特許第5997303号(P5997303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5997303
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】ポビドンヨードを含む眼用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 33/18 20060101AFI20160915BHJP
   A61K 31/56 20060101ALI20160915BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20160915BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20160915BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20160915BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20160915BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20160915BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20160915BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20160915BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20160915BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20160915BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20160915BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20160915BHJP
   A61K 47/34 20060101ALI20160915BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20160915BHJP
   A61K 47/40 20060101ALI20160915BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20160915BHJP
   A61P 27/14 20060101ALI20160915BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20160915BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20160915BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20160915BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20160915BHJP
   A61P 31/22 20060101ALI20160915BHJP
   A61P 33/04 20060101ALI20160915BHJP
【FI】
   A61K33/18
   A61K31/56
   A61K9/06
   A61K9/08
   A61K9/10
   A61K9/107
   A61K47/02
   A61K47/10
   A61K47/12
   A61K47/14
   A61K47/18
   A61K47/20
   A61K47/32
   A61K47/34
   A61K47/38
   A61K47/40
   A61P27/02
   A61P27/14
   A61P31/00
   A61P31/04
   A61P31/10
   A61P31/12
   A61P31/22
   A61P33/04
【請求項の数】38
【外国語出願】
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-21037(P2015-21037)
(22)【出願日】2015年2月5日
(62)【分割の表示】特願2013-34815(P2013-34815)の分割
【原出願日】2007年3月9日
(65)【公開番号】特開2015-110635(P2015-110635A)
(43)【公開日】2015年6月18日
【審査請求日】2015年3月3日
(31)【優先権主張番号】60/782,629
(32)【優先日】2006年3月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/848,315
(32)【優先日】2006年9月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】11/636,293
(32)【優先日】2006年12月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508276958
【氏名又は名称】シーエルエス・ファーマシューティカルス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106080
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 晶子
(72)【発明者】
【氏名】サムソン,シー・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】リャン,ボ
(72)【発明者】
【氏名】カプリオッティ,ジョセフ・エイ
【審査官】 加藤 文彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−070356(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/000317(WO,A1)
【文献】 国際公開第2005/044231(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 33/18
A61K 9/06
A61K 9/08
A61K 9/10
A61K 9/107
A61K 31/56
A61K 47/02
A61K 47/10
A61K 47/12
A61K 47/14
A61K 47/18
A61K 47/20
A61K 47/32
A61K 47/34
A61K 47/38
A61K 47/40
A61P 27/02
A61P 27/14
A61P 31/00
A61P 31/04
A61P 31/10
A61P 31/12
A61P 31/22
A61P 33/04
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼の少なくとも一つの組織の微生物感染または障害の処置および/または予防に有効な、眼への局所投与に適する眼用組成物であって、
(a)0.01重量%〜10重量%の濃度のポビドンヨード、および
(b)ステロイド
を含み、当該ステロイドは、ロテプレドノールエタボネート、またはその塩である、
眼用組成物。
【請求項2】
前記ポビドンヨードが、0.1重量%〜2.5重量%である、請求項1に記載の眼用組成物。
【請求項3】
前記ポビドンヨードが、0.5重量%〜2重量%である、請求項1に記載の眼用組成物。
【請求項4】
前記ポビドンヨードおよび前記ステロイドの全重量が、前記溶液中の0.1重量%〜4.5重量%である、請求項1に記載の眼用組成物。
【請求項5】
