特許第5997264号(P5997264)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5997264アリルエーテル末端フルオロアルキルスルフィン酸及びその塩
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5997264
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】アリルエーテル末端フルオロアルキルスルフィン酸及びその塩
(51)【国際特許分類】
   C07C 313/04 20060101AFI20160915BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20160915BHJP
【FI】
   C07C313/04CSP
   !C07B61/00 300
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-513618(P2014-513618)
(86)(22)【出願日】2012年5月25日
(65)【公表番号】特表2014-524894(P2014-524894A)
(43)【公表日】2014年9月25日
(86)【国際出願番号】US2012039523
(87)【国際公開番号】WO2012166578
(87)【国際公開日】20121206
【審査請求日】2015年5月14日
(31)【優先権主張番号】61/492,885
(32)【優先日】2011年6月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100111903
【弁理士】
【氏名又は名称】永坂 友康
(74)【代理人】
【識別番号】100102990
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 良博
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ―ミン チウ
【審査官】 伊藤 佑一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−516492(JP,A)
【文献】 特許第5471121(JP,B2)
【文献】 欧州特許出願公開第02289875(EP,A1)
【文献】 特開昭48−056619(JP,A)
【文献】 米国特許第03919301(US,A)
【文献】 特開2006−131588(JP,A)
【文献】 特表2014−507386(JP,A)
【文献】 特表2013−545880(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0251930(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 313/00−313/38
C07B
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)アリル化化合物を、フッ化塩の存在下で第2の化合物と反応させることと、
(b)アリルエーテル末端フルオロアルカンスルフィン酸を生成するためにアリルエーテル末端スルホニルフルオリドを還元することと、を含む、方法であって、
前記アリル化化合物が、一般式:CHX=CX−CHX−L(式中、X、X、及びXは、それぞれ独立して、H、Cl、F、Br、アリール、及びC1〜C4アルキル基からなる群から選択され、Lは、I、Br、Cl、F、RC(O)O−、RS(O)O−、RP(O)O−、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、各Rは、独立して、アルキル基、アリール基、フッ素化されたアルキル基、フッ素化されたアリール基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される)によって表され、
前記第2の化合物が、FC(=O)(CFSOF、FC(=O)CFHSOF、FC(=O)CFClSOF、FC(=O)CFSOF、FC(=O)(CFSOF、FC(=O)CF(CF)SOF、FC(=O)CF(CF)O(CFSOF、FC(=O)CF(CF)O(CFSOF、FC(=O)CF(CF)O(CFSOF、FC(=O)CF(CF)OCFCF(CF)O(CFSOF、FC(=O)CF(CF)OCFCF(CF)O(CFSOF、
【化1】
及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、方法。
【請求項2】
前記反応させることが、(CHCHNCl、(プロピル)NCl、(ブチル)NCl、(ブチル)NBr、(ブチル)PBr、C1633(+)(ブチル)Br(−)、(ブチル)(+)CHSO(−)、(ブチル)(+)CFSO(−)、メチルトリアルキル(C〜C10)塩化アンモニウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される相間移動触媒の存在下で生じる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フッ化塩が、AgF、NaF、CsF、KF、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
式I:
CHX=CX−CHX−O−Rf−SOM (I)
