特許第5997292号(P5997292)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5997292
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】電子回路部品装着ヘッド
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20160915BHJP
【FI】
   H05K13/04 B
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-548371(P2014-548371)
(86)(22)【出願日】2012年11月21日
(86)【国際出願番号】JP2012080164
(87)【国際公開番号】WO2014080473
(87)【国際公開日】20140530
【審査請求日】2015年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】富士機械製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000969
【氏名又は名称】特許業務法人中部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河口 浩二
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−40551(JP,A)
【文献】 特開2010−27752(JP,A)
【文献】 特開2008−103549(JP,A)
【文献】 特開2006−156443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド本体と、
そのヘッド本体に、軸線まわりの回転および軸線に平行な方向の昇降が可能に保持された回転昇降軸と、
その回転昇降軸を前記ヘッド本体に対して回転させる昇降軸回転装置と、
前記回転昇降軸を前記ヘッド本体に対して昇降させる第1昇降駆動装置と、
前記回転昇降軸によりその回転昇降軸に対して相対的に昇降可能かつ回転不能に保持され、電子回路部品を保持する部品保持具と、
前記回転昇降軸および前記部品保持具の外部に設けられ、前記第1昇降装置により回転昇降軸と共に昇降させられる第2昇降駆動装置であって、弾性部材を介することなくかつ部品保持具の回転を許容する状態で部品保持具に係合する保持具係合部を備え、その保持具係合部により部品保持具を回転昇降軸に対して相対的に昇降させ、電子回路部品を回路基材に装着させるものと
を含む電子回路部品装着ヘッド。
【請求項2】
前記第1昇降駆動装置が前記ヘッド本体に固定されており、前記回転昇降軸にその回転昇降軸の回転を許容する状態で係合する昇降軸係合部を備えた請求項1に記載の電子回路部品装着ヘッド。
【請求項3】
前記保持具係合部が、前記部品保持具に、その部品保持具の昇降方向と交差する方向の離脱を許容する状態で係合する請求項1または2に記載の電子回路部品装着ヘッド。
【請求項4】
前記第1昇降駆動装置が、前記回転昇降軸とその昇降回転軸の昇降方向と交差する方向に離脱可能に係合する昇降軸係合部を備え、前記第2昇降駆動装置が、前記ヘッド本体の外部を通って前記回転昇降軸と共に昇降可能、かつ、ヘッド本体に対して昇降方向と交差する方向に相対移動可能な保持部に保持され、前記保持具係合部が、前記部品保持具に、前記昇降軸係合部の回転昇降軸に対する係合,離脱に伴って、係合,離脱可能に係合する請求項1または2に記載の電子回路部品装着ヘッド。
【請求項5】
前記ヘッド本体が、前記回転昇降軸を回転および昇降可能に保持する第1部と、前記第1昇降駆動装置および前記第2昇降駆動装置を保持する第2部とを備え、当該部品装着ヘッドが、さらに、それら第1部と第2部とを前記回転昇降軸の昇降方向と交差する方向に相対移動させる相対移動装置を含み、その相対移動装置の作動により、前記保持具係合部および前記昇降軸係合部と、前記部品保持具および前記回転昇降軸とが係合,離脱させられる請求項4に記載の電子回路部品装着ヘッド。
【請求項6】
前記ヘッド本体が、一軸線を中心とする円周上の複数の位置に前記回転昇降軸を昇降および回転可能に保持するものであり、かつ、当該電子回路部品装着ヘッドが、さらに、(a)それら複数の回転昇降軸の各々に設けられた複数のピニオンと、(b)それら複数のピニオンに対して共通に設けられたギヤと、(c)そのギヤを回転駆動することにより、前記複数のピニオンを一斉に回転させる回転駆動源とを備え、前記回転昇降軸に相対回転不能に保持された複数の前記部品保持具を一斉に回転させる部品保持具一斉回転駆動装置を含む請求項1ないし5のいずれかに記載の電子回路部品装着ヘッド。
【請求項7】
