特許第5996976号(P5996976)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5996976
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】無線伝送システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/442 20110101AFI20160908BHJP
   H04N 21/4363 20110101ALI20160908BHJP
   H04N 5/00 20110101ALI20160908BHJP
【FI】
   H04N21/442
   H04N21/4363
   H04N5/00 A
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-196096(P2012-196096)
(22)【出願日】2012年9月6日
(65)【公開番号】特開2014-53721(P2014-53721A)
(43)【公開日】2014年3月20日
【審査請求日】2015年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000109668
【氏名又は名称】DXアンテナ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100085501
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 静夫
(74)【代理人】
【識別番号】100124132
【弁理士】
【氏名又は名称】渋谷 和俊
(72)【発明者】
【氏名】関 和彦
(72)【発明者】
【氏名】松井 宏康
【審査官】 山▲崎▼ 雄介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−274440(JP,A)
【文献】 特開2003−289306(JP,A)
【文献】 特開2005−109534(JP,A)
【文献】 特開2011−101320(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00−21/858
H04N 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信装置及び受信装置を備える無線伝送システムであって、
前記送信装置は、
テレビ放送受信用チューナー部と、
前記テレビ放送受信用チューナー部から出力される映像信号及び音声信号を変調した無線信号を送信する第1の無線通信部とを備え、
前記受信装置は、
受信した前記無線信号を復調して映像信号及び音声信号を取得し、取得した映像信号及び音声信号を出力する第2の無線通信部と、
前記第2の無線通信部から出力される映像信号に基づく映像を表示するモニター部とを備え、
前記送信装置は、
前記受信装置からのSSID信号を受信し、前記受信装置からのSSID信号と前記送信装置自身のSSID信号とが同一であることが確認できた場合に、前記送信装置と前記受信装置との無線接続の確立を待たずに、前記テレビ放送受信用チューナー部を電源オン状態にすることを特徴とする無線伝送システム。
【請求項2】
前記送信装置は、
前記受信装置からのSSID信号を受信し、前記受信装置からのSSID信号と前記送信装置自身のSSID信号とが同一であることが確認できたにもかかわらず、その後前記送信装置と前記受信装置との無線接続の確立に失敗したと判断した場合に、
前記テレビ放送受信用チューナー部の状態を、
電源オン状態から電源オフ状態又はスタンバイ状態に戻す請求項1に記載の無線伝送システム。
【請求項3】
前記送信装置が無線クライアントであり、前記受信装置が無線アクセスポイントである請求項1又は請求項2に記載の無線伝送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビ放送受信用チューナー部を有する送信装置と、モニター部を有する受信装置とを備える無線伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ放送受信用チューナー部を有する送信装置と、モニター部を有する受信装置とを備える無線伝送システムが従来から知られている。このような無線伝送システムによると、送信装置と受信装置との無線通信が可能な範囲内であれば、使用者は受信装置を好きな場所に持ち運ぶことができ、好きな場所でテレビ番組を視聴することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−171181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