(式中、X、X、及びXは、それぞれ独立して、C1〜C4アルキル基、アリール基、H、Cl、Br、F、及びIからなる群から選択され、Rfは、−(CF−、−(CFCFH−、−(CFCFCl−、−(CF−O−(CF−、−[(CFCF(CF))−O]−(CF−、−[(CFCF(CF))−O]−(CFCFH−、−[(CFCF(CF))−O]−(CFCFCl−、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、式中、a、b、及びcは、独立して少なくとも1であり、Mはカチオンである)に示される、モノマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フッ素化されたスルフィン酸及びその塩の作製方法に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
フルオロモノマーの重合を開始するための代替的な方法を識別する要望がある。また、重合可能なフッ素化されたスルフィン酸モノマー及びその対応する塩を作製するための、より単純でより費用効果的なプロセスを開発する要望もある。これらのモノマーは、分子量又はアーキテクチャ(例えば、直鎖又は分枝鎖)を変化する能力、及び/又はポリマーの末端基を変化させる能力を可能にし得る、フルオロモノマー(類)の重合を共開始するために使用され得る。同様に、これらのモノマーは、フルオロポリマーの加工可能性を改善し得(例えば、溶媒中の溶解度及び低減された粘度)、及び/又は重合されたフルオロポリマーの最終特性(例えば、熱安定性、耐久性、及び性能)を改善し得る。
【0003】
一態様では、式Iによる組成物が説明され、式Iは:
CHX=CX−CHX−O−Rf−SOM (I)
であり、式中、X、X、及びXは、それぞれ独立して、C1〜C4アルキル基、アリール基、H、F、Cl、Br、及びIからなる群から選択され、Rfは所望によりカテナリー酸素又は窒素を含む二価のフッ素化された基であり、Mはカチオンである。
【0004】
別の態様では、(a)アリル化化合物を、フッ化塩の存在下で、(i)フッ素化されたフルオロアシルスルホニルフルオリド、(ii)アリルエーテル末端スルホニルフルオリドを生成するためのフッ素化されたスルトン、及び(iii)これらの組み合わせからなる群から選択される、第2の化合物と反応させる工程と、(b)アリルエーテル末端スルホニルフルオリドを還元して、アリルエーテル末端フルオロアルカンスルフィン酸又はその塩を生成する工程と、を含む、方法が説明される。
【0005】
上記の概要は、各実施形態を説明することを目的とするものではない。本発明の1つ以上の実施形態の詳細を以下の説明文においても記載する。他の特徴、目的、及び利点は、説明文及び「特許請求の範囲」から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0006】
一用途において、フッ素化されたスルフィン酸及びその塩は、フルオロモノマーの重合を共開始するために使用されている。フッ素化されたスルフィン酸及びその塩は、米国特許第5,285,002号(Grootaert)及び同第5,639,837号(Farnhamら)に説明される通り、フルオロモノマーの重合中に酸化剤と共に使用されている。フッ素化されたスルフィナート共開始剤によって得られるフルオロポリマーは、完全にフッ素化された末端基を有し、それは、(NHなどの従来のラジカル反応開始剤を使用するときに観察される、より安定性の低い極性末端基を還元又は除去することによって、より良好な安定性及び/又は改善された性能の利点を提供し得る。
【0007】
フルオロポリマーには、重合可能な炭素間二重結合を有するフッ素化されたスルフィナートが関心対象となる。近年、炭素間二重結合を末端に有するフルオロアルキルスルフィナートが、新規の種類のモノマー反応開始剤として識別されており、米国仮出願第61/424109号(2010年12月17日出願)に説明される通り、フルオロポリマーに対する重合可能な反応開始剤として有用であり得る。本参照は、アルケンハロスルフィン酸又は塩(又はハロアルキルスルフィナート)を作製するための2つの方法を、意図的に開示する。
【0008】
第1の方法は、末端アルケン化合物をハロフルオロスルホニルフルオリドと反応させて、ハロヒドロフルオロスルホニルフルオリドを形成する工程を含み、これが脱ハロゲン化水素化され、次にハロアルキルスルフィナートを生成するために還元される。しかしながら、ハロフルオロスルホニルフルオリドは、入手が容易でなく、また作製するために費用効果的ではない。更に、所望のハロアルキルスルフィナートを得るために、複数の反応工程が必要となることがある。
【0009】
第2の方法は、末端アルケン化合物をジハロフルオロカーボンと反応させて、ハロアルケンフルオロカーボンハロゲン化物を形成する工程を含み、それは、脱ハロスルフィン化され、次に脱ハロゲン化水素化されて、炭素間二重結合末端ハロアルキルスルフィナートを発生する。従来の合成方法は、モノ付加生成物の高い選択性を獲得するために、概して低い転換にて制御される必要がある、末端アルケン化合物のジハロフルオロカーボンとの反応を要する。更に、所望のモノ付加体の生成を制御するため、反応条件が厳密に制御されなくてはならず、時間がかかることがある。
【0010】
本明細書で使用するとき、用語
「a」、「an」、及び「the」は、互換可能なものとして使用され、1つ以上を意味する。
