【文献】
ハイメッシュセパレータ,日本,株式会社 気工社,URL,http://www.kikosha.co.jp/haimessyusepareta01.htm
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、セメントは、網篩い90μm通過分が99%を超え、比表面積3000cm
2/gを超える微粉体からなる。また、グリーンカットずりには、細骨材の微粒分も多く含まれる。これらのセメント粒子および細骨材の微粒分を積極的に回収することにより再利用に供されるモルタルまたはコンクリートの良好なコンシステンシーを確保することができる。特に、ダムでは大量のコンクリートを締め固めるための大型バイブレータを使用したり、振動ローラを使用したりする。これらの締め固めによって締め固められるコンクリートにおいては、良好なコンシステンシーを確保する必要がある。
【0006】
振動ローラで締め固めるRCD(Roller CompactedDam)コンクリートには、バイブレータで締め固める一般的なコンクリートと異なるフレッシュコンクリートの性状が求められる。転圧の良否を判断するため密度測定、沈下測定を実施するとともに、表面状態の目視観察も重要である。その着眼点としては、ウェービング状態、セメントペースト分の浮き上がりの有無、大玉集中と表面のクラックの有無などが挙げられる。振動ローラの転圧に対して、ウェービングが発生せず、セメントペーストが過度に浮き上がらないコンクリートが良好かコンシステンシーを確保したコンクリートである。
【0007】
ここで、上記特許文献1に開示されたグリーンカットずりの再利用方法では、75μm以上、または0.5mmであって5mm以下の細骨材を取り出し、水洗いして、モルタル骨材として再利用することにより、粒度分布に優れた良質のモルタル骨材を取り出すことができることが開示されている。ところが、上記特許文献1に開示されたグリーンカットずりの再利用方法では、5mm以下の細骨材から75μm未満などの微粒分を取り除く手段については言及されていなかった。5mm以下の細骨材については、篩いかけすることによって取り出すことができるが、75μm未満などの微粒分について、微粒分よりも粒径の大きいものと分離することが難しいという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、グリーンカットずりに含まれる細骨材から微粒分を好適に取り除くことにより、グリーンカットずりを再利用して良質なコンクリートを製造することができるグリーンカットずり
を再利用
したコンクリート製造方法およびグリーンカットずりを再利用したコンクリート堤体の構築方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決した本発明に係るグリーンカットずり
を再利用
したコンクリート製造方法は、グリーンカットずりに含まれる微粒分を除去するにあたり、グリーンカットによって得られたグリーンカットずりを撹拌搬送羽根が設けられた沈降層に投入し、グリーンカットずりの粒子を沈降層内に沈降させる沈降工程と、沈降層内に沈降したグリーンカットずりの粒子を撹拌搬送羽根によって撹拌しながら撹拌搬送羽根の終端方向に移送して、グリーンカットずりの一部を洗い流して、グリーンカットずりに含まれる微粒分を除去する移送洗浄工程と、移送されたグリーンカットずりの粒子を沈降層内から排出する排出工程と、排出されたグリーンカットずりの粒子を脱水する脱水工程と、脱水されたグリーンカットずりの粒子を細骨材として再利用し、粗骨材、セメント、および水と混合してコンクリートを製造するコンクリート製造工程と、を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明に係るグリーンカットずり
を再利用
したコンクリート製造方法においては、沈降層内に沈降したグリーンカットずりの粒子を撹拌搬送羽根によって撹拌しながら撹拌搬送羽根の終端方向に移送して、グリーンカットずりの一部を洗い流して、グリーンカットずりに含まれる微粒分を除去する移送洗浄を行う。この移送洗浄を行う際に、グリーンカットずりに含まれる細骨材から微粒分を確実に取り出すことができる。したがって、グリーンカットずりに含まれる細骨材から微粒分を好適に取り除くことにより、グリーンカットずりを再利用して良質なコンクリートを製造することができる。
【0011】