前記回転昇降軸と前記部品保持具との間に、部品保持具を回転昇降軸に対して相対的に上方と下方とのいずれか一方へ付勢する付勢手段が設けられ、前記第2昇降駆動装置が、前記保持具係合部により前記部品保持具に前記付勢手段の付勢力に対向して係合し、その状態で電子回路部品を回路基材に装着させる請求項1ないし6のいずれかに記載の電子回路部品装着ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着ノズル等の部品保持具によって電子回路部品(以下、特に必要がない限り部品と略称する)を保持し、回路基材に装着する電子回路部品装着装置(以下、特に必要がない限り、装着装置と略称する)の電子回路部品装着ヘッド(以下、特に必要がない限り、装着ヘッドと略称する)に関するものであり、特に、部品が脆弱なものであるために、部品保持具との当接時や回路基材との当接時における衝撃(以下、特に必要がない限り当接衝撃と略称する)により破損し易い場合に、当接衝撃を小さく抑えながら能率良く装着することが可能な装着ヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、部品を回路基材に、当接衝撃を緩和しつつ、しかも能率良く装着することができる装着装置が記載されている。この装着装置の装着ヘッドは、ヘッド本体に昇降可能かつ回転可能に保持され、第1昇降駆動装置により昇降させられる回転昇降軸に、吸着ノズルを着脱可能に保持するノズル保持部を、相対的に昇降可能かつ相対回転不能に保持させるとともに、それら回転昇降軸とノズル保持部との間に第2昇降駆動装置を配設したものである。第2昇降駆動装置は、ボイスコイルモータ形式のリニアモータであって、コイルが外周に巻かれた筒状体が回転昇降軸に固定される一方、コイルを外側から包み込みむとともに中央部に永久磁石が固定されたヨーク体がノズル保持部に固定されており、回転昇降軸に対してノズル保持部を昇降させる。
【0003】
また、下記特許文献2にも部品を回路基材に当接衝撃を緩和しつつ高速で搭載することができる搭載ヘッドが記載されている。この搭載ヘッドにおいては、回転モータと送りねじとにより昇降させられる昇降体に、シャフトが限られた距離だけ相対的に昇降可能に保持されており、このシャフトの下部に加圧検知部を介して吸着ノズルが取り付けられている。シャフトがボイスコイルモータにより昇降させられ、加圧検知部は、吸着ノズルが部品に、あるいは吸着ノズルに保持された部品が回路基材に押し付けられる力をロードセルにより検出するものであり、その検出結果に基づいてボイスコイルモータが制御されるのであるが、ロードセルとシャフトとの間には与圧ばねが設けられている。また、シャフトがθモータにより回転させられることにより、吸着ノズルも回転させられるようになっている。
【0004】
また、下記特許文献3には、正確な荷重で部品の搭載を行い得る吸着ノズルの昇降装置が記載されている。この昇降装置も、回転モータと送りねじとにより昇降させられる昇降体に対して、吸着ノズルを保持したシャフトをボイスコイルモータによって昇降させるものであり、吸着ノズルの押付荷重がシャフトを介してロードセルによって検出され、その検出結果に基づいてボイスコイルモータが制御されるのであるが、シャフトとボイスコイルモータとの間にばねが設けられている。また、吸着ノズルを保持するシャフトがθモータにより回転させられることにより、吸着ノズルも回転させられるようになっている。
【0005】
さらに、下記特許文献4には、吸着ノズルと部品との接触、あるいは、吸着ノズルに保持された部品の回路基材との接触によって、吸着ノズルを移動位置決めする手段に印加される外乱が変化する位置、あるいは吸着ノズルの移動加速度が変化する位置を検出することにより、上記接触の位置を検出することが記載されている。また、吸着ノズルを移動位置決めする手段をサーボモータとそれの回転を直線運動に変化するラックとピニオンとにより構成し、サーボモータに対する負荷トルクの変化する位置を上記接触の位置として検出することも記載されている。吸着ノズルをリニアモータにより駆動してもよいとも記載されている。ただし、本特許文献4においては、吸着ノズルを軸線まわりに回転させるR軸回転機構も記載されて、吸着ノズルとノズル保持軸とが一体のものとして記載されており、吸着ノズルとノズル保持軸とをそれぞれ別の駆動装置により駆動し、吸着ノズルをノズル保持軸に対して相対的に昇降させることについては全く記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−95718号公報
【特許文献2】特開2007−80970号公報
【特許文献3】特開2011−40551号公報
【特許文献4】特開2000−22396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記各先行技術文献に記載された発明には未だ改良すべき点がある。例えば、吸着ノズルを保持して昇降するノズル保持軸等が第2昇降装置により昇降させられるのであるため、昇降させられるものの質量が大きくなることと、ロードセルと吸着ノズルとの間に弾性体が介在させられているため、吸着ノズルの対象物への当接を鋭敏に検知することができないこととの少なくとも一方により、第2昇降装置の制御を鋭敏なものとし、当接衝撃を十分に小さくすることが難しい問題があるのである。また、第1昇降装置により昇降させられる昇降部材に対して吸着ノズルを昇降させるために、吸着ノズルを保持するノズル保持軸が第2昇降装置によって昇降させられるのであるが、この第2昇降装置を複数組のノズル保持軸および吸着ノズルに兼用することができないため、装着ヘッドに複数組のノズル保持軸および吸着ノズルが設けられる場合に装置コストが高くなる問題があるのである。
