(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記車載器は、前記歩行者横断支援装置から送信された、前記歩行者が道路を横断することを示す情報をドライバに対して提示させるための信号を受信したときに、仮想的な信号機又は仮想的な横断歩道を表示し、あるいは音声により前記歩行者が道路を横断することを示す情報をドライバに対して提示する請求項5記載の歩行者横断支援システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記の特許文献1、2に記載の技術では、人を検出し車両に停止を促すものの、車両側にポイントのフィードバックなどのメリットがないため、車両側が停止することが保証されない、という問題がある。
【0011】
上記の特許文献3に記載の技術では、車両が獲得した画像から死角部位の仮想体を描画するが、死角にいる歩行者が必ずしも検出できるとは限らないため、歩行者を確実に抽出できるとは限らない、という問題がある。
【0012】
上記の特許文献4に記載の技術では、歩行者の端末に応じて信号機を抑制するため、信号機のある横断歩道以外の場所では機能しないため、信号機のない横断歩道や横断歩道のない道路を歩行者が安全に横断することができない、という問題がある。
【0013】
上記の特許文献5に記載の技術では、衝突の可能性がある場合のみ動作するため、例えば横断歩道脇で横断を待っている歩行者がなかなか横断歩道を渡れない場合が生じる可能性がある、という問題がある。また、車両側にポイントのフィードバックなどのメリットがないため、衝突可能性が低い場合に車両が停止した場合、ドライバが不快に思う可能性がある、という問題がある。
【0014】
上記の特許文献6に記載の技術では、自主的に道を譲った場合に車両間でポイントが移行するが、陽に停止を促す仕組みはない、という問題がある。
【0015】
上記の特許文献7に記載の技術では、車両が自主的に「譲り」行為を行った場合にポイントが加算されるが、陽に停止(譲り)を促す仕組みはない、という問題がある。
【0016】
本発明は、上述した問題を解決するために成されたものであり、道路の任意の地点において、歩行者の横断を効果的に支援することができる歩行者横断支援装置、歩行者横断支援システム、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために本発明の歩行者横断支援装置は、歩行者側の携帯端末から送信される、前記携帯端末の位置情報を含む歩行者情報を取得する歩行者情報取得手段と、車両に搭載された車載器から送信される、前記車両の位置情報を含む車両情報を取得する車両情報取得手段と、前記歩行者情報取得手段によって取得した前記歩行者情報に基づいて、前記歩行者が道路を横断する可能性があるか否かを判定し、歩行者が横断する可能性があると判定された地点の横断候補領域を特定する歩行者横断判定手段と、前記車両情報取得手段によって取得した前記車両情報に基づいて、前記歩行者横断判定手段によって特定された前記横断候補領域に対応する道路部分に接近する車両を検索する横断地点車両検索手段と、前記横断地点車両検索手段によって検索された車両に搭載された前記車載器に対して、歩行者が道路を横断することを示す情報をドライバに対して提示させるための信号を送信する提示制御手段と、前記歩行者横断判定手段によって特定された前記横断候補領域で道路を横断する可能性がある前記歩行者について前記歩行者情報手段により取得される前記歩行者情報と、前記横断地点車両検索手段によって検索された前記車両について前記車両情報取得手段によって取得される前記車両情報とに基づいて、前記横断候補領域に対応する道路部分の手前で前記車両の速度が低下又は停止した場合に、前記車両の車両IDに対する謝礼を贈る謝礼贈答手段と、を含んで構成されている。
【0018】
本発明のプログラムは、コンピュータを、歩行者側の携帯端末から送信される、前記携帯端末の位置情報を含む歩行者情報を取得する歩行者情報取得手段、車両に搭載された車載器から送信される、前記車両の位置情報を含む車両情報を取得する車両情報取得手段、前記歩行者情報取得手段によって取得した前記歩行者情報に基づいて、前記歩行者が道路を横断する可能性があるか否かを判定し、歩行者が横断する可能性があると判定された地点の横断候補領域を特定する歩行者横断判定手段、前記車両情報取得手段によって取得した前記車両情報に基づいて、前記歩行者横断判定手段によって特定された前記横断候補領域に対応する道路部分に接近する車両を検索する横断地点車両検索手段、前記横断地点車両検索手段によって検索された車両に搭載された前記車載器に対して、歩行者が道路を横断することを示す情報をドライバに対して提示させるための信号を送信する提示制御手段、及び前記歩行者横断判定手段によって特定された前記横断候補領域で道路を横断する可能性がある前記歩行者について前記歩行者情報手段により取得される前記歩行者情報と、前記横断地点車両検索手段によって検索された前記車両について前記車両情報取得手段によって取得される前記車両情報とに基づいて、前記横断候補領域に対応する道路部分の手前で前記車両の速度が低下又は停止した場合に、前記車両の車両IDに対する謝礼を贈る謝礼贈答手段として機能させるためのプログラムである。
【0019】
本発明によれば、歩行者情報取得手段によって、歩行者側の携帯端末から送信される、前記携帯端末の位置情報を含む歩行者情報を取得する。車両情報取得手段によって、車両に搭載された車載器から送信される、前記車両の位置情報を含む車両情報を取得する。
【0020】
そして、歩行者横断判定手段によって、前記歩行者情報取得手段によって取得した前記歩行者情報に基づいて、前記歩行者が道路を横断する可能性があるか否かを判定し、歩行者が横断する可能性があると判定された地点の横断候補領域を特定する。横断地点車両検索手段によって、前記車両情報取得手段によって取得した前記車両情報に基づいて、前記歩行者横断判定手段によって特定された前記横断候補領域に対応する道路部分に接近する車両を検索する。
【0021】
そして、提示制御手段によって、前記横断地点車両検索手段によって検索された車両に搭載された前記車載器に対して、歩行者が道路を横断することを示す情報をドライバに対して提示させるための信号を送信する。謝礼贈答手段によって、前記歩行者横断判定手段によって特定された前記横断候補領域で道路を横断する可能性がある前記歩行者について前記歩行者情報手段により取得される前記歩行者情報と、前記横断地点車両検索手段によって検索された前記車両について前記車両情報取得手段によって取得される前記車両情報とに基づいて、前記横断候補領域に対応する道路部分の手前で前記車両の速度が低下又は停止した場合に、前記車両の車両IDに対する謝礼を贈る。