また、0.3mm以下の微粒分が多すぎるとコンクリートの強度低下、ワーカビリティの低下、レイタンスの増大等の悪影響が生じるが、逆に少なくてもワーカビリティの低下、強度増進を阻害する。また、一般的に、微粒分の除去には水洗いが行われるが水洗いでは0.3mm以下の微粒分が流出しやすく0.3mm以下の微粒分の回収が難しい。この点、本発明では、0.3mm以下の微粒分を好適に取り除くことができるので、グリーンカットずりを再利用して製造されたコンクリートに含まれる微粒分を適度なものとすることができ、強度増進、ワーカビリティの改善を図ることができる。
【0012】
特に、大型機械で締め固めるコンクリートでは、通常のコンクリートと比較して含有する微粒分を多く設定すると、締め固め機械との適合性が高く好適な締め固めを行うことができる。好適に締め固められたコンクリートは強度も増進する。この点、本発明では、微粒分を適切な量とすることができるので、締め固め機械を用いたコンクリートの締め固めを好適に行うことができる。
【0013】
ここで、グリーンカットによって得られたグリーンカットずりを5mm振動篩いにかける篩い分け工程を経た後、沈降工程に移行することができる。
【0014】
このように、グリーンカットずりを5mm振動篩いにかけることにより、グリーンカットずりから5mm以上の粗粒分を取り除き、5mm以下の細骨材を取り出すことができるので、後工程が効率的に行える。
【0015】
また、脱水工程の後にグリーンカットずりの粒度試験を行い、粒度試験の結果を、沈降工程における撹拌搬送羽根の回転数にフィードバックし、粒度試験の結果、所定の粒度分布に対して微粒分が多い場合には、撹拌搬送羽根の回転数を増加させ、所定の粒度分布に対して微粒分が少ない場合には、撹拌搬送羽根の回転数を減少させるようにすることができる。
【0016】
このように、粒度試験の結果を沈降工程における撹拌搬送羽根の回転数にフィードバックして、撹拌搬送羽根の回転数を増加または減少させることにより、細骨材の微粒分の粒度分布を好適に調整することができる。撹拌搬送羽根の回転数を増加させることにより、除去される微粒分を増やすことができ、撹拌搬送羽根の回転数を減少させることにより、除去される微粒分を減らすことができる。
【0017】
また、脱水工程の後にグリーンカットずりの粒度試験を行い、粒度試験の結果を、沈降工程における沈降層の水位にフィードバックし、粒度試験の結果、所定の粒度分布に対して微粒分が多い場合には、沈降層の水位を上昇させ、粒度試験の結果、所定の粒度分布に対して微粒分が少ない場合には、沈降層の水位を低下させてもよい。
【0018】
このように、粒度試験の結果を沈降工程における沈降層の水位にフィードバックして、沈降層の水位を上昇又は低下させることにより、細骨材の微粒分の粒度分布を好適に調整することができる。沈降層の水位を上昇させることにより、除去される微粒分を増やすことができ、沈降層の水位を低下させることにより、除去される微粒分を減らすことができる。
【0019】
また、脱水工程の後にグリーンカットずりの粒度試験を行い、粒度試験の結果を、沈降工程における沈降層に供給される水の供給水量にフィードバックし、粒度試験の結果、所定の粒度分布に対して微粒分が多い場合には、供給される水の供給水量を増加させ、粒度試験の結果、所定の粒度分布に対して微粒分が少ない場合には、前記供給される水の供給水量を減少させてもよい。
【0020】
このように、粒度試験の結果を沈降工程における沈降層に供給される水の供給水量にフィードバックして、供給水量を増加または減少させることにより、細骨材の微粒分の粒度分布を好適に調整することができる。沈降層への供給水量を増加させることにより、除去される微粒分を増やすことができ、沈降層への供給水量を低下させることにより、除去される微粒分を減らすことができる。
【0021】
さらに、撹拌搬送羽根としてスクリューコンベアを採用することができる。このように、撹拌搬送羽根としてスクリューコンベアを用いることにより、グリーンカットずりの撹拌搬送を好適に行うことができる。
【0022】
また、上記課題を解決した本発明に係るコンクリート堤体の構築方法は、上記コンクリート製造工程で製造したコンクリートを振動ローラまたは、振動部外径がφ90mm以上の棒状バイブレータによって締固めるものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るグリーンカットずり
