特許第5997186号(P5997186)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5997186増大された流体流れを有する手術プローブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5997186
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】増大された流体流れを有する手術プローブ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/3205 20060101AFI20160915BHJP
   A61F 9/007 20060101ALI20160915BHJP
【FI】
   A61B17/3205
   A61F9/007 130F
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-556622(P2013-556622)
(86)(22)【出願日】2012年1月12日
(65)【公表番号】特表2014-514004(P2014-514004A)
(43)【公表日】2014年6月19日
(86)【国際出願番号】US2012021010
(87)【国際公開番号】WO2012154226
(87)【国際公開日】20121115
【審査請求日】2014年12月24日
(31)【優先権主張番号】13/036,401
(32)【優先日】2011年2月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508185074
【氏名又は名称】アルコン リサーチ, リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100180194
【弁理士】
【氏名又は名称】利根 勇基
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ジャック ロバート オールド
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ウィリアム マクドネル
【審査官】 毛利 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06485436(US,B1)
【文献】 特表2010−512963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/3205
A61F 9/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブ状本体であって、該本体の第1端部に近接する切断開口部と、該切断開口部から該本体の第2端部へ該本体を通した流体通路とを画定するチューブ状本体と
記流体通路内に配置された切断工具であって、該切断工具を通した流体流れを可能とするように構成され、前記切断開口部を横切って移動し、このことによって前記切断開口部に入る眼組織を切断すべく前記チューブ状本体内で往復運動するように構成された切断工具とを具備し、
前記切断工具が、
本体部分と、
該本体部分の第1端部に配置され且つ前記切断開口部において物質を切断するように構成された刃部分と
前記刃部分と前記本体部分との間に配置された移行部分を含み、該移行部分が、前記刃部分と前記本体部分との間に延在する角度が付けられた表面を画定し、該角度が付けられた表面が前記切断工具の長手方向の軸線と90°未満の角度を画定する、移行部分とを含み、
前記本体部分が前記チューブ状本体の内周の周りに部分的にのみ延在し、
前記刃部分が刃を画定し、該刃が、前記切断開口部に近接する前記切断工具の切断端部の周りに部分的にのみ延在し、前記切断工具が前記切断端部において孔を画定し、該孔が前記切断端部の周囲に対して前記刃の反対側に位置付けられる、硝子体茎切除プローブ。
【請求項2】
前記切断工具が、該切断工具の刃部分に沿って、前記チューブ状本体の内面に対応する形状を画定する、請求項1に記載の硝子体茎切除プローブ。
【請求項3】
前記切断工具が該切断工具の本体部分に沿って前記チューブ状本体の内周の1/2以下に亘って延在する、請求項1に記載の硝子体茎切除プローブ。
【請求項4】