【0022】
このように、携帯端末からの歩行者情報及び車載器からの車両情報に基づいて、歩行者が横断する可能性があると判定された地点の横断候補領域に対応する道路部分に接近する車両に搭載された車載器に対して、歩行者が道路を横断することを示す情報をドライバに対して提示させ、横断候補領域に対応する道路部分の手前で車両の速度が低下又は停止した場合に、車両の車両IDに対応する謝礼を贈ることにより、道路の任意の地点において、歩行者の横断を効果的に支援することができる。
【0023】
本発明に係る謝礼贈答手段は、前記歩行者の道路横断の困難度合い、前記歩行者の属性、及び前記車両の挙動の少なくとも1つに基づいて、加算する前記謝礼ポイント又は金額を計算するようにすることができる。
【0024】
本発明に係る歩行者横断支援装置は、前記歩行者横断判定手段によって特定された前記横断候補領域で道路を横断する可能性がある前記歩行者について前記歩行者情報手段により取得される前記歩行者情報に基づいて、前記横断候補領域内における前記歩行者の滞在時間を計測する横断地点計測手段を更に含み、前記謝礼贈答手段は、前記歩行者の道路横断の困難度合いとして、前記計測された滞在時間に基づいて、加算する前記謝礼ポイント又は金額を計算するようにすることができる。
【0025】
本発明に係る歩行者横断支援装置は、前記横断地点車両検出手段によって検出された前記車両について前記車両情報取得手段によって取得される前記車両情報に基づいて、前記横断候補領域内における前記歩行者の滞在時間内での、前記横断候補領域に対応する道路部分の通過台数を計測する横断地点計測手段を更に含み、前記謝礼贈答手段は、前記車両の挙動として、前記計測された通過台数に基づいて、加算する前記謝礼ポイント又は金額を計算するようにすることができる。
【0026】
本発明に係る歩行者横断支援装置は、前記歩行者情報手段により取得される前記歩行者情報に基づいて、各歩行者について、前記歩行者が前記横断候補領域内に存在するか否か、及び前記横断候補領域内における前記歩行者の滞在時間を計測する歩行者計測手段を更に含み、前記歩行者横断判定手段は、各歩行者について、前記歩行者計測手段によって計測された、前記横断候補領域内における前記歩行者の滞在時間が、所定時間以上である場合に、前記歩行者が道路を横断する可能性があると判定し、歩行者が横断する可能性があると判定された地点の横断候補領域を特定するようにすることができる。
【0027】
本発明に係る歩行者横断支援装置は、前記横断候補領域毎に、歩行者の横断を支援した回数を記憶する記憶手段と、前記歩行者横断判定手段によって特定された前記横断候補領域で道路を横断する可能性がある前記歩行者について前記歩行者情報手段により取得される前記歩行者情報と、前記横断地点車両検索手段によって検索された前記車両について前記車両情報取得手段によって取得される前記車両情報とに基づいて、前記横断候補領域に対応する道路部分の手前で前記車両の速度が低下又は停止した場合に、前記記憶手段に記憶されている前記横断候補領域における前記支援した回数を加算する支援回数管理手段と、支援回数が閾値以上となる横断候補領域を、横断歩道又は信号機の設置候補領域として判定する設置候補領域判定手段と、を更に含むようにすることができる。
【0028】
本発明に係る歩行者横断支援システムは、自端末の位置情報を含む歩行者情報を送信する歩行者側の携帯端末と、車両に搭載され、前記車両の位置情報を含む車両情報を送信する車載器と、上記の歩行者横断支援装置と、を含んで構成されている。
【0029】
上記の車載器は、前記歩行者横断支援装置から送信された、前記歩行者が道路を横断することを示す情報をドライバに対して提示させるための信号を受信したときに、仮想的な信号機又は仮想的な横断歩道を表示し、あるいは音声により前記歩行者が道路を横断することを示す情報をドライバに対して提示するようにすることができる。
【0030】
なお、本発明のプログラムを記憶する記憶媒体は、特に限定されず、ハードディスクであってもよいし、ROMであってもよい。また、CD−ROMやDVDディスク、光磁気ディスクやICカードであってもよい。更にまた、該プログラムを、ネットワークに接続されたサーバ等からダウンロードするようにしてもよい。
【発明の効果】
【0031】
以上説明したように、本発明によれば、携帯端末からの歩行者情報及び車載器からの車両情報に基づいて、歩行者が横断する可能性があると判定された地点の横断候補領域に対応する道路部分に接近する車両に搭載された車載器に対して、歩行者が道路を横断することを示す情報をドライバに対して提示させ、横断候補領域に対応する道路部分の手前で車両の速度が低下又は停止した場合に、車両の車両IDに対応する謝礼を贈ることにより、道路の任意の地点において、歩行者の横断を効果的に支援することができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0034】
図1に示すように、第1の実施の形態に係る歩行者横断支援システム10は、複数の車両の各々に搭載された車載器12と、複数の歩行者の各々が携帯する携帯端末14と、歩行者横断支援サービスを提供するサービス提供会社側に設けられたサーバ16とを備えている。車載器12と携帯端末14とサーバ16とは、インターネットなどのネットワーク18を介して接続されている。なお、サーバ16は、歩行者横断支援装置の一例である。
【0035】
車載器12は、ネットワーク18を介してデータの送受信を行うための通信部20と、GPSを用いて自車両の位置を計測するGPS計測部22と、自車両の車速を計測する速度計測部24と、入力操作部(図示省略)を介して入力された目的地までの経路を記憶する経路記憶部26と、ヘッドアップディスプレイなどを用いて構成される、ドライバに対して情報を表示する表示部28と、を備えている。
【0036】
通信部20は、GPS計測部22及び速度計測部24による計測結果と、目的地までの経路を示す経路情報と、当該車両の車両IDとを含む車両情報を、所定時間毎にサーバ16に対して送信する。また、通信部20は、表示部28の表示を制御するための信号を、サーバ16から受信する。
【0037】
