(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記第2異物検出手段により検出された異物の付着割合が大きいほど、前記所定領域の画像から前記立体物が検出され、当該立体物が前記他車両であると判断されることを抑制する請求項1に記載の立体物検出装置。
前記制御手段は、前記第2異物検出手段による異物の付着割合が大きいほど、前記所定領域の画像から前記立体物が検出され、当該立体物が前記他車両であると判断されることを抑制する請求項3に記載の立体物検出装置。
前記第1異物検出手段は、輝度値の経時的変化が所定閾値γ以下である場合に前記レンズに異物が付着していることを検出する請求項1〜4のいずれか一項に記載の立体物検出装置。
前記第1異物検出手段は、地平線又は道路端を含むエッジ抽出領域において前記画像のエッジを抽出し、当該抽出されたエッジの強度分布に基づいて前記レンズの白濁度合いを検出するとともに、
前記白濁度合いが大きい場合は、前記白濁度合いが小さい場合に比べて、前記輝度値の経時的変化の所定閾値を相対的に小さく設定する請求項5に記載の立体物検出装置。
前記第1異物検出手段は、環境の明るさが明るい場合は、前記環境の明るさが暗い場合に比べて、前記輝度値の経時的変化の所定閾値γを相対的に大きく設定する請求項5又は6に記載の立体物検出装置。
前記制御手段は、前記輝度値の経時的変化が所定閾値γ以下である所定画素の、前記所定領域に相当する全画素に対する面積割合が大きいほど、前記所定領域の画像から前記立体物が検出され、当該立体物が前記他車両であると判断されることを抑制する請求項1〜7のいずれか一項に記載の立体物検出装置。
前記制御手段は、前記輝度値の経時的変化が所定閾値γ以下である所定画素の、前記所定領域に相当する全画素に対する面積割合が所定値以上である場合に、前記画像から立体物を検出する処理及び前記他車両であるか否かを判断する処理を中止する請求項8に記載の立体物検出装置。
前記第1異物検出手段は、環境の明るさが明るいほど前記所定画素の面積を小さく設定し、環境の明るさが暗いほど前記所定画素の面積を大きく設定する請求項1〜9のいずれか一項に記載の立体物検出装置。
前記判定手段により前記レンズに異物が付着していると判断した場合に、前記第1閾値及び前記第2閾値を変更して前記立体物の検出を抑制する請求項25に記載の異物検出装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の立体物検出装置1及び異物検出装置を適用した一実施の形態に係る車両の概略構成図であり、本例の立体物検出装置1は、自車両Vの運転者が運転中に注意を払うべき他車両、例えば、自車両Vが車線変更する際に接触の可能性がある他車両を障害物として検出する装置である。特に、本例の立体物検出装置1は自車両が走行する車線の隣の隣接車線(以下、単に隣接車線ともいう)を走行する他車両を検出する。また、本例の立体物検出装置1は、検出した他車両の移動距離、移動速度を算出することができる。このため、以下説明する一例は、立体物検出装置1を自車両Vに搭載し、自車両周囲において検出される立体物のうち、自車両Vが走行する車線の隣の隣接車線を走行する他車両を検出する例を示すこととする。同図に示すように、本例の立体物検出装置1は、カメラ10と、車速センサ20と、計算機30と、を備える。
【0010】
カメラ10は、
図1に示すように自車両Vの後方における高さhの箇所において、光軸が水平から下向きに角度θとなるように自車両Vに取り付けられている。カメラ10は、この位置から自車両Vの周囲環境のうちの所定領域を撮像する。カメラ10は、像を結像させるレンズ11を備える。本実施形態において自車両Vの後方の立体物を検出するために設けられるカメラ1は一つであるが、他の用途のため、例えば車両周囲の画像を取得するための他のカメラを設けることもできる。車速センサ20は、自車両Vの走行速度を検出するものであって、例えば車輪に回転数を検知する車輪速センサで検出した車輪速から車速度を算出する。計算機30は、車両後方の立体物を検出するとともに、本例ではその立体物について移動距離及び移動速度を算出する。
【0011】
図2は、
図1の自車両Vの走行状態を示す平面図である。同図に示すように、カメラ10は、所定の画角aで車両後方側を撮像する。このとき、カメラ10の画角aは、自車両Vが走行する車線に加えて、その左右の車線についても撮像可能な画角に設定されている。撮像可能な領域には、自車両Vの後方であり、自車両Vの走行車線の左右隣の隣接車線上の検出対象領域A1,A2を含む。
【0012】
図3は、
図1の計算機30の詳細を示すブロック図である。なお、
図3においては、接続関係を明確とするためにカメラ10、車速センサ20についても図示する。
【0013】
図3に示すように、計算機30は、視点変換部31と、位置合わせ部32と、立体物検出部33と、立体物判断部34と、異物検出部38と、制御部39と、スミア検出部40とを備える。本実施形態の計算部30は、差分波形情報を利用した立体物の検出ブロックAに関する構成である。本実施形態の計算部30は、エッジ情報を利用した立体物の検出ブロックBに関する構成とすることもできる。この場合は、
図3に示す構成のうち、位置合わせ部32と、立体物検出部33から構成されるブロック構成Aを、破線で囲んだ輝度差算出部35と、エッジ線検出部36と、立体物検出部37から構成されるブロック構成Bと置き換えて構成することができる。もちろん、ブロック構成A及びブロック構成Bの両方を備え、差分波形情報を利用した立体物の検出を行うとともに、エッジ情報を利用した立体物の検出も行うことができるようにすることもできる。ブロック構成A及びブロック構成Bを備える場合には、例えば明るさなどの環境要因に応じてブロック構成A又はブロック構成Bのいずれかを動作させることができる。以下、各構成について説明する。
【0014】
《差分波形情報による立体物の検出》
本実施形態の立体物検出装置1は、車両後方を撮像する単眼のカメラ1により得られた画像情報に基づいて車両後方の右側検出領域又は左側検出領域に存在する立体物を検出する。
【0015】
視点変換部31は、カメラ10による撮像にて得られた所定領域の撮像画像データを入力し、入力した撮像画像データを鳥瞰視される状態の鳥瞰画像データに視点変換する。鳥瞰視される状態とは、上空から例えば鉛直下向きに見下ろす仮想カメラの視点から見た状態である。この視点変換は、例えば特開2008−219063号公報に記載されるようにして実行することができる。撮像画像データを鳥瞰視画像データに視点変換するのは、立体物に特有の鉛直エッジは鳥瞰視画像データへの視点変換により特定の定点を通る直線群に変換されるという原理に基づき、これを利用すれば平面物と立体物とを識別できるからである。なお、視点変換部31による画像変換処理の結果は、後述するエッジ情報による立体物の検出においても利用される。
【0016】
位置合わせ部32は、視点変換部31の視点変換により得られた鳥瞰画像データを順次入力し、入力した異なる時刻の鳥瞰画像データの位置を合わせる。
図4は、位置合わせ部32の処理の概要を説明するための図であり、(a)は自車両Vの移動状態を示す平面図、(b)は位置合わせの概要を示す画像である。
【0017】
図4(a)に示すように、現時刻の自車両VがV1に位置し、一時刻前の自車両VがV2に位置していたとする。また、自車両Vの後側方向に他車両VXが位置して自車両Vと並走状態にあり、現時刻の他車両VXがV3に位置し、一時刻前の他車両VXがV4に位置していたとする。さらに、自車両Vは、一時刻で距離d移動したものとする。なお、一時刻前とは、現時刻から予め定められた時間(例えば1制御周期)だけ過去の時刻であってもよいし、任意の時間だけ過去の時刻であってもよい。
【0018】
このような状態において、現時刻における鳥瞰画像PB
tは
図4(b)に示すようになる。この鳥瞰画像PB
tでは、路面上に描かれる白線については矩形状となり、比較的正確に平面視された状態となるが、位置V3にある他車両VXの位置については倒れ込みが発生する。また、一時刻前における鳥瞰画像PB
t−1についても同様に、路面上に描かれる白線については矩形状となり、比較的正確に平面視された状態となるが、位置V4にある他車両VXについては倒れ込みが発生する。既述したとおり、立体物の鉛直エッジ(厳密な意味の鉛直エッジ以外にも路面から三次元空間に立ち上がったエッジを含む)は、鳥瞰視画像データへの視点変換処理によって倒れ込み方向に沿った直線群として現れるのに対し、路面上の平面画像は鉛直エッジを含まないので、視点変換してもそのような倒れ込みが生じないからである。
【0019】
位置合わせ部32は、上記のような鳥瞰画像PB
t,PB
t−1の位置合わせをデータ上で実行する。この際、位置合わせ部32は、一時刻前における鳥瞰画像PB
t−1をオフセットさせ、現時刻における鳥瞰画像PB
tと位置を一致させる。
図4(b)の左側の画像と中央の画像は、移動距離d’だけオフセットした状態を示す。このオフセット量d’は、
図4(a)に示した自車両Vの実際の移動距離dに対応する鳥瞰視画像データ上の移動量であり、車速センサ20からの信号と一時刻前から現時刻までの時間に基づいて決定される。
【0020】
また、位置合わせ後において位置合わせ部32は、鳥瞰画像PB
t,PB
t−1の差分をとり、差分画像PD
tのデータを生成する。ここで、差分画像PD
tの画素値は、鳥瞰画像PB
t,PB
t−1の画素値の差を絶対値化したものでもよいし、照度環境の変化に対応するために当該絶対値が所定の閾値pを超えたときに「1」とし、超えないときに「0」としてもよい。
図4(b)の右側の画像が、差分画像PD
tである。この閾値pは、予め設定しておいてもよいし、後述する制御部39が生成する制御命令に従い変更してもよい。
【0021】
図3に戻り、立体物検出部33は、
図4(b)に示す差分画像PD
tのデータに基づいて立体物を検出する。この際、本例の立体物検出部33は、実空間上における立体物の移動距離についても算出する。立体物の検出及び移動距離の算出にあたり、立体物検出部33は、まず差分波形を生成する。なお、立体物の時間あたりの移動距離は、立体物の移動速度の算出に用いられる。そして、立体物の移動速度は、立体物が車両であるか否かの判断に用いることができる。
【0022】
差分波形の生成にあたって本実施形態の立体物検出部33は、差分画像PD
tにおいて検出領域を設定する。本例の立体物検出装置1は、自車両Vの運転手が注意を払う他車両VXであり、特に、自車両Vが車線変更する際に接触の可能性がある自車両Vが走行する車線の隣の車線を走行する他車両VXを検出対象物として検出する。このため、画像情報に基づいて立体物を検出する本例では、カメラ1により得られた画像のうち、自車両Vの右側及び左側に二つの検出領域を設定する。具体的に、本実施形態では、
図2に示すように自車両Vの後方の左側及び右側に矩形状の検出領域A1,A2を設定する。この検出領域A1,A2において検出された他車両VXは、自車両Vが走行する車線の隣の隣接車線を走行する障害物として検出される。なお、このような検出領域A1,A2は、自車両Vに対する相対位置から設定してもよいし、白線の位置を基準に設定してもよい。白線の位置を基準に設定する場合に、移動距離検出装置1は、例えば既存の白線認識技術等を利用するとよい。
【0023】
また、立体物検出部33は、設定した検出領域A1,A2の自車両V側における辺(走行方向に沿う辺)を接地線L1,L2(
図2)として認識する。一般に接地線は立体物が地面に接触する線を意味するが、本実施形態では地面に接触する線でなく上記の如くに設定される。なおこの場合であっても、経験上、本実施形態に係る接地線と、本来の他車両VXの位置から求められる接地線との差は大きくなり過ぎず、実用上は問題が無い。
【0024】
図5は、
図3に示す立体物検出部33による差分波形の生成の様子を示す概略図である。
図5に示すように、立体物検出部33は、位置合わせ部32で算出した差分画像PD
t(
図4(b)の右図)のうち検出領域A1,A2に相当する部分から、差分波形DW
tを生成する。この際、立体物検出部33は、視点変換により立体物が倒れ込む方向に沿って、差分波形DW
tを生成する。なお、
図5に示す例では、便宜上検出領域A1のみを用いて説明するが、検出領域A2についても同様の手順で差分波形DW
tを生成する。
【0025】
具体的に説明すると、立体物検出部33は、差分画像DW
tのデータ上において立体物が倒れ込む方向上の線Laを定義する。そして、立体物検出部33は、線La上において所定の差分を示す差分画素DPの数をカウントする。ここで、所定の差分を示す差分画素DPは、差分画像DW
tの画素値が鳥瞰画像PB
t,PB
t−1の画素値の差を絶対値化したものである場合は、所定の閾値を超える画素であり、差分画像DW
tの画素値が「0」「1」で表現されている場合は、「1」を示す画素である。
【0026】
立体物検出部33は、差分画素DPの数をカウントした後、線Laと接地線L1との交点CPを求める。そして、立体物検出部33は、交点CPとカウント数とを対応付け、交点CPの位置に基づいて横軸位置、すなわち
図5右図の上下方向軸における位置を決定するとともに、カウント数から縦軸位置、すなわち
図5右図の左右方向軸における位置を決定し、交点CPにおけるカウント数としてプロットする。
【0027】
以下同様に、立体物検出部33は、立体物が倒れ込む方向上の線Lb,Lc…を定義して、差分画素DPの数をカウントし、各交点CPの位置に基づいて横軸位置を決定し、カウント数(差分画素DPの数)から縦軸位置を決定しプロットする。立体物検出部33は、上記を順次繰り返して度数分布化することで、
図5右図に示すように差分波形DW
tを生成する。
【0028】
なお、
図5左図に示すように、立体物が倒れ込む方向上の線Laと線Lbとは検出領域A1と重複する距離が異なっている。このため、検出領域A1が差分画素DPで満たされているとすると、線Lb上よりも線La上の方が差分画素DPの数が多くなる。このため、立体物検出部33は、差分画素DPのカウント数から縦軸位置を決定する場合に、立体物が倒れ込む方向上の線La,Lbと検出領域A1とが重複する距離に基づいて正規化する。具体例を挙げると、
図5左図において線La上の差分画素DPは6つあり、線Lb上の差分画素DPは5つである。このため、
図5においてカウント数から縦軸位置を決定するにあたり、立体物検出部33は、カウント数を重複距離で除算するなどして正規化する。これにより、差分波形DW
tに示すように、立体物が倒れ込む方向上の線La,Lbに対応する差分波形DW
tの値はほぼ同じとなっている。
【0029】
差分波形DW
