(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
タイヤを挟持及び解放可能に設けられる一対のスピンドルと、前記一対のスピンドルに備えられて前記一対のスピンドルに挟持されたタイヤを回転させる回転機構と、前記一対のスピンドルに挟持されたタイヤに対して接近及び離間する方向に移動させる移動機構を備えてタイヤに押し付けられてタイヤと共に回転しながらタイヤに負荷を与えるドラムと、を備えるタイヤ試験機におけるタイヤ試験方法であって、
前記一対のスピンドルでタイヤを挟持させるタイヤ挟持工程と、
前記一対のスピンドルで挟持されたタイヤを規定回転数未満の所定の回転数で回転させるように前記回転機構を駆動させるタイヤ所定回転工程と、
前記所定の回転数で回転するタイヤに接触するまで前記移動機構で前記ドラムを移動させるドラム接触工程と、
前記ドラムと前記タイヤとを接触させた後に、前記一対のスピンドルで挟持されたタイヤの回転を前記所定の回転数から前記規定回転数まで増速させるタイヤ規定回転工程と、
前記規定回転数で回転するタイヤを試験するタイヤ試験工程と、
を備えることを特徴とするタイヤ試験方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、引用文献1に記載されたタイヤ試験機では、静止しているタイヤにドラムが接触した状態でタイヤの回転数を規定回転数まで加速して、タイヤを回転させる際に、急に加速させると、ドラムの接触するタイヤ表面が削られてフラットスポットが発生し、タイヤの品質が低下してしまうとともに、試験の精度よく行うことができないという問題がある。一方、静止しているタイヤにドラムが接触した状態でタイヤを規定回転数まで回転させる際に、タイヤの回転数を規定回転数まで加速させるのに要するウォームアップ時間が長くなり、試験に関するサイクルタイムが長くなるという問題が生じる。
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、タイヤの試験を行う際に、タイヤとドラムのスリップ及びタイヤのフラットスポット発生を防止するとともに、試験のサイクルタイムを短縮することができるタイヤ試験機及びタイヤ試験方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明に係るタイヤ試験方法は、タイヤを挟持及び解放可能に設けられる一対のスピンドルと、前記一対のスピンドルに備えられて前記一対のスピンドルに挟持されたタイヤを回転させる回転機構と、前記一対のスピンドルに挟持されたタイヤに対して接近及び離間する方向に移動させる移動機構を備えてタイヤに押し付けられてタイヤと共に回転しながらタイヤに負荷を与えるドラムと、を備えるタイヤ試験機におけるタイヤ試験方法であって、前記一対のスピンドルでタイヤを挟持させるタイヤ挟持工程と、前記一対のスピンドルで挟持されたタイヤを規定回転数未満の所定の回転数で回転させるように前記回転機構を駆動させるタイヤ所定回転工程と、前記所定の回転数で回転するタイヤに接触するまで前記移動機構で前記ドラムを移動させるドラム接触工程と、前記ドラムと前記タイヤとを接触させた後に、前記一対のスピンドルで挟持されたタイヤの回転を前記所定の回転数から前記規定回転数まで増速させるタイヤ規定回転工程と、前記規定回転数で回転するタイヤを試験するタイヤ試験工程と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係るタイヤ試験機は、タイヤを挟持及び解放可能に設けられる一対のスピンドルと、前記一対のスピンドルに備えられて前記一対のスピンドルに挟持されたタイヤを回転させる回転機構と、前記一対のスピンドルに挟持されたタイヤに対して接近及び離間する方向に移動させる移動機構を備えてタイヤに押し付けられてタイヤと共に回転しながらタイヤに負荷を与えるドラムと、前記一対のスピンドルでタイヤを挟持させ、前記一対のスピンドルで挟持されたタイヤを規定回転数未満の所定の回転数で回転させるように前記回転機構を駆動させ、前記所定の回転数で回転するタイヤに接触するまで前記移動機構で前記ドラムを移動させ、前記ドラムと前記タイヤとを接触させた後に、前記一対のスピンドルで挟持されたタイヤの回転を前記所定の回転数から前記規定回転数まで増速させ、その後に前記規定回転数で回転するタイヤを試験する制御機構と、を備えることを特徴とする。
【0011】
