特許第5997209号(P5997209)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5997209接着機能部の最も近くにおいて光の吸収を向上させるように構成されたサブマウント層
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5997209
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】接着機能部の最も近くにおいて光の吸収を向上させるように構成されたサブマウント層
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/31 20060101AFI20160915BHJP
   H01S 5/022 20060101ALI20160915BHJP
   B23K 1/005 20060101ALI20160915BHJP
   B23K 1/00 20060101ALI20160915BHJP
   G11B 21/21 20060101ALI20160915BHJP
   B23K 26/18 20060101ALN20160915BHJP
   B23K 101/36 20060101ALN20160915BHJP
【FI】
   G11B5/31 M
   H01S5/022
   B23K1/005 A
   B23K1/00 330Z
   G11B5/31 Z
   G11B21/21 D
   !B23K26/18
   B23K101:36
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-131299(P2014-131299)
(22)【出願日】2014年6月26日
(65)【公開番号】特開2015-11756(P2015-11756A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2015年3月10日
(31)【優先権主張番号】13/930,350
(32)【優先日】2013年6月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500373758
【氏名又は名称】シーゲイト テクノロジー エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Seagate Technology LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チュビン・ペン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・アレン・セイグラー
【審査官】 中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−018747(JP,A)
【文献】 特開平07−037911(JP,A)
【文献】 特開2002−217497(JP,A)
【文献】 特開2012−069235(JP,A)
【文献】 特開2011−040141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 5/31
B23K 1/00
B23K 1/005
G11B 21/21
H01S 5/022
B23K 26/18
B23K 101/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
取付表面と前記取付表面の反対側の上部表面とを含むサブマウントと、
前記サブマウントの前記取付表面と接触する接着機能部を含むスライダと、
前記サブマウントの前記取付表面と前記接着機能部との間に配置される2つ以上の層とを備え、前記層は、前記接着機能部の近くにおいて光の吸収を向上させるように構成され、前記光は、前記サブマウントの前記上部表面を照らす電磁エネルギの源から発せられ、前記2つ以上の層は、少なくとも1つの半導体と、少なくとも1つの損失性材料とを含む、装置。
【請求項2】
前記2つ以上の層は、前記サブマウントの前記取付表面の上に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記サブマウントはシリコンを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記サブマウントの側面に取り付けられ、前記スライダの導波路に光学的に結合するレーザーをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記接着機能部は、SnAgはんだの層を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記2つ以上の層は、前記接着機能部の近くに金属反射層を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記金属反射層は、白金、金、またはこれらの組み合わせを含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