特許第5997263号(P5997263)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5997263
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】工作機械
(51)【国際特許分類】
   B23B 29/32 20060101AFI20160915BHJP
   B23B 3/30 20060101ALI20160915BHJP
   B23B 21/00 20060101ALI20160915BHJP
   B23Q 1/48 20060101ALI20160915BHJP
   B23Q 1/26 20060101ALI20160915BHJP
【FI】
   B23B29/32
   B23B3/30
   B23B21/00 C
   B23Q1/48 Z
   B23Q1/26 Z
【請求項の数】20
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-513111(P2014-513111)
(86)(22)【出願日】2012年5月18日
(65)【公表番号】特表2014-518776(P2014-518776A)
(43)【公表日】2014年8月7日
(86)【国際出願番号】EP2012059282
(87)【国際公開番号】WO2012163697
(87)【国際公開日】20121206
【審査請求日】2015年3月4日
(31)【優先権主張番号】102011076835.1
(32)【優先日】2011年5月31日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508122046
【氏名又は名称】ギルドメイスター イタリアーナ ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】ワルツ, ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】リゴロネ, フランコ
(72)【発明者】
【氏名】デューリンガー, ゴットフリート
(72)【発明者】
【氏名】ロタ, レナート
(72)【発明者】
【氏名】ゲルスト, マニュエル
【審査官】 五十嵐 康弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭52−108588(JP,A)
【文献】 特開平03−190602(JP,A)
【文献】 特開2008−062357(JP,A)
【文献】 特許第3360824(JP,B2)
【文献】 実開平03−033010(JP,U)
【文献】 国際公開第2011/001517(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第00999002(EP,A1)
【文献】 米国特許第05127140(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2001/0032532(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0129120(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 1/00−29/34
B23Q 1/00− 1/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械フレーム(1)と、
前記機械フレーム(1)上に配置され、第1ワークピース(W1)を受け取る第1ワークスピンドル(21)と、
前記機械フレーム(1)上に配置された第1工具担持体(62)であって、前記第1ワークピース(W1)を加工するために、前記第1工具担持体(62)に保持された工具を前記第1ワークスピンドル(21)に受け取られた前記第1ワークピース(W1)にアライメント調整するように構成された第1工具担持体(62)と
を具備し、
前記機械フレーム(1)は、第1工具担持面(WTS1)を有する第1担持部分(1a)と、第2工具担持面(WTS2)を有する第2担持部分(1b)と、前記第1及び第2担持部分(1a,1b)間に配置され、第3工具担持面(WTS3)を含む中央部分(1c)とを備え、
前記第1担持部分(1a)の前記第1工具担持面(WTS1)及び前記第2担持部分(1b)の前記第2工具担持面(WTS2)は前記機械フレーム(1)における同一の第1表面上に配置され、
前記中央部分(1c)の前記第3工具担持面(WTS3)は、前記機械フレーム(1)における前記第1表面に対して実質的に垂直又は傾斜して位置付けられ前記機械フレーム(1)の第2表面上に配置され、
前記第1工具担持体(62)は、
前記第1工具担持体(62)を回転させる数値制御可能な回転軸(B)と、
複数の工具を担持し、第1タレット軸の回りを回転可能にして取り付けられた第1工具タレットヘッド(62A)と、
複数の工具を担持し、第2タレット軸の回りを回転可能にして取り付けられた第2工具タレットヘッド(62B)と、
前記第1工具タレットヘッド(62A)及び前記第2工具タレットヘッド(62B)は、前記回転軸(B)における回転の軸線に関して前記第1工具担持担持体(62)の両側に配置されている、工作機械
【請求項2】
前記第1タレット軸前記第2タレット軸と平行又は同軸的にアライメント調整されている、請求項1に記載の工作機械
【請求項3】
前記第1工具タレットヘッド(62A)の前記第1タレット軸及び/又は前記第2工具タレットヘッド(62B)の前記第2タレット軸前記回転軸(B)の回転の軸線に対して横断する方向又は垂直にアライメント調整されている、請求項に記載の工作機械
【請求項4】
前記第1工具担持体(62)は、前記回転軸(B)の回転の軸線と平行な方向(Y2)に前記第1及び第2工具タレットヘッド(62A,62B)を変位させる数値制御可能な線形軸を更に有する、請求項に記載の工作機械
【請求項5】
前記線形軸は伸縮可能な線形軸の形態をなしている請求項4に記載の工作機械
【請求項6】
前記第1工具担持体(62)の前記回転軸(B)は、前記第1ワークスピンドル(21)のスピンドル軸に対して横断する方向又は垂直にアライメント調整されている、請求項に記載の工作機械。
【請求項7】
前記第1及び第2工具タレットヘッド(62A,62B)の前記タレット軸は、前記回転軸(B)の回りに前記第1工具担持体(62)を回転させることにより、前記第1ワークスピンドル(21)のスピンドル軸に対して横断する方向にアライメント調整可能であり、
前記第1及び第2工具タレットヘッド(62A,62B)の前記タレット軸は、前記回転軸(B)の回りに前記第1工具担持体(62)を回転させることにより、前記第1ワークスピンドル(21)のスピンドル軸に対して平行にアライメント調整可能であり、及び/又は、