前記切断工具の本体部分が前記チューブ状本体を通した流体流れに垂直な第1断面積を画定すべく前記チューブ状本体と協働し、前記第1断面積が、前記切断工具によって画定される前記流体流れに垂直な第2断面積よりも大きい、請求項1に記載の硝子体茎切除プローブ。
【請求項5】
前記切断工具の本体部分が概して半円の形状を画定する、請求項1に記載の硝子体茎切除プローブ。
【請求項6】
前記チューブ状本体の第1端部が外科的な切開創内に挿入されるように構成され、前記第2端部が、手術工具との流体交換のために該手術工具に繋止されるように構成され、且つ、前記切断開口部と流体連通する流体開口部を画定する、請求項1に記載の硝子体茎切除プローブ。
【請求項7】
前記刃部分が刃を画定し、該刃が第1材料から形成され、前記切断工具の本体部分が前記第1材料とは異なる第2材料から形成される、請求項1に記載の硝子体茎切除プローブ。
【請求項8】
前記切断工具の本体部分のさが前記切断工具の長さの少なくとも1/2である、請求項1に記載の硝子体茎切除プローブ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
多くの顕微外科処置が様々な体組織の正確な切断及び/又は除去を必要としている。例えば、硝子体網膜手術は、硝子体液、牽引帯(traction band)、膜又は網膜のような傷つきやすい組織の切断、除去、切開、層間剥離、凝固又は他の操作を必要とすることが多い。硝子体液又は硝子体は、網膜に付着することが多い多数の微小な繊維から成る。このため、毛様体の切断、除去又は他の操作は、網膜上の牽引、網膜の脈絡膜からの分離、網膜の裂傷、又は最悪の場合、網膜自体の切断及び除去を回避すべく多大な注意が払われなければならない。
【0002】
典型的には、硝子体茎切除プローブ、光ファイバ照明器、注入カニューレ、吸引プローブ、剪刀、鉗子及びレーザのような顕微外科器具が硝子体網膜手術中に使用される。これら装置は、概して、強膜切開と呼ばれる、毛様体扁平部の近くの強膜における一つ以上の外科的な切開創を通して挿入される。概して、チューブ状プローブニードル内に配置された切断ブレードが、プローブニードル内で往復移動し、このことによって、ニードル内で開口部に対して平行移動する刃縁で物質、例えば硝子体液を切断する。これと同時に、硝子体液は開口部を通って切断部位から引き出される。例えば、ニードルを通じて続く開口部から硝子体液を引き出すべく、吸引が適用される。
【0003】
これら処置を行うのに必要な外科的な切開創のサイズを最小にするために、プローブニードルは次第に小さなサイズで設計されている。プローブサイズが減少するにつれて、ニードルを通る流体流れを最大にすることがますます重要になってくる。ニードル内の高速の往復移動からの座屈に耐えるのに十分強くなければならない切断刃は、ニードルの一部を遮るので、必然的に流れを低減する。したがって、ニードルを通る十分な流れを提供しつつ全体的なサイズを低減する改良されたプローブニードルについての要求が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1図1は模範的な手術プローブの斜視図を示す。
図2図2は模範的な手術プローブの断面図を示す。
図3図3は別の模範的な手術プローブの斜視図を示す。
図4図4は、手術プローブを作る模範的な方法の工程フローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
請求項は示される例に限定されるものではないが、様々な態様の理解がこれらの様々な例の論述を通じて最もよく得られる。以下、図面を参照して、例示的な例が詳細に示される。図面は、様々な例を表すが、必ずしも寸法が合わされてなく、例の革新的な態様をより良く示して説明すべく、所定の特徴が誇張されうる。さらに、本明細書に記載される例は、網羅的であることが意図されてなく、あるいはその反対に、図に示され且つ以下の詳細な説明に開示されたた正確な形態及び構成に限定し又は制限することも意図されていない。本発明の模範的な実例が、以下、図面を参照することによって詳細に記載される。
【0006】