本願発明はこれらの問題の少なくとも1つを解決することを課題として為されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、上記の課題を解決するために、吸着ノズル等の部品保持具によって電子回路部品を保持し、回路基材に装着する電子回路部品装着装置の電子回路部品装着ヘッドを、(a)ヘッド本体と、(b)そのヘッド本体に、軸線まわりの回転および軸線に平行な方向の昇降が可能に保持された回転昇降軸と、(c)その回転昇降軸を前記ヘッド本体に対して回転させる昇降軸回転装置と、(d)前記回転昇降軸を前記ヘッド本体に対して昇降させる第1昇降駆動装置と、(e)前記回転昇降軸によりその回転昇降軸に対して相対的に昇降可能かつ回転不能に保持され、電子回路部品を保持する部品保持具と、(f)前記回転昇降軸および前記部品保持具の外部に設けられ、前記第1昇降駆動装置により回転昇降軸と共に昇降させられる第2昇降駆動装置であって、弾性部材を介することなくかつ部品保持具の回転を許容する状態で部品保持具に係合する保持具係合部を備え、その保持具係合部により部品保持具を回転昇降軸に対して相対的に昇降させることにより、電子回路部品を回路基材に装着させるものとを含む構成としたことを特徴とする。
【本願発明の効果】
【0009】
上記構成の電子回路部品装着ヘッドにおいては、第1昇降駆動装置により回転昇降軸および第2昇降駆動装置がヘッド本体に対して昇降させられ、さらに第2昇降駆動装置により部品保持具が回転昇降軸に対して昇降させられる。そのため、第2昇降駆動装置による部品保持具の昇降距離ならびに第2昇降駆動装置に対する負荷が小さくて済み、その結果、部品保持具の電子回路部品に対する当接時あるいは部品保持具に保持された電子回路部品の回路基材に対する当接時の当接衝撃を十分に抑制することが容易となる。
また、部品保持具は回転昇降軸と共に回転し、第2昇降駆動装置は部品保持具の回転を許容するため、昇降軸回転装置が回転昇降軸を回転させることにより部品保持具を回転させることができ、それによって、部品保持具に保持された電子回路部品の回転姿勢を変更することができる。その際、第2昇降駆動装置は回転しない。前記特許文献1に記載のもののように、回転昇降軸に第2昇降駆動装置が保持されている場合には、回転昇降軸の回転に伴う第2昇降駆動装置の回転を許容するために、第2昇降駆動装置への電力供給や信号取出しのための配線の途中に摺動部を設けることが必要であり、その摺動部の摺動に伴って電気ノイズが発生し、第2昇降駆動装置を精度よく制御する上での障害になるのであるが、上記の構成によればこの障害を回避することができる。
しかも、第2昇降駆動装置の保持具係合部は弾性部材を介することなく部品保持具に係合した状態で部品保持具とともに下降するため、前記特許文献2や特許文献3に記載のもののように第2昇降駆動装置が弾性部材を介して吸着ノズルを下降させるものに比較して、当接衝撃を鋭敏に検知することができ、上記電気ノイズの発生回避および負荷軽減と相俟って、第2昇降駆動装置の制御精度を一層高めることができ、当接衝撃を一層良好に抑制することができる。
さらに、第2昇降駆動装置は、第1昇降駆動装置により回転昇降軸と共に昇降させられるが、回転昇降軸自体に保持されているわけではなく、回転昇降軸および部品保持具の外部に設けられ、保持具係合部により部品保持具に係合してそれを回転昇降軸に対して相対的に昇降させるものとされているため、後述の「発明の態様」における(4)項ないし(7)項の各々に記載の構成を採用することが容易である利点がある。
【発明の態様】
【0010】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。「請求可能発明」は、特許請求の範囲に記載の発明である「本願発明」のみならず、それの下位概念発明あるいは上位概念発明を含み得、別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施形態の記載,従来技術,技術常識等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
【0011】
(1)ヘッド本体と、
そのヘッド本体に昇降可能に案内された昇降部材と、
その昇降部材を前記ヘッド本体に対して昇降させる第1昇降駆動装置と、
前記昇降部材によりその昇降部材に対して相対的に昇降可能に保持され、電子回路部品を保持する部品保持具と、
前記第1昇降装置により前記昇降部材と共に昇降させられ、前記部品保持具を前記昇降部材に対して相対的に昇降させる第2昇降駆動装置と
を含み、回路基材に電子回路部品を装着する電子回路部品装着ヘッド。
本項に記載の装着ヘッドにおいては、第1昇降駆動装置により昇降部材および第2昇降駆動装置がヘッド本体に対して昇降させられ、さらに第2昇降駆動装置により部品保持具が昇降部材に対して昇降させられる。そのため、第2昇降駆動装置による部品保持具の昇降距離ならびに第2昇降駆動装置に対する負荷が小さくて済み、その結果、部品保持具の電子回路部品に対する当接時あるいは部品保持具に保持された電子回路部品の回路基材に対する当接時の当接衝撃を小さく抑制することが容易となる。
(2)前記昇降部材がそれ自身の軸線まわりに自転可能に前記ヘッド本体に保持されるとともに前記部品保持具を相対回転不能に保持する回転昇降軸であり、当該電子回路部品装着ヘッドが、さらに、その回転昇降軸を回転させる昇降軸回転装置を含み、かつ、前記第2昇降駆動装置が、前記回転昇降軸および前記部品保持具の外部に設けられるとともに、弾性部材を介することなくかつ部品保持具の回転を許容する状態で部品保持具に係合する保持具係合部を備え、その保持具係合部により部品保持具を回転昇降軸に対して相対的に昇降させることにより電子回路部品を回路基材に装着させる(1)項に記載の電子回路部品装着ヘッド。
回転昇降軸は、ヘッド本体に昇降可能かつ自転可能に直接保持されてもよく、間接的に保持されてもよい。例えば、ヘッド本体に昇降可能に保持された昇降体に回転可能に保持されてもよいのである。
