特許第5997124号(P5997124)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5997124
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】ゴルフクラブ支持器具及びゴルフバッグ
(51)【国際特許分類】
   A63B 55/40 20150101AFI20160915BHJP
【FI】
   A63B55/40
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-232607(P2013-232607)
(22)【出願日】2013年11月8日
(65)【公開番号】特開2015-92942(P2015-92942A)
(43)【公開日】2015年5月18日
【審査請求日】2013年11月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】513282456
【氏名又は名称】田谷 康多
(74)【代理人】
【識別番号】100136504
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 毅彦
(72)【発明者】
【氏名】田谷 文明
【審査官】 古屋野 浩志
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−056059(JP,U)
【文献】 実開昭58−001470(JP,U)
【文献】 実公平07−027951(JP,Y2)
【文献】 登録実用新案第3044191(JP,U)
【文献】 特表2002−538907(JP,A)
【文献】 特開平09−299527(JP,A)
【文献】 実開昭49−058449(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 55/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアイアンを含む複数のゴルフクラブの各ヘッドを支持し、かつ前記各ヘッドの回転を抑止する支持部と、
前記複数のゴルフクラブの各シャフト側を収納するための収納体の口枠を構成する仕切りであって前記収納体を複数の領域に分割するための仕切りに前記支持部を着脱機構によって連結するための連結部と、
を有し、
前記支持部は、鉛直方向を長手方向とする棒状の部材を用いずに、かつ隣接するゴルフクラブのトップライン部を除くヘッド間に障害物を設けず、前記複数のゴルフクラブの前記各シャフトの長さ方向において異なる位置で前記各ヘッドのトップライン部のみを支持するための、前記複数のゴルフクラブの各トップライン部の形状に応じた形状を有する複数の溝であって、少なくとも2つの形状が互いに異なる前記複数の溝を設けた板状又はフレーム状の剛体で前記各ヘッドを支持する構造を有し、
前記支持部に、前記複数のゴルフクラブの少なくとも一部の複数のシャフトと前記支持部との間に形成される空隙を埋める位置に配置され、前記複数の溝の長さ方向における前記複数のゴルフクラブの少なくとも一部の移動を抑止するためのスペーサを設けたゴルフクラブ支持器具。
【請求項2】
請求項記載のゴルフクラブ支持器具と、
前記収納体と、
を有するゴルフバッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブ支持器具及びゴルフバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフバッグは、異なる種類の複数のゴルフクラブを収納して持ち運ぶためのバッグである。ゴルフクラブは、ボールを打つためのヘッドにシャフトを連結して構成される。また、シャフトにはユーザが握るためのグリップが取付けられる。そして、ゴルフバッグには、通常、シャフト側を底側、ヘッド側を口側に向けて各ゴルフクラブが収納される。
【0003】
このため、従来、複数のゴルフクラブをゴルフバッグに収納して持ち運ぶ際に、ヘッド同士の衝突を回避したり、プレー中においてゴルフバッグに収納された複数のゴルフクラブから適切なゴルフクラブを容易に選択できるようにするために、様々な器具が考案されている(例えば特許文献1、特許文献2及び特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−128423号公報
