(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5997294
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】セルペンチンフィブリルを有する延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンを含み、その上に不連続フルオロポリマー層を有する物品
(51)【国際特許分類】
A61L 27/00 20060101AFI20160915BHJP
A61F 2/07 20130101ALI20160915BHJP
C08J 7/04 20060101ALI20160915BHJP
C08J 9/00 20060101ALI20160915BHJP
A61L 31/00 20060101ALI20160915BHJP
【FI】
A61L27/00 W
A61F2/07
C08J7/04 BCEW
C08J9/00 A
A61L31/00 Z
【請求項の数】53
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-552189(P2014-552189)
(86)(22)【出願日】2012年11月14日
(65)【公表番号】特表2015-507505(P2015-507505A)
(43)【公表日】2015年3月12日
(86)【国際出願番号】US2012064908
(87)【国際公開番号】WO2013109337
(87)【国際公開日】20130725
【審査請求日】2014年9月12日
(31)【優先権主張番号】13/675,730
(32)【優先日】2012年11月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/351,052
(32)【優先日】2012年1月16日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100102990
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 良博
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【弁理士】
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】ラリー ジェイ.コバック
(72)【発明者】
【氏名】レイチェル ラッドスピナー
【審査官】
小堀 麻子
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2002/0198588(US,A1)
【文献】
特表平09−501759(JP,A)
【文献】
特表2008−506459(JP,A)
【文献】
特開平02−000645(JP,A)
【文献】
特開平11−290448(JP,A)
【文献】
特表2005−530549(JP,A)
【文献】
特表2008−526317(JP,A)
【文献】
特表2000−503874(JP,A)
【文献】
特開2008−173489(JP,A)
【文献】
特表2008−526366(JP,A)
【文献】
特表2005−533527(JP,A)
【文献】
特表2005−512687(JP,A)
【文献】
特表2010−535949(JP,A)
【文献】
実開昭58−133318(JP,U)
【文献】
特表2004−536641(JP,A)
【文献】
特表平11−512329(JP,A)
【文献】
特表2002−510985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 27/00
A61L 31/00
A61F 2/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)メンブレンを含み、その上にフルオロポリマーの不連続コーティングを有する物品であって、
前記延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンはセルペンチンフィブリルを含み、該セルペンチンフィブリルの各々は1.0ミクロン以下の幅を有し、
前記セルペンチンフィブリルは第1の方向に第1のカーブ、および第2の方向に第2のカーブを有し、
前記延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンは実質的にセルペンチンフィブリルのみのミクロ構造を有する、物品。
【請求項2】
前記延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンは孔を含み、前記フルオロポリマーは少なくとも部分的に複数の前記孔に侵入している、請求項1記載の物品。
【請求項3】
前記フルオロポリマーはフッ素化エチレンプロピレンである、請求項1記載の物品。
【請求項4】
前記延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンは延伸ポリテトラフルオロエチレンである、請求項1記載の物品。
【請求項5】
前記延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンはセルペンチンフィブリルのみのミクロ構造を含む、請求項1記載の物品。
【請求項6】
前記延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンは複数のセルペンチンフィブリルを含む、請求項1記載の物品。
【請求項7】
前記延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンは初期の延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレン長さの90%未満に少なくとも1つの方向で熱収縮されている、請求項1記載の物品。
【請求項8】
前記延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンは少なくとも1つの方向に熱収縮されている、請求項7記載の物品。
【請求項9】
前記延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンは前記熱収縮の間に少なくとも1つの方向で拘束されている、請求項8記載の物品。
【請求項10】
前記延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレン中に少なくとも部分的に取り込まれた少なくとも1種のエラストマーをさらに含む、請求項1記載の物品。
【請求項11】
前記セルペンチンフィブリルの前記幅は0.5ミクロン以下である、請求項1記載の物品。
【請求項12】
少なくとも1つの開口部、内側表面及び外側表面を画定しているチューブ状部材を含む内部人工器官デバイスであって、
前記チューブ状部材は、セルペンチンフィブリルを有する延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)メンブレンを含み、その上にフルオロポリマーの不連続コーティングを有する複合材料を含み、
前記延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンはセルペンチンフィブリルを含み、
前記セルペンチンフィブリルは第1の方向に第1のカーブ、および第2の方向に第2のカーブを有し、
前記延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンは実質的にセルペンチンフィブリルのみのミクロ構造を有する、内部人工器官デバイス。
【請求項13】
前記セルペンチンフィブリルの各々は幅が1.0ミクロン以下である、請求項12記載の内部人工器官デバイス。
【請求項14】
前記セルペンチンフィブリルの各々は幅が0.5ミクロン以下である、請求項13記載の内部人工器官デバイス。
【請求項15】
前記延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンは孔を含み、前記フルオロポリマーは複数の前記孔に少なくとも部分的に侵入している、請求項12記載の内部人工器官デバイス。
【請求項16】
前記延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンは延伸ポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項12記載の内部人工器官デバイス。