(3)前記第1昇降駆動装置が前記ヘッド本体に固定されており、前記回転昇降軸にその回転昇降軸の回転を許容する状態で係合する昇降軸係合部を備えた(2)項に記載の電子回路部品装着ヘッド。
(4)前記保持具係合部が、前記部品保持具に、その部品保持具の離脱を許容する状態で係合する(2)項または(3)項に記載の電子回路部品装着ヘッド。
本項に記載の構成によれば、保持具係合部と部品保持具とを互いに離脱させることができ、例えば、部品保持具を交換することが容易となる。
(5)前記保持具係合部が、前記部品保持具に、その部品保持具の昇降方向と交差する方向の離脱を許容する状態で係合する(4)項に記載の電子回路部品装着ヘッド。
本項に記載の構成によれば、少なくとも部品保持具を、その部品保持具の昇降方向と交差する方向の相対移動により、第2駆動装置に係合する状態と第2駆動装置から離脱した状態とにすることができる。例えば、部品保持具を回転昇降軸に対して着脱可能としたり、1つの第2駆動装置を複数の部品保持具に兼用としたりすることができるのである。
(6)前記第1昇降駆動装置が、前記回転昇降軸とその昇降回転軸の昇降方向と交差する方向に離脱可能に係合する昇降軸係合部を備え、前記第2昇降駆動装置が、前記ヘッド本体の外部を通って前記回転昇降軸と共に昇降可能、かつ、ヘッド本体に対して昇降方向と交差する方向に相対移動可能な保持部に保持され、前記保持具係合部が、前記部品保持具に、前記昇降軸係合部の回転昇降軸に対する係合,離脱に伴って、係合,離脱可能に係合する(5)項に記載の電子回路部品装着ヘッド。
本項に記載の構成によれば、第1昇降駆動装置および第2昇降駆動装置と、回転昇降軸および部品保持具とを昇降方向と交差する方向に係合,離脱させることができ、それにより、例えば、1組の第1昇降駆動装置および第2昇降駆動装置を複数組の回転昇降軸および部品保持具に兼用とすることが可能となり、そのようにすれば、電子回路部品装着ヘッドの構成を簡略化することができる。
(7)前記ヘッド本体が、前記回転昇降軸を回転および昇降可能に保持する第1部と、前記第1昇降駆動装置および前記第2昇降駆動装置を保持する第2部とを備え、当該部品装着ヘッドが、さらに、それら第1部と第2部とを前記回転昇降軸の昇降方向と交差する方向に相対移動させる相対移動装置を含み、その相対移動装置の作動により、前記保持具係合部および前記昇降軸係合部と、前記部品保持具および前記回転昇降軸とが係合,離脱させられる(6)項に記載の電子回路部品装着ヘッド。
相対移動装置は、例えば、第1部を一軸線まわりに回転させ、その一軸線を中心とする円周上の複数の位置に昇降可能に保持された回転昇降軸を、前記一軸線に対して相対移動不能に前記第2部に保持された第1昇降駆動装置および第2昇降駆動装置に対して昇降方向と交差する方向に相対移動させる第1部回転装置としたり、第1部を一直線あるいは一曲線に沿って移動させ、それら一直線あるいは一曲線に沿って並んだ複数の位置に昇降可能に保持された複数の回転昇降軸およびその昇降回転軸に保持された部品保持具を、第2部に保持された第1昇降駆動装置および第2昇降駆動装置に対して昇降方向と交差する方向に相対移動させる第1部移動装置としたりすることができ、あるいは回転や移動をさせるものをそれぞれ逆にしたりすることができる。
回転させるものを逆にした態様の代表的な一例は、回転昇降軸を一円周上の複数の位置において昇降および回転可能に保持した第1部に対し、第1昇降駆動装置および第2昇降駆動装置を保持した第2部を前記一円周の中心軸線のまわりに回動させる態様である。
(8)前記ヘッド本体が、一軸線を中心とする円周上の複数の位置に前記回転昇降軸を昇降および回転可能に保持するものであり、かつ、当該電子回路部品装着ヘッドが、さらに、(a)それら複数の回転昇降軸の各々に設けられた複数のピニオンと、(b)それら複数のピニオンに対して共通に設けられたギヤと、(c)そのギヤを回転駆動することにより、前記複数のピニオンを一斉に回転させる回転駆動源とを備え、前記回転昇降軸に相対回転不能に保持された複数の前記部品保持具を一斉に回転させる部品保持具一斉回転駆動装置を含む(2)項ないし(7)項のいずれかに記載の電子回路部品装着ヘッド。
本項に記載の構成によれば、複数組の回転昇降軸および部品保持具を共用の回転駆動源により一斉に回転させることができる。このように複数組の回転昇降軸および部品保持具を一斉回転させる場合には、各組の回転昇降軸および部品保持具を無限角度回転可能とすることが特に望ましいのであるが、その場合に、もし第2昇降駆動装置が回転昇降軸と共に回転させられる形態であれば、第2昇降駆動装置に対する電力供給や信号取出のための配線の途中に摺動部を設けることが必要となり、重大な電気ノイズの発生源となるのであるが、(2)項に記載の構成を作用すれば、上記摺動部の必要がなく、電気ノイズの発生を良好に回避することができる。
なお、本項におけるヘッド本体は、複数の回転昇降軸を保持する部分が回転させられるものであっても、回転させられないものであってもよい。
(9)前記回転昇降軸と前記部品保持具との間に、部品保持具を回転昇降軸に対して相対的に上方と下方とのいずれか一方へ付勢する付勢手段が設けられ、前記第2昇降駆動装置が、前記保持具係合部により前記部品保持具に前記付勢手段の付勢力に対向して係合し、その状態で電子回路部品を回路基材に装着させる(2)項ないし(8)項のいずれかに記載の電子回路部品装着ヘッド。
(10)さらに、前記回転昇降軸に設けられ、前記付勢手段の付勢力に基づく前記部品保持具の上昇限度または下降限度を規定するストッパを含み、前記第2昇降駆動装置が、前記付勢手段により前記ストッパに当接させられた部品保持具を、その付勢手段の付勢力に抗して前記ストッパから離間させ、その状態で電子回路部品を回路基材に装着させる(9)項に記載の電子回路部品装着ヘッド。