受信装置の電源オン操作を行ってから映像表示が開始されるまでの時間が長いと、使用者が無線伝送システムに対して不満を抱くようになるため、受信装置の電源オン操作を行ってから映像表示が開始されるまでの時間は短い方が望ましい。
【0005】
なお、特許文献1で開示されている無線伝送システム(特許文献1では「無線通信装置内蔵テレビジョン受像機」と呼ばれている。)は、受信装置(特許文献1では「モニタ部」と呼ばれている。)の主電源がオフされたときに、連動して送信装置(特許文献1では「チューナ部」と呼ばれている。)全体の電源をオフすることで省電力化を図っており、送信装置全体の電源が一旦オフになると、その後受信装置の主電源をオンにしても受信装置と送信装置との無線通信ができない状態になり、使用者が送信装置の設置場所にわざわざ赴いて送信装置の電源をオンにしなければ、再びテレビ番組を視聴することができない。
【0006】
したがって、特許文献1で開示されている無線伝送システムは、送信装置の無線送信可能領域内で受信装置が電源オン状態になったときに、受信装置の電源オン操作を行ってから映像表示が開始されるまでの時間を短縮することができない。
【0007】
本発明は、上記の状況に鑑み、送信装置の無線送信可能領域内で受信装置が電源オン状態になったときに、受信装置の電源オン操作を行ってから映像表示が開始されるまでの時間を短縮することができる無線伝送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明に係る無線伝送システムは、送信装置及び受信装置を備える無線伝送システムであって、前記送信装置は、テレビ放送受信用チューナー部と、前記テレビ放送受信用チューナー部から出力される映像信号及び音声信号を変調した無線信号を送信する第1の無線通信部とを備え、前記受信装置は、受信した前記無線信号を復調して映像信号及び音声信号を取得し、取得した映像信号及び音声信号を出力する第2の無線通信部と、前記第2の無線通信部から出力される映像信号に基づく映像を表示するモニター部とを備え、前記送信装置は、前記受信装置からのSSID(Service Set Identifier)信号を受信し、前記受信装置からのSSID信号と前記送信装置自身のSSID信号とが同一であることが確認できた場合に、前記送信装置と前記受信装置との無線接続の確立を待たずに、前記テレビ放送受信用チューナー部を電源オン状態にする構成(第1の構成)とする。
【0009】
このような構成によると、前記送信装置と前記受信装置との無線接続が確立してから、前記テレビ放送受信用チューナー部を電源オン状態にする構成に比べて、前記送信装置の無線送信可能領域内で前記受信装置が電源オン状態になったときに、前記受信装置の電源オン操作を行ってから映像表示が開始されるまでの時間を短縮することができる。
【0010】
また、上記第1の構成の無線伝送システムにおいて、前記送信装置は、前記受信装置からのSSID信号を受信し、前記受信装置からのSSID信号と前記送信装置自身のSSID信号とが同一であることが確認できたにもかかわらず、その後前記送信装置と前記受信装置との無線接続の確立に失敗したと判断した場合に、前記テレビ放送受信用チューナー部の状態を、前記受信装置からのSSID信号を受信し、前記受信装置からのSSID信号と前記送信装置自身のSSID信号とが同一であることが確認できた時点の直前の状態に戻す構成(第2の構成)とすることが好ましい。
【0011】
このような構成によると、前記テレビ放送受信用チューナー部が不必要に電源オン状態になったままでいることを防止することができるので、前記テレビ放送受信用チューナー部の無駄な電力消費を抑えることができる。
【0012】
また、上記第1又は第2の構成の無線伝送システムにおいて、前記送信装置が無線クライアントであり、前記受信装置が無線アクセスポイントである構成(第3の構成)とすることが好ましい。
【0013】
