(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記測定対象面は、前記装着対象物の被装着面、吸着のために前記半導体チップが保持される取出部の保持面、および、前記半導体チップに転写材を転写するための転写ユニットの転写面の少なくともいずれかを含む、請求項6に記載の電子部品装着装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1では、電子部品を吸着させた状態の吸着ノズルを装着力測定素子に対して押圧して装着力を測定するため、装着力測定時に過大な押圧力が加わった場合には電子部品が破損するおそれがある。すなわち、上記特許文献1では、実際に基板に装着される正常に使用可能な電子部品を用いて高さ位置を設定(測定)しているため、この高さ位置設定のために正常に使用可能な電子部品が破損して無駄になる可能性があるという問題点がある。
【0008】
また、上記特許文献2では、高さ位置測定に吸着ノズル先端の接触を伴うことから、測定時にノズル先端への異物の付着やノズル先端の損耗が発生しやすい。このため、特に半導体チップの装着において要求される水準の高精度な高さ位置測定は困難である。さらに、半導体チップの装着の際には、フリップチップのバンプ形成面に転写材(フラックスや半田ペーストなど)を転写する動作が行われるため、転写材が配置された転写面の高さ位置測定も必要となる場合がある。この場合、上記特許文献2の技術ではノズル先端に転写材が付着してしまうため、測定後にはノズル先端の洗浄や、ノズル交換などの整備作業が必須となり、実際上困難である。したがって、上記特許文献2では、要求精度に応じた高さ位置測定が困難であるという問題点がある。
【0009】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、正常に使用可能な電子部品を無駄にすることなく、要求精度に応じた高さ位置測定を行うことが可能な電子部品装着装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の一の局面による電子部品装着装置は、電子部品を吸着して電子部品を装着対象物に装着するための吸着ノズルと、吸着ノズルの上下方向の高さ位置
に関する情報を検出する検出部と、装着対象の電子部品と同じ電子部品で不良と判断された不良電子部品を
吸着ノズルの先端と測定対象面との間に介在させた状態で検出部により検出された情報に基づいて、測定対象面の高さ
位置および平坦
度の少なくとも一方を
取得する制御部とを備え
、制御部は、測定対象面の高さ位置および平坦度の少なくとも一方を取得した後、不良電子部品を装着対象物に装着することなく廃棄するように構成されている。なお、本発明において、「電子部品」とは、樹脂封止されたいわゆるパッケージ部品に限らず、樹脂封止されていない、いわゆるベアチップやフリップチップと呼ばれる半導体チップを含む。また、「装着対象物」とは、回路基板製造に用いられるプリント基板や、パッケージ部品製造に用いられるリードフレームやインターポーザなどの基材を含む。また、「測定対象面」とは、たとえば装着対象物において電子部品が装着される被装着面や、半導体チップを吸着ノズルにより吸着する際に、半導体チップを保持する保持部材の保持面(チップとの接触面)、あるいは、フリップチップのバンプ形成面に転写される転写材(フラックスや半田ペーストなど)が配置された転写面を含む。
【0011】
この一の局面による電子部品装着装置では、上記のように、装着対象の電子部品と同じ電子部品で不良と判断された不良電子部品を用いて、吸着ノズルによる測定対象面の高さ
位置および平坦
度の少なくとも一方を
取得する制御部を設けることによって、装着対象の電子部品と同一の電子部品でありながら、使用(装着)されない不良電子部品を用いて高さ測定(平坦度測定)を行うことができるので、高さ測定に使用した不良電子部品をそのまま廃棄することができる。これにより、正常に使用可能な電子部品を無駄にすることなく高さ位置測定を行うことができる。また、複数の測定位置で不良電子部品を用いた高さ測定を行えば、得られる複数の測定結果から測定対象面の平坦度も測定することができる。
【0012】
また、半導体チップの装着装置に本発明を適用する場合には、不良電子部品として、不良と判断された半導体チップ(不良チップ)を測定に用いることになる。本発明によれば、不良チップを用いて吸着ノズルを測定対象面に直接接触させることなく高さ位置測定を行うことができるので、吸着ノズルの破損や、吸着ノズルへの異物の付着を防止することができる。さらに、転写材が配置された転写面の高さ位置測定を行う場合にも、吸着ノズルに転写材を付着させずに測定を行うことができ、転写材が付着した不良チップはそのまま廃棄することができる。また、測定に用いる不良チップは、半導体製造プロセスにおいて、装着工程よりも上流の検査工程で電気回路の不良によって不良品と判断されるケースがほとんどである。このため、不良チップは、ダイシングされた状態での寸法精度については他の良品チップとなんら差異はなく、半導体製造プロセスの各工程における要求精度を反映して、不良品であっても非常に高い寸法精度を有する。このため、高い寸法精度を有する不良チップを用いることによって、半導体チップ装着に要求される高精度な高さ位置測定が可能となる。以上から、本発明によれば、正常に使用可能な電子部品を無駄にすることなく、要求精度に応じた高さ位置測定(平坦度測定)を行うことができる。
【0013】
上記一の局面による電子部品装着装置において、好ましくは
、制御部は、不良電子部品を吸着ノズルの先端と測定対象面との間に介在させた状態における吸着ノズルの先端の高さ位置と、不良電子部品の厚みとに基づき、測定対象面の高さ
位置および平坦
度の少なくとも一方を
取得するように構成されている。このように構成すれば、吸着ノズルを測定対象面に直接接触させることなく測定対象面の高さ位置測定を行う構成においても、吸着ノズルの先端の高さ位置と、不良電子部品の厚みとから、高さ位置(平坦度)を容易に測定することができる。
【0014】
上記一の局面による電子部品装着装置において、好ましくは
