特許第5997201号(P5997201)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5997201
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】シール装置及びPTP包装機
(51)【国際特許分類】
   B65B 51/16 20060101AFI20160915BHJP
   B65B 7/28 20060101ALI20160915BHJP
   B65B 9/04 20060101ALI20160915BHJP
【FI】
   B65B51/16 100
   B65B7/28 B
   B65B9/04
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-93539(P2014-93539)
(22)【出願日】2014年4月30日
(65)【公開番号】特開2015-209246(P2015-209246A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2015年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】細井 奈保美
(72)【発明者】
【氏名】水野 博文
【審査官】 西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0107558(US,A1)
【文献】 特開2001−171619(JP,A)
【文献】 特開2005−088911(JP,A)
【文献】 特開2007−099337(JP,A)
【文献】 実開昭63−169403(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 51/00−51/32
B65B 7/00− 7/28
B65B 9/00− 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の容器フィルムに形成された複数のポケット部を収容可能な複数の収容部を外周に有するとともに、回転可能なフィルム受けロールと、
自身の外周が前記フィルム受けロールの外周に向けて押付けられるとともに、帯状のカバーフィルムを加熱可能であり、かつ、回転可能なシールロールとを備え、
前記容器フィルムに対し、内容物の充填された前記ポケット部を塞ぐようにして張力の加えられた前記カバーフィルムを重ねた状態で、前記容器フィルム及び前記カバーフィルムを前記フィルム受けロール及び前記シールロール間を通過させることにより、前記容器フィルムに対し前記カバーフィルムを取着するシール装置であって、
前記シールロールの外周のうち、少なくとも前記両ロール間を通過する前記カバーフィルムと相対向する部位には、外周方向に突出し、平行四辺形の網目状をなす凸条部が設けられ、
前記凸条部は、その頂部が、角形状をなすとともに、前記カバーフィルムと接触可能に構成され、
前記フィルム受けロールの外周のうち、前記収容部を除く、少なくとも前記両ロール間を通過する前記容器フィルムと相対向する部位には、
平行四辺形の網目状をなすように設けられた窪み状の谷部と、
四方を前記谷部で囲まれてなり、前記容器フィルムと接触可能な複数の島部とが設けられ
前記シールロールの外周のうち前記凸条部の形成された部位においては、前記頂部で囲まれた平行四辺形状の閉領域が、隙間なく並んで設けられており、
前記フィルム受けロールの外周において、前記島部は、前記フィルム受けロールの軸方向及び周方向に沿って、並んで設けられており、
前記シールロールの軸方向に沿った、前記閉領域の長さをPdとし、
前記シールロールの周方向に沿った、前記閉領域の長さをQdとし、
前記フィルム受けロールの軸方向に沿った、隣り合う前記島部の間隔をPsとし、
前記フィルム受けロールの周方向に沿った、隣り合う前記島部の間隔をQsとしたとき、
Ps<Pd、及び、Qs<Qd
を満たすことを特徴とするシール装置。
【請求項2】
Ps≧Pd/2、及び、Qs≧Qd/2
を満たすことを特徴とする請求項1に記載のシール装置。
【請求項3】
前記シールロールは、自由回転可能に構成されており、前記両ロール間を通過する前記カバーフィルムの移動に従って回転するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のシール装置。
【請求項4】
前記島部の頂部分は、非尖端状であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のシール装置。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれか1項に記載のシール装置を備えるPTP包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器フィルムにカバーフィルムを取着するシール装置、及び、シール装置を備えたPTP包装機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