このような構成によると、前記受信装置の電源オン操作を行ってから映像表示が開始されるまでの時間をより一層短縮することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、送信装置の無線送信可能領域内で受信装置が電源オン状態になったときに、受信装置の電源オン操作を行ってから映像表示が開始されるまでの時間を短縮することができる無線伝送システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る無線伝送システムの一構成例を示す図である。
図2】第1実施形態に係る無線接続を確立するための手順を示す図である。
図3】送信装置がSSID信号を受信したときに行う動作を示すフローチャートである。
図4】第2実施形態に係る無線接続を確立するための手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。図1は、本発明に係る無線伝送システムの一構成例を示す図である。なお、図が煩雑になることを避けるため、図1では電源回路27から各部に電力を供給するための電源ラインの図示を省略している。図1に示す無線信号伝送システムは、送信装置10と、受信装置20とを備えている。
【0017】
まず、送信装置10について説明する。送信装置10は、分配器11と、テレビ放送受信用チューナー部12と、無線通信部13と、制御部14と、電源回路15とを備えている。
【0018】
分配器11は、地上デジタルテレビ放送信号や衛星デジタルテレビ放送信号等のテレビ放送信号を二分配し、一方を外部に出力し、他方をテレビ放送受信用チューナー部12に出力する。
【0019】
テレビ放送受信用チューナー部12は、分配器11から出力されたテレビ放送信号に対して選局処理を施して、受信チャンネルの映像信号及び音声信号を取得し、取得した映像信号及び音声信号を無線通信部13に出力する。テレビ放送受信用チューナー部12から出力される映像信号及び音声信号はどのような形式の信号であってもよく、例えばアナログ信号、デジタル信号のどちらでもよく、圧縮信号、非圧縮信号のどちらでもよい。したがって、必要に応じて、選局処理後に所定の信号処理を実行する信号処理回路をテレビ放送受信用チューナー部12内に設けるようにすればよい。
【0020】
テレビ放送受信用チューナー部12は、電源回路12Aを内蔵している。電源回路12Aは、電源回路15から供給されるDC電圧を用いてテレビ放送受信用チューナー部12を動作させるために必要な電源電圧を生成する。
【0021】
テレビ放送受信用チューナー部12は、映像信号及び音声信号の出力が可能な電源オン状態と、映像信号及び音声信号の出力が不可能である電源オフ状態と、消費電力が電源オン状態よりも少なくて電源オフ状態よりも多く、映像信号及び音声信号の出力が不可能であって、電源オン状態へ切り替わる際の移行時間が電源オフ状態よりも短いスタンバイ状態との3つの状態をとることができる。なお、本構成例とは異なり、電源オン状態と電源オフ状態の2つの状態しかとることができないテレビ放送受信用チューナー部を用いても構わない。
【0022】
無線通信部13は、テレビ放送受信用チューナー部12から出力される映像信号及び音声信号を変調した無線信号を送信する。変調方式及び無線信号の周波数帯は特に限定されないが、例えばIEEE802.11a、IEEE802.11g、IEEE802.11b等に準拠した変調方式及び無線信号の周波数帯を用いることができる。無線通信部13は、電源回路13Aを内蔵している。電源回路13Aは、電源回路15から供給されるDC電圧を用いて無線通信部13を動作させるために必要な電源電圧を生成する。
【0023】
制御部14は、テレビ放送受信用チューナー部12の動作及び無線通信部13の動作を制御する。制御部14は、電源回路15から供給されるDC電圧を制御部14自身の電源電圧として利用する。
【0024】
電源回路15は、外部から供給される商用AC電圧を所定値のDC電圧に変換して、電源回路12A、電源回路13A、及び制御部14に供給する。
【0025】
次に、受信装置20について説明する。受信装置20は、無線通信部21と、液晶モニター部22と、音声出力部23と、制御部24と、リモコン受信部25と、バッテリー26と、電源回路27とを備えている。
【0026】