、制御部は、吸着ノズルに不良電子部品を吸着させた状態で、測定対象面の高さ
位置および平坦
度の少なくとも一方を
取得するように構成されている。このように構成すれば、実際に電子部品を装着する動作と同様の状態で測定対象面の高さ測定や平坦度測定を行うことができる。このため、不良電子部品を用いて、実際の装着動作と全く同じ測定条件で測定を行うことができる。すなわち、不良電子部品を用いて、実際の装着動作において発生する機械的な誤差等を含んだ状態で測定することができるので、正常に使用可能な電子部品を無駄にすることなく、測定結果の信頼性の向上を図ることができる。
【0015】
上記吸着ノズルの先端の高さ位置と不良電子部品の厚みとに基づき測定を行う構成において、好ましくは、吸着ノズルを上下方向に移動させるモータをさらに備え、検出部は、モータに設けられたエンコーダであり
、制御部は、不良電子部品を吸着ノズルの先端と測定対象面との間に介在させた状態におけるエンコーダの出力に基づき、吸着ノズルの先端の高さ位置を取得するように構成されている。このように構成すれば、たとえば高さ測定のために専用のレーザ変位計や高さ測定用のラインセンサを別途設ける必要が無く、吸着ノズルの昇降動作制御のための構成(モータおよびエンコーダ)のみにより、外部機器を別途設けることなく高さ測定および平坦度測定が可能となる。
【0016】
上記一の局面による電子部品装着装置において、好ましくは、不良電子部品を用いた測定対象面の高さ
位置および平坦
度の少なくとも一方の
取得結果に基づき、吸着ノズルの昇降動作時の高さ位置設定が補正されるように構成されている。このように構成すれば、実際に装着される電子部品と同じ部品である不良電子部品を用いた高さ測定結果に基づいて高さ位置設定を補正(校正)することができるので、実際の装着動作を反映した高さ位置補正により、吸着ノズルによる各種動作(吸着、半導体チップの転写、装着対象物への装着など)の精度および信頼性を向上させることができる。また、補正(校正)時に治具の付け替え等が不要となるので、部品装着作業の最中にも容易に測定および補正を行うことができる。
【0017】
上記一の局面による電子部品装着装置において、好ましくは、電子部品は、半導体チップであり、不良電子部品は、不良と判断された半導体チップである。上記の通り、不良チップ(不良と判断された半導体チップ)は、半導体製造プロセスの各工程における要求精度を反映して、良品チップと変わらない高い寸法精度を有する。このため、不良チップを用いることによって、実際に装着される半導体チップと全く同一の条件で、かつ、別途治具を設ける場合と同等か、それ以上の高精度な高さ位置測定(平坦度測定)が可能となる。また、半導体チップの供給には、たとえばダイシングされたウエハの状態で半導体チップが電子部品装着装置に供給される形態がある。この場合、1つのウエハには、通常、不良チップが複数個は必ず存在するので、実際上、測定のための不良チップが不足する事態が生じない。
この場合、好ましくは、測定対象面は、装着対象物の被装着面、吸着のために半導体チップが保持される取出部の保持面、および、半導体チップに転写材を転写するための転写ユニットの転写面の少なくともいずれかを含む。
上記電子部品が半導体チップである構成において、好ましくは、半導体チップは、回路形成されたウエハが半導体チップ毎に分割された分割済みウエハにより供給され
、制御部は、分割済みウエハの管理情報に基づき、不良と判断された半導体チップの分割済みウエハ中における位置および個数を取得するように構成されている。
上記一の局面による電子部品装着装置において、好ましくは
、制御部は、吸着ノズルにより吸着した装着対象の電子部品が不良電子部品であるか否かを判別するとともに、判別した不良電子部品を用いて吸着ノズルによる測定対象面の高さ
位置および平坦
度の少なくとも一方を
取得するように構成されている。
上記一の局面による電子部品装着装置において、好ましくは、不良電子部品を回収して保管するための回収容器をさらに備え
、制御部は、回収容器に収容された不良電子部品を用いて吸着ノズルによる測定対象面の高さ
位置および平坦
度の少なくとも一方を
取得するように構成されている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、上記のように、正常に使用可能な電子部品を無駄にすることなく、要求精度に応じた高さ位置測定を行うことが可能な電子部品装着装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
(第1実施形態)
まず、
図1〜
図4を参照して、本発明の第1実施形態による電子部品装着装置100の構造について説明する。
【0022】
電子部品装着装置100は、ダイシングされたウエハWからベアチップ(半導体チップ)Cを取り出して装着対象物Mの被装着面M1上に装着(実装)するとともに、テープフィーダ31により供給される電子部品(いわゆるパッケージ部品)などを装着対象物Mの被装着面M1上に装着することが可能ないわゆる複合型の電子部品装着装置である。装着対象物Mは、たとえばベアチップCを搭載したパッケージ部品を製造するためのリードフレームやインターポーザなど、または、ベアチップCおよびパッケージ部品などを直接装着するためのプリント基板などである。なお、ベアチップCは、本発明の「電子部品」および「半導体チップ」の一例である。
【0023】
この電子部品装着装置100は、
図1に示すように、基台1と、コンベア2と、2つのチップ部品供給部3と、2つのヘッドユニット4と、ウエハ保持テーブル5と、突上げ部6(
図2参照)と、取出部7と、転写ユニット8と、固定カメラ9と、ウエハ収納部10と、制御部11とを含んでいる。なお、制御部11は、本発明の「測定制御部」の一例である。
【0024】
コンベア2は、所定の実装作業位置に装着対象物Mを搬入および搬出するように構成されている。また、コンベア2は、X方向に延びる一対のコンベアレールと、装着対象物Mを所定位置で位置決めする図示しない位置決め機構とを含んでいる。これにより、コンベア2は、装着対象物Mをほぼ水平姿勢でX方向に搬送し、所定の実装作業位置に装着対象物Mを位置決め固定する。