用語「及び/又は」は、生じ得る、述べられている場合の1つ又は両方を指すために用いられ、例えば、A及び/又はBは、(A及びB)並びに(A又はB)の両方を含む。
本明細書で使用するとき「完全にフッ素化された」とは、すべてのC−H結合がC−F結合によって置換された完全にフッ素化された炭素基を指し、それは直鎖又は分枝鎖であってよく、実施形態は、2、3、4、6、8、10、12、18、又は更には20個の炭素原子を含んでよい。
本明細書で使用するとき、「高度にフッ素化された」とは、少なくとも2個のフッ素原子を含み、C−H結合のうちの少なくとも50%、60%、75%、80%、90%、95%、又は更には99%が、C−F結合によって置換され、炭素結合の残りは、C−H結合、C−Cl結合、C−Br、及びこれらの組み合わせから選択される、フッ素化された炭素基を指す。高度にフッ素化された基は、直鎖又は分枝鎖であってよく、実施形態は、2、3、4、6、8、10、12、18、又は更には20個の炭素原子を含んでよい。
【0011】
本明細書においてはまた、明示的に別段の定めのない限り、端点によって表わされる範囲には、その範囲内に含まれるすべての数値が含まれる(例えば、1〜10には、1.4、1.9、2.33、5.75、9.98などが含まれる)。
【0012】
本明細書においては更に、「少なくとも1」の記載には、1以上のすべての数値が含まれる(例えば、少なくとも2、少なくとも4、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも10、少なくとも25、少なくとも50、少なくとも100など)。
【0013】
本開示は、アリルエーテル末端フルオロアルキルスルフィン酸モノマー及びその作製方法に関する。本明細書で使用するとき、「アリルエーテル末端フルオロアルキルスルフィン酸」は、酸と、例えば、ナトリウム塩形態などの、その塩との両方を含む。これらのアリルエーテル末端フルオロアルキルスルフィン酸モノマー化合物は、重合に使用されてもよい。
【0014】
本開示のモノマーは、式Iに示され、
CHX=CX−CHX−O−Rf−SOM (I)
であり、式中、X、X、及びXは、それぞれ独立して、C1〜C4アルキル基、アリール基、H、F、Cl、Br、及びIからなる群から選択され、Rfは所望によりカテナリー酸素又は窒素を含む二価のフッ素化された基であり、Mはカチオンである。
【0015】
二価のフッ素化された基、Rfは、完全にフッ素化されている、又は高度にフッ素化されていてよい。いくつかの実施形態では、Rfは、完全にハロゲン化されていてもよく、すべてのC−H結合が、窒素原子、塩素原子、臭素原子、又はこれらの組み合わせなどの、ハロゲンで置換されてよい。Rfは、二重結合を含んでも、含まなくてもよい。Rfは、置換されても置換されなくてもよく、直鎖でも分枝鎖でもよく、環式でも非環式でもよく、所望により官能基(例えば、エーテル、アミン、及びハロゲン化物等)を含んでもよい。
【0016】
一実施形態では、Rfは、−(CF−、−(CFCFH−、−(CFCFCl−、−(CF−O−(CF−、−[(CFCF(CF))−O]−(CF−、−[(CFCF(CF))−O]−(CFCFH−、−[(CFCF(CF))−O]−(CFCFCl−、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、式中、a、b、及びcは、独立して少なくとも1、2、3、4、10、又は更には15である。一実施形態では、a、b、及びcは、わずか18、又は更には20である。
【0017】
一実施形態では、Rfは、完全にフッ素化された基であり、所望によりヘテロ原子を含み、X、X、及びXはすべて水素原子である。
【0018】
カチオン、Mは、式Iにおいて、Hと、Na、Li、Cs、Ca+2、K、NH、Mg+2、Zn+2、及びCu+2を含むがこれらに限定されない無機カチオンと、並びに/又はN(CH、NH(CH、N(CHCH、NH(CHCH、NH(CH、及び(CHCHCHCHを含むがこれらに限定されない有機カチオンとを含んでもよい。
【0019】
一実施形態では、式Iによるモノマーは、CH=CH−CH−O−(CF−SOMを含み、式中、nは少なくとも2、3、4、5、6、10、又は更には20であり、Mは、上述に定義されるようなカチオンである。
【0020】
本開示では、式Iによるモノマーは、次に説明される方法によって調製されてもよい。
【0021】
アリルエーテル末端フルオロアルキルスルフィン酸を調製するために、アリル化化合物を、フッ化塩の存在下で、(i)フッ素化されたフルオロアシルスルホニルフルオリド及び/又は(ii)フッ素化されたスルトンから選択される第2の化合物と反応させて、アリルエーテル末端スルホニルフルオリドを生成する。次に、末端アリルエーテルを有するスルホニルフルオリドを、選択的に還元して、アリルエーテル末端フルオロアルキルスルフィン酸を生成する。
【0022】
合成の第1の工程は、反応種、[FSO−Rf’−CF]又は[FSO−CFY−CF]を発生させるような、(i)フッ素化されたフルオロアシルスルホニルフルオリド及び/又は(ii)フッ素化されたスルトンの、フッ化塩(QF)との反応を含み、それはアリル化化合物(例えば、下記(b))と更に反応されて、アリルエーテル末端スルホニルフルオリド(例えば、下記(ci)又は(cii))を生成し得る。かかる反応は、一般に以下のスキームと共に示される。
【0023】
【化1】
式中、Rf’は二価の結合基であり、Yは一価の基であり、Lは脱離基であり、X、X、及びXは後述される。
