【文献】
Qualcomm Europe,"HNB and Macro Downlink Performance with Calibrated HNB Transmit Power"[online],3GPP TSG-RAN WG4♯47bis R4-081344,URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG4_Radio/TSGR4_47bis/Docs/R4-081344.zip,2008年 6月20日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1つのホーム基地局によって無線インターフェースを通じて転送される信号の送信電力を調整するための方法であって、前記少なくとも1つのホーム基地局は、基地局のセル内に配置されており、該方法は、
− 前記少なくとも1つのホーム基地局の少なくとも1つの高干渉基準ゾーンを求めるステップであって、該高干渉基準ゾーンは、前記基地局及び前記少なくとも1つのホーム基地局によって転送された信号が干渉すると共にその干渉が制御されるゾーンである、ステップと、
− 前記少なくとも1つのホーム基地局の信号送信電力を求めるステップであって、該少なくとも1つのホーム基地局によって送信される信号送信電力Pt,HBSは、移動端末の性能劣化を表す所与の関数gが該少なくとも1つのホーム基地局の周囲の前記高干渉基準ゾーンZoneMT内において閾値RT以下となる所与の通信遮断確率Poutが
Pr(g≦RT|ZoneMT)=Pout
となるように設定される、ステップと
を含むことを特徴とする、少なくとも1つのホーム基地局によって無線インターフェースを通じて転送される信号の送信電力を調整するための方法。
前記移動端末の性能劣化を表す関数gは、近隣の基地局からの前記基地局の干渉レベルと前記少なくとも1つのホーム基地局からの受信電力との比、又は前記少なくとも1つのホーム基地局からの干渉がある場合における基地局の信号対干渉プラス雑音比と前記少なくとも1つのホーム基地局からの干渉がない場合における基地局の信号対干渉プラス雑音比との比、又は前記少なくとも1つのホーム基地局からの干渉がある場合における基地局からのシャノン容量と前記少なくとも1つのホーム基地局からの干渉がない場合における基地局からのシャノン容量との比、又は前記少なくとも1つのホーム基地局からの干渉がある場合における基地局からのモデル化されたスペクトル効率と前記少なくとも1つのホーム基地局からの干渉がない場合における基地局からのモデル化されたスペクトル効率との比、又は前記少なくとも1つのホーム基地局からの干渉がある場合における基地局からの経験的なスペクトル効率と前記少なくとも1つのホーム基地局からの干渉がない場合における基地局からの経験的なスペクトル効率との比に従って定義されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
複数のホーム基地局が前記基地局の前記セルに含まれることを特徴とし、同一の信号送信電力が前記基地局の前記セルに含まれる各ホーム基地局によって用いられることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
複数のホーム基地局が前記基地局の前記セルに含まれ、前記基地局の前記セルに含まれる少なくとも1つのホーム基地局のサブセットに含まれるホーム基地局は、同一の信号送信電力を用い、
或るホーム基地局のサブセットに属していない少なくとも1つのホーム基地局によって用いられる信号送信電力は、該或るホーム基地局のサブセットに含まれるホーム基地局によって用いられる信号送信電力とは異なることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
複数のホーム基地局が前記基地局の前記セルに含まれることを特徴とし、各ホーム基地局によって用いられる信号送信電力は、前記基地局の前記セルに含まれる各ホーム基地局に特有であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
複数のホーム基地局が前記基地局の前記セルに含まれることを特徴とし、前記基地局の前記セルに含まれる各ホーム基地局によって用いられる信号送信電力は、前記基地局の前記セルに含まれる各ホーム基地局に共通の値と、前記基地局の前記セルに含まれる各ホーム基地局に特有の調整値とに分解されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
前記少なくとも1つのホーム基地局の前記信号送信電力は、少なくとも1つの移動端末のロケーションを表す情報に従って求められることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
少なくとも1つのホーム基地局によって無線インターフェースを通じて転送される信号の送信電力を調整するための装置であって、前記少なくとも1つのホーム基地局は、基地局のセル内に配置されており、該装置は、
− 前記少なくとも1つのホーム基地局の少なくとも1つの高干渉基準ゾーンを求める手段であって、該高干渉基準ゾーンは、前記基地局及び前記少なくとも1つのホーム基地局によって転送された信号が干渉すると共にその干渉が制御されるゾーンである、手段と、
− 前記少なくとも1つのホーム基地局の信号送信電力を求める手段であって、該少なくとも1つのホーム基地局によって送信される信号送信電力Pt,HBSは、移動端末の性能劣化を表す所与の関数gが該少なくとも1つのホーム基地局の周囲の前記高干渉基準ゾーンZoneMT内において閾値RT以下となる所与の通信遮断確率Poutが
Pr(g≦RT|ZoneMT)=Pout
となるように設定される、手段と
を含むことを特徴とする、少なくとも1つのホーム基地局によって無線インターフェースを通じて転送される信号の送信電力を調整するための装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、ホーム基地局と当該ホーム基地局がサービングする移動端末との間で転送される信号が、基地局と当該基地局がサービングする移動端末との間で転送される信号に対して干渉するのを回避することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
そのために、本発明は、少なくとも1つのホーム基地局によって無線インターフェースを通じて転送される信号の送信電力を調整するための方法に関する。少なくとも1つのホーム基地局は、基地局のセル内に配置されており、当該方法は、
− 少なくとも1つのホーム基地局の少なくとも1つの高干渉基準ゾーンを求めるステップであって、当該高干渉基準ゾーンは、基地局及び少なくとも1つのホーム基地局によって転送された信号が干渉すると共にその干渉が制御されるゾーンであるステップと、
− 少なくとも1つのホーム基地局の信号送信電力を求めるステップであって、当該少なくとも1つのホーム基地局によって送信される信号送信電力P
t,HBSは、移動端末の性能劣化を表す所与の関数gが当該少なくとも1つのホーム基地局の周囲の高干渉基準ゾーン内において閾値RT以下となる所与の通信遮断確率P
outを保証するように設定されるステップと
を含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、少なくとも1つのホーム基地局によって無線インターフェースを通じて転送される信号の送信電力を調整するための装置にも関する。少なくとも1つのホーム基地局は、基地局のセル内に配置されており、当該装置は、
− 少なくとも1つのホーム基地局の少なくとも1つの高干渉基準ゾーンを求める手段であって、当該高干渉基準ゾーンは、基地局及び少なくとも1つのホーム基地局によって転送された信号が干渉すると共にその干渉が制御されるゾーンである手段と、
− 少なくとも1つのホーム基地局の信号送信電力を求める手段であって、当該少なくとも1つのホーム基地局によって送信される信号送信電力P
t,HBSは、移動端末の性能劣化を表す所与の関数gが当該少なくとも1つのホーム基地局の周囲の高干渉基準ゾーン内において閾値RT以下となる所与の通信遮断確率P
outを保証するように設定される手段と
を含むことを特徴とする。
【0018】
したがって、少なくとも1つのホーム基地局の周囲の少なくとも1つのエリア内の劣化のレベルが制御される。例えば、建物の内部又は建物の周囲の小さなゾーン内における、ホーム基地局に近接する劣化が監視される。さらに、通信遮断確率手法は、受信電力のランダムな挙動によく適している。
【0019】
特定の特徴によれば、移動端末の性能劣化を表す関数gは、近隣の基地局からの当該基地局の干渉レベルと少なくとも1つのホーム基地局からの受信電力との比、又は少なくとも1つのホーム基地局からの干渉がある場合における基地局の信号対干渉プラス雑音比と少なくとも1つのホーム基地局からの干渉がない場合における基地局の信号対干渉プラス雑音比との比、又は少なくとも1つのホーム基地局からの干渉がある場合における基地局からのシャノン容量と少なくとも1つのホーム基地局からの干渉がない場合における基地局からのシャノン容量との比、又は少なくとも1つのホーム基地局からの干渉がある場合における基地局からのモデル化されたスペクトル効率と少なくとも1つのホーム基地局からの干渉がない場合における基地局からのモデル化されたスペクトル効率との比、又は少なくとも1つのホーム基地局からの干渉がある場合における基地局からの経験的なスペクトル効率と少なくとも1つのホーム基地局からの干渉がない場合における基地局からの経験的なスペクトル効率との比に従って定義される。
