(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
(背景)
多くの医療環境において、医療用流体は、診断または治療の間に、患者の中に注射される。一例は、動力を備えた自動インジェクタを使用して、CT、血管造影、磁気共鳴または超音波イメージングを向上させるため、患者の中に造影剤を注射することである。
【0003】
これらの、および同様な適用に対して適切なインジェクタは通常、比較的大きな容量の注射器を使用しなければならず、かつ比較的大きな流量および注射圧を生み出さなくてはならない。この理由で、そのような適用に対するインジェクタは通常、動力化され、大きな、高容量のインジェクタモータおよび駆動トレインを含む。使用の容易さのために、モータおよび駆動トレインは通常、注射ヘッド内に収納され、注射ヘッドは、床、壁、または天井に取り付けられたアームによって支持されている。
【0004】
注射ヘッドは通常、旋回可能な態様でアームに取り付けられ、その結果ヘッドは、流体で注射器を充填するために、上向きに傾けられ得(注射器の先端が注射器の残りの部分の上にある状態で)、注射のために下向きに傾けられ得る(注射器の先端が注射器の残りの部分の下にある状態で)。この様態でヘッドを傾けることは、充填の間に注射器から空気を除去することを容易にし、注射のプロセスの間に、被検体の中に空気が注射される可能性を減らす。それでもやはり、患者の中に空気を注射する可能性は、重大な安全についての懸念として残る。
【0005】
上に論じられた注射ヘッドに加えて、多くのインジェクタが、インジェクタを制御するための別個のコンソールを含む。コンソールは通常は、インジェクタの自動的なプログラムされた制御のために使用され得るプログラム可能な回路網を含み、その結果インジェクタの動作は予測可能となり得、かつスキャナまたはイメージング機器のような他の機器の動作と可能性として同期させられ得る。
【0006】
従って、注射プロセスの少なくとも一部分は通常、自動的に制御される。しかし、充填手順、および通常、注射手順の幾らかの部分は普通、オペレータがインジェクタヘッドを手動操作で動きを制御して実行される。通常、手動制御は、注射器をそれぞれ充填し、空にするために、インジェクタ駆動ラムの逆向きの動きおよび前方への動きのためのボタンを含む。一部の場合において、ボタンの組み合わせは、ラムの動きを開始させるために、またはラムの運動速度を制御するために使用される。インジェクタヘッドは通常、オペレータに注射パラメータ、例えばインジェクタヘッドを制御するときオペレータが使用するための注射器流体量の残りを示すためのゲージまたはディスプレイも含む。あいにくと、オペレータは、手動ボタンを使用すること、およびインジェクタヘッドゲージおよびディスプレイを読むことは、幾つかの理由で厄介であると感じているが、中でも特に、充填位置である上向きと注射位置である下向きとの間でインジェクタヘッドが必然的に傾き、オペレータに対して手動ボタンの位置が変わること、および一部の傾斜角度では、ゲージまたはディスプレイが読みにくくなることなどが挙げられる。
【0007】
多くの適用において、複数の様々な注射器サイズを有するインジェクタを使用することが望ましい。例えば、小児科用には、大人用よりも小さな注射器を使用することが望ましく、または特定の処置が流体のより小さな量を必要とする場合、より小さな注射器を使用することが望ましいことがあり得る。様々な注射器サイズの使用を容易にするために、インジェクタは、取外し可能なフェースプレートで構成され、そこでは様々なフェースプレートの各々は、特定の注射器サイズに対して構成される。通常、インジェクタは、例えばフェースプレートにおける磁石の存在または不在を検出するために、インジェクタ筐体の正面に取り付けられた磁気検出器を使用して、どのフェースプレートがインジェクタに取り付けられているかを検出することによって、注射パレメータを調節することができる。あいにくと、磁気検出器をインジェクタヘッドの外側筐体の中に取り入れる必要性は、複雑さおよびインジェクタヘッドを製造する費用を増加させる。
【0008】
最近、パワーインジェクタにおける1つの発展は、2ヘッドインジェクタ、つまり2つの注射器に対する2つの駆動システムおよび取り付けを有するインジェクタの導入である。該インジェクタに対するソフトウエアは、格納されたシーケンスに応答して手動制御とプログラムされた注射ルーチンの両方を使用して、これらの駆動システムの独立した制御を提供する。そのような2ヘッドのインジェクタは、注射器または他の機器を変えることなく、シーケンス間に、複数の流体が注射されることを可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
単一ヘッドであれ2ヘッドであれ、今のパワーインジェクタシステムの利益に関わりなく、この分野における改良および進歩が、望ましい目標であり続け、そして、そのような機器がより使い易くなり、機能性が増し、かつ動作においてより信頼性がありかつ効率的となるようにする。
【0010】
(概要)
従って、本発明の実施形態は、患者または動物に造影剤および他の流体を注射するために使用されるパワーインジェクタを改良することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一局面は、ディスプレイ、例えば様々な周囲の光の状態を調節するインジェクタシステムのコンソールまたはパワーヘッドに関する。例えば、LCDスクリーンおよびLED光のようなディスプレイ要素は、それらの相対的な輝度が周囲の光の状態に依存するように制御され得る。オペレータオーバーライド機能性も、提供され得る。
【0012】
本発明の別の局面は、造影剤インジェクタシステムのパワーヘッドに対するタッチスクリーンインターフェースに関する。タッチスクリーンディスプレイは、ソフトウエアから駆動され得、その結果それは構成可能であり、配線されたスイッチ、LEDインジケータまたは7セグメントディスプレイに依存しない。従ってパワーヘッドは、コンソールディスプレイと同じ機能性を提供し、それによって、必要である場合はコンソールをなくする。パワーヘッドにおいて利用可能なより多くのデータおよびより多くの制御に加えて、ヘルプインストラクションおよび他のコンテクストアシスタンスが、提供されてオペレータが機器を運転することを助け得る。
【0013】
本発明のさらに別の局面は、注射器と流体の両方についての情報を同時に表示する、2ヘッドインジェクタシステムに対するディスプレイに関する。パワーヘッドのディスプレイは色分けされ、それによって1つの注射器に関する情報は、他の注射器に関する情報から視覚的に区別がつく。紫ディスプレイは造影剤を指し、黄色は食塩水を指し、そして黒は空気を指すように、さらなる使い易い従来のカラー連想が使用され得る。
【0014】
別の局面に従って、多くの格納されたプロトコルを管理するためのフォルダ−タブ類似性の使用により、さらなる使い易い特徴が、格納されたプロトコル情報のディスプレイに含まれる。
【0015】
本発明のさらなる局面は、リモート制御パワーヘッドに関する。従来のパワーヘッド駆動メカニズムおよび注射器は、リモートデバイスからの制御信号を受信するための受信機を含むように改良される。制御信号に応答して、パワーヘッドは、適切に注射器ラムを動作させる。
【0016】
本発明のさらなる一局面は、流体経路が実質的に患者に近づくまで分離したままである配管を利用する2ヘッドのインジェクタに関する。このタイプのV配管を利用することによって、流体送達構成要素の弾性は容易に調節され得、所望の流体の患者への投与における遅延時間が低減される。
【0017】
本発明のもう1つの局面は、2ヘッドのインジェクタシステムを使用して、開通性チェックを実行することに関する。本発明のこの局面により、溢出が生じないことを確かめるために、次に来る媒体注射とほぼ同じ流量および流体量で、食塩水注射が可能とされ、格納された注射のプロトコルの実行に先立って実行される。この方法は、選択されたプロトコルについての流量および他の情報を抽出し、かつそれらのパラメータに基づいて食塩水開通性注射を制御するソフトウエアで実装され得る。