これによると、タイヤ表面にドラムが押し付けられるまでに、タイヤがすでに所定の回転数で回転を始めているため、タイヤ表面にドラムを押し付けてもフラットスポットが発生しにくく、また、規定回転数よりも低い回転数で回転しているタイヤにドラムを接触させるため、ドラムの回転初期において、タイヤとドラム間のスリップが発生しにくいため、ドラム表面がタイヤゴムで汚染されにくい。更に、タイヤをドラムと接触させる際の回転数まで回転させるために要するウォームアップの時間が短くなり(規定回転数までが所定の回転数までで済む)、試験のサイクルタイムの短縮を図ることができる。
尚、ユニフォミティ試験の場合、規定回転数は60rpmであり、所定の回転数は、10rpmから60rpmの間(特に、10rpm〜30rpm)の回転数であることが好ましい。
【0012】
ここで、本発明に係るタイヤ試験方法は、前記タイヤ規定回転工程において、前記一対のスピンドルで挟持されたタイヤの回転を前記所定の回転数から前記規定回転数まで増速させるまでの間に、前記ドラムの前記タイヤに対する荷重を所定の荷重まで増加させて良い。
【0013】
また、本発明に係るタイヤ試験機は、前記制御機構が、前記一対のスピンドルで挟持されたタイヤの回転を前記所定の回転数から前記規定回転数まで増速させるまでの間に、前記ドラムの前記タイヤに対する荷重を所定の荷重まで増加させて良い。
【0014】
これによると、タイヤとドラムが接触したら、すぐにタイヤの回転数を所定の回転数から規定回転数まで増速すると共に、タイヤの回転数が所定の回転数から規定回転数に達する時間を利用してドラムのタイヤに対する荷重(ドラム荷重)をテスト荷重である所定の荷重まで上げることにより、タイヤの回転数を増速する時間を有効に利用して、ドラム荷重をテスト荷重まで高めることができ、試験のサイクルタイムの短縮につながる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のタイヤ試験方法及びタイヤ試験機は、タイヤの試験を行う際に、タイヤとドラムのスリップ及びタイヤのフラットスポット発生を防止するとともに、試験のサイクルタイムを短縮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係るタイヤ試験機用コンベアを実施するための形態について、具体的な一例に即して説明する。
【0018】
尚、以下に説明するものは、例示したものにすぎず、本発明に係るタイヤ試験方法及びタイヤ試験機の適用限界を示すものではない。すなわち、本発明に係るタイヤ試験方法及びタイヤ試験機は、下記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいてさまざまな変更が可能なものである。
【0019】
(タイヤ試験装置の構成)
まず、
図3を参照し、本実施形態に係るタイヤ試験機100を含むタイヤ試験装置101の全体構成について説明する。
【0020】
タイヤ試験装置101は、タイヤ試験機100に加え、入口コンベア35、センターコンベア28、および出口コンベア34を有する。各コンベア35,28,34は、試験対象となるタイヤ10を搬送方向Dに搬送するように配置されている。
【0021】
(タイヤ試験機の構成)
次に、
図1,2,4を参照し、タイヤ試験機100の構成について説明する。
【0022】
図1に示したように、タイヤ試験機100は、下フレーム1、下フレーム1上に取り付けられた一対の鉛直フレーム3a,3b、鉛直フレーム3a,3bに取り付けられたスライドガイド部としてのリニアガイド40a,40b、リニアガイド40a,40b間に架け渡された可動ビーム4、下フレーム1に取り付けられた固定側チャックとしての下チャック2、および、可動ビーム4に取り付けられた移動側チャックとしての上チャック5を有する。
【0023】
下フレーム1は、例えば鋼板の溶接はり合わせ構造や、H型、I型等の鋼材からなり、水平方向に延在している。
【0024】
鉛直フレーム3a,3bは、例えば鋼板の溶接はり合わせ構造や、角型鋼管からなり、下フレーム1の上面にボルト・ナット等を介して固定されている。鉛直フレーム3a,3bは、それぞれ下フレーム1の両端部に固定されており、下フレーム1から鉛直方向上方に向けて延在させられている。また、鉛直フレーム3a,3bにおける互いに対向する側面には、それぞれリニアガイド40a,40bが取り付けられている。鉛直フレーム3a,3bには、それぞれボールねじ7a,7b(ねじ軸)が取り付けられている。ボールねじ7a,7bは、鉛直フレーム3a,3bそれぞれの内部空間内において、鉛直方向に延在させられている。