記2つ以上の層は、少なくとも1つの半導体と少なくとも1つの損失性材料とを有する複合体を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの半導体は、ゲルマニウムを含み、前記少なくとも1つの損失性材料は、チタンを含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記2つ以上の層は、少なくとも2つの損失性材料と1つの半導体とを交互に重ねた層を含む多層構造を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記2つ以上の層は、金、アルミニウム、白金、タングステン、または銅を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
方法であって、
取付表面と前記取付表面の反対側の上部表面とを有するサブマウントを提供するステップと、
前記サブマウントの前記取付表面と接触する接着機能部を有するスライダを提供するステップとを備え、2つ以上の層が前記サブマウントの前記取付表面と前記接着機能部との間に配置され、前記層は、前記接着機能部の近くにおいてエネルギの吸収を向上させるように構成され、前記2つ以上の層は、少なくとも1つの半導体と、少なくとも1つの損失性材料とを含み、方法はさらに、
前記サブマウント上のレーザーダイオードから発せられる光が前記スライダの光導波路に光学的に結合するように前記サブマウントと前記スライダとを位置決めするステップと、
前記サブマウントを前記スライダに接着するために電磁放射を前記サブマウントの前記上部表面を通じて前記2つ以上の層に導くステップとを備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0001】
概要
本開示は、電磁エネルギの源を使用して光学部品を取り付けるために利用可能な装置および方法に関する。一局面において、装置は、取付可能表面と取付表面の反対側の上部表面とを有するサブマウントを含む。接着機能部を有するスライダは、サブマウントの取付表面に接触する。提供される装置は、サブマウントの取付表面と接着機能部との間に配置される2つ以上の層を含む。2つ以上の層は、接着機能部の近くにおいて光の吸収を向上させるように構成され、光はサブマウントの上部表面を照らす電磁エネルギの源から生じる。
【0002】
レーザーダイオードサブマウントをスライダに取り付ける方法は、取付表面と取付表面の反対側の上部表面とを有するサブマウントと、サブマウントの取付表面に接触する接着機能部を有するスライダと、サブマウントの取付表面と接着機能部との間に配置される2つ以上の層とを含む装置を提供することを伴い、層は、接着機能部の近くにおいて電磁エネルギの吸収を向上させるように構成される。電磁エネルギの源は、サブマウントの上部表面を照らす光ファイバーレーザーを含む光源から生じ得る。サブマウントはレーザーダイオードをさらに含み、スライダは光導波路をさらに含む。提供される方法は、サブマウント上のレーザーダイオードから発せられる光がスライダ内の導波路に光学的に結合するようにサブマウントおよびスライダを位置決めするステップと、電磁放射を光ファイバーレーザーからサブマウントの上部表面を通ってスライダの接着機能部の近くにおいて光の吸収を向上させるように構成された2つ以上の層に導くステップと、2つ以上の層のうちの少なくとも1つをスライダの接着機能部に接着させるステップとをさらに含む。
【0003】
本開示において、「損失性材料」は、それを通過する電磁エネルギを消散させ得る材料を少なくとも指し、「光ファイバーレーザー」は、出力光をレーザーダイオードから他の光学部品に導くように構成された光ファイバーを少なくとも指す。
【発明の効果】
【0004】
提供される装置および方法は、サブマウントに取り付けられたレーザーダイオードをHAMR記録に使用されるスライダにおける光導波路に対して整列させる際に問題となり得る、サブマウントまたはスライダにおける光ファイバー接着光の吸収を減少させ得る。サブマウント、スライダ、または両方における大きなサーマルマスを伴う加熱が、接着層の再固化を遅らせるとともに、含まれる材料の熱膨張の違いによって再固化の際の相対移動の可能性が高まり得るが、提供される装置および方法を使用することによって回避される。
【0005】
上記の概要は開示される実施形態の各々または本開示のすべての施行例を記載することを意図したものではない。図面および以下の詳細な説明は、より特定的に例示的な実施形態を示すものである。
【0006】
明細書を通して、添付の図面が参照され、これらの図面において、同様の参照符号は同様の要素を示す。
【0007】
図面は必ずしも縮尺どおりではない。図面において使用される同様の数字は、同様の部品を指す。しかしながら、所与の図面における部品を指すために数字を使用することは、同じ数字を用いて他の図面で標記された部品に限定することを意図したものでないことが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】熱アシスト磁気記録ハードドライブスライダアセンブリの実施形態を示す等角図である。
