【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様は独立項に規定されている。さらなる選択的な特徴は従属項に規定されている。
【0006】
一部の実施形態では、内部液体ハンドリング構造を画成する本体を備える液体ハンドリングデバイスが提供される。本体は、その外面に第1開口を画成して液体ハンドリング構造への入口ポートを提供する。接着層が外面に固定され、第1開口と部分的に重なる第2開口を画成する。第1開口の第1側面では外面が露出しており、第1側面とは反対の第2側面では接着層が第1開口を部分的に覆っている。第1開口と重なる接着層に液体貯蔵装置が固定され、液体貯蔵装置にしきい値圧力を超える圧力が付加されたときに第1開口を通して液体を分配する。
【0007】
液体貯蔵装置に付加されているしきい値圧力を超える圧力に応答して、第1開口の第1側面の領域で液体貯蔵装置が再現可能に破裂するように、液体貯蔵装置、接着層および外面の材料特性が選択される。
【0008】
有利なことに、一方の側で外面が露出し他方の側で外面が接着層によって覆われるように液体貯蔵装置と外面との間に接着層を配置することによって、露出している外面と接触して再現可能なかたちで液体貯蔵装置を破ることが容易になる。同時に、接着層の第1開口との重なりが、その領域における望ましくない破裂に対する緩衝材を提供する。
【0009】
一部の実施形態では、内部液体ハンドリング構造を画成する本体を備える液体ハンドリングデバイスが提供される。本体は、その外面に第1開口を画成して液体ハンドリング構造への入口ポートを提供する。液体貯蔵装置が外面に固定され、液体貯蔵装置にしきい値圧力を超える圧力が付加されたとき第1開口を通して液体を分配する。第1開口は、液体貯蔵装置を破るための鋭いエッジを外面と同じ高さに画成している。
【0010】
有利なことに、外面と同じ高さの鋭いエッジを第1開口に設けることによって、デバイスの製造が容易になる。例えば、スタンピングなどの開口プロセスによって第1開口(およびエッジ)を簡単に形成することができる。一部の実施形態では、鋭いエッジは開口内に延びるスパイクを備え、このスパイクは外面と同じ高さである。スパイクの存在が、液体貯蔵装置の再現可能な破裂をさらに助ける。
【0011】
一部の実施形態では、液体ハンドリングデバイスは、内部液体ハンドリング構造を画成する本体を備える。本体は、外面に第1開口を画成して液体ハンドリング構造への入口ポートを提供する。液体貯蔵装置が外面に固定され、液体貯蔵装置にしきい値圧力を超える圧力が付加されたときに破裂して第1開口を通して液体を分配する。液体ハンドリング構造は、液体貯蔵装置の破裂時に、第1開口を通して液体貯蔵装置から液体を受け取る液体受入チャンバを備える。液体貯蔵装置の破裂による液体受入チャンバの液体出口、通気口またはその両方への液体の浸入を防止するかまたは軽減するために、第1開口と、液体受入チャンバの液体出口、通気ポートまたはその両方との間で液体受入チャンバ内に流れ抵抗装置が配置される。
【0012】
有利なことに、液体貯蔵装置の破裂時に高圧下で液体貯蔵装置から液体受入チャンバ内に液体を導入するにも関わらず、流れ抵抗装置は、デバイスの動作が開始するまで、出口および/または通気ポートから実質的に液体を遠ざけて保持する。この目的のために、流れ抵抗装置は、液体受入チャンバ内に配置された一つまたは複数の構造特徴を備え、液体の流れ抵抗を高めるか、および/または、通気ポートおよび/または出口から離して液体を保持する表面ポテンシャルエネルギー障壁を提供する。
【0013】
一部の実施形態では、流れ抵抗装置は、液体受入チャンバ内に配置される、外面と液体受入チャンバの間の壁の構造強度を高める支持構造を含む。他の実施形態は、流れ抵抗機能を有しない支持構造を代わりに使用する。支持構造は、液体受入チャンバの壁と露出面との間に延びる少なくとも一つの柱を含んでもよいし、一部の実施形態では柱のアレイを含んでもよい。一つの特定の形態では、各列において間隔を空けた支柱を間隔を空けて並べるように、柱のアレイが構成されてもよい。この形態では、各列が流れ抵抗装置を提供し、流れ断面積の減少によって流れの抵抗を増大するとともに、各列を通過する液体の前面に表面張力障壁を提供する。他の装置を使用して同様の効果を挙げてもよい。例えば、液体受入チャンバを横切り、液体を通過可能にするオリフィスを有する一つまたは複数の壁を備える支持構造および/または流れ抵抗構造を使用してもよい。