前記ステロイドが、0.01重量%〜10重量%の濃度である、請求項1に記載の眼用組成物。
【請求項6】
前記ステロイドが、0.05重量%〜2重量%の濃度である、請求項1に記載の眼用組成物。
【請求項7】
前記組成物が、痛みを軽減する局所麻酔薬を更に含む、請求項1に記載の眼用組成物。
【請求項8】
前記局所麻酔薬が、プロパラカイン、リドカイン、テトラカインおよびそれらの組合せから成る群より選択される、請求項に記載の眼用組成物。
【請求項9】
前記組成物が、眼の前記組織中へのポビドンヨードの浸透を促進する浸透促進剤を更に含む、請求項1に記載の眼用組成物。
【請求項10】
前記浸透促進剤が、局所麻酔薬である、請求項に記載の眼用組成物。
【請求項11】
前記組成物が、抗微生物性保存剤を更に含む、請求項1に記載の眼用組成物。
【請求項12】
前記抗微生物性保存剤が、塩化ベンザルコニウム、チメロサール、クロロブタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェニルエチルアルコール、EDTA、ソルビン酸、塩化ポリドロニウムおよびそれらの組合せから成る群より選択される、請求項11に記載の眼用組成物。
【請求項13】
前記抗微生物性保存剤が、前記溶液中の0.001重量%〜1.0重量%の濃度である、請求項11に記載の眼用組成物。
【請求項14】
前記組成物が、共溶媒/界面活性剤を更に含む、請求項1に記載の眼用組成物。
【請求項15】
前記共溶媒/界面活性剤が、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、Pluronic(登録商標)F−68、Pluronic(登録商標)F−84、Pluronic(登録商標)P−103、シクロデキストリン、チロキサポールおよびそれらの組合せから成る群より選択される、請求項14に記載の眼用組成物。
【請求項16】
前記共溶媒/界面活性剤が、前記組成物中の0.01重量%〜2重量%の濃度である、請求項14に記載の眼用組成物。
【請求項17】
前記組成物が、粘度上昇剤を更に含む、請求項1に記載の眼用組成物。
【請求項18】
前記粘度上昇剤が、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびそれらの組合せから成る群より選択される、請求項17に記載の眼用組成物。
【請求項19】
前記粘度上昇剤が、前記溶液中の0.01重量%〜2重量%の濃度である、請求項17に記載の眼用組成物。
【請求項20】
前記組成物が、溶液、懸濁液、エマルジョン、軟膏、クリーム、ゲルまたは制御放出/徐放性ビヒクルの形態である、請求項1に記載の眼用組成物。
【請求項21】
前記微生物が、細菌、ウイルス、真菌およびアメーバから成る群より選択される、請求項1に記載の眼用組成物。
【請求項22】
前記細菌が、ミコバクテリアである、請求項21に記載の眼用組成物。
【請求項23】
前記眼障害が、眼の少なくとも一つの組織の微生物感染、結膜炎、角膜剥離、潰瘍性感染性角膜炎、上皮性角膜炎、間質性角膜炎およびヘルペスウイルス関連角膜炎から成る群より選択される、請求項1に記載の眼用組成物。
【請求項24】
前記予防が、角膜剥離または眼科手術後の感染の予防である、請求項1に記載の眼用組成物。
【請求項25】
0.5%〜2%(w/w)のポビドンヨード
0.05%〜2%(w/w)のステロイド;
0.005%〜0.02%(w/w)のEDTA;
0.01%〜0.5%(w/w)の塩化ナトリウム;
0.02%〜0.1%(w/w)のチロキサポール;
0.5%〜2%(w/w)の硫酸ナトリウム;および
0.1%〜0.5%(w/w)のヒドロキシエチルセルロース
を含む、請求項1に記載の眼用組成物。
【請求項26】
1.0%(w/w)のポビドンヨード
0.1%(w/w)のステロイド;
0.01%(w/w)のEDTA;
0.3%(w/w)の塩化ナトリウム塩;
0.05%(w/w)のチロキサポール;
1.2%(w/w)の硫酸ナトリウム;および
0.25%(w/w)のヒドロキシエチルセルロース
を含む、請求項1に記載の眼用組成物。
【請求項27】
前記組成物が、照明環境中において3ヶ月間後に、それのポビドンヨードの90%およびそれのステロイドの90%を保持する、請求項1に記載の眼用組成物。
【請求項28】
前記組成物が、照明環境中において1年間後に、それのポビドンヨードの90%およびそれのステロイドの90%を保持する、請求項1に記載の眼用組成物。
【請求項29】
前記組成物が、水溶液である、請求項1に記載の眼用組成物。
【請求項30】
眼の少なくとも一つの組織の眼障害または微生物感染を処置および/または予防するための請求項1〜29のいずれか1項に記載の組成物
【請求項31】
前記予防が、角膜剥離または眼科手術後の感染の予防である、請求項30に記載の組成物
【請求項32】
前記眼障害が、眼の少なくとも一つの組織の微生物感染、結膜炎、角膜剥離、潰瘍性感染性角膜炎、上皮性角膜炎、間質性角膜炎およびヘルペスウイルス関連角膜炎から成る群より選択される、請求項30に記載の組成物
【請求項33】
前記微生物が、細菌、ウイルス、真菌またはアメーバである、請求項30に記載の組成物
【請求項34】
前記細菌が、ミコバクテリアである、請求項33に記載の組成物
【請求項35】
前記ポビドンヨードおよび前記ステロイドの合計が、0.001mg/投与量〜5mg/投与量である、請求項30に記載の組成物
【請求項36】
各々の投与量が、10マイクロリットル〜200マイクロリットルである、請求項30に記載の組成物
【請求項37】
各々の投与量が、50マイクロリットル〜80マイクロリットルである、請求項30に記載の組成物
【請求項38】
当該ステロイドとポビドンヨードとを混合して当該組成物を形成した1ヶ月後に、そのステロイド濃度が、当該ステロイドの始めの濃度の少なくとも90重量%である、請求項1に記載の組成物
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願
本出願は、2006年12月7日出願の米国出願第11/636,293号、2006
年3月14日出願の米国仮出願第60/782,629号、および2006年9月29日
出願の米国仮出願第60/848,315号より優先権の恩典を主張する。本明細書中の
どこでも、引用されている特許、特許出願および参考文献は全て、本明細書中にそのまま
援用される。
【背景技術】
【0002】
感染性結膜炎は、微生物の侵入に次ぐ結膜の炎症を特徴とする眼障害である。ヒトに結
膜炎を引き起こすことができる微生物には、細菌(ミコバクテリア(Mycobacteria)種を
含めた)、ウイルス、真菌またはアメーバが含まれる。細菌性結膜炎の現行処置は、抗生
物質滴剤から成る。抗生物質滴剤は、ウイルス性結膜炎に対して無効であるので、このよ
うな感染の処置は、症状を軽減することだけから成る。真菌およびアメーバの結膜炎の処
置は、抗細菌または抗ウイルス活性を欠いているし、そして更に、眼表面に毒性である薬
剤の数少ない選択肢から成る。
【0003】
感染性結膜炎における細菌、ウイルスまたは真菌などのいろいろな原因物質の診断は、
正確な診断に、平均的な健康管理実務に容易に組み込まれない複雑な実験室培養が必要で
あるので、経済的に実行可能ではない。正確な診断は、実用的でないので、大部分の結膜
炎は、培養することなく細菌であると推定され、そして抗生物質で処置される。抗生物質
処置は、ウイルスまたは真菌の結膜炎に対して無効であるので、それは最適以下である。
【0004】
ステロイドの使用は、眼感染の設定において慎重に対処される。ステロイドは、急性感
染における炎症の重症度を減少させる利点を有することがありうるが、それらは、ある種
の感染への感受性を増加させることも知られている。
【0005】
局所用コルチコステロイドは、眼炎症を制御するのに常套的に用いられる。それらの作