(11)前記昇降部材と前記部品保持具との間に、部品保持具を昇降部材に対して相対的に上方と下方とのいずれか一方へ付勢する付勢手段が設けられ、前記第2昇降駆動装置が、その付勢手段の付勢力に対向してかつ弾性部材を介することなく前記部品保持具に係合し、その状態で電子回路部品を回路基材に装着させる(1)項に記載の電子回路部品装着ヘッド。
(12)さらに、前記昇降部材に設けられ、前記付勢手段の付勢力に基づく前記部品保持具の上昇限度または下降限度を規定するストッパを含み、前記第2昇降駆動装置が、前記付勢手段により前記ストッパに当接させられた部品保持具を、その付勢手段の付勢力に抗して前記ストッパから離間させ、その状態で電子回路部品を回路基材に装着させる(11)項に記載の電子回路部品装着ヘッド。
(13)前記第2昇降駆動装置が、前記昇降部材および前記部品保持具の外部に設けられ、部品保持具に係合する保持具係合部を含み、その保持具係合部を介して部品保持具に前記付勢手段の付勢力に対向する向きに係合した状態でその部品保持具を駆動し、前記ストッパから離間させる(12)項に記載の電子回路部品装着ヘッド。
(14)前記第2昇降駆動装置が、前記昇降部材および前記部品保持具の外部に設けられるとともに部品保持具に係合する保持具係合部を含み、前記付勢手段により前記部品保持具がストッパに当接させられた状態で、保持具係合部と前記部品保持具との間に隙間が形成される(12)項または(13)項に記載の電子回路部品装着ヘッド。
本項に記載の構成によれば、部品保持具がストッパに当接させられた状態で部品保持具と保持具係合部とを、昇降部材および部品保持具の昇降方向と交差する方向に相対移動させれば、部品保持具と保持具係合部との間に摩擦力が作用せず、前記(3)項ないし(8)項の各々に記載の構成を採用することが容易となる利点がある。
(15)前記保持具係合部が、(a)前記部品保持具のその保持具自体の軸線まわりの回転と、(b)その軸線と交差する方向の相対移動との少なくとも一方を許容する状態で、部品保持具に係合する(13)項または(14)項に記載の電子回路部品装着ヘッド。
保持具係合部が部品保持具の回転を許容する状態で部品保持具に係合するものである場合には、第2昇降駆動装置自体は回転や回動をさせることなく、部品保持具を回転させることが可能となり、保持具係合部が、部品保持具に、その部品保持具の軸線と交差する方向の相対移動を許容する状態で係合するものである場合には、第2昇降駆動装置と部品保持具とを、昇降方向と交差する方向に相対移動させることが可能となり、例えば、1つの第2昇降駆動装置を複数の部品保持具に共用することが可能となる。
(16)前記第2昇降駆動装置が、リニアモータを駆動源とし、そのリニアモータに接続された駆動回路を含み、その駆動回路が、前記部品保持具に対する反力を検出する反力検出部を含み、その反力検出部による検出反力に基づいて前記リニアモータに対する供給電流を制御することにより、部品保持具の電子回路部品に対する当接時、あるいは部品保持具に保持された電子回路部品の回路基材に対する当接時における衝撃を緩和する衝撃緩和部とを含む(1)項ないし(15)項のいずれかに記載の電子回路部品装着ヘッド。
反力検出部としては、直接的に反力を検出するロードセルや、間接的に反力を検出する間接的反力検出部、例えば、特開平6−131050号公報に記載の外乱推定オブザーバを採用することができる。
本項の構成によれば、部品保持具の電子回路部品に対する当接、あるいは部品保持具に保持された電子回路部品の回路基材に対する当接を検知することができ、その検知に基づいてリニアモータに対する供給電流を制御することにより、上記当接時における衝撃を緩和することができる。
特に、本項が(11)項ないし(15)項のいずれかに従属する態様においては、上記当接を鋭敏に検知することができ、当接時における衝撃を一層良好に緩和することができる。
その際、衝撃緩和部は、その衝撃緩和部が作動しない状態において反力が当接前の大きさから当接終了時における大きさまで増大すると仮定した時間内に、複数サイクルの供給電流制御を実行し得る高周波制御部を含むものとするすることが望ましい。この制御サイクル数が大きいほど衝撃を良好に緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】請求可能発明の一実施形態である装着ヘッドの正面図である。
図2】上記装着ヘッドの吸着ノズル周辺を示す図であり、(a)は一部断面正面図、(b)は(a)におけるA視図である。
図3】上記装着ヘッドの第2リニアモータの制御装置を示すブロック図である。
図4】上記制御装置により制御される第2リニアモータの電流を示すグラフである。
図5】請求可能発明の別の実施形態である装着ヘッドの吸着ノズル周辺を示す一部断面正面図である。
図6】請求可能発明の別の実施形態である装着ヘッドの正面図である。
図7】請求可能発明のさらに別の実施形態である装着ヘッドの一部断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、請求可能発明の実施形態を、図を参照しつつ説明する。なお、請求可能発明は、下記実施形態の他、上記〔発明の態様〕の各項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
【0014】