【0014】
さらなる実施形態は、例えば再現可能な破裂のための液体貯蔵装置およびその配置に関連する構成と、液体受入チャンバ内の流れ抵抗および/または構造的完全性の強化構造と、の組み合わせなどの、上述した実施形態の組み合わせを含む。
【0015】
一部の実施形態では、液体貯蔵装置はブリスターパックを含んでもよい。一部の特定の実施形態では、液体貯蔵装置は、外面に固定されたフォイルと、フォイルに固定されたカバーとを備え、カバーとフォイルの間に液体貯蔵チャンバを画成する。液体貯蔵装置と外面との間に接着層が設けられる実施形態では、接着層にフォイルが固定されてもよい。
【0016】
一部の実施形態では、デバイスが回転軸の周りに回転されるとき、遠心力によって液体ハンドリング構造を通して液体の流れが駆動されるようにデバイスが構成される。一部のこのような遠心力実施形態では、液体ハンドリング構造は、第1開口から液体を受け取るとともに出口導管に接続された出口ポートを有する液体受入チャンバを備える。出口導管は、出口ポートから屈曲部に向けて半径方向内側に延びるとともに屈曲部から半径方向外側に延びる。屈曲部は、液体受入チャンバの充填面(fill level)よりも半径方向外側にある。
【0017】
有利なことに、この構成により、屈曲部の径方向位置に対応するしきい値液面を液体が超えた場合、回転の下で液体ハンドリング構造から液体のみが分配される。これにより、最小の液面に到達した場合、液体のみが確実に分配される。代替的な実施形態では、液体受入チャンバの充填面よりも半径方向内側に屈曲部が配置される。この実施形態では、毛管力により出口導管内に液体が引き込まれ、回転中に液体ハンドリング構造を空にするサイフォンとして出口が実質的に機能するほど液体が十分に前進するようにデバイスが減速されるまで、初期回転の下で液体ハンドリング構造内に液体が保持される(典型的に「毛管サイフォン」と呼ばれる構成)。
【0018】
一部の実施形態では、液体受入チャンバは、反対側の端部における液体受入チャンバの半径方向外側の面よりも半径方向内側にある半径方向外側の面を第1開口では有している。例えば、半径方向外側の面は、第1開口に隣接する端部から反対側の端部までらせん状の軌跡をたどってもよい。この構成の結果、液体受入チャンバ内の全ての液体が回転によって反対側の端部に向けて駆動され、その端部に配置された出口ポートを通して下流液体ハンドリング構造に液体を流すことが可能になる。
【0019】
一部の実施形態では、デバイスの回転中に分配されるべき液体貯蔵装置内部の液体が半径方向内側にあるような場所で、液体貯蔵装置の破裂を容易にするように第1開口が構成されている。例えば、上述した鋭いエッジが第1開口よりも半径方向外側の面に配置されてもよいし、および/または、重なる接着層領域が、第1開口よりも半径方向内側の面に配置されてもよい。この構成により、液体貯蔵装置の効率的な放出が実現される。上記の場所が実質的に第1開口の半径方向最外面になるように第1開口が配置される一つの特定の実施形態では、液体貯蔵装置内の液体のほぼ全てを回転により放出することができる。例えば、この目的のために、上述した鋭いエッジおよび/またはスパイクを第1開口の半径方向最外面に配置してもよいし、および/または、第1開口の半径方向最内面に接着層の重なりを配置してもよい。
【0020】
一部の実施形態では、液体ハンドリング構造と、デバイスに固定されデバイス内に液体を進ませるための入口ポートと重なる液体貯蔵装置と、を備えるデバイス内に液体を導入する方法が提供される。この方法は、液体貯蔵装置に圧力を与えて液体貯蔵装置を破り、デバイス内に液体を導入することを含む。続いて、デバイスを回転させて導入された液体から気体を分離する。その後、デバイスをさらに回転させて、デバイスの液体ハンドリング構造を通して液体を流す。
【0021】
加えて、以下の実施形態が開示される。
【0022】
1.回転により動作する流体ハンドリングデバイスに、ある体積の液体を供給する方法であって、