tの生成後、立体物検出部33は一時刻前の差分波形DW
t−1との対比により移動距離を算出する。すなわち、立体物検出部33は、差分波形DW
t,DW
t−1の時間変化から移動距離を算出する。
【0030】
詳細に説明すると、立体物検出部33は、
図6に示すように差分波形DW
tを複数の小領域DW
t1〜DW
tn(nは2以上の任意の整数)に分割する。
図6は、立体物検出部33によって分割される小領域DW
t1〜DW
tnを示す図である。小領域DW
t1〜DW
tnは、例えば
図6に示すように、互いに重複するようにして分割される。例えば小領域DW
t1と小領域DW
t2とは重複し、小領域DW
t2と小領域DW
t3とは重複する。
【0031】
次いで、立体物検出部33は、小領域DW
t1〜DW
tn毎にオフセット量(差分波形の横軸方向(
図6の上下方向)の移動量)を求める。ここで、オフセット量は、一時刻前における差分波形DW
t−1と現時刻における差分波形DW
tとの差(横軸方向の距離)から求められる。この際、立体物検出部33は、小領域DW
t1〜DW
tn毎に、一時刻前における差分波形DW
t−1を横軸方向に移動させた際に、現時刻における差分波形DW
tとの誤差が最小となる位置(横軸方向の位置)を判定し、差分波形DW
t−1の元の位置と誤差が最小となる位置との横軸方向の移動量をオフセット量として求める。そして、立体物検出部33は、小領域DW
t1〜DW
tn毎に求めたオフセット量をカウントしてヒストグラム化する。
【0032】
図7は、立体物検出部33により得られるヒストグラムの一例を示す図である。
図7に示すように、各小領域DW
t1〜DW
tnと一時刻前における差分波形DW
t−1との誤差が最小となる移動量であるオフセット量には、多少のバラつきが生じる。このため、立体物検出部33は、バラつきを含んだオフセット量をヒストグラム化し、ヒストグラムから移動距離を算出する。この際、立体物検出部33は、ヒストグラムの極大値から立体物の移動距離を算出する。すなわち、
図7に示す例において立体物検出部33は、ヒストグラムの極大値を示すオフセット量を移動距離τ
*と算出する。なおこの移動距離τ
*は、自車両Vに対する他車両VXの相対移動距離である。このため、立体物検出部33は、絶対移動距離を算出する場合には、得られた移動距離τ
*と車速センサ20からの信号とに基づいて、絶対移動距離を算出することとなる。
【0033】
なお、ヒストグラム化にあたり立体物検出部33は、複数の小領域DW
t1〜DW
tn毎に重み付けをし、小領域DW
t1〜DW
tn毎に求めたオフセット量を重みに応じてカウントしてヒストグラム化してもよい。
図8は、立体物検出部33による重み付けを示す図である。
【0034】
図8に示すように、小領域DW
m(mは1以上n−1以下の整数)は平坦となっている。すなわち、小領域DW
mは所定の差分を示す画素数のカウントの最大値と最小値との差が小さくなっている。立体物検出部33は、このような小領域DW
mについて重みを小さくする。平坦な小領域DW
mについては、特徴がなくオフセット量の算出にあたり誤差が大きくなる可能性が高いからである。
【0035】
一方、小領域DW
m+k(kはn−m以下の整数)は起伏に富んでいる。すなわち、小領域DW
mは所定の差分を示す画素数のカウントの最大値と最小値との差が大きくなっている。立体物検出部33は、このような小領域DW
mについて重みを大きくする。起伏に富む小領域DW
m+kについては、特徴的でありオフセット量の算出を正確に行える可能性が高いからである。このように重み付けすることにより、移動距離の算出精度を向上することができる。
【0036】
なお、移動距離の算出精度を向上するために上記実施形態では差分波形DW
tを複数の小領域DW
t1〜DW
tnに分割したが、移動距離の算出精度がさほど要求されない場合は小領域DW
t1〜DW
tnに分割しなくてもよい。この場合に、立体物検出部33は、差分波形DW
tと差分波形DW
t−1との誤差が最小となるときの差分波形DW
tのオフセット量から移動距離を算出することとなる。すなわち、一時刻前における差分波形DW
t−1と現時刻における差分波形DW
tとのオフセット量を求める方法は上記内容に限定されない。
【0037】
図3に戻り、計算機30はスミア検出部40を備える。スミア検出部40は、カメラ10による撮像によって得られた撮像画像のデータからスミアの発生領域を検出する。なお、スミアはCCDイメージセンサ等に生じる白飛び現象であることから、こうしたスミアが生じないCMOSイメージセンサ等を用いたカメラ10を採用する場合にはスミア検出部40を省略してもよい。
【0038】
図9は、スミア検出部40による処理及びそれによる差分波形DW
tの算出処理を説明するための画像図である。まずスミア検出部40にスミアSが存在する撮像画像Pのデータが入力されたとする。このとき、スミア検出部40は、撮像画像PからスミアSを検出する。スミアSの検出方法は様々であるが、例えば一般的なCCD(Charge-Coupled Device)カメラの場合、光源から画像下方向にだけスミアSが発生する。このため、本実施形態では画像下側から画像上方に向かって所定値以上の輝度値を持ち、且つ、縦方向に連続した領域を検索し、これをスミアSの発生領域と特定する。
【0039】
また、スミア検出部40は、スミアSの発生箇所について画素値を「1」とし、それ以外の箇所を「0」とするスミア画像SPのデータを生成する。生成後、スミア検出部40はスミア画像SPのデータを視点変換部31に送信する。また、スミア画像SPのデータを入力した視点変換部31は、このデータを鳥瞰視される状態に視点変換する。これにより、視点変換部31はスミア鳥瞰画像SB
tのデータを生成する。生成後、視点変換部31はスミア鳥瞰画像SB
tのデータを位置合わせ部33に送信する。また、視点変換部31は一時刻前のスミア鳥瞰画像SB
t−1のデータを位置合わせ部33に送信する。
【0040】
位置合わせ部32は、スミア鳥瞰画像SB
t,SB
t−1の位置合わせをデータ上で実行する。具体的な位置合わせについては、鳥瞰画像PB
t,PB
t−1の位置合わせをデータ上で実行する場合と同様である。また、位置合わせ後、位置合わせ部32は、各スミア鳥瞰画像SB
t,SB
t−1のスミアSの発生領域について論理和をとる。これにより、位置合わせ部32は、マスク画像MPのデータを生成する。生成後、位置合わせ部32は、マスク画像MPのデータを立体物検出部33に送信する。
【0041】
立体物検出部33は、マスク画像MPのうちスミアSの発生領域に該当する箇所について、度数分布のカウント数をゼロとする。すなわち、
図9に示すような差分波形DW
tが生成されていた場合に、立体物検出部33は、スミアSによるカウント数SCをゼロとし、補正された差分波形DW
t’を生成することとなる。
【0042】
なお、本実施形態において立体物検出部33は、車両V(カメラ10)の移動速度を求め、求めた移動速度から静止物についてのオフセット量を求める。静止物のオフセット量を求めた後、立体物検出部33は、ヒストグラムの極大値のうち静止物に該当するオフセット量を無視したうえで、立体物の移動距離を算出する。
【0043】
図10は、立体物検出部33により得られるヒストグラムの他例を示す図である。カメラ10の画角内に他車両VXの他に静止物が存在する場合に、得られるヒストグラムには2つの極大値τ1,τ2が現れる。この場合、2つの極大値τ1,τ2のうち、いずれか一方は静止物のオフセット量である。このため、立体物検出部33は、移動速度から静止物についてのオフセット量を求め、そのオフセット量に該当する極大値について無視し、残り一方の極大値を採用して立体物の移動距離を算出する。
【0044】
なお、静止物に該当するオフセット量を無視したとしても、極大値が複数存在する場合、カメラ10の画角内に他車両VXが複数台存在すると想定される。しかし、検出領域A1,A2内に複数の他車両VXが存在することは極めて稀である。このため、立体物検出部33は、移動距離の算出を中止する。
【0045】
次に差分波形情報による立体物検出手順を説明する。
図11及び
図12は、本実施形態の立体物検出手順を示すフローチャートである。
図11に示すように、まず、計算機30はカメラ10による撮像画像Pのデータを入力し、スミア検出部40によりスミア画像SPを生成する(S1)。次いで、視点変換部31は、カメラ10からの撮像画像Pのデータから鳥瞰画像PB
tのデータを生成すると共に、スミア画像SPのデータからスミア鳥瞰画像SB
tのデータを生成する(S2)。
【0046】
そして、位置合わせ部33は、鳥瞰画像PB
tのデータと、一時刻前の鳥瞰画像PB
t−1のデータとを位置合わせすると共に、スミア鳥瞰画像SB
tのデータと、一時刻前のスミア鳥瞰画像SB
t−1のデータとを位置合わせする(S3)。この位置合わせ後、位置合わせ部33は、差分画像PD
tのデータを生成すると共に、マスク画像MPのデータを生成する(S4)。その後、立体物検出部33は、差分画像PD
tのデータと、一時刻前の差分画像PD
t−1のデータとから、差分波形DW
tを生成する(S5)。差分波形DW
tを生成後、立体物検出部33は、差分波形DW
tのうち、スミアSの発生領域に該当するカウント数をゼロとし、スミアSによる影響を抑制する(S6)。
【0047】
その後、立体物検出部33は、差分波形DW
tのピークが第1閾値α以上であるか否かを判断する(S7)。この第1閾値αは、予め設定しておき、
図3に示す制御部39の制御命令に従い変更することもできるが、その詳細については後述する。ここで、差分波形DW
tのピークが第1閾値α以上でない場合、すなわち差分が殆どない場合には、撮像画像P内には立体物が存在しないと考えられる。このため、差分波形DW
tのピークが第1閾値α以上でないと判断した場合には(S7:NO)、立体物検出部33は、立体物が存在せず、障害物としての他車両VXが存在しないと判断する(
図12:S16)。そして、
図11及び
図12に示す処理を終了する。
【0048】
一方、差分波形DW
tのピークが第1閾値α以上であると判断した場合には(S7:YES)、立体物検出部33は、立体物が存在すると判断し、差分波形DW
tを複数の小領域DW
t1〜DW
tnに分割する(S8)。次いで、立体物検出部33は、小領域DW
t1〜DW
tn毎に重み付けを行う(S9)。その後、立体物検出部33は、小領域DW
t1〜DW
tn毎のオフセット量を算出し(S10)、重みを加味してヒストグラムを生成する(S11)。
【0049】
そして、立体物検出部33は、ヒストグラムに基づいて自車両Vに対する立体物の移動距離である相対移動距離を算出する(S12)。次に、立体物検出部33は、相対移動距離から立体物の絶対移動速度を算出する(S13)。このとき、立体物検出部33は、相対移動距離を時間微分して相対移動速度を算出すると共に、車速センサ20で検出された自車速を加算して、絶対移動速度を算出する。
【0050】
その後、立体物検出部33は、立体物の絶対移動速度が10km/h以上、且つ、立体物の自車両Vに対する相対移動速度が+60km/h以下であるか否かを判断する(S14)。双方を満たす場合には(S14:YES)、立体物検出部33は、立体物が他車両VXであると判断する(S15)。そして、
図11及び
図12に示す処理を終了する。一方、いずれか一方でも満たさない場合には(S14:NO)、立体物検出部33は、他車両VXが存在しないと判断する(S16)。そして、
図11及び
図12に示す処理を終了する。
【0051】
なお、本実施形態では自車両Vの後側方を検出領域A1,A2とし、自車両Vが走行中に注意を払うべきである自車両の走行車線の隣を走行する隣接車線を走行する他車両VXを検出すること、特に、自車両Vが車線変更した場合に接触する可能性がある否かに重点を置いている。自車両Vが車線変更した場合に、自車両の走行車線の隣の隣接車線を走行する他車両VXと接触する可能性がある否かを判断するためである。このため、ステップS14の処理が実行されている。すなわち、本実施形態にけるシステムを高速道路で作動させることを前提とすると、立体物の速度が10km/h未満である場合、たとえ他車両VXが存在したとしても、車線変更する際には自車両Vの遠く後方に位置するため問題となることが少ない。同様に、立体物の自車両Vに対する相対移動速度が+60km/hを超える場合(すなわち、立体物が自車両Vの速度よりも60km/hより大きな速度で移動している場合)、車線変更する際には自車両Vの前方に移動しているため問題となることが少ない。このため、ステップS14では車線変更の際に問題となる他車両VXを判断しているともいえる。
【0052】
また、ステップS14において立体物の絶対移動速度が10km/h以上、且つ、立体物の自車両Vに対する相対移動速度が+60km/h以下であるかを判断することにより、以下の効果がある。例えば、カメラ10の取り付け誤差によっては、静止物の絶対移動速度を数km/hであると検出してしまう場合があり得る。よって、10km/h以上であるかを判断することにより、静止物を他車両VXであると判断してしまう可能性を低減することができる。また、ノイズによっては立体物の自車両Vに対する相対速度を+60km/hを超える速度に検出してしまうことがあり得る。よって、相対速度が+60km/h以下であるかを判断することにより、ノイズによる誤検出の可能性を低減できる。
【0053】
さらに、ステップS14の処理に代えて、絶対移動速度がマイナスでないことや、0km/hでないことを判断してもよい。また、本実施形態では自車両Vが車線変更した場合に接触する可能性がある否かに重点を置いているため、ステップS15において他車両VXが検出された場合に、自車両の運転者に警告音を発したり、所定の表示装置により警告相当の表示を行ったりしてもよい。
【0054】
このように、本例の差分波形情報による立体物の検出手順によれば、視点変換により立体物が倒れ込む方向に沿って、差分画像PD
tのデータ上において所定の差分を示す画素数をカウントして度数分布化することで差分波形DW
tを生成する。ここで、差分画像PD
tのデータ上において所定の差分を示す画素とは、異なる時刻の画像において変化があった画素であり、言い換えれば立体物が存在した箇所であるといえる。このため、立体物が存在した箇所において、立体物が倒れ込む方向に沿って画素数をカウントして度数分布化することで差分波形DW
tを生成することとなる。特に、立体物が倒れ込む方向に沿って画素数をカウントすることから、立体物に対して高さ方向の情報から差分波形DW
tを生成することとなる。そして、高さ方向の情報を含む差分波形DW
