(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
(コンクリート保護材)
コンクリート保護剤は、アルカリ金属ケイ酸塩と、二酸化珪素と、アルカリ性電解水と、を含む。なお、コンクリート改質剤には、その用途に応じて、所定の添加剤が含まれていても良い。
【0018】
(アルカリ金属ケイ酸塩)
アルカリ金属ケイ酸塩は、主として、カルシウムイオンとの反応を介して、コンクリート構造物にてC−S−Hゲルを生成するためのものである。アルカリ金属ケイ酸塩は、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、及びケイ酸リチウム等がある。
【0019】
ケイ酸ナトリウムは、C−S−Hゲルの生成反応が極めて起こりやすい。このため、アルカリ金属ケイ酸塩としてケイ酸ナトリウムのみが含まれるコンクリート保護剤をコンクリート構造物に塗布した場合、塗布された表面から深さ方向への浸透をする前に、C−S−Hゲルの生成反応が起こってしまう。この結果、コンクリート構造物の保護効果が、表層付近に限定されてしまうこととなる。一方、ケイ酸カリウムは、C−S−Hゲルの生成反応がゆっくり起こる。このため、アルカリ金属ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウムとともに、ケイ酸カリウムが含まれることが好ましい。これにより、コンクリート構造物の保護効果が、表層付近のみならず内部にも及ぶこととなるため、コンクリート構造物の長寿命化が図られる。例えば、アルカリ金属ケイ酸塩におけるケイ酸ナトリウムと、ケイ酸カリウムとの混合比(重量比)は、2:1であることが好ましい。
【0020】
ところで、コンクリート構造物に存在する欠陥(毛細管、孔、ひび等)のうち、比較的大きなものは、小さなものに比べ、コンクリート構造物の劣化を誘発しやすい(
図1参照)。特に、サイズが20nm以上の欠陥は、コンクリート構造物の劣化を誘発し、そのサイズが大きくなるほどに従って、コンクリート構造物の劣化を誘発しやすくなる。したがって、コンクリート保護材としては、比較的大きな欠陥に対して確実に充填し、劣化原因物質の通り道を遮断できるものであることが望ましい。このため、アルカリ金属ケイ酸塩の粒径は、1nm以上100nm以下であることが好ましい。アルカリ金属ケイ酸塩の粒径が100nmを超える場合には、欠陥において密実な充填が不十分となるため、劣化原因物質の侵入路となる空隙が当該欠陥に発生してしまう。
【0021】
(二酸化珪素)
二酸化珪素は、主として、コンクリート構造物の欠陥を充填する作用と、アルカリ金属ケイ酸塩の擬集を促す作用と得るためのものである。二酸化珪素の擬集作用によれば、二酸化珪素を核とするアルカリ金属ケイ酸塩を集めて、集合体を形成する。この集合体の大きさは、均一のもの(
図2(A)参照)よりも、ばらついているもの(
図2(B)参照)ほうが、コンクリート構造物の欠陥に対する充填効率が高い、すなわち、劣化原因物質の通り道は狭くなる。この結果、コンクリート構造物の保護効果が向上する。二酸化珪素としては、前述の作用を奏するものであれば特に限定されないが、非晶質シリカ、中でも乾式シリカであることが好ましい。例えば、レオロシール 親水性CP,QSシリーズ(株式会社トクヤマ CAS番号7631−86−9)等がある。
【0022】
アルカリ金属ケイ酸塩の集合体のサイズは、核となる二酸化珪素のサイズに依存する。すなわち、核となる二酸化珪素のサイズが大きいほど、アルカリ金属ケイ酸塩の集合体のサイズは大きくなる。反対に、核となる二酸化珪素のサイズが小さいほど、アルカリ金属ケイ酸塩の集合体のサイズは小さくなる。
【0023】
したがって、二酸化珪素自身によるコンクリート構造物の欠陥を充填する作用を奏するためには、二酸化珪素の粒径は、1nm以上50nm以下であることが好ましい。また、アルカリ金属ケイ酸塩の擬集を促す作用を利用してより密実な充填を行なうためには、二酸化珪素の粒径は、より広い範囲で(例えば、1nm以上250nm以下)ばらついていることが好ましい。二酸化珪素の粒径が1nm未満の場合には、水ガラスと同じように溶解性が高くなるという点で好ましくない。また、二酸化珪素の粒径が250nmを超える場合には、密実な充填ができなくなるという点で好ましくない。
【0024】
(アルカリ性電解水)