図2】提供される装置の実施形態を示すブロック図である。
図3A】サブマウントの取付表面と接着機能部との間に配置された2つ以上の層を有する提供される装置の提供されるサブマウントの実施形態を示す側面ブロック図である。
図3B】サブマウントの取付表面と接着機能部との間に配置された2つ以上の層を有する提供される装置の提供されるサブマウントの実施形態を示す側面ブロック図である。
図4A】50nmの厚さを有する提供されるサブマウントの取付表面上の提供される層の実施形態の屈折率および吸収係数の関数としての反射率をモデル化して示すグラフ図である。
図4B】100nmの厚さを有する提供されるサブマウントの取付表面上の提供される層の実施形態の屈折率および吸収係数の関数としての反射率をモデル化して示すグラフ図である。
図5図3Bの三層構造を使用した1.2μmの光波長における入射角の関数としての反射率をモデル化して示すグラフ図である。
図6図3Bの三層構造を使用した2つの入射角における光波長の関数としての反射率をモデル化して示すグラフ図である。
図7A】無損失性もしくは損失性の正誘電性の誘電体および負誘電率の金属において伝播する表面プラズモンを有するサブマウントの実施形態を示す側面ブロック図である。
図7B】無損失性もしくは損失性の正誘電性の誘電体および負誘電率の金属において伝播する表面プラズモンを有するサブマウントの実施形態を示す側面ブロック図である。
図7C】無損失性もしくは損失性の正誘電性の誘電体および負誘電率の金属において伝播する表面プラズモンを有するサブマウントの実施形態を示す側面ブロック図である。
図8A】入射角および波長の関数としての図7Aに示される実施形態の反射率を示すグラフ図である。
図8B】入射角および波長の関数としての図7Aに示される実施形態の反射率を示すグラフ図である。
図9】取付可能な部品をベース部品に接着するための方法の実施形態を示すブロック図である。
図10】提供される方法の実施形態を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明
以下の記載において、ここでの記載の一部を形成する添付の図面のセットが参照され、これらの図面はいくつかの特定の実施形態を例示によって示すものである。本発明の範囲または主旨から逸脱することなく、他の実施形態が考えられ、実施され得ることが理解される。このため、以下の詳細な説明は、限定的に捉えられるものではない。
【0010】
特に示されない限り、明細書および請求項において使用される特徴部分の大きさ、量、および物理的性質を表わす全ての数字は「約」の用語によって全ての場合において変更されていることが理解される。このため、逆に示されない限りは、先に立つ明細書および添付の請求項において規定される数的なパラメータは、ここで開示される教示を利用する当業者によって得られることが想定される所望の性質に応じて変化し得る近似値である。終点による数的範囲の使用は、その範囲内のすべての数字(たとえば、1から5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)、およびその範囲内の任意の範囲を含む。
【0011】
本開示は、概してデータ記憶のために使用される磁気記録装置に関する。非常に小さいサイズの光学装置の組み立てを容易にし得る装置および方法が、ここで以下に記載される。これらの装置および方法は、たとえば、熱アシスト磁気記録(TAMR)およびエネルギアシスト磁気記録(EAMR)としても記載され得る熱アシスト磁気記録(HAMR)装置を組み立てるために使用され得る。概して、HAMR装置は、レーザーダイオードまたは他のエネルギ源を使用し、磁気媒体を記録中に加熱する。
【0012】
HAMRデータ記憶媒体は、従来のハードドライブ媒体の面データ密度を制限する超常磁性効果(たとえば、熱的に誘因された無作為な磁性配向の変化)を克服することが可能な高い保磁力を有する。HAMR装置において、磁気媒体の小さい部分もしくは「ホットスポット」は、局所的にそのキュリー温度に加熱され、これにより、変換器(たとえば、磁気書き込みポール)によって書き込まれている間にホットスポットにおいて媒体の磁気配向を変化させることができる。
【0013】
HAMR読み取り/書き込みへッドは、スライダといわれる場合があり、現在のハードドライブと同様の磁気読み取りおよび書き込み変換器を含む。たとえば、データは、移動媒体の磁気変動を検知する磁気抵抗センサによって読み取られ得る。データは、書き込みポールに磁気的に結合される書き込みコイルによって磁気媒体に書き込まれ得る。HAMRスライダは、レーザーダイオードなどのエネルギの源とスライダを通じてエネルギを媒体の表面に伝達する光学伝達路とを含み得る。一部の構成において、レーザーダイオードは、スライダに取り付けられる別個に製造される装置であり得る。
【0014】
取り付けの実行時において、光学伝達路における光伝送損失を最小化するために、組み立て時にレーザーダイオードをスライダに対して正確に整列させるのが望ましい。この整列は、とりわけ約500μmの寸法を有し得るレーザーダイオードおよびスライダのサイズが小さいことで困難となり得る。
