底面に対して垂直で積層物の高さ方向に連続する直線状の照射軌跡となるのに対し、うねりがある場合は積層物の側面に照射されたレーザ光の照射軌跡が積層物の高さ方向に連続していても湾曲した照射軌跡となるので、積層物の側面に照射されたレーザ光の照射軌跡が積層物の高さ方向に湾曲しているか否かを判定することで、うねりの有無を確実に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明を実施するときに用いられる平判紙積層状態不良検知装置の一例を示す平面図である。
【
図2】
図1に示す平判紙積層状態不良検知装置のレーザ照射装置と撮像装置を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示すレーザ光照射装置の積層物側面に対する角度を示す図である。
【
図4】
図1に示す撮像装置の積層物側面に対する角度を示す図である。
【
図5】本発明を実施するときに用いられる平判紙積層状態不良検知装置の一例を示すブロック図である。
【
図6】本発明に係る平判紙の積層状態不良検知方法を説明するためのフローチャートである。
【
図7】積層物の側面に照射されたレーザ光の照射軌跡を示す図である。
【
図8】積層物の側面に発生する平板紙の積層不良を示す図である。
【
図9】特許文献1に記載された技術を説明するための図である。
【
図10】特許文献1に記載された技術により得られるレーザ光の照射軌跡を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
図1〜
図5は本発明を実施するときに用いられる平判紙積層状態不良検知装置の一例を示す図であり、本発明を実施するときに用いられる平判紙積層状態不良検知装置は、
図1、
図2に示されるように、レーザ照射装置3,4,5,6、撮像装置7,8および昇降機構9,10を備えている。
【0021】
レーザ照射装置3〜6は多数の平判紙からなる積層物2の側面2a,2b,2c,2dにレーザ光L(
図2参照)を積層物2の高さ方向に沿って線状に照射するものであって、
図1および
図3に示されるように、積層物2の側面2a〜2dに対して下向きに傾斜した角度θ1(例えば、積層物2の側面に対して、好ましくは30°以上75°以下の傾斜した角度、より好ましくは45°以上75°以下の傾斜した角度)で積層物2の周囲に配置されている。
【0022】
また、レーザ照射装置3〜6のうちレーザ照射装置
3は積層物2を
図1中矢印方向に包装機へ搬送するベルトコンベア11の例えば左側に配置され、レーザ照射装置5はベルトコンベア11の例えば右側に配置されている。そして、レーザ照射装置4はベルトコンベア11の
上流側に配置され、レーザ照射装置6はベルトコンベア11の
下流側に配置されている。
【0023】
ここで、積層物2の側面に対するレーザ照射装置3〜6の傾斜角度θ1を、好ましくは30°以上75以下、より好ましくは45°以上75°以下の角度とするのは、次の理由からである。すなわち、レーザ照射装置3〜6の傾斜角度θ1がθ1<30°になると、もし、飛び出しや不揃いなどの紙の出入りがあった場合に、レーザ光を上方から照射しているために、飛び出した紙やうねりによる積層紙の影となる部分が大きくなり、検査できない不感帯の領域が拡大してしまうという問題が生じるおそれがある。また、レーザ照射装置3〜6の傾斜角度θ1がθ1>75°になると、飛び出しや不揃いによる微小な紙の出入りがあるところで、レーザ光の照射軌跡が途切れず、不良の判定が困難となるおそれが生じる。このため、レーザ照射装置3〜6の傾斜角度θ1を35°≦θ1≦75°、好ましくは45°≦θ1≦75°とした。なお、レーザ照射装置3〜6としては、例えば半導体レーザ等のレーザ光源と、レーザ光源から出射されたレーザ光を例えば120mm程度の長さを持つ線状のレーザ光に変換するシリンドリカルレンズとからなるものを用いることができる。
【0024】
撮像装置7,8はレーザ光Lが照射される積層物2の各側面を撮像するものであって、
図4に示されるように、積層物2の側面2a〜2dに対して下向きに傾斜した角度θ2(例えば、好ましくはレーザ照射装置3〜6の傾斜角度θ1より5°以上大きく且つ積層物2の側面2a〜2dに対して35°以上80°以下、より好ましくは50°以上80°以下の角度θ2)で積層物2の周囲に配置されている。
また、撮像装置7,8は、積層物2の周囲に配置される撮像装置の台数を低減するために、積層物2の4つの隅部(角部)のうち対角線上に位置する2つの隅部2eと向き合う位置に配置されている。
【0025】