を再利用
したコンクリート製造方法によれば、グリーンカットずりに含まれる細骨材から微粒分を好適に取り除くことにより、グリーンカットずりを再利用して良質なコンクリートを製造することができる。また、本発明に係るコンクリート堤体の構築方法によれば、グリーンカットずりが再利用されたコンクリートを振動ローラによって締固めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各実施形態において、同一の機能を有する部分については同一の符号を付し、重複する説明は省略することがある。
【0026】
図1に示すように、本実施形態に係るグリーンカットずりの再利用が行われるダム1では、外側コンクリート2および内側コンクリート3が打設されている。ダム1は、重力式コンクリートダムであり、内側コンクリート3は、RCD工法によって打設される。
【0027】
この内側コンクリート3は、
図2に示すように、層状に打ち継いだコンクリート層11,12…で形成されている。コンクリート層11,12…は、振動ローラなどを含むRCD施工装置31によって打設される。また、RCD施工装置31には、コンクリート製造設備41からセメントやコンクリート骨材が供給される。また、コンクリート製造設備41には、骨材製造ライン42からコンクリート骨材が供給される。さらに、骨材製造ライン42には、通常の砕石などのコンクリート骨材材料や後に説明するコンクリート骨材(細骨材)として利用可能なグリーンカットずりが供給される。
【0028】
また、先打ちコンクリート層11と後打ちコンクリート層12との間には、モルタル層20が敷設されている。このモルタル層20は、先打ちコンクリート層11と後打ちコンクリート層12との間の接着層として機能している。モルタル層20は、打継ぎモルタル敷設装置によって敷設される。なお、モルタル層20を設けないで後打ちコンクリート層11を打設する場合もある。いずれの場合でも、先打ちコンクリート層11の打設が完了した後に、先打ちコンクリート層11表面のグリーンカット作業が行われる。グリーンカット作業は、グリーンカットマシン32を用いて行われ、先打ちコンクリート層11の表面に圧力水を噴射したり、先打ちコンクリート層11の表面をブラシによってブラッシングしたりすることによって行われる。コンクリート層11とモルタル層20との界面11aが、グリーンカット作業が施工された面である。
【0029】
このグリーンカット作業によって、先打ちコンクリート層11の表面を薄く削り取るとともに、先打ちコンクリート層11の表面を覆うレイタンスを除去する。グリーンカット作業によって削り取られる先打ちコンクリート層11の表面の厚さは、たとえば、5mm程度とされる。また、各コンクリート層11,12…の厚さは、たとえば1m程度とされ、コンクリート層11,12の間に設けられるモルタル層20の厚さは、たとえば15cm程度とされる。
【0030】
また、グリーンカットによって生じたグリーンカットずりは、グリーンカットずり処理設備43に集められ、所定のグリーンカットずり処理が行われる。このグリーンカットずり処理によって生じた骨材は、骨材製造ライン42に供給される。グリーンカットずり処理設備43には
図4及び
図5に示すハイメッシュセパレータ5が設けられている。
【0031】
次に、
図3を参照して、グリーンカットずり処理設備43について説明する。グリーンカットずり処理設備43は、集められたグリーンカットずり61を一時的に貯留する。グリーンカットずり処理設備43には、貯留されたグリーンカットずり61が供給される原料ホッパー62が設けられている。貯留されたグリーンカットずり61は、例えばバックホー63によって運搬されて、原料ホッパー62に投入される。
【0032】
原料ホッパー62の外側には、原料ホッパー62に振動を付与するバイブレータ64が設けられている。原料ホッパー62に投入されたバイブレータ64によって振動が付与されて、好適に下方へ移動する。
【0033】
原料ホッパー62の下部には、ロータリーフィーダ65が設けられ、このロータリーフィーダ65の下方には、振動スクリーン66が配置されている。原料ホッパー62内のグリーンカットずりは、ロータリーフィーダ65に導入されて、振動スクリーン66に一定量供給される。
【0034】