tの時間変化から立体物の移動距離を算出する。このため、単に1点の移動のみに着目するような場合と比較して、時間変化前の検出箇所と時間変化後の検出箇所とは高さ方向の情報を含んで特定されるため立体物において同じ箇所となり易く、同じ箇所の時間変化から移動距離を算出することとなり、移動距離の算出精度を向上させることができる。
【0055】
また、差分波形DW
tのうちスミアSの発生領域に該当する箇所について、度数分布のカウント数をゼロとする。これにより、差分波形DW
tのうちスミアSによって生じる波形部位を除去することとなり、スミアSを立体物と誤認してしまう事態を防止することができる。
【0056】
また、異なる時刻に生成された差分波形DW
tの誤差が最小となるときの差分波形DW
tのオフセット量から立体物の移動距離を算出する。このため、波形という1次元の情報のオフセット量から移動距離を算出することとなり、移動距離の算出にあたり計算コストを抑制することができる。
【0057】
また、異なる時刻に生成された差分波形DW
tを複数の小領域DW
t1〜DW
tnに分割する。このように複数の小領域DW
t1〜DW
tnに分割することによって、立体物のそれぞれの箇所を表わした波形を複数得ることとなる。また、小領域DW
t1〜DW
tn毎にそれぞれの波形の誤差が最小となるときのオフセット量を求め、小領域DW
t1〜DW
tn毎に求めたオフセット量をカウントしてヒストグラム化することにより、立体物の移動距離を算出する。このため、立体物のそれぞれの箇所毎にオフセット量を求めることとなり、複数のオフセット量から移動距離を求めることとなり、移動距離の算出精度を向上させることができる。
【0058】
また、複数の小領域DW
t1〜DW
tn毎に重み付けをし、小領域DW
t1〜DW
tn毎に求めたオフセット量を重みに応じてカウントしてヒストグラム化する。このため、特徴的な領域については重みを大きくし、特徴的でない領域については重みを小さくすることにより、一層適切に移動距離を算出することができる。従って、移動距離の算出精度を一層向上させることができる。
【0059】
また、差分波形DW
tの各小領域DW
t1〜DW
tnについて、所定の差分を示す画素数のカウントの最大値と最小値との差が大きいほど、重みを大きくする。このため、最大値と最小値との差が大きい特徴的な起伏の領域ほど重みが大きくなり、起伏が小さい平坦な領域については重みが小さくなる。ここで、平坦な領域よりも起伏の大きい領域の方が形状的にオフセット量を正確に求めやすいため、最大値と最小値との差が大きい領域ほど重みを大きくすることにより、移動距離の算出精度を一層向上させることができる。
【0060】
また、小領域DW
t1〜DW
tn毎に求めたオフセット量をカウントして得られたヒストグラムの極大値から、立体物の移動距離を算出する。このため、オフセット量にバラつきがあったとしても、その極大値から、より正確性の高い移動距離を算出することができる。
【0061】
また、静止物についてのオフセット量を求め、このオフセット量を無視するため、静止物により立体物の移動距離の算出精度が低下してしまう事態を防止することができる。また、静止物に該当するオフセット量を無視したうえで、極大値が複数ある場合、立体物の移動距離の算出を中止する。このため、極大値が複数あるような誤った移動距離を算出してしまう事態を防止することができる。
【0062】
なお上記実施形態において、自車両Vの車速を車速センサ20からの信号に基づいて判断しているが、これに限らず、異なる時刻の複数の画像から速度を推定するようにしてもよい。この場合、車速センサが不要となり、構成の簡素化を図ることができる。
【0063】
また、上記実施形態においては撮像した現時刻の画像と一時刻前の画像とを鳥瞰図に変換し、変換した鳥瞰図の位置合わせを行ったうえで差分画像PD
tを生成し、生成した差分画像PD
tを倒れ込み方向(撮像した画像を鳥瞰図に変換した際の立体物の倒れ込み方向)に沿って評価して差分波形DW
tを生成しているが、これに限定されない。例えば、一時刻前の画像のみを鳥瞰図に変換し、変換した鳥瞰図を位置合わせした後に再び撮像した画像相当に変換し、この画像と現時刻の画像とで差分画像を生成し、生成した差分画像を倒れ込み方向に相当する方向(すなわち、倒れ込み方向を撮像画像上の方向に変換した方向)に沿って評価することによって差分波形DW
tを生成してもよい。すなわち、現時刻の画像と一時刻前の画像との位置合わせを行い、位置合わせを行った両画像の差分から差分画像PD
tを生成し、差分画像PD
tを鳥瞰図に変換した際の立体物の倒れ込み方向に沿って評価できれば、必ずしも明確に鳥瞰図を生成しなくともよい。
【0064】
《エッジ情報による立体物の検出》
次に、
図3に示す立体物の検出ブロックAに代えて動作させることが可能である、立体物の検出ブロックBについて説明する。立体物の検出ブロックBは、輝度差算出部35、エッジ線検出部36及び立体物検出部37で構成されるエッジ情報を利用して立体物を検出する。
図13は、
図3のカメラ10の撮像範囲等を示す図であり、
図13(a)は平面図、
図13(b)は、自車両Vから後側方における実空間上の斜視図を示す。
図13(a)に示すように、カメラ10は所定の画角aとされ、この所定の画角aに含まれる自車両Vから後側方を撮像する。カメラ10の画角aは、
図2に示す場合と同様に、カメラ10の撮像範囲に自車両Vが走行する車線に加えて、隣接する車線も含まれるように設定されている。
【0065】
本例の検出領域A1,A2は、平面視(鳥瞰視された状態)において台形状とされ、これら検出領域A1,A2の位置、大きさ及び形状は、距離d
1〜d
4に基づいて決定される。なお、同図に示す例の検出領域A1,A2は台形状に限らず、
図2に示すように鳥瞰視された状態で矩形など他の形状であってもよい。
【0066】
ここで、距離d1は、自車両Vから接地線L1,L2までの距離である。接地線L1,L2は、自車両Vが走行する車線に隣接する車線に存在する立体物が地面に接触する線を意味する。本実施形態においては、自車両Vの後側方において自車両Vの車線に隣接する左右の車線を走行する他車両VX等(2輪車等を含む)を検出することが目的である。このため、自車両Vから白線Wまでの距離d11及び白線Wから他車両VXが走行すると予測される位置までの距離d12から、他車両VXの接地線L1,L2となる位置である距離d1を略固定的に決定しておくことができる。
【0067】
また、距離d1については、固定的に決定されている場合に限らず、可変としてもよい。この場合に、計算機30は、白線認識等の技術により自車両Vに対する白線Wの位置を認識し、認識した白線Wの位置に基づいて距離d11を決定する。これにより、距離d1は、決定された距離d11を用いて可変的に設定される。以下の本実施形態においては、他車両VXが走行する位置(白線Wからの距離d12)及び自車両Vが走行する位置(白線Wからの距離d11)は大凡決まっていることから、距離d1は固定的に決定されているものとする。
【0068】
距離d2は、自車両Vの後端部から車両進行方向に伸びる距離である。この距離d2は、検出領域A1,A2が少なくともカメラ10の画角a内に収まるように決定されている。特に本実施形態において、距離d2は、画角aに区分される範囲に接するよう設定されている。距離d3は、検出領域A1,A2の車両進行方向における長さを示す距離である。この距離d3は、検出対象となる立体物の大きさに基づいて決定される。本実施形態においては、検出対象が他車両VX等であるため、距離d3は、他車両VXを含む長さに設定される。
【0069】
距離d4は、
図13(b)に示すように、実空間において他車両VX等のタイヤを含むように設定された高さを示す距離である。距離d4は、鳥瞰視画像においては
図13(a)に示す長さとされる。なお、距離d4は、鳥瞰視画像において左右の隣接車線よりも更に隣接する車線(すなわち2車線隣りの車線)を含まない長さとすることもできる。自車両Vの車線から2車線隣の車線を含んでしまうと、自車両Vが走行している車線である自車線の左右の隣接車線に他車両VXが存在するのか、2車線隣りの車線に他車両VXが存在するのかについて、区別が付かなくなってしまうためである。
【0070】
以上のように、距離d1〜距離d4が決定され、これにより検出領域A1,A2の位置、大きさ及び形状が決定される。具体的に説明すると、距離d1により、台形をなす検出領域A1,A2の上辺b1の位置が決定される。距離d2により、上辺b1の始点位置C1が決定される。距離d3により、上辺b1の終点位置C2が決定される。カメラ10から始点位置C1に向かって伸びる直線L3により、台形をなす検出領域A1,A2の側辺b2が決定される。同様に、カメラ10から終点位置C2に向かって伸びる直線L4により、台形をなす検出領域A1,A2の側辺b3が決定される。距離d4により、台形をなす検出領域A1,A2の下辺b4の位置が決定される。このように、各辺b1〜b4により囲まれる領域が検出領域A1,A2とされる。この検出領域A1,A2は、
図13(b)に示すように、自車両Vから後側方における実空間上では真四角(長方形)となる。
【0071】
図3に戻り、視点変換部31は、カメラ10による撮像にて得られた所定領域の撮像画像データを入力する。視点変換部31は、入力した撮像画像データに対して、鳥瞰視される状態の鳥瞰画像データに視点変換処理を行う。鳥瞰視される状態とは、上空から例えば鉛直下向き(又は、やや斜め下向き)に見下ろす仮想カメラの視点から見た状態である。この視点変換処理は、例えば特開2008−219063号公報に記載された技術によって実現することができる。
【0072】
輝度差算出部35は、鳥瞰視画像に含まれる立体物のエッジを検出するために、視点変換部31により視点変換された鳥瞰視画像データに対して、輝度差の算出を行う。輝度差算出部35は、実空間における鉛直方向に伸びる鉛直仮想線に沿った複数の位置ごとに、当該各位置の近傍の2つの画素間の輝度差を算出する。輝度差算出部35は、実空間における鉛直方向に伸びる鉛直仮想線を1本だけ設定する手法と、鉛直仮想線を2本設定する手法との何れかによって輝度差を算出することができる。
【0073】
鉛直仮想線を2本設定する具体的な手法について説明する。輝度差算出部35は、視点変換された鳥瞰視画像に対して、実空間で鉛直方向に伸びる線分に該当する第1鉛直仮想線と、第1鉛直仮想線と異なり実空間で鉛直方向に伸びる線分に該当する第2鉛直仮想線とを設定する。輝度差算出部35は、第1鉛直仮想線上の点と第2鉛直仮想線上の点との輝度差を、第1鉛直仮想線及び第2鉛直仮想線に沿って連続的に求める。以下、この輝度差算出部35の動作について詳細に説明する。
【0074】
輝度差算出部35は、
図14(a)に示すように、実空間で鉛直方向に伸びる線分に該当し、且つ、検出領域A1を通過する第1鉛直仮想線La(以下、注目線Laという)を設定する。また輝度差算出部35は、注目線Laと異なり、実空間で鉛直方向に伸びる線分に該当し、且つ、検出領域A1を通過する第2鉛直仮想線Lr(以下、参照線Lrという)を設定する。ここで参照線Lrは、実空間における所定距離だけ注目線Laから離間する位置に設定される。なお、実空間で鉛直方向に伸びる線分に該当する線とは、鳥瞰視画像においてはカメラ10の位置Psから放射状に広がる線となる。この放射状に広がる線は、鳥瞰視に変換した際に立体物が倒れ込む方向に沿う線である。
【0075】
輝度差算出部35は、注目線La上に注目点Pa(第1鉛直仮想線上の点)を設定する。また輝度差算出部35は、参照線Lr上に参照点Pr(第2鉛直板想線上の点)を設定する。これら注目線La、注目点Pa、参照線Lr、参照点Prは、実空間上において
図14(b)に示す関係となる。
図14(b)から明らかなように、注目線La及び参照線Lrは、実空間上において鉛直方向に伸びた線であり、注目点Paと参照点Prとは、実空間上において略同じ高さに設定される点である。なお、注目点Paと参照点Prとは必ずしも厳密に同じ高さである必要はなく、注目点Paと参照点Prとが同じ高さとみなせる程度の誤差は許容される。
【0076】
輝度差算出部35は、注目点Paと参照点Prとの輝度差を求める。仮に、注目点Paと参照点Prとの輝度差が大きいと、注目点Paと参照点Prとの間にエッジが存在すると考えられる。このため、
図3に示したエッジ線検出部36は、注目点Paと参照点Prとの輝度差に基づいてエッジ線を検出する。
【0077】
この点をより詳細に説明する。
図15は、輝度差算出部35の詳細動作を示す図であり、
図15(a)は鳥瞰視された状態の鳥瞰視画像を示し、
図15(b)は、
図15(a)に示した鳥瞰視画像の一部B1を拡大した図である。なお
図15についても検出領域A1のみを図示して説明するが、検出領域A2についても同様の手順で輝度差を算出する。
【0078】
カメラ10が撮像した撮像画像内に他車両VXが映っていた場合に、
図15(a)に示すように、鳥瞰視画像内の検出領域A1に他車両VXが現れる。
図15(b)に
図15(a)中の領域B1の拡大図を示すように、鳥瞰視画像上において、他車両VXのタイヤのゴム部分上に注目線Laが設定されていたとする。この状態において、輝度差算出部35は、先ず参照線Lrを設定する。参照線Lrは、注目線Laから実空間上において所定の距離だけ離れた位置に、鉛直方向に沿って設定される。具体的には、本実施形態に係る立体物検出装置1において、参照線Lrは、注目線Laから実空間上において10cmだけ離れた位置に設定される。これにより、参照線Lrは、鳥瞰視画像上において、例えば他車両VXのタイヤのゴムから10cm相当だけ離れた他車両VXのタイヤのホイール上に設定される。
【0079】
次に、輝度差算出部35は、注目線La上に複数の注目点Pa1〜PaNを設定する。
図15(b)においては、説明の便宜上、6つの注目点Pa1〜Pa6(以下、任意の点を示す場合には単に注目点Paiという)を設定している。なお、注目線La上に設定する注目点Paの数は任意でよい。以下の説明では、N個の注目点Paが注目線La上に設定されたものとして説明する。
【0080】
次に、輝度差算出部35は、実空間上において各注目点Pa1〜PaNと同じ高さとなるように各参照点Pr1〜PrNを設定する。そして、輝度差算出部35は、同じ高さ同士の注目点Paと参照点Prとの輝度差を算出する。これにより、輝度差算出部35は、実空間における鉛直方向に伸びる鉛直仮想線に沿った複数の位置(1〜N)ごとに、2つの画素の輝度差を算出する。輝度差算出部35は、例えば第1注目点Pa1とは、第1参照点Pr1との間で輝度差を算出し、第2注目点Pa2とは、第2参照点Pr2との間で輝度差を算出することとなる。これにより、輝度差算出部35は、注目線La及び参照線Lrに沿って、連続的に輝度差を求める。すなわち、輝度差算出部35は、第3〜第N注目点Pa3〜PaNと第3〜第N参照点Pr3〜PrNとの輝度差を順次求めていくこととなる。