【0020】
したがって、関数gは移動端末の性能劣化を現実的な方法で表しており、これによって、効率的なセル間干渉調整が保証される。
【0021】
本発明は、モデル化されたスペクトル効率が用いられる場合、すなわちスペクトル効率が公式から導出される場合、又は例えば少なくとも1つのルックアップテーブルの使用のように経験的な技法が用いられる場合に効果的である。
【0022】
特定の特徴によれば、複数のホーム基地局が基地局のセルに含まれ、同一の信号送信電力が基地局のセルに含まれる各ホーム基地局によって用いられる。
【0023】
したがって、送信電力の計算は全てのホーム基地局に共通である。計算コストが削減される。さらに、送信電力は基地局が全てのホーム基地局に容易にブロードキャストすることができ、この共通の送信電力はより長い間有効な状態を維持する。
【0024】
特定の特徴によれば、複数のホーム基地局が基地局のセルに含まれ、基地局のセルに含まれる少なくとも1つのホーム基地局のサブセットに含まれるホーム基地局は、同一の信号送信電力を用い、或るホーム基地局のサブセットに属していない少なくとも1つのホーム基地局によって用いられる信号送信電力は、当該或るホーム基地局のサブセットに含まれるホーム基地局によって用いられる信号送信電力とは異なる。
【0025】
したがって、送信電力の計算はホーム基地局のサブセットの全てのホーム基地局に共通である。計算コストが削減される。さらに、送信電力は、例えば基地局がホーム基地局のサブセットの全てのホーム基地局に容易にブロードキャストすることができ、この共通の送信電力はより長い間有効な状態を維持する。
【0026】
これは、ホーム基地局のサブセットが同じ建物内又は建物の同じ所定のエリア内に位置する全てのホーム基地局を含む場合に特に興味深い。
【0027】
特定の特徴によれば、複数のホーム基地局が基地局のセルに含まれ、各ホーム基地局によって用いられる信号送信電力は、基地局のセルに含まれる各ホーム基地局に特有である。
【0028】
したがって、ホーム基地局の送信電力は、その状況によく適合している。
【0029】
特定の特徴によれば、複数のホーム基地局が基地局のセルに含まれ、基地局のセルに含まれる各ホーム基地局によって用いられる信号送信電力は、基地局のセルに含まれる各ホーム基地局に共通の値と、基地局のセルに含まれる各ホーム基地局に特有の調整値とに分解される。
【0030】
したがって、ホーム基地局の送信電力は、基地局のセル内の大域的な劣化を制御するために他の基地局の状況も考慮に入れながら、そのホーム基地局の状況によく適合する。
【0031】
特定の特徴によれば、送信電力は、基地局のセルに含まれる各ホーム基地局が同一の高干渉基準ゾーンサイズ、同一の通信遮断確率P
out、同一の閾値RT及び同一の関数gを有するように更に求められる。
【0032】
したがって、基地局の性能の同一の劣化がその基地局のカバレッジエリアに導入される各ホーム基地局について可能になる。同一「コスト」が新しい各ホーム基地局のデプロイに関連付けられる。
【0033】
基地局の性能の同一の劣化が各ホーム基地局について可能になるので、本発明は高干渉基準ゾーン等化(equalisation)方法を提供する。
【0034】
特定の特徴によれば、関数gは、高干渉基準ゾーン内に位置する移動端末によって基地局から受信される有用な電力P
U,BS−MTに依存し、及び/又は、移動端末によって少なくとも1つの近隣の基地局から受信される干渉電力P
I,BS−MTに加法的白色ガウス雑音を加えたものに依存し、及び/又は、移動端末によってホーム基地局から受信される電力P
I,HBS−MT、又は、1つのパス利得若しくは少なくとも1つのホーム基地局と移動端末との間のパス利得P
G,HBS−MTの組み合わせ及び少なくとも1つのホーム基地局によって放射される信号電力に依存する。
【0035】
したがって、ホーム基地局の周囲の移動端末の環境全体が考慮に入れられ、これによって、効率的なホーム基地局の電力設定が保証される。
【0036】
特定の特徴によれば、少なくとも1つの移動端末によって基地局から受信される有用な電力P
U,BS−MT、及び/又は、少なくとも1つの近隣の基地局からの干渉電力P
I,BS−MTに加法的白色ガウス雑音を加えたもの、及び/又は、移動端末によって少なくとも1つのホーム基地局から受信される電力P
I,HBS−M、又は、1つのパス利得若しくは少なくとも1つのホーム基地局と移動端末との間のパス利得P
G,HBS−MTの組み合わせは、測定によって取得される。
【0037】
したがって、移動端末の真の環境が移動端末自体によって報告されるので、ホーム基地局の電力設定のより良い精度が達成される。
【0038】
ここで、基地局のセルを通ってこれまで移動していた移動端末にとっては、長い期間にわたって測定値を蓄積することができることに留意されたい。
【0039】
特定の特徴によれば、移動端末によって基地局から受信される有用な電力P
U,BS−MT、及び/又は、少なくとも1つの近隣の基地局からの干渉電力P
I,BS−MTに加法的白色ガウス雑音を加えたもの、及び/又は、移動端末によって少なくとも1つのホーム基地局から受信される電力P
I,HBS−MT、又は、1つのパス利得若しくは少なくとも1つのホーム基地局と移動端末との間のパス利得P
G,HBS−MTの組み合わせは、所与のモデルから取得される。
【0040】
したがって、モデルが用いられる変数については、測定は必要とされない。
【0041】
特定の特徴によれば、移動端末によって基地局から受信される有用な電力P
U,BS−MT、及び/又は、少なくとも1つの近隣の基地局からの干渉電力P
I,BS−MTに加法的白色ガウス雑音を加えたもの、及び/又は、移動端末によってホーム基地局から受信される電力P
I,HBS−MT、又は、1つのパス利得若しくは少なくとも1つのホーム基地局と移動端末との間のパス利得P
G,HBS−MTの組み合わせは、所与のモデルに基づく方法から生成されるサンプルから取得される。
【0042】
したがって、モデルが用いられる変数には、測定は必要とされない。さらに、サンプル生成手法によって、相関関係のある確率変数を含むモデルのようなより正確ではあるがより複雑でもあるモデル内において行われる、より正確な計算が保証される。
【0043】
特定の特徴によれば、少なくとも1つのホーム基地局の信号送信電力は、少なくとも1つの移動端末のロケーションを表す情報に従って求められる。
【0044】
したがって、電力及び/又はパス利得の測定は必要ではない。この場合、パス利得モデル及び/又はデータベース(例えばマップ)。ホーム基地局のロケーション情報を用いる場合でも、高干渉基準ゾーン内のパス利得情報をデータベースから取得することができる。
【0045】
特定の特徴によれば、少なくとも1つのホーム基地局の信号送信電力は、確率変数の関数uの所与の確率値P
outにおける変位値から求められ、当該変位値は、uがu
Q未満となる確率がP
outに等しくなるようなuの値である。
【0046】
したがって、関与する変数のランダムな挙動が、信号送信計算において十分考慮に入れられる。
【0047】
特定の特徴によれば、変位値は、ランダムモデル、数値又は双方の組み合わせを用いて取得される。
【0048】
したがって、変位値は、確率変数に関する知識に応じて、すなわち確率変数が既知のモデルに従って分布しているか、又は確率変数が測定から得られるか、又は双方の組み合わせから得られるかに応じて、効率的に取得される。
【0049】
更に別の態様によれば、本発明は、プログラム可能デバイス内に直接ロード可能とすることができるコンピュータープログラムに関する。コンピュータプログラムは、当該コンピュータープログラムがプログラム可能デバイスにおいて実行されると、本発明による方法のステップを実施する命令又はコード部を含む。
【0050】
コンピュータープログラムに関する特徴及び利点は、本発明による方法及び装置に関連して上述したものと同じであるので、ここでは繰り返さないことにする。
【0051】
本発明の特徴は、一例の実施形態の以下の説明を読むことによってより明らかになるであろう。この説明は添付図面に関して作成されたものである。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1は、本発明が実施される無線セルラー通信ネットワークを表している。
【0054】
図1には、無線セルラー通信ネットワークの1つの基地局BSと複数のホーム基地局HBS1〜HBS5とが示されている。
【0055】
1つの基地局BSと5つのホーム基地局HBS1〜HBS5しか示されていないが、本発明は、より多くの数の基地局BS及び/又はホーム基地局HBSが存在する場合にも機能することを理解するができる。
【0056】
基地局BSは、例えば、基地局BSのセルCEに位置する移動端末をサービングする無線セルラー通信ネットワークの基地局である。
【0057】
明確にするために、
図1には1つの移動端末MTしか示されていない。
【0058】
ホーム基地局HBS1〜HBS5は、フェムト基地局若しくはピコ基地局又は中継器とも呼ばれる。例えば、中継器は、基地局BSとの無線リンクを介して無線セルラー通信ネットワークに接続されるホーム基地局HBSである。
【0059】
各ホーム基地局HBS1〜HBS5は、例えば住宅内に配置され、そのホーム基地局HBSに関連付けられた移動端末MTが無線セルラー通信ネットワークにアクセスすることを可能にすることができる。