【請求項17】
前記チューブ状部材はステントのためのカバーである、請求項12記載の内部人工器官デバイス。
【請求項18】
前記外側表面上の前記フルオロポリマーは前記内側表面上の前記フルオロポリマーに前記ステントの間隙を通して結合して前記カバーを前記ステントに固定している、請求項17記載の内部人工器官デバイス。
【請求項19】
前記フルオロポリマーは、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、エチレンフッ素化エチレンプロピレン(EFEP)、THV(テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン及びフッ化ビニリデンのターポリマー)、PFA(パーフルオロアルコキシコポリマー樹脂)、ECTFE(エチレンクロロトリフルオロエチレン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)及びPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)からなる群より選ばれるものを含む、請求項12記載の内部人工器官デバイス。
【請求項20】
前記フルオロポリマーはフッ素化エチレンプロピレンである、請求項12記載の内部人工器官デバイス。
【請求項21】
前記延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンはセルペンチンフィブリルのみのミクロ構造を含む、請求項12記載の内部人工器官デバイス。
【請求項22】
前記延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンは複数のセルペンチンフィブリルを含む、請求項12記載の内部人工器官デバイス。
【請求項23】
前記複合材料はある直径まで放射方向に拡張し、該直径を超えると、さらなる拡張が抑制される、請求項12記載の内部人工器官デバイス。
【請求項24】
前記延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレン中に少なくとも部分的に取り込まれた少なくとも1種のエラストマーをさらに含む、請求項12記載の内部人工器官デバイス。
【請求項25】
前記延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンは初期の延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレン長さの90%未満に少なくとも1つの方向で熱収縮されている、請求項12記載の内部人工器官デバイス。
【請求項26】
前記延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンは前記熱収縮の間に少なくとも1つの方向で拘束されている、請求項25記載の内部人工器官デバイス。
【請求項27】
前記複合材料は7mmの直径に拡張されたときに剛性の増加を示す、請求項12記載の内部人工器官デバイス。
【請求項28】
少なくとも1つの開口部、外側表面及び内側表面を有する壁を有するステント、及び、
前記ステントに付着しているカバー、
を含むステントグラフトであって、
前記カバーはセルペンチンフィブリルを有する延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)メンブレン及びその上にフルオロポリマーの不連続コーティングを含む複合材料を含み、
前記セルペンチンフィブリルは第1の方向に第1のカーブ、および第2の方向に第2のカーブを有し、
前記延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンは実質的にセルペンチンフィブリルのみのミクロ構造を有し、
前記複合材料は前記ステントの内側表面及び外側表面のうちの少なくとも一方を少なくとも部分的にカバーしている、ステントグラフト。
【請求項29】
前記セルペンチンフィブリルの各々は幅が1.0ミクロン以下である、請求項28記載のステントグラフト。
【請求項30】
前記セルペンチンフィブリルは幅が0.5ミクロン以下である、請求項29記載のステントグラフト。
【請求項31】
前記延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンは孔を含み、前記フルオロポリマーは複数の前記孔に少なくとも部分的に侵入している、請求項28記載のステントグラフト。
【請求項32】
前記ステントは第一の圧力で第一の直径に拡張し、第二の圧力で第二の直径に拡張し、前記第二の圧力は前記第一の圧力よりも大きい、請求項28記載のステントグラフト。
【請求項33】
前記外側表面上の前記フルオロポリマーは前記内側表面上の前記フルオロポリマーに前記ステントの間隙を通して結合して前記カバーを前記ステントに固定している、請求項28記載のステントグラフト。
【請求項34】
前記フルオロポリマーはフッ素化エチレンプロピレンである、請求項28記載のステントグラフト。
【請求項35】
前記延伸ポリテトラフルオロエチレンは延伸ポリテトラフルオロエチレンである、請求項28記載のステントグラフト。
【請求項36】
前記延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンはセルペンチンフィブリルのみのミクロ構造を含む、請求項28記載のステントグラフト。
【請求項37】
前記延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンは複数のセルペンチンフィブリルを含む、請求項28記載のステントグラフト。
【請求項38】
前記複合材料はある直径まで放射方向に拡張し、該直径を超えると、さらなる拡張が抑制される、請求項28記載のステントグラフト。
【請求項39】
前記複合材料は7mmの直径に拡張されたときに剛性の増加を示す、請求項28記載のステントグラフト。
【請求項40】
前記複合材料は皺を含まない、請求項28記載のステントグラフト。
【請求項41】
ステントの内側表面上に第一のチューブ状部材を配置すること、
前記ステントの外側表面上に第二のチューブ状部材を配置すること、ここで、各チューブ状部材はセルペンチンフィブリルを有する延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレン及びその上にフルオロポリマーの不連続コーティングを含む複合材料を含み、前記セルペンチンフィブリルは第1の方向に第1のカーブ、および第2の方向に第2のカーブを有し、前記延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンは実質的にセルペンチンフィブリルのみのミクロ構造を有し、前記フルオロポリマーは前記第一のチューブ状部材の外側表面上に配置されており、かつ、前記第二のチューブ状部材の内側表面上に配置されている、及び、
前記ステントの上に前記第一のチューブ状部材及び前記第二のチューブ状部材を有するステントを加熱し、前記第一のチューブ状部材の上の前記フルオロポリマーを前記第二のチューブ状部材に、前記ステントの間隙をとおして付着させ、そしてカバー付きステントを形成することを含む、
カバー付きステントの形成方法。
【請求項42】
前記フルオロポリマーはフッ素化エチレンプロピレンである、請求項41記載の方法。
【請求項43】
前記延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンはセルペンチンフィブリルのみのミクロ構造を含む、請求項41記載の方法。
【請求項44】
前記延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンは複数のセルペンチンフィブリルを含む、請求項41記載の方法。
【請求項45】
前記複合材料はある直径まで放射方向に拡張し、該直径を超えると、さらなる拡張が抑制される、請求項41記載の方法。
【請求項46】
前記第一のチューブ状部材及び第二のチューブ状部材はリンクルフリーである、請求項41記載の方法。
【請求項47】
前記延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンは孔を含み、前記フルオロポリマーは複数の前記孔に少なくとも部分的に侵入している、請求項41記載の方法。
【請求項48】