振動スクリーン66は、例えば5mm以上の大きさの固形物(粗粒分)を除去するための振動篩いを有する。振動スクリーン66には、給水設備67から洗浄水が供給される。グリーンカットずりは、振動スクリーン66によって5mm以上の固形物が除去され、5mm未満の粒子を含むグリーンカットずりは、洗浄水と共にハイメッシュセパレータ5に供給される。除去された5mm以上の固形物68は、例えば産業廃棄物として処理される。
【0035】
次に、
図4及び
図5を参照して、ハイメッシュセパレータ5について説明する。
図4及び
図5に示すように、ハイメッシュセパレータ5(スパイラル分級機)は、撹拌搬送羽根であるスクリューコンベア51を備えている。スクリューコンベア51は、回転軸51a回りに回転可能に支持されている。スクリューコンベア51の下部側にはプール52が設けられ、プール52内には、水が貯められている。スクリューコンベア51の下部側は、沈降層であるプール52の水中に配置されている。また、ハイメッシュセパレータ5は、スクリューコンベア51の回転速度を変更することで、プール52内に沈降する粒子の粒度分布を調整することができる。
【0036】
ハイメッシュセパレータ5では、プール52内の水位を調整可能な構成となっている。ハイメッシュセパレータ5は、プール52の水位を調整することにより、プール52内に沈降する粒子の粒度分布を調整することができる。
【0037】
ハイメッシュセパレータ5では、プール52に供給される水の供給水量を調整可能な構成となっている。ハイメッシュセパレータ5は、供給水量を調整することにより、プール52内に沈降する粒子の粒度分布を調整することができる。
【0038】
プール52には連続、または断続的に水が供給されていて、オーバーフローした水がプール52の外に排出されている。また、振動スクリーン66を通過した5mm未満の粒子を含むグリーンカットずりは、プール52内に投入される。プール52内に投入されたグリーンカットずりは、水中に沈降する。スクリューコンベア51が回転軸51a回りに回転することによりプール52内のグリーンカットずりが、図面右方向である搬送方向に向けて搬送され、搬送されると同時に水中で掻き乱され洗われる。グリーンカットずり中の不純物や微粒分の一部はオーバーフローした水とともにプール52の外に排出される。オーバーフローした水は、濁水処理設備69(
図3参照)へ排出されて処理される。
【0039】
スクリューコンベア51におけるグリーンカットずりの搬送方向終端部には、バケットコンベア53が設けられている。バケットコンベア53は、所定の回転軸回りに回転するバケット53aを有する。バケット53aは、グリーンカットずりの搬送方向に延在する所定の回転軸回りに回転し、プール52内を移送されたグリーンカットずりの粒子を掻き上げる。
【0040】
バケット53のさらに側方には脱水スクリーン54(脱水機)が設けられている。バケット53によって掻き上げられたグリーンカットずりの粒子は、コンベア脱水スクリーン54上に排出される。脱水スクリーン54は、振動篩いを有し、グリーンカットずりの粒子を搬送しながら、水分を除去する。
【0041】
脱水スクリーン54で脱水されたグリーンカットずりの粒子70は、骨材製造ライン42に供給される。骨材製造ライン42に供給されたグリーンカットずりの粒子は、細骨材として再利用される。骨材製造ライン42で製造された骨材(細骨材及び粗骨材)は、コンクリート製造設備41に供給される。コンクリート製造設備41は、細骨材、粗骨材、セメント、及び水を混合してコンクリートを製造する。製造されたコンクリートは、RCD施工装置31に供給され打設される。
【0042】
次に、本実施形態に係るグリーンカットずりの再利用を行う手順について説明する。
図6は、グリーンカットずりの再利用を行う手順を示すフローチャートである。まず、ダム1の堤体において先打ちコンクリート層11にモルタル層20、後打ちコンクリート層12を打設する前に打継ぎ面(コンクリート層11の上面11a)の処理としてグリーンカットを行う。打ち継ぎ面の処理として、グリーンカットマシン32によってグリーンカットを行う際にグリーンカットずりが生じる(S1)。ここで生じたグリーンカットずりは堤外のグリーンカットずり処理設備43に搬出される。
【0043】
グリーンカットずり処理設備43では、搬出されたグリーンカットずりを振動篩いにかけて、5mm以上の大きさの固形物を除去する(篩い分け工程S2)。グリーンカットずり61は、振動スクリーン66によって処理されて5mm以上の固形物が除去される。