PTPシートは、錠剤等の内容物が充填される突起状のポケット部を有する容器フィルムと、容器フィルムに対しポケット部の開口側を密封するようにして取着されるカバーフィルムとから構成されている。一般に容器フィルムは透明な樹脂やアルミニウム等によって形成され、カバーフィルムはアルミニウム等の金属箔等によって形成される。
【0003】
PTPシートは、PTP包装機により製造される。PTP包装機は、帯状の容器フィルムに対し前記ポケット部を形成する装置、ポケット部に内容物を充填する装置、容器フィルムに対しカバーフィルムを取着するシール装置、容器フィルムにカバーフィルムが取着されてなる帯状のPTPフィルムをPTPシート単位に打抜く装置などを有する。
【0004】
前記シール装置としては、外周にポケット部を収容可能な多数の凹部が形成された下シールロールと、自身の外周が前記下シールロールの外周に向けて押付けられた上シールロールとを備えたものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。上シールロールは、内部に設けられた電気ヒータ等により発熱可能となっている。そして、容器フィルムが下シールロール側に、カバーフィルムが上シールロール側に位置するようにして、両フィルムを重ねた状態で、前記両シールロール間に通し、両シールロールで両フィルムを押圧しつつ、カバーフィルムのシーラントを容器フィルムに熱溶着することで、容器フィルムにカバーフィルムが取着されるようになっている。尚、容器フィルムに対しカバーフィルムを取着するとき、通常、カバーフィルムには張力が加えられる。これは、カバーフィルムにおけるしわの発生防止を図るためである。
【0005】
また、強固なシールを実現するために、上シールロール(加熱ロール)の表面に、網目状の突起を形成し、当該突起をカバーフィルムに強く圧接させるという技術が提案されている(例えば、特許文献2等参照)。当該技術において、上シールロールの表面には、外周方向に向けて幅の小さくなる断面略台形状をなす細長い突起が網目状に設けられている。そして、シール時には、前記網目状の突起がカバーフィルム及び容器フィルムにくい込むように圧接されることで、PTPフィルムに対し、前記シール目が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−227723号公報
【特許文献2】特開2001−171619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、通常、下シールロールの外周面は、前記凹部を除いて凹凸のない滑面状に形成されている。そのため、シール時において、カバーフィルムは、常に、下シールロールの存在によって、前記突起とは反対側に逃げることのできない状態となっている。従って、シール時において、カバーフィルムは、前記突起及び下シールロール間で比較的強く挟み込まれることとなる。これにより、前記突起からカバーフィルムに対し、カバーフィルムを押し広げる方向に向けた力が加わってしまったり、カバーフィルムにおける局所的な強度低下が生じてしまったりするおそれがある。そして、カバーフィルムを押し広げる方向に向けた力と、しわの発生防止を図るための前記張力との合力が、カバーフィルムの破断強度を超えてしまったり、カバーフィルムの破断強度が前記張力に抗することのできない程度まで低下してしまったりすると、カバーフィルムに、突起に沿う形状の亀裂や破断が生じてしまうおそれがある。特に、カバーフィルムとして、破断強度が比較的低いもの(例えば、比較的薄いもの)や、しわの発生防止を図るために大きな張力を加えることが必要なものを用いる場合には、亀裂等の発生が一層懸念される。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、容器フィルムに対するカバーフィルムの取着時において、カバーフィルムにおける亀裂や破断の発生をより確実に防止することができ、歩留まりや生産性の向上を図ることができるシール装置、及び、PTP包装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0010】
手段1.帯状の容器フィルムに形成された複数のポケット部を収容可能な複数の収容部を外周に有するとともに、回転可能なフィルム受けロールと、
自身の外周が前記フィルム受けロールの外周に向けて押付けられるとともに、帯状のカバーフィルムを加熱可能であり、かつ、回転可能なシールロールとを備え、