前記複合材料は7mmの直径に拡張されたときに剛性の増加を示す、請求項41記載の方法。
【請求項49】
前記セルペンチンフィブリルの各々は幅が1.0ミクロン以下である、請求項41記載の方法。
【請求項50】
前記セルペンチンフィブリルの各々は幅が0.5ミクロン以下である、請求項51記載の方法。
【請求項51】
延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレン及びその上にフルオロポリマーの不連続コーティングを含む複合材料を含むチューブを形成すること、ここで、前記延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンはセルペンチンフィブリルを含み、前記セルペンチンフィブリルは第1の方向に第1のカーブ、および第2の方向に第2のカーブを有し、前記延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンは実質的にセルペンチンフィブリルのみのミクロ構造を有し、前記フルオロポリマーは前記チューブの外側表面上に配置されている、
前記チューブを断面で切断し、第一のチューブ状部材及び第二のチューブ状部材を形成すること、
前記第二のチューブ状部材の内側表面上に前記フルオロポリマーが位置するように前記第二のチューブ状部材を裏返すこと、
前記第一のチューブ状部材をステント内部に配置すること、
前記第二のチューブ状部材を前記ステントの外側表面上に配置すること、及び、
カバー付きステントを加熱して、前記第一のチューブ状部材上の前記フルオロポリマーを、前記ステントの間隙をとおして前記第二のチューブ状部材に付着させ、カバー付きステントを形成することを含む、
カバー付きステントの形成方法。
【請求項52】
前記延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンはセルペンチンフィブリルのミクロ構造を含む、請求項51記載の方法。
【請求項53】
前記セルペンチンフィブリルの各々は幅が1.0ミクロン以下である、請求項52記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2012年1月16日に出願した、Whiteらの米国特許出願番号第13/351,052号の一部継続出願である。
【0002】
発明の分野
本発明はセルペンチンフィブリル及び不連続フルオロポリマー層を有する延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)メンブレンならびにそれから製造される材料に関する。
【0003】
定義
本明細書中に使用されるときに、用語「セルペンチンフィブリル」は交互の方向に曲がり又はひねる複数のフィブリルを意味する。
【0004】
本明細書中に使用されるときに、用語「制御された収縮」は、熱を加えることにより、溶媒で湿潤化させることにより、又は、他の任意の適切な手段、又は、それらの組み合わせにより、後続する物品の折り曲げ、プリーティング又はリンクリングが裸眼で視認可能となるのを抑制するように物品を少なくとも1つの方向の長さを短くさせることを指す。
【0005】
用語「浸透され又は浸透性(imbibed or imbibing)」は、本明細書中に使用されるときに、ePTFEなどの多孔性材料の孔の少なくとも一部分を少なくとも部分的に充填するための任意の手段を記載することが意図される。
【0006】
用語「伸長」は、本明細書中に使用されるときに、引張り力の負荷に応答する長さの増加を意味することが意図される。
【0007】
用語「不連続に配置される」は、本明細書中に使用されるときに、少なくとも1つの連結されていない領域を有する物質を指す。
【0008】
用語「前駆体メンブレン」は、本明細書中に使用されるときに、出発メンブレンを指す。用語「ステントグラフト」及び「カバー付きステント」はカバーを有するステントを記載するために本明細書中で相互互換的に使用されうる。
【0009】
用語「剛性の増加」は、本明細書中に使用されるときに、一旦、停止ポイントに達したときのさらなる伸長に対する抵抗性の増加を指す。
【0010】
本発明の目的で、デバイスの1cm長さの範囲内で、グラフト部分が皺及び折れ曲がりを含まないならば、全体のデバイスは「リンクルフリー(wrinkle-free)」と考えられる。用語「折れ曲がりなし(free of folds)」、「折れ曲がり不含(devoid of folds)」及び「折れ曲がりフリー(fold free)」は本明細書中で相互互換的に使用されることは注意されるべきである。
【背景技術】
【0011】
発明の背景
多孔性フルオロポリマー材料、特に、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)材料は、通常、フィブリルの配向に平行な方向に応力を受けたときに、比較的に低い伸長性を示す。高強度のePTFE材料は低強度のePTFE材料と比較して、比較的に低い伸長度を有する。一軸延伸材料はフィブリルに対して直交方向に応力を受けたときに、高い伸長性を示すことができるが、メンブレンはこの方向に非常に弱い。
【0012】
マンドレル上に配置された一軸延伸ePTFEチューブは機械的に圧縮されており、破壊の前により高い伸長性を達成するように熱処理されている。このようなチューブは、また、破壊前に伸長され、そして応力から解放されるならば、回復性を示す。Houseらの米国特許第4,877,661号明細書は急速回復特性を有する多孔性PTFE及びこれらの材料の製造方法を開示している。さらに、圧縮されたチューブの孔にはエラストマー材料が侵入している。例えば、Sowinskiらの米国特許第7,789,908号明細書はエラストマーマトリックスを画定している孔内にエラストマー材料が侵入しているePTFE材料の長手方向に圧縮されたフィブリルを含むエラストマー回復性PTFE材料を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
50%伸び率を超えるような高い伸長度を示す、薄く、強いメンブレンが存在することが継続的に必要とされている。いくつかの用途は、薄さ、低密度及び/又は小さい孔サイズ、ならびに、それらの組み合わせなどの品質をさらに要求している。他の用途はメンブレンを伸長するための比較的に低い力を要求する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
発明の要旨
本発明は、フルオロポリマーメンブレンの強度特性を実質的に保持しながら、高い伸長性を示すフルオロポリマーメンブレンに関する。このようなメンブレンは幅が約1.0ミクロン以下であるセルペンチンフィブリルを特徴的に有する。
【0015】
本発明の目的は、フルオロポリマーの不連続コーティングを上に有する延伸フルオロポリマーメンブレンを含む物品を提供することである。フルオロポリマーは延伸フルオロポリマーメンブレンの孔の一部又は全部の中に少なくとも部分的に配置されていてよい。延伸フルオロポリマーメンブレンはセルペンチンフィブリルを特徴的に含み、実質的にセルペンチンフィブリルのみのミクロ構造を有することができる。セルペンチンフィブリルは幅が約1.0ミクロン以下である。1つの例示の実施形態において、延伸フルオロポリマーメンブレンは複数のセルペンチンフィブリルを含む。本発明の少なくとも1つの実施形態において、フルオロポリマーメンブレンは延伸ポリテトラフルオロエチレンである。1つの例示のフルオロポリマーはフッ素化エチレンプロピレンである。引張り力の負荷はセルペンチンフィブリルを少なくとも部分的にまっすぐにし、それにより、物品を伸長させる。この複合材料はフルオロポリマーメンブレンの強度特性を実質的に保持しながら、高い伸長性を示す。さらに、延伸フルオロポリマーメンブレンは初期の延伸フルオロポリマー長さの約90%未満に少なくとも1つの方向で熱収縮されうる。また、延伸フルオロポリマーメンブレンは熱収縮の間に少なくとも1つの方向で拘束されていてよい。
【0016】
本発明の別の目的は少なくとも1つの開口部、内側表面及び外側表面を画定しているチューブ状部材を含む内部人工器官デバイスであって、該チューブ状部材はセルペンチンフィブリルを有するフルオロポリマーメンブレン及びフルオロポリマーの不連続コーティングを含む複合材料を含む、デバイスを提供することである。セルペンチンフィブリルは幅が約1.0ミクロン以下である。フルオロポリマーは延伸フルオロポリマーメンブレンの孔の一部又は全部の中に少なくとも部分的に配置されていてよい。1つ以上の例示の実施形態において、フルオロポリマーメンブレンは延伸ポリテトラフルオロエチレンを含み、フルオロポリマーはフッ素化エチレンプロピレンを含む。複合材料は直径約7mmに拡張されたときに、剛性の増加を示す。チューブ状部材はステントのためのカバリングとして使用されうる。