手術プローブ、例えば硝子体茎切除プローブの様々な模範的な実例が本明細書において開示される。模範的な手術プローブが、チューブ状本体と、本体内に受容される切断工具とを含むことができる。チューブ状本体は、本体の第1端部に近接する切断開口部と、切断開口部から本体の第2端部へ本体を通して延在する流体通路とを画定することができる。切断工具は本体内に受容され且つ流体通路内に配置されうる。切断工具は、概して、切断工具を通した流体流れを可能とするように構成される。切断工具は、本体部分と、本体部分の第1端部に配置された刃部分とを画定することができる。刃部分は、切断開口部に入る物質を切断するように構成されうる。切断工具の本体部分はチューブ状本体の内周の周りに部分的にのみ延在することができる。
【0007】
硝子体茎切除プローブのような手術プローブを形成する模範的な方法が、本体の第1端部に近接する切断開口部を画定するチューブ状本体を提供することを含むことができる。チューブ状本体は、切断開口部から本体の第2端部へ本体を通して延在する流体通路を画定することができる。本方法は、さらに、本体部分及び刃部分を有する切断工具を形成するステップを含むことができ、このステップは、本体部分がチューブ状本体の内周の周りに部分的にのみ延在するように、本体部分からチューブ状ブランク(tubular blank)の一部を除去することを含む。本方法は、さらに、刃部分が切断開口部に近接して位置付けられるように、チューブ状本体の流体通路内に切断工具を挿入することを含むことができる。切断工具は切断工具を通した流体流れを可能とするように構成されうる。
【0008】
概して、手術プローブの流れ特性はプローブを通した圧力降下によって影響される。手術プローブの任意の区分を横切る圧力降下を低減することができれば、プローブの全体的な流れを増大することができる。したがって、切断チューブによる流体通路の収縮を低減することによって、流れの増大を実現することができる。圧力降下は、概して、切断チューブの長さに比例しうる。同時に、円形断面について、圧力降下は切断チューブの直径又は断面積の増加とともに減少するだろう。より具体的には、これは以下のポアズイユの式によって説明される。
ΔP=128μLQ/πD4
ここで、μ=動粘性係数、L=チューブの長さ、Q=体積流量、D=内径である。
このため、与えられた圧力降下ΔPについて、流量Qは切断チューブの内径Dの四乗に比例する。
Q∝D4ΔP
したがって、切断チューブの内径を拡大することによって圧力降下を実質的に低減することができる。同時に、切断チューブの表面又は材料における任意の減少が、切断チューブの安定性についての要求、例えば切断中のチューブの座屈を防止することに対してバランスを取ることを必要としうる。
【0009】
上記のポアズイユの式に見られるように、断面積のみが流れ抵抗を決定するわけではない。むしろ、一つの成分として直径の四乗を含む全体的な断面形状が流れ抵抗を決定する。このため、断面積の増大のみでは、全ての場合において、増大された流れを確実なものとするのに十分ではないことがある。流れ抵抗について、本明細書において比較される断面形状は実質的に円形又はほぼ円形であり、最も重要なことは、より小さな断面積を有する形状の例が、通常、より大きな断面積を有する形状の例に完全に包含されうるということである。したがって、これらの場合、より大きな断面積が、低減された流れ抵抗をもたらすであろう。
【0010】
以下、図1及び図2を参照すると、模範的な手術プローブ100が示される。手術プローブ100は、任意のタイプの手術プローブ、例えば硝子体茎切除プローブである。手術プローブ100は、本体102の第1端部108に近接した切断開口部106を画定するチューブ状本体102を含むことができる。手術プローブ100は、さらに、本体102内に受容される切断工具104を含むことができる。切断工具104は本体部分105及び刃部分109を有することができる。プローブ100が硝子体茎切除プローブである場合、切断工具104は、チューブ状本体102内で軸線方向に平行移動するように構成され、このことによって、以下に更に記載されるように、切断開口部106に入る硝子体液のような物質を切断し又は薄く切ることができる。
【0011】
プローブ100は、例えば硝子体茎切除処置の間、外科的な切開創に挿入されるように構成された第1端部108を有することができる。第2端部110が、切断開口部106に入る物質の吸引又は除去を可能とすべく、手術工具(図示せず)との流体交換のために手術工具に繋止されうる。したがって、第2端部110は、概して、切断開口部106と流体連通する流体開口部107を画定することができる。
【0012】