【0025】
2つのチップ部品供給部3は、それぞれ、電子部品装着装置100の手前側(Y1方向側)の両端に設けられている。チップ部品供給部3には、テープフィーダ31がX方向に沿って並んで配置されている。各テープフィーダ31は、キャリアテープを間欠的に送り出し、所定の部品供給位置にキャリアテープ内の電子部品を供給する。なお、ベアチップCは、ウエハWにより供給するほか、キャリアテープに個別収納された状態で、テープフィーダ31により供給することが可能である。
【0026】
図2に示すように、ヘッドユニット4は、XY移動機構4aにより、コンベア2およびウエハ保持テーブル5の上方を水平方向(XY方向)に移動可能に支持されている。ヘッドユニット4は、X方向に沿って配置された複数(2つ)の吸着ノズル41と、1つの基板認識カメラ42とを有している。
【0027】
また、ヘッドユニット4は、取出部7によりウエハWから取り出されるベアチップCを吸着ノズル41により吸着して装着対象物M上に実装するように構成されている。また、ヘッドユニット4は、テープフィーダ31によって供給される電子部品を吸着ノズル41により吸着して装着対象物M上に実装可能に構成されている。吸着ノズル41は、負圧発生機(図示せず)により先端部に発生させた負圧によって、電子部品やベアチップCを上方から吸着して保持することが可能である。ヘッドユニット4には、吸着ノズル41をZ軸方向(上下方向)に移動させるためのサーボモータ43が設けられている。サーボモータ43は、エンコーダ43aを有し、エンコーダ43aの出力に基づいて吸着ノズル41の高さ位置(Z軸方向位置座標)を検出可能なように構成されている。なお、サーボモータ43およびエンコーダ43aは、それぞれ、本発明の「モータ」および「検出部」の一例である。
【0028】
基板認識カメラ42は、たとえばCCDやCMOSなどの撮像素子を備えるカメラである。また、ヘッドユニット4は、装着対象物Mへの部品の実装に先立って基板認識カメラ42により装着対象物Mに付されたフィデューシャルマーク(図示せず)を認識する。これにより、装着対象物Mの位置ずれが認識され、実装時に位置ずれ補正がされる。
【0029】
図1に示すように、基台1上であってヘッドユニット4の可動領域内には、部品認識用の固定カメラ9が設置されている。固定カメラ9は、ヘッドユニット4の吸着ノズル41により吸着されている電子部品(ベアチップCを含む)を下側(Z1方向側)から撮像するように構成されている。制御部11は、この固定カメラ9による電子部品の下面画像に基づき、電子部品の吸着位置ずれや、電子部品(ベアチップC)のバンプまたはリードの欠損などを認識することが可能である。
【0030】
また、ウエハ収納部10は、ダイシングされた複数枚のウエハWを収容可能に構成されている。ウエハWのベアチップCは、たとえば電極上にバンプが形成されたフリップチップである。この場合、ベアチップCは、バンプ形成面(装着面)が上方を向くようにフィルム状のウエハシート上に貼り付けられて保持されている。
【0031】
ウエハ保持テーブル5は、図示しない出し入れ機構によりウエハ収納部10から引き出されたウエハWを所定位置で支持するように構成されている。また、ウエハ保持テーブル5は、Y方向に移動可能に構成されている。
【0032】
図2に示すように、突上げ部6は、ウエハ保持テーブル5上のウエハWのうち、取り出し対象となるベアチップCをその下側から突上げることにより、そのベアチップCをウエハシートから剥離させながら持ち上げるように構成されている。突上げ部6は、X方向に移動可能に構成されている。ウエハ保持テーブル5のY方向移動と、突上げヘッド61のX方向移動とによって、突上げヘッド61はウエハ保持テーブル5に保持されたウエハWの任意のベアチップCを突上げることが可能となっている。
【0033】
取出部7は、ウエハWからベアチップCを取り出してヘッドユニット4に受け渡すように構成されている。また、取出部7は、所定の駆動手段によりウエハ保持テーブル5の上方(Z2方向)位置において水平方向(XY方向)に移動される。また、取出部7は、4つのウエハヘッド71を含んでいる。また、取出部7のフレームには、部品認識カメラ72が設けられている。部品認識カメラ72は、たとえばCCDやCMOSなどの撮像素子を備えるカメラである。また、部品認識カメラ72は、ウエハWからのベアチップCの取り出しに先立ち、取り出し対象となるベアチップCを撮像するように構成されている。制御部11は、この部品認識カメラ72によるベアチップCの画像に基づき、ベアチップCの取出位置および角度を認識することが可能である。
【0034】
ウエハヘッド71は、X軸回りに回転が可能で、かつ上下方向(Z方向)への移動(昇降)が可能に構成されている。また、ウエハヘッド71は、負圧発生機(図示せず)により先端(吸着面71a)に発生させた負圧によって、ベアチップCを吸着することが可能に構成されている。これにより、取出部7は、突上げヘッド61により突き上げられたベアチップCをウエハヘッド71により吸着して取り出し、ベアチップCを反転(フリップ)させ、所定の受け渡し位置において、吸着ノズル41にベアチップCを受け渡す(
図3参照)ように構成されている。このため、
図3に示すように、ヘッドユニット4の吸着ノズル41は、ベアチップCのバンプ形成面が下方を向いた状態でベアチップCを吸着する。ベアチップCのバンプ形成面を安定して吸着できるように、ウエハヘッド71の吸着面71a(先端面)は柔軟な素材により形成されている。
【0035】
取出部7のXY方向における可動領域とヘッドユニット4のXY方向における可動領域とは平面視において一部重複しており、ヘッドユニット4と取出部7とを上下に並ぶように配置させることが可能である。これにより、取出部7からヘッドユニット4へのベアチップCの受渡しが可能となっている。
【0036】
図2に示すように、転写ユニット8は、平坦な上面(転写面81)を有する回転ステージ82と、回転ステージ82の転写面81から僅かに上方に離間して配置されたスキージ83とを有する。転写面81上には、フラックスなどの転写材が供給され、回転ステージ82により転写面81が回転する。この結果、フラックスは、転写面81上でスキージ83によって引き延ばされ、転写面81とスキージ83との間隔分の薄い平坦面状(
