【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は請求項1に記載の方法により解決される。本発明の実施形態はさらなる請求項によって示される。
【0010】
本発明は、溶融材料を用いて少なくとも1つの穴を密封シールする方法を提供し、以下のステップを含む。
− 表面に濡れ性材料の部分を取り付けるステップであって、この濡れ性材料の部分がこの表面であるいはこの表面を貫通して設けられた上記の穴を完全に包囲するように形成され、かつ全ての濡れ性材料がこの穴の外側に配置されるようにする、すなわちこの濡れ性材料の部分が、この穴が設けられる予定の位置に対応した上記の表面の第1の部分を完全に包囲するようにするステップ。
− 上記の濡れ性材料の部分の少なくとも一部、および上記の濡れ性材料の部分に隣接あるいはこれを包囲する、上記の表面の少なくとも1つの第2の部分に、少なくとも溶融材料の部分を取り付けるステップであって、この溶融材料の部分が上記の濡れ性材料の部分に隣接して配設され、この濡れ性材料の部分に接触しており、この溶融材料の部分の量が、上記の穴を密封封栓することになる溶融材料のバンプの量に相当するステップ。
− この溶融材料の部分をリフローして、上記の濡れ性材料の部分にのみ固定、付着または結合され、上記の穴を密封封栓する球の一部に対応した形状を有する、溶融材料のバンプを形成するステップ。
ここで上記の穴は、上記の溶融材料の部分をリフローする前に、少なくとも上記の表面であるいはこの表面を貫通して設けられている。
【0011】
また本発明は、表面にある少なくとも1つの穴を、溶融材料を用いて密封シールする、以下のステップを備える方法を開示する。
- この表面上に濡れ性材料の部分を取り付け、この濡れ性材料の部分が上記の表面であるいはこの表面を貫通して設けられている穴を完全に包囲し、あるいは上記の穴が設けられる予定の位置に相当する上記の表面の第1の部分を完全に包囲するようにするステップ。
− 濡れ性材料の部分の一部およびこの濡れ性材料の部分の周囲に配置される上記の表面の少なくとも1つの第2の部分に、溶融材料の少なくとも一部を取り付けるステップであって、この溶融材料の部分の量が、上記の穴を密封封止することになる溶融材料のバンプの量に相当するステップ。
− この溶融材料の部分をリフローして溶融材料のバンプを形成するステップであって、このバンプは、上記の濡れ性材料の部分にのみ固定、付着または結合されて、上記の穴を密封封栓する球の一部に対応した形状を有するステップ。
ここでこの穴は、上記の溶融材料の部分をリフローする前に、少なくとも上記の表面を貫通して設けられている。
【0012】
このように、この方法は上記の穴の周辺の表面の領域上に濡れ性材料の部分を、たとえば環状あるいは環帯状に取り付け、この濡れ性材料の部分上に溶融材料の部分を取り付け、ただしまたこの濡れ性材料の部分の周囲(すなわち上記の表面の第2の部分)にも取り付けることを提案する。このような構成により、この濡れ性材料の部分が上記の穴を完全に包囲するという条件で、上記の溶融材料の部分をリフローすることで、上記の穴を良好に密封して封栓する溶融材料のバンプが形成される。このバンプの形成は、リフローされた溶融材料の表面張力および上記の濡れ性材料とこのリフローされた溶融材料との付着力によって、また残りの非濡れ性の表面の反発力の関係によってもたらされる。
【0013】
さらに、この方法を用いて、事前に上記の穴を小さくすることなしに、この穴を完全に閉鎖できるように、上記の溶融材料の量を調整することができる。結果として、この方法は、上記の溶融材料を移動するためのウェーハを使用しない。
【0014】
濡れ性材料が堆積された上記の穴の周囲の領域および上記の溶融材料の部分の量は、上記のバンプの形状を規定する。理想的には、上記の表面上の溶融材料の濡れ角は、上記のバンプの形状と上記の表面との角度に対応する。
【0015】