【0060】
例えば、ホーム基地局HBS1とHBS5は、同じ建物内に配置されている。
【0061】
例えば、ホーム基地局HBSが移動端末MTの所有者のものである場合、又はホーム基地局HBSが移動端末MTの所有者の家族若しくは友人のものである場合には、ホーム基地局HBSと移動端末MTとが関連付けられる。
【0062】
移動端末MTが基地局BS又はホーム基地局HBSによってサービングされているとき、その移動端末MTは、その基地局BS又はホーム基地局HBSを通じて遠隔の通信デバイスとの通信を受信又は確立又は継続することができる。
【0063】
基地局BSは、エリアCEに位置する移動端末MTによって転送された信号を受信することができる。基地局BSは、セルCEに位置する移動端末MTが受信して処理することができる信号を転送する。
図1の例では、基地局BSは1つのセルCEしか有していない。本発明は基地局BSが複数のセルを有する場合にも適用可能である。その場合、本発明は基地局BSのセルごとに独立して適用される。
【0064】
ホーム基地局HBSは、基地局BSのセルCEに含まれている。
【0065】
ホーム基地局HBSは、移動端末が受信して処理することができる信号を放射する。
【0066】
ホーム基地局HBSはセルCE内に配置されているので、劣化のレベルは、ここでは高干渉基準ゾーン(HIRZ:high-interference reference zone)によって特徴付けられる。この高干渉基準ゾーンは、ダウンリンクにおける移動端末の性能が或る特定の閾値を超えて劣化するゾーンである。
【0067】
高干渉基準ゾーンHIRZ1は、基地局BSとホーム基地局HBS1の双方がそのゾーン内で信号を放射するときにダウンリンクにおける移動端末の性能が或る特定の閾値を超えて劣化する、ホーム基地局HBS1の周囲のゾーンである。
【0068】
ホーム基地局HBS5は、ホーム基地局HBS1が配置されている建物と同じ建物内に配置されているので、高干渉基準ゾーンHIRZ1は、基地局BSとホーム基地局HBS5の双方がそのゾーン内で信号を放射するときにダウンリンクにおける移動端末の性能が或る特定の閾値を超えて劣化する、ホーム基地局HBS5の周囲のゾーンでもある。
【0069】
高干渉基準ゾーンHIRZ2は、基地局BSとホーム基地局HBS2の双方がそのゾーン内で信号を放射するときにダウンリンクにおける移動端末の性能が或る特定の閾値を超えて劣化する、ホーム基地局HBS2の周囲のゾーンである。
【0070】
高干渉基準ゾーンHIRZ3は、基地局BSとホーム基地局HBS3の双方がそのゾーン内で信号を放射するときにダウンリンクにおける移動端末の性能が或る特定の閾値を超えて劣化する、ホーム基地局HBS3の周囲のゾーンである。
【0071】
高干渉基準ゾーンHIRZ4は、基地局BSとホーム基地局HBS4の双方がそのゾーン内で信号を放射するときにダウンリンクにおける移動端末の性能が或る特定の閾値を超えて劣化する、ホーム基地局HBS4の周囲のゾーンである。
【0072】
図1にはサーバServが示されている。このサーバServは、複数の基地局BSの複数のセルを制御することができると共に基地局BSの代わりに本アルゴリズムを実行することができるコアネットワークデバイスである。サーバServは、コーディネータと呼ばれる場合もある。
【0073】
本発明によれば、基地局BS又はサーバServ又はホーム基地局HBSは、
− 少なくとも1つのホーム基地局HBSの少なくとも1つの高干渉基準ゾーンを求めることと、
− 上記少なくとも1つのホーム基地局HBS用の信号送信電力を求めることであって、上記少なくとも1つの干渉ゾーンZone
MTが、当該少なくとも1つのゾーンZone
MT内でgがRT以下となる確率がP
outに等しくなるようなゾーン、すなわちPr(g≦RT|Zone
MT)=P
outとなるようなゾーンであるようになっている信号送信電力を求めることと、
によってセル間干渉調整手順を実行する。
【0074】
本発明によるセル間干渉調整手順では、少なくとも1つのホーム基地局HBSによって放射される信号の送信電力P
t,HBSは、少なくとも1つのホーム基地局HBSの周囲の所与のゾーンZone
MTにおける、移動端末の性能劣化を表す所与の関数gの所与の通信遮断確率P
outを保証するように設定される。ここで、RTは閾値である。ゾーンZone
MTは、ゾーンHIRZ1〜HIRZ4を結合したもの(union)とすることもできるし、ゾーンHIRZ1〜HIRZ4のうちの1つに等しいものとすることもできる。P
t,HBSは、Pr(g≦RT|Zone
MT)=P
outであるようになっている。
【0075】
例えば、関数gは、ホーム基地局HBSの信号放射がある場合における基地局BSによってサービングされる移動端末MTの容量と、ホーム基地局HBSの信号放射がない場合における移動端末MTの容量との比である。
【0076】
各高干渉基準ゾーンHIRZ1〜HIRZ4は、ホーム基地局HBS1〜HBS5の周囲の小さなゾーンであり、
図1には円として表されている。
【0077】
例えば、P
out=0.1及びRT=0.75は、高干渉基準ゾーンHIRZi(i=1〜4)において、移動端末MTの10%が、それぞれのホーム基地局HBS1〜HBS5の信号放射に起因して25%よりも大きな容量低下を有することを意味する。ホーム基地局HBS1〜HBS5の無線信号送信電力は、これらの値に達するように設定される。
【0078】
関数gは、基地局BSから移動端末MTによって受信される有用な電力P
U,BS−MTと、近隣の基地局からの干渉電力P
I,BS−MTに加法的白色ガウス雑音(AWGN)を加えたものと、ホーム基地局HBSiから移動端末MTによって受信される電力P
t,HBS+P
G,HBS−MTとに依存し得る。ここで、P
G,HBS−MTは、ホーム基地局HBSiと移動端末MTとの間のパス利得である。P
t,HBSは、以下であるようになっている。
【数1】
【0079】
ここで、これまで及び以降の全ての電力及びパス利得の変数は、デシベル(dB)で表され、より正確にはlogはlog
10であることに留意されたい。
【0080】
図1の例によれば、関数gは、基地局BSから移動端末MTによって受信される有用な電力P
U,BS−MTと、近隣の基地局からの干渉電力P
I,BS−MTに加法的白色ガウス雑音(AWGN)を加えたものと、ホーム基地局HBS1とHBS5から移動端末MTによって受信される電力P
t,HBS+P
G,HBS−MTとに依存し得る。ここで、P
G,HBS−MTは、ホーム基地局HBS1と移動端末MTとの間のパス利得及びホーム基地局HBS5と移動端末MTとの間のパス利得の組み合わせを表す。P
t,HBSは、以下であるようになっている。
【数2】
【0081】
本発明の種々の実現態様によれば、最初の2つの変数P
U,BS−MT及びP
I,BS−MTの統計的特性は、セル間干渉調整が大域的であるか又は局所的であるかに応じて、基地局BSのカバレッジCE全体にわたる統計的特性であるか又は少なくとも1つの所与のホーム基地局HBSの周囲の所与のゾーンの統計的特性である。
【0082】
図1の例によれば、第3の変数P
G,HBS−MTの統計的特性は、所与のホーム基地局HBSの統計的特性、すなわち所与のホーム基地局HBSiの周囲の所与の高干渉基準ゾーンHIRZi(i=2〜4)の統計的特性である。この高干渉基準ゾーンHIRZiは、ホーム基地局HBSiの最大カバレッジ、又は基地局BS側から見たホーム基地局HBSiの建物境界を表す閉じた外形、例えばホーム基地局HBSiの周囲の円として画定することができる。
【0083】
図1の例によれば、ホーム基地局HBS1とHBS5の場合、第3の変数P
G,HBS−MTの統計的特性は、2つのホーム基地局HBS1とHBS5のパス利得の組み合わせの統計的特性、すなわちホーム基地局HBS1とHBS5の周囲の高干渉基準ゾーンHIRZ1の統計的特性である。この高干渉基準ゾーンHIRZ1は、ホーム基地局HBS1とHBS5の最大カバレッジ、又は基地局BS側から見たホーム基地局HBS1とHBS5の建物の境界を表す閉じた外形、例えばホーム基地局HBS1とHBS5の周囲の円として画定することができる。
【0084】
例えば、2つのホーム基地局HBS1とHBS5のパス利得の組み合わせは、以下の式とすることができる。
【数3】
ただし、P
G,HBS,1−MTは、ホーム基地局HBS1と移動端末MTの間のパス利得であり、P
G,HBS,5−MTは、ホーム基地局HBS5と移動端末MTの間のパス利得である。
【0085】
簡単にするために、以下では、高干渉基準ゾーンHIRZ1はホーム基地局HBS1の周囲の円とみなすことにし、これが基地局BS側から見たホーム基地局HBS1の最大カバレッジを表す。
【0086】
i番目の高干渉ゾーンHIRZiは、スカラー値r
DZ,HBSiによって特徴付けることができる。このスカラー値は円の半径を表し、ホーム基地局HBSiと所与の方向におけるその建物境界又は所与の方向におけるそのカバレッジとの間の距離の平均又は最大値のような近似値である。
【0087】
ここで、g関数は、以下の特性を有しなければならないことに留意されたい。
− P
U,BS−MTによらず一定であるか又はP
U,BS−MTとともに増加する。
− P
I,BS−MTによらず一定であるか又はP
I,BS−MTとともに増加する。
− P
t,HBS+P
G,HBS−MTとともに減少する。
