【0011】
(1)ヘッド本体と、
そのヘッド本体に昇降可能に案内された昇降部材と、
その昇降部材を前記ヘッド本体に対して昇降させる第1昇降駆動装置と、
前記昇降部材によりその昇降部材に対して相対的に昇降可能に保持され、電子回路部品を保持する部品保持具と、
前記第1昇降装置により前記昇降部材と共に昇降させられ、前記部品保持具を前記昇降部材に対して相対的に昇降させる第2昇降駆動装置と
を含み、回路基材に電子回路部品を装着する電子回路部品装着ヘッド。
本項に記載の装着ヘッドにおいては、第1昇降駆動装置により昇降部材および第2昇降駆動装置がヘッド本体に対して昇降させられ、さらに第2昇降駆動装置により部品保持具が昇降部材に対して昇降させられる。そのため、第2昇降駆動装置による部品保持具の昇降距離ならびに第2昇降駆動装置に対する負荷が小さくて済み、その結果、部品保持具の電子回路部品に対する当接時あるいは部品保持具に保持された電子回路部品の回路基材に対する当接時の当接衝撃を小さく抑制することが容易となる。
(2)前記昇降部材がそれ自身の軸線まわりに自転可能に前記ヘッド本体に保持されるとともに前記部品保持具を相対回転不能に保持する回転昇降軸であり、当該電子回路部品装着ヘッドが、さらに、その回転昇降軸を回転させる昇降軸回転装置を含み、かつ、前記第2昇降駆動装置が、前記回転昇降軸および前記部品保持具の外部に設けられるとともに、弾性部材を介することなくかつ部品保持具の回転を許容する状態で部品保持具に係合する保持具係合部を備え、その保持具係合部により部品保持具を回転昇降軸に対して相対的に昇降させることにより電子回路部品を回路基材に装着させる(1)項に記載の電子回路部品装着ヘッド。
回転昇降軸は、ヘッド本体に昇降可能かつ自転可能に直接保持されてもよく、間接的に保持されてもよい。例えば、ヘッド本体に昇降可能に保持された昇降体に回転可能に保持されてもよいのである。
(3)前記第1昇降駆動装置が前記ヘッド本体に固定されており、前記回転昇降軸にその回転昇降軸の回転を許容する状態で係合する昇降軸係合部を備えた(2)項に記載の電子回路部品装着ヘッド。
(4)前記保持具係合部が、前記部品保持具に、その部品保持具の離脱を許容する状態で係合する(2)項または(3)項に記載の電子回路部品装着ヘッド。
本項に記載の構成によれば、保持具係合部と部品保持具とを互いに離脱させることができ、例えば、部品保持具を交換することが容易となる。
(5)前記保持具係合部が、前記部品保持具に、その部品保持具の昇降方向と交差する方向の離脱を許容する状態で係合する(4)項に記載の電子回路部品装着ヘッド。
本項に記載の構成によれば、少なくとも部品保持具を、その部品保持具の昇降方向と交差する方向の相対移動により、第2駆動装置に係合する状態と第2駆動装置から離脱した状態とにすることができる。例えば、部品保持具を回転昇降軸に対して着脱可能としたり、1つの第2駆動装置を複数の部品保持具に兼用としたりすることができるのである。
(6)前記第1昇降駆動装置が、前記回転昇降軸とその昇降回転軸の昇降方向と交差する方向に離脱可能に係合する昇降軸係合部を備え、前記第2昇降駆動装置が、前記ヘッド本体の外部を通って前記回転昇降軸と共に昇降可能、かつ、ヘッド本体に対して昇降方向と交差する方向に相対移動可能な保持部に保持され、前記保持具係合部が、前記部品保持具に、前記昇降軸係合部の回転昇降軸に対する係合,離脱に伴って、係合,離脱可能に係合する(5)項に記載の電子回路部品装着ヘッド。
本項に記載の構成によれば、第1昇降駆動装置および第2昇降駆動装置と、回転昇降軸および部品保持具とを昇降方向と交差する方向に係合,離脱させることができ、それにより、例えば、1組の第1昇降駆動装置および第2昇降駆動装置を複数組の回転昇降軸および部品保持具に兼用とすることが可能となり、そのようにすれば、電子回路部品装着ヘッドの構成を簡略化することができる。
