(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5997072
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】油圧駆動装置
(51)【国際特許分類】
F15B 11/02 20060101AFI20160908BHJP
F15B 11/028 20060101ALI20160908BHJP
E02F 9/00 20060101ALI20160908BHJP
E02F 9/22 20060101ALN20160908BHJP
【FI】
F15B11/02 W
F15B11/028 A
E02F9/00 B
!E02F9/22 E
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-27817(P2013-27817)
(22)【出願日】2013年2月15日
(65)【公開番号】特開2014-156891(P2014-156891A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2015年2月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】龍 小平
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 賢人
【審査官】
加藤 一彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−116741(JP,A)
【文献】
実開昭56−106205(JP,U)
【文献】
特開昭59−106702(JP,A)
【文献】
米国特許第03370423(US,A)
【文献】
特開2004−183797(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0168269(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/02
F15B 11/028
E02F 9/00
E02F 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主油圧ポンプと、上記主油圧ポンプに吸い込まれた油が蓄えられたタンクと、上記主油圧ポンプから吐出された圧油によって作動する油圧アクチュエータと、上記油圧アクチュエータに供給された圧油の流れを制御する方向制御弁と、上記方向制御弁を切り換え操作する操作装置とを備えるとともに、
上記主油圧ポンプに吸い込まれた油を供給するサクション回路と、上記主油圧ポンプ、上記タンク、上記油圧アクチュエータ、上記方向制御弁、及び上記操作装置が含まれた油圧回路に設けられ、油圧回路内を流れる圧油の圧力を制御する圧力制御弁とを備えた油圧駆動装置において、
上記サクション回路がジェットポンプを含み、
上記ジェットポンプは、一端が上記主油圧ポンプの吸い込み口に接続されたサクション管路と、一端が上記圧力制御弁に接続された第1配管、一端が上記タンクに接続された第2配管とを含み、
上記第1配管の他端は、上記サクション管路、上記サクション管路と上記第2配管との接続部、及び上記第2配管のいずれかに接続されており、
上記ジェットポンプは、上記第1配管の他端が接続された箇所の近傍に位置している上記第1配管の部分に設けられたノズルを含み、
上記操作装置にパイロット圧を供給するパイロットポンプを備え、
上記圧力制御弁は、上記パイロットポンプの吐出圧を規定するパイロットリリーフ弁、上記主油圧ポンプの吐出圧を規定するメインリリーフ弁、及び上記油圧アクチュエータに背圧を与える背圧弁の少なくとも1つから成り、
上記圧力制御弁が、第1圧力制御弁と第2圧力制御弁とを含み、
上記ノズルが第1ノズルと第2ノズルとを含み、
上記第1配管は、上記第1圧力制御弁に接続されたものから成り、
上記第1ノズルは、上記第1配管に設けられており、
一端が上記第2圧力制御弁に接続されて他端が上記サクション管路、上記サクション管路と上記第2配管との上記接続部、及び上記第2配管のいずれかに接続された第3配管を備え、
上記第2ノズルは、上記サクション管路、上記サクション管路と上記第2配管との上記接続部、及び上記第2配管のいずれか該当するものの近傍に位置する上記第3配管の部分に設けられていることを特徴とする油圧駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の油圧駆動装置において、
上記第1配管と上記第2配管のなす角度は、90度以下に設定されていることを特徴とする油圧駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主油圧ポンプ、油圧アクチュエータ、方向制御弁、及び操作装置等を含む油圧回路内を流れる圧油の圧力を制御するリリーフ弁等の圧力制御弁を備えた油圧ショベルなどに設けられる油圧駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図