【0088】
したがって、P
t,HBSが大きくなるにつれて劣化は大きくなり、これはより小さなg値によってモデル化される。関数gが基地局BSの信号干渉プラス雑音比SINR
BS=P
U,BS−MT−P
I,BS−MTにも依存することに留意されたい。
【0089】
したがって、関数gは、g(SINR
BS,P
I,BS−MT,P
t,HBS+P
G,HBS−MT)又はg(P
U,BS−MT,SINR
BS,P
t,HBS+P
G,HBS−MT)として表すこともできる。
【0090】
大域的又は局所的なセル間干渉調整のタイプが何であろうと、電力P
t,HBSは潜在的に確率変数であり得る3つの変数の関数fとして表すことができる。関数fは、最初の2つの変数P
U,BS−MT及びP
I,BS−MTとともに増加し、最後の1つP
G,HBS−MTとともに減少する。
【0091】
この関数fは、g(P
U,BS−MT,P
I,BS−MT,P+P
G,HBS−MT)=RTとすることによって定義される。ここで、P=f(P
U,BS−MT,P
I,BS−MT,RT)−P
G,HBS−MTである。
【0092】
fは確率変数の関数であであるので、Pはそれ自体が確率変数の関数である。この確率変数の累積密度関数は計算することができ、P
t,HBSは、この累積密度関数の値P
outに対応するPの値に設定することができる。
【数4】
ただし、Q
u(P
out)は、確率変数の関数である関数uのP
outにおける変位値(quantile)である。
【0093】
変位値u
Q=Q
u(P
out)は、uがu
Qよりも小さい確率がP
outに等しくなるようなuの値u
Qである。
【0094】
関数fは劣化関数gに直接関係している。関数fは、P
U,BS−MT及びP
I,BS−MTとともに常に増加し、RTとともに常に減少する。
【0095】
実際、P
U,BS−MTの増加は、移動端末MTがホーム基地局HBSの干渉に対して影響されにくくなることを意味する。P
I,BS−MTの増加は、基地局BSからの干渉がより支配的となり、ホーム基地局HBSの影響が低減されることを意味する。最後に、RTの増加は判定基準がより厳しく、ホーム基地局HBSの送信電力が基地局BSの性能判定基準を満たすように削減されなければならないことを意味する。
【0096】
送信電力P
t,HBSも同じ傾向に従う。より高い通信遮断確率P
outが認められるので、変位値の定義によって送信電力P
t,HBSもP
outとともに増加する。P
G,HBS−MTの分散が同じ場合、P
G,HBS−MTの増加は移動端末MTに対する影響が大きくなることを意味するので、送信電力もP
G,HBS−MTの平均とともに減少する。
【0097】
実際には、信号対干渉プラス雑音比(SINR)が最大の信号干渉プラス雑音比の値SINR
maxを超えて増加するとき、fは性能飽和も考慮に入れるべきである。
【0098】
実際、システムのピークレートは、より高次の変調方式、より高い符号化率、より高いスペクトル効率を有する多入力多出力方式によって常に制限される。
【0099】
この飽和は、P
I,BS−MTをmax(P
I,BS−MT,P
U,BS−MT−10・log(SINR
max))に置き換えることによって、セル間干渉調整方法に容易に導入することができる。
【0100】
高干渉基準ゾーンHIRZに基づくセル間干渉調整方法を実行するには、関与する変数の統計的特性が必要となる。これらの特性は、モデル又は測定から導出することができる。
【0101】
セル間干渉調整方法のタイプが大域的であるか又は局所的であるかに応じて、確率変数は同じ地理的ゾーン上においては検討されない。
【0102】
大域的なセル間干渉調整では、送信電力P
t,HBSは、セルCEに含まれる各ホーム基地局HBS1〜HBS5について同じである。
【0103】
各ホーム基地局HBS1〜HBS5の送信電力は、ホーム基地局HBS1〜HBS5の周囲の全ての個々のゾーンHIRZ1〜HIRZ4の結合によって得られる大域的なゾーンZone
MT上における所与の通信遮断確率を保証するように設定される。
【0104】
セル間干渉調整は、基地局BS又はサーバServによって実行される。そして、基地局BS又はサーバServはがホーム基地局HBSにP
t,HBSを知らせるか、又はホーム基地局HBSが自身でP
t,HBSを計算する。
【0105】
基地局BSが全てのホーム基地局HBSの正確な位置を知らない場合、基地局BSはセルCE内のあらゆる場所にホーム基地局HBSが存在すると仮定する。したがって、P
U,BS−MT及びP
I,BS−MTの統計的特性は、基地局BSのセルCE内の全ての移動端末ロケーションについて計算される。
【0106】
他方、P
G,HBS−MTの統計的特性は、ホーム基地局HBSの周囲のゾーン上でのみ計算される。なぜならば、このゾーンはP
t,HBSを求めるのに重要なゾーンであり、全てのHBSにわたって平均化されるからである。
【数5】
ただし、
【数6】
は、xの平均を示し、
【数7】
は、P
outにおける変位値、すなわち、uの累積密度関数がHIRZ1〜HIRZ4の結合ゾーンZone
MT上における関数uのP
outに等しくなるような値である。
【数8】
は、全てのホーム基地局HBSにわたる、ホーム基地局HBSi(i=2〜4)とその高干渉基準ゾーンHIRZi内の移動端末MTとの間のパス利得と、全てのホーム基地局HBSにわたる、ホーム基地局HBS1及びHBS5とそれらの高干渉基準ゾーンHIRZ1内の移動端末MTとの間のパス利得の組み合わせとの平均である。
【0107】
高干渉基準ゾーンHIRZの等化を有する局所的なセル間干渉調整では、各ゾーンHIRZi(i=2〜4)は、ホーム基地局HBSiの周囲のゾーンであり、個別に検討される。送信電力P
t,HBS(HBSi)は各ホーム基地局HBSに固有であり、この固有の電力P
t,HBS(HBSi)は、ゾーンHIRZi上における所与の通信遮断確率を保証するように設定される。
【0108】
セル間干渉調整は、ホーム基地局HBSiごとに独立して実行される。
【0109】
高干渉基準ゾーンHIRZの等化を有する局所的なセル間干渉調整では、ゾーンHIRZ1はホーム基地局HBS1とHBS5の周囲のゾーンであり、個別に検討される。送信電力P
t,HBS(HBS1)は送信電力P
t,HBS(HBS5)に等しく、この固有の電力P
t,HBS(HBS1)又はP
t,HBS(HBS5)は、ゾーンHIRZ1上で所与の通信遮断確率を保証するように設定される。
【0110】
HIRZi(i=1〜4)上でf(P
U,BS−MT,P
I,BS−MT,RT)−P
G,HBS−MTの累積密度関数を用いて、大域的なセル間干渉調整と同じ手法を適用することによって、送信電力P
t,HBS(HBSi)が得られる。
【数9】
ただし、
【数10】
は、i=2〜4については、ホーム基地局HBSiとゾーンHIRZi内の移動端末MTとの間のパス利得の平均であり、
【数11】
は、i=1については、ホーム基地局HBS1及びHBS5とゾーンHIRZ1内の移動端末MTとの間のパス利得の組み合わせの平均である。
【0111】
簡単にするために、ホーム基地局HBS5とゾーンHIRZ1内の移動端末MTとの間のパス利得は、以下では検討しないことにする。
【0112】
当業者であれば、
図1のゾーンHIRZ1に開示されているように、少なくとも2つのホーム基地局が同じ高干渉基準ゾーン内に配置されている場合に、以下の簡単化された公式を入れ換えるであろう。
【0113】
場合によっては、f(P
U,BS−MT,P
I,BS−MT,RT)は、決定論的とみなすこともできるし、Zone
MT上でP
G,HBS−MTよりもはるかに小さな分散を有するとみなすこともできる。この場合、関数fは独立変数として平均値をとり、変位値から抽出することができる。
【数12】
【0114】
ここで、変数のタイプ又はシナリオに応じて、送信電力の計算に関与する変数は確率的とすることもできるし、決定論的とすることもできることに留意されたい。
【0115】
変数は、基本的には種々の可能な値が存在するので、確率的とすることができる。これは、P
U,BS−MT及びP
I,BS−MTに当てはまる。例えば、大域的なセル間干渉調整が実行されるとき、P
U,BS−MT及びP
I,BS−MTの値は、基地局BSのセルCE全体にわたって取得される。
【0116】
例えば、局所的なセル間干渉調整が実行され、シャドーイング相関距離がゾーンHIRZiのサイズと比較して小さいとき、電力P
U,BS−MT及びP
I,BS−MTは確率的とすることができる。例えば、局所的なセル間干渉調整がシャドーイング相関時間と比較して長い時間スケールで実行されるとき、電力P
U,BS−MT及びP
I,BS−MTは確率的とすることができる。
【0117】
変数は、その変数に関する知識がないので、確率的とすることができる。変数は、検討中のゾーンHIRZiにわたって固定値を有する場合であっても確率的とみなされる。例えば、平均パス利得の対数が距離の対数の線形関数であるモデルを用いることによって、ロケーション情報が考慮に入れられる場合、シャドーイング情報は利用可能ではない。そして、電力P
U,BS−MT及びP
I,BS−MTは、セル間干渉調整の時間スケールが短くかつシャドーイング相関距離が大きい場合であっても、局所的なセル間干渉調整の場合には未知のシャドーイングに起因して確率変数となる。
【0118】
例えば、電力P
U,BS−MT及びP
I,BS−MT又はパス利得P