用機構は、免疫応答の阻害と、一層の炎症を引き起こすかもしれないその後の組織破壊と
を伴う。コルチコステロイドは、感染と戦う生体固有の能力を制限する望ましくない副作
用を有する。事実、不適当なステロイド使用法は、ミコバクテリア、ウイルスまたは真菌
に次いで感染経過を悪化させることがありうる。したがって、眼感染における組合せの抗
微生物薬−ステロイド薬剤の使用は、これらの有意の危険度ゆえに、熟練した眼科医の慎
重な観察下でのみ勧められる。事実、最も一般的に処方されている組合せ眼用抗微生物薬
−ステロイド薬物である Tobradex(Alcon)は、その使用への絶対禁忌として、「角膜
および結膜のウイルス疾患、ミコバクテリア感染および真菌感染」を具体的に挙げている
。明らかに、これら組合せ薬物は、細菌感染を確かめることができない感染性結膜炎にも
かかわらず用いることを予定したものではなかった。
【0006】
要約すると、現在のところ、結膜炎または角膜炎の原因全てに対して広範な活性を有す
る眼用抗微生物薬は存在していないし、しかも現在のところ、潜在的にウイルスまたは真
菌由来でありうる感染性結膜炎または角膜炎に安全に用いることができる承認された抗微
生物薬/ステロイド、または抗微生物薬/非ステロイド性抗炎症薬の組合せ薬物は存在し
ていない。
【発明の要旨】
【0007】
本発明は、抗炎症性薬剤、ステロイド、または抗炎症薬およびステロイド双方の組合せ
と組合された0.01%〜10%(重量/重量または重量/容量)のポビドンヨードを含
んで成る眼用組成物である。好ましい態様において、そのポビドンヨード(PVP−I)
は、0.1%〜2.5%、0.5%〜2%、0.75%〜2%、0.8%〜2%、0.9
%〜2%、1%〜2%または1%〜1.5%である。別の態様において、PVP−I、抗
炎症薬およびステロイドの全重量は、0.1%〜4.5%である。この溶液は、結膜およ
び角膜の感染の処置に有用である。ポビドンヨードの広範なスペクトルは、ミコバクテリ
ア、ウイルス、真菌およびアメーバによって引き起こされる眼の結膜または角膜の感染の
場合にこの組合せを用いることを可能にすると考えられる;これは、上述の感染に禁忌が
示されている現在入手可能な組合せ抗微生物薬−ステロイド眼用組成物と異なる。更に、
その溶液は、最近の眼科手術から回復している患者の感染予防および炎症制御に有用であ
ろう。術後期間のウイルス、真菌、ミコバクテリアおよびアメーバの感染に有用な現在入
手可能な抗微生物薬/抗炎症薬、または抗微生物薬/ステロイドの組合せは存在していな
い。
【0008】
本発明の一つの態様は、眼の少なくとも一つの組織の微生物感染または障害の処置およ
び/または予防に有効な、眼への局所投与に適する眼用組成物に関する。予防は、例えば
、外科手術後の感染からの予防、新生児の誕生後の感染からの予防、または混入物質との
偶発接触からの予防であってよい。混入物質との偶発接触は、例えば、外科手術中または
食品加工中に起こりうる。その組成物は、0.01%〜10%の濃度のポビドンヨード、
および抗炎症薬、ステロイドまたはその組合せを含む。
【0009】
哺乳動物の眼は、二つの主要部分、すなわち、前方部分および後方部分に分けることが
できる。前方部分は、硝子体液の前の組織、すなわち、角膜、虹彩、毛様体およびレンズ
を包含する眼の前3分の1である。前方部分中には、二つの体液充満空間、すなわち、前
眼房および後眼房がある。前眼房は、角膜の後面(すなわち、角膜内皮)と虹彩との間に
位置する。後眼房は、虹彩と硝子体の前面との間に位置する。後方部分は、前方ヒアリン
膜およびその後の全組織、すなわち、硝子体液、網膜、脈絡膜および視神経を包含する眼
の後3分の2である。若干の動物において、網膜は、各々の光感受性細胞が認知する光の
量を増加させる反射層(光沢タペタム)を含有して、弱光条件下において動物がより良く
見ることを可能にする。
【0010】
ステロイドと組み合わされたポビドンヨードの製剤は、適するpH範囲内で存在する場
合、眼へのPVP−Iの望ましくない刺激作用を排除したということを発見したことは驚
くべきことであった。本発明は、長期貯蔵期間後でも、このような状態のままである水不
溶性薬物のpH安定性水性懸濁液を提供する。
【0011】
好ましい態様において、眼用組成物は、ポビドンヨードを0.1重量%〜2.5重量%
、またはより好ましくは、0.5重量%〜2重量%の濃度で含有する。別の好ましい態様
において、眼用組成物は、0.1%〜2.5%(重量対容量、または重量対重量)または
0.1%〜4.5%の全重量のポビドンヨード、抗炎症薬、ステロイドを有する。
【0012】
眼用組成物のステロイドは、0.01%〜10%の濃度であってよい。好ましい態様に
おいて、そのステロイドは、0.05%〜2%の濃度であってよい。
【0013】
眼用組成物は、更に、(1)痛みを軽減する局所麻酔薬、(2)眼の組織中へのポビド
ンヨードの浸透を促進する浸透促進剤(これは、局所麻酔薬であってよい)、(3)抗微
生物性保存剤であって、例えば、約0.001重量%〜1.0重量%の濃度であってよい
もの;(4)共溶媒または非イオン表面剤、すなわち、界面活性剤であって、例えば、約
0.01重量%〜2重量%であってよいもの;(5)粘度上昇剤であって、例えば、約0
.01重量%〜2重量%であってよいもの;および(6)適する眼用ビヒクルを含んでよ
い。
【0014】
眼用組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、軟膏、クリーム、ゲルまたは制御放出/
徐放性ビヒクルの形態であってよい。例えば、その組成物は、コンタクトレンズ用溶液、
洗眼水、点眼薬等の形であってよい。
【0015】
眼用組成物は、微生物感染の処置および/または予防に用いることができる。微生物は
、細菌、ウイルス、真菌またはアメーバ、寄生生物、またはそれらの組合せであってよい
。細菌は、ミコバクテリウムであってよい。更に、その溶液は、結膜炎、角膜剥離、潰瘍
性感染性角膜炎、上皮性角膜炎、間質性角膜炎およびヘルペスウイルス関連角膜炎などの
障害を処置するのにまたはその予防に用いることができる。
【0016】
例えば、眼用組成物は、次、すなわち、0.5%〜2%(w/w)のポリビニルピロリ
ジノン−ヨウ素複合体;0.05%〜2%(w/w)のステロイド;0.005%〜0.
02%(w/w)のEDTA(エチレンジアミン四酢酸);0.01%〜0.5%(w/
w)の塩化ナトリウム;0.02%〜0.1%(w/w)のチロキサポール;0.5%〜
2%(w/w)の硫酸ナトリウム;および0.1%〜0.5%(w/w)のヒドロキシエ
チルセルロースを、5〜7のpH範囲で含んでよい。より詳しくは、眼用組成物は、
次、すなわち、1.0%(w/w)のポリビニルピロリジノン−ヨウ素複合体;0.1%
(w/w)のステロイド;0.01%(w/w)のEDTA脱水物;0.3%(w/w)
の塩化ナトリウム塩;0.05%(w/w)のチロキサポール;1.2%(w/w)の硫
酸ナトリウム;および0.25%(w/w)のヒドロキシエチルセルロースを、5.5〜
6.5のpH範囲で含んでよい。一つの態様において、その組成物は、5〜7のpH範囲
において、0.5%〜2%(w/w)のポリビニルピロリジノン−ヨウ素複合体;0.0
5%〜2%(w/w)のステロイド;0.005%〜0.02%(w/w)のEDTA(
エチレンジアミン四酢酸);0.01%〜0.5%(w/w)の塩化ナトリウム;0.0
2%〜0.1%(w/w)のチロキサポール;0.5%〜2%(w/w)の硫酸ナトリウ
ム;および0.1%〜0.5%(w/w)のヒドロキシエチルセルロースから本質的に成
る。別の態様において、組成物は、5.5〜6.5のpH範囲において、1.0%(w/
w)のポリビニルピロリジノン−ヨウ素複合体;0.1%(w/w)のステロイド;0.