チューブ状本体102は、概して、切断開口部106から本体102の第2端部110における開口部107へ本体を通って延在する流体流れFのための通路を画定する。切断工具104は、概して通路内に配置され、流体流れFが切断工具104を通って流れることを可能とするように構成される。例えば、切断工具104は、例えば刃部分109に沿って概してチューブ状であり、切断工具104を通して中央開口部を画定する。刃部分109は刃112を画定することができ、刃112は、硝子体茎切除処置の間、切断開口部106を通って延在し又は切断開口部106を通してチューブ状本体102に引き込まれる物質、例えば硝子体液を切断するように構成される。例えば、切断工具104は、刃112が、切断開口部106を横切って移動し、このことによって開口部106に入る物質を切断するように、チューブ状本体102内で往復運動する。刃112は、切断開口部106に近接する切断工具104の端部の周りに少なくとも部分的に延在することができる。
【0013】
一つの模範的な実例では、切断工具104の刃部分109は、切断工具104の部分Lpに沿って、チューブ状本体102の内面に概して対応する形状を画定することができる。例えば、図1及び図2に示されるように、刃部分109及びチューブ状本体102の両方は概して円筒形状を画定する。さらに、切断工具104は、切断工具104の往復動作が切断工具104の切断作用を促進することを可能とすべく、チューブ状本体内に受容されるような大きさに作られうる。切断工具104は、例えば刃部分109に沿って、チューブ状本体102の内面に対する概して流体密な嵌合を画定することができ、このことによって、図1及び図3に概して示されるように、チューブ状本体102を通した流体流れFを切断工具104を通るように実質的に強いる。
【0014】
別の模範的な実例では、切断工具104の本体部分105は、概して、チューブ状本体102の内周Cの周りに部分的にのみ延在することができる。より具体的には、本体部分105は、概して、切断工具104の全長Lの一部Lpに沿って延在することができる。図1に最もよく見られるように、切断工具104の本体部分105は、概して、切断工具104の長さLpに沿って除去されたチューブ状形状の上半分を有する。然もなければ概して円筒の切断工具104の少なくとも一部を除去することによって、流体流れが手術プローブ100を通して増大されることは有利である。より具体的には、切断工具104の本体部分105を通した流体流れFを増大すべく、形状が概して拡開され、このことによってプローブ100内の切断工具104を横切る圧力降下が効果的に低減される。例えば、切断工具104を形成するのに使用されるチューブ状ストック(tubular stock)の一部を切断し又は研磨することによって、切断工具104の任意の部分を除去することができる。別の模範的な実例では、切断工具104から材料を除去するのに放電加工(EDM)を用いてもよい。図1及び図2に示される例では、切断工具104の本体部分105はチューブ状本体102の内周Cの約1/2以下に亘って延在する。
【0015】
切断工具の本体部分105に沿った流体流れFに垂直な断面積が図2に示される。図2に示される本体部分105に沿った流体流れFの断面積は概して二つの実質的に半球の成分を含むことができ、一方の成分は下半分に沿って切断工具104によって画定され、他方の成分は上半分に沿ってチューブ状本体102によって画定される。
【0016】
切断工具104の本体部分105に沿った切断工具104及びチューブ状本体102によって与えられた拡大された断面積は、切断工具104の直径D1よりも大きな有効径D2を有する。したがって、図2に模式的に表された、手術プローブ100によって与えられる流体流れの断面積A2は、切断工具104の内径D1によって与えられる断面積A1よりも大きい。このため、プローブ100の最大幅又は直径D2は、切断工具104によって画定される内径よりも大きい。
【0017】