【0081】
輝度差算出部35は、検出領域A1内において注目線Laをずらしながら、上記の参照線Lrの設定、注目点Pa及び参照点Prの設定、輝度差の算出といった処理を繰り返し実行する。すなわち、輝度差算出部35は、注目線La及び参照線Lrのそれぞれを、実空間上において接地線L1の延在方向に同一距離だけ位置を変えながら上記の処理を繰り返し実行する。輝度差算出部35は、例えば、前回処理において参照線Lrとなっていた線を注目線Laに設定し、この注目線Laに対して参照線Lrを設定して、順次輝度差を求めていくことになる。
【0082】
図3に戻り、エッジ線検出部36は、輝度差算出部35により算出された連続的な輝度差から、エッジ線を検出する。例えば、
図15(b)に示す場合、第1注目点Pa1と第1参照点Pr1とは、同じタイヤ部分に位置するために、輝度差は、小さい。一方、第2〜第6注目点Pa2〜Pa6はタイヤのゴム部分に位置し、第2〜第6参照点Pr2〜Pr6はタイヤのホイール部分に位置する。したがって、第2〜第6注目点Pa2〜Pa6と第2〜第6参照点Pr2〜Pr6との輝度差は大きくなる。このため、エッジ線検出部36は、輝度差が大きい第2〜第6注目点Pa2〜Pa6と第2〜第6参照点Pr2〜Pr6との間にエッジ線が存在することを検出することができる。
【0083】
具体的には、エッジ線検出部36は、エッジ線を検出するにあたり、先ず下記の数式1に従って、i番目の注目点Pai(座標(xi,yi))とi番目の参照点Pri(座標(xi’,yi’))との輝度差から、i番目の注目点Paiに属性付けを行う。
[数1]
I(xi,yi)>I(xi’,yi’)+tのとき
s(xi,yi)=1
I(xi,yi)<I(xi’,yi’)−tのとき
s(xi,yi)=−1
上記以外のとき
s(xi,yi)=0
【0084】
上記数式1において、tは閾値を示し、I(xi,yi)はi番目の注目点Paiの輝度値を示し、I(xi’,yi’)はi番目の参照点Priの輝度値を示す。上記数式1によれば、注目点Paiの輝度値が、参照点Priに閾値tを加えた輝度値よりも高い場合には、当該注目点Paiの属性s(xi,yi)は‘1’となる。一方、注目点Paiの輝度値が、参照点Priから閾値tを減じた輝度値よりも低い場合には、当該注目点Paiの属性s(xi,yi)は‘−1’となる。注目点Paiの輝度値と参照点Priの輝度値とがそれ以外の関係である場合には、注目点Paiの属性s(xi,yi)は‘0’となる。この閾値tは、予め設定しておき、
図3に示す制御部39が発する制御命令に従い変更することもできるが、その詳細については後述する。
【0085】
次にエッジ線検出部36は、下記数式2に基づいて、注目線Laに沿った属性sの連続性c(xi,yi)から、注目線Laがエッジ線であるか否かを判定する。
[数2]
s(xi,yi)=s(xi+1,yi+1)のとき(且つ0=0を除く)、
c(xi,yi)=1
上記以外のとき、
c(xi,yi)=0
【0086】
注目点Paiの属性s(xi,yi)と隣接する注目点Pai+1の属性s(xi+1,yi+1)とが同じである場合には、連続性c(xi,yi)は‘1’となる。注目点Paiの属性s(xi,yi)と隣接する注目点Pai+1の属性s(xi+1,yi+1)とが同じではない場合には、連続性c(xi,yi)は‘0’となる。
【0087】
次にエッジ線検出部36は、注目線La上の全ての注目点Paの連続性cについて総和を求める。エッジ線検出部36は、求めた連続性cの総和を注目点Paの数Nで割ることにより、連続性cを正規化する。エッジ線検出部36は、正規化した値が閾値θを超えた場合に、注目線Laをエッジ線と判断する。なお、閾値θは、予め実験等によって設定された値である。閾値θは予め設定しておいてもよいし、後述する制御部39の制御命令に従い変更してもよい。
【0088】
すなわち、エッジ線検出部36は、下記数式3に基づいて注目線Laがエッジ線であるか否かを判断する。そして、エッジ線検出部36は、検出領域A1上に描かれた注目線Laの全てについてエッジ線であるか否かを判断する。
[数3]
Σc(xi,yi)/N>θ
【0089】
図3に戻り、立体物検出部37は、エッジ線検出部36により検出されたエッジ線の量に基づいて立体物を検出する。上述したように、本実施形態に係る立体物検出装置1は、実空間上において鉛直方向に伸びるエッジ線を検出する。鉛直方向に伸びるエッジ線が多く検出されるということは、検出領域A1,A2に立体物が存在する可能性が高いということである。このため、立体物検出部37は、エッジ線検出部36により検出されたエッジ線の量に基づいて立体物を検出する。さらに、立体物検出部37は、立体物を検出するに先立って、エッジ線検出部36により検出されたエッジ線が正しいものであるか否かを判定する。立体物検出部37は、エッジ線上の鳥瞰視画像のエッジ線に沿った輝度変化が所定の閾値よりも大きいか否かを判定する。エッジ線上の鳥瞰視画像の輝度変化が閾値よりも大きい場合には、当該エッジ線が誤判定により検出されたものと判断する。一方、エッジ線上の鳥瞰視画像の輝度変化が閾値よりも大きくない場合には、当該エッジ線が正しいものと判定する。なお、この閾値は、実験等により予め設定された値である。
【0090】
図16は、エッジ線の輝度分布を示す図であり、
図16(a)は検出領域A1に立体物としての他車両VXが存在した場合のエッジ線及び輝度分布を示し、
図16(b)は検出領域A1に立体物が存在しない場合のエッジ線及び輝度分布を示す。
【0091】
図16(a)に示すように、鳥瞰視画像において他車両VXのタイヤゴム部分に設定された注目線Laがエッジ線であると判断されていたとする。この場合、注目線La上の鳥瞰視画像の輝度変化はなだらかなものとなる。これは、カメラ10により撮像された画像が鳥瞰視画像に視点変換されたことにより、他車両VXのタイヤが鳥瞰視画像内で引き延ばされたことによる。一方、
図16(b)に示すように、鳥瞰視画像において路面に描かれた「50」という白色文字部分に設定された注目線Laがエッジ線であると誤判定されていたとする。この場合、注目線La上の鳥瞰視画像の輝度変化は起伏の大きいものとなる。これは、エッジ線上に、白色文字における輝度が高い部分と、路面等の輝度が低い部分とが混在しているからである。
【0092】
以上のような注目線La上の輝度分布の相違に基づいて、立体物検出部37は、エッジ線が誤判定により検出されたものか否かを判定する。立体物検出部37は、エッジ線に沿った輝度変化が所定の閾値よりも大きい場合には、当該エッジ線が誤判定により検出されたものであると判定する。そして、当該エッジ線は、立体物の検出には使用しない。これにより、路面上の「50」といった白色文字や路肩の雑草等がエッジ線として判定されてしまい、立体物の検出精度が低下することを抑制する。
【0093】
具体的には、立体物検出部37は、下記数式4,5の何れかにより、エッジ線の輝度変化を算出する。このエッジ線の輝度変化は、実空間上における鉛直方向の評価値に相当する。下記数式4は、注目線La上のi番目の輝度値I(xi,yi)と、隣接するi+1番目の輝度値I(xi+1,yi+1)との差分の二乗の合計値によって輝度分布を評価する。下記数式5は、注目線La上のi番目の輝度値I(xi,yi)と、隣接するi+1番目の輝度値I(xi+1,yi+1)との差分の絶対値の合計値よって輝度分布を評価する。
[数4]
鉛直相当方向の評価値=Σ[{I(xi,yi)−I(xi+1,yi+1)}
2]
[数5]
鉛直相当方向の評価値=Σ|I(xi,yi)−I(xi+1,yi+1)|
【0094】
なお、数式5に限らず、下記数式6のように、閾値t2を用いて隣接する輝度値の属性bを二値化して、当該二値化した属性bを全ての注目点Paについて総和してもよい。
[数6]
鉛直相当方向の評価値=Σb(xi,yi)
但し、|I(xi,yi)−I(xi+1,yi+1)|>t2のとき、
b(xi,yi)=1
上記以外のとき、
b(xi,yi)=0
【0095】
注目点Paiの輝度値と参照点Priの輝度値との輝度差の絶対値が閾値t2よりも大きい場合、当該注目点Pa(xi,yi)の属性b(xi,yi)は‘1’となる。それ以外の関係である場合には、注目点Paiの属性b(xi,yi)は‘0’となる。この閾値t2は、注目線Laが同じ立体物上にないことを判定するために実験等によって予め設定されている。そして、立体物検出部37は、注目線La上の全注目点Paについての属性bを総和して、鉛直相当方向の評価値を求めて、エッジ線が正しいものかを判定する。
【0096】
次に、本実施形態に係るエッジ情報を利用した立体物検出方法について説明する。
図17及び
図18は、本実施形態に係る立体物検出方法の詳細を示すフローチャートである。なお、
図17及び
図18においては、便宜上、検出領域A1を対象とする処理について説明するが、検出領域A2についても同様の処理が実行される。
【0097】
図17に示すように、先ずステップS21において、カメラ10は、画角a及び取付位置によって特定された所定領域を撮像する。次に視点変換部31は、ステップS22において、ステップS21にてカメラ10により撮像された撮像画像データを入力し、視点変換を行って鳥瞰視画像データを生成する。
【0098】
次に輝度差算出部35は、ステップS23において、検出領域A1上に注目線Laを設定する。このとき、輝度差算出部35は、実空間上において鉛直方向に伸びる線に相当する線を注目線Laとして設定する。次に輝度差算出部35は、ステップS24において、検出領域A1上に参照線Lrを設定する。このとき、輝度差算出部35は、実空間上において鉛直方向に伸びる線分に相当し、且つ、注目線Laと実空間上において所定距離離れた線を参照線Lrとして設定する。
【0099】
次に輝度差算出部35は、ステップS25において、注目線La上に複数の注目点Paを設定する。この際に、輝度差算出部35は、エッジ線検出部36によるエッジ検出時に問題とならない程度の数の注目点Paを設定する。また、輝度差算出部35は、ステップS26において、実空間上において注目点Paと参照点Prとが略同じ高さとなるように、参照点Prを設定する。これにより、注目点Paと参照点Prとが略水平方向に並ぶこととなり、実空間上において鉛直方向に伸びるエッジ線を検出しやすくなる。
【0100】
次に輝度差算出部35は、ステップS27において、実空間上において同じ高さとなる注目点Paと参照点Prとの輝度差を算出する。次にエッジ線検出部36は、上記の数式1に従って、各注目点Paの属性sを算出する。次にエッジ線検出部36は、ステップS28において、上記の数式2に従って、各注目点Paの属性sの連続性cを算出する。次にエッジ線検出部36は、ステップS29において、上記数式3に従って、連続性cの総和を正規化した値が閾値θより大きいか否かを判定する。正規化した値が閾値θよりも大きいと判断した場合(S29:YES)、エッジ線検出部36は、ステップS30において、当該注目線Laをエッジ線として検出する。そして、処理はステップS31に移行する。正規化した値が閾値θより大きくないと判断した場合(S29:NO)、エッジ線検出部36は、当該注目線Laをエッジ線として検出せず、処理はステップS31に移行する。この閾値θは予め設定しておくことができるが、制御部39に制御命令に応じて変更することもできる。
【0101】
ステップS31において、計算機30は、検出領域A1上に設定可能な注目線Laの全てについて上記のステップS23〜ステップS30の処理を実行したか否かを判断する。全ての注目線Laについて上記処理をしていないと判断した場合(S31:NO)、ステップS23に処理を戻して、新たに注目線Laを設定して、ステップS31までの処理を繰り返す。一方、全ての注目線Laについて上記処理をしたと判断した場合(S31:YES)、処理は
図18のステップS32に移行する。
【0102】
図18のステップS32において、立体物検出部37は、
図17のステップS30において検出された各エッジ線について、当該エッジ線に沿った輝度変化を算出する。立体物検出部37は、上記数式4,5,6の何れかの式に従って、エッジ線の輝度変化を算出する。次に立体物検出部37は、ステップS33において、エッジ線のうち、輝度変化が所定の閾値よりも大きいエッジ線を除外する。すなわち、輝度変化の大きいエッジ線は正しいエッジ線ではないと判定し、エッジ線を立体物の検出には使用しない。これは、上述したように、検出領域A1に含まれる路面上の文字や路肩の雑草等がエッジ線として検出されてしまうことを抑制するためである。したがって、所定の閾値とは、予め実験等によって求められた、路面上の文字や路肩の雑草等によって発生する輝度変化に基づいて設定された値となる。
【0103】
次に立体物検出部37は、ステップS34において、エッジ線の量が第2閾値β以上であるか否かを判断する。なお、この第2閾値βは、予め実験等によって求めておいて設定しておき、
図3に示す制御部39が発する制御命令に従い変更することもできるが、その詳細については後述する。例えば、検出対象の立体物として四輪車を設定した場合、当該第2閾値βは、予め実験等によって検出領域A1内において出現した四輪車のエッジ線の数に基づいて設定される。エッジ線の量が第2閾値β以上であると判定した場合(S34:YES)、立体物検出部37は、ステップS35において、検出領域A1内に立体物が存在すると検出する。一方、エッジ線の量が第2閾値β以上ではないと判定した場合(S34:NO)、立体物検出部37は、検出領域A1内に立体物が存在しないと判断する。その後、
図17及び
図18に示す処理は終了する。検出された立体物は、自車両Vが走行する車線の隣の隣接車線を走行する他車両VXであると判断してもよいし、検出した立体物の自車両Vに対する相対速度を考慮して隣接車線を走行する他車両VXであるか否かを判断してもよい。この第2閾値βは予め設定しておくことができるが、制御部39に制御命令に応じて変更することもできる。
【0104】
以上のように、本実施形態のエッジ情報を利用した立体物の検出方法によれば、検出領域A1,A2に存在する立体物を検出するために、鳥瞰視画像に対して実空間において鉛直方向に伸びる線分としての鉛直仮想線を設定する。そして、鉛直仮想線に沿った複数の位置ごとに、当該各位置の近傍の2つの画素の輝度差を算出し、当該輝度差の連続性に基づいて立体物の有無を判定することができる。
【0105】