前記流体ハンドリングデバイスに連通ポート入口を設け、該連通ポート入口の外周から外側に延びる接着層によって液体貯蔵パッケージを前記流体ハンドリングデバイスに取り付けるステップを含み、
前記接着層は、前記連通ポート入口の異なる外形の厚さを貫通する穴を画成し、該接着層の穴の内部に少なくとも部分的に画成される前記連通ポート入口のエッジに液体貯蔵パッケージを機械的に押し付けて該液体貯蔵パッケージの破裂を促進し、
カートリッジを回転させて前記液体貯蔵パッケージから前記流体ハンドリングデバイスに液体内容物を引き出し、破裂時に導入される気泡を排除するステップを含む方法。
【0023】
2.前記流体ハンドリングデバイスは、回転時に前記液体貯蔵パッケージから液体を受け取り、その後少なくとも一つの隣接構造に液体を分配する受入構造を前記連通ポートに隣接して有していることを特徴とする項目1に記載の方法。
【0024】
3.前記カートリッジは、前記液体貯蔵パッケージから液体を受け取る受入構造を前記連通ポートに隣接して有しており、前記受入構造は、回転の前に隣接構造へと液体が流れるのを防止する少なくとも一つの障壁を有していることを特徴とする項目1または2に記載の方法。
【0025】
4.前記流体ハンドリングデバイスは、前記液体貯蔵パッケージから液体を受け取るとともにサイフォン状の出口導管によって隣接構造に接続される受入構造を有しており、所定の体積に到達した後にのみ、回転により隣接構造に液体を分配することを特徴とする項目1ないし3のいずれかに記載の方法。
【0026】
5.前記流体ハンドリングデバイスは、前記液体貯蔵パッケージから液体を受け取るとともにサイフォン状の導管によって隣接構造に接続される受入構造を有しており、第1回転数で前記受入構造内に液体を保持し、前記第1回転数に対する少なくとも一つの変化を必要とする後続ステップで隣接構造に液体を分配することを特徴とする項目1ないし4のいずれかに記載の方法。
【0027】
6.前記受入構造は、回転時に前記液体貯蔵パッケージから受け取った液体を該受入構造から逃がす第2出口を有し、これによって、隣接構造への分配の前に前記受入チャンバ内に計量された体積を残すことを特徴とする項目5に記載の方法。
【0028】
7.前記所定の液面は、隣接構造への分配のために最少体積の液体が前記受入構造に確実に入るように設定されることを特徴とする項目4に記載の方法。
【0029】
8.前記流体ハンドリングデバイスは、前記液体貯蔵パッケージから液体を受け取り隣接構造に液体を分配する分配構造を有し、隣接構造に液体が分配されている間、気体の循環を可能にしてシステム内の気体圧力を維持する、隣接構造に接続された追加導管が設けられることを特徴とする項目1ないし7のいずれかに記載の方法。
【0030】
9.前記流体ハンドリングデバイスは、前記液体貯蔵パッケージから内容物を受け取り隣接構造に前記内容物を分配する受入構造を有し、前記液体が分配される出口導管内で終わるらせん状の半径方向最外面を持つように構成されることを特徴とする項目1ないし8のいずれかに記載の方法。
【0031】
ブリスターパックなどの封止された液体貯蔵パッケージを備える分析回転カートリッジがさらに記載される。封止された液体貯蔵パッケージは流体ハンドリングデバイスに取り付けられる。流体ハンドリングデバイスは、液体貯蔵パッケージがハンドリング中にその封止の完全性を保持するが、機械的に押圧されたときに流体連通ポート入口の外形の所定の位置で破裂するように設計された流体連通ポートを有している。この結果、液体内容物がデバイスに進み、回転時に液体貯蔵パッケージから流体ハンドリングデバイス内に画成された構造へと液体が流れる
【0032】
開示される実施形態は、貯蔵および操作時には安定を維持するが、オペレータまたは自動化手段による押圧時には容易に破裂するように、所定の範囲の機械力以内で押圧されたときにブリスターパックを破裂可能にする液体貯蔵部品、構造、配置およびカートリッジの動作に関連する。実施形態は、破裂時に制御された態様で液体貯蔵パッケージから液体を受け取るとともに、デバイスの回転を介して破裂時に生じた気泡を除去するための、流体ハンドリングデバイスの連通ポート入口および隣接する流体構造にも関連する。
【0033】
図面を参照して、限定でなく例示および図解を目的として、特定の実施形態について以下に説明する。