携帯端末14は、ネットワーク18を介してデータの送受信を行うための通信部30と、GPSを用いて自端末の位置を計測するGPS計測部32と、自端末の速度を計測する速度計測部34と、入力操作部(図示省略)を介して入力された目的地までの経路を記憶する経路記憶部36と、を備えている。
【0038】
通信部30は、GPS計測部32及び速度計測部34による計測結果と、目的地までの経路を示す経路情報と、予め定められた当該歩行者の歩行者IDと、予め定められた当該歩行者の属性(例えば、一般会員又はプレミアム会員)とを含む歩行者情報を、所定時間毎にサーバ16に対して送信する。
【0039】
また、携帯端末14は、
図2(A)に示すように表示画面に表示された横断要請ボタンを歩行者が押すことで、横断要請を受け付ける。このとき、通信部30は、横断要請メッセージを更に含む歩行者情報を、サーバ16に対して送信する。また、携帯端末14は、
図2(B)に示すように表示画面に表示されたThank youボタンを歩行者が押すことで、謝礼を受け付けるようにしてもよい。このとき、通信部30は、謝礼情報を更に含む歩行者情報を、サーバ16に対して送信する。
【0040】
サーバ16は、CPUと、RAMと、後述する歩行者横断判定処理ルーチン及び横断地点車両管理処理ルーチンを実行するためのプログラムを記憶したROMとを備えた通常のサーバから構成されている。サーバ16は、ネットワーク18を介してデータの送受信を行うための通信部40と、各地点の横断候補領域を格納した横断候補領域地図を記憶した地図データベース42と、携帯端末14から送信される歩行者情報を管理する歩行者情報管理部44と、車載器12から送信される車両情報を管理する車両情報管理部46と、携帯端末14を持つ歩行者が道路を横断する可能性があるか否かを判定する歩行者横断判定部48と、歩行者が道路を横断する可能性があると判定された地点を含む横断候補領域に対応する道路部分に接近する車両の車両情報を管理する横断地点車両管理部50と、歩行者が道路を横断する可能性があると判定された地点を含む横断候補領域に対応する道路部分に接近する車両の車載器12に対して、停止を促すメッセージを表示部28に表示させるための停止依頼信号を、通信部40により送信させる表示制御部52と、歩行者が道路を横断する可能性があると判定された歩行者の道路の横断のために停止した車両に対して、謝礼ポイントを計算する謝礼贈答部54と、車両毎に、謝礼ポイントの累積値を記憶した謝礼ポイント記憶部56と、横断候補領域毎に、当該サービスにより横断を支援した回数を記憶した横断地点記憶部58と、横断地点記憶部58に記憶された回数に基づいて、横断歩道や信号機を設定する候補領域を判定する設置候補領域判定部60とを備えている。なお、歩行者情報管理部44は、歩行者情報取得手段及び歩行者計測手段の一例であり、車両情報管理部46は、車両情報取得手段の一例である。横断地点車両管理部50は、横断地点車両検索手段、横断地点計測手段、支援回数管理手段の一例である。表示制御部52は、提示制御手段の一例である。
【0041】
地図データベース42は、例えば、
図3に示すような、地図情報から事前に定義された道路脇からNmの領域である横断候補領域を各地点について記憶している。ここで、Nは、例えば、特開2004‐145433号公報などに記載の方法を用いて、歩行者の速度や道路幅員などから求められる。
【0042】
歩行者情報管理部44は、
図4に示すように、歩行者毎に、受信した歩行者情報に基づいて、当該歩行者の現在位置(経度、緯度)、平均速度、属性、及び経路情報を管理する。また、歩行者情報管理部44は、歩行者横断判定部48の処理結果に基づいて、歩行者毎に、当該歩行者が横断候補領域内かどうか、横断候補領域内に当該歩行者が滞在している滞在時間を更に管理する。
【0043】
車両情報管理部46は、
図5に示すように、車両毎に、受信した車両情報に基づいて、当該車両の現在位置(経度、緯度)、平均速度、経路情報を管理する。
【0044】
歩行者横断判定部48は、歩行者毎に、当該歩行者の現在位置、速度、経路情報に基づいて、道路を横断する可能性があるか否かを判定する。具体的には、歩行者の現在位置が、地図データベース42に記憶されている横断候補領域又は経路情報に基づいて特定される横断候補領域内であって、当該横断候補領域内の滞在時間が閾値以上である場合には、道路を横断する可能性があると判定すると共に、地図データベース42に記憶されている横断候補領域又は経路情報に基づいて特定される横断候補領域から、当該道路を横断する可能性がある地点の横断候補領域を特定する。
【0045】
ここで、経路情報に基づいて特定される横断候補領域とは、
図6に示すような、歩行者の経路上の道路脇からMmの領域である。Mは、例えば、特開2004‐145433号公報などに記載の方法を用いて、歩行者の速度や道路幅員などから求められる。
【0046】
また、歩行者横断判定部48は、横断候補領域でない地点に歩行者がいる場合でも、歩行者からの横断要請を受信した場合には、横断候補領域に歩行者がいるのと同じように歩行者は横断の可能性があると判定する。
【0047】
横断地点車両管理部50は、車両情報管理部46によって管理している各車両の位置及び速度に基づいて、歩行者横断判定部48において特定された、歩行者が道路を横断する可能性がある地点の横断候補領域の各々について、当該横断候補領域の周囲の車両を検索し、当該横断候補について検索された車両の進行方向に、当該横断候補領域が存在するか否かを判定する。当該横断候補について検索された車両の進行方向に、当該横断候補領域が存在すると判定されると、当該車両の車両IDを表示制御部52へ出力する。表示制御部52は、当該車両の車両IDに対応するアドレスを用いて、当該車両の車載器12に対して、停止依頼信号を送信するように通信部40を制御する。
【0048】
これによって、停止依頼信号を受信した車載器12は、
図7に示すように、表示部28により、フロントガラスに停止依頼を表示する。このように、表示はフロントガラスに疑似的な横断歩道が提示されるなどの方法をとることで、ドライバに停止するかどうかの主権を与えてドライバが不快にならないようにする。なお、ナビゲーションシステムの表示画面に、停止依頼を表示してもよい。
【0049】
この際、ドライバに獲得できるポイントを知らせるため、一般会員とプレミア会員の表示の色を変えるなどの方法をとっても良い(