切断工具104の本体部分105に沿った拡大された断面積A2を含む、概してチューブ状の形状の上半分を除去することによる切断工具104の形状の拡開によって、低減された流れ抵抗がもたらされ、ひいてはプローブ100を通した増大された流量がもたらされる。一つの模範的な実例では、例えば刃部分109に沿って測定したとき、切断工具104は0.2946mm(0.0116インチ)の内径を有し、一方、チューブ状本体102の内径は0.3962mm(0.0156インチ)である。本体部分105に沿って切断工具104の上半分を除去することによって、本体部分105に沿った有効径D2は約0.3454mm(約0.0136インチ)まで増大される。このことは、結果的に生じる形状が円に近似しうると仮定することによって、切断工具104の本体部分105に沿って、47%少ない抵抗をもたらす。この低減された抵抗が切断工具104の長さの半分に亘って提供される場合、流れは、ポアズイユの式を使用して概算されるとき、30%よりも多く増大されうる。
【0018】
切断工具104の比較的大きな部分がプローブ100を通した流れを高めるのに除去されうるが、他の要因が、除去されうる部分の大きさを制限しうる。例えば、切断工具104の一部の除去によって提供された増大された流れは、手術プローブ100の使用の間、座屈又は他の変形を防止すべく、切断工具104の所要の最小強度に対してバランスが取られる。言い換えれば、切断工具104の大きすぎる部分が除去されると、切断工具104は、その低減され且つ構造的な安定性が低い断面積の結果、座屈することがある。同時に、切断工具104は、概して、チューブ状本体102内に制約され、このことによっていくらかの支持を提供する。
【0019】
加えて、修正され/拡大された断面積が、チューブ状本体102の端部まで、少なくとも拡大されたサイズに維持されない場合、流体流れFの閉塞が生じうる。言い換えれば、プローブ100の断面積が、プローブ100の長さに沿って切断開口部106から離れるように移動するとき、維持され又は増大される場所では、閉塞の問題が緩和される傾向がある。したがって、図1に示されるように、流体流れFの拡大された断面積がチューブ状本体102の第2端部110まで維持されうることは有利である。加えて、チューブ状本体102は、例えばチューブ状本体が手術プローブ100の基部(図示せず)に取り付けられる第2端部110において広げられ又は拡大されてもよい。例えば、広げられた部分150が第2端部110において提供される。
【0020】
別の模範的な実例では、切断工具104は、本体部分105と刃部分109との間に配置された移行部分111を含むことができる。移行部分111は、概して、刃部分109の流れの比較的小さな断面積と、本体部分105の流れの比較的大きな断面積との間の移行を提供することができ、このことによって、然もなければプローブ100を通した流れの乱れを引き起こしうる、流れの断面積における急な変化を防止する。例えば、移行部分111は、本体部分105と刃部分109との間に延在する角度が付けられた表面113を画定することができる。加えて、角度が付けられた表面113はチューブ状本体102及び/又は切断工具104の軸線A−Aと角度を形成する。図1に示されるように、角度は90度未満であってもよい。都合が良い任意の角度が用いられてもよいが、90°未満の角度が、概して、切断工具104の全体的な強度の損失を最小にしつつ、切断工具104の重量を低減することができる。
【0021】
切断工具104の本体部分105が、概して半円の形状として、すなわち切断工具104の部分Lpに沿って除去された上半分のチューブ状区域を有して示されるが、チューブ状本体102の内周の周りに部分的な延在のみを提供する任意の構成が用いられてもよい。一つの模範的な実例では、本体部分105は、刃部分109を支持する固体ロッド(図示せず)によって完全に置換されてもよく、固体ロッドは刃部分109から流体開口部107に向かって延在し且つモータ又は他の装置に繋止され、モータ又は他の装置はロッドを使用して刃部分109を平行移動させる。したがって、チューブ状本体102の内周全体に延在するチューブ状区域と比較して低減された流れ抵抗をもたらす切断工具104の任意の構成が用いられてもよい。
【0022】
以下、図3を参照すると、別の模範的な手術プローブ100’が示される。手術プローブ100’、特に切断工具104’は、増大された流れのために切断工具104’を更に最適化する複数の材料を含む。より具体的には、刃112は、切断開口部106において増大された切断効力を提供すべく、より大きな強度及び/又は硬度のために最適化された第1の材料で形成されうる。一方、切断工具104の残部は、刃112を形成する材料とは異なる第2の材料で形成されうる。第2の材料は、切断工具104’の本体に関する他の要因のために、例えば手術プローブ100のモータから刃112への力の伝達のために最適化されうる。例えば、第2材料は高い剛性を有する。一つの実例では、第2材料は、モータからカッターへの力の伝達を高めるべく、高い剛性を有するセラミック材料である。別の模範的な実例では、第1材料はステンレス鋼材料である。