【0025】
可動ビーム4は、例えば鋼板の溶接はり合わせ構造や、H型、I型等の鋼材からなり、その両端がボールねじ7a,7bそれぞれのナット部分と接続されている。可動ビーム4は、ボールねじ7a,7bおよびリニアガイド40a,40bを介して一対の鉛直フレーム3a,3bに支持されている。また、可動ビーム4は、リニアガイド40a,40bにガイドされつつボールねじ7a,7bの回転により上昇または下降する。可動ビーム4の鉛直方向位置は、いずれか一方の鉛直フレーム3a,3b(本実施形態では鉛直フレーム3b)に設けられた直線センサ(リニアセンサ)8により検出される。
【0026】
ボールねじ7a,7bの下端には、それぞれ、モータ41a,41bが直接連結されている。これらのモータ41a,41bによりボールねじ7a,7bは回転させられる。なお、モータ41a,41bは同期駆動される。
【0027】
ボールねじ7a,7bの、モータ41a,41bと可動ビーム4との間の部分には、それぞれ、
図2に示す円盤に多数の穴14が穿孔された円形ディスク13a,13bが設けられている。円形ディスク13a,13bは、それぞれ、ボールねじ7a,7bの、モータ41a,41bと可動ビーム4との間の部分に固定されている。円形ディスク13a,13bの中心とボールねじ7a,7bの軸心とは一致させられている。
【0028】
円形ディスク13a,13bそれぞれの穴14にエアシリンダ44a,44bで駆動されるピンを挿入し、円形ディスク13a,13bそれぞれが固定され、これによってボールねじ7a,7bの回転を停止させる。これにより、円形ディスク13a,13b及びそれぞれの穴14と、エアシリンダ44a,44b及びエアシリンダ44a,44bで駆動されるピンは、可動ビーム停止機構として機能する。そして、下チャック2と上チャック5との間に挟持されたタイヤ10の内部空間に空気またはガス(窒素ガスなど)が供給された際に、可動ビーム4を上昇不能に固定する。これにより、上チャック5は可動ビーム4を介して下チャック2に対して上昇不能に固定される。
【0029】
なお、
図2に示す円形ディスク13a,13bそれぞれの穴14の個数、各部寸法、配置(円形ディスク13a,13bの中心からの距離など)は、ボールねじ7a,7bのピッチなどに基づいて決定され、本実施形態のものに限られることはない。また、「長孔」ではなく、真円の孔であってもよい。
【0030】
エアシリンダ44a,44bは、それぞれ、シリンダ本体と断面形状が円形のピンとから構成されている。エアシリンダ44a,44bを構成するそれぞれのピンは、シリンダ本体に給排される空気の圧により、シリンダ本体から進退するようになっている。なお、エアシリンダ44a,44bを構成するシリンダ本体は、それぞれ、鉛直フレーム3a,3bなどの静止物(固定物)に固定される。
【0031】
なお、エアシリンダ44a,44bに換えて、油圧シリンダなどを用いてもよいし、さらには、作業員が手動で円形ディスク13a,13bそれぞれの穴14にエアシリンダ44a,44bで駆動されるピンを挿入してもよい。
【0032】
上チャック5は、可動ビーム4の長手方向中央であってその下面から下方に延在するように可動ビーム4に取り付けられている。
【0033】
上チャック5は、可動ビーム4に固定された外側ハウジング23と、外側ハウジング23内に配置された回転可能な上スピンドル24と、上スピンドル24の下端部の外周側に固定された上リム30と上スピンドル24の下端部の中央側に形成された鉛直下方に向かって拡がりつつ開口するメス状テーパ部27とを有する。
【0034】
このメス状テーパ部27に、下チャック2の後述するプランジャ20の上端部に形成されるオス状テーパ21が挿入されて係合する。上スピンドル24の下端部のメス状テーパ部27、すなわち、上スピンドル24の下端部の内側面は、プランジャ20の上端部と同じ角度で鉛直方向に対して傾斜した傾斜面とされている。
【0035】
上リム30は、上スピンドル24の下端部を囲むように配置されており、上スピンドル24とともに鉛直方向に沿った軸を中心として回転可能である。
【0036】
また、上スピンドル24の内部には、鉛直方向に沿って、上端から下端まで空気が通る穴である空気供給通路25aが設けられている。空気供給通路25aは、可動ビーム4の上端に配置されたロータリージョイント26に接続されている。