前記第1及び第2工具タレットヘッド(62A,62B)の前記タレット軸は、前記回転軸(B)の回りに前記第1工具担持体(62)を回転させることにより、前記第1ワークスピンドル(21)のスピンドル軸に対して任意の角度にアライメント調整可能である、請求項に記載の工作機械
【請求項8】
前記機械フレーム(1)に配置された第1工具担持スライダ(52)であって、該第1工具担持スライダ(52)上に前記第1工具担持体(62)が配置された第1工具担持スライダ(52)を更に備え、
前記第1工具担持スライダ(52)は前記第1ワースピンドル(21)のスピンドル軸線に対して横断する方向又は垂直な方向(X2)に変位可能である、請求項に記載の工作機械
【請求項9】
第2ワークピース(W2)を受け取るために、前記第1ワークスピンドル(21)と対向し且つ前記機械フレーム(1)に配置された第2ワークスピンドル(22)を更に備え、
前記第2ワークスピンドル(22)のスピンドル軸は、前記第1ワークスピンドル(21)のスピンドル軸に対して平行又は同軸的にアライメント調整され、
前記第1工具担持体(62)は、前記第1ワークスピンドル(21)と前記第2ワークスピンドル(22)との間に配置されている、請求項に記載の工作機械。
【請求項10】
前記第1工具タレットヘッド(62A)は、複数の工具(T)を受け取る複数のマウント又は複数の工具を保持する複数の工具ホルダ(62a)を含み、
前記第1工具担持体(62)は、前記第1タレット軸の回りに前記第1工具タレットヘッド(62A)を回転せることにより、前記第1及び第2ワークスピンドルの1つに受け取られたワークピースに対して前記第1工具タレットヘッド(62A)の1つのマウントをアライメント調整すべく構成され、
前記複数のマウントは、前記第1タレット軸関して前記第1工具タレットヘッド(62A)の両側に対をなして配置されて、前記第1タレット軸がスピンドル軸に対して横断する方向又は垂直な方向にアライメント調整されたとき、対なすマウントのうちの一方のマウントが前記第2ワークスピンドル(22)にアライメント調整可能であり、この際、他方のマウントが第1ワークスピンドル(21)にアライメント調整される、請求項に記載の工作機械。
【請求項11】
前記第2工具タレットヘッド(62B)は複数の工具(T)を受け取る複数のマウント又は工具を保持する複数の工具ホルダ(62b)を含み、
前記第1工具担持体(62)は、前記第2タレット軸の回りに前記第2工具タレットヘッド(62B)を回転させることより、前記第1及び第2ワークスピンドルの1つに受け取られたワークピースに対して前記第2工具タレットヘッド(62)の1つのマウントをアライメント調整するように構成され、
前記複数のマウントは前記第2タレット軸線に関して前記第2工具タレットヘッド(62B)の両側に対をなして配置され、前記第2タレット軸がスピンドル軸に対して横断する方向又は垂直な方向にアライメント調整されたとき、前対をなすマウントの一方のマウントが前記第1ワークスピンドル(21)にアライメント調整可能であり、この際、他方のマウントが前記第2ワークスピンドル(22)にアライメント調整される、請求項に記載の工作機械。
【請求項12】
前記第1及び第2タレット軸の少なくとも1つが前記スピンドル軸線と平行にアライメント調整されているなら、前記第2ワークスピンドル(22)に受け取られた前記第2ワークピース(W2)に前記第2工具タレットヘッド(62B)の1つのマウントをアライメント調整することにより、前記第1工具タレットヘッド(62A)の1つのマウントが前記第1ワークスピンドル(21)に受け取られた前記第1ワークピース(W1)とアライメント調整可能である、請求項11に記載の工作機械。
【請求項13】
前記第1ワークスピンドル(21)は前記第1担持部分(1a)に配置され、前記第2ワークスピンドル(22)は前記第2担持部分(1b)に配置されている、請求項に記載の工作機械。
【請求項14】
スピンドル軸線に対して横断する方向に変位可能な第1工具担持スライダ(52)が前記中央部分(1c)の前記第3工具担持面(WTS3)に配置され、前記第1工具担持体(62)が前記第1工具担持スライダ(52)に配置されている、請求項に記載の工作機械。
【請求項15】
前記中央部分(1c)は、第1ガイド及び第2ガイド間凹みを含み、前記第1工具担持体(62)の前記回転軸のためのハウジングが前記凹み内に延びている、請求項14に記載の工作機械。
【請求項16】
前記第1担持部分(1a)の前記第1工具担持面(WTS1)に配置された第2工具担持スライダ(51)であって該第2工具担持スライダ(51)上に第2工具担持体(61)が配置されている、第2工具担持スライダ(51)、及び/又は、
前記第2担持部分(1b)の前記第2工具担持面(WTS2)に配置された第3工具担持スライダ(53)であって、該第3工具担持スライダ(53)上に第3工具担持体(63)が配置されている、第3工具担持スライダ(53)を更に備え、
前記第2及び第3工具担持スライダ(51;53)がスピンドル軸に対して横断する方向又は垂直な方向に変位可能である、請求項に記載の工作機械。
【請求項17】
前記第2及び/又は第3工具担持体(61;63)は、前記スピンドル軸に対して横断する第1方向(X1;X2)、前記第1方向(X1;X2)に対して横断し且つ前記スピンドル軸に対して横断する第2方向(Y1;Y2)、及び/又は前記スピンドル軸と平行な第3方向(Z1;Z2)に変位可能である、請求項16に記載の工作機械。
【請求項18】
前記第2及び/又は第3工具担持体(61;63)は工具タレットとして形成され、該工具タレットは複数の工具を担持し且つ前記スピンドル軸平行にアライメント調整されたタレット軸の回りに回転するように受け取られたタレットヘッドを含む、請求項16に記載の工作機械。
【請求項19】
前記第1担持部分(1a)の前記第1工具担持面(WTS1)及び前記第2担持部分(1b)の前記第2工具担持面(WTS2)は実質的に前記第1表面上に広がり、前記中央部分(1c)の前記第3工具担持面(WTS3)は実質的に前記第1表面に対して垂直又は傾斜してアライメント調整された前記第2表面上に広がっている、請求項に記載の工作機械。
【請求項20】
前記第3工具担持面(WTS3)は、前記機械フレーム(1)における前記第1及び第2担持部分(1a,1b)の前記第2表面に対して前記機械フレーム(1)内に向けて凹んでいる、請求項19に記載の工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に旋盤等の工作機械に関し、該工作機械は工具担持体を備え、該工具担持体は複数の工具を担持し且つタレット軸の回りに回転可能に取り付けられた工具タレットヘッドを有する
【背景技術】
【0002】