図8)。一般会員とプレミア会員などの属性は支払った会費によって決めても良いし、幼児をプレミア会員、健康な大人を一般会員とするなどしてもよい。この場合には、当該車両の車載器12に対して、停止依頼信号と共に、横断する可能性がある歩行者の属性を送信するように通信部40を制御する。
【0050】
また、横断地点車両管理部50は、車両情報管理部46によって管理している各車両の位置及び速度と、車両情報管理部46によって管理している、道路を横断する可能性がある各歩行者の位置及び速度とに基づいて、歩行者横断判定部48において特定された、歩行者が道路を横断する可能性がある地点の横断候補領域の各々について、
図9に示すように、当該横断候補領域に対応する道路地点を通過した通過車両台数、及び当該横断候補領域に歩行者が滞在する滞在時間を管理している。
【0051】
また、横断地点車両管理部50は、停止依頼信号を送信した車載器12を搭載した車両の位置に基づいて、当該横断候補領域に対応する道路部分を通過したと判断する場合には、当該横断候補領域に対する「通過車両台数」を+1する。また、横断地点車両管理部50は、停止依頼信号を送信した車載器12を搭載した車両の位置に基づいて、当該横断候補領域に対応する道路地点の手前で、停止または速度低下したと判断し、かつ、道路を横断する可能性がある歩行者の位置に基づいて、当該横断候補領域の道路を歩行者が横断したと判断する場合には、判断結果を、当該横断候補領域に対する通過車両台数及び滞在時間と共に、謝礼贈答部54に出力する。
【0052】
謝礼贈答部54は、歩行者が道路を横断する可能性がある地点の横断候補領域に対応する道路部分の手前で、停止または速度低下した車両に対し、当該横断候補領域の歩行者の滞在時間と、当該横断候補領域の地点の車両通過台数と、当該歩行者の属性とに基づいて、以下の式に従って、謝礼ポイントを計算し、謝礼ポイント記憶部56に、当該車両の車両IDに対して記憶されている謝礼ポイントに、計算した謝礼ポイントを加算して更新する。
【0053】
謝礼ポイント =a×(b
0×横断候補領域の歩行者の滞在時間+b
1×通過台数)
【0054】
ただし、歩行者の属性が一般会員の場合には、a=1とし、歩行者の属性がプレミアム会員の場合には、a=2とする。
【0055】
また、道路を横断した歩行者が携帯する携帯端末14において、Thank youボタンが押され、謝礼を陽に受付けた時には、謝礼ポイントを倍にするようにしてもよい。
【0056】
上記のポイント演算式は「横断歩行者が渡りづらい度合い」と「車が止まりにくい度合い」を表しており、歩行者が「渡りづらく」、他の車両が「止まりにくい」道路で停止すると、その分、高いポイントが付与されるようになっている。具体的には「横断候補領域の歩行者の滞在時間」とは、歩行者が当該横断候補領域に滞在した時間であり、滞在時間が長ければ長いほど、歩行者が当該地点を「渡りづらい」状況を表す。また、「通過台数」とは、他の車両が当該地点を通過した台数を表し、台数が多ければ多いほど、他の車両が当該地点で「止まりにくい」ことを意味する。カーブなどで見通しが悪い、スピードが出ているため止まれないなど、理由は様々であると考えられるが、理由に関係なく他車両が「止まりにくい」地点ほど多くのポイントを加算する。
【0057】
さらに、歩行者の属性に応じて係数aを乗算する。歩行者の属性は歩行者の支払うサービス料と関係し、自動車側の謝礼ポイントや謝礼代金に反映される。
【0058】
また、横断地点車両管理部50は、当該横断候補領域に対応する道路地点の手前で、停止または速度低下したと判断し、かつ、当該横断候補領域の道路を歩行者が横断したと判断した、当該横断候補領域について、横断地点記憶部58に記憶されている支援回数を+1して更新する。
【0059】
設置候補領域判定部60は、横断地点記憶部58に記憶された支援回数に基づいて、支援回数が閾値を超えた横断候補領域を、横断歩道や信号機を設定する候補領域として判定し、判定結果を、予め定められた行政などの道路計画部門の端末に対して、通信部40により送信させる。これによって、行政などの道路計画部門では、新たな信号機や横断歩行を設置する場合の検討材料として、当該判定結果の地点情報を用いることができる。なお、通過車両台数の平均値・最大値・標準偏差、横断候補領域の歩行者の滞在時間の平均値・最大値・標準偏差を、当該判定結果と共に提供するようにしてもよい。
【0060】
ここで、本実施の形態を実現するためのビジネスモデルについて
図10を用いて説明する。サーバ16を有する横断サービス提供会社は、歩行者、車両保険会社などから運営資金を集め、車両停止サービスを提供する。車両停止サービスとは、契約した歩行者が道路を横断する場合に、接近する車両に対して歩行者情報を送信し、接近した車両がその情報に基づき停止して歩行者の横断を支援し、歩行者の横断支援に応じて、車両のドライバが、金銭を受領するサービスである。また、横断サービス提供会社は、歩行者がよく横断する地点の情報を行政などの道路計画部門に提供し、新たな信号や横断歩道を設置する場合の検討材料として利用する。
【0061】
契約した歩行者(想定している契約者は、幼児や小学生、高齢者)は、サービス利用料金を支払う代わりに、車両停止サービスを受けることができる。また、自分がよく横断する箇所に信号や横断歩道が設置される可能性がある。
【0062】
車両保険会社にとっては、歩行者と自動車都の事故件数を低減することで保険金支払を抑制したり、よりよい交通社会実現に貢献することをアピールしたりすることができる。
【0063】
また、車両販売会社にとっても、よりよい交通社会実現に貢献することをアピールしたり、歩行者死亡事故低減サービスを間接的に提供し車両販売の付加価値としたりすることができる。
【0064】
なお、上記では「横断サービス提供会社」と、「車両保険会社」が別の業者である説明をしたが、「車両保険会社」自身が横断サービスを提供する主体となり、保険商品の(オプショナルサービスの)一品目としても良い。「車両販売会社」に対しても同様に、上記の下線で述べたようなメリットがあるため、車両販売会社が主体となり横断サービスを提供することもできる。
【0065】
次に、第1の実施の形態に係る歩行者横断支援システム10の動作について説明する。まず、車載器12は、GPS計測部22の計測結果、速度計測部24の計測結果、経路記憶部26に記憶された経路情報、及び車両IDを含む車両情報を、ネットワーク18を介してサーバ16へ逐次送信する。
【0066】