(7)前記ヘッド本体が、前記回転昇降軸を回転および昇降可能に保持する第1部と、前記第1昇降駆動装置および前記第2昇降駆動装置を保持する第2部とを備え、当該部品装着ヘッドが、さらに、それら第1部と第2部とを前記回転昇降軸の昇降方向と交差する方向に相対移動させる相対移動装置を含み、その相対移動装置の作動により、前記保持具係合部および前記昇降軸係合部と、前記部品保持具および前記回転昇降軸とが係合,離脱させられる(6)項に記載の電子回路部品装着ヘッド。
相対移動装置は、例えば、第1部を一軸線まわりに回転させ、その一軸線を中心とする円周上の複数の位置に昇降可能に保持された回転昇降軸を、前記一軸線に対して相対移動不能に前記第2部に保持された第1昇降駆動装置および第2昇降駆動装置に対して昇降方向と交差する方向に相対移動させる第1部回転装置としたり、第1部を一直線あるいは一曲線に沿って移動させ、それら一直線あるいは一曲線に沿って並んだ複数の位置に昇降可能に保持された複数の回転昇降軸およびその昇降回転軸に保持された部品保持具を、第2部に保持された第1昇降駆動装置および第2昇降駆動装置に対して昇降方向と交差する方向に相対移動させる第1部移動装置としたりすることができ、あるいは回転や移動をさせるものをそれぞれ逆にしたりすることができる。
回転させるものを逆にした態様の代表的な一例は、回転昇降軸を一円周上の複数の位置において昇降および回転可能に保持した第1部に対し、第1昇降駆動装置および第2昇降駆動装置を保持した第2部を前記一円周の中心軸線のまわりに回動させる態様である。
(8)前記ヘッド本体が、一軸線を中心とする円周上の複数の位置に前記回転昇降軸を昇降および回転可能に保持するものであり、かつ、当該電子回路部品装着ヘッドが、さらに、(a)それら複数の回転昇降軸の各々に設けられた複数のピニオンと、(b)それら複数のピニオンに対して共通に設けられたギヤと、(c)そのギヤを回転駆動することにより、前記複数のピニオンを一斉に回転させる回転駆動源とを備え、前記回転昇降軸に相対回転不能に保持された複数の前記部品保持具を一斉に回転させる部品保持具一斉回転駆動装置を含む(2)項ないし(7)項のいずれかに記載の電子回路部品装着ヘッド。
本項に記載の構成によれば、複数組の回転昇降軸および部品保持具を共用の回転駆動源により一斉に回転させることができる。このように複数組の回転昇降軸および部品保持具を一斉回転させる場合には、各組の回転昇降軸および部品保持具を無限角度回転可能とすることが特に望ましいのであるが、その場合に、もし第2昇降駆動装置が回転昇降軸と共に回転させられる形態であれば、第2昇降駆動装置に対する電力供給や信号取出のための配線の途中に摺動部を設けることが必要となり、重大な電気ノイズの発生源となるのであるが、(2)項に記載の構成を作用すれば、上記摺動部の必要がなく、電気ノイズの発生を良好に回避することができる。
なお、本項におけるヘッド本体は、複数の回転昇降軸を保持する部分が回転させられるものであっても、回転させられないものであってもよい。
(9)前記回転昇降軸と前記部品保持具との間に、部品保持具を回転昇降軸に対して相対的に上方と下方とのいずれか一方へ付勢する付勢手段が設けられ、前記第2昇降駆動装置が、前記保持具係合部により前記部品保持具に前記付勢手段の付勢力に対向して係合し、その状態で電子回路部品を回路基材に装着させる(2)項ないし(8)項のいずれかに記載の電子回路部品装着ヘッド。
(10)さらに、前記回転昇降軸に設けられ、前記付勢手段の付勢力に基づく前記部品保持具の上昇限度または下降限度を規定するストッパを含み、前記第2昇降駆動装置が、前記付勢手段により前記ストッパに当接させられた部品保持具を、その付勢手段の付勢力に抗して前記ストッパから離間させ、その状態で電子回路部品を回路基材に装着させる(9)項に記載の電子回路部品装着ヘッド。
(11)前記昇降部材と前記部品保持具との間に、部品保持具を昇降部材に対して相対的に上方と下方とのいずれか一方へ付勢する付勢手段が設けられ、前記第2昇降駆動装置が、その付勢手段の付勢力に対向してかつ弾性部材を介することなく前記部品保持具に係合し、その状態で電子回路部品を回路基材に装着させる(1)項に記載の電子回路部品装着ヘッド。