01%(w/w)のEDTA二ナトリウム塩;0.3%(w/w)の塩化ナトリウム塩;
0.05%(w/w)のチロキサポール;1.2%(w/w)の硫酸ナトリウム;および
0.25%(w/w)のヒドロキシエチルセルロースから本質的に成る。
【0017】
EDTAが、遊離酸、二ナトリウムまたは四ナトリウムの塩などの多くの形でありうる
ということは、当然ながら知られている。ステロイドは、デキサメタゾン、プレドニゾロ
ンまたはプレドニゾンであってよい。これらステロイドは、それらのソジウムホスフェー
ト形(例えば、デキサメタゾンソジウムホスフェート(dexamethasone sodium phosphate
)、プレドニゾロンソジウムホスフェート(prednisolone sodium phosphate)またはプ
レドニゾンソジウムホスフェート(prednisone sodium phosphate))またはアセテート
形(例えば、デキサメタゾンアセテート、プレドニゾロンアセテートまたはプレドニゾン
アセテート)であってよい。プレドニゾロンは、プレドニゾンの活性な代謝産物であるが
、プレドニゾンを、プレドニゾロンの代わりに用いることができるということは理解され
る。
【0018】
好ましい態様において、眼用組成物は、それを製造後、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ
月または1年後に、そのPVP−Iの少なくとも90%およびそのステロイドの少なくと
も90%を保持する。これは、少なくとも、上(例えば、前の二つの段落)に挙げた処方
にしたがって眼用組成物を製造することによって達成することができる。この安定性は、
組成物を、100lux〜1000luxの照明屋内環境(lighted indoor environment
)において室温で貯蔵する場合でさえも維持される。一つの好ましい態様において、組成
物は水溶液である。
【0019】
別の態様において、本発明は、眼の少なくとも一つの組織の微生物感染または眼障害を
処置および/または予防するための方法であって、上に論じられている眼用組成物の一又
はそれを超える投与を眼に投与する工程を含む方法に関する。眼障害は、例えば、眼の少
なくとも一つの組織の微生物感染、結膜炎、角膜剥離、潰瘍性感染性角膜炎、上皮性角膜
炎、間質性角膜炎およびヘルペスウイルス関連角膜炎であってよい。微生物は、細菌(例
えば、ミコバクテリア)、ウイルス、真菌またはアメーバであってよい。
【0020】
その方法において、処置は、ポビドンヨード、抗炎症薬およびステロイドの合計が、0
.001mg/投与量〜5mg/投与量である本発明の溶液を投与することを含んでよい
。更に、その投与容量は、10マイクロリットル〜200マイクロリットルまたは50マ
イクロリットル〜80マイクロリットル;片眼につきほぼ1滴であってよい。投与は、1
日1〜24回、1日2〜4回、または1日2〜24回であってよい。
【0021】
一つの態様において、その方法は、更に、溶液を、それを投与する前に少なくとも1ヶ
月間、少なくとも2ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、少なくとも6ヶ月間または少なくとも
1年間貯蔵する工程を含む。貯蔵は、照明環境中の透明ビン(光を実質的にブロックしな
い容器)中であってよい。照明環境は、例えば、約100lux〜1000luxの光で
の屋内照明環境であってよい。
【発明の詳しい説明】
【0022】
好ましい態様において、本発明の組成物は、局所投与される。投薬量範囲は、0.00
1〜5.0mg/眼であるが;ここにおいて、引用される質量数値は、三成分、すなわち
、抗炎症薬、ポビドンヨードおよび局所麻酔薬の合計である。片眼への投薬量は、約1滴
の溶液であると理解される。1滴の溶液は、10μl〜200μl、20μl〜120μ
l、または約50μl(マイクロリットル)〜約80μlの溶液、またはいずれかの中間
値であってよい。例えば、ピペッターなどのディスペンサーは、少なくとも1μl〜30
0μlおよびいずれかの中間値の液滴を計量分配することができる。
【0023】
好ましい態様において、その溶液は、市販されている多くのタイプの点眼ディスペンサ
ーのいずれかを用いて点眼薬として投与することができる。必要ではないが、本発明の組
成物のための容器は、透明、半透明および不透明であってよいし、そしてガラスライニン
グ、不法開封防止(tamper proof)、単回または数回投与量アリコートで充填されている
、およびそれらの組合せのような、他の性質または性質組合せを含有してよい。
【0024】
ポビドンヨードは、次の化学構造:
【0025】
【化1】
【0026】
を有する。
【0027】
本発明の組成物および方法に適する抗炎症薬には、少なくとも次、すなわち、ケトチフ
ェンフマル酸塩、ジクロフェナクナトリウム、フルルビプロフェンナトリウム、ケトルラ
クトロメタミン(ketorlac tromethamine)、スプロフェン、セレコキシブ(celecoxib)
、ナプロキセン、ロフェコキシブ(rofecoxib)、またはそれらの誘導体または組合せが
含まれる。ケトロラク(Ketorolac)(ケトルラクまたはケトルラクトロメタミンとも称
される)は、プロピオン酸の系列の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)である。
【0028】
本発明の組成物および方法に適するステロイドには、少なくとも、デキサメタゾン、デキサメタゾンアルコール、デキサメタゾンソジウムホスフェート、フルロメタロンアセテート(fluromethaloneacetate)、フルロメタロンアルコール、ロテプレドノールエタボネート、メドリゾン(medrysone)、プレドニゾロン、プレドニゾン、プレドニゾロンアセテート、プレドニゾロンソジウムホスフェート、リメキソロン(rimexolone)、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンアセテート、ロドキサミドトロメタミン(lodoxamide tromethamine)、またはそれらの誘導体または組合せが含まれる。本開示のいずれの化学薬品についても、それら化学薬品が、アセテート形およびソジウムホスフェート形、ナトリウム塩等のようないろいろな修飾された形であってよいということは理解される。
【0029】
デキサメタゾンは、次の化学構造:
【0030】
【化2】
【0031】
を有する。
【0032】
本開示のどこに述べられているどの試薬も、基本化学物質の塩、水素化物、エステルお
よび他の修飾のような化学的に同等の形であってよいということは知られている。例えば
、本発明の組成物および方法のいずれにおいても、デキサメタゾンは、そのエステルおよ
び塩を含めたその誘導体のいずれかで置き換えることができる。このような誘導体の例に
は、少なくとも、デキサメタゾン−17−アセテート(Dexamethasone-17-acetate)(C
AS RN:1177−87−3)、デキサメタゾンジソジウムホスフェート(Dexameth
asone Disodium Phosphate)(CAS RN:2392−39−4)、デキサメタゾンバ
レレート(Dexamethasone Valerate)(CAS RN:14899−36−6)、デキサ
メタゾン−21−イソニコチネート(Dexamethasone-21-isonicotinate)(CAS RN
:2265−64−7)、デキサメタゾンパルミテート(Dexamethasone Palmitate)(
CAS RN:33755−46−3)、デキサメタゾンプロピオネート(Dexamethason
e Propionate)(CAS RN:55541−30−5)、デキサメタゾンアセフレート
(Dexamethasone Acefurate)(CAS RN:83880−70−0)、デキサメタゾ
ン−21−ガラクトシド(Dexamethasone-21-galactoside)(CAS RN:92901
−23−0)、デキサメタゾン21−チオピバレート、デキサメタゾン21−チオペンタ
ノエート、デキサメタゾン21−チオール−2−メチルブタノエート、デキサメタゾン2
1−チオール−3−メチルブタノエート、デキサメタゾン21−チオヘキサノエート、デ