【0018】
本発明の関連する局面は、試験注射特徴に関連する。この局面により、ユーザが、流量の妥当性を決定すること、および注射された流体が患者の関心のエリアに到達する遅延時間のような、注射と関連するタイミングを決定することも可能にするために、格納された注射のプロトコルと同じ流体および初期の流量を最初に使用して、試験注射が実行される。
【0019】
試験注射と開通性チェックの両方が、インジェクタの通常のプログラミングからそれらを区別する共通の特性を有することが理解される。詳細には、両方は、患者に投与されるための格納された注射プロトコルとは別個に動作可能とされ、両方は、格納された注射プロトコルとは別である。すなわち、それらは、オペレータの裁量ではなく、選択的に実施され得る。従って、オペレータは、開通性チェックまたは試験注射を実行する必要はなく、格納された注射プロトコルを変えることなくそのようにするための容易なオプションを有する。開通性チェックおよび試験注射はこのように機能的にかつ操作的に格納されたプロトコルとは別であるが、それらは、それでもプログラムによって制御された注射であり、後に格納された注射プロトコルから導き出され得るパラメータを使用する。例えば、流量または流体の使用が、計画された注射に習ってモデル化される。試験注射および開通性チェックは、プログラムによって制御された注射であるので、それらは、人の関与の余地および人による誤りの可能性なく、関連する局面において、格納された注射プロトコルを正確に模倣し得る。さらに、それらは、プログラムによって制御されるので、開通性チェックまたは試験注射の流体必要量を計算することが可能であり、この流体必要量は、計画されるその後の注射と組み合わされ、十分な注射可能な流体が利用可能であるようにし、従って、インジェクタを再充填することで時間を失うこと(それが密封された後、スキャニングルームに再入室することを含み得る)がないようにする。開通性チェックまたは試験注射が手動で実行される場合は、このような時間の損失が起こり得る。最後に、2ヘッドのインジェクタ、試験注射または開通性チェックの関連において、それはプログラムによって制御されているので、インジェクタ配管を、適切な初期状態、例えばオペレータまたは医者がイメージング手順に対して好む通りに、配管が、食塩水もしくは造影剤、または混合物で満たされた状態に自動的に戻すための機能性を含み得る。
【0020】
本発明の別の局面は、スクリーンが、インジェクタの表面と同一面に位置決めされるか、またはインジェクタの表面よりさらに広範囲の位置へ動かされるかすることを可能にする、インジェクタ上でのディスプレイスクリーンの取り付けに関する。記述された実施形態において、取り付けは、スクリーンが、インジェクタ面からスイベル(swivel)で回転させられて遠ざけられ、その軸の周りで旋回させられることを可能にし、それによって多くの可能なインジェクタおよびオペレータ位置に対してスクリーンの可視性を容易にする、ダブルスイベルを提供する。
【0021】
本発明の関連する局面は、ディスプレイの内容を自動的に適切な向きに方向付け、かつ/または注射シーケンスにおける今のステップに基づいてその内容の大きさを決め直すための、パワーヘッドのプログラミングを含む。この局面は、ディスプレイの向きに関連するセンサとも組み合わせられ得る。例えば、センサが上に述べられた取り付けに含まれる場合、表示は、インジェクタからのディスプレイの傾きに応答して、自動的に向きが直される。さらに、地球重力センサが、インジェクタに含まれる場合、ディスプレイは、重力に対するインジェクタの傾きに応答して、例えば充填のためには上向きに、注射のためには下向きに、自動的に向きが直される。
【0022】
本発明のさらなる局面は、第1および第2の注射器からの注射のためのインジェクタパワーヘッドに関し、第1および第2の注射器は、2つの異なるタイプの流体を含み得、インジェクタは、オペレータが、第1または第2の注射器に含まれた流体のタイプを識別することを可能にし、このようにしてオペレータが、オペレータの裁量で、両方のタイプの流体に対して、両方の注射器位置を使用することを可能にする。
【0023】
本発明の原理は、CT、血管造影、磁気共鳴もしくは超音波イメージング、または動力を備えた自動インジェクタを使用する流体の注射を含む任意の他の適用を向上させるための、患者の中への造影剤の注射に適用可能である。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
造影剤インジェクタシステムであって、
流体容器を介する流体の送達を制御するように構成されたパワーヘッドであって、該パワーヘッドは、取り付いている流体容器、および該流体容器で流体注射を実行するための動力駆動を備え、該パワーヘッドの活動をモニタするためのセンサを含む、パワーヘッドと、
該インジェクタシステムに組み込まれ、ユーザが必要とされる操作のシーケンスを該パワーヘッドで実行したかどうかを決定するために、該ユーザによる該パワーヘッドの活動をモニタするコントローラと、
該インジェクタシステムに組み込まれ、ユーザへ対話型のユーザインターフェースを提供するように構成されたディスプレイであって、該ディスプレイは、ユーザによる該必要とされる操作のシーケンスの首尾よい完了についてのフィードバックを提供する、ディスプレイと
を備えている、システム。
(項目2)
前記ディスプレイは、前記必要とされる操作のシーケンスが首尾よく完了した際に、その概観を変化させるイネーブルディスプレイエリアを含む、項目1に記載の造影剤インジェクタ。
(項目3)
前記イネーブルディスプレイエリアは、前記必要とされる操作のシーケンスが首尾よく完了した際に、色を変化させる、項目2に記載の造影剤インジェクタ。
(項目4)
前記ディスプレイは、前記パワーヘッド内に組み込まれている、項目1〜項目3のうちのいずれか一項に記載の造影剤インジェクタ。
(項目5)
前記コントローラは、前記パワーヘッドに組み込まれている、項目1〜項目4のうちのいずれか一項に記載の造影剤インジェクタ。
(項目6)
前記コントローラは、前記パワーヘッドの外側でインジェクタの一部分に組み込まれている、項目1〜項目4のうちのいずれか一項に記載の造影剤インジェクタ。
(項目7)
前記ディスプレイは、前記必要とされるシーケンスが首尾よく完了しなかった際に、該ユーザによって省略された該必要とされるシーケンス中のステップを示す、項目1〜項目6うちのいずれか一項に記載の造影剤インジェクタ。
(項目8)
前記必要とされるシーケンスは、
前記インジェクタを傾けること、
インジェクタラムを動かすことと、
注射器を満たすことを示すことと、
注射器からの空気の追い出しを示すことと、
注射器の取替えを示すことと
のうちの1つ以上を包含する、項目1〜項目7のうちのいずれか一項に記載の造影剤インジェクタ。
(項目9)
造影剤インジェクタシステムを制御するための方法であって、
流体容器を介する流体の送達を制御するように構成されたパワーヘッドを提供することであって、該パワーヘッドは、取り付いている流体容器、および該流体容器で流体注射を実行するための動力駆動を備え、該パワーヘッドの活動をモニタするためのセンサを含む、ことと、
該インジェクタシステムに組み込まれ、ユーザが必要とされる操作のシーケンスを該パワーヘッドで実行したかどうかを決定するために、該ユーザによる該パワーヘッドの活動をモニタするコントローラを提供することと、
該インジェクタシステムの中に組み込まれたディスプレイに、ユーザへの対話型のユーザインターフェースを生成することであって、該生成することは、ユーザによる必要とされる操作のシーケンスの首尾よい完了についてのフィードバックを提供することを含む、ことと
を包含する、方法。
(項目10)