6は、この種の従来の油圧駆動装置の基本構成を示す油圧回路図である。この図
6に示す従来技術は、エンジン51によって駆動される主油圧ポンプ52及びパイロットポンプ53と、主油圧ポンプ52及びパイロットポンプ53によって吸い込まれ
た油が蓄えられ
たタンク54とを備えている。また、主油圧ポンプ52から吐出され
た圧油によって作動する油圧アクチュエータ55と、この油圧アクチュエータ55に供給され
た圧油の流れを制御する方向制御弁56と、この方向制御弁56を切り換え操作する操作装置57とを備えている。
【0003】
さらに、この従来技術は、主油圧ポンプ52に吸い込まれ
た油を供給するサクション回路と、上述した主油圧ポンプ52、パイロットポンプ53、タンク54、油圧アクチュエータ55、方向制御弁56、及び操作装置57が含まれ
た油圧回路
に設けられ、油圧回路内を流れる圧油の圧力を制御する圧力制御弁とを備えている。
【0004】
上述した圧力制御弁は、例えばパイロットポンプ53の吐出圧を規定するパイロットリリーフ弁58、主油圧ポンプ52の吐出圧を規定する図示しないメインリリーフ弁、油圧アクチュエータ55に背圧を与える背圧弁59等によって構成されている。これらのパイロットリリーフ弁58、図示しないメインリリーフ弁、及び背圧弁59のそれぞれはタンク54に連絡されている。すなわち、パイロットリリーフ弁58、図示しないメインリリーフ弁、及び背圧弁59のそれぞれから流出した油圧回路内の圧油はタンク54に戻されるようになっている。
【0005】
このような従来技術にあって、サクション回路から主油圧ポンプ52に十分な油が供給されないと、主油圧ポンプ52の吸い込み口付近が負圧になり、キャビテーションが発生する。これによって、主油圧ポンプ52の吸い込み効率が低下する。また、騒音、エローションが起きやすい。
【0006】
主油圧ポンプ52に十分な圧油を供給することを考慮して、図
6に示す従来技術のサクション回路に特許文献1に示されるようなジェットポンプを設け、このジェットポンプの油の噴射力を活用して主油圧ポンプ52に油を供給することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平1−294954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図
6に示す従来技術において特許文献1に示されるようなジェットポンプを設けることを考慮した場合には、ジェットポンプの圧油供給源を別に設けることが必要になる。これにより、当該油圧駆動装置の部品数が増加し、製作コストが高くなってしまう問題がある。
【0009】
また、図
6に示すような一般的な従来技術では、パイロットリリーフ弁58、図示しないメインリリーフ弁、及び背圧弁59などから成る圧力制御弁を通過した油は、タンク54に無駄に捨てられている。この点でエネルギ損失を生じており、経済性の点で問題がある。
【0010】
本発明は、上述した従来技術における実情からなされたもので、その目的は、油圧回路内の部品数を増加させずにジェットポンプを設けることができ、また、圧力制御弁に関係するエネルギ損失を抑制することができる油圧駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するために、本発明は、主油圧ポンプと、上記主油圧ポンプに吸い込まれ
た油が蓄えられ
たタンクと、上記主油圧ポンプから吐出され
た圧油によって作動する油圧アクチュエータと、上記油圧アクチュエータに供給され
た圧油の流れを制御する方向制御弁と、上記方向制御弁を切り換え操作する操作装置とを備えるとともに、上記主油圧ポンプに吸い込まれ
た油を供給するサクション回路と、上記主油圧ポンプ、上記タンク、上記油圧アクチュエータ、上記方向制御弁、及び上記操作装置が含まれ
た油圧回路
に設けられ、油圧回路内を流れる圧油の圧力を制御する圧力制御弁とを備えた油圧駆動装置において、上記サクション回路がジェットポンプを含み、上記ジェットポンプは、一端が上記主油圧ポンプの吸い込み口に接続され
たサクション管路と、一端が上記圧力制御弁に接続され
た第1配管、一端が上記タンクに接続され
た第2配管とを含み、上記第1配管の他端
は、上記サクション管路、上記サクション管路と上記第2
配管との接続部、及び上記第2配管のいずれかに接続
されており、上記ジェットポンプは、上記第1配管の他端が接続され
た箇所の近傍に位置
している上記第1配管の部分に設け
られたノズルを含み、上記操作装置にパイロット圧を供給するパイロットポンプを備え、上記圧力制御弁は、上記パイロットポンプの吐出圧を規定するパイロットリリーフ弁、上記主油圧ポンプの吐出圧を規定するメインリリーフ弁、及び上記油圧アクチュエータに背圧を与える背圧弁の少なくとも1つから成