キサメタゾン21−チオール−4−メチルペンタノエート、デキサメタゾン21−チオー
ル−3,3−ジメチルブタノエート、デキサメタゾン21−チオール−2−エチルブタノ
エート、デキサメタゾン21−チオオクタノエート、デキサメタゾン21−チオール−2
−エチルヘキサノエート、デキサメタゾン21−チオノナノエート、デキサメタゾン21
−チオデカノエート、デキサメタゾン21−p−フルオロチオベンゾエートまたはそれら
の組合せが含まれる。デキサメタゾン誘導体は、米国特許第4,177,268号にも記
載されている。
【0033】
本発明の組成物および方法に適する局所麻酔薬には、少なくとも、プロパラカイン(pr
oparacaine)、リドカイン、テトラカイン、またはそれらの誘導体または組合せが含まれ
る。
【0034】
本発明の組成物は、適する眼用ビヒクル中の溶液、懸濁液、エマルジョン(分散液)、
ゲル、クリームまたは軟膏として投与することができる。
【0035】
眼への局所投与などの局所投与のための本開示の組成物のいずれにおいても、それら混
合物は、好ましくは、水中の0.01〜2.0重量%溶液として、5.0〜8.0のpH
で製剤化される(数値は、ポビドンヨードおよびデキサメタゾンの組合せ存在に関する)
。このpH範囲は、溶液への緩衝剤の添加によって達成することができる。本発明者は、
驚くべきことに、本発明の製剤が、緩衝化された溶液中で安定であるということを発見し
た。すなわち、緩衝剤とヨウ素または他の成分との間には、組成物を不安定にさせると考
えられる不都合な相互作用が存在しない。正確な治療方式は、臨床医の裁量に一任される
が、得られた溶液は、各々の眼に1滴を1日1〜24回入れることによって局所適用され
るということが推奨される。例えば、その溶液は、1日1回、2回、4回、6回、8回、
12回、18回または24回適用することができる。
【0036】
抗微生物性保存剤
任意の成分として、適する抗微生物性保存剤を加えて、複数回投与パッケージ汚染を防
止することができる。このような物質には、塩化ベンザルコニウム、チメロサール、クロ
ロブタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェニルエチルアルコール、EDT
A、ソルビン酸、Onamer M、当業者に知られている他の物質、またはそれらの組合せが
含まれてよい。典型的に、このような保存剤は、0.001重量%〜1.0重量%のレベ
ルで用いられる。
【0037】
共溶媒/界面活性剤
本発明の組成物は、任意の共溶媒を含有してよい。本組成物の成分の溶解性は、組成物
中の界面活性剤または他の適当な共溶媒によって増強することができる。このような共溶
媒/界面活性剤には、ポリソルベート20、ポリソルベート60およびポリソルベート8
0、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン界面活性剤(例えば、Pluronic F−6
8、Pluronic F−84、Pluronic P−103)、シクロデキストリン、チロキサポール
、当業者に知られている他の物質、またはそれらの組合せが含まれる。典型的に、このよ
うな共溶媒は、0.01重量%〜2重量%のレベルで用いられる。
【0038】
粘性物質
本発明の組成物は、任意の粘性物質、すなわち、粘度を増加させることができる物質を
含有してよい。単純な水溶液の粘度より上に増加した粘度は、活性化合物の眼への吸収を
増加させるのに、製剤を計量分配する場合の変動を減少させるのに、製剤の懸濁液または
エマルジョンの成分の物理的分離を減少させるのに、および/または眼用製剤をそれ以外
に改善するのに望ましいことがありうる。このような粘度上昇剤には、例として、ポリビ
ニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル
セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプ
ロピルセルロース、当業者に知られている他の物質、またはそれらの組合せが含まれる。
このような物質は、典型的に、0.01重量%〜2重量%のレベルで用いられる。
【0039】
製剤
次の二つの反応は、水溶液中のPVP−Iの化学について考慮されるべきである。
【0040】
【数1】
【0041】
官能基−OH、−SHおよび−NHとの反応への遊離ヨウ素(I)の親和性は、参考
文献に十分に記載されているし、そしてヨウ素含有溶液の抗微生物活性の基礎を形成して
いる(Rackur H. J. Hosp. Infect., 1985; 6: 13-23 およびその参考文献)。デキサメ
タゾン(9−フルオロ−11β,17,21−トリヒドロキシ−16α−メチルプレグナ
−1,4−ジエン−3,20−ジオン)は、三つのこのような部分(−OH)を11位、
17位および21位に含有する。当業者は、これらヒドロキシル基が、PVP−Iにつ
いて上に記載の溶液平衡反応において生じる遊離ヨウ素によって共有置換(covalent sub
stitution)反応しやすいと結論付けると考えられる。
【0042】
本製剤を誘導する際に、いろいろな抗炎症薬およびPVP−I、またはステロイドおよ
びPVP−Iの組合せの実験を行った。大部分の製剤は、PVP−Iと、加えられた試薬
(抗炎症薬またはステロイド)との間の急速反応ゆえに不成功であったということが認め
られた。若干のこれら不成功の製剤は、本開示中の他のところに記載されている。具体的
には、より低濃度のPVP−I溶液の制限因子は、殺微生物薬としての安定性および有効
性である。
【0043】
したがって、本発明の目的は、PVP−Iおよび抗炎症薬の組合せの新規な製剤を発見
して、安定性、有効性および眼への非刺激性の三つの問題を解決することである。予想外
にも、本発明者は、1%PVP−I溶液が、デキサメタゾンと組み合わせた場合、感染の
処置または感染の予防に有効であるということを発見した。参考文献には、従来、1%P
VP−Iは望ましいが、眼への投与の副作用がその使用を妨げていたということが示され
ていた。望ましくない副作用には、痛みおよび刺激が含まれる。
【0044】
PVP−Iおよびデキサメタゾンの溶液が、何ヶ月間も安定のままであるということを
発見することは、驚くべきことであった。開示された安定性データに基づき、本発明者は
、この時点において実験はなお継続しているが、本発明の組成物は、何年間か安定であり
うると考えている。更に予想外の結果は、デキサメタゾン(dexamathasone)およびPV
P−Iの反応が、明所または暗所において室温で長期に渡り顕著な程度へと進行すること
はないということである。予想外にも、本製剤中に配合されるデキサメタゾン分子上に存
在するヒドロキシル基と、溶液中の遊離ヨウ素との間の反応は、進行することはない。
【0045】
PVP−Iの高い酸化可能性傾向のために、PVP−Iおよびデキサメタゾンの得られ
た安定な組合せは、この分野における平均的な研究者/科学者/医師にとって予想外であ
る。PVP−Iの濃度が0.5%より大である場合、安定な組合せ製剤を得ることができ
るということが認められた。驚くべきことに、デキサメタゾンとの0.3%PVP−I組
合せは、安定性がはるかに少ないことが判明した。これは、より低い濃度のヨウ素が、反
応性がより小さいし、したがって、どちらの部分へも分解性がより小さいと考えられるの
で、またしても予想外である。8週間後、その組合せでの利用可能なヨウ素(最初は、0
.3%PVP−I)は、20%減少した。0.1%希釈PVP−Iは、最強の抗微生物活
性を有するが(Gottardi W. J. Hosp. Infect., 1985; 6(Suppl): 1-11)、本発明者のデ
ータは、本発明者が、最良の抗微生物活性を示すのに、デキサメタゾンとの組合せで少な
くとも0.5%PVP−Iを必要とすることを示した。本発明者は、PVP−Iが、ケト
ロラク(非ステロイド性抗炎症薬)と急速反応し、そしてケトロラクは完全に消費され、
そしてPVP−I複合体中の利用可能なヨウ素は、ケトロラクとPVP−Iとの比率に依
存して有意に減少したことを認めた。PVP−Iおよびデキサメタゾンソジウムホスフェ
ートの組合せも、あまり成功してはないが、有用であると証明された。本発明者は、UV
スペクトルにおいて、PVP−I複合体の未知の重合複合体への若干の解離を認めたが、