G,HBS−MTの2つのセル間干渉調整の更新間に単一の測定があるとき、この測定が対象となる高干渉基準ゾーンHIRZiにわたって変動する場合であっても、電力P
U,BS−MT及びP
I,BS−MT又はパス利得P
G,HBS−MTは確率変数となる。
【0119】
例えば、時間的変動がない場合、ゾーンHIRZi上のP
U,BS−MTの分散はシャドーイング相関距離に依存する。この相関距離が増加すると、P
U,BS−MTの分散は0に向かい、シャドーイング相関距離が0に減少すると、P
U,BS−MTの分散はシャドーイングの分散の2倍になる。2つのセル間干渉調整の更新間の継続時間が増加すると、時間的変動又は空間的変動及び移動端末の移動度を仮定することで、2つのセル間干渉調整の更新間で多くの測定値を得ることができ、この分散を減少させることができる。
【0120】
パス利得P
G,HBS−MTは、一般に確率変数とみなされる。なぜならば、ホーム基地局HBSiの周囲では、移動端末MTの位置に応じて異なるパス利得値が観測されるからである。
【0121】
基地局BSと移動端末との間のパス利得P
Gについて、以下のモデルを検討することができる。
【数13】
【0122】
χ
ConstantOverTimex及びχ
TimeVariablex,tは、指数相関を有するガウス標準変数(Gaussian standard variables)である。全シャドーイング分散は以下の式となる。
【数14】
ただし、Shはシャドーイングを示す。
【0123】
通常、シャドーイングの標準偏差は、σ
BS,Sh,time≪σ
BS,Sh,spaceである。
【0124】
例えば、変数
【数15】
についての、平均パス損失にアンテナ角度選択性減衰(antenna angular selective attenuation)を加えたものの距離dの関数としてのlog(P)対log(d)の線形モデルの場合、σ
BS,Sh,timeはほぼ数dBであり、σ
BS,Sh,spaceは8dB程度である。
【0125】
検討されている標準偏差は、HIRZiのサイズと、セル間干渉調整の更新間の継続時間とに依存するはずである。
【0126】
セル間干渉調整の更新ごとに単一の測定が実行されるとき、その測定値は、所与のゾーンZone
MT内のシャドーイングを表すガウス分布の平均とみなされる。
【0127】
しかしながら、セル間干渉調整期間中の所与のゾーンZone
MT上でのランダムなシャドーイングが標準偏差σを有する場合、推定標準偏差を考慮に入れるために、検討される標準偏差は、
【数16】
である。σ
2は、セル間干渉調整期間中、すなわち2つのセル間干渉調整の更新間の時間中の所与のゾーンZone
MT上での経験的な分散の期待値(expectation)である。
【数17】
ただし、Eは、全てのシャドーイング実現値にわたる平均を示し、総和は、離散的な定義のセル間干渉調整期間中の所与のゾーンZone
MT上でのN個の全ての時間/空間サンプルにわたるものであり、各jと各j’は、1つの時点におけるゾーンZone
MT内の1つのロケーションに対応する。
【0128】
σ<σ
BS,Shであり、σは、ゾーンZone
MT及びセル間干渉調整期間に対して長い相関距離及び長い相関時間に関して、ゼロ(null)値にほぼ等しいことに留意されたい。
【0129】
種々の変数の確率分布、したがって大域的な変数の変位値は、2つの異なる方法を用いて得ることができる。
【0130】
第1の方法は、パス損失モデル及びガウスモデルのようなモデル化手法を用いることである。そのためには、一般に、パス損失モデルはサービングしている基地局BSからの移動端末MTの相対位置に関係しているため、移動端末MTの位置測定値を取得する必要があるか、又は基地局BSと移動端末MTとの間の距離のみを取得する必要がある。
【0131】
ここで、サービングしている基地局BSからの移動端末MTの距離又は相対位置の代わりに、サービングしている基地局BSから最も近いホーム基地局HBSの距離又は相対位置を用いることもできることに留意されたい。
【0132】
第2の方法は、受信電力測定値のセットが用いられる測定手法である。測定値のセット全体は、変数間の統計的依存関係の良好な知識情報を保つために記憶してもよいし、又は、このセットはガウス変数の平均及び標準偏差を導出するのに用いられる。すなわち、測定された変数の統計がガウス分布によって近似される。
【0133】
モデルは、ゾーンZone
MTの定義に依存する。例えば、ホーム基地局HBSiと移動端末MTとの間の平均パス利得
【数18】
及び半径r
DZ,HBSiを有するホーム基地局HBSiを中心とする円と同等のゾーンについて、以下の式が得られる。
【数19】
ただし、
【数20】
は、xの平均であり、
【数21】
は、アンテナ効果を含む基準パス利得であり、
【数22】
は、建物内の平均貫通利得(mean penetration gain)であり、G
ant,HBSiとG
ant,MTは、それぞれホーム基地局HBSのアンテナ利得と移動端末のアンテナ利得であり、α
HBS−outは、減衰べき指数(attenuation exponent)である。ここで、パス利得の可変成分は、シャドーイングの標準偏差を有するガウス形とみなすことができることに留意されたい。
【0134】
P
U,BS−MT及びP
I,BS−MTのモデルは、
図1及びアンテナダイアグラムに示されていない周囲の基地局に対する移動端末MTの相対位置、又は基地局BSと移動端末MTとの間の距離と、周囲の基地局の送信電力とに依存する関数である。
【0135】
P
U,BS−MT及びP
I,BS−MTの可変成分はZone
MTに依存し、特にそのサイズと相関特性とシャドーイングの標準偏差とに依存する。
【0136】
本発明によれば、関数fの平均は、以下の式で表すことができる。
【数23】
ただし、
【数24】
は、xの推定値であり、
【数25】
及び
【数26】
は、それぞれゾーンHIRZi上におけるP
U,BS−MT及びP
I,BS−MTの推定平均である。
【0137】
変位値評価のためのモデルは、種々の手法に基づくことができる。
【0139】
例えば、変位値評価のためのモデルは、
【数27】
を用いたモンテカルロサンプル
【数28】
を用いて定義される。
【0140】
P
U,BS−MT、P
I,BS−MT、及びP
G,HBS−MTの測定値を第1の手法で処理することもできるし、P
U,BS−MT、P
I,BS−MT、及びP
G,HBS−MTのサンプルを所与のモデルに基づくモンテカルロ法によって生成することもできる。
【0141】
第1の手法によれば、以下の式となる。
【数29】
ただし、
【数30】
は、確率Pにおける経験的なサンプルセット
【数31】
に対応する変位値である。
【0142】
第2の手法は、ガウスモデルに基づく方法である。変位値評価のためのモデルは、関数fの平均の推定値
【数32】
、ホーム基地局HBSと移動端末との間の平均パス利得
【数33】
から計算された、所与の平均及び分散σ
2を有するガウス変数である。
【0143】
第2の手法によれば、P
t、HBS=Y+σQ
N P
out となる。ただし、Q
N(P
out)は、ガウス分布の累積密度関数のP
outにおける変位値である。
例えば、
【数34】
であり、ただし、σ
f2は関数fの分散であり、
【数35】
はパス利得P
G,HBS−MTの分散である。
【0144】
第2の手法の第1の変形形態によれば、パラメータは、以下で開示する簡単化を用いずに取得される。この第1の変形形態は、P
U,BS−MT、P
I,BS−MT、及びP
G,HBS−MTの測定値に対して用いられるか、又は所与のモデル若しくはP
U,BS−MT、P
I,BS−MT、及びP
G,HBS−MTのモデルに基づくモンテカルロ法によって生成される、P
U,BS−MT、P
I,BS−MT、及びP
G,HBS−MTのサンプルに対して用いられる。
【0145】
第2の手法の第1の変形形態によれば、以下の式となる。
【数36】
ただし、
【数37】
は、
【数38】
に等しい場合もあるし、P
U,BS−MT及びP
I,BS−MTの平均及び分散のようなパラメータの解析関数に等しい場合もある。ここで、N
Measuresは測定の数である。
【数39】
【0146】
第2の手法の第2の変形形態によれば、パラメータは、P
U,BS−MT及びP
I,BS−MTの平均及び標準偏差を用いた簡単化を用いて取得される。変位値評価のためのモデルは、P
U,BS−MT、P
I,BS−MT、及びP
G,HBS−MTの測定値、又はP
U,BS−MT、P
I,BS−MT、及びP
G,HBS−MTのモデルに基づいている。
【0147】
第2の手法の第2の変形形態によれば、以下の式となる。
【数40】
【0148】
第3の手法は、ガウス混合モデルに基づく方法である。変位値評価のためのモデルは、モンテカルロサンプルとガウスモデルを用いた、同じ基本的な標準偏差を有するガウス分布の混合である。
【0149】
第3の手法によれば、以下の式となる。
【数41】
ただし、
【数42】
は、確率P
outにおける標準偏差σ及び平均
【数43】
を有するガウス混合モデル(GMM)に対応する変位値である。
【0150】
第3の手法の第1の変形形態によれば、パラメータは以下で開示する簡単化を用いずに取得される。第3の手法の第1の変形形態は、P
U,BS−MTとP
I,BS−MTの測定値及びP
G,HBS−MTのガウスモデルに対して用いられるか、又は所与のモデル及びP
G,HBS−MTのガウスモデルに基づくモンテカルロ法によって生成されたP