一般的な工具担持体を有する一般的な工作機械は機械フレームを含む。この機械フレーム上に単一のワークスピンドル、又は、平行又は同軸的なスピンドル軸を有する互いに対向した2つのワークスピンドル備えられ、ワークスピンドル加工工具で加工されるべきワークピースを受け取り可能である。加工のための複数の工具を準備するために、通常は、1つ以上の工具担持体が備えられ、これら工具担持体は複数の工具担持スライダ、特に複数の複合工具担持スライダ上に設けられている。工具担持スライダは機械フレームに配置され、1つ以上の線形軸によりワークスピンドルに対して変位可能である(例えば、X,Y又はZ方向に変位可能である)。この種の一般的な工作機械は例えば特許文献1又は2から公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】東独(DE)特許第279429 A1号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0999002 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
概して、この種の一般的な工作機械には、コンパクトで且つコスト的に有利な構成で、且つ、複数の工具と複数のワークスピンドルに受け取られたワークピースとの間の相対移動の制御に関しての最大限の自由度を備え、可能な限り多数の工具でもって複数のワークピースを効率的に加工でき、また、同時使用の最大限の能力を有することが要求さている。
【0005】
従って、本発明の目的は、一般的な工作機械を改良することにあり、これにより、本発明の工作機械はコンパクトで且つコスト的に有利な構成であるとともに、工作機械の機械工又は作業者が容易に覗き込むことができる加工スペースや、複数の工具と複数のワークスピンドルに受け取られたワークピースとの間での相対移動の制御に関しての最大限の自由度を備え、可能な限り多数の工具でもって複数のワークピースを効率的に加工でき、同時使用の最大限の能力を有する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明は請求項1の工作機械を提供する。従属請求項は本発明の好適な実施形態に関する。
【0007】
この状況にて、本発明は、数値制御可能な回転軸を有した第1工具担持体を提供するという概念に基づき、回転軸上には回転軸の回転の軸線に対して第1工具担持体の両側に位置付けられた2つの工具タレットヘッド備えられる第1工具担持体は回転制御可能な回転軸により回転可能であり、これにより、第1工具タレットヘッドの工具が工作機械の1つのワークスピンドルにライメント調整可能であり、また、第2工具タレットヘッドの工具が工作機械のワークスピンドルにアライメント調整可能となる。従って、単一の第1工具担持体により、工作機械には自由に使用可能な多数の工具が備えられる。
【0008】
また、工作機械としての対をなす旋盤に前記第1工具担持体を提供することが可能且つ特に好適となり、ここでの旋盤は、互いに対向する2つのワークスピンドルを含み、これらワークスピンドルは平行又は同軸的に配置されている。これにより、回転軸により第1工具担持体を回転させることで、工具担持体の2つの工具タレットヘッドの1つにて、互いに反対側に位置した工具を用い、ワークスピンドルの両方ワークピース同時に加工できる構成のみならず、第1工具タレットヘッド及び第2工具タレットヘッドの各々工具によりワークスピンドルの両方にてワークピース同時に加工できる構成が可能となる。この結果、本発明の工作機械、即ち、第1工具担持体によれば、単一の第1工具担持体のみ非常にコンパクトな構成で、多数の異なる工具を用い、多数の異なる加工オプションを提供することが好適に可能となる。
【0009】
本発明によれば、本発明の上述した概念に基づき、旋盤等の工作機械のための第1工具担持体が提供される。該第1工具担持体は、第1工具担持体を回転させる数値制御可能な回転軸と、複数の工具を担持し且つ第1タレット軸の回りに回転可能に取り付けられた第1工具タレットヘッドと、複数の工具を担持し且つ第2タレット軸の回りに回転可能に取り付けられた第2工具タレットヘッドとを備える。また、本発明によれば、回転軸の回転の軸線に関し第1工具担持体の両側に位置付けられた第1工具タレットヘッド及び第2工具タレットヘッドが提供される。
【0010】
従って、本発明の第1工具担持体は、該第1工具担持体がワークスピンドルのワークピースを加工するために好適に配置された2つの工具タレットヘッドを有することでコンパクトにして提供され、複数の工具と複数のワークスピンドルに受け取られたワークピースとの間の相対移動の制御に関して非常に高い自由度を許容するので、可能な限り多数の工具でもって複数のワークピースの効率的な加工が可能となり、この結果、個別に制御可能な複数の工具担持スライダが考えられる
【0011】
以下に本発明の好適な複数の実施形態が記載される。これら実施形態は個々に、又は、更に好適な本発明の実施形態となすために製作可能である。
【0012】
好ましくは、第1タレット軸は第2タレット軸と平行、特に同軸的にアライメント調整されている。従って、第1工具担持体はよりコンパクトに好適に構成され且つ複数の工具と複数のワークスピンドルに受け取られたワークピースと間での相対移動の制御に関して更なる改良を許容する。
【0013】
好ましくは、第1工具タレットヘッドの第1タレット軸及び/又は第2工具タレットヘッドの第2タレット軸は回転軸における回転の軸線に関して横断する方向、特に垂直にアライメント調整されている。このことは、第1又は第2タレット軸の方向付けが回転軸により連続して変更可能であるので、第1工具担持体工具の提供又は工具アライメントを著しく改善する。従って、このことは複数の工具と複数のワークスピンドルに受け取られたワークピースとの間の相対移動の制御に関して、更なる改良を可能にする。
【0014】
また、特に好適な実施形態において、第1工具担持体は、回転軸回転の軸線と平行な方向に第1及び第2工具タレットヘッドを移動させる数値制御可能な線形軸を含む。この場合、好ましくは線形軸は伸縮可能な線形軸として構成され、この線形軸は非常にコンパクトになり、複数の工具と複数のワークスピンドルに受け取られたワークピースとの間の相対移動に関し、自由度の更なる改良を許容する。
【0015】
好ましくは、第1工具担持体はハウジングを含み、このハウジング内に回転軸の駆動部及び/又は随意の線形軸の駆動部が位置付けられる。従って、回転軸の駆動部及び線形軸の駆動部が1つのハウジングに収容さるなら、その構成はよりコンパクトとなる。
【0016】
特に好適な実施形態によれば、第1工具タレットヘッドは径方向タレットヘッドとして形成され、第1工具タレットヘッドの外周に複数の工具又は複数の工具ホルダのための複数のマウントが配置されているか、及び/又は、第2工具タレットヘッドは径方向タレットヘッドとして形成され、第2工具タレットヘッドの外周に複数の工具又は複数の工具ホルダのための複数のマウントが配置されている。このことは、タレット軸の方向付けに依存したタレット軸回りの回転により、複数の工具又は複数の工具を担持する複数の工具ホルダの複数のマウントの径方向配置により、複数ワークスピンドルのワークピース又は複数のワークスピンドルに対して複数の工具径方向、軸方向及び傾斜方向にアライメント調整可能となる利点を有する。
【0017】