【0044】
次に、グリーンカットずり処理設備43では、振動スクリーン66で固形物が除去されたグリーンカットずりをハイメッシュセパレータ5のプール52に投入し、グリーンカットずりの粒子をプール52の水中に沈降させる(沈降工程S3)。
【0045】
プール52では、落葉や木片等の浮遊物の除去を行うとともに、洗浄水槽として洗浄を行う(移送洗浄工程S4)。移送洗浄工程S4では、ハイメッシュセパレータ5のスクリューコンベア51(撹拌搬送羽根)を回転させて、プール52の底に沈降したグリーンカットずりの粒子を撹拌しながら終端方向に移送して、グリーンカットずりの一部を洗い流して、グリーンカットずりに含まれる微粒分を除去する。プール52の水中に残存するグリーンカットずり61の粒子は、スクリューコンベア51によって搬送されて、バケットコンベア53側へ移動する。
【0046】
次に、ハイメッシュセパレータ5では、プール52の水中を移送されたグリーンカットずりの粒子をプール52内から排出する(排出工程S5)。排出工程S5では、回転するバケットコンベア53によって、グリーンカットずり61の粒子を掻き上げて、隣接する脱水スクリーン54上に排出する。
【0047】
次に、脱水スクリーン54では、排出されたグリーンカットずりの粒子を脱水する(脱水工程S6)。脱水工程S6では、グリーンカットずりの粒子を振動篩いにかけることで脱水を行う。
【0048】
また、脱水工程S6の後にグリーンカットずりの粒度試験を行い、粒度試験の結果を沈降工程S3のスクリューコンベア51の回転数にフィードバックしてもよい。粒度試験の結果に基づいて、所定の粒度分布に対して微粒分が多いと判定された場合には、スクリューコンベア51の回転数を増加させ、プール52からオーバーフローさせる微粒分を増加させる。粒度試験の結果に基づいて、所定の粒度分布に対して微粒分が少ないと判定された場合には、スクリューコンベア51の回転数を減少させ、プール52からオーバーフローする微粒分を減少させる。
【0049】
同様に、粒度試験の結果に基づいて、所定の粒度分布に対して微粒分が多いと判定された場合には、プール52の水位を上昇させることで、プール52からオーバーフローする微粒分を増加させてもよい。また、所定の粒度分布に対して微粒分が多いと判定された場合に、プール52に供給される水量を増加させることで、プール52からオーバーフローする微粒分を増加させてもよい。所定の粒度分布に対して微粒分が多いと判定された場合に、プール52の水位を上昇させると共にプール52に供給される水量を増加させてもよい。
【0050】
粒度試験の結果に基づいて、所定の粒度分布に対して微粒分が少ないと判定された場合には、プール52の水位を低下させることで、プール52からオーバーフローチャートする微粒分を減少させてもよい。また、所定の粒度分布に対して微粒分が多いと判定された場合に、プール52に供給される水量を減少させることで、プール52からオーバーフローチャートする微粒分を減少させてもよい。所定の粒度分布に対して微粒分が少ないと判定された場合に、プール52の水位を低下させると共にプール52に供給される水量を減少させてもよい。
【0051】
脱水後のグリーンカットずりの粒子は、骨材製造ライン42に供給され、骨材製造ライン42における骨材貯蔵ビンに投入される。脱水後のグリーンカットずりの粒子は、細骨材として再利用される。
【0052】
グリーンカットずりの粒子は、細骨材としてコンクリート製造設備41に供給される。コンクリート製造設備41では、細骨材、粗骨材、セメントおよび水を混合してコンクリートを製造する(コンクリート製造工程S7)。この場合、グリーンカットずりを再利用した細骨材のみを細骨材として使用してもよいし、山砂、または海砂、または川砂、並びに山砂利、または川砂利及びこれらの砕石から製造された製品細骨材と混合して利用してもよい。
【0053】
コンクリート製造設備41で製造されたコンクリートは、RCD施工装置31に供給されて、例えば後打ちコンクリート層12として打設される。そして、打設されたコンクリートをRCD施工装置である振動ローラや大型の棒状バイブレータ等の大型機械によって締固める(締固め工程S8)。これによりダム1のコンクリート堤体を構築する。通常、棒状バイブレータは振動部外径がφ90mm未満のものが用いられるが、ここでは、振動部外径がφ90mm以上の大型バイブレータを使用する。
【0054】