【0024】
本明細書で使用するとき、アリル化化合物(例えば、上述の(b))は、脱離基、Lで置換された少なくとも1つのアリル基を含む。アリル化化合物は、式CHX=CX−CHX−L又はCHX=CX−CHX−Lによって示されることができ、式中、X、X、及びXは、それぞれ独立して、H、Cl、F、Br、アリール基、アルキル基(例えば、C1〜C4鎖を有する短鎖アルキル基)からなる群から選択され、また脱離基、Lは、I、Br、Cl、F、RC(O)O−、RS(O)O−、及びRP(O)O−からなる群から選択され、各Rは、直鎖又は分枝鎖であってよく、環式又は非環式であってよく、また所望によりヘテロ原子を含む、アルキル基、部分的にフッ素化されたアルキル基、及び完全にフッ素化されたアルキル基からなる群から独立して選択される。
【0025】
一実施形態では、本開示で使用されるアリル化化合物には、一般式CH=CX−CH−Lのものが挙げられ、式中、Xは、H、Cl、F、Br、アリール基、及びアルキル基(例えば、C1〜C4鎖を有する短鎖アルキル基)から選択され、Lは脱離基である。例示的なアリル化化合物には、CH=CXCH−Lが挙げられ、式中、Lは、Br、I、及びClから選択され、例えば、CH=CHCHBr、CH=CHCHCl、CH=CHCHI、CH=CBrCHBr、CH=CClCHCl、CH=CHCBrF、CH=CBr−CBrF、CH=C(CH)CHBr、CH=C(CH)CHCl、CH=C(CH)CHI、CH=CHCHBrCH、CH=C(C)CHBr、CH=C(C)CHCl、CH=C(C)CHCl、CH=C(C)CHI、1−(1−ブロモメチル−ビニル)−4−クロロ−ベンゼン、3−(1−ブロモメチル−ビニル)−フラン、CH=C(CHBr)−CHBr、CH=C(OCH)CHBr、CH=C(OCHCH)−CHBr、2,3−ビス(ブロモメチル)−1,3−ブタジエン、CH=C(CF)CHBrなどである。例示的なアリル化化合物には、CH=CXCH−Lが挙げられ、式中、LはOC(O)R’であり、例えば、アリルアセテート、アリル2−フロエート、アリルヘキサノエート、アリルヘプタノエート、アリルカプリレート、アリルノナノエート、アリルシクロヘキサンブチレート、ジメタリルカーボネート、ジアリルスクシナート、ジアリルアジパート、アリルブチレート、2−クロロアリルアセテート、及びアリルトリフルオロアセテートなどである。更に例示的なアリル化化合物には、CH=CXCH−Lが挙げられ、式中、Lは、−OP(O)Rであり、例えば、トリアリルホスフェート及びジアリルメチルホスホネートなどである。また更に例示的なアリル化化合物には、CH=CXCH−Lが挙げられ、式中、LはOSORであり、例えば、アリルトルエン−4−スルホネート、アリルメタンスルホネート、及びアリルトリフルオロメタンスルホネートなどである。
【0026】
上述の通り、アリル化化合物は、[FSO−Rf’−CF]と反応して、アリルエーテル末端フルオロアルキルスルホニルフルオリドを形成し得る。[FSO−Rf’−CF]は、不安定な中間体であるため、本開示では、フッ化塩の存在下で、(i)フッ素化されたフルオロアシルスルホニルフルオリドか、又は(ii)フッ素化されたスルトンかのいずれかを使用して、その場で形成する。
【0027】
本開示のフッ素化されたフルオロアシルスルホニルフルオリド、(i)は、スルホニルフルオリド、すなわち、(−S(=O)F)及びフルオロアシル又はアシルフルオリド基(例えば、−C(=O)F)を含む化合物である。フッ素化されたフルオロアシルスルホニルフルオリドは、例えば、無水HF溶液中におけるフッ素化されていないスルトン又はフッ化カルボキシル化スルホニルの電気化学的フッ素化を含む、当該技術分野において既知の技術を使用して作製されてよい。
【0028】
一実施形態では、フッ素化されたフルオロアシルスルホニルフルオリドは、後述するように、スルトンから発生させられ得る。
【0029】
別の実施形態では、フッ素化されたフルオロアシルスルホニルフルオリドは、フルオロアシルスルホニルフルオリドの、例えば、ヘキサフルオロプロペンオキシドなどの、フッ素化されたエチレンオキシドを伴うオリゴマー化から発生させられ得る。かかる反応の例を、下記に示す。
【0030】
【化2】
式中、nは0であるか、又は少なくとも1、2、4、10、20、又は更には100である。
【0031】
例示的なフッ素化されたフルオロアシルスルホニルフルオリドには、FC(=O)(CFSOF、FC(=O)(CFSOF、FC(=O)CF(CF)O(CFSOF、FC(=O)CF(CF)O(CFSOF、FC(=O)CF(CF)O(CFSOF、FC(=O)CF(CF)OCFCF(CF)O(CFSOF、及びFC(=O)CF(CF)OCFCF(CF)O(CFSOFが挙げられる。
【0032】
本開示のフッ素化されたスルトン、(ii)は、ヒドロキシルスルホン酸の環式スルホン酸エステルであり、少なくとも1つのフッ素原子を含む。フッ素化されたスルトンは、完全にフッ素化されている、又は高度にフッ素化されていてよい。一実施形態では、フッ素化されたスルトンは、Br及びClのうちの少なくとも1つから選択されるハロゲン原子を含む。一実施形態では、フッ素化されたスルトンは、四員環を含む。
【0033】
フッ素化されたスルトンは、例えば、SOでフッ素化されたオレフィンの添加を含む、当該技術分野において既知の技術を使用して作製されてよい。
【0034】