ヨウ素減少は、12週間後に約5%である。更に、PVP−Iは、プロパラカインと直ち
に反応し、そして遊離ヨウ素を速やかに放出するということが認められた。
【0046】
驚くべきことに、組合せ製剤は、希釈PVP−I溶液の安定性に寄与していた。0.6
25%ポビドンヨード溶液の利用可能なヨウ素は、25℃および4℃で5週間貯蔵後に、
それぞれ91%および98%であった。(Iryo Yakugaku 2003, 29(1), 62-65)。本発明
者のデータは、本製剤が、希釈PVP−I溶液を安定化させたということを示した。室温
で8週間後、0.5%および1%のPVP−Iを含む溶液中の利用可能なヨウ素は、99
%を超えた。
【0047】
局所用ステロイド単独の使用は、ヒト眼の疑われるウイルスおよび真菌感染に禁忌とさ
れる。更に、組合せ抗細菌薬/ステロイド溶液の使用は、疑われるウイルス感染の設定に
禁忌とされる。考えられるウイルスまたは真菌感染の設定においてヒト眼に用いるのに安
全であると記載されているステロイド含有溶液は存在しない。したがって、ステロイド含
有溶液が、急性のウイルスまたは真菌眼感染の処置に有益であると考えられるということ
は、著者らおよび他の当業者にとって予想外である。
【0048】
強力な抗炎症性ステロイドは、能動的感染の設定における潜在的に破壊的な眼の免疫応
答を節制することを可能にする。しかしながら、PVP−Iの防腐(抗細菌、抗ウイルス
および抗真菌、抗原虫)力のために、その化合物は、感染を悪化させる危険を伴うことな
く、能動的感染の設定に使用可能である。この独特の性質(ポリアンチミクロビシド(po
ly-antimicrobicide)および強力な抗炎症性)は、他の眼用抗生物質および抗炎症薬全て
にまさる有意の改善である。
【0049】
局所用ステロイドは、眼炎症の処置に大いに有益であるが、その使用は、危険をはらん
でいる。眼に適用される局所用ステロイドは、いろいろな十分に記載されたゲノムおよび
非ゲノム機構によって作用して、炎症カスケードの構成成分タンパク質の生産を減少させ
;血管透過性を減少させ;炎症促進性サイトカインの生産を減少させ;可溶性炎症性因子
の効力を減少させ;急性期タンパク質の生産を阻害し;白血球遊走を減少させ;そして細
胞膜の安定性を増加させる。これら機構の全てによって、局所適用されたステロイドは、
ゼラチナーゼファミリー、コラギナーゼ(collaginase)ファミリーおよびマトリックス
メタロプロテイナーゼファミリーのタンパク質を含めた、眼に毒性の活性化産物の局部濃
度を減少させることができる。潜在的に毒性な物質のこの減少で、長期感染および潜在的
感染の増加した危険度が生じる。局所用ステロイドを、適当な抗微生物薬(すなわち、細
菌感染のための抗細菌薬、ウイルス感染のための抗ウイルス薬、および真菌感染のための
抗真菌薬)との組合せで与えるならば、その危険度を減少させるおよび/または排除する
ことができる。普通の開業眼科医は、処置の処方に関係のある時間枠内で急性外部眼感染
の大部分の症例において原因物質を確実に区別することができない。したがって、臨床医
が、培養結果を待つかまたは処置を無期限に遅らせる可能性があるので、局所用ステロイ
ドの即時使用によって得ることができる有益な作用は、遅延するまたは完全に排除される
。細菌、ウイルスおよび真菌に対して有効な殺複数微生物薬(polymicrobicidal)と局所
用ステロイドの新規な組合せは、この危険度を排除し、そして炎症の即時制御および病原
体の根絶を可能にする。本発明者の見解では、これは、本発明の最も好ましい態様である
【0050】
本発明者は、更に、本発明者の好ましい組成物中の他の成分が、製剤を更に安定化させ
ると考えられるということに注目した。すなわち、EDTA、塩化ナトリウム、チロキサ
ポール、硫酸ナトリウムおよびヒドロキシエチルセルロースは、組成物を更に安定化させ
る追加の有益な作用を有すると考えられる。
【0051】
本発明を、ある種の好ましい態様に関して本明細書中に記載してきた。しかしながら、
それについての明らかな変更は、当業者に明らかになるであろうから、本発明がそれに制
限されると考えるべきではない。どこでも引用されている特許、特許出願および参考文献
は全て、本明細書中にそのまま援用される。
【実施例】
【0052】
この項目を通して、試料名中の「A」という文字は、ポビドンヨード(Povidone-Iodin
e)複合体(「PVP−I」)を意味し、A00は、0.0%のPVP−Iを意味し、A
03は、0.3%のPVP−Iを意味し、A05は、0.5%のPVP−Iを意味し、A
10は、1.0%のPVP−Iを意味し、A15は、1.5%のPVP−Iを意味し、A
20は、2.0%のPVP−Iを意味し、A40は、4.0%のPVP−Iを意味する、
等々。
【0053】
同様に、試料名中の「B、C、D、K、P」という文字は、それぞれ、デキサメタゾン
、デキサメタゾンソジウムホスフェート、プレドニゾロンソジウムホスフェート、ケトロ
ラク(ケトルラクとも称される)およびプロパラカインを意味する。B00は、0.0%
のデキサメタゾンを意味し、B01は、0.1%のデキサメタゾンを意味し、C01は、
0.1%のデキサメタゾンソジウムホスフェートを意味し、D01は、0.1%のプレド
ニゾロンソジウムホスフェートを意味し、K01は、0.1%のケトロラクを意味し、そ
してP008は、0.08%のプロパラカインを意味する、等々。
【0054】
実施例1:ポビドンヨード/デキサメタゾン懸濁液の製造
【0055】
【表1】
【0056】
実験手順:
1000mLビーカー中に、400gの滅菌水を加え、ヒドロキシエチルセルロース(
2.25g,0.25%w/w)を、オーバーヘッドスターラーで激しく撹拌しながら加
えた。塩化ナトリウム(2.70g,0.3%w/w)を、溶解させながら徐々に加えた
後、EDTA(0.09g,0.01%w/w)および硫酸ナトリウム(10.8g,1
.2%w/w)を加えた。10分間撹拌後、水中に溶解したチロキサポール(0.45g
,0.05%w/w)を、上の溶液中に入れた。反応混合物を1時間撹拌し、適量の滅菌
水で540gとし、そして更に10分間撹拌して、「バルク溶液1」を生じた。
【0057】
各60gのバルク溶液1を、2個の125mLビーカー中に入れ、そしてポビドンヨー
ド複合体(0.5g,1.5g)を、それぞれの溶液中に撹拌しながら加えた。pH値を
、水酸化ナトリウムまたは硫酸の添加によって5.7〜6.0の範囲に調整し、それら懸
濁液を適量の滅菌水で100gとして、対照試料A05B00およびA15B00をそれ
ぞれ生じた。
【0058】
残りの417gのバルク溶液1は、デキサメタゾン(0.7g,0.1%w/w)を加
え、5分間均一化した後、適量で420gとして、バルク溶液2を生じた。
【0059】
各60gのバルク溶液2を、7個の125mLビーカー中に入れ、ポビドンヨード複合
体(0.0g、0.3g、0.5g、1.0g、1.5g、2.0gおよび4.0g)を
、それぞれの溶液中に撹拌しながら加えた。pH値を、水酸化ナトリウムまたは硫酸の添
加によって5.7〜6.0の範囲に調整し、それら懸濁液を適量の滅菌水で100gとし
て、試料A00B01、A03B01、A05B01、A10B01、A15B01、A
20B01およびA40B01をそれぞれ生じた。全ての試料のLC−MSスペクトルは
、PVP−Iとデキサメタゾンとの間に反応が全く無かったという知見を確認した。デキ
サメタゾン(MH=392.9)ピークは、他の質量ピークへと変化しなかった。
【0060】
実施例2:ポビドンヨード/デキサメタゾンソジウムホスフェート;ポビドンヨード/
プレドニゾロンソジウムホスフェート;およびポビドンヨード/ケトロラクの溶液の製造
【0061】
同様に、A00C01、A03C01、A05C01、A10C01、A15C01、
A00D01、A03D01、A05D01、A10D01、A15D01、A00K0
1、A05K01、A10K01およびA15K01の溶液を製造した。
【0062】
A05C01、A10C01およびA15C01のLC−MSスペクトルは、デキサメ
タゾンリン酸(MH=472.9)ピークを確認した。A05D01、A10D01お
よびA15D01のLC−MSスペクトルは、プレドニゾロンリン酸(MH=440.