図1に装着ヘッド10の基本的な構成の一例を示す。本装着ヘッド10は、装着ヘッド本体12を備え、この装着ヘッド本体12が、回転昇降軸14を、その回転昇降軸14の軸線に平行な方向の昇降とその軸線まわりの回転とを許容する状態で保持する第1部16と、第1リニアモータ18を固定的に保持する第2部20とを備えている。本実施形態においては、第1部16と第2部20とは互いに固定されている。回転昇降軸14は下端部に部品保持具としての吸着ノズル22を保持している。回転昇降軸14は、図2(a)に拡大して示すように、昇降軸本体24と、それに着脱可能なノズル保持部26とを備えており、ノズル保持部26は、吸着ノズル22を軸方向に相対移動可能かつ相対回転不能に保持して昇降軸本体24に着脱される。ノズル保持部26は昇降軸本体24に装着された後は回転昇降軸14の一部として機能する。
【0015】
回転昇降軸14は、下端部に断面形状が円形の嵌合穴30を備え、ノズル保持部26は円筒状のノズル保持部材32を備え、そのノズル保持部材32が外周面において嵌合穴30に相対回転可能かつ軸方向に相対移動可能に嵌合される一方、内周面において吸着ノズル22の軸部34と軸方向に相対移動可能に嵌合されている。ノズル保持部材32にはそれを直径方向に貫通するピン36が固定されている。ピン36は中間部において、吸着ノズル22の軸部34にそれの軸方向に長く形成された長穴38を摺動可能に貫通する一方、両端部がノズル保持部材32の外周面から突出し、昇降軸本体24の下端部に形成された2つの切欠40を摺動可能に貫通して、昇降軸本体24の外周面から突出している。各切欠40は、図2(b)に示すように、昇降軸本体24の下端面から上向きに延びた後、直角に曲がって周方向に延び、さらにその先端から下方へ短く垂下した形状を有し、ノズル保持部材32が嵌合穴30の下端開口から昇降軸本体24に嵌合され、一定角度回転させられた後、下降させられるのに伴って、ピン36の両端部が切欠40と係合し、最終的には、切欠40の短く垂下したピン受け部42に受けられる。この状態では、ピン36が昇降軸本体24,ノズル保持部材32および吸着ノズル22の軸部34を貫通して、それら三者の相対回転を防止する状態となる。したがって、回転昇降軸14が回転させられれば、吸着ノズル22も共に回転させられる。
【0016】
昇降軸本体24の中心部に負圧通路44が形成され、嵌合穴30と連通している。吸着ノズル22の軸部34がノズル保持部材32を貫通させられた後、圧縮コイルスプリング46が嵌合されるとともに、軸部34の上端にはフランジ部材48が固着されている。上記のように、ノズル保持部材32が嵌合穴30に嵌合され、ピン36がピン受け部42に受けられた状態では、フランジ部材48が、嵌合穴30と負圧通路44との境界に形成された段付面50から離間する一方、吸着ノズル22の段付面97がノズル保持部材32の下端面98に押付けられた状態に保たれる。この下端面98が、吸着ノズル22の回転昇降軸14に対する相対的な上昇限度を規定するストッパを構成しているのである。上記のように、負圧通路44が嵌合穴30と連通しているため、負圧通路44に負圧が供給されれば、吸着ノズル22よびノズル保持部材32にそれらを上方に引き上げる力が作用するが、この力に基づくピン36のピン受け部42からの浮き上がりを防止するために、ロック機構が設けられている。昇降軸本体24の外周面にロックスリーブ52が摺動可能に嵌合され、圧縮コイルスプリング54により下方に付勢されてピン36をピン受け部42に押し付けているのである。回転昇降軸14内の負圧通路44は吸着ノズル22内の負圧通路58に連通している
【0017】
前記第1リニアモータ18は、第1昇降部材としての回転昇降軸14と第2昇降駆動装置としての第2リニアモータ60とを共に昇降させる第1昇降駆動装置として機能する。そのために、第1リニアモータ18には第2昇降部材としての昇降駆動部材62が取り付けられている。昇降駆動部材62は、ヘッド本体12の第1部16の外側を、回転昇降軸14に沿って上下方向に延びており、中間部に第1係合部64を有し、下端部に第2リニアモータ60を保持している。その第2リニアモータ60が第2係合部66(水平軸線まわりに回転可能なローラにより構成されている)を有している。第1係合部64は回転昇降軸14の上端近傍に設けられたフランジ68に、第2係合部66は吸着ノズル22のフランジ70に、それぞれ回転昇降軸14および吸着ノズル22の回転を許容する状態で係合している。ヘッド本体12の第2部にはガイド72が取り付けられ、昇降駆動部材62を案内している。
【0018】
回転昇降軸14のフランジ68の上方にはギヤ80が設けられ、ヘッド本体12に取り付けられた回転駆動源たる電動モータ82の回転軸に固定のギヤ84と噛み合わされている。ギヤ80,84は回転昇降軸14の昇降を許容するとともに、電動モータ82の回転を回転昇降軸14に伝達する。電動モータ82,ギヤ80,84によって回転昇降軸14の回転駆動装置が構成されているのであり、回転昇降軸14の回転はピン受け部42とピン36との係合によりノズル保持部材32に伝達され、さらにピン36と長穴38との係合により吸着ノズル22に伝達される。
【0019】