前記容器フィルムに対し、内容物の充填された前記ポケット部を塞ぐようにして張力の加えられた前記カバーフィルムを重ねた状態で、前記容器フィルム及び前記カバーフィルムを前記フィルム受けロール及び前記シールロール間を通過させることにより、前記容器フィルムに対し前記カバーフィルムを取着するシール装置であって、
前記シールロールの外周のうち、少なくとも前記両ロール間を通過する前記カバーフィルムと相対向する部位には、外周方向に突出し、平行四辺形の網目状をなす凸条部が設けられ、
前記凸条部は、その頂部が、角形状をなすとともに、前記カバーフィルムと接触可能に構成され、
前記フィルム受けロールの外周のうち、前記収容部を除く、少なくとも前記両ロール間を通過する前記容器フィルムと相対向する部位には、
平行四辺形の網目状をなすように設けられた窪み状の谷部と、
四方を前記谷部で囲まれてなり、前記容器フィルムと接触可能な複数の島部とが設けられ
前記シールロールの外周のうち前記凸条部の形成された部位においては、前記頂部で囲まれた平行四辺形状の閉領域が、隙間なく並んで設けられており、
前記フィルム受けロールの外周において、前記島部は、前記フィルム受けロールの軸方向及び周方向に沿って、並んで設けられており、
前記シールロールの軸方向に沿った、前記閉領域の長さをPdとし、
前記シールロールの周方向に沿った、前記閉領域の長さをQdとし、
前記フィルム受けロールの軸方向に沿った、隣り合う前記島部の間隔をPsとし、
前記フィルム受けロールの周方向に沿った、隣り合う前記島部の間隔をQsとしたとき、
Ps<Pd、及び、Qs<Qd
を満たすことを特徴とするシール装置。
【0011】
上記手段1によれば、シールロールの凸条部と島部とが重なり合う領域、或いは、その近傍においては、凸条部と島部、或いは、その近傍とで、容器フィルムとカバーフィルムとを挟むことでシールされるが、それ以外の部分では両ロールはフィルムを挟むことなく、カバーフィルムに接触するシールロールの凸条部でカバーフィルムと容器フィルムとをフィルム受けロール外周に編み目状をなすように設けられた窪み状の谷底側に向かって撓ませることでシールされる。本発明が解決しようとする課題で述べた亀裂は、言い換えれば両ロールで挟むことで発生するので、上記手段1によれば、シールロールの凸条部と島部とが重なり合う領域、或いは、その近傍において容器フィルムとカバーフィルムとを挟む部位は連続的ではなく散在するので、凸条部に沿った形状の連続する亀裂や破断が発生してしまう事をより確実に防止でき、歩留まりや生産性の向上を図ることができる。
【0013】
シール時において、容器フィルムは、主として島部において支持されることとなる。ここで、島部の配置によっては、シール時に、凸条部で囲まれる閉領域に対して、島部が対向しない状態となり得る。また、島部の対向しない閉領域が隣り合う状態となってしまうこともある。島部の対向しない閉領域が隣り合う状態の周囲の、島部と対向した閉領域では、閉領域を成す凸条部でカバーフィルムと容器フィルムとは谷部側へ撓みを生じているが、島部の対向しない閉領域が隣り合った境の凸条部は島部と対向した閉領域の凸条部と同じ高さなので、それ以上にはカバーフィルムと容器フィルムとを撓ませられない。したがって、この部分のシール性は保証されない。
【0014】
この点、上記手段によれば、Ps<Pd、及び、Qs<Qdを満たすため、容器フィルムのうち、シール時において前記閉領域と向き合う部分は、少なくとも1つの島部によって確実に支持されることとなる。これにより、シールロールの凸条部と島部とが重なり合う領域、或いは、その近傍においては、凸条部と島部、或いは、その近傍とで、容器フィルムとカバーフィルムとを挟む以外の場所で、シール時において凸条部でのカバーフィルムと容器フィルムとの撓みが無い状態を確実に防止できる。その結果、容器フィルムに対しカバーフィルムの全域を十分な圧力をもって押付けることができ、両フィルムのシール性を非常に良好なものとすることができる。
【0015】
また、上記手段によれば、Ps及びPdがそれぞれ異なる値であり、また、Qs及びQdがそれぞれ異なる値である。そのため、シール時において、凸条部の頂部と島部又はその近傍とにより両フィルムが全く挟み込まれなくなってしまうという事態をより確実に防止できる。
【0016】
手段.Ps≧Pd/2、及び、Qs≧Qd/2
を満たすことを特徴とする手段に記載のシール装置。
【0017】
上記手段によれば、シールロールの外周において、島部が、比較的まばらな状態で設けられている。従って、PTPフィルムにおいて、凸条部の頂部と島部又はその近傍によって挟み込まれた部位がさほど多くならず、より散在することとなる。その結果、カバーフィルムにおける亀裂等の発生をより一層確実に防止することができ、歩留まりや生産性をさらに高めることができる。
【0018】