本発明の更なる他の形態によれば、工作機械、特に旋盤が提供され、この工作機械は上述の実施形態の1つの第1工具担持体を備えている。
【0018】
好ましくは、工作機械は機械フレームと、該機械フレームに配置さ、第1ワークピースを受け取る第1ワークスピンドルとを備える。好ましくは、第1工具担持体は機械フレームに配置され、第1ワークピースを加工するため、第1ワークスピンドルに受け取られた第1ワークピースに第1工具担持体に保持された1つの工具をアライメント調整可能に構成されている。
【0019】
好ましくは、第1工具担持体の回転軸は第1ワークスピンドルのスピンドル軸に対して横断する方向又は垂直にアライメント調整されている。好ましくは、この後、第1及び第2工具タレットヘッドは回転軸の回りに第1工具担持体を回転させることより、第1ワークスピンドルのスピンドル軸に対して横断する方向にアライメント調整可能である。好ましくは、この後、第1及び第2工具タレットヘッドのタレット軸は、回転軸の回りに第1工具担持体を回転させることにより、第1ワークスピンドルのスピンドル軸に対して平行にアライメント調整可能である。特に、好ましくは、第1及び第2工具タレットヘッドのタレット軸は回転軸の回りに第1工具担持体を回転させることにより、第1ワークスピンドルのスピンドル軸に対して任意の角度アライメント調整可能である。
【0020】
他の好適な実施形態によれば、工作機械はまた、第1ワークスピンドルに対向して機械フレームに配置され、第2ワークピースを受け取る第2ワークスピンドルを備え、好ましくは、第2ワースピンドルのスピンドル軸は第1ワークスピンドルのスピンドル軸に対して平行、特に同軸的にアライメント調整されている。この場合、好ましくは、第1工具担持体は第1ワークスピンドルと第2ワークスピンドルとの間に配置されている。従って、工作機械はより顕著にコンパクトにするうえで好適なものとなる
【0021】
好ましくは、第1工具タレットヘッドは、複数の工具又は複数の工具を保持する工具ホルダを受け取る複数のマウントを備え、好ましくは、第1工具担持体は第1タレット軸の回りに第1工具タレットヘッドを回転させることにより、ワークスピンドルの1つに受け取られたワークピースに対して第1工具タレットヘッドの1つのマウントをアライメント調整すべく構成されている。この場合、好ましくは、複数のマウントは第1タレット軸に関し、第1工具タレットヘッドの両側対をなして配置され、好ましくは、第1タレット軸がスピンドル軸線を横断する方向又は垂直にアライメント調整されているとき、対をなすマウントの一方のマウントは第2ワークスピンドルに対してアライメント調整可能であり、その他方のマウントは第1ワークスピンドルに対してアライメント調整される。このことは、複数の工具と複数のワークスピンドルに受け取られワークピースとの間の相対移動の制御に関し、自由度の更なる改良を可能にする。
【0022】
好ましくは、第2工具タレットヘッドは複数の工具又は複数の工具を保持する複数の工具ホルダ複数のマウントを備え、好ましくは、第1工具担持体は、第2タレット軸の回りに第2工具タレットヘッドを回転させることにより、ワークスピンドルの1つに受け取られたワークピースに対し、第2工具タレットヘッドの1つのマウンドをアライメント調整すべく構成されている。この場合、好ましくは、複数のマウンは、第2タレット軸に関し、第2工具タレットヘッドの両側に対をなして配置され、好ましくは、第2タレット軸がスピンドル軸線を横断する方向又は垂直にアライメント調整されているとき、対をなすマウントの一方のマウントは第1ワークスピンドルに対してアライメント調整可能であり、その他方のマウントは第2ワークスピンドルに対してアライメント調整される。このことは、複数の工具と複数のワークスピンドルに受け取られたワークピースとの間の相対移動の制御に関し、自由度の更なる改良を可能にする。
【0023】
好ましくは、第1及び第2タレット軸の少なくとも1つがスピンドル軸線平行にアライメント調整されているなら、第2ワークスピンドルに受け取られたワークピースに第2工具タレットヘッドの1つのマウントをアライメント調整することにより、第1工具タレットヘッドの1つのマウントは、第1ワースピンドルに受け取られたワークピースに対して平行にアライメント調整可能である。このことは、複数の工具と複数のワークスピンドルに受け取られたワークピースとの間の相対移動の制御に関し、自由度の更なる改良を可能にする。
【0024】
好ましくは、機械フレームは、第1工具担持面を有する第1担持部分と、第2工具担持面を有する第2担持部分と、第1及び第2担持部分間に配置され且つ第3工具担持面を有する中央部分とを含む。この場合、好ましくは、第1担持部分の第1工具担持面及び第2担持部分の第2工具担持面は機械フレームの同一の第1表面に配置され、中央部分の第3工具担持面は機械のフレームの第2表面に配置されている。第2表面は機械フレームの第1表面に対して実質的に垂直又は傾斜して配置されている。従って、工作機械はよりコンパクトになるうえで好適なものとなる
【0025】
好ましくは、第1ワースピンドルは第1担持部分に配置され、第2ワークスピンドルは第2担持部分に配置されている。従って、工作機械はよりコンパクトになるうえで好適なものとなる
【0026】
好ましくは、第1工具担持スライダがスピンドル横断する方向に変位可能であり、この第1工具担持スライダは中央部分の第3工具担持面に配置され、そして、第1工具担持体は第1工具担持スライダに配置されている。従って、工作機械はよりコンパクトになるうえで好適なものとなる
【0027】
好ましくは、中央部分は第1及び第2ガイド間凹みを備えており、該凹み内に向けて第1工具担持体における回転軸のハウジングが延びている。従って、工作機械はよりコンパクトになるうえで好適なものとなる
【0028】
好ましくは、第1及び/又は第2ワークスピンドルはスピンドル軸の方向に変位可能である。従って、このことは、複数の工具と複数のワークスピンドルに受け取られたワークピースとの間の相対移動の制御に関し、更に顕著な自由度の改良を可能にする。
【0029】
好ましくは、工作機械は、第1担持部分の第1工具担持面に配置された第2工具担持スライダと、該第2工具担持スライダに配置された第2工具担持体と、及び/又は、第3工具担持スライダに配置された第3工具担持体を備える。この場合、好ましくは、第2及び/又は第3工具担持スライダはスピンドル軸に対して、平行な方向又は横断する方向、特に垂直に変位可能である。特に、好ましくは、第2及び/又は第3工具担持体はスピンドル軸を横断する第1方向、該第1方向を横断し且つスピンドル軸を横断する第2方向、及び/又は、スピンドル軸と平行な第3方向に変位可能である。このことは、工作機械への工具提供の改良、且つ、複数の工具と複数のワークスピンドルに受け取られたワークピースとの間の相対移動の制御に関し、更に顕著な自由度の改良を可能にする。
【0030】