このように、本実施形態に係るグリーンカットずりの再利用方法においては、グリーンカットマシン32でグリーンカットされたグリーンカットずりについて、ハイメッシュセパレータ5を用いた洗浄を行っている。このため、グリーンカットずりに含まれる微粒分を好適に取り除くことができる。その結果、グリーンカットずりを再利用して良質なコンクリートを製造することができる。
【0055】
また、本実施形態においては、グリーンカットずりから微粒分を好適に取り除くことができるので、グリーンカットずりに含まれる微粒分を適度なものとすることができる。その結果、グリーンカットずりを再利用して製造されるコンクリート等においてワーカビリティの改善による強度増進を図ることができる。
【0056】
さらに、ダム1を構築する際には、RCD施工装置31といった大型機械でコンクリートを締め固めることとなる。RCD施工装置31といった大型機械で締め固められるコンクリートは、通常のコンクリートと比較して微粒分を多く設定することにより、締め固め機械との適合性が高く好適な締め固めを行うことができる。つまり、ワーカビリティが改善されるのでその結果、強度増進を図ることができる。また、大型機械により締め固めることによりマスコンクリートを高速に施工することができる。
【0057】
この点、本実施形態においては、ハイメッシュセパレータ5によって微粒分を取り除くことにより、グリーンカットずりに含まれる微粒分を適度な量としている。その結果、締め固め機械としてRCD施工装置31といった大型機械を用いたコンクリートの締め固めを好適に行うことができる。
【0058】
次に、本実施形態に係るグリーンカットずりを細骨材として再利用しコンクリートである実施例としてのコンクリートと、比較例となる細骨材を用いたコンクリートによる締め固め試験を行った。実施例としての細骨材としては、
図6に示すフローに沿って得た細骨材を用いた。また、比較例として、川砂(比較例1)、山砂より製造された製品細骨材(比較例2)、グリーンカットずりをハイメッシュセパレータの代わりに、スパイラル分級を行って得た細骨材(比較例3)を用いた。これらの細骨材のふるい呼び寸法ごとの粒度百分率(粒度分布)、さらにはコンクリート標準示方書の基準値(上限値、下限値)のふるい呼び寸法ごとの粒度百分率(粒度分布)を
図7および
図8に参考として示す。
【0059】
図7および
図8に示すように、実施例としての細骨材は、比較例の細骨材と比較して、ふるいの呼び寸法が0.3mm以下の範囲では、粒度百分率が高く、ふるいの呼び寸法が0.3mmより大きい範囲では、粒度百分率が低くなった。つまり、この結果から、ハイメッシュセパレータ5を用いることにより、グリーンカットずりに含まれる細骨材から通常は水洗いにより流出しやすく回収が難しい微粒分を適度に残留しつつ好適に取り除くことができることが分かった。詳しくは、振動部外径がφ90mm以上の棒状バイブレータや振動ローラ等の大型機械での締め固め状況やワーカビリティに影響を及ぼす粒度範囲である0.3mm以下の微粒分を適度に残留させながら、微粒分を取り除くことができる。
【0060】
川砂から製造された製品細骨材(比較例1)や砕石から製造された製品細骨材(比較例2)に対しても、ふるいの呼び寸法が0.3mm以下の範囲では、粒度百分率が高く、ふるいの呼び寸法が0.3mmより大きい範囲では、粒度百分率が低くなった。グリーンカットずりを、スパイラル分級を行って得られた細骨材(比較例3)に対しても同様の傾向となった。
【0061】
さらに、製品細骨材等の比較例1〜3と実施例の細骨材とを用いてコンクリートを打設した際における締固めによってワーカビリティの良否を判断した(
図9参照)。比較例1〜3及び実施例について、複数種類の締固めを施工して、締固め状況を比較した。複数種類の締固めとしては、大型機械である振動ローラを用いた締固め、大型の棒状バイブレータを用いた締固め、小型の棒状バイブレータを用いた締固めを実施した。大型の棒状バイブレータとしては、振動部外径がφ100mm、φ130mmのバイブレータを用いた。小型の棒状バイブレータとしては、通常用いられる振動部外径がφ60mm、φ80mmのバイブレータを用いた。
【0062】
振動ローラを用いた締固めでは、運転質量が11.0tの振動ローラを用いた。振動ローラによる起振力は、2000kNであり、ローラ寸法は、直径1000mm×幅2100mmであった。
【0063】