前記必要とされる一連の操作が首尾よく完了した際に、前記ディスプレイのイネーブルディスプレイエリアの概観を変化させることをさらに包含する、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記必要とされる操作のシーケンスが首尾よく完了した際に、前記イネーブルディスプレイエリアの色を変化させることをさらに包含する、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記ディスプレイは、前記パワーヘッド内に組み込まれている、項目9〜項目11のうちのいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
前記コントローラは、前記パワーヘッドに組み込まれている、項目9〜項目12のうちのいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
前記コントローラは、前記パワーヘッドの外側の前記インジェクタの一部分に組み込まれている、項目9〜項目12のうちのいずれか一項に記載の方法。
(項目15)
前記必要とされるシーケンスが首尾よく完了しなかった際に、該ユーザによって省略された該必要とされるシーケンス中のステップを、ディスプレイに示すことをさらに包含する、項目9〜項目14のうちのいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
前記必要とされるシーケンスは、
前記インジェクタを傾けることと、
インジェクタラムを動かすことと、
注射器を満たすことを示すことと、
注射器からの空気の追い出しを示すことと、
注射器の取替えを示すことと
のうちの1つ以上を包含する、項目9〜項目15のうちのいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(詳細な説明)
図1Aを参照して、本発明によるインジェクタ20は、様々な機能的構成要素、例えばパワーヘッド22、コンソール24およびパワーパック26を含む。注射器36aおよび36bは、パワーヘッド22のフェースプレート28aおよび28bにおいてインジェクタ20に取り付けられ、様々なインジェクタ制御が、例えばCT、血管造影法または他の処置のための造影剤で注射器を満たすために使用され、それらの媒体は、オペレータまたは予めプログラムされた制御の下で調査される被検体の中に注射される。
【0026】
インジェクタパワーヘッド22は、注射器36aおよび36bと係合する内部の駆動モータの動きを制御する際に使用される手で操作されるノブ29aおよび29b、ならびにインジェクタの今の状態および動作パラメータをオペレータに表示するためのディスプレイ30を含む。コンソール24は、タッチスクリーンディスプレイ32を含み、該ディスプレイ32は、インジェクタ20の動作を離れた場所から制御するためにオペレータによって使用され得、かつインジェクタ20による自動注射のためのプログラムを特定して格納するためにも使用され得、該プログラムは、オペレータによって開始されると、インジェクタによって自動的に後で実行され得る。
【0027】
パワーヘッド22およびコンソール24は、ケーブル(図示されず)によってパワーパック26に接続される。パワーパック26は、インジェクタのための電源、コンソール24とパワーヘッド22との間の通信のためのインターフェース回路網、およびリモートユニット(例えばインジェクタ20の動作が画像化システムのx線露出と同期されることを可能にするリモートコンソール、手または足で制御するリモートスイッチ、または他の取引相手先商標製品製造業者(OEM)のリモート制御接続)へのインジェクタ20の接続を可能にするさらなる管路網を含む。
【0028】
パワーヘッド22は、車付きスタンド35に取り付けられ、車付きスタンド35は、被検体の近くにパワーヘッド22の位置を容易に決めるためにパワーヘッド22を支持する支持アームを含む。コンソール24およびパワーパック26は、検査室のテーブルに置かれるか、または電子機器ラックに取り付けられ得る。しかし、例えばパワーヘッド22は、天井、床または壁に取り付けられたアームによって支持され得るなど、他の設置も考えられている。
【0029】
図1Bを参照して、パワーヘッド22の詳細が見られ得る。
図1Bにおいて、特定の内容が、タッチスクリーンディスプレイ30に見られ得、該ディスプレイ30は、2つの注射器およびそれらの状態、ならびにこれら2つの注射器と共に使用される注射ステップのプロトコルを例示する。
【0030】
本明細書に論じられるパワーヘッド22は、2ヘッドのインジェクタであるが、本発明の実施形態は、単一ヘッドのインジェクタもはっきりと想定した。
【0031】
図2を参照して、光センサ262は、インジェクタパワーヘッド筐体30内の内部の回路ボードのうちの1つに含まれ、それが周囲の光のレベルを検出することを可能にするウインドウ263または他の開口部の近くに位置する。そのような光センサ262は通常、検出された光のレベルを電圧または電流信号に変換するアナログデバイスである。アナログデジタル変換機(ADC)を介して変換された後、この信号は、マイクロプロセッサによって使用され、ディスプレイの輝度レベルを上げるか、または下げ得る。検出された光のレベルをディスプレイ輝度設定と相互に関係させるための制御アルゴリズムは、様々な方法に従って選択され得る。例えば、輝度および検出された光のレベルは、線形に相互に関係し得る。しかし、光センサ262が、非線形の検出曲線を有する場合、輝度レベルを変化させるために、適切な相互関係式が使用され得る。さらに、輝度の変化は、限定された数の予め定義されたステップで起こるか、またはほぼ連続するスペクトルの輝度設定に範囲が及ぶ。従って、周囲の光の状態に基づいて、本発明の範囲内で、パワーインジェクタのディスプレイの輝度を調節する、機能的に均等な様々な方法があることを当業者は認識する。
【0032】
輝度を調節する方法は、ディスプレイのタイプで変化する。例えば、パワーヘッドのLED270の輝度は、LEDを駆動する信号のデューティサイクルを調節することによって調節され得る。一方、LCD駆動回路268は、その輝度設定を制御するために、パルス幅変調信号、またはDC電圧レベルを使用し得る。従って、強度制御回路264、266は、制御されるディスプレイのタイプ(例えば268、270)次第で異なり得る。
【0033】
パワーヘッド30またはコンソール32いずれかのディスプレイを制御するための例示的なアルゴリズムが
図3の流れ図に示されている。センサおよび制御回路は、実際に従来のものであり、当業者は、様々な機能的に均等な回路が、適切な制御信号を生成するために使用され得ることを認識する。ステップ302において、センサは、インジェクタ機器が使用される環境において周囲の光のレベルを検出するために使用され得る。それから、ステップ304において、この検出されたレベルは、ディスプレイのための輝度設定に変換される。この変換プロセスは、単純なアナログデジタル回路を含み得るか、またはメモリに格納された設定に従って、検出されたレベルをディスプレイ輝度と相互に関係させる、アクセス可能なメモリを有するマイクロプロセッサを使用し得る。変換プロセスは、デフォルト挙動をオーバーライドするためにオペレータ入力を利用し得るか、またはオペレータ入力を考慮することなく自動的に動作し得る。結局、ステップ306において、ディスプレイハードウエアは、輝度設定に従って制御される。特定のディスプレイのLEDは、輝度設定に従って、それらを動作させるそれら自体の制御回路を有し得、LCDスクリーンまたは他のディスプレイは、それを適切に動作させるそれ独自の別個の制御回路を有し得る。
【0034】