図3参照)に成形される。
【0037】
図1に示すように、制御部11(破線参照)は、コンベア2、チップ部品供給部3(テープフィーダ31)、ヘッドユニット4、ウエハ保持テーブル5、突上げ部6、取出部7および転写ユニット8などの動作制御を行う機能を有する。制御部11は、上記の各部の駆動モータ(たとえば、サーボモータ43)に内蔵されるエンコーダ(たとえば、エンコーダ43a)等の位置検出手段からの出力信号に基づいて、各部の動作制御を行う。また、制御部11は、各種カメラ(基板認識カメラ42、部品認識カメラ72および固定カメラ9)の撮像制御および上記した画像認識を行う機能を有する。これにより、制御部11によって電子部品装着装置100の各部の動作が統括的に制御される。
【0038】
ここで、第1実施形態では、制御部11は、ウエハW中に存在する不良チップN(装着対象のベアチップCと同じチップで、不良品と判断されたベアチップ)を用いて、吸着ノズル41による測定対象面MP(
図4参照)の高さ測定および平坦度測定を行うように構成されている。なお、不良チップNは、本発明の「不良電子部品」の一例である。
【0039】
一般に、半導体チップ(ベアチップ)の製造プロセスでは、シリコンウエハへの回路形成が行われた後、ウエハに形成されたチップ毎に電気的な回路検査(検査工程)が行われ、良品・不良品の判断がなされる。この際、不良と判断されたチップについては、ウエハ上の位置情報を含む不良品情報がウエハの管理情報に付加される。その後、ダイシングによりウエハに形成された個々のベアチップCが分割され、分割済みのウエハWとして電子部品装着装置100による装着工程へと送られる。このため、制御部11は、供給されたウエハWの管理情報から、不良チップNの位置および個数を特定することができる。なお、後述するように、ウエハWの中に不良チップNが1つでも存在すれば、高さ・平坦度測定を実施することが可能である。
【0040】
ここで、
図4および
図5を参照して、電子部品装着装置100の制御部11による高さ・平坦度測定の方法について説明する。
【0041】
上記の通り、吸着ノズル41の高さ位置は、エンコーダ43aの出力により検出可能である。ここで、
図4に示すように、エンコーダ43aの原点(出力値=0)に対して、吸着ノズル41のストロークを増大させる下降方向(Z1方向)をZ軸座標の正方向とする。不良チップNを吸着した状態で吸着ノズル41を下降させると、不良チップNの下面が測定対象面MPと接触する。このとき、サーボモータ43の駆動を継続すれば、吸着ノズル41による押圧力の増大に伴ってサーボモータ43の電流値は上昇する。ここで、制御部11の記憶部(図示せず)には、吸着ノズル41の押圧力とサーボモータ43の電流値とを対応付けた押圧力−電流値テーブルが記憶されている。押圧力−電流値テーブルを参照することにより、サーボモータ43の電流値から、吸着ノズル41が加えている押圧力(電流値に対応する押圧力)を取得することができる。
【0042】
このため、制御部11は、サーボモータ43の電流値に基づいて、不良チップNの下面と測定対象面MPとの接触を検出することができる。接触が検出されたときのエンコーダ43aの出力から、接触検出時の吸着ノズル41の先端の高さ位置H1が得られる。
【0043】
接触検出時には、吸着ノズル41の先端と測定対象面MPとの間に不良チップNが挟み込まれるようにして介在している。この不良チップN(ベアチップC)に関する部品データは、装着対象物M(リードフレームやインターポーザ、プリント基板など)の生産に使用するプログラムに含まれており、制御部11がプログラム中の部品データを参照することによって不良チップN(ベアチップC)の厚みtが取得される。
【0044】
これにより、測定対象面MPの高さ位置H2=接触検出時の吸着ノズル41の先端の高さ位置H1+不良チップNの厚みtとして算出される。また、
図5に示すように、測定対象面MPがある程度の広さ(面積)を有する場合には、この高さ測定を同一の測定対象面MPの複数箇所(たとえば、P1〜P6)で行い、P1〜P6における高さ測定結果を比較することにより、測定対象面MPの平坦度を得ることができる。
【0045】
第1実施形態では、
図3に示すように、測定対象面MPは、装着対象物Mの被装着面(表面)M1、ベアチップCを保持する取出部7のウエハヘッド71の吸着面(ベアチップCとの接触面)71a、および、転写ユニット8の転写面81を含む。
【0046】
なお、被装着面M1および転写面81に対しては、不良チップNを吸着した状態で吸着ノズル41を下降させ、不良チップNの下面を接触させることにより測定対象面MPの高さ位置H2が得られる。一方、取出部7の吸着面71aの高さ測定の場合には、
図3に示すように、ウエハヘッド71の吸着面71aに不良チップNを保持させた状態で吸着ノズル41を下降させ、吸着ノズル41の先端を不良チップNの上面に接触させることにより測定対象面MPの高さ位置H2が得られる。測定箇所が多数ある場合でも、同じ不良チップNを吸着したまま実施することが可能であり、フラックスの付着を伴う転写面81の測定を最後に回せばよい。
【0047】
次に、
図1〜
図3を参照して、電子部品装着装置100による電子部品の装着動作について説明する。
【0048】
図3に示すように、ウエハWのベアチップCを装着する場合には、まず、突上げ部6(
図2参照)および取出部7により装着対象のベアチップCが取り出され、取出部7のウエハヘッド71にベアチップCが吸着保持される。ウエハヘッド71が回動してベアチップCを反転(フリップ)させ、ベアチップCが所定の受け渡し位置に配置される。これに対応して、ヘッドユニット4の吸着ノズル41が受け渡し位置の上方で受け渡し高さ位置まで下降して、ベアチップCを吸着する。
【0049】