ここで、撮像装置7,8の傾斜角度θ2をレーザ照射装置3〜6の傾斜角度θ1より5°以上大きく且つ積層物2の側面2a〜2dに対して35°以上80°以下(より好ましくは50°以上80°以下)の傾斜角度とするのは、次の理由からである。すなわち、撮像装置7,8の傾斜角度θ2がレーザ照射装置3〜6の傾斜角度θ1に対してθ2−θ1<5°になると、紙の飛び出しにより発生したレーザ光の照射軌跡の途切れを撮影できないおそれが生じる。また、撮像装置7,8の傾斜角度θ2がθ2>80°になると、飛び出した紙がある場合、飛び出した紙に沿ってレーザ光の照射軌跡が左右に流れる状態を画像としてうまく取り込めないおそれがある(特許文献1と同じように飛び出しが点として写る)。さらにまた、θ2<35°になると、うねりや飛び出しを検知できないおそれがある。このため、撮像装置7,8の傾斜角度θ2を、好ましくはθ2−θ1≧5°、35°≦θ2≦80°、より好ましくは50°≦θ2≦80°とした。なお、撮像装置7,8としては、例えば積層物2の角部2eを中心として200mm程度の視野長を有するラインCCDカメラを用いることができる。
昇降機構9,10は撮像装置7,8をレーザ照射装置3〜6と共に積層物2の高さ方向に昇降駆動するものであって、例えばスライダを上下方向に送り駆動するボールねじや、ボールねじを駆動するボールねじ駆動モータなどから構成されている。
【0026】
また、
図1に示される積層物検査装置は、
図5に示されるように、撮像装置7,8から出力された画像信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換するA/D変換器13と、A/D変換器13によりデジタル信号に変換された画像信号を積層物側面の画像データとして記憶する記憶装置14と、記憶装置14に記憶された画像データを処理して積層物2の側面2a〜2bにシート紙の飛び出しやうねりなどの異常が存在するか否かを検知する異常検知手段としての中央演算処理装置(以下、CPUという)15とを更に備え、このCPU15は
図6に示すフローチャートに従ってシート紙の飛び出しが積層物2の側面2a〜2dに存在するか否かを検知するように構成されている。なお、撮像装置7,8は、撮像装置内で画像信号をデジタル化して撮像出力としてデジタル信号で出力してもよい。
【0027】
このような積層物検査装置を用いて積層物2の側面2a〜2dに平判紙の積層状態の不良が存在するか否かを検知する場合は、まず、レーザ照射装置3,4,5,6から積層物2の各側面2a〜2dにレーザ光Lを積層物2の高さ方向に沿って線状に照射する。また、これと同時に、積層物2の各側面2a〜2dを撮像装置7,8により撮像する。このとき、撮像装置7,8から出力された画像信号はA/D変換器13によりデジタル信号に変換された後、積層物側面の画像データとして記憶装置14に格納される。
【0028】
A/D変換器13によりデジタル信号に変換された画像信号が積層物側面の画像データとして記憶装置14に格納されると、CPU15は記憶装置14に格納された画像データを
図6に示すステップS1で二値化処理し、例えば積層物2の側面2aに照射されたレーザ光Lの照射軌跡を表わす二値化画像を作成する。そして、積層物2の側面2aに照射されたレーザ光Lの照射軌跡が積層物2の底面に対して垂直で積層物2の高さ方向に直線状に連続する照射軌跡であるか否かを二値化処理された画像データを基にステップS2で判定する。
ここで、積層物2の側面2aに照射されたレーザ光Lの照射軌跡が積層物2の高さ方向に連続している場合、CPU15は積層物2の側面2aに平判紙の飛び出しや不揃いが存在しないと判断し、後述するステップS9へ進む。
【0029】
一方、積層物2の側面2aに照射されたレーザ光Lの照射軌跡が積層物2の高さ方向に連続していない場合、CPU15は積層物2の側面2aから飛び出ている平判紙の飛び出し量を撮像装置7または8で得られた画像からステップS3で算出する。そして、ステップS3で算出した平判紙の飛び出し量が基準値を超えているか否かをステップS4で判定する。なお、平判紙の飛び出し量を算出する方法としては、レーザ光Lの照射軌跡を表わす二値化画像の中で平判紙の飛び出しを表す部分の画素数を求めることで、平判紙の飛び出し量を算出することができる。
【0030】
ステップS4で算出した平判紙の飛び出し量が基準値を超えていない場合、CPU15は後述するステップS6へ進む。また、平判紙の飛び出し量が基準値を超えている場合、CPU15は次のステップS5に進み、積層物側面から飛び出ている平判紙の飛び出し量がNGであることを知らせるNG信号を図示しない表示装置等に出力する。
平判紙の飛び出し量が基準値を超えていることを知らせるメッセージが図示しない表示装置等にステップS5で出力されると、CPU15はステップS6に進み、積層物2の側面2aから飛び出ている平判紙の飛び出し数を撮像装置7または8で得られた画像からカウントする。そして、次のステップS7に進み、カウントされた平判紙の飛び出し数が基準値を超えているか否かを判定する。
【0031】
平判紙の飛び出し数が基準値を超えていない場合、CPU15は積層物2の側面2aに平判紙の不揃いが存在しないと判断し、後述するステップS9へ進む。また、平判紙の飛び出し数が基準値を超えている場合、CPU15は次のステップS8に進み、積層物2の側面に平判紙の不揃いが存在することを知らせるNG信号を図示しない表示装置等に出力する。
【0032】