9)ピークを確認した。
【0063】
しかしながら、A05K01およびA10K01のLC−MS実験は、PVP−Iとケ
トロラクトロメタミンとの間に反応の知見を確認した。A05K01について、試料中に
残った少量のケトロラク(MH=256.1)が存在したが、主要ピークは、MH
381.9である。A10K01およびA15K01について、ケトロラクは残っていな
かったし、新しい化合物(MH=381.9)へと完全に変換した。
【0064】
A00B01P008(対照)、A05B01P008およびA10B01P008の
LC−MS実験は、PVP−Iとプロパラカインとの間に反応の知見を確認した。対照に
ついて、LC−MSスペクトル中に二つのピーク、すなわち、MH=295.1(プロ
パラカイン)およびMH=392.9(デキサメタゾン)が認められた。A05B01
P008とA10B01P008とを比較すると、デキサメタゾンピーク(MH=39
2.9)に相対するプロパラカインピーク(MH=295.1)は、はるかに小さくな
ったが、それは、ポビドンヨードがプロパラカインと反応したことを示唆している。
【0065】
実施例3:ポビドンヨード/デキサメタゾン/プロパラカイン懸濁液の製造
【0066】
【表2】
【0067】
400mLビーカー中に、100gの滅菌水を加え、ヒドロキシエチルセルロース(0
.75g,0.25%w/w)を、ARROWオーバーヘッドスターラーで激しく撹拌し
ながら加えた。塩化ナトリウム(0.9g,0.3%w/w)を、溶解させながら徐々に
加えた後、EDTA(0.03g,0.01%w/w)、硫酸ナトリウム(3.6g,1
.2%w/w)およびプロパラカイン塩酸塩(0.24g,0.08%w/w)を逐次的
に加えた。10分間撹拌後、水中に溶解したチロキサポール(0.15g,0.05%w
/w)を、上の溶液中に入れた。反応混合物を1時間撹拌し、そしてデキサメタゾン(0
.3g,0.1%w/w)を加え、10分間均一化した後、適量の滅菌水で180gとし
て、バルク溶液5を生じた。各60gのバルク溶液5を、4個の125mLビーカー中に
入れ、そしてポビドンヨード複合体(0.0g,0.5g,1.0g)を、それぞれの溶
液中に撹拌しながら加えた。pH値を、水酸化ナトリウムまたは硫酸の添加によって約5
.8に調整し、その溶液を適量で100gとして、試料A00B01P008、A05B
01P008およびA10B01P008を与えた。
【0068】
これら試料の製造中に、ヨウ素の強い臭いが認められた。PVP−Iは、プロパラカイ
ンと極めて急速に反応したと推測された。その推測は、LC−MSスペクトルによって確
認した。PVP−Iとの組合せ試料中のデキサメタゾンおよびプロパラカインのピークは
、極めて小さくなったまたは消失すらした。
【0069】
溶液の安定性
溶液中の滴定可能なヨウ素の量は、滴定法により、室温で何週間かいろいろ試料貯蔵後
に決定した。
【0070】
滴定法:各5mLの試料を、125mLビーカー中にピペットで入れ、そして1mLの
1%(w/v)デンプン指示薬溶液を加えた。その溶液を、0.0025Nチオ硫酸ナト
リウム溶液で、青色が完全に消失するまで滴定した。用いられたチオ硫酸ナトリウム溶液
の容量を決定した。
【0071】
滴定可能なヨウ素(mg)=V(mL、滴定に用いられた容量)*12.69(mg/
mL)/2
計算された滴定可能なヨウ素(mg)を、表1に挙げる。
【0072】
【表3】
【0073】
暗所かまたは明所において室温で何週間か貯蔵後のPVP−Iodine の濃度データは、
安定な組合せ製剤が、デキサメタゾンまたはデキサメタゾンソジウムホスフェートまたは
プレドニゾロンソジウムホスフェートとのPVP−ヨウ素組合せについて得られたという
ことを示唆した。デキサメタゾンとの0.3%(wt.%)PVP−I組合せは、上のデ
キサメタゾンとの0.5%PVP−Iodine 組合せの場合よりも安定性が少なく、それは
、8週間後に、利用可能なヨウ素濃度の5%未満の変化を有する。
【0074】
データは、更に、PVP−Iがケトロラクトロメタミンと反応したことを示唆した。5
週間後の試料中0.5%PVP−Iでは、滴定可能なヨウ素は残っていなかった。試料中
1.5%および1.5%のPVP−Iでは、滴定可能なヨウ素は、それぞれ、58.8%
および36.3%で有意に激減した。
【0075】
HPLCを用いた試料中のデキサメタゾンの安定性試験
USP法を行った。デキサメタゾン濃度データを、下の表2に図表の形で作表する。
【0076】
【表4】
【0077】
HPLCスペクトルは、基準対照と比較される新しいピーク出現が無かったことを示し
た。そのスペクトルは、PVP−Iodine とデキサメタゾンとの間に反応が全く無かった
ことを示唆した。
【0078】
HPLCを用いた試料中のデキサメタゾンソジウムホスフェートの安定性試験
USP法を行った。デキサメタゾンソジウムホスフェートの濃度データを、下の表3に
図表の形で作表する。40℃オーブン中でのA05C01(1日目)、A10C01、A
15C01(3日目)。
【0079】
【表5】
【0080】
HPLCスペクトルは、A10C01およびA15C01試料中に、基準対照およびA
05C01と比較される新しいピーク出現が無かったことを示した。デキサメタゾンソジ
ウムホスフェートの濃度は、A10C01およびA15C01試料中において10%を超
えて変化した。
【0081】
別の実験において、本発明者は、驚くべきことに、次の処方、すなわち、0.5〜2%
(w/w)のポリビニルピロリジノン−ヨウ素複合体;0.05〜0.2%(w/w)の
ステロイド;0.005%〜0.02%(w/w)のEDTA;0.0.1〜0.5%(
w/w)の塩化ナトリウム;0.02〜0.1%(w/w)のチロキサポール;0.5%
〜2%(w/w)の硫酸ナトリウム;および0.1〜0.5%(w/w)のヒドロキシエ
チルセルロースを有する点眼薬であって;このステロイドが、デキサメタゾン、プレドニ
ゾロン、プレドニゾン、またはそれらのアセテート形またはそれらのソジウムホスフェー
ト形であるものが、1ヶ月間、3ヶ月間および6ヶ月間まで安定であったということを発
見した。これまでに集められたデータに基づき、このような溶液は、製造年月日から少な