U,BS−MTとP
I,BS−MTのサンプルに対して用いられる。
【0151】
第3の手法の第1の変形形態によれば、以下の式となる。
【数44】
【0152】
第3の手法の第2の変形形態によれば、パラメータは、P
U,BS−MT及びP
I,BS−MTの平均及び標準偏差を用いた簡単化を用いて取得される。第3の手法の第2の変形形態は、P
U,BS−MT及びP
I,BS−MTのモデルと、P
G,HBS−MTの測定値とに対して用いられる。
【0153】
第3の手法の第2の変形形態によれば、以下の式となる。
【数45】
【0154】
ここで、大域的なセル間干渉調整の場合、P
U,BS−MTとP
I,BS−MTの間の統計的依存関係を無視しないことが重要であることに留意されたい。
【0155】
本発明によれば、種々のセル間干渉調整判定基準を用いることができる。
【0156】
P
t,HBSは、以下のようになっている。
【数46】
【0157】
g P
U,BS−MT,P
I,BS−MT,P
t,HBS+P
G,HBS−MT は定数であるか、又はP
U,BS−MT及びP
I,BS−MTの増加関数であると共にP
I,HBS−MT=P
t,HBS+P
G,HBS−MTの減少関数である。
【0158】
本発明によれば、gは複数の判定基準に従って定義することができる。
【0159】
例えば、gは、基地局BSの干渉レベルとホーム基地局HBSからの受信電力との比(対数領域では差)に従って定義することができる。
【数47】
【0160】
gは、SINR関数の比に従って定義することもでき、SINRはデシベルでは定義されず線形領域において定義される。
【数48】
ただし、SINR
wFは、ホーム基地局HBSの干渉を含むSINRであり、
【数49】
は、SINRに依存する関数である。
【0161】
【数50】
であり、SINR
woFは、ホーム基地局HBSの干渉を含まないSINRであり、
【数51】
である。
【0162】
gを定義する比は、SINRの比、又はシャノン容量の比、又はモデル化されたスペクトル効率の比、又は経験的なスペクトル効率の比とすることができる。
【0163】
セル間干渉調整判定基準が、基地局とホーム基地局との電力比
【数52】
である場合、f P
U,BS−MT,P
I,BS−MT;RT =P
U,BS−MT−RTであり、fの標準偏差は
【数53】
である。
【0164】
セル間干渉調整判定基準が、基地局とホーム基地局との干渉比
【数54】
である場合、f P
U,BS−MT,P
I,BS−MT;RT =P
I,BS−MT−RTであり、fの標準偏差は
【数55】
である。
【0165】
一般的な観点から、セル間干渉調整判定基準がSINR関数の比
【数56】
である場合、
【数57】
であり、fの標準偏差は
【数58】
である。
【0166】
実際には、SINR関数に対して、(例えば、スペクトル効率が実際にはシステム仕様によって、すなわち最も高いスペクトル効率を有する変調/チャネル符号化/時空間符号化によって制限されることを反映する)飽和レベルを加えることができる。
【数59】
のような制限の場合、単純にP
I,BS−MTをmax P
I,BS−MT,P
U,BS−MT−10log SINR
max に置き換えることができる。ここで、1
Xは、(集合Xについては1に等しく、それ以外については0に等しい)指示関数である。
【0167】
セル間干渉調整判定基準がSINRの比
【数60】
及び
【数61】
である場合、
【数62】
であり、fの標準偏差は
【数63】
に等しい。
【0168】
セル間干渉調整判定基準がシャノン容量の比
【数64】
及び
【数65】
であり、aが例えば複数アンテナ送信を考慮に入れるために事前に定義されたスカラー値である場合、
【数66】
であり、fの標準偏差は
【数67】
である。
【0169】
セル間干渉調整判定基準が、モデル化されたスペクトル効率の比
【数68】
及び
【数69】
であり、aとbが小規模(small-scale)チャネル、スケジューリング挙動、複数アンテナ送信を考慮に入れるために事前に定義されたスカラー値のセットである場合、
【数70】
であり、fの標準偏差は
【数71】
である。
【0170】
図2は、本発明が実施される基地局のアーキテクチャを表す図である。
【0171】
基地局BSは、例えば、バス201によって互いに接続される構成要素と、
図4及び
図5に開示するようなプログラムによって制御されるプロセッサ200とに基づくアーキテクチャを有している。
【0172】
バス201は、プロセッサ200を、読み出し専用メモリROM202、ランダムアクセスメモリRAM203、無線インターフェース205、及びネットワークインターフェース206にリンクする。
【0173】
メモリ203は、変数を収容するように意図されたレジスタと、
図4及び
図5に開示するようなアルゴリズムに関連したプログラムの命令とを含む。
【0174】
プロセッサ200は、ネットワークインターフェース206の動作と無線インターフェース205の動作を制御する。
【0175】
読み出し専用メモリ202は、
図4及び
図5に開示するようなアルゴリズムに関連したプログラムの命令を含む。これらの命令は、基地局BSに電源が投入されるとランダムアクセスメモリ203に転送される。
【0176】
基地局BSは、ネットワークインターフェース206を通じて通信ネットワークに接続することができる。例えば、ネットワークインターフェース206は、DSL(デジタル加入者線)モデム又はISDN(統合サービスデジタルネットワーク)インターフェース等である。基地局BSは、ネットワークインターフェース206を通じて、メッセージを無線セルラー通信ネットワークのコアネットワークに転送することができる。
【0177】
無線インターフェース205とネットワークインターフェース206は、移動端末が遠隔の通信デバイスとの通信を確立又は受信する際に、無線セルラー通信ネットワークにアクセスするために移動端末によって用いられる基地局BSのリソースである。
【0178】
図3は、本発明が実施されるホーム基地局のアーキテクチャを表す図である。
【0179】
ホーム基地局HBSは、例えば、バス301によって互いに接続される構成要素と、
図4、
図5、
図6、
図7、
図8、又は
図9に開示するようなプログラムによって制御されるプロセッサ300に基づくアーキテクチャを有している。
【0180】
バス301は、プロセッサ300を、読み出し専用メモリROM302、ランダムアクセスメモリRAM303、無線インターフェース305、及びネットワークインターフェース306にリンクする。
【0181】
メモリ303は、変数を収容するように意図されたレジスタと、
図4、
図5、
図6、
図7、
図8、又は
図9に開示するようなアルゴリズムに関連したプログラムの命令とを含む。
【0182】
プロセッサ300は、ネットワークインターフェース306の動作と無線インターフェース305の動作を制御する。
【0183】
読み出し専用メモリ302は、
図4、
図5、
図6、
図7、
図8、又は
図9に開示するようなアルゴリズムに関連したプログラムの命令を含む。これらの命令は、ホーム基地局HBSに電源が投入されるとランダムアクセスメモリ303に転送される。
【0184】
ホーム基地局HBSは、ネットワークインターフェース306を通じて通信ネットワークに接続することができる。例えば、ネットワークインターフェース306は、DSL(デジタル加入者線)モデム又はISDN(統合サービスデジタルネットワーク)インターフェース又はホーム基地局HBSを基地局BSに接続する無線リンク等である。ホーム基地局HBSは、ネットワークインターフェース306を通じて、メッセージを無線セルラー通信ネットワークのコアネットワークに転送することができる。
【0185】
無線インターフェース305とネットワークインターフェース306は、移動端末が遠隔の通信デバイスとの通信を確立又は受信する際に、無線セルラー通信ネットワークにアクセスするために移動端末によって用いられるホーム基地局HBSのリソースである。
【0186】
また、無線インターフェース305は、ホーム基地局HBSのロケーションを表す情報を取得するために、全地球的航法衛星システム(GNSS)のような測位システムを備えることもできる。
【0187】
図4は、本発明による概略的なアルゴリズムを開示している。
【0188】
本アルゴリズムは、サーバServ、又は基地局BS、又は少なくとも1つのホーム基地局によって実行することができる。
【0189】
ステップS400において、
図7及び
図9を参照して以下で開示するように、事前計算が実行される。
【0190】
次のステップS401において、少なくとも1つの移動端末及び/又は少なくとも1つのホーム基地局HBSによって、測定が実行される。
【0191】
次のステップS402において、基地局BS、又は少なくとも1つのホーム基地局HBS、又はサーバServによって、測定値が収集される。
【0192】
次のステップS403において基地局BS、又はサーバServ、又は少なくとも1つのホーム基地局HBSによって、少なくとも1つのホーム基地局HBSの送信電力が計算される。
【0193】
その後、アルゴリズムは、ステップS401に戻る。
【0194】
図5は、本発明によるセル間干渉調整アルゴリズムの第1の例を開示している。
【0195】
図5の例では、大域的なセル間干渉調整が基地局BSの劣化の制御とともに実行される。換言すれば、同じ送信電力が各ホーム基地局HBS1〜HBS4によって用いられる。