インジェクタのための従来のパワーヘッドは、インジェクタタシステムのコンソールと比較して、限定された量の機能性を実装するために充分な制御しか含んでいなかった。パワーヘッド制御は通常、注射器ラムを動かし、かつ注射プロトコルを動作可能にし、開始させ、かつ不能にすることに限定された。注射の間にパワーヘッドによって表示される情報も、実際に限定された。一方、コンソールは、さらなる機能性が提供されたより大きなディスプレイおよびより多くの制御を有する。プロトコル選択およびエントリ、注射および注射器パラメータのセーブおよび編集、患者造影剤量、注射歴、注射段階情報および遅延、注射器パラメータ、インターフェース情報、命令およびヘルプスクリーン、その他はすべて、パワーヘッドではなく、コンソールによって通常、提供される。
【0035】
記述された従来のインジェクタシステムとは対照的に、本発明の実施形態は、コンソールを必要としないパワーヘッドを含む。パワーヘッドのスクリーンを通して、オペレータは、注射シーケンスに含まれるすべてを制御することができる。そのようなシステムの一利点として、コンソールのないインジェクタの先行投資コストは下げられる。さらに、より多くのかつより良い情報を表示するパワーヘッドのディスプレイの能力、ヘルプスクリーン、および他の機能は、オペレータが、タッチスクリーンを介してパワーヘッドをより効率的に動作させることを、ならびにパワーヘッドを動作させる方法をより素早く学ぶことを可能にする。配線されたスイッチを付けられたパワーヘッドおよびボタンでの制御に代わり、ディスプレイは、容易に再構成可能であり、かつより頑丈であるユーザインターフェースを提示するタッチスクリーンであり得る。
【0036】
図4A〜
図4Fを参照して、注射プロトコルは、オペレータの観点から記述される。しかし、従来のインジェクタシステムとは異なり、これらの図面に関して記述されたインターフェーススクリーンは、パワーヘッドにおいてタッチスクリーンディスプレイ30によって提供される。メイン操作スクリーンは、
図4Aにおいて例示される。パワーヘッドのアイコン表示201と関連するボックス200は、A注射器内の造影剤の今の容量を識別する。注射器のアイコン表示203と関連するボックス202は、B注射器における造影剤の今の流体量を識別する。ボックス204は、処置に対してオペレータによって予め選択された圧力限界を識別し、ボックス206は、スキャン遅延(秒での)を識別し、スキャン遅延は、オペレータが注射を開始(ハンドスイッチ、コンソールのキー、またはパワーヘッドのボタンのいずれかで)してから、被検体の、x線または磁気スキャンが始まるまでの遅延である(この遅延の終了時に、パワーヘッド内のマイクロプロセッサは、スキャニングが始まるべきであることをオペレータに指示するトーンを生み出すか、またはスキャニングは、スキャナとインジェクタとの間の適切な電気的な接続によって自動的に開始され得る)。ボックス207は、注射遅延(秒での)を識別し、注射遅延は、上述のようにオペレータが注射を開始してから、プロトコルによって述べられたような注射が始まるまでの遅延であり、このようにして造影剤の流れの前にスキャナが開始される時間を許す。例示された状況において、注射器Aは、158mlの流体を含み、そのうちの73mlが、今選択されているプロトコルによって使用され、注射器Bは、158mlの流体を含み、そのうちの83mlが現在選択されているプロトコルによって使用され、圧力制限は、20psiであり、スキャンまたは注射遅延はない。
【0037】
図4Aに例示されたディスプレイにおいて、ボタン208は、ディスプレイの向きを変更するために使用され得る。詳細には、
図4Bに見られるように、このボタンでスクリーンを押圧することによって、ディスプレイがスクリーン上で逆転され得、それによって複数の可能な向きでのインジェクタの使用を容易にする。
【0038】
図4Aに示されるように、プロトコルは多くの段階を含み、各段階の間、インジェクタは、予めプログラムされた流量を生み出し、予めプログラムされた合計流体量を出力する。例示されたプロトコルは、わずか2つの段階のみを有する。しかし、オペレータによって選択され得る他のプロトコルは、複数の段階を有する。ユーザはプロトコルを選択し、注射を可能にし、かつディスプレイ30のタッチボタンを押圧することによってディスプレイスクリーンの中をナビゲートし得る。
【0039】
ディスプレイの領域212は、今のプロトコルの段階に対する流量を識別し、領域214は、それらそれぞれの段階に対する流体量を識別する。ユーザは、これらの領域のうちの任意のものを押すことによってこれらのパラメータを変更し得、それによって、
図4Cに示されるプロトコルパラメータエントリスクリーンへ移動し得る。このスクリーン上でユーザは、スクリーンに表示されているように、これらの値の各々を押圧することによって、今のプロトコルに対する流量、流体量ならびに注射およびスキャンの遅延値を変え、かつ格納し、次に領域216に示されるスライドバー制御を動かし得る。
【0040】
図4Aから、オペレータは、注射器201または203のアイコン表示を押圧することによって手動制御ディスプレイにも入り得る。
図4Dに示される手動制御ディスプレイにおいて、オペレータは、プランジャの動きを手動で制御し得る。このスクリーンにおいて、
図4Aのボックス200において選択された注射器のアイコニック表示は、充填−排出バーディスプレイ220と置き換えられる。この充填−排出バーディスプレイを押圧することによって、選択された注射器に対するモータ駆動が、前進するかまたは引込むようになされ得、それによって流体を充填またはその注射器から排出し得る。
【0041】
図4Eをここで参照して、格納された注射プロトコルのディスプレイが記述される。
図4Cにおけるメモリボタン218によって、
図4Eに見られるプロトコルメモリディスプレイが観察され、そこではプロトコルが格納され、かつ抽出され得る。プロトコルメモリは、当技術分野で公知であるが、従来技術におけるプロトコルのディスプレイに対する1つの難しさは、多数のプロトコルを表示するために利用可能なスペースには制限があることである。例えば、
図4Eに見られるように、わずか8つのプロトコルしかディスプレイには充分に表示され得ず、各々は、左手欄のカスタマイズされた名前のボタン222と関連し、パラメータは、右手の欄に表示される。この難しさを克服するために、本発明の原理に従って、5つのグラフィック“タブ”224も、ディスプレイに提供されている。各タブは、8つのプロトコル格納位置222の様々なセットと関連し、オペレータは、タブ224を押圧することによって、タブ間を素早く動き得る。このようにして、スクリーン上の各プロトコルに関して充分な情報を提供し続けながら、40個のプロトコルが格納されかつ素早く抽出され得る。タブ224は番号を持ち得るか、またはプロトコルに対して使用されたようなユーザ構成可能な名前を有し得、その結果、例えば1つのタブは、数人の技師または医者の各自が使用するプロトコルを含み得る。
【0042】
例示的なパワーヘッドに対するインターフェースに関する上述は、多くの特定な特徴を識別する。しかし、本発明の原理は、さらに提供される様々な他のタッチスクリーン特徴に適用される。実際、タッチスクリーンについては、本発明の特定の実施形態は、パワーヘッドでの完璧なインターフェースを提供することを想定しており、その結果コンソールがもはやパワー注射システムに対して必要とされないような、十分な柔軟性をインターフェースに提供する。
【0043】
本譲受人に譲渡された米国特許第5,868,710号は、その全容が、参考として援用されている。その特許は、パワーヘッドの向きを自動的に検出し、より容易にオペレータに読取可能となるようにディスプレイスクリーンの出力をひっくり返すインジェクタパワーヘッドに対するディスプレイスクリーンを開示する。本発明の実施形態は有利にも、上述のような内容が増えたディスプレイスクリーンに対するそのような機能性を含む。
【0044】