また、シールロールの製造時における加工工数を減らすことができるため、シール装置の製造に関し、コストの低減や製造効率の向上を図ることができる。
【0019】
手段.前記シールロールは、自由回転可能に構成されており、前記両ロール間を通過する前記カバーフィルムの移動に従って回転するように構成されていることを特徴とする手段1又は2に記載のシール装置。
【0020】
上記手段によれば、シールロールは、自由回転可能であり、カバーフィルムの移動に従って回転するように構成されている。従って、シールロールを回転させるための駆動手段などを設ける必要がなく、シール装置の簡素化やシール装置の製造に係るコストの低減を図ることができる。
【0021】
尚、シールロールの回転動作がフィルム受けロールの回転動作に同期していなくても、上記手段1等による、カバーフィルムにおける亀裂等の発生防止という作用効果を得ることができる。シールロールの回転動作とフィルム受けロールの回転動作とを同期させる必要がないという点は、上記手段1等のシール装置における大きな特徴であり、この点において、上記手段1等のシール装置と、両ロールを同期回転させることを必要とするシール装置(例えば、ストリップ包装等の製造に用いられる)とは大きく異なる。
【0022】
手段.前記島部の頂部分は、非尖端状であることを特徴とする手段1乃至のいずれかに記載のシール装置。
【0023】
上記手段によれば、シール時において、島部の頂部分の接触により、容器フィルムに損傷が生じてしまうことをより確実に防止できる。
【0024】
また、上記手段によれば、島部の頂部分における損耗や破損が生じにくくなる。そのため、シール装置における耐久性やメンテナンス性を高めることができる。
【0025】
さらに、島部の頂部分が尖端状である場合に比べ、島部ごとの突出量のバラツキを抑制することができる。
【0026】
手段.手段1乃至のいずれかに記載のシール装置を備えるPTP包装機。
【0027】
上記手段によれば、上記手段1等と同様の作用効果が奏されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】(a)は、PTPシートの構成を示す斜視図であり、(b)は、PTPシートの一部破断拡大図であり、(c)は、PTPフィルムの構成を示す斜視図である。
図2】PTP包装機の概略構成を示す模式図である。
図3】フィルム受けロールの斜視図である。
図4】フィルム受けロールの外周面の拡大展開図である。
図5】シールロールの斜視図である。
図6】シールロールの外周面の拡大展開図である。
図7】フィルム受けロール及びシールロール間を通過する容器フィルム及びカバーフィルムを示す拡大断面模式図である。
図8】フィルム受けロールの外周面の展開図と、シールロールの外周面の展開図とを重ねた図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1(a),(b)に示すように、PTPシート1は、複数の突起状のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2の開口を塞ぐようにして容器フィルム3に取着された平坦状のカバーフィルム4とを有している。また、PTPシート1は、シート長手方向に沿って配列された複数のポケット部2からなるポケット列が、シート短手方向に複数列(例えば、2列)形成されている。そして、ポケット部2には、内容物としての錠剤5が1つずつ収容されている。尚、PTPシート1は、前記ポケット列が並列状に複数形成された帯状のPTPフィルム7〔図1(c)参照〕を矩形状に打ち抜くことで得られる。
【0030】
容器フィルム3は、透明又は半透明の材料(例えば、ポリプロピレン樹脂等)により構成されている。尚、容器フィルム3を、アルミニウム箔等の不透明材料から形成してもよい。
【0031】
カバーフィルム4は、所定温度以上に加熱されることで溶融可能な、ポリエステル樹脂等からなるシーラントが表面に塗布された不透明材料(例えば、アルミニウム箔等)により構成されている。また、カバーフィルム4には、平行四辺形の網目状をなすシール目(図示せず)が形成されている。
【0032】
さらに、容器フィルム3には、例えば2つのポケット部2が含まれたペア小片に切り離すことができるように複数の横スリット6が形成されている。また、図示は省略するが、PTPシート1には、ロットナンバー等の識別情報を示す刻印などが付されている。尚、容器フィルム3に、縦スリットを形成してよいし、スリットを設けなくてもよい。
【0033】
次に、上記PTPシート1を製造するためのPTP包装機10の概略構成について説明する。
【0034】
図2に示すように、PTP包装機10の最上流側には、ロール状に巻回された容器フィルム3の原反が配置されている。容器フィルム3は、下流側の加熱装置11及びポケット部形成装置12へと間欠的に繰り出し搬送される。