ベアチップCを吸着した後、ヘッドユニット4は、転写ユニット8の上方に移動し、吸着ノズル41を転写高さ位置まで下降させて、ベアチップCのバンプ形成面にフラックスを転写する。続いて、ヘッドユニット4は、固定カメラ9の上方を通過するように移動し、吸着ノズル41に吸着されたベアチップCのバンプ形成面が撮像される。これにより、ベアチップCのバンプ形成面の不良判定や、吸着位置ずれの認識が行われる。なお、この転写動作と撮像動作とは、順序が逆になる場合もある。すなわち、転写前の状態の方が良好に撮像(画像認識)を行える場合には、撮像動作が先に実施される。
【0050】
撮像後、コンベア2に保持された装着対象物M(リードフレーム、プリント基板など)の上方にヘッドユニット4が移動され、所定の装着位置の上方で吸着ノズル41が装着高さ位置まで下降して、ベアチップCを装着対象物Mの被装着面M1上に載置(装着)する。
【0051】
また、テープフィーダ31(
図1参照)の供給部品を装着する場合には、ヘッドユニット4がテープフィーダ31の所定の部品取出位置の上方に移動し、吸着ノズル41を下降させて電子部品を取り出す。続いて、ヘッドユニット4が固定カメラ9の上方を通過するように移動し、吸着ノズル41に吸着された電子部品の下面が撮像される。そして、ヘッドユニット4が装着対象物Mの上方に移動され、吸着ノズル41が下降して、電子部品を装着対象物Mの被装着面M1上に載置(装着)する。なお、ベアチップCがキャリアテープに個別収納されテープフィーダ31によって供給される場合には、テープフィーダ31からベアチップCが取り出された後、
図3に示すように転写および撮像が実施され、装着対象物Mの被装着面M1上にベアチップCが載置(装着)される。
【0052】
次に、
図6および
図7を参照して、電子部品装着装置100の制御部11による高さ・平坦度測定処理の制御について説明する。
【0053】
高さ・平坦度測定処理は、電子部品装着装置100の稼働中に定期的に実施することができる。たとえば、予め設定された一定時間間隔で測定を実施したり、一日の運転開始時または終了時などの所定のスケジュールで実施することができる。また、生産品(装着対象物M)の品種が切り替わるタイミング(いわゆる段取り時)や、転写ユニット8の清掃時などのメンテナンス時に、制御部11に対するオペレータの操作入力に応じて測定処理を開始してもよい。
【0054】
まず、
図6に示すように、ステップS1において、突上げ部6および取出部7により不良チップNが取り出され、不良チップNが所定の受け渡し位置に配置される。ステップS2において、測定対象面MPがウエハヘッド71の吸着面71a以外か否かが判定される。測定対象面MPが吸着面71aでなければ、ステップS3においてウエハヘッド71により保持された不良チップNがそのまま吸着ノズル41に吸着される。
【0055】
ステップS4において、吸着ノズル41が測定対象面MPの測定ポイントの上方に配置されるよう、ヘッドユニット4が移動される。そして、ステップS5において、吸着ノズル41が下降され、接触検出時の吸着ノズル41の先端の高さ位置H1(
図4参照)がエンコーダ43aの出力から取得される。なお、ステップS2において測定対象面MPが取出部7の吸着面71aである場合には、ステップS3がスキップされる結果、上述の通り未吸着状態の吸着ノズル41がウエハヘッド71に保持されたベアチップCに接触することにより、吸着ノズル41の先端の高さ位置H1が取得される。なお、高さ測定は複数回繰り返して行い、複数の測定値の平均値を測定結果として取得するように構成してもよい。
【0056】
ステップS6では、他に測定ポイントがあるか否かが判定され、測定ポイントが存在する場合には、ステップS4に移行する。そして、次の測定ポイントでの高さ測定が行われる。これにより、平坦度測定を実施する場合には、同じ測定対象面MPの複数ポイントにおける高さが測定される。全ての測定ポイントについて高さ測定が行われた場合には、ステップS7に進む。
【0057】
ステップS7では、ステップS6で得られた接触検出時の吸着ノズル41の先端の高さ位置H1と、登録されているベアチップCの厚みtとに基づいて、測定対象面MPの高さH2が算出される。また、測定対象面MPの複数ポイント(たとえばP1〜P6)における高さ測定結果から、測定対象面MPの平坦度が算出される。
【0058】
ステップS8では、高さ・平坦度測定結果に応じた結果処理が実施される。具体的には、
図7に示すように、ステップS21において、測定対象面MPに対して現在設定されている高さ設定値と、高さ測定結果(H2)とが比較され、設定値と測定結果との差が全て(複数回高さ測定を行った場合)所定の高さ許容値内か否かが判定される。設定値と測定結果との差が高さ許容値内の場合には、ステップS22に進み、高さ許容値を上回る場合には、ステップS23に進む。
【0059】
ステップS22では、平坦度の測定結果が、所定の平坦度許容値内か否かが判定される。なお、平坦度が測定されない測定対象面MPの場合には、常にYes判定(許容値内判定)となる。測定結果が平坦度許容値内の場合には、ステップS24に進み、平坦度許容値の範囲を外れる場合には、ステップS23に進む。
【0060】
ステップS23では、測定結果が許容範囲を超えたことに基づき、エラー停止処理が実施される。エラー停止には、たとえば、警告灯の点灯などの作業者へのエラー報知や、測定結果が許容範囲を超えた旨のメッセージ表示または外部の管理サーバ(図示せず)へのメッセージ送信などが伴う。これにより、エラーの発生を確認した作業者は、点検、整備またはサービススタッフへの連絡などを行うことができる。
【0061】
一方、ステップS24では、測定結果を設定値にフィードバックする補正が実施される。たとえば、複数回の高さ測定結果(H2)の平均値を新たな高さ設定値として採用する。これにより、測定対象面MPとされたそれぞれの高さ位置(装着対象物Mの被装着面M1、ウエハヘッド71の吸着面71a、および、転写ユニット8の転写面81)へのアクセス時に、吸着ノズル41を所望の高さ位置により正確に位置付けることが可能となる。
【0062】
なお、このステップS24のフィードバック補正は、高さ測定結果および平坦度測定結果がいずれも許容範囲内であることから、実施せずにそのまま結果処理を終了してもよい。また、このステップS24でフィードバック補正を行う代わりに、表示部(図示せず)への測定結果のダイアログ表示などを行うことによって作業者へ測定結果を通知し、電子部品装着装置100の運転続行可否やフィードバック補正を行うか否かの判断を作業者に行わせるように構成してもよい。