上記の濡れ性材料の領域のみが上記のバンプと接触しているので、上記のバンプはこの濡れ性材料にのみ付着する。さらに、この濡れ性材料は、上記の穴の外側に配置されているので、上記で得られた溶融材料のバンプもまた、この穴の外側の配置され、この穴の容積を封止または充填することはない。1つの利点は、このバンプとこのバンプの下のいかなる導電層との容量結合効果、およびこのバンプの下のRF導電層間のクロストークが極小化されあるいは避けられることである。濡れ性層と導電層との間の薄層(102)の場合においては、他のリスクとして、バンプとこの導電層との間での短絡がある。穴のない溶融材料の場合においては、上記の導電層とバンプとの間の距離は、少なくともこのメンブレン(102)の厚さである。
【0016】
この溶融材料は、可融な金属または可融な合金であり、容易に溶融することができる金属または合金であり、すなわちマイクロエレクトニクスプロセス程度の比較的低い温度で容易に溶融可能である。この溶融材料の融点の値は、この溶融材料の性質に依存する。この溶融材料は、たとえば約300℃〜400℃の融点を有してよい。この溶融材料は、共晶合金であってよく、ノンフラックス処理でリフローされてよい。
【0017】
上記の濡れ性部分は、上記の表面を貫通して設けられた穴を完全に包囲しており、あるいはもし上記の濡れ性材料の部分を設ける前にこの穴が上記の表面を貫通して設けられていなければ、この穴が設けられる予定の位置に相当する表面の第1の部分を完全に包囲している。このようにしてこの穴の周囲あるいはこの表面の第1の部分の周囲の濡れ性材料の部分の輪郭の形状が閉じられる。
【0018】
取り付けられた溶融材料の部分の量は、この溶融材料の部分をリフローした後で上記の穴を密封封止するこの溶融材料のバンプの量に相当する。このように上記の濡れ性材料の部分および上記の表面の第2の部分上に設けられた溶融材料の量は、上記の溶融材料のバンプを形成する溶融材料の量に相当し、上記の穴を密封閉鎖するのに必要な溶融材料の量である。
【0019】
さらに、上記の溶融材料の部分は、少なくとも当初の上記の濡れ性材料の部分の上およびこの濡れ性材料部分の近くに設けられるので、したがって従来の上記の濡れ性材料の部分の領域より大きくなる。これにより、上記の濡れ性材料の部分にのみ溶融材料が当初堆積されていた場合に、従来のように上記の溶融材料の部分の形状が原則的に垂直方向に高くなる、すなわちアスペクト比が1より大きくなることが避けられ、この部分が設けられる上記の表面に実質的に垂直な方向の大きな寸法となることを避けることができる。こうして得られる溶融材料の部分はより扁平であり、したがって溶融材料の部分が垂直に立っている場合よりも機械的に丈夫であるので、この溶融材料の部分を取り付けて成型することが容易にできる。この方法は、導電性のメタライジング部を上記のバンプが配置される濡れ性材料の極く近傍に設けることができるという利点を有する。この方法の場合には、溶融材料は、この導電性メタライジング部の近傍で、濡れ性材料より外側に堆積することはできないが、この濡れ性材料をこの穴の反対側に延在させることができる。もう1つの利点は、溶融材料を堆積した後で、この溶融材料が設けられていない濡れ性材料の領域を可能とすることである(
図6Aおよび6B参照)。これより、上記のバンプを形成するのに必要な溶融材料の量の不足部分をこの導電性メタライジング部の反対側に堆積することができ、この溶融材料の無い領域を維持することができる。
【0020】
上記の濡れ性材料は、フリップチップ技術を用いた接続部を形成するのに用いられる、UBM(Under Bump Metallization)積層体の上層用として知られた材料と同様なものであってよい。この濡れ性材料は以下の2つの特徴を有する。
【0021】
第1に、濡れ性材料で覆われた領域が、たとえ溶融材料の一部がこの領域外に堆積したとしても、リフローの後で上記の溶融材料が配設される領域となる。
【0022】
第2に、この濡れ性材料は、リフロー温度で溶融材料の中に部分的に溶解されてよく、これによって金属間化合物を形成し、これによって密封性と結合が得られる。
【0023】