無線通信部21は、受信した無線信号を復調して映像信号及び音声信号を取得し、取得した映像信号及び音声信号を出力する。無線通信部21は、電源回路21Aを内蔵している。電源回路21Aは、電源回路27から供給されるDC電圧を用いて無線通信部21を動作させるために必要な電源電圧を生成する。なお、必要に応じて、無線通信部21から出力される映像信号に対して所定の信号処理を施す信号処理回路を無線通信部21と液晶モニター部22との間に設け、無線通信部21から出力される音声信号に対して所定の信号処理を施す信号処理回路を無線通信部21と音声出力部23との間に設けるようにすればよい。
【0027】
液晶モニター部22は、無線通信部21から出力される映像信号に基づく映像を表示する。液晶モニター部22は、電源回路22Aを内蔵している。電源回路22Aは、電源回路27から供給されるDC電圧を用いて液晶モニター部22を動作させるために必要な電源電圧を生成する。
【0028】
音声出力部23は、例えばアンプとスピーカとによって構成され、電源回路27から供給されるDC電圧を音声出力部23自身の電源電圧として利用し、無線通信部21から出力される音声信号に基づく音声を出力する。
【0029】
制御部24は、リモコン受信部25から出力されるリモコンコード信号等に基づいて、無線通信部21の動作、液晶モニター部22の動作、及び音声出力部23の動作を制御する。制御部24は、電源回路27から供給されるDC電圧を制御部24自身の電源電圧として利用する。
【0030】
リモコン受信部25は不図示のリモートコントローラから送信される赤外線リモコン信号を受信し、受信した赤外線リモコン信号に対応するリモコンコード信号を制御部24に出力する。
【0031】
電源回路27は、バッテリー26から出力されるDC電圧を所定値のDC電圧に変換して受信装置20の各部に供給する。
【0032】
受信装置20は、全ての動作が可能な電源オン状態と、全ての動作が不可能な電源オフ状態と、消費電力が電源オン状態よりも少なくて電源オフ状態よりも多く、赤外線リモコン信号の受付のみが可能であるスタンバイ状態との3つの状態をとることができる。例えば、受信装置20の電源オン状態とスタンバイ状態との切り替えは、不図示のリモートコントローラに電源キーを設け電源キーの操作によって行えるようにし、受信装置20の電源オン状態と電源オフ状態との切り替えは、受信装置20に主電源スイッチを設け、主電源スイッチの操作によって行えるようにすればよい。なお、本構成例とは異なり、電源オン状態と電源オフ状態の2つの状態しかとることができない受信装置、あるいは、電源オン状態とスタンバイ状態の2つの状態しかとることができない受信装置を用いても構わない。
【0033】
<第1実施形態>
図2は、第1実施形態に係る無線接続を確立するための手順を示す図である。本実施形態では、送信装置10が無線クライアントであり、受信装置20が無線アクセスポイントである。
【0034】
受信装置20は、受信装置20自身のSSID信号を無線通信部21から送信する。
【0035】
送信装置10は、受信装置20からのSSID信号を無線通信部13で受信し、受信装置20からのSSID信号と送信装置10自身のSSID信号とが同一であれば、送信装置10自身のSSID信号を無線通信部13から送信する((A)時点)。
【0036】
受信装置20は、送信装置10からのSSID信号を無線通信部21で受信し、送信装置10からのSSID信号と受信装置20自身のSSID信号とが同一であれば、認証確認データ要求信号を無線通信部21から送信する((B)時点)。
【0037】
送信装置10は、受信装置20からの認証確認データ要求信号を無線通信部13で受信し、認証確認データ要求信号に応じて、認証確認データを無線通信部13から送信する((C)時点)。
【0038】
受信装置20は、送信装置10からの認証確認データを無線通信部21で受信し、認証確認データを用いて送信装置10の認証を行い、認証確認結果(「認証成功」、「認証失敗」のいずれか)を無線通信部21から送信する((D)時点)。
【0039】
送信装置10は、受信装置20からの認証確認結果を無線通信部13で受信し、認証確認結果が「認証成功」であれば、回線接続要求信号を無線通信部13から送信する((E)時点)。
【0040】
受信装置20は、送信装置10からの回線接続要求信号を無線通信部21で受信し、回線接続要求信号に応じて、回線接続許可信号を無線通信部21から送信する((F)時点)。
【0041】