【0063】
測定結果処理後には、
図6に示すように、ステップS9に進み、測定対象面MPが、取出部7の吸着面71aであったか否かが判定される。測定対象面MPが、取出部7の吸着面71aであった場合には、ステップS10で吸着ノズル41による不良チップNの吸着が行われた後、ステップS11で不良チップNが廃棄される。測定対象面MPが、取出部7の吸着面71aでない場合には、既に不良チップNが吸着ノズル41に吸着されているので、そのままステップS11で廃棄される。以上により、高さ・平坦度測定処理が終了する。
【0064】
第1実施形態では、上記のように、装着対象のベアチップCと同じベアチップで不良と判断された不良チップNを用いて、吸着ノズル41による測定対象面MPの高さ測定および平坦度測定を行う制御部11を設けることによって、装着対象のベアチップCと同一部品でありながら、使用(装着)されない不良チップNを用いて高さ測定(平坦度測定)を行うことができるので、高さ測定に使用した不良チップNをそのまま廃棄することができる。これにより、正常に使用可能なベアチップCを無駄にすることなく高さ位置測定を行うことができる。また、複数の測定位置で不良チップNを用いた高さ測定を行えば、得られる複数の測定結果から測定対象面MPの平坦度も測定することができる。
【0065】
また、吸着ノズル41を測定対象面MPに直接接触させることなく測定対象面MPの高さ位置H2を測定できるので、吸着ノズル41の破損や、吸着ノズル41への異物の付着を防止しながら、測定対象面MPの高さ位置や平坦度の測定を行うことができる。このため、たとえばフラックスが配置された転写面81の高さ測定を行う場合にも、吸着ノズル41にフラックスを付着させずに測定を行うことができるとともに、フラックスが付着した不良チップNはそのまま廃棄することができる。そして、ベアチップCと同様の非常に高い寸法精度を有する不良チップNを用いることによって、ベアチップCの装着に要求される高精度な高さ位置測定が可能となる。これらによって、第1実施形態では、正常に使用可能なベアチップCを無駄にすることなく、要求精度に応じた高さ位置測定(平坦度測定)を行うことができる。
【0066】
また、第1実施形態では、上記のように、不良チップNを吸着ノズル41の先端と測定対象面MPとの間に介在させた状態における吸着ノズル41の先端の高さ位置H1と、不良チップNの厚みtとに基づき、測定対象面MPの高さ測定および平坦度測定を行うように制御部11を構成する。これにより、吸着ノズル41を測定対象面MPに直接接触させることなく測定対象面MPの高さ位置H2を測定する構成においても、吸着ノズル41の先端の高さ位置H1と、不良チップNの厚みtとから、高さ位置(平坦度)測定を容易に実施することができる。
【0067】
また、第1実施形態では、上記のように、吸着ノズル41に不良チップNを吸着させた状態で、測定対象面MPの高さ測定および平坦度測定を行うように制御部11を構成する。これにより、実際にベアチップCを装着する動作と同様の状態で測定対象面MPの高さ測定や平坦度測定を行うことができる。このため、不良チップNを用いて、実際の装着動作と全く同じ測定条件で測定を行うことができる。すなわち、不良チップNを用いて、実際の装着動作において発生する機械的な誤差等を含んだ状態で測定することができるので、正常に使用可能なベアチップCを無駄にすることなく、測定結果の信頼性の向上を図ることができる。
【0068】
また、第1実施形態では、上記のように、不良チップNを吸着ノズル41の先端と測定対象面MPとの間に介在させた状態におけるエンコーダ43aの出力に基づき、吸着ノズル41の先端の高さ位置H1を取得するように制御部11を構成する。これにより、専用のレーザ変位計や高さ測定用のラインセンサを別途設ける必要が無く、吸着ノズル41の昇降動作制御のための構成(サーボモータ43およびエンコーダ43a)のみにより、外部機器を別途設けることなく高さ測定および平坦度測定が可能となる。
【0069】
また、第1実施形態では、上記のように、不良チップNを用いた測定対象面MPの高さ測定および平坦度測定の測定結果に基づき、吸着ノズル41の昇降動作時の高さ位置設定が補正されるように制御部11を構成する。これにより、実際に装着されるベアチップCと同じ部品である不良チップNを用いた高さ測定結果に基づいて高さ位置設定を補正(校正)することができるので、実際の装着動作を反映した高さ位置補正により、吸着ノズル41による各種動作(吸着、ベアチップCの転写、装着対象物Mへの装着など)の精度および信頼性を向上させることができる。また、補正(校正)時に治具の付け替え等が不要となるので、部品装着作業の最中にも容易に測定および補正を行うことができる。
【0070】
また、第1実施形態では、上記のように、不良と判断されたベアチップである不良チップNを用いて測定を行う。ここで、不良チップNは、半導体製造プロセスの各工程における要求精度を反映して、良品ベアチップCと変わらない高い寸法精度を有する。このため、不良チップNを用いることによって、実際に装着されるベアチップCと全く同一の条件で、かつ、別途治具を設ける場合と同等か、それ以上の高精度な高さ位置測定(平坦度測定)が可能となる。また、1つのウエハWには、通常、不良チップNが複数個は必ず存在するので、実際上、測定のための不良チップNが不足する事態が生じない。
【0071】
また、第1実施形態では、上記のように、測定対象面MPの一例として、装着対象物Mの被装着面M1、取出部7のウエハヘッド71の吸着面71a、および、転写ユニット8の転写面81を示した。ここで、吸着時の高さ位置ずれ(吸着面71aの高さ位置ずれ)は、吸着失敗や、ベアチップC(またはチップに形成されたバンプ)の破損の原因となる。吸着面71aはバンプ形成面を吸着するために柔軟素材により形成されることから、使用に伴って消耗(摩耗)する。このため、吸着面71aの高さ管理が必要である。また、フラックス転写時の高さ位置ずれ(転写面81の高さ位置ずれ)は、フラックス転写失敗や、チップが斜めに傾いた状態で転写面81に接することによる部分的な濡れ不良の原因となり、装着時の接合不良を引き起こす。また、装着時の高さ位置ずれ(被装着面M1の高さ位置ずれ)は、接合不良、ベアチップCの装着位置ずれを引き起こす。このため、これらのベアチップCの吸着、転写および装着動作において必要とされる各測定対象面MPの高さ位置の測定により、高さ位置ずれを把握し、高さ設定値の補正(校正)や整備などの対応を採ることができるので、精度管理を行う上で有効である。