また、歩行者が携帯している携帯端末14は、GPS計測部32の計測結果、速度計測部34の計測結果、経路記憶部36に記憶された経路情報、及び歩行者IDを含む歩行者情報を、ネットワーク18を介してサーバ16へ逐次送信する。
【0067】
また、サーバ16は、通信部40により受信した歩行者情報を歩行者毎に管理すると共に、通信部40により受信した車両情報を車両毎に管理する。また、サーバ16は、歩行者横断判定部48によって、歩行者情報管理部44により管理している歩行者毎に、
図11に示す歩行者横断判定処理ルーチンを実行する。
【0068】
まず、ステップ100において、対象の歩行者の携帯端末14からの歩行者情報に基づいて、横断要請があったか否かを判定する。横断要請があった場合には、ステップ102へ進み、一方、横断要請がなかった場合には、ステップ101において、対象の歩行者の現在位置と、地図データベース42に記憶されている横断候補領域と、対象の歩行者の経路情報に基づいて特定される横断候補領域とに基づいて、対象の歩行者の現在位置が、横断候補領域内であるか否かを判定する。対象の歩行者の現在位置が、横断候補領域内であると判定されると、ステップ102へ進み、対象の歩行者の当該横断候補領域の滞在時間に基づいて、対象の歩行者が道路を横断する可能性があるか否かを判定する。また、上記ステップ100で横断要請があったと判定された場合には、対象の歩行者が道路を横断する可能性があると判定する。
【0069】
次のステップ104では、上記ステップ102の判定結果が、対象の歩行者が道路を横断する可能性があると判定された判定結果であるか否かを判定し、上記ステップ102の判定結果が、対象の歩行者が道路を横断する可能性があると判定された判定結果である場合には、ステップ106において、対象の歩行者の歩行者IDと対象の歩行者の位置を含む当該横断候補領域を特定すると共に、横断地点車両管理部50に対して、対象の歩行者の歩行者IDと特定した当該横断候補領域を示す情報とを含む歩行者情報を出力し、歩行者横断判定処理ルーチンを終了する。
【0070】
一方、上記ステップ102の判定結果が、対象の歩行者が道路を横断する可能性があると判定された判定結果でない場合には、上記ステップ100へ戻る。
【0071】
また、サーバ16は、横断地点車両管理部50によって、
図12に示す横断地点車両管理処理ルーチンを実行する。
【0072】
ステップ110において、歩行者横断判定部48から、道路を横断する可能性があると判定された歩行者の歩行者情報が入力されたか否かを判定し、道路を横断する可能性があると判定された歩行者の歩行者情報が入力された場合には、ステップ112へ進む。
【0073】
ステップ112では、上記ステップ110で入力された歩行者情報に含まれる歩行者IDの現在位置と、各車両の車両情報とに基づいて、当該歩行者IDの現在位置の近傍Pm(Pは定数)範囲内に存在する車両(車載器12を搭載した車両)を検索する。そして、ステップ114では、上記ステップ112で検索された車両の車両情報に基づいて、当該車両の進行方向に、上記ステップ110で入力された歩行者情報に含まれる情報が示す横断候補領域が存在するか否かを判定する。当該車両の進行方向に、上記ステップ110で入力された歩行者情報に含まれる情報が示す横断候補領域が存在しない場合には、横断歩行者管理処理ルーチンを終了する。
【0074】
一方、当該車両の進行方向に、上記ステップ110で入力された歩行者情報に含まれる情報が示す横断候補領域が存在する場合には、ステップ116において、上記ステップ112で検索された車両の車両IDを含む車両情報と、当該歩行者IDの属性を含む歩行者情報とを表示制御部52へ出力する。
【0075】
このとき、表示制御部52は、
図13に示すように表示制御処理ルーチンを実行する。ステップ130において、横断地点車両管理部50から、車両情報及び歩行者情報の入力があったか否かを判定し、車両情報及び歩行者情報の入力があると、ステップ132へ進む。ステップ132では、上記ステップ130で入力された車両情報に含まれる車両IDに対応するアドレスを用いて、当該車両の車載器12に対して、停止依頼信号及び歩行者情報を送信するように通信部40を制御して、表示制御処理ルーチンを終了する。
【0076】
そして、横断歩行者管理処理ルーチンのステップ118では、停止依頼信号を送信した車両の車両情報に基づいて、当該車両の挙動を監視すると共に、当該歩行者IDの歩行者情報に基づいて、歩行者の挙動を監視する。ステップ120において、上記ステップ118で監視した結果に基づいて、当該車両の挙動及び当該歩行者の挙動を判定する。当該車両の挙動が、横断候補領域の近傍外を走行したと判定される場合には、上記ステップ112へ戻る。
【0077】
当該車両の挙動が、横断候補領域に対応する道路部分を通過したと判定される場合にはステップ122において、当該横断候補領域の通過車両台数を1台加算して、上記ステップ112へ戻る。一方、当該車両の挙動が、横断候補領域に対応する道路の手前で、停止又は速度低下したと判定される場合には、ステップ124において、当該歩行者が道路を横断したか否かを判断し、当該歩行者が道路を横断したと判断した場合に、上記ステップ120の判定結果を、当該横断候補領域に対する通過車両台数、滞在時間、及び道路を横断した歩行者の属性と共に、謝礼贈答部54に出力し、横断歩行者管理処理ルーチンを終了する。
【0078】
そして、謝礼贈答部54は、歩行者が道路を横断する可能性がある地点の横断候補領域に対応する道路地点の手前で、停止または速度低下した車両について、当該横断候補領域の歩行者の滞在時間と、当該横断候補領域の地点の車両通過台数と、当該歩行者の属性とに基づいて、謝礼ポイントを計算し、謝礼ポイント記憶部56に、当該車両の車両IDに対して記憶されている謝礼ポイントに、計算した謝礼ポイントを加算して更新する。
【0079】
また、横断地点車両管理部50は、当該横断候補領域に対応する道路地点の手前で、停止または速度低下したと判断し、かつ、当該横断候補領域の道路を歩行者が横断したと判断した、当該横断候補領域について、横断地点記憶部58に記憶されている支援回数を+1して更新する。
【0080】
以上説明したように、第1の実施の形態の歩行者横断支援システムによれば、携帯端末からの歩行者情報及び車載器からの車両情報に基づいて、歩行者が横断する可能性があると判定された地点の横断候補領域に対応する道路部分に接近する車両に搭載された車載器に対して、停止依頼信号を送信して、歩行者が道路を横断することを示す情報をドライバに対して提示させ、横断候補領域に対応する道路部分の手前で車両の速度が低下又は停止した場合に、当該車両の車両IDに対応する謝礼ポイントを加算することにより、道路の任意の地点において、歩行者の横断を効果的に支援することができる。