【0017】
本発明のさらなる目的は、(1)少なくとも1つの開口部、外側表面及び内側表面を有する壁を有するステント、及び、(2)ステントに付着しているカバーを含むステントグラフトであって、前記カバーはセルペンチンフィブリルを有しかつフルオロポリマーの不連続コーティングを有する延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンを含む複合材料を含む、ステントグラフトを提供することである。フルオロポリマーは延伸フルオロポリマーメンブレンの孔の実質的に全部、又は、全部の中に少なくとも部分的に配置されていてよい。セルペンチンフィブリルは幅が約1.0ミクロン以下である。複合材料はステントの内側表面及び外側表面の少なくとも1つを少なくとも部分的にカバーしている。さらに、複合材料はステントの外側表面及び/又は内側表面に付着している。フルオロポリマーはフッ素化エチレンプロピレンである。複合材料はステントグラフトの直径に関係なくリンクルフリー及び折り曲げフリーのままである。また、複合材料はポリテトラフルオロエチレンメンブレンの強度特性を実質的に保持しながら、高い伸長性を示す。延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンは実質的にセルペンチンフィブリルのみのミクロ構造を含むことができる。1つの実施形態において、延伸フルオロポリマーメンブレンは複数のセルペンチンフィブリルを含む。複合材料は直径約7mmに拡張されたときに、剛性の増加を示す。
【0018】
本発明の目的は、また、(1)少なくとも1つの開口部、外側表面及び内側表面を有する壁、及び、(2)ステントに付着しているカバーを含むステントグラフトであって、前記カバーは延伸フルオロポリマーメンブレン及びその上にフルオロポリマーの不連続コーティングを含む複合材料を含む、ステントグラフトを提供することである。複合材料は直径約7mmに拡張されたときに、剛性の増加を示す。さらに、複合材料はステントの内側表面及び外側表面の少なくとも一方を少なくとも部分的にカバーしている。フルオロポリマーはステントに実質的に接着していないことが理解されるべきである。フルオロポリマーはフッ素化エチレンプロピレンである。延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンは実質的にセルペンチンフィブリルのみのミクロ構造を含むことができる。少なくとも1つの例示の実施形態において、延伸フルオロポリマーメンブレンは複数のセルペンチンフィブリルを含むことができる。
【0019】
本発明のなおも別の目的は、(1)ステントの内側表面上に第一のチューブ状部材を配置すること、(2)ステントの外側表面上に第二のチューブ状部材を配置すること、ここで、各チューブ状部材は延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレン及びその上にフルオロポリマーの不連続コーティングを有する複合材料を含み、該延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンはセルペンチンフィブリルを含む、及び(3)ステントの上に第一のチューブ状部材及び第二のチューブ状部材を有するステントを加熱し、第一のチューブ状部材の上のフルオロポリマーを第二のチューブ状部材に、ステントの間隙をとおして付着させ、そしてカバー付きステントを形成することを含む、カバー付きステントの形成方法を提供することである。フルオロポリマーは第一のチューブ状部材の外側表面上及び第二のチューブ状部材の内側表面上に配置される。セルペンチンフィブリルは幅が約1.0ミクロン以下である。少なくとも1つの実施形態において、フルオロポリマーはフッ素化エチレンプロピレンである。
【0020】
本発明のさらなる目的は、(1)延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレン及びその上にフルオロポリマーの不連続コーティングを含む複合材料を有するチューブを形成すること、ここで、該フルオロポリマーはチューブの外側表面上に配置されている、(2)チューブを断面で切断し、第一のチューブ状部材及び第二のチューブ状部材を形成すること、(3)第二のチューブ状部材の内側表面上にフルオロポリマーが位置するように第二のチューブ状部材を裏返すこと、(4)第一のチューブ状部材をステント内部に配置すること、(5)第二のチューブ状部材をステントの外側表面上に配置すること、及び、(6)第一のチューブ状部材及び第二のチューブ状部材を上に有するステントを加熱して、第一のチューブ状部材上のフルオロポリマーを、ステントの間隙をとおして第二のチューブ状部材に付着させ、カバー付きステントを形成させることを含む、カバー付きステントの形成方法を提供することである。1つの例示の実施形態において、延伸フルオロポリマーメンブレンはセルペンチンフィブリルを含む。セルペンチンフィブリルは幅が約1.0ミクロン以下である。
【0021】
本発明の上記及び他の目的、特徴及び利点は以下の詳細な説明を考慮して、以後にさらに完全に現れるであろう。しかしながら、図面は例示の目的であり、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきでないことは明らかに理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図面の簡単な説明
本発明の利点は、特に添付の図面と組み合わせて見るときに、本発明の以下の詳細な開示を考慮して明らかであろう。
【
図1】
図1は例示の理想化されたセルペンチンフィブリルの模式図である。
【
図2】
図2はFEPの不連続コーティングを含む、収縮されたメンブレンの走査型電子顕微鏡写真(SEM)であり、200×で取ったものである。
【
図3】
図3はステントカバーの表面の走査型電子顕微鏡写真であり、10,000×で取ったものである。
【
図4】
図4は本発明の例示のステントグラフトの圧力vs直径曲線のグラフを示し、ここで、接線の交差は複合材料の停止ポイントを描いている。
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明の詳細な説明
特に断らないかぎり、本明細書中に使用されるすべての技術及び科学用語は発明の属する技術分野における当業者に一般に理解されているのと同一の意味を有する。図面において、線、層及び領域の厚さは明確化のために誇張されていることがある。図面全体で見られる同様の数値は同様の要素を表す。
【0024】
本発明は、フルオロポリマーメンブレンの強度特性を実質的に保持しながら、高い伸長性を示すフルオロポリマーメンブレンに関する。このようなメンブレンは
図1に例示される理想化されたセルペンチンフィブリルなどのセルペンチンフィブリルを特徴的に有する。
図1に概して示されるとおり、セルペンチンフィブリルは、一般に、矢印10の方向の1つの方向に、その後、一般に、矢印20の方向の別の方向に曲がり又はひねる。
図1に例示されるようなセルペンチン状フィブリルの大きさ、頻度又は周期性は様々であることができることが理解されるべきである。1つの実施形態において、フルオロポリマーメンブレンは延伸フルオロポリマーメンブレンである。延伸フルオロポリマーの非限定的な例としては、限定するわけではないが、延伸PTFE、延伸変性PTFE及び延伸PTFEコポリマーが挙げられる。延伸PTFEブレンド、延伸変性PTFE及び延伸PTFEコポリマーに関する特許は出願されており、例えば、Brancaの米国特許第5,708,044号、Baillieの米国特許第6,541,589号、Sabolらの米国特許第7,531,611号、Fordの米国特許出願第11/906,877号及びXuらの米国特許出願第12/410,050号である。
【0025】