【0037】
下チャック2は、下フレーム1の長手方向中央であってその上面から上方に延在するように下フレーム1に取り付けられている。
【0038】
下チャック2は、下フレーム1に固定された外側ハウジング18と、外側ハウジング18内に配置された回転可能な下スピンドル19と、下スピンドル19内に配置された伸縮可能なプランジャ20と、下スピンドル19の上端部に固定された下リム29とを有する。
【0039】
下スピンドル19は、
図3に示すモータ(回転機構)31と接続されている。そして、モータ31の駆動により、下スピンドル19は、鉛直方向に沿った軸を中心として回転する。ここで、下スピンドル19の回転数は、モータ31が備える駆動機構により制御される。プランジャ20は、下スピンドル19とともに鉛直方向に沿った軸を中心として回転可能であるとともに、下スピンドル19が鉛直方向に伸縮不能であるのに対し、エアシリンダ22a,22bの駆動により鉛直方向に伸縮(下スピンドル19に対して相対移動する)可能である。
【0040】
プランジャ20は、棒形状部材であり、その上端部は、先端に向かうにつれて狭くなるように外側面が鉛直方向に対して傾斜した傾斜面を有するテーパ形状の凸部(オス状テーパ)21が形成される。下リム29は、下スピンドル19の上端部を囲むように配置されており、下スピンドル19とともに鉛直方向に沿った軸を中心として回転可能である。
【0041】
プランジャ20のガイド部材20aには、
図4に示すリニアセンサ(直線センサ)36が取り付けられている。ガイド部材20aはプランジャ20に固定されており、プランジャ20と一緒に動く。このリニアセンサ36は、上チャック5(上リム30)の下チャック2(下リム29)に対する位置(鉛直方向位置)を検出するためのセンサであり、デジタル式の直線センサとされている。デジタル式の直線センサは分解能が高いので、デジタル式の直線センサを用いることで、上チャック5(上リム30)の下チャック2(下リム29)に対する位置を精度良く検出することができる。このプランジャ20の延伸量によって上チャック5の下チャック2に対する位置決めが行われ、またその決められた位置にて円形ディスク13a,13bの穴にピンが挿入される。
【0042】
なお、リニアセンサ36は、デジタル式である必要はなく、アナログ式のリニアセンサを用いてもよい。また、リニアセンサ36はプランジャ28自体に取り付けられているが、エアシリンダ22a,22bに内蔵されたデジタル式またはアナログ式のリニアセンサであってもよい。また、プランジャ20の両ストローク端を検出するために、両ストローク端にリミットスイッチを取り付けても良い。
【0043】
プランジャ20の上端部の内部には空気供給通路25bが設けられている。この空気供給通路25bは、上スピンドル24に設けられた空気供給通路25aとタイヤ10の内部空間とを連通させる通路である。
【0044】
上チャック5および下チャック2は、下フレーム1の長手方向中央において、互いに鉛直方向に対向する位置に配置されている。すなわち、下チャック2の下スピンドル19、プランジャ20、および下リム29の回転軸は、上チャック5の上スピンドル24、および上リム30の回転軸と一致している。
【0045】
更に、下スピンドル19には、後述するドラム50によるタイヤ10の押し付け荷重を検出する図示しないロードセル37(
図5参照)が配置されている。
【0046】
(タイヤ試験機のドラムの構成)
次に、
図3を参照し、タイヤ試験機100のドラム50の構成について説明する。
【0047】
ドラム50は、扁平な円柱状でかつ中心に回転軸を備え、支持枠52に鉛直方向を中心に回転可能に軸支されている。ドラム50の回転軸の下端には、ドラム50を回転させるための図示しないモータが連結されることも可能である。
【0048】
支持枠52には、移動機構51が備えられる。移動機構51は、支持枠52を介してドラム50を搬送方向Dとほぼ直交する方向に沿って水平方向に移動させるものであり、ドラム50及び支持枠52を一体に水平方向、すなわち下チャック2の下スピンドル19と上チャック5の上スピンドル24との間に挟持されたタイヤ10に対して接近及び離反する方向に移動させることができる。移動機構は、送り部分をボールねじ、エアシリンダ、ガイド部分のころ入りのリニアレールウェイ、機械加工面どうしを合わせたレール等で構成することができる。