このアルカリ性電解水は、pHが11以上であることが好ましい。また、アルカリ性電解水のpHの上限は、特に限定されないが、コンクリート構造物に供給した場合、アルカリ骨材反応が起こらない程度、すなわち、コンクリートアルカリ総量の記載(Na
2O換算 3.0kg/m
3以下)となる範囲であればよい。
【0025】
さらに、アルカリ性電解水は、通常の水に比べて、コンクリート構造物に対して浸透しやすい。アルカリ性電解水の浸透性の高さは、水分子のサイズに比べて、水酸化イオンのイオン半径が小さいことに起因するものと推測される。そして、アルカリ性電解水に含まれる有効成分(アルカリ金属ケイ酸塩や二酸化珪素等の分散質や、その他の添加剤)は、通常の水に含まれる場合に比べ、コンクリート構造物へ浸透しやすい。すなわち、コンクリート保護材として、少なくとも、所定の有効成分とアルカリ性電解水とが含まれることにより、コンクリート構造物の内部まで有効成分を供給することができる。
【0026】
ところで、水酸化イオン濃度X
OHに対する塩化物イオン濃度X
Clの割合(=X
Cl/X
OH)が所定の値を超えると、鉄筋の腐食が開始することが知られている。前述のコンクリート保護材の塗布により、多量の水酸化イオンがコンクリート構造物に供給される結果、コンクリート構造物には多量の水酸化イオンが存在することとなる。このように、多量の水酸化イオンが存在することとなったコンクリート構造物、すなわち、アルカリ性の強さが増したコンクリート構造物に対して、塩化物イオンが侵入した場合、水酸化イオン濃度に対する塩化物イオン濃度の割合が低く抑えられる。したがって、アルカリ性の強さが増したコンクリート構造物は、塩化物イオンが侵入した場合であっても、鉄筋の腐食が開始する限界値を超えにくくなり、結果として、鉄筋の腐食を抑えることができる。
【0027】
アルカリ性電解水におけるカルシウムイオンの溶解度は、通常の水に比べて高い。例えば、25℃の当該アルカリ性電解水100g当たりにおけるカルシウムイオンの溶解度は、例えば、5.0gであり、100gの水(25℃、pH7)に水酸化カルシウムを溶解させた場合におけるカルシウムイオンの溶解度(0.17g)に比べ、高い。このようなアルカリ性電解水を含むコンクリート保護材をコンクリート構造物に供給すると、C−S−Hゲルの生成反応が促進する。
【0028】
ここで、C−S−Hゲルの生成の促進は、次のように推測される。アルカリ性電解水によるカルシウムイオン溶解促進作用によって、コンクリート構造物に含まれるカルシウムイオンがアルカリ性電解水に取り込まれる。取り込まれたカルシウムイオンは、C−S−Hゲルの生成に寄与する。
【0029】
コンクリート保護剤における各成分の割合は、当該成分の作用が得られるものであれば特に限定されない。なお、各成分の好ましい範囲については、次の通りである。コンクリート保護剤におけるアルカリ金属ケイ酸塩は、15重量%以上50重量%以下であることが好ましく、20重量%以上40重量%以下であることがより好ましい。また、コンクリート保護剤における二酸化珪素の下限は、0.5重量%以上出有ることが好ましい。一方、その上限は、コンクリート構造物の外観不良(意匠性の低下)が発生しない程度で有ることが好ましい。例えば、その上限は、10重量%以下であることが好ましく、5重量%以下であることがより好ましく、3重量%以下であることがさらに好ましい。そして、コンクリート保護剤におけるアルカリ性電解水は、50重量%以上85重量%以下であることが好ましく、60重量%以上80重量%以下であることがより好ましい。なお、二酸化珪素による作用が不要の場合には、コンクリート保護材の成分として二酸化珪素を省略することができる。同様に、アルカリ性電解水による作用が不要の場合には、アルカリ性電解水の代わりに水を用いてもよい。
【0030】
コンクリート保護剤の作用について説明する。
【0031】
コンクリート保護剤をコンクリート構造物へ供給すると、カルシウムイオンとの反応により、C−S−Hゲル(以下、湿潤ゲルと称する)がコンクリート構造物に生成する。この湿潤ゲルによって、劣化原因物質の通り道となる欠陥を塞ぐことができる。このため、欠陥の存在に起因するコンクリート構造物の劣化(中性化・塩害・凍害・アルカリ骨材反応等)を防ぐことができる。さらに、湿潤ゲルは、含有水分の低下によって乾燥ゲルとなる。乾燥ゲルは、水や湿気との接触により、流動性を有する湿潤ゲルとなる。このように乾燥ゲルが存在するコンクリート構造物においては、外部からの水や湿気が侵入した場合であっても、当該水等は湿潤ゲルに接触し、湿潤ゲルとして取り込むこととなり、結果として、外部からの水や湿気の侵入を防ぐことができる。さらに、湿潤ゲルは、流動性を有するため、後発的に生じた欠陥(例えば、ひび)を充填するといった自己修復機能を発揮することもできる。