大型の棒状バイブレータを用いた締固めでは、振動数200Hzで締固めを施工した。小型の棒状バイブレータを用いた締固めでは、振動数120Hzで締固めを施工した。
【0064】
締固め後のワーカビリティの良否判断について、「セメントペーストの浮き上がり量またはブリージングの発生量の観察」、「表面クラックの発生状況の確認」、「締固め後の密度測定」を行った。また、振動ローラを用いた締固めでは、締固め時のウェービングの状態を確認した。大型または小型の棒状バイブレータを用いた締固めでは、振動部の挿入跡の発生状況を確認した。これらの良否判断の結果を
図9に示す。
【0065】
図9から分かるように、実施例に係るグリーンカットずりをハイメッシュセパレータによって処理した再生骨材を用いた場合には、比較例1〜3に係る製造骨材と比較して、締め固め結果を良化させることができた。
図9では、優れた結果が得られた場合を「◎」で示し、良好な結果が得られた場合を「○」で示し、良い結果が得られなかった場合を「△」で示している。
【0066】
実施例及び比較例1〜3において、いずれの締固め方法を適用した場合も、必要な密度(2.35t/m
3以上)を確保することができた。振動ローラを用いて締固めた場合、実施例では比較例1〜3と比べてウェービングが無く、セメントペーストの浮き上がりが適当であり、表面クラックが少なかった。大型の棒状バイブレータを用いて締固めた場合、実施例では、表面クラックの発生状況が比較例1〜3と同程度であったが、挿入跡が残らず、ブリージングの発生量が適当であった。一方、小型の棒状バイブレータで締固めた場合、実施例は比較例1〜3と比べて大きな相違は見られなかった。
【0067】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。たとえば、上記実施形態における脱水工程後にグリーンカットずりの粒度試験を行い、この粒度試験の結果をスクリューコンベア51の回転数にフィードバックさせることもできる。
【0068】
粒度試験の結果をスクリューコンベア51の回転数にフィードバックさせるにあたり、グリーンカットずりの粒度を所定の基準となる基準粒度分布と比較し、例えば、0.3mm以下の微粒分が基準粒度分布よりも多い場合に、スクリューコンベア51の回転数を増加させ、例えば、0.3mm以下の微粒分が基準粒度分布よりも少ない場合に、スクリューコンベア51の回転数を減少させる。こうして、粒度試験の結果を沈降工程におけるスクリューコンベア51の回転数にフィードバックしてスクリューコンベア51の回転数を増加または減少させることにより、微粒分をさらに好適に取り除くことができる。詳しくは、振動部外径がφ90mm以上の棒状バイブレータや振動ローラ等の大型機械での締固め状況がワーカビリティに影響を及ぼす粒度範囲である0.3mm以下の微粒分を適度に残留させながら、微粒分を取り除くことができる。
【0069】
同様に、粒度試験の結果をプール52の水位、プール52に供給される水の供給水量にフィードバックするにあたり、所定の粒度分布と比較し、例えば0.30mm以下の微粒分が多い場合には、プール52の水位を上昇させる、及び/又はプール52に供給される水の供給水量を増加させる。粒度試験の結果に基づいて、所定の粒度分布と比較し、例えば0.30mm以下の微粒分が少ない場合には、プール52の水位を低下させる、及び/又はプール52に供給される水の供給水量を減少させる。こうして、粒度試験の結果を沈降工程におけるスクリューコンベア51の回転数にフィードバックすると共に、プール52の水位、又は/及びプール52に供給される水の供給水量を変更することにより、取り除かれる微粒分の量を好適に調整することができる。
【0070】
スクリューコンベア51の回転数が速ければ速いほど、グリーンカットずりがよく洗浄され、微粒分が流され易くなる。プール52の水位が高ければ高いほど、微粒分が流され易くなる。プール52に供給される水の供給水量が多ければ多いほど、微粒分が流され易くなる。
【0071】
上記実施形態では、篩い分け工程S2を実行後、沈降工程S3を実行しているが、グリーンカットずりを篩い分けせずに、プール52に投入して沈降させてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、再利用されたグリーンカットずりを含むコンクリートをコンクリート堤体の構築に適用しているが、その他のコンクリート構造物に適用してもよい。