(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5997306
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】コーナー部用粘着テープ
(51)【国際特許分類】
C09J 7/02 20060101AFI20160915BHJP
【FI】
C09J7/02 Z
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-29237(P2015-29237)
(22)【出願日】2015年2月18日
(65)【公開番号】特開2016-150982(P2016-150982A)
(43)【公開日】2016年8月22日
【審査請求日】2015年12月11日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510303040
【氏名又は名称】株式会社ホンマ
(74)【代理人】
【識別番号】100090413
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 康稔
(74)【代理人】
【識別番号】100195028
【弁理士】
【氏名又は名称】高久 由紀子
(72)【発明者】
【氏名】本間 和夫
【審査官】
吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】
特開平04−148764(JP,A)
【文献】
特開2013−189297(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/111784(WO,A1)
【文献】
特開平10−330698(JP,A)
【文献】
米国特許第6444307(US,B1)
【文献】
国際公開第2003/024614(WO,A1)
【文献】
特開2002−235050(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 7/
B65H 35/00−10
E04F 21/165
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻芯の外周面に、粘着面が外側を向くようにテープが巻回されるとともに、
前記巻芯の外周面が、前記テープの幅方向の中央部において、前記巻芯の径方向に最も突出した山型形状に形成されていることを特徴とするコーナー部用粘着テープ。
【請求項2】
前記山型形状が、逆V字状であることを特徴とする請求項1記載のコーナー部用粘着テープ。
【請求項3】
巻芯の外周面に、粘着面が外側を向くようにテープが巻回されるとともに、
前記巻芯の外周面が、前記テープの幅方向の中央部において、前記巻芯の径方向に最も陥没した谷型形状に形成されていることを特徴とするコーナー部用粘着テープ。
【請求項4】
前記谷型形状が、略V字状であることを特徴とする請求項2記載のコーナー部用粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出隅や入隅などのコーナー部に貼り付けるための粘着テープに関するものである。
【背景技術】
【0002】
引越の作業時など、搬入・搬出する荷物や建物等が傷つかないように、エレベータや建物の壁・床等を、養生材(シートやパネル等)で覆って、粘着テープで貼り付けて作業が行われる。このような養生材を貼り付ける際、出隅や入隅などのコーナー部では、手でコーナー部に沿うように押さえながら作業するため、作業効率が悪かったり、テープが捩れて仕上がりがよくなかったりする不都合があった。コーナー部にテープを貼り付けるための手法として、例えば、下記特許文献1に記載のコーナー部テープ貼着具がある。当該特許文献1によれば、テープ巻体の一部に抱持部を抱持させ、繰り出したテープをV字状のテープ押え部で押さえながらコーナー部にテープを貼着することで、コーナー部にテープを密着させることが開示されている。また、下記特許文献2には、粘着面が、粘着面を外側にして幅方向に二ツ折りされ、その一半部の粘着面に離型紙が定着されてロール巻きされた入隅用粘着テープが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−13653号公報
【特許文献2】特開2002−235050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1に記載の技術では、テープの引出方向に延びたテープ押え部でテープを押えながら貼り付けるため、テープがテープ押え部からずれないようにしなければならない。また、前記テープ押え部を抱持部によってロール状テープ巻体に取り付けなければならないという手間がある。また、前記特許文献2に記載の技術では、剥き出しの粘着面を壁面等に粘着してから、離型紙側を起こし、該離型紙を剥離して粘着面を粘着するため作業に手間がかかる。
【0005】
本発明は、以上のような点に着目したもので、簡単な構成で、入隅や出隅のようなコーナー部に密着させることができ、作業効率の向上を図ることができるコーナー部用粘着テープを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコーナー部用粘着テープは、巻芯の外周面に、粘着面が外側を向くようにテープが巻回されるとともに、前記巻芯の外周面が、前記テープの幅方向の中央部において、前記巻芯の径方向に最も突出した山型形状に形成されていることを特徴とする。主要な形態の一つは、前記山型形状が、逆V字状であることを特徴とする。
【0007】
他の発明のコーナー部用粘着テープは、巻芯の外周面に、粘着面が外側を向くようにテープが巻回されるとともに、前記巻芯の外周面が、前記テープの幅方向の中央部において、前記巻芯の径方向に最も陥没した谷型形状に形成されていることを特徴とする。主要な形態の一つは、前記谷型形状が、略V字状であることを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、巻芯の外周面に、粘着面が外側を向くようにテープが巻回されるとともに、前記巻芯の外周面が、前記テープの幅方向の略中央部において、前記巻芯の径方向に最も突出した山型形状,あるいは、前記径方向に最も陥没した谷型形状に形成されることとした。このため、前記山型形状や谷型形状の部分を、コーナー部に合わせてロール状の粘着テープを動かすことで、簡単な構成でありながら、入隅や出隅のようなコーナー部にテープを密着させることができ、作業効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施例1を示す図であり、(A)は入隅への本実施例の粘着テープの貼り付けの様子を示す斜視図,(B)は前記粘着テープの断面図,(C)は平面図,(D)は前記(A)を矢印F1方向から見た図,(E)は前記(D)の一部拡大図である。