通常、この濡れ性材料は、たとえば金,銅,白金のような金属であってよく、あるいはたとえばTiNiAuやTiCuのような異なる材料の積層体であってよい。
【0024】
濡れ性材料の部分は、ここではリフローされた溶融材料が固化したあとで付着する表面に相当する。
【0025】
1つ以上の分離された溶融材料の部分が、この濡れ性材料の部分および上記の表面の第2の部分の上に設けられてよい。この場合、これらの溶融材料の部分のリフローの際に、これらの部分のリフローされた溶融材料が集合して溶融材料のバンプを形成し、これが上記の穴を封栓する。
【0026】
この溶融材料のバンプは、上記の濡れ性材料の部分とのみ接触していてよいが、少なくとも上記の穴と上記の濡れ性材料との間の表面部分の一部および/または上記の穴の周囲の表面で濡れ性材料の部分が無い部分に配置されてよい。
【0027】
この穴が設けられている表面の上面から見て、この濡れ性材料の部分の外形は、穴の外形または溶融材料の部分の外形に直接接続されていなくともよく、この溶融材料の部分の外形もまた、この穴の外形に直接接続されていなくともよい。たとえばこの上面から見て、六角形のような多角形のような外形を有する穴と、この穴の周りに設けられた円環帯のような外形を有する濡れ性材料の部分と、この濡れ性材料の部分の一部を覆いかつこの濡れ性材料の部分の周囲に配設される矩形の枠のような外形を有する溶融材料の部分とが設けられてよい。代替として、上記の穴、濡れ性材料の部分、および溶融材料の部分は他の任意の外形を有してよい。
【0028】
上記の穴は、濡れ性材料の部分で完全に包囲されており、上記の表面の中心に位置していなくともよい。さらに、上記の溶融材料の部分をリフローする前に、上記の濡れ性材料の部分の少なくとも一部は、上記の溶融材料の部分と接触している。
【0029】
1つの特定の実施形態によれば、上記の濡れ性材料の部分が取り付けられる表面の上面から見て、上記の濡れ性材料の部分の輪郭の形状は上記の穴の外形またはこの上面から見た上記の表面の第1の部分の外形のようになっていてよい。したがって、もし上記の穴の外形が円のようになっていれば、上記の濡れ性材料の部分の輪郭の形状は、内径が上記の穴より大きい円環帯のようになっていてよいが、これは上記の濡れ性材料の部分が、上記の穴の周囲あるいはこの穴の位置に対応する表面の部分の周囲に設けられているからである。もし上記の穴の外形が、X個(Xは3以上の整数)の辺を有する多角形のようになっている場合、上記の濡れ性材料の部分の輪郭の形状もまた、X個の辺を有する多角形の環帯のようになっていてよいが、ただし内径はこの穴より大きくなっている。さらに、上記の溶融材料の外形は、上記の濡れ性材料の外形のようになっていてよい。これは上記の溶融材料の部分の幾何形状の種類(たとえば円,楕円,多角形,等)が、上記の濡れ性材料の部分の幾何形状と同じであってよいことを意味するが、ただし上記の溶融材料の部分は、上記の濡れ性材料の部分より大きな寸法を有してよい。
【0030】
上記の溶融材料の部分の量は、得られる溶融材料のバンプの直径が、上記の表面の上面から見た穴の直径の2〜3倍となるようにされてよい。上記の穴の近傍と上記の濡れ性材料によって覆われる領域とを閉鎖するために用いられる溶融材料の量、およびこの穴が閉鎖される時の上記の表面上の溶融材料は、余分な溶融材料を避けることおよび/または上記の表面の不要な領域の占有をさけることのために最適化される。
【0031】
上記の溶融材料の部分をリフローする熱サイクルのパラメータは、この溶融材料がリフローの際に素早く移動してこの材料が動的に形状を生成するように設定される。たとえばこのリフローの処理時間は、この溶融材料の融点の30℃〜40℃高い温度で、1〜2分の範囲であってよい。この形状の形成とは、この溶融材料のリフロー後の形状(すなわちバンプの形状)への堆積された形状の変型のことである。たとえば円形の場合においては、この堆積された形状は、ドーナッツのような形状であってよく、このバンプのリフロー後の形状はつぶされた球である。素早いリフローのもう1つの目的は、ノンフラックス処理の場合の酸化を避けることである。