具体的には、鳥瞰視画像における検出領域A1,A2に対して、実空間において鉛直方向に伸びる線分に該当する注目線Laと、注目線Laとは異なる参照線Lrとを設定する。そして、注目線La上の注目点Paと参照線Lr上の参照点Prとの輝度差を注目線La及び参照線Laに沿って連続的に求める。このように、点同士の輝度差を連続的に求めることにより、注目線Laと参照線Lrとの輝度差を求める。注目線Laと参照線Lrとの輝度差が高い場合には、注目線Laの設定箇所に立体物のエッジがある可能性が高い。これによって、連続的な輝度差に基づいて立体物を検出することができる。特に、実空間において鉛直方向に伸びる鉛直仮想線同士との輝度比較を行うために、鳥瞰視画像に変換することによって立体物が路面からの高さに応じて引き伸ばされてしまっても、立体物の検出処理が影響されることはない。したがって、本例の方法によれば、立体物の検出精度を向上させることができる。
【0106】
また、本例では、鉛直仮想線付近の略同じ高さの2つの点の輝度差を求める。具体的には、実空間上で略同じ高さとなる注目線La上の注目点Paと参照線Lr上の参照点Prとから輝度差を求めるので、鉛直方向に伸びるエッジが存在する場合における輝度差を明確に検出することができる。
【0107】
更に、本例では、注目線La上の注目点Paと参照線Lr上の参照点Prとの輝度差に基づいて注目点Paに属性付けを行い、注目線Laに沿った属性の連続性cに基づいて当該注目線Laがエッジ線であるかを判断するので、輝度の高い領域と輝度の低い領域との境界をエッジ線として検出し、人間の自然な感覚に沿ったエッジ検出を行うことができる。この効果について詳細に説明する。
図19は、エッジ線検出部36の処理を説明する画像例を示す図である。この画像例は、輝度の高い領域と輝度の低い領域とが繰り返される縞模様を示す第1縞模様101と、輝度の低い領域と輝度の高い領域とが繰り返される縞模様を示す第2縞模様102とが隣接した画像である。また、この画像例は、第1縞模様101の輝度が高い領域と第2縞模様102の輝度の低い領域とが隣接すると共に、第1縞模様101の輝度が低い領域と第2縞模様102の輝度が高い領域とが隣接している。この第1縞模様101と第2縞模様102との境界に位置する部位103は、人間の感覚によってはエッジとは知覚されない傾向にある。
【0108】
これに対し、輝度の低い領域と輝度が高い領域とが隣接しているために、輝度差のみでエッジを検出すると、当該部位103はエッジとして認識されてしまう。しかし、エッジ線検出部36は、部位103における輝度差に加えて、当該輝度差の属性に連続性がある場合にのみ部位103をエッジ線として判定するので、エッジ線検出部36は、人間の感覚としてエッジ線として認識しない部位103をエッジ線として認識してしまう誤判定を抑制でき、人間の感覚に沿ったエッジ検出を行うことができる。
【0109】
さらに、本例では、エッジ線検出部36により検出されたエッジ線の輝度変化が所定の閾値よりも大きい場合には、当該エッジ線が誤判定により検出されたものと判断する。カメラ10により取得された撮像画像を鳥瞰視画像に変換した場合、当該撮像画像に含まれる立体物は、引き伸ばされた状態で鳥瞰視画像に現れる傾向がある。例えば、上述したように他車両VXのタイヤが引き伸ばされた場合に、タイヤという1つの部位が引き伸ばされるため、引き伸ばされた方向における鳥瞰視画像の輝度変化は小さい傾向となる。これに対し、路面に描かれた文字等をエッジ線として誤判定した場合に、鳥瞰視画像には、文字部分といった輝度が高い領域と路面部分といった輝度が低い領域とが混合されて含まれる。この場合に、鳥瞰視画像において、引き伸ばされた方向の輝度変化は大きくなる傾向がある。したがって、本例のようにエッジ線に沿った鳥瞰視画像の輝度変化を判定することによって、誤判定により検出されたエッジ線を認識することができ、立体物の検出精度を高めることができる。
【0110】
《立体物の最終判断》
図3に戻り、本例の立体物検出装置1は、上述した2つの立体物検出部33及び/又は立体物検出部37と、立体物判断部34と、異物検出部38と、制御部39とを備える。立体物判断部34は、立体物検出部33及び/又は立体物検出部37による検出結果に基づいて、検出された立体物が最終的に検出領域A1,A2に他車両VXであるか否かを判断する。
【0111】
異物検出部38は、後述する方法によりカメラ10のレンズ11に異物が付着したことを検出する。制御部39は、異物検出部38によりレンズに付着した異物が検出された場合には、検出された立体物が他車両VXであると判断されることを抑制するために、検出された異物に対応する像が検出領域A1,A2に存在する他車両VXであると判断されることが抑制されるように計算機30を構成する各部(制御部39を含む)を制御する制御命令を出力する。ここでいう抑制には、他車両の検出又は判断の中止又は中断が含まれる。この点については後述する。
【0112】
《異物の検出方法》
次に、異物検出部38の検出処理について説明する。異物検出部38はカメラ10により撮像された自車両Vの後方を撮像する画像情報を取得する。取得した画像情報Kの一例を
図20に示す。
図20に示す画像情報は、異物が付着したレンズ11を介して撮像されたものである。
図20の下側の映像はライセンスプレートLPの像であり、上側の薄墨の部分はカメラ10のケースCの像である。ライセンスプレートLPとケースCの間の領域の画像が、自車両Vの移動とともに刻々変化する。
図20に示すように、ライセンスプレートLPとケースCの間の領域の画像情報Kは、自車両Vが走行する道路の路面RDの像と、この路面RDの上に広がる後方の空SKの像とを含む。また、
図20に示す画像情報Kには、レンズ11に付着した異物の像CLが映り込んでいる。
図20に示すような異物が付着したレンズ11を介して撮像された画像情報を用いて画像変換処理を行うと、
図21に示すように異物の像CLに応じた像CL2が検出領域A11内に現れる。このような鳥瞰視画像に基づいて上述した手法で差分波形情報又はエッジ情報を算出し、立体物検出処理を行うと像CL2を他車両VXの像と誤認識する場合がある。
【0113】
具体的に、
図22に示すように、レンズ11に異物が付着していない場合に検出領域A1に他車両VXが存在する場合には鳥瞰視画像を視点変換した際に立体物が倒れ込む方向EL1〜EL4に沿って、他車両VXの特徴、例えばタイヤとホイールとの境界に応じた差分波形情報(度数)が所定閾値以上の画素又は輝度差が所定値以上のエッジ量が各閾値sb以上の量で分布する。他方、
図23に示すように、レンズ11に異物CLが付着している場合を実験により評価すると、検出領域A1に他車両VXその他の立体物が何も存在しない場合であっても、鳥瞰視画像を視点変換した際に立体物が倒れ込む方向EL1〜EL4に沿って、閾値sbを超える差分波形情報の度数分布、輝度差が所定値以上のエッジ量が検出される傾向がある。このようなレンズ11に付着した異物CLに起因する像に対応する画素情報は、他車両VXその他の立体物の誤検出を誘起する。
【0114】
このため、本例の立体物検出装置1は、撮像素子の輝度値の経時的変化及び上述した差分波形情報から得られる評価対象値と基準値との差分の経時的変化の双方に基づいて、レンズ11に付着した異物を検出する異物検出部38を備える。
【0115】
《第1の異物検出方法》
最初に撮像素子の輝度値の経時的変化に基づく第1の異物の検出方法について説明する。
図24(A),(B)は、カメラ10に含まれる撮像素子(CCDなど)のうち検出領域A1,A2に相当する領域の画素12を示す図であり、
図24(A)は環境の明るさが所定値より明るい場合、たとえば昼間の画素区分の一例を示し、
図24(B)は環境の明るさが所定値より暗い場合、たとえば夜間の画素区分の一例を示す。
図24(A)に示す撮像素子の画素12は、
図24(B)に示す撮像素子の画素12より単位当たりの画素区分12aの面積が小さく設定されている。たとえば、
図24(A)では撮像素子を構成する1つの画素を1単位とする画素区分12aとされ、
図24(B)では撮像素子を構成する63個の画素を1単位とする画素区分12aとされている。ただし、1単位の画素区分12aを構成する画素数はこれらの数値に限定されない。環境が暗い場合は受光量が少なくノイズが相対的に大きくなるため画素区分の面積を大きくすることで、こうしたノイズによる影響を抑制することができる。
【0116】
異物検出部38は、所定時間間隔で各画素区分12aからの出力信号(輝度値に対応する)を読み出し、単位時間当たりの輝度値の変化の絶対値を演算する。
図25は、あるひとつの画素区分12aの輝度値の差の絶対値の一例を示すグラフであり、異物検出部38は、一定時間Δtだけこの輝度値の経時的変化が閾値γ以下になったか否かを判断する。撮像素子の各画素により検出される輝度値は、被写体が変動すればするほど経時的変化は大きいが、レンズ11に異物が付着するとその部分の撮像素子により検出される画像の輝度値は一定値に固定される傾向があり、本例ではこの特性を用いて異物の付着状態を判断する。
【0117】
各画素区分12aにより検出される輝度値が一定値に固定されたか否かを判断する閾値γは、予め実験やシミュレーションにより求めることができるが、レンズ11の白濁度に応じて設定することもできる。白濁度の算出は、たとえば以下のようにして行うことができる。すなわち、レンズ11に水垢などの異物が付着し、レンズ11の表面に白色の薄膜が形成され、これによりレンズ11が白濁している度合いは、まず撮像素子にて取得した画像のうち、地平線や道路端など所定量のエッジの抽出が期待される領域から被写体のエッジを抽出し、抽出したエッジの強度に基づいてヒストグラムを生成する。
図26は、エッジの強度に基づくヒストグラムの一例を示す図であり、実線はレンズ11が白濁している場合のヒストグラムを示し、破線はレンズ11が白濁していない場合のヒストグラムを示す。
【0118】
レンズ11に水垢などの異物が付着してレンズ11が白濁している場合には、被写体からの光束の一部が異物により遮られたり乱反射したりすることで、被写体の輪郭(エッジ)がぼやけてしまい、
図26に示すように、レンズが白濁していない場合と比べて、被写体から抽出されるエッジの強度が小さくなる傾向にある。本例の異物検出部38は、この特性を利用して、抽出したエッジの強度の平均値S
aveを算出するとともに、抽出したエッジの強度の標準偏差σを算出し、エッジの強度の平均値S
aveに標準偏差σを加算した値を、レンズの白濁度Sσとして算出する。なお、白濁度Sσが小さいほど白濁度合いが大きく、白濁度Sσが大きいほど白濁度合いが小さい。
【0119】
ところで、レンズ11が白濁していると被写体の輪郭がぼやけてしまう傾向にあるため、レンズ11に異物が付着していなくても輝度値の経時的変化が小さくなり、これにより異物が付着していると誤認識するおそれがある。このため本例では、上記のように求められたレンズ11の白濁度Sσが所定値以下、換言すれば白濁している度合いが大きいほど、
図25に示す閾値γを大きく設定する。これにより、レンズ11の白濁によって輝度値の経時的変化が閾値γ以下になることで、レンズ11に異物が付着していると誤認識することが防止できる。
【0120】
図27は、レンズ11の白濁度合いに応じた閾値γの設定例に係る制御マップを示す図である。実線は環境の明るさが所定値より明るい場合、たとえば昼間の場合の白濁度合いに対する閾値γの設定に係る制御マップ、点線は環境の明るさが所定値より暗い場合、たとえば夜間の場合の白濁度合いに対する閾値γの設定に係る制御マップを示すグラフである。レンズ11の白濁度合いが大きいほど輝度値の経時的変化を判断する閾値γを小さく設定し、レンズ11の白濁度合いが小さいほど輝度値の経時的変化を判断する閾値γを大きく設定する(γ→γ
1,γ<γ
1)。これにより、レンズ11の白濁が原因で輝度値の経時的変化が通常の閾値γ以下になって誤認識するのを防止することができる。
【0121】
《第2の異物検出方法》
次に、差分波形情報から得られる評価対象値と基準値との差分の経時的変化に基づく第2の異物の検出方法について説明する。本実施形態の異物検出部38は、立体物検出部33により一又は複数の第1のタイミングで生成された差分波形情報から第1極大値を抽出するとともに、この第1極大値に基づく基準値を取得し、第1のタイミングよりも後の一又は複数の第2のタイミングで新たに生成された差分波形情報から鳥瞰視画像上において第1極大値に位置又は時間が対応する第2極大値を抽出するとともに、この第2極大値に基づいて評価対象値を取得する。そして、異物検出部38は、これら評価対象値と基準値との差分の経時的変化に基づいて、レンズ11に異物が付着しているか否かを検出する。
【0122】
本実施形態の異物検出部38は、第1のタイミングにおいて生成された差分波形情報に含まれる第1極大値抽出し、この第1極大値を特定するx値(位置または時間)とy値(カウント値)とを取得し、第1極大値(y値)に基づいて基準値を得る。基準値は第1極大値(y値)以下の値、第1極大値(y値)の所定割合の値と、第1極大値(y値)から所定値を減算した値とすることができる。また、第2タイミングにおいて生成された差分波形情報に含まれる極大値であって、第1極大値のX値(位置または時間)に対応する、またはX値の差が所定値以内の極大値を、第2極大値として抽出する。この第2極大値(y値)に基づいて評価対象値を得る。評価対象値は第2極大値(y値)以下の値、第2極大値(y値)の所定割合の値、第2極大値(y値)から所定値を減算した値とすることができる。この手法は、第1極大値から基準値を導出する手法と共通の手法を用いることができる。
【0123】
異物検出部38は、これら評価対象値と基準値との差分を経時的に取得し、各タイミングにおいて取得された差分を経時的な変化を算出する。本実施形態の異物検出部38は、位置または時間が対応する評価対象値と基準値との経時的な変化量に基づいて、レンズに異物が付着しているか否かを検出する。異物検出部38は、時間の経過に伴う経時的変化として、評価対象値と基準値とのずれ(ばらつき)の程度を求める。時間が経過しても評価対象値と基準値との変化量が小さければ、第1タイミングにおいて検出された対象物と第2タイミングにおいて検出された対象物とは同じ対象物である、つまり、レンズ11に付着した対象物(異物)であると判断することができる。
【0124】
異物判断部38は、時間の経過に伴う評価対象値と基準値との変化を評価するために、評価対象値と基準値との差分の経時的変化の度合が所定の判断範囲以内であると判断された場合には、評価対象値に対応する画素を含む画像が前記レンズに付着した異物に起因する画像であると判断し、レンズ11に異物が付着していることを検出する。具体的には、評価対象値と基準値との差分が所定値以内である状態が所定時間継続する場合には、レンズ11に異物が付着していることを検出し、評価対象値と基準値との差分が所定値を超える、または両者の差分が所定値以内である状態が所定時間継続しない場合には、レンズ11に異物が付着していないことを検出する。