【0035】
加熱装置11及びポケット部形成装置12は、容器フィルム3の搬送経路に沿って順に配設されている。加熱装置11は、容器フィルム3を加熱し、軟化状態とする。ポケット部形成装置12は、軟化状態の容器フィルム3を変形させることで、容器フィルム3にポケット部2を形成する。尚、ポケット部2の形成は、容器フィルム3の搬送動作間のインターバルに行われる。
【0036】
ポケット部2の形成された容器フィルム3は、充填装置13、外観検査装置14、及び、シール装置15へと順次搬送される。尚、ポケット部形成装置12及び充填装置13間における容器フィルム3の搬送経路には、段差ローラ25が設けられている。そして、容器フィルム3は、段差ローラ25よりも上流では間欠的に搬送される一方で、段差ローラ25よりも下流であって後述する段差ローラ26よりも上流では連続的に搬送されるように構成されている。
【0037】
充填装置13は、例えばロータリドラムを備えており、容器フィルム3に形成されたポケット部2に対し錠剤5を自動的に充填する。
【0038】
外観検査装置14は、錠剤5が各ポケット部2に確実に充填されているか否か、また、錠剤5の欠け、ひび等の外観異常の有無、異物混入の有無等の検査を行う。尚、外観検査装置14によって不良品と判定されたPTPシート1は、図示しない不良シート排出機構によって排出される。
【0039】
また、PTP包装機10には、帯状のカバーフィルム4がロール状に巻回されてなるカバーフィルム4の原反が設けられている。カバーフィルム4は、テンションロール27を介してシール装置15へと連続的に繰り出し搬送される。尚、テンションロール27によって、シール装置15へと搬送されるカバーフィルム4は、その搬送方向に沿って張力の加えられた状態となっている。
【0040】
シール装置15は、フィルム受けロール16と、シールロール17とを備えており、フィルム受けロール16にシールロール17が圧接可能に構成されている。そして、容器フィルム3及びカバーフィルム4が、両ロール16,17間に送り込まれ、両ロール16,17間を加熱圧接状態で通過することにより、容器フィルム3にカバーフィルム4が貼着される。これにより、錠剤5が各ポケット部2に充填された帯状のPTPフィルム7が得られる。尚、シール装置15の構成については、後に詳述する。
【0041】
シール装置15の下流、すなわちPTPフィルム7の移送経路には、刻印装置18、スリット成形装置19及びシート打抜装置20がこの順序で配設されている。尚、シール装置15と刻印装置18との間におけるPTPフィルム7の搬送経路には、段差ローラ26が設けられている。そのため、PTPフィルム7は、段差ローラ26よりも下流では間欠的に搬送されるようになっている。
【0042】
刻印装置18は、PTPフィルム7の所定位置に刻印を付す。スリット成形装置19は、PTPフィルム7の所定位置に横スリット6を形成する。
【0043】
シート打抜装置20は、PTPフィルム7をPTPシート1単位に打抜く。尚、シート打抜装置20によるPTPフィルム7の打抜きは、PTPフィルム7の搬送動作間のインターバルにおいて、PTPフィルム7を停止させた状態で行われる。
【0044】
また、シート打抜装置20の下方側には、打抜かれたPTPシート1を移送するためのコンベア21が設けられている。打抜いて得られたPTPシート1は、前記コンベア21上に落下し、当該コンベア21によってPTPシート1を貯留するための貯留用ホッパ22に移送される。また、PTPシート1を打抜いた後の端材は、シート打抜装置20の下流側に設けられたスクラップ用ホッパ23に貯留される。
【0045】
次いで、シール装置15の構成について説明する。シール装置15は、上述の通り、フィルム受けロール16及びシールロール17を有する。
【0046】
フィルム受けロール16は、所定の駆動手段(例えば、モータ等)により、自身の中心軸を回転軸として回転可能に構成されている。また、図3に示すように、フィルム受けロール16の外周には、ポケット部2を収容可能な窪み状の収容部16Aが複数形成されている。そして、収容部16Aにポケット部2が収容されることにより、ポケット部2が引っ掛かった状態となっているフィルム受けロール16が回転することで、容器フィルム3が下流側に搬送されるようになっている。
【0047】
さらに、フィルム受けロール16のうち、少なくとも両ロール16,17間を通過する容器フィルム3と相対向する部位には、平行四辺形(本実施形態では、正方形)の網目状をなすように設けられた窪み状の谷部16Bが設けられている。また、フィルム受けロール16のうち、四方を谷部16Bで囲まれた部分には、複数の島部16Cが設けられている。各島部16Cの頂部分は、非尖端状(本実施形態では、平坦面状又は湾曲面状)とされており、両ロール16,17間を通過する容器フィルム3と接触可能に構成されている。