【0196】
基地局の劣化の制御は、より正確には、基地局BSによって放射された信号のHIRZ1〜HIRZ4を結合したものに等しいゾーンZone
MT内における劣化の制御である。
【0197】
大域的なセル間干渉調整は、モデルに基づく値と測定されたデータに基づく値の双方を用いて実行することができる。ランダムな部分についてはガウスモデルが検討され、測定されたデータはガウス変数P
I,BS−MTの平均及び分散を評価するのに用いられる。セルCEにわたるホーム基地局HB1〜HBS4の定送信電力用の一般的な公式は、以下のとおりである。
【数72】
ただし、Q
Nは標準的な正規分布、すなわちゼロ平均及び単位分散を有するガウス分布の変位値である。
【0198】
加えて、移動端末の性能の劣化gを測定するために、SINRの比が検討される場合、以下の式となる。
【数73】
【0199】
g P
U,BS−MT,P
I,BS−MT,y =RT及びy=P
t,HBS+P
G,HBS−MTを用いて、
【数74】
が導出される。
【0200】
例えば、全てのホーム基地局HBS1〜HBS4について、ホーム基地局HBSiのゾーンHIRZi上における基地局BSの干渉受信電力P
I,BS−MTがガウス乱数値である場合、平均
【数75】
及び分散
【数76】
は、近隣の基地局によって転送された信号上において種々の移動端末MTによって収集された干渉測定値を用いて、基地局BSによって推定される。
【0201】
移動端末MTの性能の劣化を制御するためには、ホーム基地局HBSiからゾーンHIRZi内の移動端末MTへのパス利得の定量的な情報を取得する必要がある。
【0202】
その目的のために、シャドーイングを有する従来の伝搬モデルと、ホーム基地局HBSiを中心とする半径r
DZ,HBSiの円形ゾーンHIRZiとが検討される。
【0203】
ここで、半径r
DZ,HBSiは、ホーム基地局HBSiが配置されている建物のサイズの2分の1に対応することができることに留意されたい。
【0204】
ホーム基地局HBSiから移動端末へのパス利得は、
【数77】
にほぼ等しいガウス分布に従う。
ここで、
【数78】
【数79】
である。ただし、N μ,σ
2 は、平均μ及び分散σ
2を有する正規分布又はガウス分布である。
【0205】
データ
【数80】
及び
【数81】
は、標準偏差の経験的な推定値、及び基地局BSのセルCE全体におけるP
I,BS−MTの平均の経験的な推定値とすることができる。基地局BSにおいて、送信電力P
t,HBSは以下のように計算される。
【数82】
【0206】
例えば、以下の数値例を検討することにする。
r
DZ,MT=6
【数83】
【0207】
例えば、
【数84】
α
HBS−out=3.67、
σ
HBS,Sh=10dB
である。
【0208】
通信遮断確率P
out=0.1及び閾値RT=0.5の場合、これはHIRZ1〜HIRZ4を結合したものであるゾーンZone
MT内の事例の10%において、基地局BSによって転送される信号上のSINRが2よりも大きな値によって除算されることを意味し、各ホーム基地局HBS1〜HBS4について、以下が得られる。
【数85】
【0209】
この電力値は、例えばサーバServ又は基地局BSを介して、各ホーム基地局HBS1〜HBS4に送信されるか又は利用可能にされる。
【0210】
ここで、一変形形態では、ホーム基地局HBSiからゾーンHIRZi内の移動端末への平均パス利得は、単に伝搬モデルだけからではなく、ホーム基地局HBSiによって移動端末のパス利得測定値に基づいて推定することもできることに留意されたい。
【0211】
パス利得の測定は、HIRZi内の移動端末MTが、基地局BSからホーム基地局HBSiへのハンドオーバー前に行い、ハンドオーバーが完了した後にホーム基地局HBSiに送信することができる。この場合、
【数86】
の減算は、ホーム基地局HBSiによって行われ、基地局BSは、ホーム基地局HBSiによって移動端末に転送された信号上の干渉の平均レベル
【数87】
のみを送信する。
【0212】
ここで、別の変形形態では、ホーム基地局HBSiからゾーンHIRZi内の移動端末へのパス利得は、単に伝搬モデルだけからではなく、基地局BSによって移動端末のパス利得測定値に基づいて推定することもできることに留意されたい。この場合、
【数88】
の減算は、基地局BSによって行われる。
【0213】
ここで、別の変形形態では、単に平均及び分散だけでなく、経験的な干渉レベルを検討することができることに留意されたい。この場合、測定値の数と同じ数のガウス変数を有する、ホーム基地局HBSiからゾーンHIRZi内の移動端末MTへのパス利得のランダム性に起因して、ガウス混合形が得られる。その変形形態によれば、第3の手法を実行する必要がある。
【0214】
図5のアルゴリズムのステップS500において、セルCEに位置するか又は移動端末のロケーションが判明している場合には各ゾーンHIRZ1〜HIRZ4に位置する移動端末MTが、電力P
I,BS−MTの測定を実行する。
【0215】
次のステップS501において、例えば基地局BSによって、測定値が蓄積される。
【0216】
次のステップS502において、既に開示したモデル及び/又は測定値に基づいて、電力P
t,HBSが計算される。例えば、この電力は基地局BSによって計算される。
【0217】
次のステップS503において、各ホーム基地局HBSは、計算された電力P
t,HBSの通知を、基地局BSから又はサーバServを介して受け取る。
【0218】
次のステップS504において、電力P
t,HBSから、基地局HBSiとゾーンHIRZiに位置する移動端末との間の平均パス利得
【数89】
を減算することによって、上記電力が各ホーム基地局HBSによって補正される。
【0219】
ここで、ステップS504は、第3の手法の第1の変形形態でのみ実行され、第3の手法の第2の変形形態では実行されないことに留意されたい。
【0220】
次のステップS505において、無線信号を転送するために、補正後の電力が各ホーム基地局HBSiによって適用される。
【0221】
図6は、本発明によるセル間干渉調整アルゴリズムの第2の例を開示している。
【0222】
図6の例では、基地局BSの劣化の制御を伴わず、またホーム基地局HBSiから移動端末へのパス利得のモデルに関する情報を何ら用いることなく、等化を有する局所的なセル間干渉調整が実行される。
【0223】
図6の例では、2つの変数P
U,BS−MT及びP
I,BS−MTのそれぞれについて、1つの値のみが利用可能である。
【0224】
第1の手法の一変形形態によれば、以下の公式が得られる。
【数90】
ただし、Cは、セルCE内の基地局BSの劣化レベルを規定する任意の定数である。
【0225】
基地局BSの劣化の判定基準としてシャノン容量の比が検討される場合、以下が得られる。
【数91】
g P
U,BS−MT,P
I,BS−MT,y =RT及びy=P
t,HBS+P
G,HBS−MTを用いて、y=f P
U,BS−MT,P
I,BS−MT;RT が推論され、ここで、
【数92】
である。
【0226】
電力P
U,BS−MT及びP
I,BS−MTは、ここではHIRZiに等しいゾーンZone
MTにわたって、2つのセル間干渉調整の更新間で一定であることになっている。これらの2つの値は、ホーム基地局HBSiによってダウンリンク受信機機能を用いて測定される。
【0227】
通信遮断確率P
out=0.1及び閾値RT=0.5の場合、これは基地局HBSiの周囲の円形ゾーンHIRZi内の事例の10%において、移動端末MTのシャノン容量が2よりも大きな値によって除算されることを意味し、以下が得られる。
【数93】
【0228】
図6のアルゴリズムのステップS600において、各ホーム基地局HBSは、電力P
U,BS−MT及びP
I,BS−MTの測定を実行する。
【0229】
次のステップS601において、電力P
U,BS−MT及びP
I,BS−MTに基づいて、電力P
t,HBSが計算される。例えば、これらの電力は各ホーム基地局HBSによって計算される。
【0230】
図7は、本発明によるセル間干渉調整アルゴリズムの第3の例を開示している。
【0231】
図7の例では、測定値とモデルに基づく値の双方を用いて、局所的なセル間干渉調整が基地局BSの劣化の制御とともに実行される。ランダムな部分についてはガウスモデルが検討され、測定されたデータが第2の手法の第2の変形形態に対応するガウス変数P
U,BS−MT及びP
I,BS−MTの平均及び分散を評価するのに用いられる。この場合、以下の式となる。
【数94】
【0232】
加えて、基地局BSの劣化の判定基準としてのシャノン容量の比が検討される場合、以下の式となる。
【数95】
g P
U,BS−MT,P
I,BS−MT,y =RT及びy=P
t,HBS+P
G,HBS−MTを用いて、y=f P
U,BS−MT,P
I,BS−MT;RT が推論され、ここで、
【数96】
である。
【0233】
基地局の信号電力の測定は、建物内にあるホーム基地局HBSiにおいて行われるので、測定値から建物貫通損失
【数97】
を取り除かなければならない。
【0234】
測定は、ホーム基地局HBSによって行われるので、
【数98】
を取り除くことによって、アンテナを補償する必要がある。
【0235】
基地局BSによって転送された信号の受信電力は、ゾーンHIRZi内では一定であるとみなされる。すなわち、電力値P
U,BS−MT及びP