送信装置10は、受信装置20からの回線接続許可信号を無線通信部13で受信する((G)時点)。(G)時点において、送信装置10と受信装置20の無線接続が確立する。
【0042】
本実施形態では、(A)時点において、送信装置10が図3のフローチャートに示す動作を行う。
【0043】
送信装置10の制御部14は、受信装置20からのSSID信号を検知し(ステップS1)、受信装置20からのSSID信号と送信装置10自身のSSID信号とが同一であるか否かを判定する(ステップS2)。
【0044】
受信装置20からのSSID信号と送信装置10自身のSSID信号とが同一である場合(ステップS2のYES)、制御部14は、テレビ放送受信用チューナー部12を電源オン状態に変更し(ステップS3)、フローの動作を終了する。
【0045】
受信装置20からのSSID信号と送信装置10自身のSSID信号とが同一でない場合(ステップS2のNO)、制御部14は、テレビ放送受信用チューナー部12を電源オン状態でない状態(電源オフ状態またはスタンバイ状態)を維持し(ステップS4)、フローの動作を終了する。
【0046】
テレビ放送受信用チューナー部12を電源オン状態に変更する場合、その変更が完了するにはその変更が開始されてから十数秒程度の時間がかかる。また、(A)時点から(G)時点までは二十数秒程度の時間がかかる。したがって、本実施形態のように(A)時点からテレビ放送受信用チューナー部12を電源オン状態に変更すれば、(G)時点までにその変更が完了するため、(G)時点からテレビ放送受信用チューナー部12を電源オン状態に変更する構成に比べて、送信装置10の無線送信可能領域内で受信装置20が電源オン状態になったときに、受信装置20の電源オン操作を行ってから液晶モニター部22での映像表示が開始されるまでの時間を短縮することができる。
【0047】
なお、通信状況の悪化などにより、図2に示す一連の手順が順調に進まない場合がある。このような場合、通常リトライ処理等が行われるが、(A)時点には到達したにもかかわらず、最終的に(G)時点にまでは到達せずに無線接続の確立に失敗することがある。
【0048】
そこで、本実施形態では、送信装置10は、(A)時点において図3のステップS3の処理を開始してから後に、送信装置10と受信装置20との無線接続の確立に失敗したと判断した場合に、テレビ放送受信用チューナー部12の状態を、(A)時点の直前の状態、すなわち電源オン状態でない状態(電源オフ状態又はスタンバイ状態)に戻すようにする。なお、(A)時点において図3のステップS3の処理を開始してから後に、送信装置10と受信装置20との無線接続の確立に失敗したと判断する判断基準としては、例えば、(A)時点からの経過時間が予め設定した上限時間に達しても送信装置10と受信装置20との無線接続が確立できなかった場合に、無線接続の確立に失敗したと判断する判断基準、リトライ回数が予め設定した上限回数に達したときに、それ以後の接続確立手順を中止し、無線接続の確立に失敗したと判断する判断基準などを挙げることができる。
【0049】
これにより、送信装置10と受信装置20との無線接続が確立していない状態で、テレビ放送受信用チューナー部12が不必要に電源オン状態になったままでいることを防止することができるので、テレビ放送受信用チューナー部12の無駄な電力消費を抑えることができる。
【0050】
また、本実施形態では、送信装置10の制御部14は、送信装置10と受信装置20との無線接続が切断されたと判断した場合に、テレビ放送受信用チューナー部12を電源オン状態でない状態(電源オフ状態又はスタンバイ状態)にしてテレビ放送受信用チューナー部12の無駄な電力消費を抑えている。
【0051】
<第2実施形態>
図4は、第2実施形態に係る無線接続を確立するための手順を示す図である。本実施形態では、送信装置10が無線アクセスポイントであり、受信装置20が無線クライアントである。
【0052】
送信装置10は、送信装置10自身のSSID信号を無線通信部13から送信する。
【0053】
受信装置20は、送信装置10からのSSID信号を無線通信部21で受信し、送信装置10からのSSID信号と受信装置20自身のSSID信号とが同一であれば、受信装置20自身のSSID信号を無線通信部21から送信する((a)時点)。
【0054】