本装着ヘッド10は、図示を省略するX−Y移動装置により、X−Y平面に沿って部品供給装置の上方と、回路基材としてのプリント基板を保持する基板保持装置の上方とへ移動させられるとともに、X−Y平面に直角なZ方向に昇降させられて、部品供給装置から吸着ノズル22により部品86を吸着して取り出し、プリント基板に装着する。この際、第1リニアモータ18が昇降駆動部材62を下降さて、回転昇降軸14と第2リニアモータ60とを下降させ、それとともに第2リニアモータ60が吸着ノズル22を回転昇降軸14に対して相対的に下降させる。したがって、上記本装着ヘッド10の昇降は省略可能である。また、必要に応じて電動モータ82が作動させられて、吸着ノズル22に保持された部品の回転姿勢が修正ないし変更される。以上の作動における第1リニアモータ18,負圧制御弁56,電動モータ82等の制御は通常の装着ヘッドと同様であるため説明を省略し、以下、特殊である第2リニアモータ60の制御を説明する。
【0020】
第2リニアモータ60は、図3に示す制御系90によって制御される。制御系90は、装着ヘッド10を含む装着装置全体を制御するコントローラ92の一部と、駆動回路94と、第2リニアモータ60に付属するエンコーダ96およびロードセル99とにより構成されている。コントローラ92は第2リニアモータ60の位置を指令し、駆動回路94はこの指令された位置とエンコーダ96の示す位置とを一致させるために必要な電流を第2リニアモータ60に供給する。
【0021】
部品86の中には脆弱であって、部品取り出しのために吸着ノズル22が部品86に当接させられ、あるいは装着のために吸着ノズル22に保持された部品86がプリント基板に当接させられる際に、衝撃で損傷を受けることのあるものがある。本装着ヘッド10はそのような部品86であっても、損傷を回避しつつ、しかも能率良く装着作業を行うために工夫されたものである。すなわち、吸着ノズル22を下降させる際、第1リニアモータ18が作動させられ、昇降駆動部材62を下降させて回転昇降軸14と第2リニアモータ60とを下降させる。それと並行して第2リニアモータ60が作動させられ、部品86の吸着ノズル22あるいはプリント基板との当接前に、吸着ノズル22を圧縮コイルスプリング46の付勢力に抗してストッパたる下端面98から設定距離離間させる。図4における巡航期間がこの状態で吸着ノズル22が回転昇降軸14と共に下降し続ける期間である。
【0022】
やがて、吸着ノズル22が部品供給装置に支持された部品86に当接し、あるいは吸着ノズル22に保持された部品86がプリント基板に当接する。仮に、第2リニアモータ60および制御系90が設けられておらず、代わりに、従来の装着ヘッドにおけるように吸着ノズル22と回転昇降軸14との間にクッションとして機能する圧縮コイルスプリングが設けられているとすれば、上記当接時に当接力が急増し、部品86が損傷を受ける可能性があり、また、制御系90の制御が不十分である場合には、第2リニアモータ60への反力が図4に二点鎖線で例示するように大きく変動し、やはり部品86が損傷を受ける可能性があるのであるが、本実施形態においては、駆動回路94をはじめとする制御系90が高周波制御の可能な系、すなわち、上記当接に起因して反力が急増し、当接力が許容当接力を超えて過大となるまでの間に少なくとも2サイクルの制御サイクルが実行可能である高周波制御系とされており、上記当接がロードセル99により検出されるやいなや、制御系90は反力が設定押付力と等しくなるように第2リニアモータ60への供給電流を制御する。その結果、反力の変動が実線で示すように小さく抑制されるのであり、上記当接時における当接衝撃が部品86に損傷を与えることのない大きさに抑制される。制御系90のこのような電流制御を行う部分が衝撃緩和部を構成しているのである。
【0023】
請求可能発明の別の実施形態を図5に示す。本実施形態は主として吸着ノズルの交換の形態において上記実施形態と異なる。上記実施形態においては、吸着ノズル22がノズル保持部材32およびピン36と共に昇降軸本体24に対して着脱されるようにされていたのに対し、本実施形態においては、吸着ノズル100がノズル本体102と先端部材104とから成るものとされ、先端部材104がノズル本体102に対して着脱されるのである。この着脱可能にする手段は種々存在するが、図5に示す例では、ボールプランジャ106が使用されている。先端部材104の装着状態では、ノズル本体102に取り付けられたボールプランジャ106のボールが、先端部材104に形成された凹部に係合しているが、先端部材104にそれを外す方向に力を加えられることにより、ノズル本体102から取り外すことができるのである。
【0024】
図5に示す実施形態はさらに、圧縮コイルスプリング46の付勢力による吸着ノズル100の回転昇降軸14への接近限度を規定するストッパが設けられておらず、代わりに第2リニアモータ60の第2係合部66が吸着ノズル100のフランジ70に常時係合させられている点においても前記実施形態と異なっている。回転昇降軸14が1本のみの場合や、回転昇降軸14が複数本であっても、各回転昇降軸14に対して専用の昇降駆動部材62および第2リニアモータ60が設けられる場合には、第2係合部66を吸着ノズル100のフランジ70に常時係合させることによりストッパを省略することが可能なのである。
なお、回転昇降軸14に代えて、回転しない昇降部材を設けることも可能である。例えば、ヘッド本体の、回転しない昇降部材を昇降可能に保持する部分を回転させたり、あるいはプリント基板を保持する装置を回転させたりすることが可能なのであり、部品を回転させる必要がない場合にはそのようなことも必要ないのである。
【0025】