【0015】
ここで図1を参照すると、斜視図は、例示的な実施形態に係るHAMRスライダアセンブリ100を示す。この例において、レーザーダイオード102は、サブマウント104に取り付けられ、サブマウント104は、スライダ本体108の上部表面106に結合される。この例におけるレーザーダイオード102は、光を負のy方向に放射するエッジ放射レーザーである。サブマウント104は、所望の方向にレーザー出力を配向し、このレーザー出力をスライダ本体108内の光導波路114に直接的に結合させることができる。光導波路114は、スライダ本体108の媒体対向空気ベアリング面110からレーザー出力エネルギが放射されるようにレーザー出力エネルギを導き、スライダアセンブリ100の下方を移動する最も近くの磁気媒体(図示せず)を加熱する。
【0016】
媒体対向面110は、スライダ本体108と記録媒体との間に空気のクッションを維持する空気ベアリング面(ABS)として構成され得る。スライダ本体108の変換器領域112は、磁界を生成する書き込み変換器とレーザーダイオード102からエネルギを受け取ってエネルギを記録媒体に導く光学変換器とを少なくとも含む。光学変換器は、表面プラズモン共鳴によってエネルギを導く近接場変換器(NFT)を含み得る。光導波路114は、スライダ本体108内に集積されてレーザー102から変換器領域112へのエネルギの伝達を容易にする光学部品(たとえば、導波路、鏡、カップラ、デカップラなど)を含む。
【0017】
示されるスライダアセンブリ100において、レーザーダイオード102、サブマウント104、およびスライダ本体108は、当該技術において公知の集積回路/光学系製造技術を使用して別個に形成される。たとえば、部品は、(とりわけ)ウエハ基板上に材料を堆積させ、フォトリソグラフィを使用して形状を作り、化学/機械研磨を行い、ウエハを個別の部品に分割することによって形成され得る。その後、レーザーダイオード102がサブマウント104に接着(たとえば、はんだ付け)され得て、サブマウント104はスライダ本体108に接着され得る。これは、他の順序で行われ得て、たとえば、サブマウント104は、レーザーダイオード102が取り付けられる前にスライダ本体108に接着され得る。いずれの場合においても、レーザーダイオード102の出力を光結合経路114と正確に整列させて光損失を最小化するのが望ましい。
【0018】
以下での説明のために、レーザーダイオード102、サブマウント104、およびスライダ本体106などの光学部品は、ベース部品および/または取付可能部品として参照され得る。一部の実施形態において、ベース部品は取付可能部品よりも大きくなり得るが、必ずしもこれに限られない。概して、たとえばサブマウントなどの取付可能部品の取付表面は、たとえばスライダなどのベース部品の取付表面と整列され得る。取付可能部品の露光面(たとえば、取付表面に対向する表面)は、接着レーザー源から典型的に光ファイバーを介してレーザー光を受け得る。接着レーザー源からの光は、取付可能部品を通ってベース部品の取付表面上の接着機能部に伝わり得る。接着機能部は、はんだパッド、ボンドライン、ボンド層などを含み得る。
【0019】
図2は、例示的な実施形態に係る装置を示すブロック図である。この説明のために、上に記載したサブマウント104(図2において204)は、取付可能部品として構成され、上に記載したスライダ本体108(図2において208)は、ベース部品として構成され得る。スライダ本体208は、たとえばスライダチャッキングツールなどの取付具200によって保持される。同様に、取付具202(たとえば、サブマウントチャッキングツール)は、既に取り付けられたレーザーダイオード222とともにサブマウント204を保持する。取付具200および202は、サブマウント204の取付表面205がスライダ本体208の接着領域206に対向するように配置される。接着領域206は、はんだもしくは接着剤などの接着機能部207を含む。2つ以上の層(図2において機能部214として示される)は、サブマウント204の取付表面205と接着領域206の接着機能部207との間に配置される。一部の実施形態において、SnAgはんだがサブマウント204とスライダ208との間の接着機能部として使用され得る。レーザーダイオード222もSnAgはんだを使用してサブマウント204の側面に対して接着される。サブマウントの側面に対してレーザーダイオードを接着するために使用されるはんだの組成は、 サブマウントをスライダに対して接着させるために使用されるはんだとは異なり得る(たとえば、融解温度が高い)。
【0020】