高伸長性は比較的にまっすぐなフィブリルをセルペンチンフィブリルへと成形することにより可能となり、セルペンチンフィブリルは圧縮方向と反対方向に力を負荷したときに実質的にまっすぐになる。セルペンチンフィブリルの形成は、延伸ポリテトラフルオロエチレンを熱誘発制御収縮させること、又は、物品を溶媒で湿潤させること(次いで乾燥)、又は、これらの2つの技術の組み合わせにより達成されうる。溶媒は、限定するわけではないが、イソプロピルアルコール又はFluorinert(登録商標)(3M, Inc., St. Paul, MNから市販の過フッ素化溶媒)であることができる。一般に、拘束されていない物品では、温度が高いほど、そして滞留時間が長いほど、最大収縮ポイントまでの収縮度が高い。さらに、収縮速度は収縮温度を増加させることにより増加されうる。メンブレンの収縮は機械圧縮の間に起こるものとは異なり、ePTFEの視認可能なプリーティング、折り曲げ又はリンクリングとはならない。既知の方法とは異なり、収縮は、また、非常に薄いメンブレンに対しても課すことができる。収縮プロセスの間に、フィブリルは形状が蛇行状となり、ある場合には、幅が増加することもある。
【0026】
前駆体材料は二軸延伸ePTFEメンブレンであることができる。1つの実施形態において、Bacinoらの米国特許第7,306,729号明細書の一般的教示にしたがって製造されるような材料は、特に、小さい孔サイズの物品が所望される場合に、適切な前駆体メンブレンである。これらのメンブレンは実質的にフィブリルのみのミクロ構造を有することができる。前駆体メンブレンは非晶的にロックされていても、いなくてもよい。さらに、前駆体メンブレンは少なくとも部分的に充填され、コーティングされ、浸透され、又は、さらなる材料と組み合わされていてよい。例えば、前駆体メンブレンは、例えば、フッ素化エチレンプロピレンなどのフルオロポリマーを含み、又は、該フルオロポリマーにより少なくとも部分的にコーティングされ又は浸透されることができる。
【0027】
前駆体メンブレンは最終物品の所望量の伸長性を規定するために、収縮プロセスの間に1つ以上の方向で拘束されうる。伸長性の量は収縮の量に直接的に関係し又はそれにより決定される。本発明において、収縮の量は初期の未収縮長さの約90%未満、75%未満、50%未満又は25%未満であることができる。収縮方向での得られる伸長性の量は少なくとも約60%、80%、100%、200%、300%、400%、500%、600%又はさらに大きいことができ、その任意かつすべての百分率の間の数値を含む。
【0028】
収縮温度範囲としては前駆体メンブレンの収縮をもたらす温度が挙げられる。いくつかの例では、収縮温度は前駆体メンブレンの非晶的ロッキング温度を超えることができる。
【0029】
1つの実施形態において、収縮は、熱もしくは溶媒又はその両方を課す前又はその間に、前駆体メンブレンの幅より小さい距離にレールを配置することにより、一軸テンターフレームにおいて収縮が達成されうる。二軸テンターフレームを使用するときには、一方又は両方のグリップ、ピン又は他の適切な取り付け手段のセットを前駆体メンブレンの寸法よりも小さい距離で同様に配置することができる。これらの収縮手段は上記のHouse及びSowinski特許により教示されている機械的圧縮とは異なることが理解されるべきである。
【0030】
別の実施形態において、物品は手で持っている間に収縮されうる。チューブ状物品は収縮の前にそれをマンドレル上にフィッティングさせることにより収縮されうる。さらに別の実施形態において、メンブレンを炉内に配置し、非拘束で収縮させることができる。視認可能な折れ曲がり、プリーツ又は皺の形成をもたらさない任意の適切な物品収縮手段を用いることができることが理解されるべきである。
【0031】
得られた、収縮された物品は、驚くべきことに、フルオロポリマーメンブレンの強度特性を実質的に保持しながら、高い伸長性を示す。収縮時に、延伸フルオロポリマーメンブレンはセルペンチンフィブリルを有する。これらの収縮されたメンブレンはセルペンチンフィブリルを特徴的に有しそして皺を有しない。いくつかの例示の実施形態において、収縮されたメンブレンは実質的にセルペンチンフィブリルのみのミクロ構造を有することができる。特定の場合には、拡大してセルペンチンフィブリルを観察するために、収縮されたメンブレンを部分的に延ばすことが必要なことがある。少なくとも1つの実施形態において、フルオロポリマーメンブレンは複数のセルペンチンフィブリルを含む。本明細書中に使用されるときに、用語「複数のセルペンチンフィブリル」は下記に教示する視界内のフルオロポリマーメンブレンに2つ以上、5つ以上、10以上又は15以上のセルペンチンフィブリルが存在することを意味することが意図される。セルペンチンフィブリルは幅が約1.0ミクロン以下であり、いくつかの実施形態において、約0.5ミクロン以下である。1つの実施形態において、セルペンチンフィブリルは幅が約0.1〜約1.0ミクロンであり、又は、約0.1〜約0.5ミクロンである。
【0032】
本発明の別の実施形態において、上記の前駆体メンブレンは収縮の前、その間、その後にエラストマー材料を浸透させることができる。このようなエラストマー材料の非存在下に、セルペンチンフィブリルを有するフルオロポリマー物品は伸長後に評価可能な回復を示さない。適切なエラストマー材料としては、限定するわけではないが、PMVE−TFE(ペルフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン)コポリマー、PAVE−TFE(ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)-テトラフルオロエチレン)コポリマー、シリコーン、ポリウレタンなどが挙げられる。PMVE−TFE及びPAVE−TFEはフルオロエラストマーであることは注目されるべきである。他のフルオロエラストマーは適切なエラストマー材料である。得られた、収縮された物品は、フルオロポリマーメンブレンの強度特性を実質的に保持しながら高い伸長性を示すだけでなく、低い%非回復性歪みエネルギー密度という追加の特性を有する。これらの物品は約85%未満、約80%未満、約70%未満、約60%未満及びそれ以下の%非回復性歪みエネルギー密度を示すことができ、その値は任意かつすべての百分率の間の数値を含む。
【0033】
本発明の別の実施形態において、前駆体メンブレンは少なくとも1種の他の材料で少なくとも部分的に又は完全に浸透され又はコーティングされ、あるいは、さもなければ組み合わされ、該他の材料としては、限定するわけではないが、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、他のフルオロポリマー、ポリマー、コポリマー又はターポリマー、エチレンフッ素化エチレンプロピレン(EFEP)、THV(テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン及びフッ化ビニリデンのターポリマー)、PFA(パーフルオロアルコキシコポリマー樹脂)、ECTFE(エチレンクロロトリフルオロエチレン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)及びPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)が挙げられる。フルオロポリマーメンブレンは収縮の前、その間又はその後に、この他の材料で浸透され又はコーティングされてよい。フルオロポリマー(又は他の材料)は、また、又は、代わりに、フルオロポリマーメンブレンの孔の少なくとも一部分又はすべての中に配置されうる。
【0034】
本発明のさらなる実施形態は本発明の複合材料(すなわち、フルオロポリマーの不連続コーティングを上に有する延伸フルオロポリマーメンブレン)の有利な特性を利用する。本発明の複合材料は伸長性を示すだけでなく、高い、場合により所定の、伸び率に到達した後に、剛性の劇的な増加をも示す。結果として、複合材料は剛性の劇的な増加によってさらなる伸びが抑制されるポイントまで伸長されうる。すなわち、複合材料はさらなる拡張、伸長又はその両方が圧力又は力の有意な増加との組み合わせでのみ起こる停止ポイントを有する。さらに、複合材料は実質的に皺を有しない。
【0035】