【0072】
(第2実施形態)
次に、
図6〜
図8を参照して、本発明の第2実施形態による高さ・平坦度測定処理の制御について説明する。第2実施形態では、ウエハWから不良チップNを取得して高さ・平坦度測定を実施するように構成した上記第1実施形態とは異なり、ベアチップCがキャリアテープに個別収納され、テープフィーダ31によって供給される場合の高さ・平坦度測定処理について説明する。なお、第2実施形態による電子部品装着装置の装置構成は上記第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0073】
ベアチップCがテープフィーダ31によって順次供給される場合、不良チップNを任意のタイミングで取得することができない。このため、第2実施形態では、制御部11は、吸着されたベアチップCを固定カメラ9を用いて画像認識した結果、バンプ欠けなどにより不良である(不良チップNである)と判定した場合に、高さ・平坦度測定を実施するように構成されている。
【0074】
まず、
図8に示すように、ステップS31において、吸着ノズル41によってテープフィーダ31からベアチップCを吸着し、固定カメラ9による撮像を行う。
【0075】
ステップS32では、認識の結果、良品であると判定されたベアチップCが装着対象物Mの被装着面M1上の所定位置に装着される。
【0076】
ステップS33において、画像認識の結果、不良である(不良チップNである)と判定された吸着ノズル41があるか否かが制御部11により判定される。不良チップNが存在しなければ、測定処理は行われず、装着動作が継続される。不良チップNが存在する場合、ステップS34に進み、高さ計測が開始される。
【0077】
ステップS34〜S38およびS39の処理は、上記第1実施形態のステップS4〜S8およびS11の処理(
図6および
図7参照)と同様である。すなわち、高さ・平坦度測定の動作自体は、上記第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。なお、この場合には、吸着ノズル41に不良チップNが吸着済みとなっているので、測定対象面MPが取出部7の吸着面71aの場合にも、不良チップNを吸着した状態の吸着ノズル41を吸着面71aに向けて下降させ、不良チップNを吸着面71aに接触させることにより、高さ測定が行われる。
【0078】
この第2実施形態のように、ベアチップCがウエハWの状態で供給される構成以外でも、不良チップNを用いた高さ・平坦度測定が可能である。
【0079】
第2実施形態の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0080】
(第3実施形態)
次に、
図1、
図6、
図7および
図9〜
図11を参照して、本発明の第3実施形態による高さ・平坦度測定処理の制御について説明する。第3実施形態では、吸着したベアチップCの画像認識の結果、不良である(不良チップNである)と判定した場合に、高さ・平坦度測定処理を開始するように構成した上記第2実施形態とは異なり、不良チップNを廃棄せずに回収(保管)しておくことによって、ベアチップCがキャリアテープにより供給される場合にも任意のタイミングで高さ・平坦度測定処理を開始可能に構成した例について説明する。
【0081】
第3実施形態による電子部品装着装置には、
図9に示す不良チップNの回収容器201が設けられている。回収容器201は、たとえば、基台1(
図1参照)上であってヘッドユニット4の可動領域内に設置されている。回収容器201には、ベアチップCの大きさよりも一回り大きい複数の凹部202が形成されており、凹部202の内部に不良チップNを収容することが可能である。
図9では、凹部202はマトリクス状に配列され、3行×4列の合計12個の凹部202が形成された回収容器201の例を示している。なお、第3実施形態のその他の構成は上記第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0082】
次に、
図10を参照して、電子部品装着装置100によるベアチップの装着動作および不良チップの回収動作(動作シーケンス)について説明する。
【0083】
まず、ステップS41において、吸着ノズル41により、テープフィーダ31からベアチップCが吸着される。ステップS42において、転写ユニット8上で吸着したベアチップCにフラックスが転写される。ステップS43において、吸着されたベアチップCが固定カメラ9により撮像され、制御部11による画像認識が行われる。
【0084】
ステップS44において、画像認識の結果、不良チップNが存在するか否かが制御部11により判定される。不良チップNが存在しなければ、ステップS45に進み、良品のベアチップCが装着対象物Mに装着される。
【0085】
一方、不良チップNが存在する場合、ステップS46に進み、回収容器201に空いている凹部202が存在するか否かが判断される。回収容器201に空きがある場合には、ステップS47に進み、不良チップNが回収容器201の空いている凹部202に収容される。そして、ステップS45で他の吸着ノズル41に吸着された良品のベアチップCが装着対象物Mに装着される。また、回収容器201に空きがない場合には、ステップS48で不良チップNが廃棄された後、ステップS45で他の吸着ノズル41に吸着された良品のベアチップCが装着対象物Mに装着される。以上を繰り返すことにより、装着対象物MへのベアチップCの装着と、不良チップNの回収容器201への回収とが行われる。
【0086】
次に、
図11を参照して、本発明の第3実施形態による高さ・平坦度測定処理の制御について説明する。
【0087】