【特許文献2】実開平7−43790号公報
【特許文献3】特表平9−511416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ゴルフバッグに要求される事項としては、構造が簡易であること、汎用性が高いこと、多数のゴルフクラブを収納できること、メンテナンスが容易であること、製造コストを安価にできること等の様々な事項が挙げられる。
【0006】
そこで本発明は、様々な要求事項を満たすために好適な構造を有するゴルフクラブ支持器具及びゴルフバッグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係るゴルフクラブ支持器具は、支持部と連結部とを有する。支持部は、複数のアイアンを含む複数のゴルフクラブの各ヘッドを支持し、かつ前記各ヘッドの回転を抑止する。連結部は、前記複数のゴルフクラブの各シャフト側を収納するための収納体の口枠を構成する仕切りであって前記収納体を複数の領域に分割するための仕切りに前記支持部を着脱機構によって連結する。前記支持部は、鉛直方向を長手方向とする棒状の部材を用いずに、かつ隣接するゴルフクラブのトップライン部を除くヘッド間に障害物を設けず、前記複数のゴルフクラブの前記各シャフトの長さ方向において異なる位置で前記各ヘッドのトップライン部のみを支持するための、前記複数のゴルフクラブの各トップライン部の形状に応じた形状を有する複数の溝であって、少なくとも2つの形状が互いに異なる前記複数の溝を設けた板状又はフレーム状の剛体で前記各ヘッドを支持する構造を有する。更に、前記支持部には、前記複数のゴルフクラブの少なくとも一部の複数のシャフトと前記支持部との間に形成される空隙を埋める位置に配置され、前記複数の溝の長さ方向における前記複数のゴルフクラブの少なくとも一部の移動を抑止するためのスペーサが設けられる。
また、本発明の実施形態に係るゴルフバッグは、前記ゴルフクラブ支持器具と前記収納体とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態に係るゴルフクラブ支持器具及びゴルフバッグによれば、好適な構造によって様々な要求事項を満たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態に係るゴルフクラブ支持器具を備えたゴルフバッグの正面図。
図2】ゴルフクラブの各部の名称を示す図。
図3図1に示す収納体の口枠の構造の一例を示す斜視図。
図4図1に示すゴルフクラブ支持器具の構造例を示す正面図。
図5図4に示すゴルフクラブ支持器具の右側面図。
図6図4に示すゴルフクラブ支持器具の背面図。
図7図4に示すゴルフクラブ支持器具の斜視図。
図8図7に示すゴルフクラブ支持器具の支持部にゴルフクラブをセットした状態を示す図。
図9】本発明の第2の実施形態に係るゴルフバッグに備えられるゴルフクラブ支持器具の構造例を示す正面図。
図10図9に示すゴルフクラブ支持器具の右側面図。
図11図9に示すゴルフクラブ支持器具の背面図。
図12図9に示すゴルフクラブ支持器具の支持部にゴルフクラブをセットした状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態に係るゴルフクラブ支持器具及びゴルフバッグについて添付図面を参照して説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
(構成および機能)
図1は本発明の第1の実施形態に係るゴルフクラブ支持器具を備えたゴルフバッグの正面図である。
【0012】
ゴルフバッグ1は、収納体2にゴルフクラブ支持器具3を設けて構成される。収納体2は、複数のゴルフクラブの各シャフト側を収納するための袋状のバッグである。収納体2の底部には、ゴルフバッグ1を地面に設置するためのボトム4が設けられる。一方、収納体2の口側には、ゴルフクラブの各シャフト側を出し入れするための口枠5が設けられる。また、収納体2には、ユーザが肩に掛けるためのショルダーベルト6の他、所望の位置にポケットを設けることができる。従って、収納体2は、従来の市販のゴルフバッグと同様なバッグである。
【0013】
典型的な収納体2の口枠5は、仕切りによって分割される。このため、口枠5を構成する仕切りによって収納体2の内部を区分することができる。そして、ゴルフクラブを種類別に収納体2に収納することができる。