【0032】
コンクリート保護材は二酸化珪素を含むため、コンクリート保護材によって生成する湿潤ゲルにおいては、様々なサイズの粒子(アルカリ金属ケイ酸塩の集合体や、二酸化珪素)が存在することとなる(
図2(B)参照)。このため、毛細管、孔、ひび等の欠陥を確実に充填し、劣化原因物質の通り道の遮断が可能となり、結果として、コンクリート構造物の劣化を防止することができる。
【0033】
加えて、コンクリート保護材はアルカリ性電解水を含むため、コンクリート構造物に対して浸透しやすい。このため、コンクリート構造物の欠陥に対する充填を短時間にかつ確実に行なうことができる。さらにまた、コンクリート保護材はアルカリ性電解水を含むため、コンクリート構造物には、多量の水酸化イオンが存在することとなる。この結果、コンクリート構造物の鉄筋の腐食を抑えることができる。なお、アルカリ性電解水に起因するコンクリート保護材の浸透しやすさは、コンクリート保護材に含まれるアルカリ金属ケイ酸塩がケイ酸ナトリウムのみの場合であっても発揮される。
【0034】
次に、コンクリート保護剤の製造方法について説明する。
【0035】
コンクリート保護剤の製造方法は、電気分解工程と、添加工程とを有する。電気分解工程では、水の電気分解を行ない、アルカリ性電解水と酸性電解水とをつくる。電気分解工程は、
図3(後述)に示す製造設備2を利用することができる。添加工程では、アルカリ性電解水に対し所定の成分(アルカリ金属ケイ酸塩や二酸化珪素)を添加する。
【0036】
上記実施形態では、コンクリート保護剤をコンクリートへ供給する保護剤供給工程によって、コンクリート構造物の補修を行なったが、本発明はこれに限られず、コンクリート構造物の補修及びコンクリート改質剤を併用したコンクリート構造物の補修を行なっても良い。
【0037】
(コンクリート改質剤)
コンクリート改質剤は、カルシウムイオンが溶解したアルカリ性電解水である。なお、必要に応じて、アルカリ性電解水に、所定の溶質が添加されていてもよい。
【0038】
このアルカリ性電解水は、pHが11以上であることが好ましい。また、アルカリ性電解水のpHの上限は、特に限定されないが、コンクリート構造物に供給した場合、アルカリ骨材反応が起こらない程度、すなわち、コンクリートアルカリ総量の記載(Na
2O換算 3.0kg/m
3以下)となる範囲であればよい。25℃の当該アルカリ性電解水100g当たりにおけるカルシウムイオンの溶解度は、例えば、5.0gであり、100gの水(25℃、pH7)に水酸化カルシウムを溶解させた場合におけるカルシウムイオンの溶解度(0.17g)に比べ、高い。すなわち、アルカリ性電解水は、改質剤におけるカルシウムイオン濃度向上剤として作用する。例えば、アルカリ性電解水におけるカルシウムイオンの濃度は、10mg/L以上であることが好ましい。なお、アルカリ性電解水は、改質剤におけるカルシウムイオンの濃度向上剤に限らず、所定の溶液における陽イオン(例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオンやカリウムイオン等のアルカリ金属イオン)に対する濃度向上剤としても作用する。
【0039】
(コンクリート構造物の補修方法)
コンクリート構造物の補修方法は、コンクリート改質剤をコンクリート構造物へ供給する改質剤供給工程と、コンクリート保護剤をコンクリートへ供給する保護剤供給工程とを有する。改質剤供給工程では、カルシウムイオンを含むアルカリ性電解水をコンクリート改質剤としてコンクリート構造物に塗布する。保護剤供給工程では、上述のコンクリート保護剤をコンクリート改質剤としてコンクリート構造物に塗布する。なお、改質剤供給工程や保護剤供給工程各工程においては、スプレーで吹き付ける等、所定の薬剤がコンクリート構造物と接触する方法であれば特に限定されない。
【0040】