【0023】
切断工具104’は、切断工具104’がチューブ状本体102の内周Cの周りに部分的にのみ延在する二つの領域も画定することができる。例えば、切断工具104’は本体部分105及び刃部分109’を含み、本体部分105はチューブ状本体102の内周Cの周りに部分的にのみ延在し、刃部分109’もチューブ状本体102の内周Cの周りに部分的にのみ延在する。刃部分109’及び本体部分105は中間部分Gによって長手方向に離間されうる。切断工具104’の刃部分109’は切断工具104’に沿った長さL1を画定することができ、長さL1は切断工具104の切断端部において孔114を含む。本体部分105は長さL2を画定し、長さL2もチューブ状本体102の内周C全体に延在しない。長さL1と長さL2とは中間部分Gによって長手方向に離間される。中間部分Gは、概して、チューブ状本体102の内周Cの周りに完全に形成された切断工具104の領域に対応し、このことによって、切断工具104’の全体的な強度及び/又は安定性を増大する。
【0024】
切断工具104と同様に、切断工具104’は、本体部分105と刃部分109’との間に配置された移行部分111を含むことができ、移行部分111は、刃部分109’の流れの断面積と、本体部分105の流れの比較的大きな断面積との間の移行を提供する。さらに、移行部分111は、本体部分105と刃部分109’との間に延在する角度が付けられた表面113を画定することができ、角度が付けられた表面113はチューブ状本体102及び/又は切断工具104の軸線B−Bと角度を形成する。角度は、都合の良い任意の角度、例えば90°未満であってよい。
【0025】
チューブ状本体102の第2端部に近接して除去された切断工具104の上半分に加えて、切断工具104’は刃部分109’に沿って孔114も有する。例えば、切断工具104の一部が、刃112とは反対側の切断工具104の底部側から除去される。加えて、孔114は、概して、切断工具104の切断端部の周囲に対して刃112とは反対側に位置付けられうる。孔114は切断工具104’に沿った流れを更に増大することができ且つ切断工具104’の全重量を減少させる。
【0026】
切断工具104を通した流れの増加に加えて、切断工具104の長さの少なくとも一部に沿って切断工具104の一部を除去することは、概して、気体、例えば空気がプローブ100から切断開口部106を介して漏れることを防止する。より具体的には、空気又は他の気体は、チューブ状本体102が取り付けられる器具から時々漏れることがあり、チューブ状本体102と切断工具104との間に気泡を形成し、気泡は切断開口部106を通って手術部位に漏れうる。切断開口部106よりも下流で切断工具104の内側と外側との間の連通を可能とすることによって、例えば、上述されたように切断工具104、104’の上半分を除去することによって、チューブ状本体102と切断工具104との間でプローブ100内に漏れるあらゆる気泡が流れFに同伴される傾向を有し、このことによって気泡が開口部106からプローブ100内に運び去られ、このことによって、手術部位、例えば眼腔内に気体が漏れるリスクが低減される。
【0027】
以下、図4を参照すると、手術プローブを組み立てるための模範的な工程400が示される。工程400は概してブロック402で開始し、ここでは、チューブ状本体が提供される。例えば、上述されたように、チューブ状本体102が提供され、チューブ状本体102は、本体102の第1端部108に近接する切断開口部106を画定する。チューブ状本体102は、さらに、切断開口部106から本体102の第2端部110へ本体102を通して延在する流体通路Fを画定することができる。その後、工程400はブロック404に進む。
【0028】
ブロック404において、切断工具が形成される。例えば、上述されたように、切断工具104、104’が、それぞれ、本体部分105及び刃部分109、109’を有して形成される。概してチューブ状の形状の区域を切断工具104、104’の一つ以上の部分から除去することができる。したがって、切断工具104の一つ以上の部分が、例えば本体部分105及び/又は刃部分109に沿って、チューブ状本体102の内周C全体に延在しない流れの断面積を有することができる。