(12)さらに、前記昇降部材に設けられ、前記付勢手段の付勢力に基づく前記部品保持具の上昇限度または下降限度を規定するストッパを含み、前記第2昇降駆動装置が、前記付勢手段により前記ストッパに当接させられた部品保持具を、その付勢手段の付勢力に抗して前記ストッパから離間させ、その状態で電子回路部品を回路基材に装着させる(11)項に記載の電子回路部品装着ヘッド。
(13)前記第2昇降駆動装置が、前記昇降部材および前記部品保持具の外部に設けられ、部品保持具に係合する保持具係合部を含み、その保持具係合部を介して部品保持具に前記付勢手段の付勢力に対向する向きに係合した状態でその部品保持具を駆動し、前記ストッパから離間させる(12)項に記載の電子回路部品装着ヘッド。
(14)前記第2昇降駆動装置が、前記昇降部材および前記部品保持具の外部に設けられるとともに部品保持具に係合する保持具係合部を含み、前記付勢手段により前記部品保持具がストッパに当接させられた状態で、保持具係合部と前記部品保持具との間に隙間が形成される(12)項または(13)項に記載の電子回路部品装着ヘッド。
本項に記載の構成によれば、部品保持具がストッパに当接させられた状態で部品保持具と保持具係合部とを、昇降部材および部品保持具の昇降方向と交差する方向に相対移動させれば、部品保持具と保持具係合部との間に摩擦力が作用せず、前記(3)項ないし(8)項の各々に記載の構成を採用することが容易となる利点がある。
(15)前記保持具係合部が、(a)前記部品保持具のその保持具自体の軸線まわりの回転と、(b)その軸線と交差する方向の相対移動との少なくとも一方を許容する状態で、部品保持具に係合する(13)項または(14)項に記載の電子回路部品装着ヘッド。
保持具係合部が部品保持具の回転を許容する状態で部品保持具に係合するものである場合には、第2昇降駆動装置自体は回転や回動をさせることなく、部品保持具を回転させることが可能となり、保持具係合部が、部品保持具に、その部品保持具の軸線と交差する方向の相対移動を許容する状態で係合するものである場合には、第2昇降駆動装置と部品保持具とを、昇降方向と交差する方向に相対移動させることが可能となり、例えば、1つの第2昇降駆動装置を複数の部品保持具に共用することが可能となる。
(16)前記第2昇降駆動装置が、リニアモータを駆動源とし、そのリニアモータに接続された駆動回路を含み、その駆動回路が、前記部品保持具に対する反力を検出する反力検出部を含み、その反力検出部による検出反力に基づいて前記リニアモータに対する供給電流を制御することにより、部品保持具の電子回路部品に対する当接時、あるいは部品保持具に保持された電子回路部品の回路基材に対する当接時における衝撃を緩和する衝撃緩和部とを含む(1)項ないし(15)項のいずれかに記載の電子回路部品装着ヘッド。
反力検出部としては、直接的に反力を検出するロードセルや、間接的に反力を検出する間接的反力検出部、例えば、特開平6−131050号公報に記載の外乱推定オブザーバを採用することができる。
本項の構成によれば、部品保持具の電子回路部品に対する当接、あるいは部品保持具に保持された電子回路部品の回路基材に対する当接を検知することができ、その検知に基づいてリニアモータに対する供給電流を制御することにより、上記当接時における衝撃を緩和することができる。
特に、本項が(11)項ないし(15)項のいずれかに従属する態様においては、上記当接を鋭敏に検知することができ、当接時における衝撃を一層良好に緩和することができる。
その際、衝撃緩和部は、その衝撃緩和部が作動しない状態において反力が当接前の大きさから当接終了時における大きさまで増大すると仮定した時間内に、複数サイクルの供給電流制御を実行し得る高周波制御部を含むものとするすることが望ましい。この制御サイクル数が大きいほど衝撃を良好に緩和することができる。