【0048】
加えて、島部16Cは、フィルム受けロール16の軸(回転軸)方向及び周方向に沿って、それぞれ等間隔に複数設けられている。そして、図4に示すように、フィルム受けロール16の軸方向に沿った、隣り合う島部16Cの間隔(島部16Cの中心同士の間隔)はPsとされ、フィルム受けロール16の周方向に沿った、隣り合う島部16Cの間隔(島部16Cの中心同士の間隔)はQsとされている。
【0049】
シールロール17は、自身の軸がフィルム受けロール16の軸と平行となるようにして配置されており、フィルム受けロール16に対し接離移動可能に構成されている。また、シールロール17は、例えば、電気ヒータ等により、その外周が発熱可能に構成されている。さらに、シールロール17は、自由回転可能に構成されるとともに、その外周がフィルム受けロール16の外周に向けて所定の圧力で押付けられるように構成されている。そのため、シールロール17は、両ロール16,17間を通過するカバーフィルム4の移動に従って従動回転するようになっている。
【0050】
また、図5に示すように、シールロール17のうち、少なくとも前記両ロール16,17間を通過するカバーフィルム4と相対向する部位には、外周方向に突出し、平行四辺形(本実施形態では、正方形)の網目状をなす凸条部17Aが設けられている。凸条部17Aは、外周方向にやや尖った角形状をなす頂部17Bを有している。頂部17Bは、幅が非常に小さく、略線状をなしている。また、頂部17Bは、両ロール16,17間を通過するカバーフィルム4と接触可能に構成されている。
【0051】
さらに、シールロール17の外周においては、前記頂部17Bで囲まれた平行四辺形状(本実施形態では、正方形状)の閉領域17Cが、隙間なく並ぶようにして複数形成されている。そして、図6に示すように、シールロール17の軸(回転軸)方向に沿った閉領域17Cの長さはPdとされており、シールロール17の周方向に沿った閉領域17Cの長さはQdとされている。
【0052】
さらに、本実施形態では、Ps<Pd、及び、Qs<Qdを満たすように構成されている。従って、Ps及びPdがそれぞれ異なる値とされ、Qd及びQdもそれぞれ異なる値とされている。
【0053】
また、本実施形態では、Ps≧Pd/2、及び、Qs≧Qd/2を満たすように構成されている。つまり、シールロール17の外周において、島部16Cが比較的まばらな状態で設けられている。
【0054】
シール装置15においては、図7図7では、フィルム受けロール16の回転方向や両フィルム3,4の移動方向を黒塗りの矢印で示し、カバーフィルム4に加わっている張力の方向を実線の矢印で示す)に示すように、容器フィルム3に対し、ポケット部2を塞ぐようにして張力の加えられたカバーフィルム4を重ねた状態で、容器フィルム3及びカバーフィルム4が、両ロール16,17間に送り込まれる。両ロール16,17間において、カバーフィルム4に対し少なくとも凸条部17Aの頂部17Bが接触することで、カバーフィルム4に塗布された前記シーラントが熱により溶かされるとともに、容器フィルム3側へとカバーフィルム4が押付けられる。そして、両フィルム3,4が両ロール16,17間を通過した後に、冷却されたフィルム受けロール16や外気により、前記シーラントが冷やされる。これにより、容器フィルム3にカバーフィルム4が接着され、各ポケット部2に錠剤5の充填された帯状のPTPフィルム7が得られる。尚、頂部17Bが略線状に延びているため、容器フィルム3に対するカバーフィルム4の接着部も略線状となり、良好なシール性を得る(両フィルム3,4が強固に密着するとともに、錠剤5に外気が極力触れないようにする)ことができる。
【0055】
以上詳述したように、本実施形態によれば、原則として、シールロール17の凸条部17Aによってシール目が形成され、カバーフィルム4が容器フィルム3に対しシールされることとなる。
【0056】
また、フィルム受けロール16の外周には、窪み状の谷部16Bが設けられている。従って、シール時において、容器フィルム3及びカバーフィルム4は、谷部16B側へと逃げる(撓む)ことが可能となる。これにより、カバーフィルム4が、凸条部17Aとフィルム受けロール16とによって、強く挟み込まれてしまうといった事態を効果的に抑制できる。また、PTPフィルム7のうち、シール時に比較的強い圧力の加わる凸条部17Aの頂部17Bと島部16C又はその近傍とで挟み込まれた部分を、連続的ではなく散在させることができる。その結果、カバーフィルム4に、凸条部17A(頂部17B)に沿った形状の亀裂や破断が発生してしまうことをより確実に防止でき、歩留まりや生産性の向上を図ることができる。
【0057】