コンクリート構造物の補修方法により、コンクリートにおいて、水酸化カルシウムとアルカリ金属ケイ酸塩と水とが反応し、ゲル状のケイ酸カルシウム(C−S−Hゲル)が生成する。生成したケイ酸カルシウムは、コンクリート構造物の表層部分を緻密にして、外部からの劣化原因物質の侵入を防ぐことができるため、コンクリート構造物の耐久性を向上させることができる。
【0041】
例えば、劣化状態のコンクリート構造物(例えば、pH11未満のコンクリートや、新設してから約10年以上経過したコンクリート)において、外部からの劣化原因物質の侵入等によって、新設当初に含まれていたカルシウムイオンがほとんど失われている。このような劣化状態のコンクリート構造物に対し、そのまま、コンクリート保護剤を塗布しても、十分な量のカルシウムイオンが存在しないため、ケイ酸カルシウムが生成しない、または、ケイ酸カルシウムの生成に長時間を要することとなる。
【0042】
そこで、劣化状態のコンクリート構造物に対しては、保護剤供給工程に先立って、改質剤供給工程を行う。これにより、当該コンクリート構造物へカルシウムイオンを補充することができる。そして、カルシウムイオンが補充されたコンクリート構造物に対して、コンクリート保護剤を塗布すると、補充されたカルシウムイオンが、ケイ酸カルシウムの生成に寄与する。結果、コンクリート改質剤の塗布により、コンクリート構造物におけるケイ酸カルシウムが生成しやすくなる。
【0043】
さらに、ケイ酸カルシウムの生成を促進するためには、多量のカルシウムイオンが必要となる。当該コンクリート改質剤は、通常の水酸化カルシウム水溶液よりも、カルシウムイオンの濃度が高いため、コンクリート保護剤との反応が短時間で開始する。
【0044】
上記実施形態では、コンクリート構造物の補修のために、コンクリート構造物に対して、コンクリート改質剤の塗布とコンクリート保護剤の塗布とをこの順に行ったが、この組み合わせを複数回繰り返してもよい。
【0045】
(コンクリート改質剤の製造設備)
次に、コンクリート改質剤の製造設備について説明する。
【0046】
まず、
図3に示すように、コンクリート改質剤の製造設備2は、水槽10と、イオン交換膜20と、陽極30と、陰極40と、陽極30及び陰極40に所定の電圧を印可する電源50と、を備える。
【0047】
水槽10には、カルシウム剤が溶けた水道水が貯留する。カルシウム剤としては、例えば、水溶性のカルシウム含有化合物(乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、リン酸化オリゴ糖カルシウム等のカルシウム塩)がある。
【0048】
水槽10の内部空間をイオン交換膜20で仕切り、イオン交換膜20で仕切られた2つの空間に、それぞれ陽極30と陰極40とを設ける。その後、電源50を用いて、陽極30と陰極40とに所定の電圧を印加して、電気分解を行う。この電気分解により、陰極40側には、水素が発生するとともに、カルシウムイオンが溶けたアルカリ性電解水80が生成される。一方、陽極30側には、乳酸を含む酸性水、塩化物イオン、炭酸水素イオンなどが、アルカリ性電解水から隔離して生成される。
【0049】
こうして得られた、カルシウムイオンを含むアルカリ性電解水は、コンクリート改質剤として利用可能である。このようなアルカリ性電解水は、人体にとって有害な物質や、環境汚染物質を含まないため、作業が人体にとって安全かつ簡単に、そして、特別な準備を行うことなく用いることができる。
【実施例1】
【0050】
以下の方法により、実験1〜5を行った。
【0051】
(実験1〜2の準備)
以下、実験1〜2の手順を説明する。
【0052】
コンクリート板のサンプルを2つ用意して、一方には保護剤Aを塗布し、他方には、保護剤Bを塗布した)。以降、保護材Aを塗布したサンプルをサンプルAと、保護材Bを塗布したサンプルをサンプルBと、それぞれ称する。塗布量はいずれも、0.25リットル/m
2とした。養生時間はいずれも14日間とした。
【0053】
(サンプル)
コンクリート板のサンプルは、300mm四方、厚み50mmの板状に形成されたものである。その配合は、セメント:砂=1:3であり、水セメント比は65%である。
【0054】
(保護剤A)
保護剤Aは、以下の成分を含む無機コロイドゾルである。
ナトリウムシリケート 15.7 重量%
カリウムシリケート 4.3 重量%
アルカリ性電解水 79.7 重量%
二酸化珪素 0.3 重量%
【0055】
(保護剤B)