【0049】
(タイヤ試験機の制御機構の構成)
次に、
図5を参照し、タイヤ試験機100の制御機構60の構成について説明する。
【0050】
制御機構60は、パーソナルコンピュータ等を含めたコントローラにより構成されて、モータ31、移動機構51、リニアセンサ36が接続されている。制御機構60は、リニアセンサ36により下スピンドル19と上スピンドル24とでタイヤ10を挟持したことを検知すると共に、ロードセル37によりドラム50とタイヤ10とが接触したことを検知する。また、制御機構60は、モータ31により下スピンドル19と上スピンドル24とで挟持したタイヤ10を回転させると共に、移動機構51によりドラム50を移動させる。
【0051】
より詳細には、制御機構60は、下スピンドル19と上スピンドル24とでタイヤ10を挟持したことをリニアセンサ36が検知すると、下スピンドル19と上スピンドル24と挟持されたタイヤ10を規定回転数未満の所定の回転数で回転させるようにモータ31を駆動させる。また、制御機構60は、所定の回転数で回転するタイヤに接触したことをロードセル37が検知するまで、移動機構51でドラム50を移動させるように指示する。そして、制御機構60は、ドラム50とタイヤ10とが接触したことをロードセル37が検知すると、下スピンドル19と上スピンドル24とで挟持されたタイヤ10の回転を所定の回転数から規定回転数まで増速させるようにモータ31を駆動させる。
【0052】
尚、制御機構60は、ドラム50とタイヤ10とが接触したことをロードセル37が検知して、下スピンドル19と上スピンドル24とで挟持されたタイヤ10の回転を所定の回転数から規定回転数まで増速させるようにモータ31を駆動させると共に、ロードセル37が検知するドラム50のタイヤ10に対する荷重がテスト荷重になるまで、移動機構51でドラム50を移動させるように指示する。
【0053】
ここで、規定回転数は、ユニフォミティ試験の規定回転数の場合は60rpmであり、所定の回転数は、60rpm未満であって、好ましくは10〜30rpmの低速であることが好ましい。所定の回転数を10〜30rpmとすることにより、10rpm未満の回転数で回転させている状態より、タイヤ10の表面にドラム50を押し付けてもフラットスポットが発生しにくくなるとともに、規定回転数である60rpmに近い回転数で回転させている状態よりもドラム50の回転初期において、タイヤ10とドラム50間のスリップが発生しにくくなる。
【0054】
(タイヤ試験機でのタイヤ試験方法)
次に、上述したタイヤ試験機100におけるタイヤ10のタイヤ試験方法の処理の手順について
図6に基づいて説明する。
【0055】
まず、上述したタイヤ試験機100において、タイヤ10が上スピンドル24及び下スピンドル19により挟持される(S1:タイヤ挟持工程)。ここで、タイヤ挟持工程の詳細な処理の手順を説明する。
【0056】
タイヤ10は、
図3に示す入口コンベア35上に投入される。入口コンベア35上で、揺動可能なアーム部材の先端に設けられた保持ローラをタイヤ10の外周面に接触させて、タイヤ10をその入口コンベア35上の所定の位置に保持する。そして、保持ローラの回転に伴ってタイヤ10はその位置で回転され、タイヤ10のビード部に図示しないビードルブリ装置により潤滑剤が塗布される。その後、タイヤ10は、入口コンベア35からセンターコンベア28上に送り出され、
図1に示す下チャック2の下リム29の上方(真上)に搬送される。
【0057】
タイヤ10が入口コンベア35からセンターコンベア28上の下リム29の真上に送り出される間、可動ビーム4は、待機位置となる最上昇位置または上チャック5がタイヤ10の幅に応じたタイヤ10に干渉しない待機位置にて停止している。可動ビーム4の待機位置が、タイヤ10の幅に応じて、上リム30がタイヤ10に干渉しない程度のできるだけ下方の位置に設定されることにより、上チャック5の待機位置から後述の試験位置に向けての下降にかかる時間を短縮することができる。
【0058】