機能部214は、外部の接着光からのエネルギを吸収する2つ以上の層を含む。たとえば開口数の小さいファイバーレーザーなど、角スペクトルにおいて発散の小さい接着光源は、サブマウント(図3Aおよび図3Bの320Aまたは320Bを参照)を照らし、サブマウント204をスライダ208に接着させるための熱源を提供する。たとえば、このような光ファイバー接着レーザーは、976nmの波長において動作する。この波長において、シリコンサブマウントにおける1/eの強度での光伝播距離は、わずか約259μmである。サブマウント204の長さがレーザーダイオード222の長さよりも大きく、 レーザーダイオードの長さが約350μmよりも大きいことから、976nmの光の大部分がシリコンサブマウントの上部表面において吸収される。ここに記載の方法および装置は、接着光が約1.2μmよりも大きい波長を有し、シリコンがほぼ透明となるように構成され得る。たとえば、1.1μmの波長において、光のわずか12%が400μmの長さを有するシリコンサブマウントによって吸収される。
【0021】
図3Aおよび図3Bは、サブマウントの取付表面と接着機能部との間に配置される2つ以上の層を有するサブマウントの2つの実施形態を示す側面ブロック図である。図3Aは、サブマウント340Aを含むブロック図である。実施形態のサブマウントは、接着レーザー光が約1.2μmよりも大きい波長を有する場合に接着レーザー(図示せず)から発せられる電磁エネルギ320Aに対して透過性を有するシリコンを含む。サブマウント340Aは、取付表面344Aに配置された光吸収層310Aを有する。白金またはチタンなどの粘着向上層316は、図3Aに示されるように、取付表面344Aとは反対側の光吸収層310Aに配置される。
【0022】
金属反射層318は、粘着向上層316に配置され、金などの良好な熱伝導体から形成され得る。金属反射層318は、光ファイバーレーザー光320Aを反射して光吸収層310Aに戻し、エネルギの大部分を光吸収層310A内に向かわせ、サブマウント340Aをスライダ(図示せず)に対して接着させるための光吸収を向上させる。サブマウント340Aがスライダ(図3Aには示されず、図2に示される)に接着されると、スライダ本体の接着領域に配置されたはんだに金属反射層318が接着される。はんだ付近に局所的な熱源(層310A)を伴い、接着のための全サーマルマスが減少し、はんだを固化させるための時間が短くなり、接着時におけるサブマウントとスライダとの間の相対移動の可能性が低下する。接着時におけるサブマウントとスライダとの間の相対移動により、サブマウントに取り付けられたレーザーダイオードとスライダにおける導波路との整列に問題が起こり得て、レーザー・オン・スライダ装置の性能に影響が及び得る。
【0023】
一部の実施形態において、サブマウント340Aおよび/または340Bの上部表面は、サブマウントがシリコンからなる場合に反射防止コーティング(図示せず)を含み得る。シリコンは、光が空気中から入射した場合に1.2μmの光の約30%を反射する。単一層反射防止コーティングについて、層の屈折率は、厚さが波長の4分の1である場合にサブマウントの屈折率の平方根となる。反射防止コーティングに有用な材料としては、シリコンサブマウントのためのイットリウム酸化物およびタンタル酸化物が含まれる。
【0024】
接着時において、サブマウントおよび/またはコーティングにおける光吸収によって発生する熱は、スライダの空気ベアリング面に分散し、接着のためのはんだを溶かし得る。光が吸収されずにサブマウントを通って伝播し得る場合、この高吸収層(たとえば、熱吸収層310Aまたは310B)によって作られた熱は、接着層(図3Aまたは図3Bには示されず、図2において207として示される)に局在し得る。高吸収層310Aおよび310Bは、熱伝導性の乏しい層であり得て、図3Aおよび図3Bにおいてサブマウント340Aもしくは340Bと上部の損失性金属310との間に位置し得る。一部の実施形態において、高吸収層は、図3Aおよび図3Bに示されるように、反射層318の上部ではなく、反射層318の下方であって接着層の上方に位置付けられ得る。以下に示されるようなサブマウントの取付表面と接着機能部との間に配置される2つ以上の層を含む提供される高吸収層を使用することにより、サブマウントおよび/またはスライダにおける光吸収の維持が補助され得て、はんだの加熱がより効率的となる。サブマウントおよびスライダの大きなサーマルマスによってサブマウントまたはスライダが熱されると、サブマウントおよびスライダのずれを引き起こし得る接着層の急速な固化が防止され得る。
【0025】
一実施形態において、熱吸収層は、低いサーマルマスを有し得て、サブマウントに取り付けられたレーザーダイオードの動作時には良好な伝熱を行うことができ、接着層の再固化時にはサブマウントが熱くならないように維持できる。他の実施形態において、温度の関数としての熱伝導率を有する材料が熱吸収層として使用され得る。材料の熱伝導率は、温度の上昇に伴って上昇または低下し得る。たとえば、HAMR装置の使用時における装置の通常の動作温度が100°Cであり、はんだ再固化温度が300°Cである場合、熱伝導率を100°Cと300°Cとの間で大きく低下させる材料が利用され得る。このような材料は、金、アルミニウム、白金、タングステン、または銅などの金属であり得るが、これらに限定されるものではない。
【0026】