【0029】
切断工具104、104’は、都合の良い任意の工程を使用して形成されうる。一つの模範的な実例では、円形の断面を有するチューブ状形状を実質的に画定するチューブ状ブランク又はチューブ状ストックを提供することができる。チューブ状ブランクの一部は、例えば切断工具104の本体部分105がチューブ状本体102の内周Cの周りに部分的にのみ延在するように、除去されうる。別の模範的な実例では、チューブ状ブランクの一部は、刃部分109’がチューブ状本体102の周囲の周りに部分的にのみ延在するように、刃部分109’に沿って除去されてもよい。例えば、一つの実例では、チューブ状ブランクの一部はチューブ状ブランクを切断し若しくは研磨することによって又はチューブ状ブランクに放電加工を適用することによって除去され、このことによって切断工具104、104’から材料が除去される。上記のように、チューブ状本体102及び切断工具104の両方が概して円筒の内面を画定することができる。都合の良い他の任意の形状が用いられてもよい。
【0030】
ブロック406に進むと、切断工具はチューブ状本体102の流体通路内に挿入される。例えば、切断工具104は、切断工具104の刃112が切断開口部106に近接して位置付けられるように、チューブ状本体102内に挿入される。切断工具104は切断工具104を通した流体流れを可能とするように構成されうる。
【0031】
加えて、上述されたように、チューブ状本体102内に切断工具104を挿入した後、切断工具104及びチューブ状本体102は、概して、流体流れFに垂直な断面積A2を画定すべく協働することができる。断面積A2は、切断工具104のチューブ状内面によって画定された断面積A1よりも大きい。
【0032】
したがって、手術プローブ100は、完全なチューブ状形状の切断工具を使用するプローブと比較したとき、手術プローブ100を通した増大された流体流れを可能とする。いくつかの実例では、切断工具104の複数の部分が、例えばチューブ状ストックから除去され、プローブ100を通した流れを更に増大する。
【0033】
明細書における「一つの例」、「例」、「一つの実施形態」又は「実施形態」への言及は、その例に関連して記載された特定の特徴、構造又は特性が少なくとも一つの例に含まれることを意味する。明細書の様々な場所における「一つの例では」との表現は、必ずしも、その表現が現れる度に同一の例に言及しているわけではない。
【0034】
本明細書に記載された工程、システム、方法、経験則等に関して、斯かる工程等のステップが所定の順序に従って起こるように記載されてきたが、斯かる工程は、本明細書において記載された順序以外の順序で行われる記載されたステップで実施されうることが理解されるべきである。さらに、所定のステップが同時に行われ、他のステップが追加され、又は本明細書において記載された所定のステップが省略されてもよいことが理解されるべきである。言い換えれば、本明細書における工程の記載は、所定の実施形態を示す目的で提供され、決して請求項の発明を限定するように解釈されるべきではない。
【0035】
したがって、上記の記載は実例であり限定するものではないことが意図されていることが理解されるべきである。上記の記載を読むと、提供された例以外の多くの実施形態及び用途があるであろう。本発明の範囲は、上記の記載に関連することなく、代わりに、添付の請求項が権利を有する均等物の全範囲とともに、斯かる請求項に関連して決定されるべきである。本明細書において論じられた技術分野において、将来、進歩が起こり、開示されたシステム及び方法は斯かる将来の実施形態に取り込まれることが予想され且つ意図されている。要するに、本発明は修正及び変形可能であり且つ以下の請求項によってのみ限定されることが理解されるべきである。
【0036】
請求項に使用される全ての用語は、本明細書において反対の意味であることが明確に指示されない限り、当業者によって理解されるそれらの最も広い妥当な構成及びそれらの通常の意味を与えることが意図されている。特に、「一つの」、「その」、「前記」等の単数形の品目の使用は、反対の意味の明確な限定が請求項にない限り、指示された要素の一つ以上を意味しているように読まれるべきである。
図1
図2
図3
図4