【0125】
本実施形態の異物検出部38は、立体物検出部33により一又は複数の第1のタイミングで生成された差分波形情報に少なくともバンドパスフィルタを用いた信号処理を行う。このバンドパスフィルタは、指定した周波数帯の信号の通過を遮断又は減衰させ、所望の周波数帯の信号の通過を許容する。バンドパスフィルタは、位置方向、例えば自車両Vの後方方向に沿うカメラ10からの離隔方向(
図23の+y値)、時間方向、又は空間方向に沿って処理を行う。
【0126】
本実施形態では、バンドパスフィルタとして、高周波成分を遮断又は減衰させるローパスフィルタ(ハイカットフィルタ)を用いる。差分波形情報にローパスフィルタを用いた信号処理を行うことにより、差分波形情報に平滑化・平均化・ぼかしを施すことができる。ローパスフィルタを用いた信号処理を行うと、ノイズと判断することができる小さい極大値を除去し、比較的大きな変化を示す極大値を顕在化させ、取得した画像情報の特徴を抽出することができる。これにより、レンズ11に付着した異物の存在に起因する差分波形情報又はエッジ情報の極大値を顕在化させ、異物に対応する画像情報の特徴を抽出することができる。
【0127】
また、異物検出部38は、遮断又は減衰させる周波数が異なる2種以上のバンドパスフィルタを使用することができる。たとえば、異物検出部38は、通過周波数が相対的に低い(例えば0.3Hz)ローパスフィルタと、通過周波数が相対的に高い(例えば1Hz)ローパスフィルタの二つを用いて信号処理を行い、位置、時間、空間などの横軸が同じ位置の値を比較して、低い方の値を選択する(セレクトロー処理)を行うことができる。このように、他車両VXなどの立体物の特徴でもある極大値は抽出しつつ、ノイズや光環境により生じる高周波成分を遮断又は減衰させるので、光環境による誤検出を抑制しつつ、検出対象である他車両VXが存在するにもかかわらず検出を抑制することを防止することができる。
【0128】
本実施形態の異物検出部38は、異物の検出結果に応じてバンドパスフィルタの遮断又は減衰領域を変更する。異物検出部38は、レンズ11に付着した異物が所定時間以上継続して検出された場合には、バンドパスフィルタの遮断/減衰周波数の範囲を広くする。ローパスフィルタを用いる場合には、遮断又は減衰させる周波数帯の上限値を高く変更する。もちろん、遮断又は減衰させる周波数帯の下限値を低く変更してもよい。つまり、本実施形態では、レンズ11に付着した異物が検出され、その異物が同じ場所に所定時間以上に存在する場合には、異物がレンズ11に比較的強い力で付着しており、将来的にも継続してこの異物が検出される可能性が高いと判断し、遮断/減衰周波数帯を広くして信号処理後の「基準波形情報の極大値」及び「基準値」がより低い値として導出されるようにする。これにより、異物検出の閾値を低くすることができるので、レンズ11に異物が付着していると判断されることを促進することができ、異物付着時に行う他車両VXの判断制御が実行されやすいようにすることができる。この結果、異物付着の検知状態に迅速に呼応し、応答性の良好な他車両VXの検出処理を実行することができる。
【0129】
本実施形態の異物検出部38は、上述したバンドパスフィルタを用いる信号処理に加えて、変化率リミッタを用いた信号処理を実行する。変化率リミッタを用いた信号処理を行うことにより、さらに、差分波形情報を平滑化することができ、ノイズと判断することができる小さい極大値を除去し、比較的大きな変化を示す極大値に応じた画像情報の特徴を抽出することができる。これにより、レンズ11に付着した異物の存在に起因する画像情報の特徴を抽出することができる。
【0130】
本実施形態の異物検出部38は、異物の検出結果に応じて変化率リミッタの制限変化率を変化させる。異物検出部38は、レンズ11に付着した異物が所定時間以上継続して検出された場合には、変化率リミッタの制限変化率を高くする。本実施形態では、上述のバンドパスフィルタによる処理と同様に、レンズ11に付着した異物が将来的にも継続して検出される可能性が高いと判断できる場合には、変化率リミッタの制限変化率を高くして信号処理後の「基準波形情報の極大値」及び「基準値」がより低い値として導出され、異物付着時に行う他車両VXの判断制御が実行されやすいようにすることができる。
【0131】
バンドパスフィルタを用いた信号処理を行って得た「基準波形情報の極大値」に基づいて「基準値」を取得する。取得した「基準値」に基づいて異物を判断するための「所定の判断範囲」を定義する。例えば、「基準値」を中央値として、基準値に余裕値を加算した値と、基準値から余裕値を減算した値とに基づいて「所定の判断範囲」を定義する。
【0132】
本実施形態の異物検出部38は、第1のタイミングよりも後の一又は複数の第2のタイミングで新たに生成された差分波形情報の極大値に基づいて「評価対象値」を取得し、鳥瞰視画像上の位置が共通する「評価対象値」と「基準値」との差分が「所定の判断範囲」内であると判断される回数をカウントアップする。このカウントアップは、予め定義した所定の評価時間内において行うことができる。異物検出部38は、カウントアップされた回数が所定値以上となった場合に、そのカウントアップの結果を導いた評価対象値に対応する画素を含む画像がレンズ11に付着した異物に起因する画像であると判断する。
【0133】
上述した異物検出部38の処理は、エッジ情報に基づいても行うことができる。異物検出部38は、一又は複数の第1のタイミングで立体物検出部37により生成されたエッジ線の情報を含むエッジ情報から第1極大値を抽出するとともに、この第1極大値に基づいて基準エッジ長さを取得する。エッジ線の情報には所定閾値以上の輝度差を示し、所定の連続性を有するエッジの長さの情報(画素の数を含む)をふくむ。また、異物検出部38は、第1のタイミングよりも後の一又は複数の第2のタイミングで新たに生成されたエッジ情報から鳥瞰視画像上において第1極大値に対応する第2極大値を抽出するとともに、この第2極大値に基づいて評価エッジ長さを取得する。そして、評価エッジ長さと基準エッジ長さとの差分の経時的変化に基づいて、レンズに異物が付着しているか否かを検出する。「経時的変化」の意義は、差分波形情報に基づく処理における「経時的変化」の意義と共通する。
【0134】
異物判断部38は、評価エッジ長さと基準エッジ長さとの差分の経時的変化の度合が所定の判断範囲以内であると判断された場合には、評価エッジ長さに対応する画素を含む画像がレンズ11に付着した異物に起因する画像であると判断し、レンズ11に異物が付着していることを検出する。
【0135】
具体的に、異物検出部38は、第1のタイミングで生成されたエッジ線の情報を含むエッジ情報に少なくともバンドパスフィルタを用いた信号処理を行い、この信号処理後の「基準エッジ情報の極大値」に基づいて「基準エッジ長さ」を取得する。そして、第1のタイミングよりも後の一又は複数の第2のタイミングで新たに生成されたエッジ情報の極大値に基づいて「評価エッジ長さ」を取得し、鳥瞰視画像上の位置が共通する評価エッジ長さと基準エッジ長さとの差分が「所定の判断範囲」内であると判断される回数に基づいて、評価エッジ長さに対応する画素を含む画像がレンズ11に付着した異物に起因する画像であると判断する。この判断は、予め定義した所定の評価時間内において行うことができる。バンドパスフィルタとしてローパスフィルタを利用できる点及びその作用・効果、異物の検出状態に応じてバンドパスフィルタの遮断・減衰周波数帯を変更できる点及びその作用・効果は、上述の説明と共通するので、その説明を援用する。エッジ情報に基づく異物検出処理における「基準エッジ情報」は上述した「基準差分波形情報」に対応し、同「基準エッジ長さ」は上述の「基準値」に対応し、同「評価エッジ長さ」は上述の「評価対象値」に、同「評価エッジ長さ」を評価するための「所定の判断範囲」は上述の基準波形情報を用いた処理における「評価対象値」を評価するための「所定の判断範囲」に対応する。
【0136】
ところで、本来の検出対象である他車両VXなどは本装置1とは独立に動くので、他車両VXの特徴に応じた差分波形情報又はエッジ情報の極大値の値(大きさ)や位置(検出領域A1,A2における位置)は刻々に変化する。しかし、レンズ11に付着した異物は本装置1とともに動くので、他車両VXが検出領域A1,A2に存在する場合に比べて、異物の特徴に応じた差分波形情報・エッジ情報の極大値の値(大きさ)や位置(検出領域A1,A2における位置)の経時的な変化は小さい傾向がある。この傾向は、流動性の低い泥や水垢では顕著に見られる。
【0137】
このようなレンズ11に付着した異物CLの像の特徴を考慮すれば、第1のタイミングで生成された差分波形情報・エッジ情報の極大値と同じ位置(検出領域A1,A2における同じ位置)に、「基準値」/「基準エッジ長さ」との差が判断範囲以内に収まる「評価対象値」/「評価エッジ長さ」が所定回数以上検出された場合、又は所定の評価時間内において所定頻度以上検出された場合には、その第2のタイミングにおける差分波形情報・エッジ情報の極大値は移動する立体物の特徴に対応する極大値ではないと判断することができる。言い換えると、第2のタイミングにおける差分波形情報・エッジ情報の極大値は、立体物のように明確な輪郭(エッジ)を持つものではなく、本装置1とともに移動するレンズ11に付着した異物に起因する特徴であると判断することができる。したがって、上記、異物として検出された情報(差分波形情報、エッジ情報)は、自車両Vの隣接車線を走行する他車両VXの像を示す情報(差分波形情報、エッジ情報)ではないと判断することができる。
【0138】
本実施形態の立体物検出装置1は、レンズ11を介して実際に撮像した画像情報から、そのレンズ11に付着した異物特有の特徴を抽出し、抽出した特徴に基づいてそのレンズ11に付着した異物の存在を判断するので、レンズ11の状態を正確に判断することができる。この結果、レンズ11上に付着した異物を誤って他車両VXと検出することを抑制できるので、他車両VXを正確に検出することができる。
【0139】
さらに、本実施形態では、差分波形情報を用いてレンズ11に付着した異物を検出する際に、差分画像上において所定の差分を示す画素数をカウントして度数分布化した値の極大値を用いるが、これに代えて、この極大値を構成する画素において、隣接する画素の画素値の差が所定値未満の複数の画素群を抽出するとともに、これら画素群の間の反転ポイントの数の極大値を異物の検出に用いることができる。隣接する画素の画素値が所定値未満の画素群は、検出対象の特徴点(差分・エッジ等)に応じた明(又は暗)の部分であり、これら画素群の間は明から暗(又は暗から明)に反転する暗(又は明)の部分である。画素値が所定値以上異なる画素群の反転数は検出対象の特徴点に応じるものであるから、同所定差分を示す画素数のカウント結果を用いる場合と同様の精度で、同様の処理を行うことができる。
【0140】
具体的に、差分画像情報に基づいて異物を検出する場合において、立体物検出33は、異なる時刻の鳥瞰視画像の位置を鳥瞰視上で位置合わせし、その位置合わせされた鳥瞰視画像の差分画像上において、鳥瞰視画像を視点変換した際に立体物が倒れ込む方向に沿って、差分画像上において所定の差分を示す画素のうち、隣接する画素の画素値の差が所定値未満の複数の画素群を抽出する。画素値が共通する複数の画素をグループ化すると、グループ化された画素群同士の間には所定値未満の画素が存在する。つまり、グループ化された一の画素群と他の画素群との間には画素値の低い画素が存在し、ここで明暗が反転する。各画素群の間を反転ポイントとし、この数をカウントして度数分布化することで「反転波形情報」を生成する。この「反転波形情報」は、本実施形態の異物検出処理における上述した「差分波形情報」に対応する。
【0141】
本実施形態の異物検出部38は、異なる時刻の鳥瞰視画像の位置を鳥瞰視上で位置合わせし、この位置合わせされた鳥瞰視画像の差分画像上において、鳥瞰視画像を視点変換した際に立体物が倒れ込む方向に沿って、差分画像上において所定の差分を示す画素のうち、隣接する画素の画素値の差が所定値未満の複数の画素群を抽出し、画素群の間の反転ポイントをカウントして度数分布化することで生成された反転波形情報を立体物検出部33から取得する。この反転波形情報は立体物検出部33から取得した情報に基づいて異物検出部38が生成してもよい。
【0142】
異物検出部38は、一又は複数の第1のタイミングで生成された反転波形情報から第1極大値を抽出するとともに、この第1極大値に基づいて基準反転数を取得し、第1のタイミングよりも後の一又は複数の第2のタイミングで新たに生成された反転波形情報から鳥瞰視画像上において第1極大値に対応する第2極大値を抽出する。そして、この第2極大値に基づいて評価反転数を取得し、この評価反転数と基準反転数との差分の経時的変化に基づいて、レンズ11に異物が付着しているか否かを検出する。
【0143】
異物検出部38は、第1のタイミングにおいて生成された反転波形情報に含まれる第1極大値抽出し、この第1極大値を特定するx値(位置または時間)とy値(反転回数値)とを取得し、第1極大値(y値)に基づいて基準値を得る。基準反転数は第1極大値(y値)以下の値、第1極大値(y値)の所定割合の値と、第1極大値(y値)から所定値を減算した値とすることができる。また、第2タイミングにおいて生成された反転波形情報に含まれる極大値であって、第1極大値のX値(位置または時間)に対応する、またはX値の差が所定値以内の極大値を、第2極大値として抽出する。この第2極大値(y値)に基づいて評価反転数を得る。評価反転数は第2極大値(y値)以下の値、第2極大値(y値)の所定割合の値、第2極大値(y値)から所定値を減算した値とすることができる。この手法は、第1極大値から基準反転数を導出する手法と共通の手法を用いることができる。
【0144】
異物検出部38は、これら評価反転数と基準反転数との差分を経時的に取得し、各タイミングにおいて取得された差分を経時的な変化を算出する。本実施形態の異物検出部38は、位置または時間が対応する評価反転数と基準反転吸うとの経時的な変化量に基づいて、レンズに異物が付着しているか否かを検出する。異物検出部38は、時間の経過に伴う経時的変化として、評価反転数と基準反転数とのずれ(ばらつき)の程度を求める。時間が経過しても評価反転数と基準反転数との変化量が小さければ、第1タイミングにおいて検出された対象物と第2タイミングにおいて検出された対象物とは同じ対象物である、つまり、レンズ11に付着した対象物(異物)であると判断することができる。