請求可能発明のさらに別の実施形態を図6に示す。本実施形態においても、前記実施形態におけるのと同一の機能を果たすものには同一の符号を付して説明を省略し、異なる点のみを以下に説明する。本実施形態の装着ヘッド110の前記装着ヘッド10との大きな違いは、ヘッド本体112が互いに相対移動可能な2部分、すなわち、一軸線まわりに回転可能な第1部たるロータ116と、そのロータ116を回転可能に保持する第2部たるXスライダ120とから成る点である。Xスライダ120はYスライダ122に、X軸方向に移動可能に保持されており、Yスライダ122がX軸と直交するY軸方向に移動可能であるため、装着ヘッド110は水平なX−Y座標面内の任意の位置へ移動可能である。なお、本装着ヘッド110はX−Y座標面に直角な上下方向には昇降させられず、代わりに、回転昇降軸14の昇降ストロークが大きくされている。
【0026】
上記回転昇降軸14はロータ116の回転軸線を中心とする一円周上の等角度間隔の複数の位置、図示の例では6つの位置に、それぞれ回転軸線に平行な方向に摺動可能かつ自転可能に設けられている。ロータ116はロータ回転駆動モータ130により回転させられる。また、ロータ116の外周面には、ギヤ132,134が一体的に回転可能に嵌合されており、ピニオン136を介してノズル回転駆動モータ138により回転させられ、複数のピニオン139を介して複数組の回転昇降軸14および吸着ノズル22を一斉に回転させる。
【0027】
上記複数の回転昇降軸14のうち、ロータ116の回転により部品受取・装着位置へ旋回させられたものは、第1昇降駆動装置140によって昇降させられる。本実施形態においては、第1昇降駆動装置140が、回転モータである昇降駆動モータ142と送りねじ144とナット146とにより構成されている。また、回転昇降軸14は圧縮コイルスプリング150によって上方へ付勢されており、回転昇降軸14の下端近傍に取り付けられたスナップリング154がロータ116の下面に当接することにより上昇限度位置に保たれている。したがって、昇降駆動部材62の第1係合部64は、回転昇降軸14の上端面に係合して回転昇降軸14を圧縮コイルスプリング150の付勢力に抗して下降させる。なお、昇降駆動部材62はガイドロッド152とガイド72とにより昇降を案内される。
【0028】
本実施形態においても、回転昇降軸14と第2リニアモータ60とが共に第1昇降駆動装置140により昇降させられ、さらに第2昇降駆動装置としての第2リニアモータ60が回転昇降軸14に対して吸着ノズル22を昇降させ、吸着ノズル22の部品86への当接時、および吸着ノズル22に保持された部品86のプリント基板への当接時における当接衝撃が緩和される。また、第1係合部64と第2係合部66とは回転昇降軸14および吸着ノズル22にそれらの回転を許容する状態で係合するが、本実施形態においてはさらに、ロータ116の回転に伴う回転昇降軸14および吸着ノズル22の昇降方向と直交する方向の係合,離脱を許容する。
【0029】
請求可能発明のさらに別の実施形態を図7に示す。本実施形態は、上記実施形態において、回転昇降軸14が昇降ブロック160を介して間接的にロータ116に保持されたものに相当する。回転昇降軸14は昇降ブロック160に回転可能かつ軸方向に相対移動不能に保持されており、ノズル回転駆動モータ162により昇降ブロック160に対して回転させられるとともに、昇降駆動部材62の第1係合部64により昇降ブロック160が昇降させられるのに伴って昇降させられる。なお、図示は省略するが、昇降ブロック160は付勢手段により上向きに付勢されるとともに、ストッパにより第1係合部64に接触寸前の位置に保たれる。その他の点は、吸着ノズル22が回転昇降軸14に相対回転不能かつ昇降可能に保持されており、昇降駆動部材62に取り付けられた第2リニアモータ60の第2係合部66により、昇降回転軸14に対して相対的に昇降させられることをはじめ、上記実施形態と同様であるため、詳細の図示および説明を省略する。
【0030】
請求可能発明のさらに別の実施形態として、図示は省略するが、図1に示すヘッド本体12の第1部16と第2部20とを互いに別体の部材により構成するとともに、第1部16を、一軸線を中心とする一円周上の複数の位置に回転昇降軸14をそれぞれ自転および昇降可能に保持するが回転はしないものとし、代わりに、第2部20を第1部16の内周側において上記一軸線を中心に回動するものとすることが可能である。この実施形態においては、昇降駆動部材62の第1係合部64と第2昇降駆動装置としての第2リニアモータ60の第2係合部66とが、複数組の回転昇降軸14および吸着ノズル22のうちの1組ずつに、内周側から選択的に係合して昇降させることとなる。それ以外の点については、図6に示した前記実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【符号の説明】
【0031】
10:装着ヘッド(電子回路部品装着ヘッド) 12:ヘッド本体 14:回転昇降軸 16:第1部(ヘッド本体の) 18:第1リニアモータ 20:第2部(ヘッド本体の) 22:吸着ノズル 24:昇降軸本体 26:ノズル保持部 30:嵌合穴 32:ノズル保持部材 34:軸部 36:ピン 38:長穴 40:切欠 42:ピン受け部 46:圧縮コイルスプリング 52:ロックスリーブ 54:圧縮コイルスプリング 58:負圧通路 60:第2リニアモータ 62:昇降駆動部材 64:第1係合部 66:第2係合部 86:部品(電子回路部品) 90:制御系 98:下端面(ノズル保持部材の)(ストッパ) 100:吸着ノズル 102:ノズル本体 104:先端部材 106:ボールプランジャ 110:装着ヘッド 112:ヘッド本体 116:ロータ 120:Xスライダ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7