り、上記圧力制御弁が、第1圧力制御弁と第2圧力制御弁とを含み、上記ノズルが第1ノズルと第2ノズルとを含み、上記第1配管は、上記第1圧力制御弁に接続されたものから成り、上記第1ノズルは、上記第1配管に設けられており、一端が上記第2圧力制御弁に接続されて他端が上記サクション管路、上記サクション管路と上記第2配管との上記接続部、及び上記第2配管のいずれかに接続された第3配管を備え、上記第2ノズルは、上記サクション管路、上記サクション管路と上記第2配管との上記接続部、及び上記第2配管のいずれか該当するものの近傍に位置する上記第3配管の部分に設けられていることを特徴としている。
【0012】
このように構成した本発明は、油圧回路内を流れる圧油の圧力を制御する圧力制御弁から第1配管に導かれた油が第1配管に設けたノズルから高速で噴射される際に、タンク圧よりも低い圧力領域が形成される。これによってタンクの油が第2配管を介してサクション管路に吸い上げられる。すなわち、ジェットポンプの作用により主油圧ポンプに第1配管及びノズルを介して導かれ
た油と、タンクから第2配管に導かれ
た油とを合流させた十分な量の油を供給することができる。ここで本発明は、ジェットポンプの圧油供給源が、当該油圧回路内を流れる圧油の圧力を制御する圧力制御弁であることから、特別な圧油供給源を設けることを要さない。
また、圧力制御弁を通過した油をタンクに捨てることなくジェットポンプに供給して活用することができる。すなわち本発明は、油圧回路内の部品数を増加させずにジェットポンプを設けることができ、また、圧力制御弁に関係するエネルギ損失を抑制することができる。また、第1圧力制御弁から第1配管及び第1ノズルを介して供給された油、及び第2配管を介して供給されたタンクからの油と、第2圧力制御弁から第3配管、及び第2ノズルを介して供給された油とを合流させてサクション管路に供給することができる。これによって、さらに安定した十分な量の油を主油圧ポンプに供給することができる。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、上記第1配管と上記第2配管のなす角度
は、90度以下に設定
されていることを特徴としている。
【0014】
このように構成した本発明は、第1配管を介して供給され
た油の流れと、第2配管を介して供給され
た油の流れとを対抗させずにサクション管路に供給することができる。すなわち、本発明は、第1配管の油と第2配管の油とを円滑に合流させて主油圧ポンプに供給することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、油圧回路
に設けられ、油圧回路内を流れる圧油の圧力を制御する圧力制御弁をジェットポンプの圧油供給源としたことから、油圧回路内の部品数を増加させずにジェットポンプを設けることができる。これにより本発明は、主油圧ポンプの吸い込み性能を向上させることができるとともに、サクション回路にジエットポンプを設け
た場合に考えられる製作コストの増加を抑えることができる。また本発明は、圧力制御弁から流出した油を従来のように無駄にタンクに捨てることがなく、圧力制御弁に関係するエネルギ損失を抑制でき、これによる経済性を従来よりも向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明
者らが先に考案した参考例1を示す油圧回路図である。
【
図2】
参考例1に備えられるジェットポンプの構成を示す図である。
【
図3】本発明
者らが先に考案した参考例2を示す油圧回路図である。
【
図4】本発明
に係る油圧駆動装置の一実施形態を示す油圧回路図である。
【
図5】
本実施形態に備えられるジェットポンプの構成を示す図である。
【
図6】
従来の一般的な油圧駆動装置の基本構成を示す油圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る油圧駆動装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は本発明
者らが先に考案した参考例1を示す油圧回路図、
図2は
参考例1に備えられるジェットポンプの構成を示す図である。
【0019】
図1に示すように、
参考例1に係る油圧駆動装置の基本構成は、前述した図
6に示したものと例えば同じである。この
参考例1は、建設機械例えば油圧ショベルに備えられ
た油圧駆動装置であり、この
参考例1も、前述した図
6に示したものと同様に、エンジン1によって駆動される主油圧ポンプ2及びパイロットポンプ3と、主油圧ポンプ2及びパイロットポンプ3によって吸い込まれ
た油が蓄えられ
たタンク4とを備えている。また、主油圧ポンプ2から吐出され
た圧油によって作動する油圧アクチュエータ5と、この油圧アクチュエータ5に供給され
た圧油の流れを制御する方向制御弁6と、この方向制御弁6を切り換え操作する操作装置7とを備えている。
【0020】
また、この
参考例1も、主油圧ポンプ2に吸い込まれ
た油を供給するサクション回路と、上述した主油圧ポンプ2、パイロットポンプ3、タンク4、油圧アクチュエータ5、方向制御弁6、及び操作装置7が含まれ