センターコンベア28は、タイヤ10を下リム29の真上搬送した後、タイヤ10を保持しつつ下降し、タイヤ10を下リム29上に載置する。可動ビーム4は、センターコンベア28の下降開始とほぼ同時に、待機位置から下方への移動(下降)を開始する。可動ビーム4の下降はボールねじ7a,7bの回転に伴うものであり、直線センサ8によって可動ビーム4の位置が監視されつつモータ41a,41bの駆動が制御される。そして、プランジャ20の上端部にあるオス状テーパ21と上スピンドル47の下端部にあるメス状テーパ27と係合して試験位置(リム29,30の間隔がタイヤ10に応じた規定のビード幅となる位置)に至ったことを直線センサ8が検出するまで、可動ビーム4を下降させて、タイヤ10をした上チャック5と下チャック2との間にチャックする。
【0059】
可動ビーム4を介した上チャック5の下降の開始とほぼ同時あるいは下降した後に、エアシリンダ22a,22bの駆動によって下チャック2のプランジャ20が上方への延伸を開始する。そして、プランジャ30の上端部にあるオス状テーパ21が上スピンドル47の下端部にあるメス状テーパ部27に係合することで下チャック5の軸心と上チャック2の軸心とが一致する。プランジャ30の延伸量はリニアセンサ36により監視され、これによって上チャック5の下チャック2に対する位置が監視される。リニアセンサ36により検出されたプランジャ30の延伸量に基づいて、チャックされたタイヤ10に適切なリム幅間隔に上チャック5が位置決めされる。ここで、リニアセンサ36は、制御機構60に対して、位置決めされたことを出力する。この時、可動ビーム停止機構により、エアシリンダ44a,44bにより円形ディスク13a,13bの穴14にピンが挿入されて、ボールねじ7a,7bが固定され、上チャック5は可動ビーム4を介して上昇不能に固定される。これにより、タイヤ10のインフレーション後の分離力を保持する。
【0060】
上チャック5(上リム30)が鉛直方向に関して下チャック2(下リム29)に対して位置決めされたとき、上下チャック2,5間に挟持されたタイヤ10の内部空間は封止されている。この状態で、ロータリージョイント26につながる電磁弁(図示せず)が駆動され、空気供給通路25aおよび空気供給通路25bを介してタイヤ10の内部空間に圧縮空気が供給されて、タイヤ10がインフレーションされる。そして、図示しないタイヤ内圧測定装置によりタイヤ10の空気圧が所定の圧力となると、圧縮空気の供給が停止される。
【0061】
次に、上述したタイヤ試験機100において、タイヤ10が所定の回転数で回転される(S2:タイヤ所定回転工程)。ここで、タイヤ所定回転工程の詳細な処理の手順を説明する。
【0062】
制御機構60は、下スピンドル19と上スピンドル24とでタイヤ10を挟持したことをリニアセンサ36が検知すると、下スピンドル19と上スピンドル24と挟持されたタイヤ10を、上述した規定回転数未満の所定の回転数で回転させるように、
図3に示すモータ31の駆動を開始させる。モータ31の駆動が開始されると、下スピンドル19とともにプランジャ20、下リム29、上スピンドル24、および上リム30が同じ軸回りに回転することで、挟持されたタイヤ10が回転する。
【0063】
次に、上述したタイヤ試験機100において、所定の回転数で回転するタイヤ10に接触するまで移動機構51でドラム50を移動させる(S3:ドラム接触工程)。ここで、ドラム接触工程の詳細な処理の手順を説明する。
【0064】
制御機構60は、移動機構51により、搬送方向Dとほぼ直交する方向に沿ってドラム50を前進させ、所定の回転数で回転するタイヤ10に接触したことをロードセル37が検知するまで、ドラム50を移動させる。
【0065】
次に、上述したタイヤ試験機100において、ドラム50と所定の回転数で回転するタイヤ10とを接触させた後に、タイヤ10の回転を、所定の回転数から上述した規定回転数まで増速させる(S4:タイヤ規定回転工程)。ここで、タイヤ規定回転工程の詳細な処理の手順を説明する。
【0066】
制御機構60は、ドラム50とタイヤ10とが接触したことをロードセル37が検知すると、下スピンドル19と上スピンドル24とで挟持されたタイヤ10の回転を所定の回転数から規定回転数まで増速させるようにモータ31を駆動させる。
【0067】
この際、制御機構60は、タイヤ10の回転を所定の回転数から規定回転数まで増速させるようにモータ31を駆動させると同時に、ロードセル37が検知するドラム50のタイヤ10に対する荷重がテスト荷重になるまで、移動機構51でドラム50を移動させる。
【0068】
次に、タイヤ10が規定回転数で回転し、ドラム50がタイヤ10に対しテスト荷重をかけた状態でタイヤ10の試験を行う(S5:タイヤ試験工程)。以下、タイヤ10の試験が終わった後の工程について、詳細に説明する。