1つの特定の場合に、本発明の複合材料は第一の直径に膨張させるのに少ししか圧力を要しないが、ある直径に到達した後に、さらなる膨張に対して非常に抵抗性がある、カバー付きステントデバイスを形成するために使用することができる。結果として、特定の直径に到達するまで比較的に低い力で放射方向にデバイスを膨張することができる。この直径は本発明の複合材料の関数である。別の言い方をすれば、停止ポイントに到達する前にカバー付きステントデバイスの直径の直径方向の増加は本発明の材料の伸び率vs力曲線での屈曲点の関数であり、それは、同様に、前駆体メンブレンの収縮の度合いの関数である。複合材料の利点は、カバー付きステントデバイスの直径の大きな増加が停止ポイントに達する前に到達されうることである。例示のカバー付きステントにおける複合材料の停止ポイントは少なくとも約7mm、少なくとも約8mm、少なくとも約9mm、少なくとも約10mm、又はさらに大きい直径で起こることができる。停止ポイントの1つの重要性はステントグラフト自体が動脈瘤とならないことである。
【0036】
複合材料をステントのカバーとして使用するときに、複合材料はカバー付きステントデバイスの直径に関係なく、リンクルフリーで折れ曲がりフリーのままになる。本発明の目的で、全デバイスは、裸眼で見たときに、デバイスの1cm長さ範囲内でグラフト部分が皺及び折り曲がりを含まないならば「リンクルフリー」と考えられる。デバイスの1cm長さは、デバイスの全長さが1cm未満でなければ、使用されるべきであることに注意すべきである。1cm未満の場合には、デバイスが「リンクルフリー」であるかどうかを決定するために全デバイスを使用すべきである。「リンクルフリー」を保持することができるカバーの能力は圧縮の間に材料があまり陥入しないか又は陥入しないことであり、次いで、得られたカバー付きステントデバイスがより小さいプロファイル(例えば、少なくとも約1Frのデリバリープロファイルの減少)有することができる。カバーに折れ曲がりがないことで、デバイスの完全な閉塞を最終的にもたらすことがある血栓蓄積の可能性を低減し又は無くす。また、複合材料はフルオロポリマーメンブレンの強度特性を実質的に保持しながら、剛性の増加に対応する長さ伸長に達するまで高い伸び率を示す。複合材料中のセルペンチンフィブリルを実質的にまっすぐな配向まで伸長すると、驚くべきことに、フルオロポリマーメンブレンの強度特性を保持する。複合材料は、カバーを小さいステント直径でステントに取り付けることを可能にし、そして、ステントグラフトが拡張したときに、カバーは折り曲げを発生しない。さらに、複合材料はステントグラフトの過膨張を抑制するとともに、実質的により高い力を加えたときには過膨張が可能となる。さらに、カバー付きステントは過膨張の前の拡張プロセスの間に最小限のフォーショートニングを示す。
【0037】
カバーの破壊強さはステントをカバーする複合材料の少数の層又は多数の層を用いることにより変更可能であることが理解されるべきである。別には、又は、加えて、より弱い又はより強いフルオロポリマーメンブレンを使用して、同一又は実質的に同一の効果を達成することができる。
【0038】
ステントのためのカバーとして複合材料を使用するときに、延伸フルオロポリマーメンブレン上のフルオロポリマーコーティングは実質的にステントに付着していないことも理解されるべきである。本明細書中に使用されるときに、用語「実質的に付着していない」はフルオロポリマーがステントに付着していない、又は、ステントに最小限でしか付着していないことを意味する。むしろ、フルオロポリマーは、2つの複合材料を付着させてカバーを形成するための接着剤として使用される。例えば、フルオロポリマーが被覆されている外側表面を有する第一のチューブ及びフルオロポリマー内側表面を有する第二のチューブは、それぞれ、ステントの内側表面及び外側表面に配置され、それにより、第一のチューブ上のフルオロポリマーは第二のチューブ上のフルオロポリマー(すなわち、反対表面)にステントの間隙を通して付着し、それにより、カバー付きステントデバイスを形成する。本発明において、カバーを形成する複合材料はステントに強固に付着していないことが重要である。もし複合材料が強固に付着していたとしたら、カバーはカバー付きステントデバイスの拡張時に引き裂けてしまうであろう。すなわち、取り付けの第一の手段はステントの間隙を通した複合材カバーのフルオロポリマー(例えば、FEP)部分を結合することにより達成される。
【0039】
本発明の物品は種々の形態を取ることができ、その形態としては、限定するわけではないが、シート、チューブ、カバー及びラミネートが挙げられる。
【実施例】
【0040】
本発明を総体的に記載してきたが、さらなる理解は下記に示される特定の具体的な実施例を参照することにより得ることができ、これらの実施例は例示の目的のみで提供され、そして別段の指示がないかぎり、包括的又は限定的であることが意図されない。
【0041】
試験方法
特定の方法及び装置を下記に記載しているが、当業者により適切であると決定される、あらゆる方法又は装置を代わりに用いてよいことが理解されるべきである。
【0042】
厚さ
メンブレンサンプルをダイカットし、約2.54cm×約15.24cmの長方形セクションを形成し、厚さを(Kafer Fz1000/30スナップゲージを用いて)測定した。3つの測定値の平均を報告した。
【0043】
走査型電子顕微鏡
走査型電子顕微鏡写真はフィブリルを特定するのに適切な倍率を選択して形成した。本発明の教示により収縮された物品はセルペンチンフィブリルを特定するために収縮の方向に伸長を要求することがある。セルペンチンフィブリルの数を特定する目的で、サンプルの7ミクロン×7ミクロンの視野を用いることにする。
【0044】
さらに、フィブリルの幅を特徴化する目的で、互いに実質的に分離されそして一緒に団結しておらず、又は、さもなければ、メンブレン内で互いに平行な一連のフィブリルを形成しているセルペンチンフィブリルに対して測定を行うべきである。フィブリル幅を決定するために、SEM画像に線を描き、それを二分する。SEM画像はSEM画像内に少なくとも5つで、20以下のセルペンチンフィブリルを明確に見ることができるのに十分な拡大とすべきである。二分された画像の1つの縁から始めて、二分線を交差している最初の5つの連続のセルペンチンフィブリルの幅を測定する。測定はフィブリルが二分線と交差するところで行う。次に、5つの測定値を平均し、そして平均値を記録する。
【0045】
放射方向伸び試験
次の試験方法は8mmのカバー付きステントに関する試験方法を説明する。
パッケージされた状態(すなわち、収縮した状態)の8mmバルーン上にデリバリー直径に潰されたカバー付きステントをバルーンカテーテルの端部に配置した。カバー付きステントをレーザマイクロメータ(例えば、DataMike Model 700, TechMet Co., Dayton, OH)の測定ゾーン内に配置した。
【0046】
バルーンインフレータ(例えば、COMPAK balloon inflator, Merit Medical, South Jordan, UT)を入手した。バルーンインフレータに水を充填し、バルーンカテーテルのルアーフィッティングに取り付けた。
【0047】
ダイアル上に示される圧力の変化を観測しながら、インフレータ上のハンドルをゆっくりと回転させた。その後、バルーンを2気圧の圧力に膨張させた。ステントは容易に拡張を続け、圧力の低下をもたらした。2気圧の圧力を維持するまで、膨張を続けた。その後、ステントを1気圧間隔で膨張させ、圧力が平衡化したら、その圧力での直径を記録した。バルーンの定格破裂圧力より1気圧低い14気圧に達するまで膨張を継続した。
【0048】
異なるサイズのカバー付きステントについて、同様の手順に従うべきである。他のカバー付きステントのサイズでは、適切なサイズのバルーンを選択する。バルーンの定格破裂圧力より1気圧低い圧力に達するまで膨張を続ける。
【0049】
本発明の複合材料及びカバー付きステントに関する圧力−直径曲線は、本明細書中で停止ポイントと呼ばれている直径に達したときに傾きの変化のために、屈曲点を示す。
図4は本発明に係る例示のステントグラフトの圧力vs直径曲線のグラフ表示であり、ここで、接線の交差はステントグラフトの停止ポイントを示している。接線の交差は参照番号70により示されている。停止ポイントの評価値は以下の方法により決定されうる。停止ポイントに達する前の圧力−直径曲線の傾きは
図4において線50として示されるとおりの曲線に接する直線を描くことにより概算されうる。停止ポイントを超えた圧力−直径曲線の傾きは
図4において線60として示されるとおりの曲線に接する直線を描くことにより概算されうる。2つの接線の交差に対応する直径は複合材料についての停止ポイントの評価値となる。
【0050】
例
例1
不連続FEPを含む延伸フルオロポリマーメンブレン