た油圧回路
に設けられ、油圧回路内を流れる圧油の圧力を制御する圧力制御弁とを備えている。
【0021】
上述した圧力制御弁は、パイロットポンプ3の吐出圧を規定するパイロットリリーフ弁8、主油圧ポンプ2の吐出圧を規定する図示しないメインリリーフ弁、及び油圧アクチュエータ5に背圧を与える背圧弁9を含んでいる。図示しないメインリリーフ弁と背圧弁9は、タンク4に連絡されている。
【0022】
この
参考例1は、サクション回路に、ジェットポンプ10を備えている。このジェットポンプ10は、
図2にも示すように、一端が主油圧ポンプ2の吸い込み口に接続され
たサクション管路11と、一端が圧力制御弁、例えばパイロットリリーフ弁8に接続され
た第1配管12と、サクション管路11の他端に接続され
ており、タンク4に連絡され
た第2配管14とを含んでいる。第1配管12と第2配管14のなす角度αは、90度以下に設定
されている。
【0023】
第1配管12の他端は、サクション管路11、サクション管路11と第2配管14とを接続するチャンバから成る接続部13、及び第2配管14のいずれかに、例えば接続部13に接続してある。また、ジェットポンプ10は、第1配管12の他端が接続される接続部13の近傍に位置する第1配管12の部分に設けたノズル15を含んでいる。
【0024】
主油圧ポンプ2の吸い込み口と、接続部13との距離Lは、例えばサクション管路11の直径の2倍以上、100倍以下の距離に設定される。すなわち距離Lは、サクション管路11に導かれる油に溶けていた空気が油から放出された後、主油圧ポンプ2の吸い込み口に至るまでに再び油内に戻すのに必要な最小距離と、ジェットポンプ10によって油を主油圧ポンプ2に供給可能な最大距離を考慮して決められる。ジェットポンプ10の噴射力を活用して油を主油圧ポンプ2に送ることから、前述の図
6に示したようにジェットポンプ10を設けない場合に比べて、サクション管路11を長く設定することが可能となる。
【0025】
このように構成した
参考例1は、パイロットポンプ3から吐出され
たパイロット圧の圧力を規定するパイロットリリーフ弁8から第1配管12に導かれた油が、第1配管12に設けたノズル15から高速で噴射され
た際に、タンク圧よりも低い圧力領域が形成される。これにより、ノズル15から噴射される油の流れに伴ってタンク4に蓄えられていた油が第2配管14に吸い上げられ、第1配管12及びノズル15から導かれ
た油と、第2配管14に導かれ
た油とが合流して、これらの合流による十分な量の油を主油圧ポンプ2に供給することができる。
【0026】
ここで例えば、パイロットポンプ3は、圧力4MPa、流量30L/minの供給力のパイロツト圧を吐出し、20L/minは方向制御弁6の切り換え制御に活用されるものとする。また、パイロットリリーフ弁8における圧損は、1MPaとする。このときに、ジェットポンプ10に供給される圧油の供給力は、
(4−1)×(30−20)=30〔MPa・L/min〕
となる。
【0027】
これに対して、前述した図
6に示した一般的な油圧駆動装置にあっては、主油圧ポンプ52の負圧が大きすぎると吸い込み口にキャビテーションが大量に発生して主油圧ポンプ52の吸い込み性能が低下することから主油圧ポンプ52における吸い込み圧力は0.1MPa程度に抑えられる。したがって、主油圧ポンプ52の流量が仮に200L/minであるとすると、この主油圧ポンプ52の吸い込み力は、
200×0.1=20〔MPa・L/min〕
となる。このように、上述した
参考例1のパイロットリリーフ弁8を通過した油の供給力は、主油圧ポンプ52の吸い込み力よりも大きくなる。
【0028】
このように構成した
参考例1は、ジェットポンプ10の圧油供給源が、油圧回路内に通常設けられるパイロットリリーフ弁8であることから、特別な圧油供給源を設けることを要しない。また、パイロットリリーフ弁8を通過した油をタンク4に捨てることなくジェットポンプ10に供給して活用することができる。
【0029】
すなわち、
参考例1によれば、油圧回路内の部品数を増加させずにジェットポンプ10を設けることができる。これにより、主油圧ポンプ2の吸い込み性能を向上させることができるとともに、サクション回路にジェットポンプ10を設け
た場合に考えられる製作コストの増加を抑えることができる。また、この
参考例1は、パイロットリリーフ弁8から流出した油を無駄にタンク4に捨てることがないので、パイロットリリーフ弁8に関係するエネルギ損失を抑制でき、これにより経済性を向上させることができる。
【0030】
また、この
参考例1は、ジェットポンプ10の第1配管12と第2配管14のなす角度α
は、90度以下に設定
されているので、第1配管12を介して接続部13に供給され
た油の流れと、第2配管14を介して接続部13に供給され
た圧油の流れとを対抗させずにサクション管路11に供給することができる。すなわち、
参考例1によれば、第1配管12の油と第2配管14の油とを円滑に合流させて主油圧ポンプ2に供給することができる。