一実施形態では、フッ化塩(QF)とフッ素化されたスルトン反応を反応させる工程は、概して反応性で不安定な種、[Q+−OCF−CFY−SOF]を形成することができ、それはアリル化化合物と反応して、アリルエーテル末端スルホニルフルオリドを形成することができ、又はアリル化合物の不在下でフッ素化されたフルオロアシルスルホニルフルオリド異性体を形成することができる。かかる反応スキームを、一般に次に示す。
【0035】
【化3】
【0036】
したがって、一実施形態では、フッ素化されたフルオロアシルスルホニルフルオリドは、事前異性化によってフッ素化されたスルトンから形成されることができ、又はフッ化物アニオンの存在下で、上述の反応スキームに示されるようにアリル化化合物と反応するようにその場で使用されることができ、QFはフッ化塩であり、Yは、F、CF、Cl、H、及び一価の完全にフッ素化された基又は高度にフッ素化された基からなる群から選択される。
【0037】
例示的なフッ素化されたスルトンには、
【0038】
【化4】
が挙げられる。
【0039】
フッ素化されたスルトンの例示的なフッ素化されたフルオロアシルスルホニルフルオリドには、FC(=O)CFSOF、FC(=O)CFClSOF、FC(=O)CFHSOF、及びFC(=O)CF(CF)SOFが挙げられる。
【0040】
反応種、フッ化塩を発生させるために、QFは、(i)フッ素化されたフルオロアシルスルホニルフルオリド及び/又は(ii)フッ素化されたスルトンの存在下で使用される。好適なフッ化塩は、−COF基を−CFOQ基へと変換し得るものであり、Qは、ナトリウム、カリウム、セシウム、又は銀などの、H以外のカチオンである。例示的なフッ化塩には、AgF、CsF、NaF、NHF、及びKFが挙げられる。
【0041】
一実施形態では、アリル化化合物の、フッ素化されたフルオロアシルスルホニルフルオリド及び/又はフッ素化されたスルトンとのフッ化塩の存在下での反応は、無水条件下(すなわち、1000パーツ・パー・ミリオン(ppm)、100ppm、1ppm、又は更には水が存在しない)で実施される。水は、水素結合によってQFのフッ化物アニオンを密接に水和させるため、著しく低減されたフッ化物アニオンの反応度をもたらし得る。したがって、いくつかの実施形態では、反応システムは反応前及び反応中に乾燥され、(例えば、密封された反応器内で、又は乾燥した窒素雰囲気下で)、合成の第1の工程で使用される開始材料及び試薬中の水の水準は、低く保たれる。好ましくは、合成の第1の工程で使用される開始材料及び試薬(例えば、溶媒又は相間移動触媒)は、残留水分を除去するために、使用前に無水化及び/又は乾燥される。
【0042】
一実施形態では、アリル化化合物の、フッ素化されたフルオロアシルスルホニルフルオリド又はフッ素化されたスルトンとの反応は、反応物質の適合性を改善することによって、及び/又はフッ化物アニオンの反応度を増大させることによって、収率を増大させる、相間移動触媒の存在下で行われてもよい。反応に有用な相間移動触媒には、例えば、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、クラウンエーテル、及びポリエチレングリコール、並びにこれらの誘導体が挙げられる。
【0043】
例示的な四級アンモニウム塩の相間移動触媒には、
(+)(−)が挙げられ、式中、各Rは同一であるか又は異なっており、C1〜C25鎖であるアルキル基を含み、Zはアニオンであり、例えば、(CHCHNCl、(プロピル)NCl、(ブチル)NCl、(ブチル)NBr、(ブチル)PBr、C1633(+)(ブチル)Br(−)、(ブチル)(+)CHSO(−)、(ブチル)(+)CFSO(−)(ブチル)NBr、及びSherex Chemical Co.,Mapleton,IL製の「ADOGEN 464」の商品名で入手可能なメチルトリアルキル(C〜C10)塩化アンモニウムなどである。本明細書で使用するとき、「プロピル」は、プロピル基を指し、n−プロピル基とイソ−プロピル基との両方を含む。本明細書で使用するとき、「ブチル」は、ブチル基を指し、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソ−ブチル基、及びtert−ブチル基のすべてを含む。
【0044】
例示的な四級ホスホニウム塩の相間移動触媒には、R(+)(−)が挙げられ、式中、Rは同一又は異なるC1〜C25鎖を有するアルキル基であり、Zはアニオンであり、例えば、(CHCHPCl、(CPCl、(prop)PBr、及びヘキサデシルトリメチルホスホニウムブロミドである。
【0045】
一実施形態では、アリル化化合物の、(i)フッ素化されたフルオロアシルスルホニルフルオリド及び/又は(ii)フッ素化されたスルトンとの反応は、少なくとも10、20、23、25、30、又は更には35℃から、最大で70、80、90、100、150、200、又は更には220℃の間の温度で行われてよい。
【0046】