【0145】
異物判断部38は、時間の経過に伴う評価反転数と基準反転数との変化を評価するために、評価反転数と基準反転数との差分の経時的変化の度合が所定の判断範囲以内であると判断された場合には、評価反転数に対応する画素を含む画像が前記レンズに付着した異物に起因する画像であると判断し、レンズ11に異物が付着していることを検出する。具体的には、評価反転数と基準反転数との差分が所定値以内である状態が所定時間継続する場合には、レンズ11に異物が付着していることを検出し、評価反転数と基準反転数との差分が所定値を超える、または両者の差分が所定値以内である状態が所定時間継続しない場合には、レンズ11に異物が付着していないことを検出する。
【0146】
具体的に、異物検出部38は、立体物検出部33から取得した第1のタイミングにおける「反転波形情報」に少なくともバンドパスフィルタを用いた信号処理を行い、この信号処理後の「基準反転波形情報」の極大値に基づいて「基準反転数」を取得する。そして、第1のタイミングよりも後の一又は複数の第2のタイミングで新たに生成された「反転波形情報の極大値」に基づいて「評価反転数」を取得する。そして、鳥瞰視画像上の位置が共通する「評価反転数」と「基準反転数」との差分が「所定の判断範囲」内であると判断される回数に基づいて、第2のタイミングおいて生成された「評価反転数」に対応する画素を含む画像がレンズ11に付着した異物に起因する画像であると判断する。反転波形情報を用いてレンズ11に付着した異物を検出する処理は、上述した差分波形情報を用いてレンズ11に付着した異物を検出する処理と同様の作用・効果を奏し、同様の変形態様を適用することができる。本処理例における「反転波形情報」は上述した「差分波形情報」に対応し、同「基準反転数」は上述した「基準値」に対応し、同「評価反転数」は上述した「評価対象値」に、同「所定の判断範囲」は上述の基準波形情報を用いた処理における「所定の判断範囲」に対応する。
【0147】
ちなみに、エッジ情報を用いても上述した処理と同様の処理を行うことができる。この場合は、立体物検出部37は、鳥瞰視画像に視点変換した際に立体物が倒れ込む方向に沿って互いに隣接する画像領域の画素の輝度差が閾値t以上である画素であって連続性を有するエッジ成分にうち、隣接する画素の輝度差が所定値未満の複数の画素群を抽出する。画素値が共通する複数の画素をグループ化すると、グループ化された画素群同士の間には輝度差が所定値未満の画素が存在する。つまり、グループ化された一の画素群と他の画素群との間には輝度の低い画素が存在し、ここで明暗が反転する。各画素群の間を反転ポイントとし、この数をカウントして度数分布化することで「反転エッジ情報」を生成する。この「反転エッジ情報」は、本実施形態の異物検出処理における上述した「反転波形情報」に対応する。
【0148】
そして、異物検出部38は、立体物検出部37により生成された第1のタイミングにおける「反転エッジ情報」に少なくともバンドパスフィルタを用いた信号処理を行い、この信号処理後の「基準反転エッジ情報」の極大値に基づいて「基準反転数」を取得する。そして、第1のタイミングよりも後の一又は複数の第2のタイミングで新たに生成された「反転エッジ情報の極大値」に基づいて「評価反転数」を取得し、鳥瞰視画像上の位置が共通する「評価反転数」と「基準反転数」との差分が「所定の判断範囲」内であると判断される判断回数に基づいて、第2のタイミングおいて生成された「評価反転数」に対応する画素を含む画像がレンズ11に付着した異物に起因する画像であると判断する。
【0149】
反転エッジ情報を用いてレンズ11に付着した異物を検出する処理は、上述した反転波形情報を用いてレンズ11に付着した異物を検出する処理と同様の作用・効果を奏し、同様の変形態様を適用することができる。本処理例における「エッジ情報」から得た「反転エッジ情報」は上述した「差分波形情報」から得た「反転波形情報」に対応し、同じく「基準反転エッジ情報」における「基準反転数」は、上述した「基準反転波形情報」における「基準反転数」に対応し、同「反転エッジ情報」における「評価反転数」は上述した「反転波形情報」における「評価反転数」に対応し、同「反転エッジ情報」における「評価反転数」を評価するための「所定の判断範囲」は、「反転波形情報」における「評価反転数」を評価するための「所定の判断範囲」に対応する。
【0150】
また、異物検出部38は、「評価対象値」が、他車両VXを判断するために設定された閾値αの所定割合以上の値であると判断された回数に基づいて、第2のタイミングにおいて生成された差分波形情報の評価対象値に対応する画素を含む画像はレンズ11に付着した異物に起因する画像であると判断する。「評価対象値」が判断範囲以内に含まれると判断できる場合であっても、極端に低い画素値に対応する物体が異物である可能性は低い。また、他車両VXを判断するために設定された第1閾値αの所定割合以上の「評価対象値」が検出された場合には、異物が他車両VXであると誤検出される可能性が生じる。このため、本実施形態では「評価対象値」が第1閾値αの所定割合以上の場合には、異物であるとの判断結果が出るように異物検出処理を促進する。これにより、異物が他車両VXであると誤った判断をする確率を低減することができる。
【0151】
同様に、異物検出部38は、「評価エッジ長さ」が、他車両VXを判断するために設定された閾値θの所定割合以上の値であると判断された回数に基づいて、第2のタイミングにおいて生成されたエッジ情報の評価エッジ長さに対応する画素を含む画像はレンズ11に付着した異物に起因する画像であると判断する。「評価エッジ長さ」が判断範囲以内に含まれると判断できる場合であっても、極端に低い評価エッジ長さに対応する物体が異物である可能性は低い。また、他車両VXを判断するために設定された閾値θの所定割合以上の「評価エッジ長さ」が検出された場合には、異物が他車両VXであると誤検出される可能性が生じる。このため、本実施形態では「評価エッジ長さ」が閾値θの所定割合以上の場合には、異物であるとの判断結果が出るように異物検出処理を促進する。これにより、異物が他車両VXであると誤った判断をする確率を低減することができる。
【0152】
図29は、エッジ情報を用いた場合の異物検出処理の制御手順を示すフローチャートである。まずステップS41において、異物検出部38は、立体物検出部37が生成した第1のタイミングにおける「エッジ情報」及び/又は「反転エッジ情報」を取得する。ステップS42において、異物検出部38は「エッジ情報」・「反転エッジ情報」にローパスフィルタを用いた信号処理をして「基準エッジ情報」・「基準反転エッジ情報」を取得する。
図30Aに、第1のタイミングにおける「エッジ情報」のモデルと、ローパスフィルタ処理がされた「基準エッジ情報」を示す。「エッジ情報」は、各立体物が倒れこむ方向(ビン)の検出位置(カメラ10から離隔する方向に沿う検出領域A1,A2における位置)ごとの、各立体物の倒れこみ方向に沿うエッジ成分の量としてのエッジ長さである。同図に示す「エッジ情報」の極大値の検出位置と「基準エッジ情報」の極大値の検出位置は共通する。そして、ステップS43において、異物検出部38は「基準エッジ情報」の極大値を「基準エッジ長さ」として取得する。「基準エッジ長さ」は、極大値に所定係数を乗じたもの、極大値から所定値を減算したものであってもよい。
【0153】
同ステップにおいて、異物検出部38は、「基準エッジ長さ」を中央値とする「判断範囲」を定義する。「判断範囲」の一例を
図30Bに示す。同様に、異物検出部38は「基準反転エッジ情報」の極大値を「基準反転数」として取得し、この「基準反転数」を中央値とする「判断範囲」を定義する。
図31Aに、第1のタイミングにおける「反転エッジ情報」のモデルと、ローパスフィルタ処理がされた「基準反転エッジ情報」と、基準反転エッジ情報の極大値に対応する「基準反転数を」を示す。また、
図31Bに第2のタイミングにおける「反転エッジ情報」と「判断範囲」とを示す。
【0154】
並行して、ステップS151において、異物検出部38は第1のタイミングの後の第2のタイミングにおけるエッジ情報/反転エッジ情報を取得する。第2のタイミングは、第1のタイミングの後の一又は複数のタイミングである。第2のタイミングは、異物検出を行うために必要とする時間として設定された「評価時間」内に設定することができる。第2のタイミングにおけるエッジ情報/反転エッジ情報を、
図25Bに破線で示す。ステップS152において、異物検出部38はエッジ情報に含まれるエッジ長さの極大値a,bを「評価エッジ長さ」として取得する。
【0155】
ステップS44に進み、異物検出部38は、第2のタイミングにおける「評価エッジ長さ」a,bが判断範囲以内であるか否かを判断する。
図30Bに示す例では、右側のピークに対応する「評価エッジ長さ」aは、所定範囲外であるので、異物である可能性は低く、立体物や他車両VXである可能性が高い。他方、左側のピークに対応する「評価エッジ長さ」bは、所定範囲以内であるので、異物である可能性が高いと判断できる。「評価エッジ長さ」a,bが判断範囲以内であれば、異物である可能性が高いとしてステップS45に進み、第1スコアGをカウントアップ(加算)する。他方、判断範囲外であれば、異物である可能性が低いとしてステップS46に進み、第2スコアDをカウントダウン(減算)する。
【0156】
本実施形態において、第1スコアの絶対値は第2スコアの絶対値よりも高く設定する。このように、「評価エッジ長さ」が所定範囲以内であるときに大きい値を加算し、「評価エッジ長さ」が所定範囲外であるときに小さい値を減算することにより、「評価エッジ長さ」が所定範囲以内であると判断された事実に大きな重みづけを行う。本実施形態における他車両VXの検出結果は、太陽、街灯、後続車両のヘッドライトなどの光の影響を受けやすい。検出結果に影響を与える輝度の高い光がレンズ11に入射して「評価エッジ長さ」が「所定範囲」外であると判断された場合であっても、異物がレンズ11に付着している可能性は否定できない。このため、「評価エッジ長さ」が「所定範囲」外であると判断されても、他車両VXの検出結果に与える影響を抑制するため、減算する値を相対的に小さい値とする。この結果、レンズ11に付着した異物の存在を正確に判断することができる。
【0157】
第1スコアの絶対値Gと第2スコアの絶対値Dとの関係は特に限定されず、実験等により適宜に設定することができる。一例ではあるが、G(8〜12):D(1〜3)程度、例えば、G=10に対してD=1と設定することができる。この第1スコアの絶対値Gと第2スコアの絶対値Dの関係は、時刻、走行場所、天候などの環境に応じて適宜に設定することができる。
【0158】
続くステップS47において、ステップS51において取得した第2のタイミングにおける反転エッジ情報に基づく反転評価数は、判断範囲以内であるか否かを判断する。判断手法は、ステップS44と共通するので、説明を適宜に援用する。「評価反転数」a´,b´が判断範囲以内であれば、異物である可能性が高いとしてステップS48に進み、第1スコアGをカウントアップ(加算)する。他方、判断範囲外であれば、異物である可能性が低いとしてステップS49に進み、第2スコアDをカウントダウン(減算)する。
【0159】
続くステップS48において、異物検出部38は、ステップS52において取得した「評価エッジ長さ」が、他車両VXを判断するために設定された閾値θの所定割合以上の値であるか否かを判断し、「評価エッジ長さ」が閾値θの所定割合以上である場合にはステップS50に進み、第1スコアGをカウントアップ(加算)する。他方、判断範囲外であれば、ステップS51に進み、第2スコアDをカウントダウン(減算)する。
【0160】
なお、ステップS45、ステップS48、ステップS50の第1スコアG、ステップS46、ステップS49、ステップS51の第2スコアDは同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。本実施形態では、エッジ長さに関するステップS44の条件及び反転回数に関するステップS47の条件の2つの条件を満たすステップS48の第1スコアGは、ステップS45の第1スコアGよりも高く設定する。
【0161】
ステップS52において異物検出部38は、カウント値を集計する。ステップS53において、集計したカウント値が予め設定された所定値以上である場合にはステップS54へ進み、レンズ11に異物が付着していると判断し、他方、集計したカウント値が予め設定された所定値未満である場合にはステップS55へ進み、レンズ11に異物が付着していないと判断する。判断結果は、立体物判断部34及び制御部39へ送出される。
【0162】
図32は、差分波形情報を用いてレンズ11に異物が付着しているか否かを判断する制御手順を示すフローチャートである。
図32の処理は
図29の処理と共通するので、
図29の制御手順についての説明を適宜に援用し、重複した説明を省略する。
【0163】
《制御部39》
次に、制御部39について説明する。上述した《第1の異物検出方法》又は《第2の異物検出方法》のいずれか一方に基づいて立体物の検出を制御してもよいが、本実施形態では、これら2つの検出方法を組み合わせた方法により立体物の検出を制御する。以下、この点について説明する。
図33は、上述した第1の異物検出方法に基づいて検出された異物の付着割合と、第2の異物検出方法に基づいて検出された異物の付着割合との関係から、制御部39にて実行される制御マップの一例を示すグラフである。同図に示す実線は、立体物の検出を実行するか中止するかの閾値を示す境界線であり、この実線より上側は立体物の検出を中止し、下側は立体物の検出を実行するという意味である。
【0164】
第1の異物検出方法による異物の付着割合とは、撮像素子の輝度値の経時的変化が所定閾値γ以下である所定画素12aの、所定領域A1,A2に相当する全画素に対する面積割合をいう。たとえば、所定領域A1の撮像画素数がXであり、そのうち0.8X画素の輝度値の経時的変化が閾値γ以下である場合の異物の付着割合は80%と評価する。また、第2の異物検出方法による異物の付着割合とは、差分波形情報にて検出する場合には、評価対象値と基準値との差分が所定判断範囲以内であるビンの、所定領域A1,A2全体のビンに対する割合をいう。たとえば、所定領域A1の全ビン数がYであり、そのうち0.6Yのビンについて評価対象値と基準値との差分が所定判断範囲以内である場合の異物の付着割合は60%と評価する。なお、エッジ情報にて検出する場合も同様である。
【0165】
本例の制御部39は、