図3Aに示される実施形態において、光吸収層310Aは、少なくとも1つの半導体と1つの損失性材料とを含む複合体である。半導体は、1.2μmの波長において高い屈折率(ゲルマニウムでn=4.34)と低い吸収係数(ゲルマニウムでk=0.087)を有する場合が多い。チタンなどの損失性材料は、1.2μmにおいて高い屈折率(チタンでn=3.62)と同じく高い吸収係数(k=3.5)を有する。光吸収層310Aは、ゲルマニウムとチタンとの複合体であるが、少なくとも1つの半導体と高い誘電率を有する1つの損失性材料とを任意で混合した複合体であり得る。有用な半導体の例には、Si、Ga系合金(GaAs、GaAsSb)、Ge系合金(Ge、GeSi)、およびIn系合金(InP、InGaAs、およびInSb)が含まれる。他の有用な損失性材料の例には、W、Ta、Ti、Pt、Ru、Zr、Cr、Rh、およびMoが含まれる。
【0027】
図3Bは、サブマウント340Bを含むブロック図である。実施形態のサブマウントは、接着レーザー光の波長が1.2μmよりも大きい場合に接着レーザー(図示せず)に取り付けられる光ファイバーから発せられる電磁エネルギ320Bに対して透過性を有するシリコンを含む。光ファイバーレーザーは、約1.20μmから約1.55μmの波長を放射し得る。サブマウント340Bは、取付表面344Bに配置された光吸収層310Bを有する。白金またはチタンなどの粘着向上層316は、図3Bに示されるように光吸収層310Bにおいて取付表面344Bとは反対側に配置される。
【0028】
金属反射層318は、粘着向上層316に配置され、金などの良好な熱伝導体から形成され得る。金属反射層318は、レーザー接着光320Bからのエネルギを反射して光吸収層310Bに戻し、エネルギの大部分を光吸収層310Bに向け、これによってサブマウント340Bをスライダ(図示せず)に対して接着するための光吸収が向上する。サブマウント340Bがスライダ(図3Bに示されず、図2に示される)に接着されると、金属反射層318は、スライダ本体の接着領域に配置されるはんだに接着される。はんだ付近に局在する熱源(層310B)により、接着のための全サーマルマスは減少し、はんだを固化させるための時間が短くなり、これによって接着時におけるサブマウントとスライダとの間の相対移動の可能性が低下する。粘着向上層316(白金またはチタンなど)と金属反射層318(たとえば、金などの貴金属)との組み合わせにより、エネルギがレーザー接着から光吸収層に反射され得る。接着時におけるサブマウントとスライダとの相対移動により、サブマウントに取り付けられたレーザーダイオードとスライダにおける導波路との間の整列に問題が起こり得て、これによってレーザー・オン・スライダ装置の性能に影響が及び得る。
【0029】
図3Bに示された実施形態において、光吸収層310Bは、チタン312などの損失性材料からなる2つの層とこれを囲むゲルマニウム314などの半導体材料の層とを含む三層である。一実施形態において、光吸収層310Bは、図3Bに示されるように、15nmのチタン層と、47nmのゲルマニウム層と、15nmのチタン層とを含む三層構造であり、層316および318によって支持される。ゲルマニウムのモル分数が0.61である場合、有効な誘電率は3.7+i1.4である。解析計算により得られる反射率は、わずか0.00012である。ゲルマニウムがシリコンによって置き換えられた場合、シリコン層の厚さが65nmであるときの反射率も非常に低い(0.00695)。
【0030】
粘着向上層316および金属反射層318は、それぞれ白金(またはチタン)および金から形成され得る。貴金属は、金属反射層としても作用し得る。金は約1.2μmの波長において反射が高く、その波長において大きなエネルギは吸収しない。この波長において高い吸収を得るには、光吸収層層301Aまたは層310Bをシリコンサブマウント材料340Aまたは340Bのインピーダンスにほぼ合致させる必要がある。白金および金の層からの高い反射は、厚さおよび屈折率が適切に選択された場合に光吸収層における吸収を向上させる。
【0031】
図3Aおよび図3Bに示される光吸収層310Aおよび/もしくは310B、粘着向上層316、ならびに/または金属反射層318は、サブマウント340Aおよび340Bと統合され得る。他の実施形態において、これらの層の一部または全ては、合わせ部品の表面、たとえばサブマウント340A,340Bに接触するスライダ表面に代わりに設けられ得る。
【0032】
図4Aおよび図4Bは、それぞれ50nm(λ/24)および100nm(λ/12)の厚さを有する提供されるサブマウントの取付表面上の提供される層の実施形態における屈折率および吸収係数の関数としての反射率をモデル化したグラフ図である。モデルでは、1.2μmの波長の光、200nmの白金、および50nmの金が使用され、白金については4.1+i6.5、金については0.35+i8.472、およびシリコンについては3.5193の複素屈折率が使用された。図4Aおよび図4Bは、これらのパラメータを用いてモデル化された反射率を示す。両方の厚さにおいて、完全な吸収のための最適吸収係数は約1.2であり、光屈折率は層厚さに応じており、λ/24については約5であり(図4A)、λ/12については3.6である(図4B)。
【0033】