まず、ステップS51において、高さ・平坦度測定の実施タイミングに該当するか否かが判断される。実施タイミングとしては、上記第1実施形態と同様であり、たとえば、予め設定された一定時間間隔で測定を実施したり、一日の運転開始時または終了時などの所定のスケジュールで測定を実施することができる。実施タイミングに該当しない場合には、測定を行うことなく終了する。
【0088】
高さ・平坦度測定の実施タイミングに該当すると判断された場合、ステップS52に進み、回収容器201内に保管された不良チップNが存在するか否かが判断される。回収容器201に不良チップNが保管されていない場合(回収容器201が空の場合)には、測定を行うことなく終了する。
【0089】
回収容器201内に保管された不良チップNが存在する場合には、ステップS53に進み、ヘッドユニット4の吸着ノズル41により回収容器201の任意の凹部202に保管された不良チップNが吸着される。これにより、ステップS54へ進み、不良チップNを用いて高さ計測が実施される。ステップS54〜S58およびS59の処理は、上記第1実施形態のステップS4〜S8およびS11の処理(
図6および
図7参照)と同様である。すなわち、高さ・平坦度測定の動作自体は、上記第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0090】
第3実施形態では、上記のように、電子部品装着装置100に不良チップNの回収容器201を設け、ベアチップCの装着動作中に不良チップNを回収容器201に回収しておくように制御部11を構成する。これにより、ベアチップCがキャリアテープにより供給される場合にも任意のタイミングで、不良チップNを用いた高さ・平坦度測定が可能である。
【0091】
第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0092】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0093】
たとえば、上記第1〜第3実施形態では、ベアチップを装着対象物に装着するとともに、テープフィーダにより供給される電子部品(パッケージ部品など)などを装着対象物に装着することが可能な複合型の電子部品装着装置に本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限られない。複合型以外の電子部品装着装置に本発明を適用してもよい。すなわち、いわゆるダイボンダーなどのベアチップ装着専用の電子部品装着装置に本発明を適用してもよい。また、パッケージ部品などをプリント基板に装着するための表面実装機に本発明を適用してもよい。
【0094】
また、上記第1〜第3実施形態では、不良と判断されたベアチップ(不良チップN)を用いて高さ(平坦度)測定を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ベアチップ(半導体チップ)以外の電子部品を用いて高さ(平坦度)測定を行うように電子部品装着装置を構成してもよい。
【0095】
また、上記第1〜第3実施形態では、高さ測定および平坦度測定の両方を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、高さ測定のみ、または、平坦度測定のみを行うように電子部品装着装置を構成してもよい。
【0096】
また、上記第1〜第3実施形態では、高さ(平坦度)測定の測定対象面の一例として、装着対象物Mの被装着面(表面)M1、ベアチップCを保持するウエハヘッド71の吸着面71a、および、転写ユニット8の転写面81を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、これらの被装着面、吸着面および転写面以外の部位を測定対象面としてもよい。測定対象面は、吸着ノズルの昇降動作に関わる面(高さ位置設定が必要となる面)であれば、どのような面でもよい。したがって、たとえば、ロードセルを電子部品装着装置に設け、吸着ノズルをロードセルに押し当てることにより、制御部に格納された押圧力−電流値テーブルの校正を行う場合がある。このロードセルの接触面を高さ位置測定の測定対象面としてもよい。
【0097】
また、上記第1〜第3実施形態では、電子部品装着装置に、2つの吸着ノズルを備えたヘッドユニットを2つ設けた構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、電子部品装着装置は、吸着ノズルと、吸着ノズルの高さ位置検出のための検出部と、高さ位置(平坦度)測定用の制御部とを備えていればよく、電子部品装着装置の装置構成は、上記第1〜第3実施形態に示した以外の構成であってもよい。
【0098】
また、上記第1〜第3実施形態では、吸着ノズルの上下方向に移動させるサーボモータを電子部品装着装置に設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、サーボモータの代わりにステッピングモータなどの他のモータを電子部品装着装置に設けてもよい。
【0099】
また、上記第1〜第3実施形態では、サーボモータの電流値に基づいて吸着ノズル(不良チップ)と測定対象面との接触を検出するように電子部品装着装置を構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、サーボモータの電流値以外のどのような方法により吸着ノズル(不良チップ)と測定対象面との接触を検出してもよい。たとえば、吸着ノズルを根元側部材と、根元側部材に対して相対的に上下移動可能な先端側部材とに分割し、先端側部材を下方に付勢する付勢部材(圧縮バネなど)を設けることにより、吸着ノズルが物体と接触する際の衝撃を緩和する構造を採用する場合がある。この場合、測定対象面との接触時には、先端側部材が付勢部材の付勢力に抗して根元側部材に対して相対移動(上昇)することから、この根元側部材に対する先端側部材の変位を検出することで、接触を検出することができる。この他にも、多様な接触検出方法が存在するので、吸着ノズル(不良チップ)と測定対象面との接触検出には、どのような接触検出方法を採用してもよい。