好ましくは、第2及び/又は第3工具担持体は工具タレットとして構成され、この工具タレットは少なくとも1つの工具タレットヘッドを備え、この工具タレットヘッドは複数の工具を担持し且つスピンドル軸線と平行にアライメント調整されたタレット軸の回りに回転可能に取り付けられている。他の実施形態では、第2及び/又は第3工具担持体本発明の1つの第1工具担持体として構成できる本発明の第1工具担持体は1つの回転軸と、2つの工具タレットヘッドを有し、これら工具タレットヘッドは回転軸に関して第1工具担持体の両側に配置されている。
【0031】
好ましくは、第1担持部分の第1工具担持面及び第2担持部分の第2工具担持面は実質的に同一の第1表面上に広がり、中央部分の第3工具担持面は第1表面に対して垂直又は傾斜してアライメント調整された第2表面上に広がっている。この場合、好ましくは、第3工具担持面は、機械フレームにおける第1及び第2担持部分の前記第2表面に関し、機械フレーム内に向けて変位されている。
【0032】
従って、機械フレーム、即ち、機械フレーム構成が特に好適且つコンパクトに提供でき、この機械フレーム構成内にて、第1工具担持体のための第1工具担持スライダはワークスピンドル間又は機械フレームの第1及び第2担持部分間の凹み(該凹みは好適には、前述の幾つかの実施形態にて機械フレーム内の加工スペースを形成する)内にコンパクトに配置可能である。
【0033】
明確に視認可能な加工スペースは視認される方向に開口するか、又は、一面に開口し、第1及び第2担持部分間に簡単且つコンパクトにして確保される。第1及び第2担持部分が鉛直にアライメント調整されているなら、スピンドル軸は鉛直方向に対して水平にアライメント調整され、前記第1方向は第1及び第2担持部分間を実質的に鉛直に走り、また、この構成にて、好都合な切削屑の回収通路がワークスピンドル及び前記工具担持体の下方に提供可能となる
【発明の効果】
【0034】
要約すれば、本発明は、最大限に同時使用できる能力を得るとともに、可能な限り多数の工具でもって複数のワークピースの加工を可能にすべく、一般的な工作機械の改良を可能にし、該改良の工作機械は、複数の工具と複数のワークスピンドルに受け取られたワークピースとの間の相対移動の制御に関して最大限の自由度を可能にし、また、同時に、工作機械をコンパクトな構成にする。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の第1工具担持体の好適な実施形態での工作機械の機械フレーム構成を示す概略斜視図である。
図2】本発明の第1工具担持体の好適な実施形態での工作機械の概略前面図である。
図3図2の実施形態で工作機械の概略平面図である。
図4図2の実施形態での工作機械の加工スペースの詳細を示す図である。
図5図2の実施形態での工作機械の他の加工スペースの詳細を示す図である。
図6A図2の実施形態での工作機械の更に別の加工スペースの詳細を示す図であって、第1工具担持体が如何に方向付けられるかを図示する。
図6B図2の実施形態での工作機械の更に別の加工スペースの詳細を示す図であって、第1工具担持体が如何に方向付けられるかを図示する。
図6C図2の実施形態での工作機械の更に別の加工スペースの詳細を示す図であって、第1工具担持体が如何に方向付けられるかを図示する。
図6D図2の実施形態での工作機械の更に別の加工スペースの詳細を示す図であって、第1工具担持体が如何に方向付けられるかを図示する。
図6E図2の実施形態での工作機械の更に別の加工スペースの詳細を示す図であって、第1工具担持体が如何に方向付けられるかを図示する。
図7図2の実施形態での工作機械の更に別の加工スペースの詳細を芯押し台との関連にて示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を開示する。しかしながら、本発明は開示された実施形態に制約されない。本発明は特許請求の範囲によって規定される。実施態様の同様な特徴には図中、同一の参照符号付されている。
【0037】
図1は、好適な実施形態に係る工作機械、即ち、その機械フレームの概略斜視図である。機械フレーム1は第1担持部分1a、第2担持部分1b及び第1及び第2担持部分1a,1b間に配置された中央部分1cを備える。
【0038】
図1に示されるように、第1担持部分1aは一例として第1前面VS1及び第1工具担持面WTS1を含み、これらの面は実質的に互いに垂直な面に位置付けられている。第1担持部分1aと同様に、第2担持部分1bは一例として第2前面VS2及び第2工具担持面WTS2を含み、これらの面は互いに垂直な面に位置付けられている。
【0039】
図1によれば、第1担持部分1aの第1工具担持面WTS1及び第2担持部分1bの第2工具担持面WTS2は実質的に1つの第1表面上に広がり、第1担持部分1aの第1前面VS1及び第2担持部分1bの第2前面VS2は実質的に1つの第2表面上に広がっている。例えば、第1面は実質的に第2面と垂直にアライメント調整されている。また、他の実施形態において、第1面は第2面に対して傾斜してアライメント調整可能である。
【0040】
図1の実施形態によれば、第1担持部分1aの第1工具担持面WTS1及び第2担持部分1bの第2工具担持面WTS2は機械フレーム1の上面に配置されている。第1担持部分1aの第1前面VS1及び第2担持部分1bの第2前面VS2は機械フレーム1の前面に配置されている。機械フレーム1はその下面に機械ベース部分MBを備え、この機械ベース部分MBは工作機械のための1つの設置区域(a footprint)を含む。他の実施形態において、機械フレームは、例えば工具担持面WTS1,WTS2が機械フレーム1の前面又は背面に配置されるような異なる構成を有していてもよい。
【0041】
機械フレーム1にて、第1及び第2担持部分1a,1b間に配置された中央部分1cは第3工具担持面WTS3を含む。中央部分1cの第3工具担持面WTS3は実質的に第3表面に広がっており、この第3表面は第1及び第2前面VS1,VS2の第2面と平行に方向付けされている。第3表面は第1及び第2前面VS1,VS2の第2表面に対して機械フレーム1内に向けて凹んで位置付けられ、特に機械フレーム1内に向けて第2表面と平行にして変位されている。
【0042】
第1担持部分1aの第1工具担持面WTS1及び第2担持部分1bの第2工具担持面WTS2は一例として機械フレーム1の上面に配置され、第1担持部分1aの第1前面VS1、第2担持部分1bの第2前面VS2及び中央部分1cの第3工具担持面WTS3は一例として機械フレーム1の前面に配置されている。機械工は機械フレーム1の前面から加工スペースを覗き込。加工スペースは該加工スペースが前面に向けて開口するように、中央部分1cを機械フレーム1内(第2表面に対して横断する方向)に変位させることで形成されている。
【0043】
加工スペース面BS1,BS2(例えば図1中の面BS1;図参照)の各々は、第1及び第2担持部分1a,1bの第1及び第2前面VS1,VS2と中央部分1cの第3工具担持面WTS3との間を延び、一例として第1及び第2担持部分1a,1bの第1及び第2工具担持面WTS1,WTS2の第1表面に対して垂直且つ、第1及び第2担持部分1a,1bの第1及び第2前面VS1,VS2の第2表面に対して横断する方向、特に垂直にアライメント調整されている。加工スペース面BS1,BS2は第3工具担持面WTS3とともに機械フレーム1に凹みを形成し、この凹みは工作機械の加工スペース及び図1でみて鉛直方向に切削屑のための1つの回収通路を形成する(図2の実施形態を参照)。