くとも1年まで貯蔵可能であると考えられる。安定性は、主成分(PVP−Iおよびステ
ロイド)濃度の一定期間にわたる10%未満での偏差として定義する。したがって、PV
P−Iは、その溶液を貯蔵している1ヶ月、3ヶ月および6ヶ月の期間にわたって90%
未満へ減少することはなかったが、本発明者の6ヶ月でのデータに基づき、その溶液は、
少なくとも1年間安定であろうと考えられる。貯蔵条件は、室温において、100〜10
00luxの白熱灯および/または蛍光灯の屋内照明中の透明ビン中であった。安定性は
、PVP−Iと、デキサメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン(これらステロイドの
アセテート形またはソジウムホスフェート形を含めた)の独特の組合せに起因しているか
もしれない。本発明者は、更に、存在する場合の他の試薬(EDTA、塩化ナトリウム、
チロキサポール、硫酸ナトリウム;およびヒドロキシエチルセルロース)が、安定性に更
に寄与していたということを発見した。
【0082】
本発明者は、開発中にいろいろな製剤を比較している時に、PVP−Iが、製剤に多数
の利点を与えるということを発見した。簡単にいうと、PVP−I製剤は、ヨウ素溶液と
比較される次の改善された性質、すなわち、(1)皮膚および眼へのより少ない刺激性、
(2)可洗性、(3)増加した安定性、(4)増加した光安定性、(5)低全身毒性、(
6)より少ない副作用を有する。更に、最新の知見に基づき、PVP−Iは、瘢痕組織形
成に関して中性である。
【0083】
実施例4.抗微生物検定
いろいろな抗炎症性ステロイドとのPVP−ヨウ素組合せの溶液を、一般的な病原性細
菌、酵母、真菌およびウイルスに対する抗微生物活性について調べた。抗微生物検定(An
timicrobial Assays)(USP)の肉汁接種法を用いて、眼からの純粋な分離物に対する
いろいろな濃度のPVP−ヨウ素組合せ溶液の処置の有効性試験を行った。0.03%か
らのPVP−ヨウ素の濃度は、微生物増殖への抑制作用を投与量依存方式で生じることが
できるということを発見した。それら抗微生物作用は、0.03%溶液での接種処置から
72時間以内に調べられた全ての種を完全に排除することで、更に支持されうる。抗微生
物作用の最適有効性は、0.5%を超える濃度で達成することができる。濃度以上に、そ
の溶液は、追加接種を伴わない直接接触条件下でさえも、調べられた全ての種を有効に死
滅させ且つ排除することができる。例えば、1%PVP−ヨウ素および0.1%デキサメ
タゾン(wt%)の溶液は、緑膿菌(Pseudomonas aeuroginosa)、プロテウス・ミラビ
リス(Proteus mirabilis)、霊菌(Serratia maracescens)、黄色ブドウ球菌(Staphyl
ococcous aureus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、肺炎連鎖球菌(S
treptococcus pneumoniae)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Methicilin Resistant St
aphylococcus Aureus)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、カンジダ・パラプシロー
シス(Candida parapsilosis)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)および黒
色アスペルギルス(Apergillus niger)を接触時に死滅させることが判明した。それら結
果は、微生物増殖を排除することへの溶液の有効性を明らかに示した。
【0084】
実施例5.アデノウイルス試験
デキサメタゾンとのPVP−ヨウ素組合せ溶液を、ヒトアデノウイルスに対する抗ウイ
ルス活性について調べた。各0.5mLのアリコートの試験および対照製品を、滅菌試験
管中において0.5mLのウイルス原液と混合した。次に、それら試験管を37℃で30
分間インキュベートした。A00B01を、正の対照として用いた。ハンクスの平衡塩類
溶液(Hank's Balanced Salt Solution)(HBSS)を、負の対照として用いた。イン
キュベーション直後に、試験および対照製品を、感染性HAdV−4について滴定した。
【0085】
【表6】
【0086】
試験製品をウイルスと一緒に30分インキュベーション後、A00B01は、ウイルス
感染力への作用がなかったが、化合物A10B01、A15B01およびA20B01は
、ウイルスの完全失活を引き起こした。
【0087】
実施例6.ヒト眼刺激研究
志願者は全て、試験前に診察し、そして疾患の徴候のない健康な眼を有すると判明した
。1.0%PVP−Iodine 溶液単独を製造し、そして15人の健康な志願者に試した。
処置の副作用は、直ちに報告した。認められた副作用には、弱い痛み、不快感、催涙およ
び発赤が含まれた。これは、従来、参考文献に、1%PVP−ヨウ素は、患者が許容でき
ない刺激ゆえに使用不適当であると示されたという理由で、矛盾しない(例えば、米国特
許第5,126,127号)。報告された副作用から、志願者への多数回適用の治療方式
が耐えられないと考えられることは明らかである。
【0088】
1%PVP−Iおよび0.1%デキサメタゾンを含有するA10B01溶液は、7人の
健康な志願者で調べた。投与は、点眼薬によった。驚くべきことに、その溶液は、眼に許
容性であり(灼けるような痛みを与えない)且つ一定のpH範囲で苦痛がないということ
が判明した。具体的には、pH5.9処方の製剤は、眼中滴下時に苦痛がない。一人のヒ
トは、溶液を点眼薬として1日4回3日間、有害な副作用を伴うことなく使用した。pH
6〜8のような他のpH値は、硫酸または水酸化ナトリウムなどの適する化学薬品でpH
だけを調整することによってかまたは、適する緩衝剤の添加によって入手可能である。
【0089】
志願者は全て、試行期間直後と、一定期間後の追加の継続診察において医師が診察した
。更に、志願者は、試行後1ヶ月、2ヶ月および3ヶ月に医師と会ったが、いずれの志願
者につていも、有害な作用は報告されなかった。