図4Fを参照して、本発明の原理に沿うさらなる実施形態において、ディスプレイスクリーン30は、スイベル取り付け238によって、パワーヘッド22に取り付けられ得、スクリーン30が、インジェクタパワーヘッド22の表面と同一平面となるように位置決めされることを可能にするか、または矢印240によって示されるようにパワーヘッド22の表面から傾けられ、矢印242によって示されるように取り付け238の周囲で随意的にその後旋回させられ、従ってスクリーン30が最適に位置決めされることを可能にして、任意の数の、様々な可能性のあるインジェクタおよびオペレータの位置に対するインジェクタパワーヘッド22の制御および動作を可能にする。
【0045】
図4Fに示されるようなディスプレイの今の向きは、インジェクタ内に取り入れられたセンサによって検出され得、それによって、ディスプレイがインジェクタヘッドに対してスイベルで回転させられるように、適切にディスプレイの向きを直す。適切な初期のスクリーンディスプレイの向きを選択する豊富なインターフェースを可能にするために、そのような特徴が、上に参照された米国特許に記述されたような傾きセンサの使用と共に使用され得る。さらに、スクリーンディスプレイの向きは、注射シーケンスにおけるインジェクタの今の状態に応答し得る。例えば、1つの向きが、
図4Dに示されるような手動制御モードにあるときに使用され(インジェクタが通常、充填のために上向きに傾けられるとき)、第2の向きが、
図4Aに示されるような注射プロトコルを実行するとき使用される(インジェクタが通常、注射のために下向きに傾けられるとき)。
【0046】
注射ステップおよび/またはインジェクタの傾き角度に応答して、インジェクタパワーヘッドを構成する他の可能性があることは理解される。例えば、インジェクタが装備され、下に傾けられ、注射が可能であるときの実際の注射シーケンスの間、インジェクタを使用する技師はしばしば、インジェクタパワーヘッドから遠い離れた制御室にいる。そのような状況の下では、技師が処置の間に患者を見守り、コンソールを見ることなくインジェクタの動作に対する基本的なフィードバックをなおも有するように、遠い距離から技師によって可視である態様で、インジェクタ状態を示すために、可能性として色分けされ、明滅もしくは点滅する領域もしくはフォント、またはグラフィックなアイコノグラフィと共に、下向きに傾けられたインジェクタに対して調整された非常に大きなフォントで、今のインジェクタ流量、流体量および/または圧力を表示することが有益であり得る。
【0047】
コンソールが、造影剤インジェクタシステムに対して含まれる場合、パワーヘッドは、造影剤インジェクタシステムに対する二次的な制御インターフェースとなる。通常コンソールの一部分であるコンピュータ、メモリ、および実行可能なアプリケーションは、コンソールの一部分であり続け、パワーヘッドは、単にコンソールと通信する。しかし、コンソールが造影剤インジェクタシステムに含まれない場合、オンスクリーンテキストヘルプ、通常コンソールによって提供される分かりやすいユーザインターフェース、プロトコル設定およびセットアップ情報その他を提供するために構成可能な、複数のタッチスクリーン、機能を提供するための演算能力および格納能力を所有するパワーヘッドまたは何らかの他の構成要素が含まれる必要がある。
【0048】
異なるトピックに転じて、インジェクタパワーヘッドは、単一の注射ヘッドを従来含んでいるが、2ヘッドのインジェクタもより普及しつつある。通常、1つの注射器が、食塩水を送達するために使用され、他のものが造影剤を送達するために使用される(他の流体も使用されるが)。これらのインジェクタを使用に際してより安全、より容易、かつより速いものにするための機能が望ましく、特に、パワーヘッド内での制御ソフトウエアによって自動的に実行され得るものが望ましい。
【0049】
上述のディスプレイ30を有する2ヘッドのインジェクタパワーヘッド22が、それらへの配管および接続と共に
図5に概略示されている。各注射器36a、36bは、それぞれの配管506、508に接続され、配管506、508は結局、患者に流体を送達するカテーテルに結合される取り付け具512で終端する共通の配管部分510(例えばLuer取り付け)に接合される。
【0050】
配管506、508は、配管の内容を示すために色付けされるか、または透明であり得る。いずれの場合にせよ、ディスプレイ30は、各注射器36a、36bによって送達される流体を示すオペレータのためのグラフィック情報を含む。例示的なディスプレイは、ディスプレイスクリーン30の部分であり得る
図6に示される。注射器602および配管606の1つのグラフィックイメージが左に提供され、一方、注射器604および配管608の別のグラフィックイメージが右に提供される。図示のように、それぞれの流体610、612が、各注射器602、604に示される。特に、注射プロトコルが進行するにつれて、ディスプレイ600は、流体レベル変化を反映するように、かつどの流体が患者に送達されているかを反映するように変化する(
図6の部分609)。
【0051】
何の流体がどの注射器から送達されているかを認識する際にオペレータを補佐するために、ディスプレイ600は、流体を識別するために各注射器および配管の内容を色分けする。例えば、ディスプレイ600上の澄んだ色は、空気が、特定の注射器および配管に入っていることを示し得る。ディスプレイ600上で流体に“赤”を色付けすることは、造影剤がその注射器に入っている事を示し、一方、異なる色(例えば青)は食塩水の存在を示す。
【0052】
そのような色付けされたディスプレイは、様々な自動機能の状態を示すために単一ヘッドのインジェクタでも使用され得る。例えば、色情報を含むこのタイプのグラフィックディスプレイは、注射器が空気で満ちているかどうか、空の注射器および配管は、いつ正しく充填されかつ洗浄されたか、または予め充填された注射器は、いつ正しく洗浄されたかを、オペレータが容易にかつ素早く判断することを可能にする。
【0053】
2ヘッドのインジェクタは通常、2ヘッド上での食塩水および造影剤の位置の事前の選択を必要としたことには留意される。例えば、インジェクタのディスプレイに合わせるために、食塩水流体を含む注射器は、インジェクタの第1の側に取り付けられることを必要とし、造影剤を含む注射器は、インジェクタの第2の側に取り付けられることを必要とする。本発明の局面は、インジェクタに提供されたディスプレイが、インジェクタ上の流体タイプの任意の組み合わせに合うように、インジェクタの構成を可能にすることである。詳細には、本発明によるインジェクタは、オペレータが、インジェクタのA側およびB側の各々で、流体のタイプ、およびその色分けを定義することを可能にする。従って、オペレータは、2つの随意に選択された任意のタイプの流体を含む注射器を有するか、または同じタイプの流体を有するインジェクタを使用し得、かつ選ばれたアップリケーションと調和するようにインジェクタおよびそのディスプレイを対応構成する。随意に選択された任意の流体タイプは、随意に選択された注射器サイズに対しても使用され得る。これは、オペレータが、インジェクタからの戸惑うほど一貫性のないディスプレイにさらされることなく、オペレータの裁量で、任意の注射器サイズおよび任意のタイプの流体に対して、いずれの注射器の位置をも使用することを可能にする。交互に色分けされた配管セットも、選択されたインジェクタのディスプレイと調和するように提供され得る。
【0054】
図5の2ヘッドのパワーヘッドにおいて、2つの異なる流体チューブが、インジェクタパワーヘッド503と結合されるが、通常、患者においてはただ1つの流体の入り口しかない。従って、2つの流体チューブは結局、注射器と患者との間で合体する。過去においては、Y配管がしばしば使用され、Y配管においては、分離したチューブが注射器の比較的近くで合体し、その結果単一の流体チューブが配管の大部分に存在する。
【0055】
注射器固有の弾性が、圧力注射の間、非駆動注射器への逆流を可能にする。普通のY配管に対しては注意が払われない場合、通常の注射で生じる150psiは、駆動注射器の約5mlの内容物が非駆動側の中に押されることを可能にし、その内容物はその側を汚染する。過去において、チェックバルブがこれを防ぐために使用されたが、そのような解決法は、それ自体が一連の問題を招く。