【0031】
なお、上記
参考例1は、ジェットポンプ10の圧油供給源がパイロットリリーフ弁8から成っているが、パイロットリリーフ弁8に代えて、主油圧ポンプ2の吐出圧を規定する図示しないメインリリーフ弁をジェットポンプ10の圧油供給源としてもよい。
【0032】
図3は本発明
者らが先に考案した参考例2を示す油圧回路図である。
【0033】
この
図3に示す
参考例2は、ジェットポンプ20が、一端が主油圧ポンプ2の吸い込み口に接続され
たサクション管路11と、一端が油圧アクチュエータ5に背圧を与える背圧弁9に接続され
た第1配管21と、サクション管路11の他端及び第1配管21の他端がそれぞれ接続され
た接続部13と、一端が接続部13に接続され
ており、他端がタンク4に連絡され
た第2配管14と、接続部13の近傍に位置する第1配管21の部分に設けたノズル22とを含む構成にしてある。なお、パイロットリリーフ弁8はタンク4に連絡させてある。その他の構成は
参考例1と同等である。
【0034】
このように構成した
参考例2も、
参考例1と同様に、背圧弁9を通過した油をタンク4に捨てることなくジェットポンプ10に供給して活用し、主油圧ポンプ2の吸い込み性能を向上させることができる。また、通常設けられる背圧弁9を活用することにより油圧回路内の部品数を増加させずにジェットポンプ20を設けることができ、製作コストの増加を抑えることができる。また、背圧弁9に関係するエネルギ損失を抑制でき、これにより経済性を向上させることができる。
【0035】
さらに、この
参考例2によれば、背圧弁9を通過した圧油の高い圧力を活用して第1配管21に導かれた圧油をノズル22から噴射させて接続部13、及びサクション管路11に供給するので、タンク4の油を第2配管14を介して吸い上げる力を強めることができ、主油圧ポンプ2に対する圧油の供給力を高めることができる。
【0036】
図4は本発明
に係る油圧駆動装置の一実施形態を示す油圧回路図、
図5は
本実施形態に備えられるジェットポンプの構成を示す図である。
【0037】
本実施形態は、ジェットポンプ30の圧油供給源となる圧力制御弁が、第1圧力制御弁を構成するパイロットリリーフ弁8と、第2圧力制御弁を構成する背圧弁9とから成っている。また、ノズルが、第1ノズル32と第2ノズル33とから成っている。第1配管12はパイロットリリーフ弁8に接続され
ており、接続部13の近傍に位置する第1配管12の部分に第1ノズル32を設けてある。
【0038】
サクション管路11は、一端が主油圧ポンプ2の吸い込み口に接続され
ており、他端が接続部13に接続されている。第2配管14は、一端が接続部13においてサクション管路11に接続され
ており、他端をタンク4に連絡させてある。
【0039】
また、
本実施形態は、一端が背圧弁9に接続され
ており、他端がサクション管路11、接続部13、及び第2配管14のいずれかに、例えばサクション管路11に接続され
た第3配管31を備えている。また、サクション管路11、接続部13、及び第2配管14のいずれか該当するものの近傍、今の場合はサクション管路11の近傍に位置する第3配管31の部分に、第2ノズル33を設けてある。その他の構成は
参考例1と同等である。
【0040】
このように構成した
本実施形態も、パイロットリリーフ弁8及び背圧弁9をそれぞれ通過した油をタンク4に捨てることなくジェットポンプ30に供給して活用し、主油圧ポンプ2の吸い込み性能を向上させることができる。また、油圧回路内に通常設けられるパイロットリリーフ弁8及び背圧弁9を活用することにより、油圧回路内の部品数を増加させずにジェットポンプ30を設けることができ、製作コストの増加を抑えることができる。また、パイロットリリーフ弁8及び背圧弁9に関係するエネルギ損失を抑制でき、これにより経済性を向上させることができる。
【0041】
また、パイロットリリーフ弁8を通過した圧油の高い圧力や、
参考例2と同様に、背圧弁9を通過した圧油の高い圧
力を活用して主油圧ポンプ2に対する圧油の供給力を高めることができる。
【0042】
さらに、
本実施形態によれば、パイロットリリーフ弁8から第1配管12及び第1ノズル32を介して供給され
た油、及び第2配管14を介して供給され
たタンク4からの油と、背圧弁9から第3配管31及び
第2ノズル33を介して供給され
た油とを合流させてサクション管路11に供給することができる。これによって、さらに安定した十分な量の油を主油圧ポンプ2に供給することができ
る。
【符号の説明】
【0043】
1 エンジン
2 主油圧ポンプ
3 パイロットポンプ
4 タンク
5 油圧アクチュエータ
6 方向制御弁
7 操作装置
8 パイロットリリーフ弁(第1圧力制御弁)
9 背圧弁(第2圧力制御弁)
10 ジェットポンプ
11 サクション管路
12 第1配管
13 接続部
14 第2配管
15 ノズル
20 ジェットポンプ
21 第1配管
22 ノズル
30 ジェットポンプ
31 第3配管
32 第1ノズル
33 第2ノズ
ル