【0014】
ゴルフクラブは、ウッド、アイアン及びパターに大別することができる。また、ゴルフクラブには長さに応じた番手と呼ばれる番号が付され、番号が大きい程、長さが短くなる。但し、アイアンには、番号が付されないウェッジと呼ばれる短いクラブもある。他に、アイアンとウッドの中間的特性を持つゴルフクラブとして、形状がアイアン型のユーティリティや形状がウッド型のハイブリッドが知られている。このように、ゴルフクラブの種類は、クラブ名称と番号によって識別することができる。
【0015】
図2は、ゴルフクラブの各部の名称を示す図である。
【0016】
ゴルフクラブ10は、ヘッドにシャフトを連結して構成される。シャフトにはグリップが取付けられる。ヘッドのボールを打つ面は、フェースと呼ばれる。フェースには、スコアラインと呼ばれる溝が設けられる。尚、スコアラインは、フェースラインと呼ばれる場合もある。フェースの裏面は、バックフェースと呼ばれる。また、ヘッドの先端はトゥと呼ばれ、シャフト側の端部はヒールと呼ばれる。
【0017】
ゴルフクラブ10のヘッドを振り上げる前における使用状態において、ヘッドの底はソールと呼ばれ、ヘッドの上部における縁はトップラインと呼ばれる。尚、トップラインは、トップブレードと呼ばれる場合もある。また、ヘッドの最も高い部分は、クラウンと呼ばれる。尚、ウッドの場合には、クラウンがヘッドの上面を意味する。
【0018】
ユーザが使用することが可能なゴルフクラブ10の本数は、一人につき14本までである。従って、3〜4本のウッド、8〜9本のアイアン及び1本のパターの組合せでクラブセットが構成される場合が多い。そして、ユーザの好みに応じたゴルフクラブ10の組合せを口枠5の仕切りを利用して整理しつつ収納体2に収納することができる。特に、アイアンの本数はユーザの好みによって変わる場合が多い。
【0019】
図3は、図1に示す収納体2の口枠5の構造の一例を示す斜視図である。
【0020】
図3は、収納体2を6分割するための仕切り20を設けた口枠5の構造例を示している。図3に示す例の他、口枠5の仕切り20には3分割や4分割など、様々なタイプがある。ゴルフクラブ10の最大本数は14本であるため、収納体2は口枠5によって最多14分割される。従って、ゴルフクラブ10の組合せに加え、口枠5による収納体2の分割数についてもユーザの好みに応じて決定される。
【0021】
収納体2には、ゴルフクラブ10のシャフトが挿入される。従って、口枠5からは、各ゴルフクラブ10のヘッドがソールを上方に向けて突出することとなる。そこで、収納体2を3〜6分割する典型的な口枠5を有する収納体2の場合には、ウッド、主要なアイアン及びその他のゴルフクラブ10に整理してゴルフクラブ10を収納することができる。
【0022】
しかし、ゴルフクラブ10が回転すると、ゴルフクラブ10のヘッド同士が衝突してゴルフクラブ10に傷が付く恐れがある。特に、口枠5によって形成される区画に複数のアイアンを収納すると、アイアン同士が互いに干渉して傷が付く可能性が高い。また、ゴルフのプレーを円滑に進行するためには、ゴルフバッグ1に収納された複数のゴルフクラブ10から適切なゴルフクラブ10を速やかに選択して取出することが重要である。一方、ゴルフクラブ10の使用後には、速やかにゴルフバッグ1に収納することが重要である。加えて、ゴルフバッグ1は、ゴルフクラブ10を収納した状態においても外観が良好であることが好ましい。
【0023】
このような事情により、ゴルフバッグ1には、ゴルフクラブ10の回転抑止による損傷の回避並びに外観向上及び作業性向上のための適切なゴルフクラブ10の配置が要求される。そこで、ゴルフクラブ10の回転を抑止し、かつゴルフクラブ10を適切な向き及び位置で整列配置できるように、収納体2にはゴルフクラブ支持器具3が取付けられる。
【0024】
図4は、図1に示すゴルフクラブ支持器具3の構造例を示す正面図、図5図4に示すゴルフクラブ支持器具3の右側面図、図6図4に示すゴルフクラブ支持器具3の背面図、図7図4に示すゴルフクラブ支持器具3の斜視図である。
【0025】
ゴルフクラブ支持器具3は、収納体2の口枠5に連結することが可能な構造を有している。そのために、ゴルフクラブ支持器具3は、支持部30と連結部31とを有する。支持部30は、複数のゴルフクラブ10の各ヘッドを支持する機能と、各ヘッドの回転を抑止する機能を有する。また、連結部31は、支持部30を、複数のゴルフクラブ10の各シャフト側を収納するための収納体2に連結するための部分である。