【0056】
さらに、Y配管は、2つの異なる流体を供給する間に遅延時間を有する。換言すれば、Y配管共有部分のすべての内容物は、第2の流体が患者に送達され得る前に、1つの流体に関してフラッシュされなければならない。この問題に取り組むための方法は存在するが、これらの方法は、注射ルーチンを複雑にし、かつ長引かせるオペレータによるさらなる作業および入力を必要とする。
【0057】
図8は、V配管配列を示し、V配管配列においては、2つの配管の間での接合は、患者端に比較的近い。2つの注射器802、804は、2つの異なる流体を患者に送達するために使用される。注射器804は、配管806の最初の部分と結合され、注射器802は、配管810の離れた部分と結合される。配管806、810のこれらの部分は、外側で合体するが、それらは、配管811の共通の部分を通る別個の流体経路を保有する。配管811は、流体のうちの1つを送達する取り付け具812を有する患者端において終端する。
【0058】
例示的な取り付け具の断面が、
図9に示される。配管811は、両方とも取り付け具812と結合する別個の部分902、904に分かれる。特に、部分902、904は、中心の空洞816と結合し、その結果配管セクション902、904を通って導かれた流体は、中空816に送達される。中空816から、流体は、開口部814を通って、取り付け具812から排出される。
【0059】
配管811は、概観が単一の流体チューブのように見えるが、本発明の原理は、配管811が取り付け具811に実質的に到着するまで分離した流体経路を維持する。
図10は、配管811を実装するために使用され得る例示的な断面を示す。断面1002は実際上、垂直の壁によって分離された2つの通路を有するほぼ円形である。断面1004は、共通の側面に沿って取り付けられた2つの円形のチューブと類似する。各断面は、同時押し出し形成により、または同様な手段によって形成され、配管の意図された内容物を識別することを助けるために色分けされ得る。
【0060】
述べられたように、通常のパワーインジェクタシステムは、注射器プランジャの圧縮および注射器バレルの拡張により、固有の弾性を含む。プランジャの形状およびサイズは、弾性のこの量にも影響を与える。本発明の特定の実施形態によると、パワーヘッドの非駆動側は十分に変位するまで駆動され、流体が、弾性によって非駆動側の配管の中に入ることを防ぐ。非駆動注射器から駆動する流体の量は、駆動側で使用される圧力および使用されている注射器のタイプの関数である。ループを閉じたアプローチにおいては、非駆動側におけるある大きさの圧力および/または流体の流れが、非駆動側でのラムのループを閉じる制御を実行するために使用され、弾性による非駆動側の中への流れを防ぐ。ループを開いたアプローチにおいては、典型的な弾性の測定値が、駆動側の圧力に基づいて適切な量を駆動するために使用され得る。例えば、本譲受人によって販売される平らなプランジャ面を有する125ml注射器が50PSIで駆動されるとき、非駆動側は、弾性による流体の動きを補正するために、約1.72ml駆動されるべきである。この注射器で、100PSIで、駆動量は、2.28mlであり、150PSIで、3.45ml、200PSIで、4.32ml、250PSIで、5.37ml、および300PSIで、6.78mlである。他の注射器は、様々な圧力で他の特性値を有する。組み合わされた開/閉ループアプローチにおいては、注射の開始時に非駆動側に適用される初期変位は、典型的な測定値から得られ得、その後駆動側と非駆動側との間の平衡な圧力、および/または非駆動側でのゼロ流量を維持するために、ループを閉じた制御が開始される。
【0061】
造影剤インジェクタに対するこれまでのインジェクタパワーヘッドは、モータで動く注射器ラムを前後に自動的に動かすためのメカニズムを含んだ。これらのメカニズムは、レバー、膜キーパッド、プッシュボタンまたはトグルスイッチ、磁石およびホール効果センサ、その他を含んだ。しかし、すべてのそのような例において、これらのメカニズムは、インジェクタのパワーヘッドの一部分であった。
【0062】
本発明の実施形態は、リモート制御パワーヘッドに関し、リモート制御パワーヘッドにおいては、注射器ラムの動きを引き起こす制御手段は、パワーヘッドから遠隔に位置する。そのようなリモート制御は、特定のインジェクタ動作およびプロトコルの間、場所的により大きな柔軟性を可能にする。
【0063】
図7は、オペレータの手に適合するような大きさとされた1つの簡単なリモート制御710を例示する。リモート制御は、パワーヘッドにおいて受信機708で受信される、送信機712からの信号を発する。パワーヘッド内において、モータ制御回路網702による使用のために信号は変換され、モータ駆動704による注射器ラム706の動きを引き起こす。モータ駆動704および注射器ラム706は、従来のパワーヘッドと同様に動作するが、ただしローカル制御からの入力を受信することに加えて、受信機708からの入力も考えられている。例示的なリモート制御710は、2つのボタン714、716を含む。1つのボタン714は、ラム706を注射器の正面の方に延ばし、他のボタン716は、ラム706を注射器の正面から引込める。この特定のリモート制御710は、そのサイズおよびボタン配置により、片手操作を可能にする。
【0064】
当業者は、そのようなリモート制御710は、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な機能を含み、様々な物理的な形式因子を有し、様々な数のボタンおよびノブを含み得ることを認識する。例えば、ポテンショメータ(リニアまたはロータリ)は、固定速度でのラムの動きを離れた場所から制御するために使用され得る。あるいは、ラムの動きの制御を可能にするが、その速度を供給された圧力に依存して変えさせる、感圧スイッチが利用され得る。
【0065】
リモート制御およびパワーヘッドが通信する周波数は、例示的な通信モードとして、UHF、VHF、RF、赤外線、超音波、その他を明確に想定している本発明の物質的な制約ではない。リモート制御は、一般的にパワーヘッドの近くから分離されがちであり得るので、パワーヘッドからのリモート制御の取り去りを制限する物理的なテザー(tether)720が、提供され得る。従って、リモート制御が無線デバイスではなく、物理的なケーブルを介してパワーヘッドに結合されるように、このテザーは、特定の実施形態においては、通信経路としても作用し得る。
【0066】
パワーインジェクタを利用する静脈の処置の間に、造影剤またはイメージング剤がときどきうっかりと、患者の静脈の周囲の組織の中に注射される。これは、溢出と一般的に称せられ、危険であると考えられている。それは、オペレータが、カテーテルを挿入する間に患者の血管を完全に見失い、静脈を突き抜けて周囲の組織を突き通すか、または静脈の壁に穴をあける流量で注射することによって一般に引き起こされる。
【0067】
溢出を検出するかまたは防ぐためにオペレータによって使用される普通の技術があるが、これらは、いつも100%効果的であるというわけではない。2ヘッドのインジェクタを使用するとき、1つの普通の技術は、皮膚のふくらみを観察しながら、患者の静脈の中に食塩水を最初に注射することによって開通性試験を実行することである。これは、手動で、または格納されたプロトコルの部分としてなされ得る。一部の場合においては効果的であるが、食塩水は、注射プロトコルを十分にシミュレートする流量および流体量では注射され得ない。従って、実際のイメージング剤注射は、食塩水が溢出しなかったとしても、溢出し得る。
【0068】
本発明の実施形態は、開通性試験の食塩水注射試験の部分の間に、最適な流量および流体量を選択する際にオペレータを補佐する1つ以上のルーチンを、そのソフトウエアに含む2ヘッドのパワーインジェクタに関する。開通性試験インターフェーススクリーンは、後に続く実質的に同様なイメージング注射であるシミュレーションを提供する選択されたプロトコルに基づく流量および/または流体量をオペレータに示唆する。このさらなる機