米国特許第6,541,589号明細書に記載されそして教示されているPTFEポリマーの微細粉末をIsopar K (Exxon Mobil Corp., Fairfax, VA)と0.209g/g微細粉末の割合でブレンドした。潤滑化された粉末をシリンダー中で圧縮し、約49℃に設定した炉内に約12時間入れて2つのペレットを形成した。圧縮しそして加熱したペレットをラム押出し、約16.2cm幅×0.70mm厚さのテープを製造した。2つの押出成形したテープを圧縮ロールの間で層状にしそしてロールダウンして0.381mmの厚さとした。カレンダー加工したテープを、その後、横断方向に延伸して32cmとし(すなわち、2.0:1)、そして約230℃の温度で乾燥した。Dupont De Numerous, Inc., (Wilmington, DE)から入手可能な、約12.5μm厚さ×約28cm幅のFEPフィルムを得た。カレンダー加工したPTFEテープ及びFEPフィルムを、約300℃の温度に設定した加熱プレート上のロールのバンク間で互いに接触しながら、2つの材料を延伸することからなる長手方向延伸プロセスの間にラミネートした。ロールの第二のバンク/ロールの第一のバンクの速度比は10:1であった。得られた長手方向延伸メンブレンの幅は約14cmであった。長手方向に延伸したメンブレン(片面にFEPフィルムをラミネートした)を、その後、約280℃の温度で横断方向に約30:1の比に延伸し、その後、収縮から拘束し、360℃に設定された炉内で約10秒間加熱した。得られた延伸フルオロポリマーメンブレンはその1つの表面上に不連続に配置されたFEPの領域を有した。
【0051】
この延伸された不連続にコーティングされたフルオロポリマーメンブレンを以下のようにして熱的に収縮させた。長さ方向がメンブレンの最も強い方向に対応する前駆体メンブレンのロールを、加熱された一軸テンターフレームのクランプで拘束し、テンターフレームの加熱チャンバーにフィードした。炉温度を約270℃に設定した。加熱チャンバー内のテンターフレームのレールは内側に傾斜しており、熱に応答して、その初期幅の約24.6%までメンブレンを収縮させた。メンブレンは約20秒間にわたって収縮した。
【0052】
収縮したメンブレンの走査型電子顕微鏡写真を
図2に提供し、ここで、拡大は×200であった。表面上に不連続に配置されている、参照番号40により示されるFEPの領域の存在を記録する。
【0053】
例2
例1の収縮されたメンブレンを用いてカバー付きステントデバイスを形成した。8mm直径×6mm長さのステンレススチールステント(Cordis Palmaz-Schatz Transhepatic Biliary stent, Cat. No. PS5608A, Lot No. R0599853, Cordis Corp., Bridgewater, NJ)を入手した。例1の収縮されたメンブレンを用いてステントを下記のとおりにカバーした。メンブレンの150mm幅サンプルからチューブを形成した。4mm直径、150mm長さのステンレススチールマンドレル入手した。メンブレンの収縮方向をマンドレルの円周軸に沿って配向させるようにして、150mm幅のメンブレン12層をマンドレルの周囲に巻いた。メンブレンのFEP側を外側に向けた。約320℃に設定したハンダごてを用いて、フィルムの自由端をスポットタックした。続いて行う加熱の間の長手方向の収縮を回避するためにチューブの各末端にePTFEの1.3cm幅スリットを巻いた。その後、このアセンブリを340℃に設定した炉内に約20分間入れ、それにより、チューブを形成した。チューブを冷却させ、そしてマンドレルから取り外した。チューブを2つの75mm長さのものに切断した。1つの長さのものを裏返して、チューブの内側表面にFEPが位置するようにした。
【0054】
外側表面上に配置されたFEPを含むチューブを4mmステンレススチールマンドレル上に配置した。8mmのステントを3mmまで部分的に膨張させた(市販のステントが取り付けられたバルーンを用いて)。ステントをバルーンから取り外し、そして先細りの4.5mmステンレススチールマンドレル上を滑らせ、その直径を増加させた。ステントを4.5mmマンドレルから取り外し、4mmステンレススチールマンドレル上に滑らせた。その後、裏返されたチューブをステントの上に配置した。5mm内径の0.75mm厚さの押出成形された延伸犠牲ePTFEチューブをチューブ/ステントアセンブリ上に配置した。アイリス型放射方向押し潰しデバイス(Blockwise Engineering LLC, Tempe, AZ)を用いて、ステント開口部をとおして外側チューブを内側チューブと接触させ、それにより、両方のチューブ上のFEPを接触させた。
【0055】
チューブをなおも接触させて、ePTFEフィルムを外側犠牲チューブの外側の周囲に巻いた。その後、全アセンブリを320℃に設定した炉内に約15分間入れた。アセンブリを炉から取り出し、冷却し、こうして形成したカバー付きステントをマンドレル及び犠牲層から取り外した。ステント端部の過剰チューブ材料をトリミングした。ステントが提供されていた、収縮した8mmバルーン上にカバー付きステントを押し潰した。
【0056】
約4mmに膨張したカバーの走査型電子顕微鏡写真を拡大倍率10,000×で
図3に提供する。
【0057】
バルーンインフレータ(COMPAK balloon inflator, Merit Medical, South Jordan,UT))を入手し、そしてそれを利用して、
図4に示すとおりの圧力−直径曲線を上記の方法を用いて形成した。
図4はカバーが不連続FEPを含む収縮されたメンブレンから形成されているカバー付きステントに対応する圧力−直径曲線である。
図4に示すように、曲線の傾きが実質的に減少し、剛性の増加を示す直径に達するまで、収縮メンブレンを低圧で延伸することができる。ステントカバーは試験全体にわたってリンクルフリーのままであった。約3気圧で、ステントは拡張を開始した。約9気圧に達したら、ステントはカバーの存在のためにさらなる拡張に対して抵抗した。カバー付きステントは拡張プロセスの間に最小限のフォーショートニングを示し、そして複合材料は約7mmの直径で停止ポイントを示した。
【0058】
本出願の発明は上記において、総括的に、そして、特定の実施形態に関して記載されてきた。本発明は、下記に示した特許請求の範囲の事柄以外は別の方法で限定されない。
本発明の実施態様の一部を以下の項目[1]−[53]に記載する。
[1]
延伸フルオロポリマーメンブレンを含み、その上にフルオロポリマーの不連続コーティングを有する物品であって、
前記延伸フルオロポリマーメンブレンはセルペンチンフィブリルを含み、該セルペンチンフィブリルの各々は約1.0ミクロン以下の幅を有する、物品。
[2]
前記延伸フルオロポリマーメンブレンは孔を含み、前記フルオロポリマーは少なくとも部分的に複数の前記孔に侵入している、項目1記載の物品。
[3]
前記フルオロポリマーはフッ素化エチレンプロピレンである、項目1記載の物品。
[4]
前記延伸フルオロポリマーメンブレンは延伸ポリテトラフルオロエチレンである、項目1記載の物品。
[5]
前記延伸フルオロポリマーメンブレンは実質的にセルペンチンフィブリルのみのミクロ構造を含む、項目1記載の物品。
[6]
前記延伸フルオロポリマーメンブレンは複数のセルペンチンフィブリルを含む、項目1記載の物品。
[7]
前記延伸フルオロポリマーメンブレンは初期の延伸フルオロポリマーメンブレン長さの約90%未満に少なくとも1つの方向で熱収縮されている、項目1記載の物品。
[8]
前記延伸フルオロポリマーメンブレンは少なくとも1つの方向に熱収縮されている、項目7記載の物品。
[9]
前記延伸フルオロポリマーメンブレンは前記熱収縮の間に少なくとも1つの方向で拘束されている、項目8記載の物品。
[10]
前記延伸フルオロポリマーメンブレン中に少なくとも部分的に取り込まれた少なくとも1種のエラストマーをさらに含む、項目1記載の物品。
[11]
前記セルペンチンフィブリルの前記幅は0.5ミクロン以下である、項目1記載の物品。
[12]
少なくとも1つの開口部、内側表面及び外側表面を画定しているリンクルフリーのチューブ状部材を含む内部人工器官デバイスであって、
前記チューブ状部材は、セルペンチンフィブリルを有する延伸フルオロポリマーメンブレンを含み、その上にフルオロポリマーの不連続コーティングを有する複合材料を含む、内部人工器官デバイス。
[13]