【0044】
図1の実施形態において、前記第1、第2担持部分及び中央部分1a〜1cは相互に接続されているが、本発明の他の実施形態では相互に分離して備えられてもよい。
【0045】
図2は本発明の一実施形態に係る工作機械の前面を示す概略図である。本実施形態によれば、第1及び第2ワークスピンドル21,22は一例として第1及び第2担持部分1a,1bの工具担持面WTS1,WTS2にそれぞれ配置されている。しかしながら、他の実施形態では、第1及び第2ワークスピンドル21,22は第1及び第2前面VS1,VS2に配置することもできる。
【0046】
図2の工作機械は、第1担持部分1aの第1工具担持面WTS1に配置され、第1ワークピースW1を受け取るために、1つのスピンドルハウジング21aに保持された第1ワークスピンドル21と、第1ワークスピンドル21と対向して第2担持部分1bの第2工具担持面WTS2に配置され、第2ワークピースW2を受け取る第2ワークスピンドル22とを含む。第2ワークスピンドル22は1つのスピンドルハウジング22aに保持されている。
【0047】
本実施形態において、第2ワークスピンドル22のスピンドル軸は第1ワークスピンドル21のスピンドル軸に対して同軸的にアライメント調整されているが、同軸ではないものの平行にアライメント調整されていてもよく、又は、変位の結果として同軸にアライメント調整可能にして平行にアライメント調整されもよい。
【0048】
本実施形態において、第1ワークスピンドル21スピンドルハウジング21a、複数のガイド21b上を案内されるスピンドルスライダ21cに配置され、そのスピンドル軸と平行な方向Z(ZMS、MSは「主スピンドル」を示す)に変位可能である。
第2ワークスピンドル22スピンドルハウジング22a、複数のガイド22b上を案内されるスピンドルスライダ22c上を案内され、そのスピンドル軸線と平行な方向Z(ZCS、CSは「副スピンドル」を示す)に変位可能である。他の実施形態においては、第1又は第2ワークスピンドルの1つのみが方向Zに変位可能であってもよい。
【0049】
本実施形態において、ガイド21b,22bは一例として、第1担持部分1aの第1工具担持面WTS1上又は第2担持部分1bの第2工具担持面WTS2上を延びているが、変形例として前面VS1又はVS2、即ち、機械フレームの突出部分にそれぞれ配置されていてもよく、これら突出部分は前面VS1,VS2上にそれぞれ配置されている。
【0050】
本発明によれば、図2に示された実施形態では、第1工具担持スライダ52が備えられている。この第1工具担持スライダ52は中央部分1cの第3工具担持面WTS3上に配置され、この第1工具担持スライダ52に第1工具担持体62が配置されている。第1工具担持スライダ52は図2にて鉛直方向X2、特に、第1及び第2ワークスピンドル21,22のスピンドル軸に対して垂直な方向に変位可能である。この目的のため、第3工具担持面WTS3には複数のガイド72aが配置され、これらガイド72aはスピンドル軸線を横断する鉛直方向X2にアライメント調整されている。第1工具担持スライダ52のハウジング52aに配置された線形軸(例えば、伸縮シャフトの形態である)により、第1工具担持体62はスピンドル軸を横断し且つ方向X2に対して横断する他の方向Y2に変位可能である。
【0051】
特に、第1工具担持体62は2つの工具タレットを含み、これら工具タレットは第1及び第2工具タレットヘッド62A,62Bを備えている第1及び第2工具タレットヘッド62A及び62Bは第1ワークスピンドル21と第2ワークスピンドル22との間に配置されている。第1及び第2工具タレットヘッド62A,62Bの各々はその工具タレットの各タレット軸回り回転可能に取り付けられている。本実施形態において、第1及び第2工具タレットヘッド62A,62Bのタレット軸は一例として同軸的にアライメント調整されている。
【0052】
ハウジング52aは回転軸Bのための回転軸駆動部を含み、回転軸Bにより第1工具担持体62は回転軸Bの軸線回りに回転可能である。この軸線はスピンドル軸に対して横断する方向で且つ方向Y2と平行、つまり、方向X2に対する横断方向にアライメント調整されている。本実施形態において、第1及び第2工具タレットヘッド62A,62Bタレット軸線は回転軸B横断する方向にアライメント調整されている。更に、第1及び第2工具タレットヘッド62A,62Bは、回転軸Bとは反対向きの第1工具担持体62の面にそれぞれ配置されている。
【0053】
また、工作機械は、第1担持部分1aの第1工具担持面WTS1に配置され、その上に第2工具担持体61が配置された第2工具担持スライダ51と、第2担持部分1bの第2工具担持面WTS2に配置され、その上に第3工具担持体63が配置された第3工具担持スライダ53とを含む。
【0054】
本実施形態において、第2及び第3工具担持体61,63は工具タレットとして構成され、これら工具タレットの各々は複数の工具を担持する第2及び第3工具タレットヘッドを含み、第2及び第3工具タレットヘッドはスピンドル軸と平行なタレット軸の回りに回転可能に取り付けられている。しかしながら、工具タレットの代わりに例えば、第2及び/又は第3工具担持体61,63のために、工具マウントを備えた切断/穿孔スピンドルを提供することも可能である。更に、第2及び/又は第3工具担持体61,63第1及び第2工具タレットヘッド62A,62Bを備えた本発明の第1工具担持体62と同様に形成されてなる本発明の好適な実施形態もまた可能である。
【0055】
図3図2の好適な実施形態における工作機械の平面図であり、本実施形態において、特に第2及び第3工具担持スライダの構造は参照符号51,5にて、より詳細に示されている。
【0056】
第2工具担持スライダ51は二重の複合スライダとして構成され、この複合スライダは3つのスライダ部51d,51a,51bを含む。スライダ部51dは機械フレーム1における第1担持部分1aに配置され、複数のガイド71a上を案内される。これらガイド71aは第1担持部分1aの第1工具担持面WTS1上にてスピンドル軸と平行に配置されている。従って、スライダ部51dは方向Z1(図2参照)に変位可能である。スライダ部51d上には複数のガイド71bが配置され、これらガイド71bはスピンドル軸を横断する方向に延び、ガイド71b上をスライダ部51aが方向Y2(図2参照)に変位可能に案内される。スライダ部51a上には複数のガイド71cが配置され、これらガイド71cはスピンドル軸を横断し且つガイド71bの方向Y2を横断する方向に延び、スライダ部51bはガイド71c上を方向X1(図2参照)に変位可能に案内される。最後に、スライダ部51bにハウジング51cが保持され、このハウジング51cは加工スペース内に向けてスピンドル軸と平行に延び、その端に第2工具担持体61を保持している。このような構成の結果、第2工具担持体61は3つの直交方向X1,Y1,Z1に変位可能である。