提供される光吸収層は、光ファイバーレーザーからの光の入射角および波長の両方に対する許容量を有し得る。図5は、チタンからなる2つの15nm層とその間に挟まれたゲルマニウムからなる47nmの層とを有する三層を光吸収層が含む図3Bに示される構造を用いた場合における1.2μmの光波長での入射角の関数としての反射率をモデル化したグラフ図である。図5は、接着レーザー光の偏光に応じて、直交から35度以上の入射角までは三層における接着レーザー光の反射率が低いことを示す。図6は、図3Bの三層構造を使用した場合における2つの入射角での光波長の関数としての反射率をモデル化したグラフ図である。図6は、入射角に応じて約1.10μmから1.30μmより大きい波長の大きな範囲、またはこれより高い範囲にわたって反射率の変化が非常に小さい(反射率の縮尺は大きく拡大されている)ことを示す。
【0034】
他の実施形態において、取付表面と接着機能部との間に配置された2つ以上の層は、回折格子と少なくとも1つのプラズモン金属とを含み得る。ほぼ完全な吸収は、正誘電性を有する無損失性もしくは損失性の誘電体と負誘電性を有する金属層との間の接触部分において伝播する表面プラズモンを使用して得られる。表面プラズモンと光線との間のモーメントの不整合により、回折格子(一次元または二次元)がサブマウントの取付表面またはプラズモン金属コーティングにおいて作られ、表面プラズモンが励起される。図7Aから図7Cは、一部の可能な構成を示す。
【0035】
図7Aは、サブマウント740を示す。構造化されたサブマウント740は、示されるようにその取付表面に配置された一次元の回折格子750を有する。プラズモン金属層760は、構造化されたサブマウント740に配置され、サブマウント本体の材料(たとえば、シリコン)とプラズモン層760との間の接触部分が格子750を形成する。プラズモン金属層760は、α相タンタルおよび貴金属(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、インジウム、金、または白金など)を含み得る。回折格子750の深さが十分に小さい場合、格子は、入射角に対して、および入射光720の波長に対して、鋭い共振を有する。局所的な表面プラズモンを使用した深い格子は、これらの感度を低下させ得る。浅い格子および深い格子の両方は、一次元である場合、偏光に依存するものとなり、TE偏光の入射ビームのみが良好な吸収をもたらす。「交差格子」と呼ばれる二次元の格子は、偏光依存性をより小さくし得る。シリコン/金属接触部分において表面プラズモンを励起する格子間隔は、二次元格子を有するサブ波長となるが、二次元格子の製造には費用がかかる。
【0036】
図8Aおよび図8Bは、深い格子の一設計のための入射角および波長の関数としての図7Aに示される実施形態の反射率を示すグラフ図である。この例において(図7A)、シリコン表面は300nmの一次元間隔でパターン形成され、タンタル歯幅が100nmであって幅が200nmであるα相タンタル層でコーティングされる。図8Aおよび図8Bにおいて予測されて示されるように、反射率は偏光に依存する。
【0037】
図7Bおよび図7Cに示される実施形態は、金属・誘電体・金属の三層構造を有する。図7Bに示される実施形態について、入射光720はサブマウント740の本体を通り、回折格子750に当たる。プラズモン金属層760は、構造化されたサブマウント740に配置される。プラズモン金属層760は、高吸収性三層構造の一部を形成する1つの金属としても機能する。光吸収三層は、プラズモン金属層760と、誘電体層770(無損失性または損失性)と、任意の反射金属層780(たとえば、白金、金、またはこれらの組み合わせ)とを含む。図7Cに示される実施形態は、取付表面に配置される格子750を有するサブマウント740を含む。格子750の歯は、示されるようにプラズモン金属層760からなる。サブマウント本体の材料(たとえば、シリコン)と、プラズモン金属層760と、誘電体層(無損失性または損失性)との間の接触部分は、格子750を形成する。選択的な金属反射層780により構造が完成する。
【0038】
他の局面において、レーザーダイオードサブマウントをスライダに取り付ける方法は、取付表面と取付表面の反対側の上部表面とを有するサブマウントを含む装置を提供することを伴う。スライダは、サブマウントの取付表面と接触する接着機能部を有し、2つ以上の層がサブマウントの取付表面と接着機能部との間に配置される。層は、接着機能部の近くにおける光の吸収を向上させるように構成され、この光はサブマウントの上部表面を照らすファイバー光源から生じる。サブマウントは、レーザーダイオードをさらに含み得て、スライダは光導波路をさらに含み得る。方法はさらに、サブマウント上のレーザーダイオードから発せられる光がスライダにおける導波路に対して光学的に結合されるようにサブマウントとスライダとを位置決めすることと、光ファイバーレーザーからの電磁放射をサブマウントの上部表面を通じてスライダの接着機能部の近くで光の吸収を向上させるように構成される2つ以上の層に導くことと、2つ以上の層のうち少なくとも1つをスライダの接着機能部に接着することを伴う。