【0069】
タイヤ10の試験が終わると、上下スピンドル24,19はタイヤ10をマーク位置に位置決めすべく、モータ31の回転を継続させる。そして、タイヤ10上でマークすべき位置がタイヤ10の流れ下流方向に向いた時点で、モータ31の回転を停止させて、上下スピンドル24,19を停止させる。このときタイヤ10の試験が終わった直後から、移動機構51によりタイヤ10から、ドラム50を離間させることができる。この場合はサイクルタイム短縮できる。あるいは、タイヤ10をマーク位置に位置決めされてから、移動機構51によりタイヤ10からドラム50を離間させることも可能である。この場合はドラム50を確実に停止させて次のタイヤ試験に臨むことができる。あるいは、モータ31の回転を減速させ始めてある回転数となった時点で、移動機構51によりタイヤ10からドラム50を離間させることも可能である。この場合はサイクルタイムの短縮を図るとともに、ドラム50の次のタイヤ試験までに停止させることが可能となる。
【0070】
次に、タイヤ10の内圧がロータリージョイント26につながった電磁弁より解放される。エアシリンダ44a,44bを駆動させて円形ディスク13a,13bの穴14からピンを抜くことにより、ボールねじ7a,7bのロックが解放される。これにより、可動ビーム4が上昇され、タイヤ10がタイヤストリッパ33と当接することにより、タイヤ10が上リム30から解放される。そして、可動ビーム4を介して上チャック5が上昇されると同時に、センターコンベア28が上昇して、下リム29からタイヤ10を解放する。上下スピンドル19,24から解放されたタイヤ10は、センターコンベア28によって出口コンベア34に移動し、ここで必要なマーキングがタイヤ10に施される。
【0071】
このように、本実施形態のタイヤ試験機及びタイヤ試験方法によると、タイヤ10の表面にドラム50が押し付けられるまでに、タイヤ10がすでに所定の回転数で回転を始めているため、タイヤ10の表面にドラム50を押し付けてもフラットスポットが発生しにくく、また、規定回転数よりも低い回転数で回転しているタイヤ10にドラム50を接触させるため、ドラム50の回転初期において、タイヤ10とドラム50間のスリップが発生しにくいため、ドラム50の表面がタイヤゴムで汚染されにくい。更に、タイヤ10をドラム50と接触させる際の回転数まで回転させるために要するウォームアップの時間が短くなり(即ち、従来技術では、停止状態から規定回転数までがウォームアップの時間であるのに対して、本実施形態では、停止状態から規定回転数未満の所定の回転数までがウォームアップの時間となる。)、試験のサイクルタイムの短縮を図ることができる。
【0072】
また、タイヤ10とドラム50が接触したら、すぐにタイヤ10の回転数を所定の回転数(ユニフォミティ試験の場合、60rpm未満。特に、10〜30rpmが好ましい。)から規定回転数(ユニフォミティ試験の場合、60rpm)まで増速すると共に、タイヤ10の回転数が所定の回転数から規定回転数に達する時間を利用してドラム50のタイヤ10に対する荷重(ドラム荷重)をテスト荷重まで上げることにより、タイヤ10の回転数を増速する時間を有効に利用して、ドラム荷重をテスト荷重まで高めることができ、試験のサイクルタイムの短縮につながる。
【0073】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいてさまざまな変更が可能なものである。
【0074】
例えば、上述したタイヤ試験機100における制御装置60及びタイヤ試験方法のタイヤ規定回工程S4において、制御機構60は、タイヤ10の回転を所定の回転数から規定回転数まで増速させるようにモータ31を駆動させると同時に、ロードセル37が検知するドラム50のタイヤ10に対する荷重がテスト荷重になるまで、移動機構51でドラム50を移動させているが、それに限らない。例えば、タイヤ規定回工程S4において、制御機構60は、ロードセル37がドラム50とタイヤ10との接触を検知すると、移動機構51の移動を停止させてドラム50とタイヤ10とが接触した際の荷重を維持したまま、タイヤ10の回転を所定の回転数から規定回転数まで増速させるようにモータ31を駆動させる。その後、タイヤ10の回転が規定回転数になった後に、ロードセル37が検知するドラム50のタイヤ10に対する荷重がテスト荷重になるまで、移動機構51でドラム50を移動させてもよい。