【0032】
上記の表面の上面から見た、上記の濡れ性材料の外形および/または上記の溶融材料の部分の外形および/または上記の穴の外形は、円形、たとえば矩形のような多角形、スリット形状、または非対称形状であってよい。
【0033】
上記の溶融材料の部分のリフローは、制御された雰囲気で行われてよく、上記の溶融材料の部分のリフローの後で、少なくとも上記の穴の雰囲気がこの制御された雰囲気のようになっていてよい。このため上記の穴におけるガスまたはガス混合物の圧力および/または性質を制御することができ、もしこの穴がキャビティのような他の閉鎖された空間に通じていれば、この閉鎖された空間においても制御することができる。この制御された圧力は、10
−3mbar〜1barであってよく、または1barより高くともよい。
【0034】
上記の濡れ性材料の部分の取り付けは、以下のステップを含む。
− 上記の表面に濡れ性材料の層を堆積するステップ。
− この濡れ性材料の層の一部をエッチングして、この濡れ性材料の層の残りの部分が、上記の濡れ性材料の部分となるようにするステップ。
【0035】
もしこの穴が、上記の濡れ性材料の層の堆積の前に、上記の表面を貫通して設けられていれば、この穴の側壁および/または底壁を覆うこの濡れ性材料の層の部分もまたエッチングすることができる。しかしながら有利には、この穴は、上記の濡れ性材料の層の部分のエッチングのステップの後で、上記の表面を貫通して設けられる。この場合、この穴は、上記の表面を貫通して設けられるが、この濡れ性材料の部分も貫通して設けられる。
【0036】
最初に接着層が上記の表面に堆積され、次にこの接着層の上に上記の濡れ性材料の層が堆積される。このような接着層は、この濡れ性材料の層の堆積を促進する。
【0037】
もしこの穴が、上記の接着層の堆積の前に、上記の表面を貫通して設けられていれば、この穴の側壁および/または底壁を覆うこの接着層の部分もまたエッチングすることができる。しかしながら有利には、この穴は、上記の接着層の部分の堆積の後で、上記の表面を貫通して設けられる。この場合、この穴は、上記の表面を貫通して設けられるが、この接着層の部分も貫通して設けられる。
【0038】
上記の表面の上面から見た穴の寸法、たとえば直径は、上記の濡れ性材料の部分の内側寸法、たとえば内径以下であってよい。
【0039】
上記の溶融材料の部分は、電気化学的堆積によって取り付けられてよい。上記の接着層は、この電気化学的堆積の間での溶融材料の成長のためのシード層を形成することができる。
【0040】
上記の溶融材料の部分の取り付けは、以下のステップを含む。
− 上記の表面の上および上記の濡れ性材料の部分の上にフォトレジスト層を堆積するステップ。
− このフォトレジスト層をエッチングして、このフォトレジスト層を貫通する開口部を形成するステップ。
− 少なくともこの開口部に溶融材料を堆積して、この開口部に上記の溶融材料の部分を形成するステップ。
このフォトレジスト層は除去されてよい(リフトオフ)
【0041】
上記の表面は、1つの層の主表面となってよく、上記の穴は、少なくともこの層の厚みの部分を貫通して設けられてよい。
【0042】
この場合、この穴が貫通して設けられた層は少なくとも1つのマイクロエレクトロニクスデバイスが封入されるキャビティの壁となってよく、および/またはこのキャビティを覆うあるいはこのキャビティを包囲するメンブレンまたはキャップとなってよい。この場合、上記の溶融材料の部分のリフローは、有利には制御された雰囲気で行われてよく、したがってこの雰囲気が、このマイクロエレクトニクスデバイスが封入されるキャビティにおける圧力および/またはガスの選択(純粋ガスまたは数種類のガスの混合ガス)に関して制御されてよい。
【0043】
代替として、上記の穴は、少なくとも1つのマイクロエレクトニクスデバイスが封入されるキャビティとなっていてよく、上記の溶融材料のバンプは、蓋のようにこのキャビティの壁を形成してよい。この場合、この溶融材料のリフローは、有利には制御された雰囲気で行われてよい。