一実施形態では、アリル化化合物と、(i)フッ素化されたフルオロアシルスルホニルフルオリド又は(ii)フッ素化されたスルトンとの間の反応は、第1の溶媒の存在下で行われる。概して、第1の溶媒は、フッ化塩、アリル化化合物、及びフッ素化されたフルオロアシルスルホニルフルオリド又はフッ素化されたスルトンに対していくらかの溶解度を有する。第1の溶媒は、極性非プロトン溶媒及びエーテル又はアルキル化ポリエーテル溶媒のうちの少なくとも1つから選択されてよい。例示的な第1の溶媒には、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドCHCN、及び、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、CHOCHCHOCH、CHOCHCHOCHCHOCH、CHO(CHCHO)CH、CHO(CHCHO)CH、及びこれらの組み合わせを含むエーテル又はアルキル化ポリエーテル溶媒などの、他の非プロトン溶媒から選択される、極性非プロトン溶媒が挙げられる。
【0047】
アリル化化合物のフッ素化されたフルオロアシルスルホニルフルオリド又はフッ素化されたスルトンに対する比率は、少なくとも1:1、又は更には2:1である。好ましくは、過剰のアリル化化合物が存在する。
【0048】
合成の第2の工程は、以下の等式に示されるようなアリルエーテル末端フルオロアルカンスルフィン酸又はその塩を生成するための、アリルエーテル末端スルホニルフルオリドの還元であり、
【0049】
【化5】
式中、Mはカチオンであり、H、無機カチオン、及び/又は有機カチオンを含み得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、選択される還元剤は、フッ素化されたスルホニルフルオリドを対応するスルフィナートへ変換するのに高度に選択的であるが、末端アリル基とは反応しない。換言すれば、還元剤及び条件は、分子のスルホニルフルオリド部分が末端アリルエーテルの二重結合と実質的に無反応(すなわち、モル比で10%、5%、1%、又は更には0.5%未満)、また好ましくは、末端アリルエーテルの二重結合と無反応で、スルフィナートへと還元されるように選択される。
【0051】
還元工程は、還元剤及び第2の溶媒の存在下で行われ得る。第2の溶媒の選択は、使用される還元剤に依存し得る。例示的な第2の溶媒には、例えば、CHCN、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの、極性非プロトン溶媒、及び例えば、ジアルキルエーテル(例えば、ジエチルエーテル)、t−ブチルメチルエーテル、グリコールジアルキルエーテル(例えば、CHOCHCHOCH)、ジオキサン、及びテトラヒドロフランなどの、他の溶媒、及びこれらの組み合わせが挙げられる。例示的な第2の溶媒にはまた、アルコール(例えば、エタノール及びイソプロパノール)、酸(例えば、酢酸)、及び水、並びにこれらの組み合わせなどの、極性プロトン溶媒が挙げられる。
【0052】
本開示において有用なヒドリド還元剤には、式M’Y’Hにより表されるものが挙げられ、式中、M’は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属であり、Y’は、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、及び水素化アルミニウムリチウムを含む、アルミニウム又はホウ素である。有用なヒドリド還元剤はまた、式M”Hにより示されるものを含み、式中、M”は、アルカリ金属であり、nは、1又は2から選択される整数であり、例えば、水素化ナトリウム、水素化リチウム、水素化カリウム、水素化バリウム、及び水素化カルシウムを含む。他の有用なヒドリド還元剤は、モノ−、ジ−、又はトリ(低級アルコキシ)アルカリ金属アルミニウムヒドリド、モノ−、ジ−、又はトリ(低級アルコキシ低級アルコキシ)アルカリ金属アルミニウムヒドリド、ジ(低級アルキル)アルミニウムヒドリド、アルカリ金属シアノホウ素ヒドリド、トリ(低級アルキル)スズヒドリド、トリ(アリール)スズヒドリド、Li(CBH、及び(((CHCHCHAlH)を含む。スルホニルフルオリドをスルフィナート(−CFSOF又は−CFSOM、式中、Mは、Hを含む上述のようなカチオンである)へ変換するための別の有用な還元剤は、亜流酸塩である。有用な亜流酸塩には、例えば、KSO、NaSO、KHSO、及びNaHSOが挙げられる。別の有用な還元剤は、NHNHである。
【0053】
式Iによるモノマーは、既知の方法によって分離及び精製され得る。一実施形態では、粗生成物は、不溶性の無機塩を除去するために濾過によって反応混合物から分離され、次いで溶媒を除去するために回転蒸発されて、スルフィナートの固体を得る。別の実施形態では、粗固体は、イソプロパノールなどの溶媒で抽出して不溶性の無機不純物を除去し、続いて溶媒をストリッピングすることによって更に精製される。別の実施形態では、形成されたスルフィナートは、例えば、スルフィン酸塩をプロトン化するために硫酸溶液を添加して、スルフィン酸を得ることによってなど、強酸を用いて酸性化され得る。別の実施形態では、粗生成物は、例えば硫酸などの酸の添加によって分離され、続いてt−ブチルメチルエーテル及びジエチルエーテルなどの有機溶媒で抽出される。次いで、酸性形態で所望の生成物は、有機溶媒の除去により単離される。
【0054】
いくつかの実施形態では、粗生成物の更なる精製は、場合によっては、必要とされない。精製工程がなくなることで、プロセスの時間及びコストを削減することができる。所望により、反応混合物又は粗生成物は、例えば、スルフィン酸塩の反復された再結晶化によって、精製されてもよい。
【0055】
式Iによるモノマーは、界面活性剤(乳化剤)、分散安定剤、又は反応開始剤として有用であり得る。
【0056】
有利にも、式Iによるモノマーは、望ましくない末端極基がより少ないポリマーのための反応開始剤として、又は重合性界面活性剤として有用であり得、したがって、界面活性剤の後重合を除去する必要性をなくす。