図33の制御マップに示すように、第2の異物検出方法による異物の検出割合がTH4より小さい場合であって、第1の異物検出方法による異物の検出割合がTH1より大きい場合は、立体物の検出又は立体物が他車両VXであると判断する処理を中止する。同様に、第2の異物検出方法による異物の検出割合がTH3より大きい場合であって、第1の異物検出方法による異物の検出割合がTH2より大きい場合は、立体物の検出又は立体物が他車両VXであると判断する処理を中止する。また、第2の異物検出方法による異物の検出割合がTH3とTH4との間であって、第1の異物検出方法による異物の検出割合がTH2とTH1の間の場合は、同図の閾値線に示すように、第2の異物検出方法による異物の検出割合が大きくなるのに相関して立体物の検出又は立体物が他車両VXであると判断する処理を中止する。
【0166】
なお、制御部39は、
図33に示す立体物の検出を実行する領域において、一律に立体物を検出してもよいが、閾値線に近づけば近づくほど、立体物が他車両VXであると判断されることを抑制するように制御してもよい。以下、この制御について説明する。
【0167】
すなわち、制御部39は、異物検出部38がレンズ11に付着した異物を検出した場合には、第1閾値αを立体物が検出され難いように高く変更する制御命令を生成し、立体物検出部33に出力する。制御部39は、異物検出部38がレンズ11に付着した異物を検出した場合には、鳥瞰視画像の差分画像上において所定の差分を示す画素数をカウントして度数分布化された値を低くする制御命令を生成し、当該制御命令を立体物検出部33に出力する。このように、第1閾値αを高くし、又は度数分布化された値を低く出力することにより、立体物が検出されることが抑制され、結果として異物を他車両VXとして誤検出することを防止することができる。
【0168】
差分波形情報を用いて立体物を検出する立体物検出部33が、差分波形情報が所定の第1閾値α以上であるときに立体物を検出する場合において、制御部39は、異物検出部38がレンズ11に付着した異物を検出した場合には、立体物が検出され難いように第1閾値αを高く変更する制御命令を生成し、この制御命令を立体物検出部33に出力する。
【0169】
同じく、立体物検出部33が、差分波形情報が所定の第1閾値α以上であるときに立体物を検出する場合において、制御部39は、異物検出部38がレンズ11に付着した異物を検出した場合には、鳥瞰視画像の差分画像上において所定の差分を示す画素数をカウントして度数分布化された値を低く変更して出力させる制御命令を生成し、この制御命令を立体物検出部38に出力する。
【0170】
また、差分波形情報を用いて立体物を検出する立体物検出部33が閾値p以上の画素値を示す画素数を所定の差分を示す画素数として抽出する場合において、制御部39は、異物検出部38がレンズ11に付着した異物を検出した場合には、立体物が検出され難いように閾値pを高く変更する制御命令を生成し、この制御命令を立体物検出手部38に出力する。
【0171】
同じく、立体物検出部33が閾値p以上の画素値を示す画素数を所定の差分を示す画素数として抽出する場合において、制御部39は、異物検出部38がレンズ11に付着した異物を検出した場合には、鳥瞰視画像を視点変換した際に立体物が倒れ込む方向に沿って、差分画像上において抽出される画素数を低く変更して出力する制御命令を生成し、この制御命令を立体物検出部38に出力する。
【0172】
エッジ情報を用いて立体物を検出する立体物検出部37が所定閾値t以上の輝度差を示す画素に基づいてエッジ線を抽出する場合において、制御部39は、異物検出部38がレンズ11に付着した異物を検出した場合には、立体物が検出され難いように所定閾値tを高く変更する制御命令を生成し、この制御命令を立体物検出部37に出力する。
【0173】
同じく、エッジ情報を用いて立体物を検出する立体物検出部37が所定閾値t以上の輝度差を示す画素に基づいてエッジ線を抽出する場合において、制御部39は、異物検出部38がレンズ11に付着した異物を検出した場合には、画素の輝度値を低く変更して出力する制御命令を生成し、この制御命令を立体物検出部37に出力する。
【0174】
エッジ情報を用いて立体物を検出する立体物検出部37がエッジ情報に含まれる閾値θ以上の長さを有するエッジ線に基づいて立体物を検出する場合において、制御部39は、異物検出部38がレンズ11に付着した異物を検出した場合には、立体物が検出され難いように閾値θを高く変更する制御命令を生成し、この制御命令を立体物検出部37に出力する。
【0175】
同じく、エッジ情報を用いて立体物を検出する立体物検出部37がエッジ情報に含まれる閾値θ以上の長さを有するエッジ線に基づいて立体物を検出する場合において、制御部39は、異物検出部38がレンズ11に付着した異物を検出した場合には、検出したエッジ情報のエッジ線の長さの値を低く変更して出力させる制御命令を生成し、この制御命令を立体物検出部37に出力する。
【0176】
エッジ情報を用いて立体物を検出する立体物検出部37がエッジ情報に含まれる所定長さ以上のエッジ線、例えば閾値θ以上の長さを有するエッジ線の本数が第2閾値β以上であるか否かの判断に基づいて立体物を検出する場合において、制御部39は、異物検出部38がレンズ11に付着した異物を検出した場合には、立体物が検出され難いように第2閾値βを高く変更する制御命令を生成し、この制御命令を立体物検出部37に出力する。
【0177】
エッジ情報を用いて立体物を検出する立体物検出部37がエッジ情報に含まれる所定長さ以上のエッジ線、例えば閾値θ以上の長さを有するエッジ線の本数が第2閾値β以上であるか否かの判断に基づいて立体物を検出する場合において、制御部39は、異物検出部38がレンズ11に付着した異物を検出した場合には、検出した所定長さ以上のエッジ線の本数を低く出力する制御命令を生成し、この制御命令を立体物検出部37に出力する。
【0178】
また、立体物判断部34は、検出された立体物の移動速度が予め設定された所定速度以上であるときに、この立体物を他車両であると判断する場合において、制御部39は、異物検出部38がレンズ11に付着した異物を検出した場合には、立体物が検出され難いように立体物を他車両であると判断する際の下限となる所定速度を高く変更する制御命令を生成し、この制御命令を立体物判断部34に出力する。
【0179】
同じく、立体物判断部34は、検出された立体物の移動速度が予め設定された所定速度以上であるときに、この立体物を他車両であると判断する場合において、制御部39は、異物検出部38がレンズ11に付着した異物を検出した場合には、立体物を他車両であると判断する際の下限となる所定速度と比較される立体物の移動速度を低く変更して出力する制御命令を生成し、当該制御命令を立体物判断部34に出力する。
【0180】
また、立体物判断部34が、検出された立体物の移動速度が予め設定された所定速度未満であるときに、この立体物を他車両であると判断する場合において、制御部39は、異物検出部39がレンズ11に付着した異物を検出した場合には、立体物を他車両であると判断する際の上限となる所定速度を低く変更する制御命令を生成し、この制御命令を立体物判断部34に出力する。
【0181】
同じく、立体物判断部34検出された立体物の移動速度が予め設定された所定速度未満であるときに、この立体物を他車両であると判断する場合において、制御部39は、異物検出部38がレンズ11に付着した異物を検出した場合には、立体物を他車両であると判断する際の上限となる所定速度と比較される立体物の移動速度を高く変更する制御命令を生成し、この制御命令を立体物判断部34に出力する。
【0182】
なお、ここで「移動速度」は、立体物の絶対速度、および自車両に対する立体物の相対速度を含む。立体物の絶対速度は立体物の相対速度から算出してもよいし、立体物の相対速度は立体物の絶対速度から算出してもよい。
【0183】
さらに、制御部39は、立体物検出部33及び/又は立体物検出部37による立体物が存在するという検出結果、又は立体物判断部34による立体物が最終的に他車両VXであるという判断結果が出ることを抑制(中止又は中断を含む)するために、検出領域A1,A2を部分的にマスクし、又は検出や判断に用いられる閾値や出力値を調整する。
【0184】
具体的に、制御部39は、レンズ11に付着した異物CLの位置に対応する検出領域A1,A2の一部分の位置情報(画像座標情報)を指定し、そのマスクした領域における立体物の検出処理又は立体物が他車両VXであるか否かの判断を行わない制御指令、マスクした領域において立体物は非検出である又はマスクした領域における立体物は他車両VXではない旨の結果を出力させる制御指令を生成して立体物検出部33及び/又は立体物検出部37、又は立体物判断部34へ送出する。このマスクした領域において立体物は非検出である又はマスクした領域における立体物は他車両VXではない旨の結果を出力させる制御指令は、マスク領域の画像データを指定する指令と、上述したように各閾値または各出力値を変更する指令を含む。
【0185】
このように、制御部39は、閾値や出力値を変更させる制御指令、立体物の検出処理又は立体物が他車両VXであるか否かの判断を中止させる制御指令、立体物は非検出である又は立体物は他車両VXではない旨の結果を出力させる制御指令を生成して立体物検出部33及び/又は立体物検出部37、又は立体物判断部34へ送出する。
【0186】
本実施形態の立体物検出部33及び/又は立体物検出部37は、制御部39の制御命令に従い、画像情報、差分波形情報、エッジ情報の一部を処理対象となる情報から除外し、閾値又は出力値を調整し、厳しい基準の下で立体物の検出を行い、立体物は非検出である旨の検出結果を出力する処理を実行し、又は立体物検出処理自体を中止する。同様に、立体物判断部38は、制御部39の制御命令に従い、閾値又は出力値を調整し、厳しい基準の下で検出された立体物が他車両VXであるか否かの判断を行い、立体物は他車両VXではない旨の判断を出力し、又は立体物判断処理自体を中止する。上記立体物判断に係る制御処理は、各検出領域A1,A2の像を受像するレンズ11に異物が付着している状況が異物検出部38により検出された場合に行われる。
【0187】
次に
図28を参照して、立体物判断部38及び制御部39の動作を説明する。まず、ステップS41にて異物検出部38によりレンズ11への異物の付着状態を上述した第1の異物検出方法及び第2の異物検出方法の双方を用いて検出し、制御部39へ出力する。ステップS42にて、制御部39は、検出された異物の付着状態と予め記憶された
図33の制御マップを用いて、立体物の検出抑制度合、具体的には第1閾値αと第2閾値βを演算し、立体物検出部33,37に出力する。
【0188】
ステップS43では、上述した手順で差分波形情報による立体物の検出を実行する。また、ステップS44では、上述した手順でエッジ情報による立体物の検出を実行する。これら差分情報による立体物の検出とエッジ情報による立体物の検出に際しては、水滴の付着状態に応じた第1閾値α及び第2閾値βがそれぞれ立体物検出部33,37に設定されている。
【0189】
ステップS45では、ステップS43にて立体物であると検出され、且つステップS44にて立体物であると検出されたか否かを判断し、いずれのステップS43,S44でも立体物であると検出された場合にはステップS46へ進み、立体物であると最終的に判断する。いずれかのステップS43,S44で立体物ではないと検出された場合にはステップS47へ進み、立体物ではないと最終的に判断する。
【0190】
以上のように構成され作用する本発明の本実施形態の立体物検出装置1は、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態の立体物検出装置1は、レンズ11を介して実際に撮像した画像情報から、そのレンズ11に付着した異物特有の特徴を抽出し、抽出した特徴の経時的変化に基づいてそのレンズ11に付着した異物の存在を判断するので、レンズ11の状態を正確に判断することができる。この結果、レンズ11上に付着した異物を誤って他車両VXと検出することを抑制できるので、他車両VXを正確に検出することができる。以下に記載する作用及び効果は、差分画像情報を用いて他車両VXを検出する場合であっても、エッジ情報を用いて他車両VXを検出する場合であっても同様に奏する。
【0191】
(2)特に本実施形態の立体物検出装置1は、撮像素子の所定画素ごとの輝度値の経時的変化と、差分波形情報から得た評価対象値と基準値との差分の経時的変化とから異物の有無を検出するので、昼夜を問わず異物の検出精度が向上し、その結果、他車両との誤検出を防止することができる。
【0192】
(3)本実施形態の立体物検出装置1は、カメラのレンズの白濁度合いが大きいほど輝度値の経時的変化を判断する閾値γを大きくするので、レンズの白濁による輝度値の経時的変化が小さいことを異物の付着であると誤検出することを防止することができる。
【0193】
(4)本実施形態の立体物検出装置1は、輝度値の経時的変化を検出するにあたり、環境が暗い場合には撮像素子の画素区分を大きくするので、夜間などのように輝度ノイズが大きいのを相対的に抑制することができ、その結果、輝度値の経時的変化の検出精度が向上する。
【0194】
上記カメラ10は本発明に係る撮像手段に相当し、レンズ11は本発明に係るレンズに相当し、上記視点変換部31は本発明に係る画像変換手段に相当し、上記位置合わせ部32及び立体物検出部33は本発明に係る立体物検出手段に相当し、上記輝度差算出部35,エッジ線検出部36及び立体物検出部37は本発明に係る立体物検出手段に相当し、上記立体物判断部34は立体物判断手段に相当し、上記異物検出部38は第1異物検出手段及び第2異物検出手段に相当し、上記制御部39は制御手段に相当する。
【0195】
なお、本明細書では、差分波形情報に基づいて立体物を検出する際には、差分波形情報に基づいてレンズ11に付着した異物を検出する例と、エッジ情報に基づいて立体物を検出する際には、エッジ情報に基づいてレンズ11に付着した異物を検出する例を説明したが、差分波形情報に基づいて立体物を検出する際にエッジ情報に基づいてレンズ11に付着した異物を検出してもよいし、エッジ情報に基づいて立体物を検出する際に差分波形情報に基づいてレンズ11に付着した異物を検出してもよい。
【0196】
また、本実施形態における位置合わせ部21は、異なる時刻の鳥瞰視画像の位置を鳥瞰視上で位置合わせし、その位置合わせされた鳥瞰視画像を得るが、この「位置合わせ」処理は、検出対象の種別や要求される検出精度に応じた精度で行うことができる。同一時刻及び同一位置を基準に位置を合わせるといった厳密な位置合わせ処理であってもよいし、各鳥瞰視画像の座標を把握するという程度の緩い位置合わせ処理であってもよい。