能性は、パワーヘッド、またはコンソール上の別個の専用のディスプレイにより含まれ得るか、または一般的なインターフェーススクリーンを通してオペレータに通常提示される多くのメニュースクリーンのうちの1つであり得る。さらに、ソフトウエアは、流量および流体量を自動的に設定し得るか、またはユーザが示唆された値を見た後、値を設定するかまたは修正することを可能にする。プロトコルが動作可能にされるまで、または手動の洗浄が完了されるまで、開通性チェックが実行されないように、特定の安全装置が含まれ得る。さらに、開通性チェックは、開通性チェックを進める前に、十分な食塩水が利用可能のままであることの確認を含み得る。
【0069】
一般的に、本発明の原理は、
図11の流れ図に示される例示的なアルゴリズムに従って実装され得る。ステップ1102において、注射プロトコルは選択され、かつ動作可能にされる。
【0070】
注射を可能にするために、インジェクタは、安全のために特定のステップが実行され、空気を注射する可能性を低減することを必要とし得る。詳細には、インジェクタが注射器からの注射を可能にする前に、それは、次のシーケンスに対するインジェクタの活動をモニタする:(1)注射器の装填を示す、フェースプレートの開閉;(2)注射器が空の注射器(例えば200ml注射器)である場合、充填することを示す、その完全に前方位置から、少なくとも例えば25ml後方へのラムの手動の動き;(3)空気を追い出すことを示す、インジェクタの上方への傾きおよび約例えば1mlの前方への動き(4)インジェクタの下方への傾き。この種のシーケンスは、過去においてインジェクタによって必要とされた。しかし、本発明の実施形態は、様々な方法でインジェクタの有用性を高め得る。例えば、
図4Aに見られるイネーブルボタンは、必要とされるシーケンスが実行されたとき色を変化させ得、シーケンスが完了したのでインジェクタが動作可能とされ得るというフィードバックをオペレータに提供する。さらに、必要とされるシーケンスが不完全であるとき、オペレータがイネーブルボタンを押圧すると、ディスプレイは、上記シーケンスの必要なステップの記述を提示するか、またはより役立つことには、インジェクタが首尾よく動作可能にされ得る前になされるべく残されたこれらのステップだけを識別し得る。
【0071】
しかし、プロトコルが実行される前に、オペレータは、開通性チェックを実行することを欲し得、開通性チェックを作動させる(ステップ1108)。例示的な実施形態において、ユーザは、所与の時間、食塩水注射器のための排出ボタンを押圧保持することによって開通性チェックを実行したい望みを示すが、多くの他のインターフェース方法が、使用され、ユーザが開通性チェックを開始することを可能にし得る。流れ図に示されるように、ここで論じられた特定の方法は、閾値時間より長い間オペレータがボタンを押圧することを必要とし、このようにして開通性チェックがうっかりと開始されないようにする。ボタンがあまりにも早く解放された場合、開通性チェックは実行されないが、ステップ1108において例示されるように再開され得る。
【0072】
記述された実施形態において、ソフトウエアがステップ1110において、随意的なチェックを実行し、開通性チェックおよび選択されたプロトコルを実行するために十分な流体が存在するかどうかを判断する。十分な流体がない場合、プロセスは停止する。しかし、十分な流体がある場合、開通性チェックが、ステップ1112において実行され得る。
【0073】
選択されたプロトコルに基づいて、オペレータには、開通性チェックを設定するためのインターフェースオプションが提示される。これらのオプションは、既存のプロトコル、またはユーザによってなされた設定に起因する。ステップ1114において見られるように、開通性チェックに対する流体量は、工場デフォルト、またはこれまでの開通性チェックに対して使用されたこれまでの流体量から引き出される。ステップ1116に示されるように、ユーザは、必要であれば流体量を変化させる機会を有する。必要である場合、流体量は、ステップ1118において変えられる。ステップ1120に見られるように、流量も開通性チェックに対して選択される。ここでもやはり、これは、プロトコル、デフォルト値またはこれまでのデータに基づき得る。記述された実施形態において、デフォルト流量は、インジェクタの“A”または“B”側で最大の流量に選択され、それによって開通性チェックは、必要とされる最大の流量での溢出のないことを確認する。ここでもやはり、ユーザには、ステップ1122において、開通性チェック過程を変化させるオプションが提供され、必要であれば、ユーザは、ステップ1124において、“A”側流量もしくは最大“A”側流量、または“B”側流量もしくは最大“B”側流量を選択し得る。
【0074】
一旦ユーザに開通性チェック設定(例えばステップ1110直後に表示される設定スクリーンにおいて)が提示された場合、ユーザは、ステップ1112において開通性チェックを実行し得る。溢出は明らかではないと仮定すると、オペレータは通常、ステップ1102においてプロトコルを動作可能にするように前進し、ステップ1102の時点でインジェクタは、ステップ1104においてオペレータからの“開始”指示を待ち、指示があると、プロトコルがステップ1106において実行される。開通性チェックの間に溢出が見られる場合、これは矯正され、別の開通性チェックが実行され得る。
【0075】
ここで
図12を参照して、試験注射方法が記述され得る。試験注射を実行するために、ステップ1202において、オペレータは、注射プロトコルを構成する場合には、例えば
図6に示されるプロトコル設定スクリーンにおいて“試験注射”キーを押圧することによって、試験注射を選択する。一旦試験注射が選択されると、
図13に示されるように、試験注射/プロトコル設置スクリーンが表示される。そのスクリーン上で、
図6に示されるように表示された注射プロトコルパラメータに加えて、試験注射パラメータがエリア1302において表示されることが見られる。これらのパラメータは、試験注射の流量および総容量を識別するパラメータを含む。
【0076】
図12に見られるように、試験注射の流量および流体量に対する値は、格納された情報およびユーザによって既に設定されたプロトコルパラメータを使用して生成される。詳細には、1208に見られるように、工場デフォルト値(例えば10ml)が、試験注射の流体量として最初に使用され得るか、または先の試験注射で使用された流体量が使用され得る。生成された流体量設定はデフォルトであるが、変えられ得る。
図13に見られるように、試験注射流量および流体量設定は、スクリーン上のボタンで示され、ボタンは触れられ得、
図6に示されるようなスライドバーまたは他のグラフィック制御での調節を可能にする。従って、
図12のステップ1210において、ユーザは、流体量設定を変えるために行動を起こし得、ステップ1212においては、試験注射に対する最終的な流体量設定を生成するために必要な変更をする。
【0077】
同様に、ステップ1214において、デフォルト流量が、既にプログラムされたプロトコルにおいて使用される最初の流量および側(“A”または“B”)に基づいて、試験注射に対して生成される。これらの値はデフォルトであり、以前のように、ステップ1216において、ユーザは、ステップ1218において流量を変えるために行動を起こし得る。変更するかまたはデフォルトを受理した後、流量設定が決定される。
【0078】
上の調節に加えて、試験注射が選択されないときの
図6のインターフェースにおいてなされるように、ユーザは、グラフィックディスプレイの“側”の欄におけるボタンに触れることによって、使用されるヘッドを変え得る。
【0079】