【0057】
本実施形態によれば、第3工具担持スライダ5もまた二重の複合スライダとして構成され、この複合スライダは3つのスライダ部53d,53a,53bを含む。スライダ部53dは機械フレーム1の第2担持部分1bに配置され、複数のガイド73a上を案内される。これらガイド73aは第2担持部分1bの第2工具担持面WTS2上にてスピンドル軸と平行に配置されている。従って、スライダ部53dは方向Z3(図2参照)に変位可能である。スライダ部53d上には複数のガイド73bが配置され、これらガイド73bはスピンドル軸を横断する方向に延び、スライダ部53aはガイド73b上を方向Y3(図2参照)に変位可能に案内される。スライダ部53a上には複数のガイド73cが配置され、これらガイド73cはスピンドル軸を横断し且つガイド73bの方向Y3を横断する方向に延び、スライダ部53bはガイド73c上を方向X3(図2参照)に変位可能に案内される。最後に、スライダ部53にハウジング53cが保持され、このハウジング53cは加工スペース内に向けてスピンドル軸と平行に延び、その端に保持された第3工具担持体63を有する。このような構成の結果、第3工具担持体63は3つの直交方向X1,Y1,Z1に変位可能である。
【0058】
図4は、図2,3の本発明の好適な実施形態に係る工作機械の加工スペースの詳細を示す。
【0059】
前述したように本実施形態では、第2及び第3工具担持体は各々が第2及び第3工具タレットヘッド61,62を備えた工具タレットの形態をなす。本実施形態にて、第2及び第3工具タレットヘッド61,63はこれらのタレット軸が互いに平行且つスピンドル軸と平行にアライメント調整されている。第2工具担持体の第2工具タレットヘッド61には複数の工具ホルダ61aがタレット軸回りの周方向に配置され、各工具ホルダ61aはワークピースを加工する工具Tを保持すべく構成されている。
【0060】
タレット軸の回りに第2工具タレットヘッド61を回転させることより、各工具ホルダ61aは第1ワークスピンドル21に対し、該第1ワークスピンドルに保持されたワークピースW1を加工するようにアライメント調整可能である。第2工具タレットヘッド61のための駆動部はハウジング51c内に配置可能である。同様に、第3工具タレットヘッド63には多数の工具ホルダ63aがタレット軸回りの周方向に配置され、各工具ホルダ63aはワークピースを加工する工具Tを保持すべく構成されている。タレット軸の回りに第3工具タレットヘッド63を回転させることより、各工具ホルダ63aは第ワークスピンドル22に対し、該第2ワークスピンドルに保持されたワークピースW2を加工するようにアライメント調整可能である。第2工具タレットヘット63のための駆動部はハウジング53c内に配置可能である。
【0061】
第1工具担持体62の第1工具タレットヘッド62Aには複数の工具ホルダ62aがタレット軸回りの周方向に配置され、これら工具ホルダ62aの各々はワークピースを加工する工具Tを保持すべく構成されている。タレット軸の回りに第1工具タレットヘッド62Aを回転させることにより、各工具ホルダ62aは第1ワークスピンドル21(又は、第2ワークスピンドル22)に対して、そのワークスピンドルに保持されたワークピースW1又はW2を加工するようにアライメント調整可能である。
【0062】
図4において、第1工具タレットヘッド62A上の1つの工具は一例として、第1ワークスピンドル21に保持されたワークピースW1が第1工具タレットヘッド62Aの1つの工具と、第2工具タレットヘッド61上の1つの工具の両方同時に加工されるように第1ワークスピンドル21に対してアライメント調整されている。同時に、第2ワークスピンドル22に保持されたワークピースW2は第3工具タレット
ヘッド63上の1つの工具によって加工可能である。
【0063】
第1工具担持体62の第2工具タレットヘッド62Bには複数の工具ホルダ62bがタレット軸回りの周方向に配置され、これら工具ホルダ62bの各々はワークピースを加工する工具Tを保持すべく構成されている。タレット軸の回りに第2工具タレットヘッド62を回転させることにより、各工具ホルダ62bは第2ワークスピンドル22に保持されたワークピースW2(又はW1)を加工するように第2ワークスピンドル22(又は第1ワークスピンドル21)に対してアライメント調整可能である。
【0064】
例えば、図4の第2ワークスピンドル22は第3工具担持体63とともに加工スペース内に向けて更に変位可能である。これより、第1工具担持体62により、第1ワークスピンドル21に保持されたワークピースW1は第1工具タレットヘッド62Aの1つの工具を使用して加工可能であり、第2ワークスピンドル22に保持されたワークピースW2は第2工具タレットヘッド62Bの1つの工具により同時に可能である。このように3つのコンパクトな工具担持スライダ51,52,53のみコンパクトに配置された3つの工具担持体61,62,63のみを有する構成を使用し、各々の場合にて、2つの工具を備える構成の広範な多様性でもって、2つのワークピースW1,W2を同時に加工可能であることは利点となる。
【0065】
この目的のため、本実施形態は各スピンドルのために、スピンドル軸に平行な変位の自由度が二重に提供されているので、特に好都合且つ好適である。特に、第2工具担持体61及び第1ワークスピンドル21の両方は第3工具担持体63及び第2ワークスピンドル22とともに各々、互いに独立してスピンドル軸と平行な方向に変位可能である(例えば、第2ワークスピンドル22及び第2工具担持体61のための図4中の2つの矢印、又は、2中の方向ZS,Z1又はZCS,Z2を参照)。
【0066】
このようにスピンドル軸の方向に関して、第1ワークスピンドル21のワークピースW1と第1工具担持体62の第1工具タレットヘッド62Aの1つの工具との間の相対的な位置付けは、方向ZMS第1ワークスピンドル21が変位可能であることにより制御可能であり、一方、スピンドル軸の方向に関して、第1ワークスピンドル21のワークピースW1と第2工具担持体61の1つの工具との間の相対的な位置付けは、方向Z1に第2工具担持体61が変位可能であることにより制御可能である。
【0067】
同様に、スピンドル軸の方向に関して、第2ワークスピンドル22のワークピースW2と第1工具担持体62における第2工具タレットヘッド62Bの1つの工具との間の相対的な位置付けは、方向ZCS第2ワークスピンドル22が変位可能であることにより制御可能であり、一方、スピンドル軸の方向に関して、第2ワークスピンドル22のワークピースW2と第3工具担持体63の1つの工具との間の相対的内地付けは、方向Z3に第3工具担持体63が変位可能であることにより制御可能である。
【0068】