【0026】
連結部31は、収納体2の口枠5を構成する仕切り20に支持部30を連結するように構成することが合成を確保する観点から望ましい。すなわち、連結部31により口枠5の仕切り20以外の外周部分に支持部30を連結するように構成することもできるが、口枠5の仕切り20に支持部30を連結するように構成すれば、ゴルフクラブ10をセットした状態における支持部30の重心に近い位置で支持部30を安定的に支えることが可能となる。
【0027】
また、連結部31で支持部30を収納体2と一体化することも可能であるが、着脱機構によって取外し可能に支持部30を収納体2に連結することもできる。特に、ユーザが容易に支持部30を収納体2に着脱できるように連結部31の構成要素として着脱機構を用いれば、従来のバッグにアタッチメントとして支持部30を取付けることができる。すなわち、ゴルフクラブ支持器具3に汎用性が得られる。加えて、支持部30を収納体2から取り外して収納体2の内部を容易に掃除することも可能となる。すなわち、収納体2のメンテナンスが容易となる。
【0028】
図示された例では、連結部31が2枚の板状部材で口枠5の仕切り20を挟持する構造となっている。このため、例えば2枚の板状部材を仕切り20の一部に嵌合させれば、支持部30が収納体2に対して着脱可能となる。もちろん、ネジやピン等の固定器具を用いて支持部30を収納体2に着脱可能に、或いは着脱できないように連結することもできる。
【0029】
また、連結部31の構造を、口枠5の仕切り20の一部と支持部30とを連結する構造とすれば、様々な仕切り20を有する口枠5に汎用的に支持部30を取付けることが可能となる。例えば、図示された例のように、3箇所で支持部30と口枠5とを連結するように連結部31を構成すれば、仕切り20の位置が異なる口枠5であっても、支持部30を口枠5に連結することができる。
【0030】
図8図7に示すゴルフクラブ支持器具3の支持部30にゴルフクラブ10をセットした状態を示す図である。
【0031】
支持部30の構造は、図示されるように、隣接するゴルフクラブ10のヘッド間に障害物を設けず、各ヘッドのトップライン部を支持するための溝32を板状部材に設けた構造とすることが、より多くのゴルフクラブ10をセットできるようにする観点から好適である。つまり、支持部30の構造を、壁面でヘッドの回転を防止するのではなく、トップライン部にフィットする溝32でヘッドの回転を防止する構造とすることができる。
【0032】
これにより、ゴルフクラブ10同士を、より接近した位置に配置することができる。その結果、ユーザの好みに応じたより多くのゴルフクラブ10をゴルフバッグ1に収納することが可能となる。
【0033】
図示された例では、主要なアイアンの整列用の第1の支持部30Aと、他のアイアン及びパターの整列用の第2の支持部30Bがゴルフクラブ支持器具3に設けられている。第1の支持部30Aには、本数が多く、かつ干渉による損傷の回避が最も望まれる複数のアイアンのトップライン部を支持するための溝32が形成されている。一方、第2の支持部30Bには、他のアイアン及びパターのトップライン部を支持するための溝32が形成されている。
【0034】
第1の支持部30Aには、特に、複数のアイアンの各トップライン部の形状に応じた形状を有する複数の溝32を形成することができる。すなわち、図示された第1の支持部30Aには、異なるアイアンのトップライン部のみを支持するV字状の溝32が形成されているが、溝32の形状は一定ではない。換言すれば、ある溝32の形状が他の少なくとも1つの溝32の形状と異なる形状になっている。
【0035】
また、V字状等の溝32を線対称でない溝32とすることもできる。図示された例では、ヘッドのフェース側とバックフェース側で傾斜が異なるV字状の溝32が第1の支持部30Aに形成されている。このように、少なくとも2つの形状が互いに異なる複数の溝32を第1の支持部30Aに形成したり、非線対称な溝32を第1の支持部30Aに形成することによって、複数のアイアンのトップライン部にフィットするV字状等の溝32を第1の支持部30Aに設けることができる。その結果、アイアンのヘッドの回転を効果的に防止することができる。