【0081】
また、画像による歩行者検出手段では死角などの影響で検出が困難な場合があるが、本実施の形態では歩行者の持つ携帯端末のGPS情報などから歩行者を確実に検出する。また、条件に応じたポイントをフィードバックすることにより、ドライバに不快な思いをさせることなく、安全な歩行者横断を実現することができる。また、信号機に対する特別な処置なども必要ないため、コスト最小限で実現できる。
【0082】
また、横断支援の頻度が高い箇所を「横断情報」として道路設備会社に提供し、道路整備を促すため、歩行者が良く利用する地点の横断歩道や信号機の整備が促進される。
【0083】
また、信号のない横断歩道や、横断歩道のない地点でも、歩行者の存在を確実に車両に伝えることができる。
【0084】
また、従来技術では店舗からの広告料を主な収入源としているが、車両側への安全啓蒙は、金銭支払い側である店舗には直接効果として表れにくいため、契約する店舗が増えない可能性がある。一方、本実施の形態では、歩行者横断支援サービスを受ける歩行者が金銭を支払い、その者自身が歩行者横断支援サービスを受けるため、金銭支払い側である歩行者に効果が表れやすい。
【0085】
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態に係る歩行者横断支援システムの構成は、第1の実施の形態と同様の構成であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0086】
第2の実施の形態では、歩行者が横断する可能性がある横断候補領域に対応する道路部分を通過した車両に対し、累積した謝礼ポイントから減算するようにしている点が、第1の実施の形態と異なっている。
【0087】
第2の実施の形態に係る歩行者横断支援システム10のサーバ16では、横断地点車両管理部50によって、停止依頼信号を送信した車載器12を搭載した車両の位置に基づいて、当該横断候補領域に対応する道路地点を通過したと判断する場合には、当該横断候補領域に対する「通過車両台数」を+1すると共に、判断結果を、謝礼贈答部54に出力する。
【0088】
謝礼贈答部54は、歩行者が道路を横断する可能性がある地点の横断候補領域に対応する道路を通過した車両に対し、謝礼ポイント記憶部56に記憶されている謝礼ポイントから、所定値だけ減算して(例えば、−1)更新する。
【0089】
次に、第2の実施の形態に係る横断地点車両管理処理ルーチンについて、
図14を用いて説明する。なお、第1の実施の形態と同様の処理については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0090】
ステップ110において、歩行者横断判定部48から、道路を横断する可能性があると判定された歩行者の歩行者情報が入力されたか否かを判定する。ステップ112では、当該歩行者IDの現在位置の近傍Pm(Pは定数)範囲内に存在する車両(車載器12を搭載した車両)を検索する。そして、ステップ114では、上記ステップ112で検索された車両の進行方向に、上記ステップ110で入力された歩行者情報に含まれる情報が示す横断候補領域が存在するか否かを判定する。
【0091】
ステップ116において、上記ステップ112で検索された車両の車両IDを含む車両情報と、当該歩行者IDの属性を含む歩行者情報とを表示制御部52へ出力する。
【0092】
そして、ステップ118では、当該車両の挙動を監視すると共に、歩行者の挙動を監視する。ステップ120において、当該車両の挙動を判定する。当該車両の挙動が、横断候補領域に対応する道路部分を通過したと判定される場合には、ステップ222において、当該横断候補領域の通過車両台数を1台加算すると共に、上記ステップ120の判定結果を、謝礼贈答部54に出力して、上記ステップ112へ戻る。一方、当該車両の挙動が、横断候補領域に対応する道路部分の手前で、停止又は速度低下したと判定される場合には、ステップ124において、当該歩行者が道路を横断したか否かを判断し、当該歩行者が道路を横断したと判断した場合に、上記ステップ120の判定結果を、当該横断候補領域に対する通過車両台数、滞在時間、及び道路を横断した歩行者の属性と共に、謝礼贈答部54に出力し、横断歩行者管理処理ルーチンを終了する。
【0093】
そして、謝礼贈答部54は、歩行者が道路を横断する可能性がある地点の横断候補領域に対応する道路部分を通過した車両について、謝礼ポイント記憶部56に、当該車両の車両IDに対して記憶されている謝礼ポイントを減算して更新する。
【0094】
なお、第2の実施の形態に係る歩行者横断支援システムの他の構成及び作用については、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0095】
このように、携帯端末からの歩行者情報及び車載器からの車両情報に基づいて、歩行者が横断する可能性があると判定された地点の横断候補領域に対応する道路部分に接近する車両に搭載された車載器に対して、停止依頼信号を送信して、歩行者が道路を横断することを示す情報をドライバに対して提示させ、横断候補領域に対応する道路部分を当該車両が通過した場合に、当該車両の車両IDに対応する謝礼ポイントを減算することにより、道路の任意の地点において、歩行者の横断をより効果的に支援することができる。
【0096】
次に、第3の実施の形態について説明する。なお、第3の実施の形態に係る歩行者横断支援システムの構成は、第1の実施の形態と同一の構成であるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0097】
第3の実施の形態では、対向車両のサービス加入有無に対応した処理を行っている点が、第1の実施の形態と異なっている。
【0098】
第3の実施の形態の原理について説明する。
【0099】
本実施の形態に係る歩行者横断支援システムが歩行者に対して提供するサービスは、歩行者等が、なかなか途切れない車の流れを止めたい場合に利用される。しかし、右側からくる車両は止められても、左側からくる車両は当該サービスに加入しておらず、止められない、という状況が発生する場合がある。
【0100】