I,BS−MTは一定である。これら2つの値は、ホーム基地局HBSiによって測定される。
【0236】
基地局BSの劣化は制御されるように意図されているので、ホーム基地局HBSiとゾーンHIRZi内に位置する移動端末MTとの間のパス利得に関する定量的な情報を取得する必要がある。
【0237】
そのために、シャドーイングを有する従来の伝搬モデルと、ホーム基地局HBSiを中心とする半径r
DZ,HBSiの円形ゾーンHIRZiとが検討される。ホーム基地局HBSから移動端末へのパス利得は、ガウス分布
【数99】
に従う。ここで、
【数100】
である。
【0238】
このモデルと、P
U,BS−MT及びP
I,BS−MTの測定値
【数101】
及び
【数102】
を用いて、ホーム基地局HBSにおいて、以下の式が計算される。
【数103】
【0239】
例えば、r
DZ,MT=6、
【数104】
【数105】
α
HBS−out=3.67、
σ
HBS,Sh=10dBである。
【0240】
通信遮断確率P
out=0.1及び閾値RT=0.5の場合、基地局HBSiの周囲の円形ゾーンHIRZi内の事例の10%において、基地局BSの容量は2よりも大きな値によって除算される。電力は以下のものに等しい。
【数106】
【0241】
第3の例の一変形形態では、サービングしている基地局BSを含む近隣の基地局の受信電力は、ゾーンHIRZiの内部において可変でありランダムである。この場合、σ
HBS,Shは、
【数107】
に置き換えられ、σ
fは、特にゾーンHIRZi内の基地局干渉電力の標準偏差に対応する。変数
【数108】
及び
【数109】
は、それらの平均に置き換えられる。
【0242】
ステップS700において、ホーム基地局HBSは、
【数110】
を計算する。
【0243】
次のステップS701において、ホーム基地局は、ガウス変数P
U,BS−MT及びP
I,BS−MTの平均及び分散を評価するのに用いられるデータを取得する。
【0244】
ここで、ステップS701は、第3の手法の第1の変形形態でのみ実行され、第3の手法の第2の変形形態では実行されないことに留意されたい。
【0245】
次のステップS702において、電力P
U,BS−MT及びP
I,BS−MTに基づいて、電力P
t,HBSが計算される。例えば、この電力は各ホーム基地局HBSによって計算される。
【0246】
図8は、本発明によるセル間干渉調整アルゴリズムの第4の例を開示している。
【0247】
図8の例では、例えば基地局とホーム基地局との間のハンドオーバー中に移動端末MTによって行われた測定に基づく電力データ値のみを用いて、局所的なセル間干渉調整が基地局BSの劣化の制御とともに実行される。
【0248】
1つの特定のHBSの送信電力は、以下の式となる。
【数111】
ただし、ホーム基地局HBSiとゾーンHIRZi内の移動端末との間の平均パス利得は、
【数112】
である。
【0249】
基地局BSの劣化の判定基準としてシャノン容量の比が検討される場合、以下の式となる。
【数113】
【0250】
g P
U,BS−MT,P
I,BS−MT,y =RT及びy=P
t,HBS+P
G,HBS−MTを用いて、y=f P
U,BS−MT,P
I,BS−MT;RT が推論され、ここで、
【数114】
である。
【0251】
【数115】
は、基地局BSからホーム基地局HBSにハンドオーバーを実行している移動端末によって測定されてハンドオーバーが完了した後に送信されることになっているか、又はホーム基地局HBSから基地局BSにハンドオーバーを実行している移動端末によって測定されることになっている。
【0252】
ホーム基地局HBSは、十分な数の測定値を有する場合、既に開示した経験的なデータに関する変位値の評価の技法を用いて、
【数116】
と、その送信電力を計算する。
【0253】
図8のアルゴリズムのステップS800において、例えば基地局とホーム基地局との間のハンドオーバー中に、移動端末によって測定が実行される。
【0254】
次のステップS801において、測定値がホーム基地局に蓄積されて集中化される。
【0255】
次のステップS802において、各ホーム基地局HBSiは、
【数117】
及び
【数118】
を計算する。
【0256】
次のステップS803において、各ホーム基地局HBSiは、既に開示したように経験的なデータに関する変位値を評価する。
【0257】
次のステップS804において、各ホーム基地局HBSiは、電力P
t,HBSを計算する。
【0258】
図9は、本発明によるセル間干渉調整アルゴリズムの第5の例を開示している。
【0259】
図9の例では、位置に基づく測定値と伝搬モデルを用いて、局所的なセル間干渉調整が基地局BSの劣化の制御とともに実行される。
【0260】
1つのホーム基地局HBSiの送信電力は、以下のとおりである。
【数119】
【0261】
基地局BSの劣化の判定基準としてシャノン容量の比が検討される場合、以下の式となる。
【数120】
g P
U,BS−MT,P
I,BS−MT,y =RT及びy=P
t,HBS+P
G,HBS−MTを用いて、y=f P
U,BS−MT,P
I,BS−MT;RT が推論され、ここで、
【数121】
である。
【0262】
測定値が利用可能でないので、ホーム基地局HBSiと移動端末との間のパス利得の定量的な情報と、基地局BSと移動端末との間のパス利得と、対象となるゾーンHIRZi内の干渉レベルとを取得する必要がある。この目的のために、シャドーイングを有する従来の伝搬モデルと、ホーム基地局HBSiを中心とする半径r
DZ,HBSiの円形ゾーンHIRZiとが検討される。ホーム基地局HBSと移動端末との間のパス利得は、ガウス分布
【数122】
に従う。ここで、
【数123】
である。
【0263】
基地局BSjと移動端末MTとの間のパス利得は、ガウス分布
【数124】
に従う。ここで、jは複数の近隣の基地局の中から基地局BSjを区別することができる表示符号(indicia)を示す。また、各基地局について、
【数125】
であり、
【数126】
及び
【数127】
は、それぞれ移動端末の位置及び基地局BSの位置である。ここで、基地局BSjのアンテナ利得G
ant,BS,jは無指向性でない場合があることに留意されたい。
【0264】
移動端末MTをサービングする基地局BSにゼロの表示符号を割り当てることにする。
【0265】
基地局BS0の有用な電力として、以下のものが得られる。
【数128】
ただし、P
t,BS,jは基地局BSjの送信無線信号電力である。また、0とは異なるjを有する近隣の基地局BSjからの干渉電力に加法的白色ガウス雑音を加えたものとして、以下のものが得られる。
【数129】
ただし、N
awgnは移動端末MTにおける加法的白色ガウス雑音レベルである。また、
【数130】
であり、σ
BS,Shに等しく設定することができる。
【0266】
アンテナ選択性を考慮に入れるには、各基地局BSのセクターに対する移動端末MTの位置を知る必要がある。これは、各基地局に対する距離と向きを計算するために、コアネットワーク上において基地局BSサイトの位置とセクターの向きを読み取り、ホーム基地局HBSの位置を測定することによって行うことができる。トライセクターサイト用の120度幅の理想的な方形角度アンテナダイアグラム(rectangular angular antenna diagram)を用いた簡単化が可能である。また、基地局BSの送信電力は、コアネットワークから取得することもできるし、基地局BSによって無線チャネルを通じて送信されるシステム情報を通じて取得することもできる。
【0267】
ホーム基地局HBSの送信電力は、以下の式を用いて計算される。
【数131】
【0268】
ステップS900において、各ホーム基地局HBSは、
【数132】
を計算する。
【0269】
次のステップS901において、ホーム基地局HBSは、位置に基づく測定値を取得する。
【0270】
次のステップS902において、ホーム基地局は、サービングしている基地局の有用な電力と、サービングしている基地局BS以外の近隣の基地局からの干渉電力とを計算する。
【0271】
次のステップS903において、各ホーム基地局HBSiは、電力P
t,HBSを計算する。
【0272】
第5の実現例の一変形形態によれば、位置の代わりに距離を用いることもできる。
【0273】
第5の実現例の別の変形形態によれば、コアネットワークにおいて提案されるガウス干渉モデルを直接利用することもできる。
【0274】
第5の実現例の別の変形形態によれば、基地局BSのモデルパラメータは、パス利得と相対位置測定値の対を用いて、基地局BSによって推定/精緻化することができる。これらのモデルパラメータは、コアネットワーク上に記憶することができ、その後、ホーム基地局BSがロードすることができる。
【0275】
ここで、本発明は、無線通信ネットワークの全ての周波数リソース又は無線通信ネットワークの周波数リソースの少なくとも一部に対して適用可能であることに留意しされたい。
【0276】
また、本発明は、全てのホーム基地局について同じ閾値RTと通信遮断確率P
outが規定される一例において開示してきた。本発明は、閾値RTと通信遮断確率P
outがホーム基地局ごとに規定される場合にも適用可能である(例えば、P
outは、検討されるHIRZ内の移動端末MTの密度に反比例する可能性がある)。
【0277】
当然のことながら、本発明の範囲から逸脱することなく、上述した本発明の実施形態に対して多くの変更を行うことができる。