保護剤Bは、以下の成分を含む無機コロイドゾルである(製品名 RCガード 株式会社エービーシー紹介)。
ナトリウムシリケート 10〜20 重量%
カリウムシリケート 20〜40 重量%
水(H
2O) 40〜70 重量%
【0056】
(実験1)
図4に示すように、サンプルAの上に計量管Tを立て、シーリング材で固定した(
図7参照)。その後、計量管Tに水を溜めた。水位は、5mmであった。蒸発を防ぐために、計量管T内の水面にはパラフィンを配し、試験を開始した。試験開始から所定の経過時間において、水位の変化を調べた。経過時間ごとの水の変化は、表1に示す。なお、試験を行なった環境は、温度23±2℃、湿度50±5%であった。
【0057】
(実験2)
サンプルAに代えて、サンプルBを用いたこと以外は、実験1と同様にして行なった。
【0058】
実験1〜2の結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
(実験3)
コンクリート板のサンプルに保護剤Aを塗布したもの(以下、サンプルCと称する)と、コンクリート板のサンプルに何も塗布していないもの(以下、サンプルDと称する)とを用意した。保護剤Aの塗布量は0.25リットル/m
2とした。養生時間は14日間とした。
【0061】
コンクリート板のサンプルは、一辺が100mmの立方体であり、コンクリートの配合は、呼び強度=21、スランプ=8、粗骨材の最大寸法=25であり、水セメント比は65%である。
【0062】
サンプルC、D(それぞれ3つ)に対し透水量試験を行なった。この透水量試験は、表面含浸剤の試験方法(案)(JSCE−K571−2005)に記載されたものである。試験開始から7日後の水頭の高さW
pi(単位:mm)を読み取り、試験前の高さW
po(単位:mm)との差から透水量を算出した(
図5参照)。なお、透水量試験を行なった環境は、温度23±2℃、湿度50±5%であった。
【0063】
透水量試験の測定値から、次式に基づいて、透水比を求めた。
透水比=サンプルCの透水量/サンプルDの透水量×100
【0064】
実験3の結果を表2に示す。
【0065】
【表2】
【0066】
(実験4)
コンクリート板のサンプルに保護剤Aを塗布したもの(以下、サンプルEと称する)と、コンクリート板のサンプルに何も塗布していないもの(以下、サンプルFと称する)とを用意した。コンクリート板のサンプルは、一辺が100mmの立方体であり、コンクリートの配合は、呼び強度=21、スランプ=8、粗骨材の最大寸法=25であり、水セメント比は65%である。保護剤Aの塗布量は0.25リットル/m
2とした。養生時間は14日間とした。
【0067】
サンプルE、F(それぞれ3つ)に対し、温度20±2℃、湿度60±5%、二酸化炭素濃度5±0.2%の環境下で、促進中性化試験を28日間行なった。この促進中性化試験は、表面含浸剤の試験方法(案)(JSCE−K571−2005)に記載されたものである。
【0068】
促進中性化試験の後、各サンプルE,Fの含浸面S1が2分割になるように、各サンプルE,Fを割裂して、割裂面SXの含浸面S1、及び含浸面S1に対向する面S2(試験面)からの中性化深さを測定した(
図6参照)。そして、中性化深さ比を、次式より求めた。
中性化深さ比=サンプルEの中性化深さ/サンプルFの中性化深さ×100
【0069】
実験4の結果を表3に示す。なお、表中の測定箇所A1〜A3は、コンクリート板のサンプルの幅中心位置、及び幅中心位置から左右に25mmの位置である。
【0070】
【表3】
【0071】
(実験5)
次のようにして、コンクリート改質剤をつくった。50gの乳酸カルシウム(株式会社武蔵野科学研究所)を、1000mlの水道水(25℃)に溶かした。なお、当該水道水は、表4の採水地点番号5〜7のものを用いた。このようにして得られた水を
図3に示すコンクリート改質剤の製造設備2の水槽10に注ぎ、電気分解を行ない、電気分解によって得られたアルカリ性電解水を、コンクリート改質剤とした。ICP発光分光分析法(JIS K0101 No49)に基づき、コンクリート改質剤のCaイオン量を測定したところ、コンクリート改質剤のCaイオン量は、2.5×10
5mg/Lであった。
【0072】
【表4】
【0073】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。