【0039】
図9は、取付可能な部品をベース部品に接着するための方法の実施形態を示すブロック図である。図面を明瞭化する便宜上、取付表面905またはサブマウント904は、接着領域906から離して示される。サブマウント904は、一方側に取り付けられたレーザーダイオード922を有する。サブマウント904およびスライダ908は、矢印で示すようにレーザーダイオード922から発せられる光がスライダ908における導波路903に対して光学的に結合するように位置決めされる。光ファイバーレーザー910は、スライダ908の接着機能部907の近くにおいて光の吸収を向上させるように構成された2つ以上の層914にサブマウント904の上部表面を通じて電磁放射(矢印912)が導かれるように位置決めされる。光ファイバーレーザー910の芯910aから発せられる光912は、組み立ての直前に接着領域906と整合しながらも接触はしていない取付表面905に対してサブマウント904が位置決めされるように整列される。この例において、スライダ本体908を保持する取付具900は、最終的な組み立てのために決まった場所に移動する。この位置決めの後、サブマウント904は、熱を加えてその後に熱を取り除くことにより、スライダ本体908に接着される。たとえば、接着機能部907(接着領域または取付表面905に位置し得る)は、所定の温度まで加熱してその後に冷却した場合にサブマウント904をスライダ本体908に対して接着するはんだパッド、ボンドライン、接着層などのうちの1つ以上を含み得る。
【0040】
サブマウント904とスライダ本体908(または任意の同様の光学部品)との間の光学的な整列を維持する場合の課題の一つとして、接着機能部907が固化した時に囲っている材料の熱膨張を制御することが挙げられる。ツーリングアセンブリに対して(たとえば、オーブンにおいて)熱が加えられる場合、取付具部品909および902ならびに他のツーリング部品に熱膨張が起こり得る。外部から加えられた熱が接着領域906の付近で局在化した場合であっても、(たとえば、反射、放射伝熱などによる)十分な漂遊エネルギによってツーリングの膨張が引き起こされ得る。ツーリングの熱膨張は、スライダ本体908とサブマウント904との相対位置を動かし、たとえば、スライダ本体908の光学的な経路(導波路903)に対するレーザーダイオード922の出力の整列など、2つの部品の最適な光学的な整列を低下させる。
【0041】
ツーリングの熱膨張を減少させるために、示される配置は、サブマウント904の露光面914に直交して位置決めされた少なくとも1つの断裂光ファイバー910を使用し、露光面は、取付表面905に対向する。光ファイバー910の断裂面とサブマウント904との間隙は、最適な結合効率を実現するクリアランス値に設定される。光ファイバー910は、芯910aと外装材910bとを含む。一施行例において、芯910aは100μmの直径を有し、外装材910bは125μmの厚さを有する。芯910aの直径は、サブマウント904の露光面914を超えて延在しないように選択される。芯910aの直径は、サブマウント904の露光面914の外寸よりもかなり小さくなり得る(たとえば、半分より小さい)。サブマウント904および/またはスライダ908の様々な特徴は、2つ以上の層914に伝達される光を均質にし、これによって、小さい直径の芯210aからエネルギが発せられた場合においても熱の分布が均一となる。
【0042】
図10は、例示的な実施形態に係る方法を示すフロー図である。方法は、サブマウントと、接着機能部を有するスライダと、サブマウントの取付表面と接着機能部との間に配置される2つ以上の層とを含む装置を提供することを伴う(1002)。サブマウントは、レーザーダイオードを含み得て、スライダは、光導波路を含み得る。方法はさらに、サブマウント上のレーザーダイオードから発せられる光が光導波路に対して光学的に結合するようにサブマウントとスライダとを位置決めすることを伴う(1004)。そして、電磁放射は、光ファイバーレーザーから、サブマウントの上部表面を通じて、スライダの接着機能部の近くにおいて光の吸収を向上させるように構成された1つ以上の層に導かれる(1006)。最後に、2つ以上の層のうち少なくとも1つがスライダの結合機能部に接着される(1008)。
【0043】
具体的な実施形態がここに例示および記載されたが、本開示の範囲を逸脱することなくここに例示および記載される特定の実施形態からさまざまな代替的および/または同等の施行例に置き換えられることが当業者によって理解される。本件出願は、ここに説明された特定の実施形態を任意で適応または変化させることを包含することを意図している。このため、本開示は請求項およびその均等物のみによって限定されることを意図している。
【符号の説明】
【0044】
100 HAMRスライダアセンブリ、102 レーザーダイオード、104 サブマウント、106 上部表面、108 スライダ本体、110 媒体対向面、112 変換器領域、114 光導波路。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9
図10