そこで、サーバ16の横断地点車両管理部50は、対向車両のサービス加入有無に対応した処理を行う。
【0101】
第3の実施の形態に係る横断地点車両管理処理ルーチンについて、
図15を用いて説明する。なお、第1の実施の形態と同様の処理については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0102】
ステップ110において、歩行者横断判定部48から、道路を横断する可能性があると判定された歩行者の歩行者情報が入力されたか否かを判定する。ステップ112では、当該歩行者IDの現在位置の近傍Pm(Pは定数)範囲内に存在する車両(車載器12を搭載した車両)を検索する。そして、ステップ114では、上記ステップ112で検索された車両の進行方向に、上記ステップ110で入力された歩行者情報に含まれる情報が示す横断候補領域が存在するか否かを判定する。
【0103】
上記ステップ112で検索された車両の進行方向に当該横断候補領域がある場合、ステップ300において、検索された車両に対して、対向車両検出依頼を送信する。
【0104】
対向車両検出依頼を受信した車両は、ミリ波レーダー、レーザーレーダ、カメラのいずれかひとつを用いて対向車両が存在するかどうかを検出し、検出結果をサーバ16に送信する。当該検出結果を受信したサーバ16の横断地点車両管理部50は、ステップ302において、車両からの対向車両検出結果と、上記ステップ112での「歩行者IDの近傍Pm範囲内の車両検索結果」とを照合し、結果が一致していない場合は、サービスに加入していない車両が周辺に存在すると判定する。そして、その場合は、検索された車両に歩行者情報と停止依頼信号を送信せずに、上記ステップ112へ戻る。その際、歩行者側にサービス非加入車両であることを知らせておいても良い。
【0105】
一方、車両からの対向車両検出結果と、上記ステップ112での「歩行者IDの近傍Pm範囲内の車両検索結果」とが一致し、サービスに加入していない車両が周辺に存在しないと判定された場合には、ステップ116において、上記ステップ112で検索された車両の車両IDを含む車両情報と、当該歩行者IDの属性を含む歩行者情報とを表示制御部52へ出力する。
【0106】
そして、ステップ118では、当該車両の挙動を監視すると共に、歩行者の挙動を監視する。ステップ120において、当該車両の挙動及び当該歩行者の挙動を判定する。当該車両の挙動が、横断候補領域に対応する道路を通過したと判定される場合には、ステップ222において、当該横断候補領域の通過車両台数を1台加算して、上記ステップ112へ戻る。一方、当該車両の挙動が、横断候補領域に対応する道路の手前で、停止又は速度低下したと判定される場合には、ステップ124において、当該歩行者が道路を横断したか否かを判断し、当該歩行者が道路を横断したと判断した場合に、上記ステップ120の判定結果を、当該横断候補領域に対する通過車両台数、滞在時間、及び道路を横断した歩行者の属性と共に、謝礼贈答部54に出力し、横断歩行者管理処理ルーチンを終了する。
【0107】
なお、第3の実施の形態に係る歩行者横断支援システムの他の構成及び作用については、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0108】
このように、サービス非加入の車両の有無を検出し、サービス非加入の車両がいる場合にはサービス提供外とすることで、よりスムーズに歩行者横断支援サービスを提供することができる。
【0109】
次に、第4の実施の形態に係る歩行者横断支援システムについて説明する。なお、第4の実施の形態に係る歩行者横断支援システムの構成は、第1の実施の形態と同様の構成となるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0110】
第4の実施の形態では、サーバから、サービス非加入の車両の有無と歩行者情報とを車載器へ送信し、車載器において、ドライバに対し、対向車にサービス非加入の車両がいることを提示する点が、第3の実施の形態と異なっている。
【0111】
第4の実施の形態に係る横断地点車両管理処理ルーチンについて、
図16を用いて説明する。なお、第1の実施の形態と同様の処理については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0112】
ステップ110において、歩行者横断判定部48から、道路を横断する可能性があると判定された歩行者の歩行者情報が入力されたか否かを判定する。ステップ112では、当該歩行者IDの現在位置の近傍Pm(Pは定数)範囲内に存在する車両(車載器12を搭載した車両)を検索する。そして、ステップ114では、上記ステップ112で検索された車両の進行方向に、上記ステップ110で入力された歩行者情報に含まれる情報が示す横断候補領域が存在するか否かを判定する。
【0113】
上記ステップ112で検索された車両の進行方向に当該横断候補領域がある場合、ステップ300において、検索された車両に対して、対向車両検出依頼を送信する。対向車両検出依頼を受信した車両は、ミリ波レーダー、レーザーレーダ、カメラのいずれかひとつを用いて対向車両が存在するかどうかを検出し、検出結果をサーバ16に送信する。当該検出結果を受信したサーバ16の横断地点車両管理部50は、ステップ400において、車両からの対向車両検出結果と、上記ステップ112での「歩行者IDの近傍Pm範囲内の車両検索結果」とを照合し、結果が一致していない場合は、サービスに加入していない車両が周辺に存在すると判定すると共に、上記ステップ112で検索された車両の車両IDを含む車両情報と、当該歩行者IDの属性を含む歩行者情報とを表示制御部52へ出力する。
【0114】
このとき、表示制御部52は、横断地点車両管理部50から入力された車両情報に含まれる車両IDに対応するアドレスを用いて、当該車両の車載器12に対して、サービス非加入の車両の有無、停止依頼信号、及び歩行者情報を送信するように通信部40を制御する。
【0115】
これによって、サービス非加入の車両の有無、停止依頼信号、及び歩行者情報を受信した車載器12では、
図17に示すように、表示部28により、フロントガラスに停止依頼を表示すると共に、対向車にサービス非加入の車両がいることを明示する。当該車載器12を搭載した車両のドライバは、サービス非加入車が通過するまで停止する(もちろん当該車両が止まったことで対向車である非加入車両も停止する可能性もある)か、停止せず通過するかを判断し、停止するかどうか選択する。