【
図2】本発明の実施例2を示す図であり、(A)は一部破断して示す斜視図,(B)は断面図,(C)は出隅への粘着テープの貼り付けの様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0011】
最初に、
図1を参照しながら本発明の実施例1を説明する。本実施例は、本発明を入隅用の粘着テープに適用した例である。
図1(A)は本実施例の粘着テープの入隅への貼り付けの様子を示す斜視図,(B)は前記粘着テープの断面図,(C)は平面図,(D)は前記(A)を矢印F1方向から見た図,(E)は前記(D)の一部拡大図である。
図1(A)及び(D)に示すように、本実施例は、例えば、壁32を覆う養生材であるパネル34,36の交わる部分(入隅30)に貼り付けられるテープである。
【0012】
図1に示すように、本実施例の粘着テープ10は、巻芯12の外周面16に、一方の主面に粘着面22が形成されたテープ20を、前記粘着面22が外側を向くように巻回したロール状のものである。前記巻芯12の中央は中空部14となっている。また、本実施例では、前記巻芯12の外周面16は、前記テープ20の幅方向の略中央部において、前記巻芯12の径方向に最も突出した逆V字状の山型形状に形成されている。本実施例では、
図1(A)及び(D)に示すように、前記パネル34,36が約90°で交わっているため、前記外周面16を形成するテーパ面16A,16Bがなす角度も約90°に設定されている。なお、テーパ面16A,16Bのなす角度は、90°より若干小さくてもよい。前記巻芯12は、例えば、厚紙やプラスチックなどが用いられ、前記テープ20としては、紙や布などの公知の素材が用いられる。また、粘着面22に用いられる粘着剤は、養生材の貼り付けという用途上、粘着力が比較的弱いものが用いられる。
【0013】
前記外周面16の山型形状が、前記入隅30に合うようにして、テープ20を引き出しつつ、ロール状の粘着テープ10自体を押し付けるようにすると、入隅30の直交面に密着するように、テープ20が貼り付けられる。このように、本実施例によれば、簡単な構成でありながら、入隅30の直交面にテープ20を密着させることができ、作業効率の向上を図ることができる。
【実施例2】
【0014】
次に、
図2を参照しながら本発明の実施例2を説明する。
図2(A)は、本実施例を一部破断して示す斜視図,
図2(B)は本実施例の断面図,
図2(C)は、出隅への粘着テープの貼り付けの様子を示す平面図である。なお、上述した実施例1と同一又は対応する構成要素には、同一の符号を用いることとする。
図2に示すように、本実施例の粘着テープ50は、巻芯52の外周面56に、一方の主面に粘着面62が形成されたテープ60を、前記粘着面62が外側を向くように巻回したものである。前記巻芯52の中央は中空部54となっている。また、本実施例では、前記巻芯52の外周面56は、前記テープ60の幅方向の略中央部において、径方向に最も陥没した略V字の谷型形状に形成されている。本実施例では、
図2(C)に示すように、約90°の出隅40に沿うように、前記外周面56は、テーパ面56Aとテーパ面56Bの交わる角度が約90°に設定されている。なお、前記テーパ面56A,56Bのなす角度は、90°より若干大きくてもよい。各部を形成する素材は、前記実施例1と同様である。
【0015】
前記外周面56の窪みが前記出隅40に合うようにして、テープ60を引き出しながら、ロール状の粘着テープ50自体を押し付けるようにすると、出隅40の直交面に密着するように、テープ60が貼り付けられる。このように、本実施例によれば、簡単な構成でありながら、出隅40の直交面にテープ60を密着させることができ、作業効率の向上を図ることができる。
【0016】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例で示した形状、寸法は一例であり、必要に応じて適宜変更してよい。例えば、前記実施例では、コーナー面が略直交した入隅30及び出隅40を示したが、これも一例であり、コーナー面の交わる角度は、適宜変更可能であり、粘着テープ10,50の山型や谷型の角度も、コーナー面の交わる角度に応じて適宜変更してよい。更に、山型や谷型の形状が曲面であってもよい。
(2)前記実施例で示した材料も一例であり、同様の効果を奏する範囲内において、公知の各種の材料を用いてよい。
(3)前記実施例では、引越作業における養生材の貼り付け等に用いるテープに本発明を適用することとしたが、これも一例であり、建築現場等における養生材の貼り付け等に用いてもよい。また、その他各種のテープに適用してよい。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明によれば、巻芯の外周面に、粘着面が外側を向くようにテープが巻回されるとともに、前記巻芯の外周面が、前記テープの幅方向の略中央部において、前記巻芯の径方向に最も突出した山型形状,あるいは、前記径方向に最も陥没した谷型形状に形成されることとした。そして、前記山型形状や谷型形状の部分をコーナー部に合わせて、ロール状の粘着テープを動かすことで、簡単な構成でありながら、入隅や出隅のようなコーナー部にテープを密着させることができるため、コーナー部用の粘着テープの用途に適用できる。特に、引越作業や工事現場で用いられる養生材を貼り付けるためのテープの用途に好適である。
【符号の説明】
【0018】
10:粘着テープ
12:巻芯
14:中空部
16:外周面
16A,16B:テーパ面
20:テープ
22:粘着面
30:入隅
32:壁
34,36:パネル
40:出隅
50:粘着テープ
52:巻芯
54:中空部
56:外周面
56A,56B:テーパ面
60:テープ
62:粘着面