送信装置10は、受信装置20からのSSID信号を無線通信部13で受信し、受信装置20からのSSID信号と送信装置10自身のSSID信号とが同一であれば、認証確認データ要求信号を無線通信部13から送信する((b)時点)。
【0055】
受信装置20は、送信装置10からの認証確認データ要求信号を無線通信部21で受信し、認証確認データ要求信号に応じて、認証確認データを無線通信部21から送信する((c)時点)。
【0056】
送信装置10は、受信装置20からの認証確認データを無線通信部13で受信し、認証確認データを用いて受信装置20の認証を行い、認証確認結果(「認証成功」、「認証失敗」のいずれか)を無線通信部13から送信する((d)時点)。
【0057】
受信装置20は、送信装置10からの認証確認結果を無線通信部21で受信し、認証確認結果が「認証成功」であれば、回線接続要求信号を無線通信部21から送信する((e)時点)。
【0058】
送信装置10は、受信装置20からの回線接続要求信号を無線通信部13で受信し、回線接続要求信号に応じて、回線接続許可信号を無線通信部13から送信する((f)時点)。
【0059】
受信装置20は、送信装置10からの回線接続許可信号を無線通信部21で受信する((g)時点)。(g)時点において、送信装置10と受信装置20の無線接続が確立する。
【0060】
本実施形態では、(b)時点において、送信装置10が図3のフローチャートに示す動作を行う。図3のフローチャートに示す動作自体は第1実施形態と同一であるため、説明を省略する。
【0061】
テレビ放送受信用チューナー部12を電源オン状態に変更する場合、その変更が完了するにはその変更が開始されてから十数秒程度の時間がかかる。また、(a)時点から(g)時点までは二十数秒程度の時間がかかる。したがって、本実施形態のように(b)時点からテレビ放送受信用チューナー部12を電源オン状態に変更すれば、(g)時点までにその変更が完了するため、(g)時点からテレビ放送受信用チューナー部12を電源オン状態に変更する構成に比べて、送信装置10の無線送信可能領域内で受信装置20が電源オン状態になったときに、受信装置20の電源オン操作を行ってから液晶モニター部22での映像表示が開始されるまでの時間を短縮することができる。
【0062】
なお、通信状況の悪化などにより、図4に示す一連の手順が順調に進まない場合がある。このような場合、通常リトライ処理等が行われるが、(b)時点には到達したにもかかわらず、最終的に(g)時点にまでは到達せずに無線接続の確立に失敗することがある。
【0063】
そこで、本実施形態では、送信装置10は、(b)時点において図3のステップS3の処理を開始してから後に、送信装置10と受信装置20との無線接続の確立に失敗したと判断した場合に、テレビ放送受信用チューナー部12の状態を、(b)時点の直前の状態、すなわち電源オン状態でない状態(電源オフ状態又はスタンバイ状態)に戻すようにする。なお、(b)時点において図3のステップS3の処理を開始してから後に、送信装置10と受信装置20との無線接続の確立に失敗したと判断する判断基準としては、例えば、(b)時点からの経過時間が予め設定した上限時間に達しても送信装置10と受信装置20との無線接続が確立できなかった場合に、無線接続の確立に失敗したと判断する判断基準、リトライ回数が予め設定した上限回数に達したときに、それ以後の接続確立手順を中止し、無線接続の確立に失敗したと判断する判断基準などを挙げることができる。
【0064】
これにより、送信装置10と受信装置20との無線接続が確立していない状態で、テレビ放送受信用チューナー部12が不必要に電源オン状態になったままでいることを防止することができるので、テレビ放送受信用チューナー部12の無駄な電力消費を抑えることができる。
【0065】
また、本実施形態では、送信装置10の制御部14は、送信装置10と受信装置20との無線接続が切断されたと判断した場合に、テレビ放送受信用チューナー部12を電源オン状態でない状態(電源オフ状態又はスタンバイ状態)にしてテレビ放送受信用チューナー部12の無駄な電力消費を抑えている。
【符号の説明】
【0066】
10 送信装置
11 分配器
12 テレビ放送受信用チューナー部
12A、13A、15 21A、22A、27 電源回路
13、21 無線通信部
14、24 制御部
20 受信装置
22 液晶モニター部
23 音声出力部
25 リモコン受信部
26 バッテリー
図1
図2
図3
図4