さらに、Ps<Pd、及び、Qs<Qdを満たすため、両ロール16,17の外周面をそれぞれ展開して重ね合わせたときに、図8図8では、図示の便宜上、島部16C、頂部17B及び閉領域17Cのみを示す)に示すように、閉領域17Cに対し、島部16Cが必ず重なることとなる。つまり、本実施形態では、容器フィルム3のうち、シール時において前記閉領域17Cと向き合う部分は、少なくとも1つの島部16Cによって確実に支持されることとなる。これにより、凸条部17Aが容器フィルム3を撓ませないことをより確実に防止できる。その結果、容器フィルム3に対しカバーフィルム4の全域を十分な圧力をもって押付けることができ、両フィルム3,4のシール性を非常に良好なものとすることができる。
【0058】
また、Ps≠Pd、及び、Qs≠Qdを満たすため、シール時において、凸条部17Aの頂部17Bと島部16C又はその近傍とにより両フィルム3,4が全く挟み込まれなくなってしまうという事態をより確実に防止できる。
【0059】
さらに、Ps≠Pd、及び、Qs≠Qdを満たすため、シール時には、両ロール16,17の軸方向に沿ったいずれかの位置において、頂部17Bが島部16C又はその近傍と対向する状態となる。従って、両ロール16,17の軸同士の距離は、頂部17Bと島部16C又はその近傍とによって両フィルム3,4を適切な圧力で挟み込むことができる程度の距離に決定されることとなる。そのため、シール時において、頂部17Bが谷部16Bの底に突き当たってしまうといった事態を起こりにくくすることができる。
【0060】
加えて、Ps≧Pd/2、及び、Qs≧Qd/2を満たすため、PTPフィルム7において、凸条部17Aの頂部17Bと島部16C又はその近傍によって挟み込まれた部位がさほど多くならず、より散在することとなる。その結果、カバーフィルム4における亀裂等の発生をより一層確実に防止することができ、歩留まりや生産性をさらに高めることができる。さらに、シールロール17の製造時における加工工数を減らすことができるため、シール装置15の製造に関し、コストの低減や製造効率の向上を図ることができる。
【0061】
併せて、シールロール17は、自由回転可能であり、シールロール17を回転させるための駆動手段は特に設けられていない。従って、シール装置15の簡素化や、シール装置15の製造に係るコストの低減を図ることができる。
【0062】
また、島部16Cの頂部分は非尖端状であるため、シール時において、島部16Cの接触により、容器フィルム3に損傷が生じてしまうことをより確実に防止できる。さらに、島部16Cにおける損耗や破損が生じにくくなり、シール装置15における耐久性やメンテナンス性を高めることができる。
【0063】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0064】
(a)上記実施形態において、谷部16Bや凸条部17Aは、正方形の網目状をなすように構成されているが、これらは平行四辺形(もちろん、長方形や菱形を含む)の網目状をなすものであればよい。
【0065】
(b)上記実施形態では、島部16Cの頂部分が非尖端状をなすように構成されているが、島部16Cの頂部分が尖端状となるように構成してもよい。
【0066】
(c)上記実施形態では、Ps<Pd、Qs<Qd、Ps≧Pd/2、及び、Qs≧Qd/2を満たすように構成されているが、長さPd,Qd及び間隔Ps,Qsの大小関係を適宜変更してもよい。例えば、Ps=Pd、及び、Qs=Qdを満たすように構成してもよい。尚、容器フィルム3に対しカバーフィルム4を強固に取着するという観点から、0.5×Pd≦Ps≦1.5×Pd、及び、0.5×Qd≦Qs≦1.5×Qdを満たすように構成することが好ましい。このように構成することで、島部16Cによって容器フィルム3の広範囲をより確実に支持することができ、ひいては容器フィルム3に対しカバーフィルム4の広範囲を十分に大きな圧力をもって押付けることができる。
【0067】
(d)上記実施形態では、内容物として錠剤5を挙げているが、内容物は錠剤に限られず、例えば、カプセル等であってもよい。
【0068】
(e)凸条部17Aの頂部17Bが角形状であるというのは、略角形状の意味であり、厳密な角形状のみを意味するものではない。従って、例えば、凸条部17Aの頂部17Bが、微視的に見て、いくらか丸みを帯びていたり、平坦状をなしていたりしてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1…PTPシート、2…ポケット部、3…容器フィルム、4…カバーフィルム、5…錠剤(内容物)、7…PTPフィルム、10…PTP包装機。15…シール装置、16…フィルム受けロール、16A…収容部、16B…谷部、16C…島部、17…シールロール、17A…凸条部、17B…頂部、17C…閉領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8