図5は、図2の本発明の好適な実施形態に係る工作機械の他の加工スペースの詳細を示す。この図では、ワークピースWが2つのワークスピンドル21,22に同時に受け取られ、第2工具担持体611つの工具がワークピースWをワークピースW1,W2に分割するために使用され、この後、これらワークピースW1,W2は第1及び第2ワークスピンドル21,22にそれぞれ受け取られ、例えば図4の構成に従い、互いに独立して加工可能である。図5は一例として随意的且つ付加的なカバー51a、53eを示し、これらカバーは第2及び第3工具担持スライダ51,53を覆且つ切削屑から保護するために使用能である。
【0069】
図6A図6D図2の本発明の好適な実施形態に係る工作機械の他の加工スペースの詳細図であり、これらの図は第1工具担持体62の方向付けが多様であることを示している。
【0070】
この場合、本発明の実施形態における第1工具担持体62の特に好適な構成が明らかである。図6Aの配置は図4の配置に実質的に相当する。この結果、前述したように、2つのワークピースW1,W2の各々はワークスピンドル21,22にて工具担持体622つの工具により同時に加工可能であり、この場合、2つの工具は第1工具タレットヘッド62Aからの1つと、第2工具タレットヘッド62Bからの1つである。
【0071】
第1工具担持体62の回転軸Bの両側に同軸的に配置された2つの第1及び第2工具タレットヘッド62A,2Bを有する第1工具担持体62の好適な実施形態の結果、第1及び第2工具タレットヘッド62A,62Bのタレット軸はスピンドル軸のアライメントに関して回転可能であり、これにより、第1工具タレットヘッド62A1の工具Tによる図6AでのワークピースW1の径方向の加工から第2工具タレットヘッド62B1つの工具T1による図6EでのワークピースW1の軸方向の加工へ事実上連続的な移行が可能となる。
【0072】
この場合、スピンドル軸に関しての第1及び第2工具タレットヘッド62A,62Bのタレット軸の方向付けは例えば、図6Aにて0°、図6Bにて15°、図6Cにて45°、図6Dにて75°、最後に図6Eにて90°である。一例として図6C図6Dに示された方向付けの間には、第2及び第3工具担持体61,63による加工のためのスペースをより与えるように、第1工具担持体62を方向X2での下方に変位させることにより、第1工具タレットヘッド62A1つの工具を使用する加工から第2工具タレットヘッド62B1つの工具を使用する加工へ変更される。他の態様では、第2及び第3工具担持体61,63は方向X1又はX2での上方に変位されなければならず、最早、ワークピースW1,W2の加工を伴うことは不能である。
【0073】
図6Eは、第2工具タレットヘッド62B(又は62A)のタレット軸がスピンドル軸に対して横断する方向にアライメント調整される第1工具担持体62の実施形態が更なる利点を有することを示し、ここでの利点とは、2つのワークスピンド21,22に保持されたワークピースW1,W2が第1工具担持体62の第2工具タレットヘッド62B工具T1,T2により軸方向に同時に加工できることである。
【0074】
特に、各々の場合にて、第1工具タレットヘッド62A及び第2工具タレットヘッド62Bは工具を保持する複数の工具ホルダ62a又は62bを受け取るための複数のマウントを含み、第1及び第2工具タレットヘッド62A,62Bの両方は、タレット軸の回りに第1又は第2工具タレットヘッド62A又は62Bを回転させて、ワークスピンドルの1つに取り付けられたワークピースに1つのマウントをアライメント調整するように構成されている。このため、各々の場合にて、マウントは第1タレット軸に関して各工具タレットヘッド62A又は62Bの両側に対をなして配置され、これにより、例えば、図6Eに示されているように第2工具タレットヘッド62Bタレット軸がスピンドル軸に対して横断する方向、特に垂直にアライメント調整されるならば、対をなすマウントのうちの一方に関しては、その他方のマウントを第1ワークスピンドル21にアライメント調整することにより、一方のマウントが第2ワークスピンドル22に対してアライメント調整可能となる。
【0075】
付け加えて、例えば図6Aに示されているようにタレット軸がスピンドル軸に平行にアライメント調整されるならば、第2ワークスピンドル22に受け取られたワークピースW2に第2工具タレットヘッド62Bの1つのマウントをアライメント調整することにより、第1工具担持体62は第1ワークスピンドル21に受け取られたワークピースW1に第1工具タレットヘッド62A1つのマウントをアライメント調整するようになっている
【0076】
特に好適な実施形態によれば、図6Aに応じた第1の配置が提供可能であり、この第1の配置では、第1及び第2工具タレットヘッド62A,62Bのタレット軸がワークスピンドル21,22のスピンドル軸と平行にアライメント調整され、第1ワークスピンドル21に受け取られたワークピースW1は第1工具タレットヘッド62A1つの工具を使用して径方向に加工可能であり、一方、第2ワークスピンドル22に受け取られたワークピースW2は第2工具タレットヘッド62B1つの工具を使用して径方向に同時に加工可能である。そして、図6Eに応じた第2の配置が提供可能であり、この第2の配置では、第1及び第2工具タレットヘッド62A,62Bのタレット軸がワークスピンドル21,22のスピンドル軸に対して横断する方向にアライメント調整され、第1ワークスピンドル21に受け取られたワークピースW1は第2工具タレットヘッド62B1つの工具T1を使用して加工可能であり、一方、第2ワークスピンドル22に受け取られたワークピースW2は第2工具タレットヘッド62Bの工具T1とは反対側に位置した第2工具タレットヘッド62B1つの工具T2を使用して加工可能ある。
【0077】
図7図2の本発明の実施形態に係る工作機械の他の加工スペースを芯押し台の適用とともに示す詳細図である。
【0078】
この場合、芯押し台62Cは芯出し尖端を有し、この芯出し尖端により第1ワークスピンドル21に受け取られた長尺なワークピースは芯出しされ、そして、第3工具担持体61からの工具T1により加えられる圧力下で曲がることなく保持される。芯出し台62Cは第1工具タレットヘッド62Aの1つのマウントに配置されている。
【0079】
同時に、この配置においては、第2ワースピンドル上の別のワークピースW2は第3工具担持体631つの工具を使用して好適に加工可能である。加工スペース内に第2ワークスピンドル22及び第3工具担持体63を更にもたらすことにより、ワークピースW2は第2工具タレットヘッド62B1つの工具により同時且つ付加的に更に加工可能である。
【0080】
要約すれば、本発明は、可能な限り多数の工具でもって効率的にワークピースの加工を可能にして一般的な工具担持体又は工作機械の改良を可能とし、工作機械のコンパクトな構成ととともに、複数の工具と複数のワークスピンドルに保持されたワークピースとの間の相対移動制御に関して最大限の自由度を備え、同時使用の最大能力を発揮する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7