【0036】
これは、第2の支持部30Bにおいても同様である。すなわち、アイアン及びパターのトップライン部にフィットするV字状等の溝32を第2の支持部30Bに設けることができる。もちろん、3つ以上の支持部30を設け、ウッド等のゴルフクラブ10を支持できるようにしてもよい。そして、口枠5により形成される区画の目的に合わせて支持部30を配置することができる。
【0037】
また、図示された例では、第1の支持部30Aが、複数のゴルフクラブ10の各シャフトの長さ方向において異なる位置で各ヘッドを支持するように構成されている。すなわち、第1の支持部30Aでは、複数のアイアンの各トップライン部を支持する位置の高さが互いに異なる。このため、ヘッド同士の干渉を一層回避し、より多数のアイアンをゴルフバッグ1に収納することが可能となる。
【0038】
更に、図示されるように第1の支持部30Aの構造を板状とすれば、第1の支持部30Aの構造が簡易となる。このため、ゴルフクラブ支持器具3の製造が容易となる。但し、剛性が得られれば、第1の支持部30Aの構造を板状に限らずフレーム状としてもよい。すなわち、板状又はフレーム状の剛体にヘッドを支持するための溝32を設けて第1の支持部30Aを構成することができる。板状又はフレーム状の剛体で第1の支持部30Aを構成すれば、鉛直方向を長手方向とする棒状の部材でヘッドを支持する構造に比べて高い剛性を得ることができる。
【0039】
特に、第1の支持部30A及び第2の支持部30Bを口枠5の仕切り20に荷重を掛ける構造とすれば、第1の支持部30A及び第2の支持部30Bを口枠5の外周のみに荷重を掛ける構造に比べて、強度を担う第1の支持部30Aに要求される剛性を低減させることができる。つまり、板状又はフレーム状の剛体で第1の支持部30Aを構成することにより十分な剛性を確保する一方、第1の支持部30Aを口枠5の仕切り20上に設置することにより、第1の支持部30Aに要求される剛性を低減させることができる。
【0040】
このため、木、金属又は樹脂等の様々な材料を用いて支持部30を構成することが可能となる。特に、フレーム状の剛体で支持部30を構成すれば、材料の節約や重量の軽減に繋げることができる。また、プラスチックを用いて支持部30を構成すれば、プラスチックの射出成形によって安価にゴルフクラブ支持器具3を量産することが可能となる。
【0041】
つまり以上のようなゴルフバッグ1は、ゴルフクラブ10の収納口を構成する口枠5上に、ゴルフクラブ10のヘッドを支持することによりゴルフクラブ10の回転を抑止しつつ整列配置するためのゴルフクラブ支持器具3を設けたものである。
【0042】
(効果)
このためゴルフクラブ支持器具3及びゴルフバッグ1によれば、ゴルフクラブ10同士の接触を防止することができる。その結果、ゴルフクラブ10同士の接触による音の発生や損傷を回避することができる。また、ゴルフクラブ10の整列配置によって、ゴルフクラブ10の取出しミスの防止、速やかなゴルフクラブ10の取出し及び速やかなゴルフクラブ10の収納を図ることができる。また、ゴルフクラブ10を収納した状態におけるゴルフバッグ1の外観を良好にすることができる。
【0043】
また、ゴルフクラブ10のヘッド間に壁面等の障害物がないため、ゴルフクラブ10の収納本数を多くすることができる。特に、各ヘッドの支持位置の高さを変えることにより、空間を有効活用し、一層多くのゴルフクラブ10をゴルフバッグ1に収納することが可能となる。その結果、ユーザの好みに応じた十分な本数のゴルフクラブ10をゴルフバッグ1に収納することができる。
【0044】
また、ゴルフクラブ10の各ヘッドの支持位置の高さを変えれば、外観が良好となる。加えて、高い場所からアイアン等のゴルフクラブ10を番手順に整理配置することができる。このため、ヘッドの高低差を利用するとによって、ゴルフクラブ10の番手の確認及び識別を容易に行うことが可能となる。その結果、ゴルフクラブ10を速やかに取出し、収納することができる。
【0045】
更に、ゴルフクラブ支持器具3を口枠5の仕切り20に取付ける構造とすることにより、多用な構造を有する口枠5にゴルフクラブ支持器具3を取付けることができる。このため、既存のバッグにアタッチメントとしてゴルフクラブ支持器具3を取付けることも可能となる。
【0046】