【0116】
そして、横断歩行者管理処理ルーチンのステップ118では、当該車両の挙動を監視すると共に、歩行者の挙動を監視する。ステップ120において、当該車両の挙動及び当該歩行者の挙動を判定する。当該車両の挙動が、横断候補領域に対応する道路を通過したと判定される場合には、ステップ222において、当該横断候補領域の通過車両台数を1台加算して、上記ステップ112へ戻る。一方、当該車両の挙動が、横断候補領域に対応する道路の手前で、停止又は速度低下したと判定される場合には、ステップ124において、当該歩行者が道路を横断したか否かを判断し、当該歩行者が道路を横断したと判断した場合に、上記ステップ120の判定結果を、当該横断候補領域に対する通過車両台数、滞在時間、及び道路を横断した歩行者の属性と共に、謝礼贈答部54に出力し、横断歩行者管理処理ルーチンを終了する。
【0117】
なお、第4の実施の形態に係る歩行者横断支援システムの他の構成及び作用については、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0118】
このように、サービス非加入の車両の有無を検出し、サービス非加入の車両がいる場合に、その情報を車両側に提示することで、よりスムーズに歩行者横断支援サービスを提供することができる。
【0119】
次に、第5の実施の形態について説明する。なお、第5の実施の形態に係る歩行者横断支援システムの構成は、第1の実施の形態と同一の構成であるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0120】
第5の実施の形態では、後続車両に対応した処理を行っている点が、第1の実施の形態と異なっている。
【0121】
第5の実施の形態の原理について説明する。
【0122】
複数の車両が連続して走っている場合、横断歩道が1台目にだけ提示されると、1台目が停止しても後続の車両はそれを避けた追い抜きをするかもしれない、という問題がある。
【0123】
そこで、第5の実施の形態に係るサーバ16では、横断地点車両管理部50によって、歩行者横断判定部48において特定された、歩行者が道路を横断する可能性がある地点の横断候補領域の各々について、当該横断候補領域の周囲の車両(車載器12を搭載した車両)を検索し、当該横断候補について検索された車両の進行方向に、当該横断候補領域が存在するか否かを判定する。当該横断候補について検索された車両の進行方向に、当該横断候補領域が存在すると判定されると、当該車両の車載器12に対して、通信部40により後続車両検出依頼を送信する。後続車両検出依頼を受信した車両は、ミリ波レーダー、レーザーレーダ、カメラのいずれかひとつを用いて後続車両が存在するかどうかを検出し、検出結果をサーバ16に送信する。当該検出結果を受信したサーバ16の横断地点車両管理部50は、車両からの後続車両検出結果と、横断候補領域の周囲の車両の検索結果とを照合し、サービスに加入していない後続車両が存在するか否かを判定する。
【0124】
後続車両もサービスに加入していると判定された場合には、当該車両の車両IDを表示制御部52へ出力する。このとき、2台目以降の車両の車両IDも表示制御部52へ出力する。表示制御部52は、車両の車両IDに対応するアドレスを用いて、2台目以降も含む各車両の車載器12に対して、停止依頼信号を送信するように通信部40を制御する。これによって、2台目以降の車両がサービスに加入している車両の場合には、2台目以降の車両の車載器12において、前車が停止した理由(歩行者がいるため停止)が提示される。
【0125】
一方、サービスに加入していない後続車両が存在すると判定された場合には、当該車両の車両ID及び後続車両通信依頼を表示制御部52へ出力して、停止依頼信号及び後続車両通信依頼を送信するように通信部40を制御する。
【0126】
車載器12は、停止依頼信号及び後続車両通信依頼をサーバ16から受信すると、2台目以降の後続車両に対して、車車間通信により、停止した理由(歩行者がいるため停止)を示すメッセージを送信する。これにより、2台目以降の車がサービスに加入していない車両であっても、車車間通信などの方法で1台目との通信が可能な場合には、2台目以降の車両のドライバに対して、前車が停止した理由(歩行者がいるため停止)が提示される。
【0127】
また、2台目以降の車がサービスに加入していない車両で、車車間通信などの方法で1台目との通信が可能でない場合も想定し、横断地点車両管理部50は、当該横断候補領域を横断しようとしている歩行者の歩行者IDを、表示制御部52へ出力して、当該歩行者の携帯端末14に、後続の車両に停止理由が知らされていない旨を示すメッセージを送信するように通信部40を制御する。
【0128】
このように、横断候補領域の手前の車両について、後続車両がいる場合に、その情報を後続車両側又は歩行者に提示することで、よりスムーズに歩行者横断支援サービスを提供することができる。
【0129】
なお、上記の実施の形態では、当該横断候補領域に対応する道路地点の手前で、停止または速度低下したと判断し、かつ、当該横断候補領域の道路を歩行者が横断したと判断する場合に、謝礼ポイントを計算して加算する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。当該横断候補領域の道路を歩行者が横断したか否かに関わらず、当該横断候補領域に対応する道路地点の手前で、停止または速度低下したと判断した場合に、謝礼ポイントを計算して加算するようにしてもよい。
【0130】
また、謝礼ポイントのような仮想的なものではなく、当該横断候補領域に対応する道路地点の手前で停止または速度低下した車両に対して支払われる金額を計算して加算するようにしてもよい。また、当該横断候補領域に対応する道路地点の手前で停止または速度低下した車両の車両IDに紐づけられたSNS(Social Networking Service)アカウントに対して、ポジティブなコメントを投稿するようにしてもよい。この場合には、サーバ16は、謝礼ポイント記憶部56の代わりに、車両ID毎にSNSアカウントを記憶したアカウント記憶部を備え、謝礼贈答部54が、通信部40を介して、SNSサイトにアクセスし、当該横断候補領域に対応する道路地点の手前で停止または速度低下した車両の車両IDに対応して記憶されたSNSアカウントを用いて、当該SNSアカウントに対して、予め用意したポジティブなコメントを投稿するようにすればよい。