【0057】
本開示のモノマーは、ポリマーの重合に使用されてもよい。式Iによるモノマーの一方の端部は二重結合を含むので、このモノマーは重合反応に使用されることができる。式Iによるモノマーのその他の端部は、スルフィン酸又はその塩を含むため、SO−の除去を受け得るラジカル中間体を発生させるような、酸化剤への電子伝達によって、この部位はラジカルを容易に形成する。したがって、それはラジカル重合反応における反応開始剤として作用し得る。したがって、式Iによるモノマーは、重合の間に消耗し得る。更に、スルフィン酸及びその塩の、例えば、(NHなどの酸化剤との、フッ素化されたラジカルを形成するような高速な反応のため、式Iによるモノマーを反応開始剤として使用して作製されたポリマーは、酸化剤から発生する還元された又は非極性末端基を有し得、それはポリマーの安定性を促進し得る。
【実施例】
【0058】
本開示の利点及び実施形態を以降の実施例によって更に例示するが、これら実施例において列挙される特定の材料及びそれらの量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不当に制限するものと解釈されるべきではない。これらの実施例では、比率、割合及び比はすべて、特に断らないかぎり重量に基づいたものである。
【0059】
材料はいずれも、例えば、Sigma−Aldrich Chemical Company(Milwaukee、WI)から市販されているものか、あるいは特に断らない又は明らかでない限り、当業者には既知のものである。
【0060】
以下の実施例では、これらの略語が使用される。bp=沸点、g=グラム、mol=モル、mL=ミリリットル、mm Hg=ミリメートル水銀柱、N=規定、NMR=核磁気共鳴、MW=分子量、及びppm=パーツ・パー・ミリオン。
【0061】
【表1】
【0062】
(実施例1)
160gの乾燥ジグリム、28gのKF(MW=58.1、0.48mol)、11.5gのジグリム中の11.5gのADOGEN 464、100gのFSO(CFC(O)F(MW=280、0.35mol)、及び65gのCH=CHCHBr(MW=121、0.537mol)を、窒素下で、機械的な攪拌(Parr Instrument Co.,Moline,ILから市販されている)と共に600mLのステンレス鋼反応器内に入れた。反応混合物を、52℃で24時間、更に反応させた。反応混合物の19F NMR分析は、−C(O)Fの完全な反応(+22ppm、100%変換)、及び−86ppmでの新規の−CFO−信号の生成を示した。反応混合物を、濾過して固体を除去し、溶液を水で洗浄した(各回につき30mLで3回)。分離した下部の溶液を、MgSO上で乾燥させ、また蒸留して、78g(0.23mol)の無色の液体を得た(bp 62℃/14mmHg(1.9kPa))。分離収率は、65.5%であった。NMR分析は、構造体CH=CHCHO(CFSOFを確認した。19F NMR:+44(−SOF、1F)ppm、−86(−OCF−、2F)ppm、−108(−CFSOF、2F)ppm、−121(−CF−、2F)ppm、−126(−CF−、2F)ppm。H−NMR:5.9(m、1H)ppm、5.4(d、1H)ppm、5.3(d、1H)ppm、4.6(d、2H)ppm。
【0063】
50gの蒸留水、50gのCHOCHCHOCH、及び15.64gのKSO(MW=158.26、0.988mol)を、電磁攪拌器、コンデンサ、窒素引入口、及び漏斗を装備した250mL三つ口フラスコに入れた。18gのCH=CHCHO(CFSOF(MW=340、0.053mol)を漏斗を通して20℃で添加し、混合物を窒素下において20℃で18時間反応させた。19F NMRによる反応混合物の分析は、64%の変換を示し、+44ppmにおける−SOFの低減された信号、−108ppmにおける−CFSOFの低減された信号、及び−130ppmにおける−CFSOKの新規の信号によって識別された。混合物を濾過し、8.14gの底層を分離した。底層は、19F NMR分析によって確認される通り、回収されたCH=CHCHO(CFSOFであった。CHOCHCHOCHを回転蒸発によって上層から除去し、残留物を2N HSOによって酸性化し、MeOBu−t(3×60mL)によって抽出した。組み合わせたエーテル溶液を、0.1N HSO(10mLで2回)で洗浄し、MgSO上で乾燥させた。乾燥させた溶液を、濾過し、回転蒸発させて溶媒を除去し、NMR分析によって確認されるように、7.12gの所望の生成物CH=CHCHO(CF2)SOHを得た(MW=322、65%分離収率)。19F NMR:−87(−OCFF)ppm、−125(−CF−、2F)ppm、−128(−CF−、2F)ppm、−130(−CFSOH、2F)ppm。H−NMR:5.9ppm(m、1H)、5.4ppm(d、1H)、5.3ppm(d、1H)、4.6(d、2H)ppm。
【0064】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく本発明に予測可能な改変及び変更を行いうることは当業者には明らかであろう。本発明は、説明を目的として本出願に記載される各実施形態に限定されるべきものではない。
本明細書に記載の実施態様の一部を[1]−[20]に記載する。
[1]