積層物2の側面に平判紙の不揃いが存在することを知らせるNG信号がステップS8で表示装置等に出力されると、CPU15は次のステップS9に進み、積層物側面2aのうねり量を撮像装置7または8で得られた画像から算出する。そして、ステップS9で求めた積層物側面のうねり量が基準値を超えているか否かをステップS10で判定する。なお、うねり量の算出では、まず、積層物側面の最下端から最上端までのレーザ光の照射軌跡において、撮像装置7,8で捉えた画像上で最も左にあるレーザ光の照射軌跡と最も右側にあるレーザ光の照射軌跡の位置の差の画素数を求めることで、平判紙の積層時のうねり量を算出する。
【0033】
積層物側面のうねり量が基準値を超えていない場合、CPU15は後述するステップS12へ進む。また、積層物側面のうねり量が基準値を超えている場合、CPU15は次のステップS11へ進み、積層物側面のうねり量が基準値を超えていることを知らせるNG信号を図示しない表示装置等に出力する。
積層物側面のうねり量が基準値を超えていることを知らせるNG信号がステップS11で表示装置等に出力されると、CPU15は次のステップS12に進み、積層物2の各側面に対する飛び出し検査、不揃い検査およびうねり検査が終了したか否を判定する。ここで、積層物2の各側面に対する検査が終了していない場合、CPU15はステップS1に戻り、例えば積層物側面2bの画像データを2値化処理した後、ステップS2〜S13を積層物2の各側面に対する検査が終了するまで繰り返す。
【0034】
図6では、平判紙の飛び出し、不揃い、うねりの検査を全て実施するようにしている。通常、積層物2の各側面のいずれかに飛び出し、不揃い、うねりの積層異常があった場合、オペレータは積層状態の修正を行う。この修正作業においては、オペレータは問題のある箇所を全て認識してそれに応じた作業を行う必要があるためである。しかしながら、積層物2を後工程に流すか否を判断するのみであれば、どれか1つの異常が存在すると判定できた時点で図示しない表示装置等にNGを出力して検査を終了してもよい。
【0035】
上述のように、多数の平判紙からなる積層物2の側面2a〜2dに対して下向きに傾斜した角度で積層物2の周囲に配置された4つのレーザ照射装置3〜6から積層物2の各側面にレーザ光Lを積層物2の高さ方向に沿って線状に照射すると共に、積層物2の各側面を積層物2の側面2a〜2dに対して下向きに傾斜した角度で積層物2の周囲に配置された撮像装置7,8により撮像すると、平判紙の飛び出しや不揃いあるいはうねり等の積層状態の不良がある場合は積層物2の側面に照射されたレーザ光の照射軌跡が
図7(a)〜(c)に示すような画像となり、
図10に示すような画像となることがない。従って、積層物2の側面に照射されたレーザ光Lの照射軌跡が積層物2の底面に対して垂直で積層物2の高さ方向に直線状に連続する照射軌跡であるか否かを撮像装置7,8で得られた画像から判定することで、積層物2の側面から突出する平判紙が1枚の場合でも平判紙の飛び出しを確実に検知できるとともに、細かな紙の出入りにより見栄えの悪い不揃いや積層が途中でずれているようなうねりを確実に検知することができる。
【0036】
また、積層物2の側面に照射されたレーザ光Lの照射軌跡が積層物2の高さ方向に連続しない照射軌跡であるときに平判紙の飛び出し量を撮像装置7,8で得られた画像から算出し、算出した飛び出し量を基準と比較することで、平判紙の飛び出し量が基準値を超えているか否かを正確に検査することができる。
さらに、平判紙の飛び出し数やうねり量を撮像装置7,8で得られた画像から算出し、算出した飛び出し数やうねり量を基準値と比較することで、平判紙の不揃いやうねりの定量的な評価を正確に行うことができる。
【0037】
なお、上述した本発明の一実施形態では、積層物2の各側面を撮像する撮像装置として2つの撮像装置7,8を用いた場合を例示したが、撮像装置の数が3つであってもよいし、4つであってもよい。
さらに、レーザ照射装置3〜6と撮像装置7,8を昇降駆動する昇降機構として2つの昇降機構9,10を用いた場合を例示したが、昇降機構の数が3つであってもよいし、4つであってもよい。
【0038】
また、上述した本発明の一実施形態では、撮像装置で得られた画像を2値化処理した後、積層物の側面に照射されたレーザ光の照射軌跡が積層物の高さ方向に連続する照射軌跡であるか否かを撮像装置で得られた画像から判定するようにしたが、撮像装置で得られた画像を必ずしも2値化処理する必要はない。
さらに、上述した本発明の一実施形態では、積層物の側面に対するレーザ照射装置の傾斜角度を30°以上75°以下に設定するとともに、積層物の側面に対する撮像装置の傾斜角度を35°以上80°以下に設定した場合を例示したが、これに限られるものではなく、レーザ照射装置と撮像装置の傾斜角度は積層物の大きさや高さ、あるいは周囲の明るさ環境などに応じて適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…平判紙
2…積層物
2a,2b,2c,2d…積層物の側面
2e…積層物の隅部(角部)
3,4,5,6…レーザ照射装置
7,8…撮像装置
9,10…昇降機構
11…ベルトコンベア
13…A/D変換器
14…記憶装置
15…中央演算処理装置