最初に、試験注射は、インジェクタの1つの側、例えば“A”側または造影剤を有していると識別された側からの注射だけを含み得る。しかし、試験注射はまた、例えば、食塩水流体によって包まれた造影剤の“パケット”を生成するために、造影剤の一回分を注射し、その後に食塩水フラッシュを伴うように、両側が使用され得る。または試験注射は、オペレータの裁量で、造影剤だけでなされ得る。両側が使用されるかどうかは、両側が、後のプロトコルの中で、および/または様々なデフォルトパラメータで使用されるかどうかから決定され得る。インジェクタは、注射ヘッドの使用のデフォルト、および今のプロトコルまたは以前の試験注射から流体量および/または流量を引き出すための方法のデフォルトを特定するためのデフォルト設定スクリーンを含み得、オペレータが、インジェクタの挙動を構成することを可能にする。
【0080】
試験注射のパラメータが上述の態様で設定された後、ステップ1220において、インジェクタは、随意的なステップにおいてこれらのパラメータを評価し、試験注射と次のプロトコルの両方の実行のために十分な流体量があるかどうかを判断する。十分な流体量がない場合、ステップ1222において、オペレータは、例えば利用可能な流体量が不十分である注射の部分の赤い色、または明滅する色、または両方で表示することによる、不十分であるとの警告を受け得る。オペレータが、注射器を再充填し、空気を除去するために、試験注射後または注射半ばで、イメージングルームに戻らなくてはならず、可能性として造影剤およびかなりの時間をリワーク(re−work)で浪費するような状況を避けるという意味で、この警告は特に有用である。所与の臨床的設定に対して適切であり得るように、不十分な流体量の状況において、インジェクタは試験注射を防ぎ得、またはオペレータが警告を無視することを可能にし得る。インジェクタの応答は、造影剤が不十分であるのか(イメージングに対して逆効果を与える可能性がより大きい)、または食塩水(そのような影響を与える可能性はより少ない)が不十分であるのかによっても異なり得る。
【0081】
随意的なステップ1220を通過した後、ユーザは、
図13に示されるイネーブルキー1304を押圧することによって、インジェクタを動作可能にし得(既に動作可能にされていない場合)、これが
図12に示されるステップ1224につながる。この時点で、試験注射は、オペレータがステップ1224でスタートボタンを押圧することによって開始され得る。スタートボタンが押圧されると、ステップ1226において、試験注射ステップが、
図13に示される設定スクリーンで説明されるように実行される。この後、オペレータは、試験注射、ならびに例えば設定流量および/または造影剤の注射の時から造影剤のスキャナ上での出現までのスキャン遅延で達成されたイメージングの質を評価し、ステップ1228において、注射プロトコルに対する注射パラメータを、応答して調節し得る。試験注射の間、圧力限界に達した場合、インジェクタが不能となり、圧力限界に達したという警告を提供し得、その結果オペレータは、プロトコルの実行に先立ち注射を再び動作可能とする前にステップ1228を通って修正するように促される。その後、ユーザは、ステップ1230においてスタートボタンを押圧し、インジェクタが、ステップ1232において注射プロトコルを実行するようにする。
【0082】
試験注射の1つの効用は、造影剤が患者の身体の特定の部分に達し、そこで効果的にイメージングされるために必要な時間を特定することであり、その結果例えば技師が、注射が始まった後いつスキャニングが開始されるべきかを定義するスキャン遅延時間を設定し得ることであり得ることは理解される。技師による作業を容易にするために、本発明の原理によるインジェクタは、正確なスキャン遅延計算を保証するために、試験注射機能に対して効果のある多くの特徴を取り入れ得る。
【0083】
第1に、インジェクタは、(a)使用されるスキャナの再構成時間、および(b)注射の開始からスキャナディスプレイにおける造影剤の出現までの観察された時間遅延からスキャン遅延時間を演算するために使用可能であり得る。スキャナの再構成時間は、正確なスキャン遅延時間を特定するために、観察された時間遅延から差し引かれなければならない。なぜならば、スキャナでの造影剤の観察は、再構成遅延により、造影剤が実際にスクリーンで見られる位置に到着した後であるからである。従って、正確なスキャン遅延の判断を容易にするために、インジェクタは、観察された時間の差とスキャナ再構成時間との差の演算を容易にし得る。この差を演算するように構成されたインジェクタは、注射の開始と、造影剤がスキャナディスプレイにおいて観察されたという技師による入力との間の経過時間を測定することによって、注射の開始と造影剤の観察との間の時間遅延を測定することを補佐するようにも構成され得る。
【0084】
第2に、インジェクタは、インジェクタに接続されたYまたはV配管の状態を所定の状態に戻すための機能性を含むことによって、注射活動の反復可能性を補佐し得る。例えば、注射の前の、所望の初期の状態は、注射部位へ通じる配管が食塩水で満たされていることであり得る。この初期の状態は、注射において達成されるタイミングの潜在的に重要な部分である。なぜならば、注射部位への造影剤の初期の流れは、食塩水を配管の外へフラッシュし、造影剤を配管の中にフラッシュする時間に対応する数秒だけ遅延し得るからである。あるいは、注射の前の初期の状態は、配管が造影剤で満たされているか、または配管の幾らかの部分が食塩水を有し、幾らかの部分が造影剤を有することであり得る。それら初期の状態は、注射の開始のタイミングにおいて、異なる対応する挙動を有する。
【0085】
本発明の原理による注射は、YまたはV配管の主単線セクションが、インジェクタの設定および/またはオペレータの好みに従って、造影剤、食塩水、またはその2つの任意の所定の組み合わせで予め満たされる特徴を含み得る。この特徴を実装するために、インジェクタは、使用される特定の配管、単一のチューブへの接合後の配管の容積、および所望の初期状態に関する情報を含む。主単線セクションの容量が10mlより大きくない場合、所望の流体によるそのセクションの初期の充填は、注射の開始前の最終ステップとして、所望の流体の10mlのプッシュによって保証され得る。
【0086】
この初期状態機能を実装するインジェクタは、インジェクタを所望の初期状態に戻すために、必要に従って、食塩水または造影剤のそのような単一のプッシュによって、
図12に述べられたような試験注射の後に続き得る。従って、例えば、試験注射が、造影剤注射である最終のステップを含み、所望の初期の状態が、主単線を食塩水でフラッシュされることである場合、試験注射の後、インジェクタは自動的に食塩水を押して主単線をフラッシュし、インジェクタを所望の初期の状態に戻す。試験注射が、食塩水注射である最終ステップを有し、所望の初期状態が、主単線を造影剤で充填することである場合は、反対の活動が実行され得る。
【0087】
注射に対する所望の初期状態は、パラメータであり得るか、または要請されるプロトコルの種類から割り出され得ることがさらに理解される。例えば、一実施形態においては、第1の注射ステップが造影剤であり、所望の初期状態が主単一線を食塩水流体で充填される場合には、試験注射の後かつプログラムされたプロトコルの実行の前でのインジェクタの初期化におけるだけでなく、試験注射の初期化においても、同じように進められるとみなされ得る。
【0088】
本発明は様々な実施形態の記述によって例示され、これらの実施形態はかなり詳細に記述されたが、添付された請求項の範囲をそのような詳細に制限、またはいかなる方法においても限定することは出願人の意図ではない。さらなる利点および修正が容易に当業者には想到される。従って、そのより広い局面における本発明は、特定の詳細、代表的な装置および方法、ならびに示されかつ記述された図示的な例に限定されない。よって、出願人の一般的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなくそのような詳細から新たな出発がなされ得る。