(a)アリル化化合物を、フッ化塩の存在下で、(i)フッ素化されたフルオロアシルスルホニルフルオリド、(ii)アリルエーテル末端スルホニルフルオリドを生成するためのフッ素化されたスルトン、及び(iii)これらの組み合わせ、からなる群から選択される、第2の化合物と反応させることと、
(b)アリルエーテル末端フルオロアルカンスルフィン酸を生成するために前記アリルエーテル末端スルホニルフルオリドを還元することと、を含む、方法。
[2]
前記第2の化合物が、完全にフッ素化又は高度にフッ素化されている、項目1に記載の方法。
[3]
前記第2の化合物が、Cl、Br、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるハロゲンを含む、項目1又は2に記載の方法。
[4]
前記反応させることが、相間移動触媒の存在下で生じる、項目1〜3のいずれか一項に記載の方法。
[5]
前記相間移動触媒が、(CHCHNCl、(プロピル)NCl、(ブチル)NCl、(ブチル)NBr、(ブチル)PBr、C1633(+)(ブチル)Br(−)、(ブチル)(+)CHSO(−)、(ブチル)(+)CFSO(−)、メチルトリアルキル(C〜C10)塩化アンモニウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、項目4に記載の方法。
[6]
前記アリル化化合物が、一般式:CHX=CX−CHX−L(式中、X、X、及びXは、それぞれ独立して、H、Cl、F、Br、アリール、及びC1〜C4アルキル基からなる群から選択され、Lは、I、Br、Cl、F、RC(O)O−、RS(O)O−、RP(O)O−、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、各Rは、独立して、アルキル基、アリール基、フッ素化されたアルキル基、フッ素化されたアリール基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される)によって表される、項目1〜5のいずれか一項に記載の方法。
[7]
前記第2の化合物が、FC(=O)(CFSOF、FC(=O)CFHSOF、FC(=O)CFClSOF、FC(=O)CFSOF、FC(=O)(CFSOF、FC(=O)CF(CF)SOF、FC(=O)CF(CF)O(CFSOF、FC(=O)CF(CF)O(CFSOF、FC(=O)CF(CF)O(CFSOF、FC(=O)CF(CF)OCFCF(CF)O(CFSOF、FC(=O)CF(CF)OCFCF(CF)O(CFSOF、
【化1】
及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、項目1〜6のいずれか一項に記載の方法。
[8]
前記反応させることが、第1の溶媒の存在下で実行される、項目1〜7のいずれか一項に記載の方法。
[9]
前記第1の溶媒が、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、CHCN、CHOCHCHOCH、CHOCHCHOCHCHOCH、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、項目8に記載の方法。
[10]
前記還元することが、NHNH、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、KSO、NaSO、NaHSO、KHSO、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される還元剤の存在下で実行される、項目1〜9のいずれか一項に記載の方法。
[11]
前記還元することが、第2の溶媒中の還元剤の存在下で実行される、項目1〜10のいずれか一項に記載の方法。
[12]
前記第2の溶媒が、CHCN、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、エーテル、エタノール、イソプロパノール、水、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、項目11に記載の方法。
[13]
前記フッ化塩が、AgF、NaF、CsF、KF、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、項目1〜12のいずれか一項に記載の方法。
[14]
前記反応することが、20℃〜100℃の間で実行される、項目1〜13のいずれか一項に記載の方法。
[15]
前記反応することが、無水条件下で実行される、項目1〜14のいずれか一項に記載の方法。
[16]
式I:
CHX=CX−CHX−O−Rf−SOM (I)
(式中、X、X、及びXは、それぞれ独立して、C1〜C4アルキル基、アリール基、H、Cl、Br、F、及びIからなる群から選択され、Rfは、カテナリー酸素又は窒素を含むか、又は含まない二価のフッ素化された基であり、Mはカチオンである)による組成物を含む、モノマー。
[17]
、X、及びXが、それぞれ独立して、C1〜C4アルキル基及びHからなる群から選択される、項目16に記載のモノマー。
[18]
Rfが、完全にフッ素化された基である、項目16又は17に記載のモノマー。
[19]
前記組成物が、CH=CH−CH−O−(CF−SOM(式中、nは少なくとも2であり、Mはカチオンである)から選択される、項目16又は18に記載のモノマー。
[20]
Mが、H、Na、Li、Cs、NH、及びKから選択される、項目16〜19のいずれか一項に記載のモノマー。