更に、支持部30の、荷重が掛かる主要な部分の構造を板状又はフレーム状とすることにより、構造を簡易にしつつ剛性を確保することが可能となる。その結果、材料の選択肢を広げ、製造コストの低減に繋げることができる。
【0047】
(第2の実施形態)
図9は本発明の第2の実施形態に係るゴルフバッグに備えられるゴルフクラブ支持器具の構造例を示す正面図、図10図9に示すゴルフクラブ支持器具の右側面図、図11図9に示すゴルフクラブ支持器具の背面図である。
【0048】
第2の実施形態におけるゴルフバッグでは、ゴルフクラブ支持器具3Aの支持部30にスペーサ40を設けた点が第1の実施形態におけるゴルフバッグ1と相違する。第2の実施形態におけるゴルフバッグの他の構成及び作用については第1の実施形態におけるゴルフバッグ1の構成及び作用と実質的に同等である。このため、第2の実施形態については、ゴルフクラブ支持器具3Aのみ図示し、同一の構成については同符号を付して説明を省略する。
【0049】
第2の実施形態におけるゴルフクラブ支持器具3Aの支持部30には、スペーサ40が設けられる。スペーサ40は、複数のゴルフクラブの少なくとも一部のシャフトと支持部30との間に形成される空隙を埋める位置に配置される。図示された例では、傾斜した三角柱形状を有するスペーサ40が、長さ方向を第1の支持部30Aの傾斜方向に向けて設けられている。
【0050】
図12図9に示すゴルフクラブ支持器具3Aの支持部30にゴルフクラブをセットした状態を示す斜視図である。
【0051】
ゴルフクラブ支持器具3Aを備えたゴルフバッグ1Aは、乗用カートに乗せて運搬される。ゴルフバッグ1Aを乗用カートに乗せると、図12に示すようにゴルフバッグ1Aが傾斜する場合がある。この場合、ゴルフクラブ10が自重によって支持部30に設けられた溝32の長さ方向に移動してしまう恐れがある。特に収納体2の中央付近に収納されるアイアン等のゴルフクラブ10が移動すると、収納体2の縁側に収納されるパター等の他のゴルフクラブ10に接近又は接触し、ゴルフクラブ10の出し入れの妨げとなる可能性がある。
【0052】
そこで、図12に示すように、少なくとも中央付近に収納されるゴルフクラブ10を支持する第1の支持部30Aの適切な位置にスペーサ40を設ければ、第1の支持部30Aを形成する溝32の長さ方向におけるゴルフクラブ10の移動を抑止することができる。
【0053】
尚、図示された例では、第2の支持部30Bが3本のゴルフクラブ10を指示する構造となっており、パターの収納スペースが別に設けられている。第2の支持部30Bによって支持されるゴルフクラブ10が自重によって第2の支持部30Bを形成する溝32の長さ方向に滑ったとしても、他のゴルフクラブ10の収納スペースに影響を及ぼさないため、図12に示す例では、第2の支持部30Bにはスペーサ40が設けられていない。但し、もちろん、第2の支持部30Bにスペーサ40を設けるようにしてもよい。
【0054】
以上の第2の実施形態におけるゴルフバッグ1Aは、ゴルフクラブ支持器具3Aの支持部30に、ゴルフバッグ1Aに収納される複数のゴルフクラブ10の少なくとも一部の、支持部30を形成する溝32の長さ方向における移動を抑止するためのスペーサ40を設けたものである。このため、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様なゴルフクラブ10の回転の抑止に加え、ゴルフクラブ10の平行移動についても抑止することができる。
【0055】
(他の実施形態)
以上、特定の実施形態について記載したが、記載された実施形態は一例に過ぎず、発明の範囲を限定するものではない。ここに記載された新規な方法及び装置は、様々な他の様式で具現化することができる。また、ここに記載された方法及び装置の様式において、発明の要旨から逸脱しない範囲で、種々の省略、置換及び変更を行うことができる。添付された請求の範囲及びその均等物は、発明の範囲及び要旨に包含されているものとして、そのような種々の様式及び変形例を含んでいる。
【符号の説明】
【0056】
1、1A ゴルフバッグ
2 収納体
3、3A ゴルフクラブ支持器具
4 ボトム
5 口枠
6 ショルダーベルト
10 ゴルフクラブ
20 仕切り
30 支持部
30A 第1の支持部
30B 第2の支持部
31 連結部
32 溝
40 スペーサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12