前記セルペンチンフィブリルの各々は幅が約1.0ミクロン以下である、項目12記載の内部人工器官デバイス。
[14]
前記セルペンチンフィブリルの各々は幅が約0.5ミクロン以下である、項目13記載の内部人工器官デバイス。
[15]
前記延伸フルオロポリマーメンブレンは孔を含み、前記フルオロポリマーは複数の前記孔に少なくとも部分的に侵入している、項目12記載の内部人工器官デバイス。
[16]
前記延伸フルオロポリマーメンブレンは延伸ポリテトラフルオロエチレンを含む、項目12記載の内部人工器官デバイス。
[17]
前記チューブ状部材はステントのためのカバーである、項目12記載の内部人工器官デバイス。
[18]
前記外側表面上の前記フルオロポリマーは前記内側表面上の前記フルオロポリマーに前記ステントの間隙を通して結合して前記カバーを前記ステントに固定している、項目17記載の内部人工器官デバイス。
[19]
前記フルオロポリマーは、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、エチレンフッ素化エチレンプロピレン(EFEP)、THV(テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン及びフッ化ビニリデンのターポリマー)、PFA(パーフルオロアルコキシコポリマー樹脂)、ECTFE(エチレンクロロトリフルオロエチレン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)及びPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)からなる群より選ばれるものを含む、項目12記載の内部人工器官デバイス。
[20]
前記フルオロポリマーはフッ素化エチレンプロピレンである、項目12記載の内部人工器官デバイス。
[21]
前記延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレンは実質的にセルペンチンフィブリルのみのミクロ構造を含む、項目12記載の内部人工器官デバイス。
[22]
前記延伸フルオロポリマーメンブレンは複数のセルペンチンフィブリルを含む、項目12記載の内部人工器官デバイス。
[23]
前記複合材料はある直径まで放射方向に拡張し、該直径を超えると、さらなる拡張が抑制される、項目12記載の内部人工器官デバイス。
[24]
前記延伸フルオロポリマーメンブレン中に少なくとも部分的に取り込まれた少なくとも1種のエラストマーをさらに含む、項目12記載の内部人工器官デバイス。
[25]
前記延伸フルオロポリマーメンブレンは初期の延伸フルオロポリマーメンブレン長さの約90%未満に少なくとも1つの方向で熱収縮されている、項目12記載の内部人工器官デバイス。
[26]
前記延伸フルオロポリマーメンブレンは前記熱収縮の間に少なくとも1つの方向で拘束されている、項目25記載の内部人工器官デバイス。
[27]
前記複合材料は約7mmの直径に拡張されたときに剛性の増加を示す、項目12記載の内部人工器官デバイス。
[28]
少なくとも1つの開口部、外側表面及び内側表面を有する壁を有するステント、及び、
前記ステントに付着しているリンクルフリーのカバー、
を含むステントグラフトであって、
前記カバーはセルペンチンフィブリルを有する延伸フルオロポリマーメンブレン及びその上にフルオロポリマーの不連続コーティングを含む複合材料を含み、
前記複合材料は前記ステントの内側表面及び外側表面のうちの少なくとも一方を少なくとも部分的にカバーしている、ステントグラフト。
[29]
前記セルペンチンフィブリルの各々は幅が約1.0ミクロン以下である、項目28記載のステントグラフト。
[30]
前記セルペンチンフィブリルは幅が0.5ミクロン以下である、項目29記載のステントグラフト。
[31]
前記延伸フルオロポリマーメンブレンは孔を含み、前記フルオロポリマーは複数の前記孔に少なくとも部分的に侵入している、項目28記載のステントグラフト。
[32]
前記ステントは第一の圧力で第一の直径に拡張し、第二の圧力で第二の直径に拡張し、前記第二の圧力は前記第一の圧力よりも大きい、項目28記載のステントグラフト。
[33]
前記外側表面上の前記フルオロポリマーは前記内側表面上の前記フルオロポリマーに前記ステントの間隙を通して結合して前記カバーを前記ステントに固定している、項目28記載のステントグラフト。
[34]
前記フルオロポリマーはフッ素化エチレンプロピレンである、項目28記載のステントグラフト。
[35]
前記延伸フルオロポリマーは延伸ポリテトラフルオロエチレンである、項目28記載のステントグラフト。
[36]
前記延伸フルオロポリマーメンブレンは実質的にセルペンチンフィブリルのみのミクロ構造を含む、項目28記載のステントグラフト。
[37]
前記延伸フルオロポリマーメンブレンは複数のセルペンチンフィブリルを含む、項目28記載のステントグラフト。
[38]
前記複合材料はある直径まで放射方向に拡張し、該直径を超えると、さらなる拡張が抑制される、項目28記載のステントグラフト。
[39]
前記複合材料は約7mmの直径に拡張されたときに剛性の増加を示す、項目28記載のステントグラフト。
[40]
前記複合材料は皺を含まない、項目28記載のステントグラフト。
[41]
ステントの内側表面上に第一のチューブ状部材を配置すること、
前記ステントの外側表面上に第二のチューブ状部材を配置すること、ここで、各チューブ状部材はセルペンチンフィブリルを有する延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレン及びその上にフルオロポリマーの不連続コーティングを含む複合材料を含み、前記フルオロポリマーは前記第一のチューブ状部材の外側表面上に配置されており、かつ、前記第二のチューブ状部材の内側表面上に配置されている、及び、
前記ステントの上に前記第一のチューブ状部材及び前記第二のチューブ状部材を有するステントを加熱し、前記第一のチューブ状部材の上の前記フルオロポリマーを前記第二のチューブ状部材に、前記ステントの間隙をとおして付着させ、そしてカバー付きステントを形成することを含む、
カバー付きステントの形成方法。
[42]
前記フルオロポリマーはフッ素化エチレンプロピレンである、項目41記載の方法。
[43]
前記延伸フルオロポリマーメンブレンは実質的にセルペンチンフィブリルのみのミクロ構造を含む、項目41記載の方法。
[44]
前記延伸フルオロポリマーメンブレンは複数のセルペンチンフィブリルを含む、項目41記載の方法。
[45]
前記複合材料はある直径まで放射方向に拡張し、該直径を超えると、さらなる拡張が抑制される、項目41記載の方法。
[46]
前記第一のチューブ状部材及び第二のチューブ状部材はリンクルフリーである、項目41記載の方法。
[47]
前記延伸フルオロポリマーメンブレンは孔を含み、前記フルオロポリマーは複数の前記孔に少なくとも部分的に侵入している、項目41記載の方法。
[48]
前記複合材料は約7mmの直径に拡張されたときに剛性の増加を示す、項目41記載の方法。
[49]
前記セルペンチンフィブリルの各々は幅が約1.0ミクロン以下である、項目41記載の方法。
[50]
前記セルペンチンフィブリルの各々は幅が約0.5ミクロン以下である、項目51記載の方法。
[51]
延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレン及びその上にフルオロポリマーの不連続コーティングを含む複合材料を含むチューブを形成すること、ここで、前記フルオロポリマーは前記チューブの外側表面上に配置されている、
前記チューブを断面で切断し、第一のチューブ状部材及び第二のチューブ状部材を形成すること、
前記第二のチューブ状部材の内側表面上に前記フルオロポリマーが位置するように前記第二のチューブ状部材を裏返すこと、
前記第一のチューブ状部材をステント内部に配置すること、
前記第二のチューブ状部材を前記ステントの外側表面上に配置すること、及び、
カバー付きステントを加熱して、前記第一のチューブ状部材上の前記フルオロポリマーを、前記ステントの間隙をとおして前記第二のチューブ状部材に付着させ、カバー付きステントを形成することを含む、
カバー付きステントの形成方法。
[52]
前記延伸フルオロポリマーメンブレンはセルペンチンフィブリルのミクロ構造を含む、項目51記載の方法。
[53]
前記セルペンチンフィブリルの各々は幅が約1.0ミクロン以下である、項目52記載の方法。