【実施例1】
【0026】
以下、
図1−
図13を参照しながら実施例1を説明する。
図1は本発明の自動ドア装置の構成図、
図2は本発明のタイミングベルト連結用具と、吊り金具、及び、取り付け金具の斜視図、
図3はタイミングベルト連結用具の実施例1の分解斜視図、
図4は
図3における用具本体を構成する半割本体の一方を示す図であって、(a)は半割本体の斜視図、(b)は半割本体の側面図、
図5はタイミングベルト固定レバーの斜視図、
図6はタイミングベルト抜け防止部材、及び、第2付勢部材の斜視図、
図7はタイミングベルト連結用具の斜視図、
図8はタイミングベルトの端末をタイミングベルト連結用具に接続固定する作業手順の説明図であって、タイミングベルト固定レバーをタイミングベルトの端末に固定する前の状態を示す図、
図9はタイミングベルト固定レバーをタイミングベルトの端末に装着した状態であって、タイミングベルト固定レバーを用具本体に係合する前の状態を示す図、
図10はタイミングベルト固定レバーを用具本体に係合した状態を示す図、
図11はタイミングベルトが用具本体への挿入方向に押し込まれた際の本発明の作用を説明する図、
図12はタイミングベルトの端末とタイミングベルト連結用具との接続固定を解除する作業手順の説明図であって、タイミングベルト抜け防止部材を押し下げた状態を示す図、
図13はタイミングベルト固定レバーと用具本体との係合を解除した状態を示す図である。
なお、図中の矢印は、前後、上下、左右の各方向を示している(矢印の各方向は一例であるものとする)。
【0027】
図1において、引用符号1は、本発明に係るタイミングベルト連結用具を備える自動ドア装置を示している。
自動ドア装置1は、
図1に図示するように、取り付け用の自動ドア装置ベース2と、この自動ドア装置ベース2に取り付けられる駆動ユニット3と、駆動ユニット3の駆動により開閉動するドア4とを備えて構成されている。
【0028】
図1に図示するように、駆動ユニット3は、モーター5と、このモーター5からの駆動力が伝達される減速機6とを備えている。減速機6には、シャフト7が組み込まれている。シャフト7には、プーリー8(主動プーリー)が組み付けられている。プーリー8は、回動自在な状態に組み付けられている。プーリー8から離れた位置には、アイドラープーリー9(従動プーリー)が回動自在に設けられている。プーリー8及びアイドラープーリー9には、タイミングベルト10(歯付きベルト)が巻き付けられている。
タイミングベルト10は、
図1に図示するように、本発明に係るタイミングベルト連結用具11によって無端状に連結されている。タイミングベルト10には、タイミングベルト連結用具11に組み付けられた取り付け金具12、及び、この取り付け金具12が取り付けられる吊り金具13を介してドア4が取り付けられている。
【0029】
取り付け金具12は、
図2に図示するような形状に形成され、タイミングベルト連結用具組み付け溝14を設けている。
吊り金具13は、
図1及び
図2に図示するように、ドア4の上部に固定される吊り金具本体15と、自動ドア装置1の上部レール(図示せず)の上を転動可能に形成されるハンガーローラ16とを備えて構成されている。吊り金具本体15には、取り付け金具12がボルト17及びナット(図示せず)の締結によって固定されている。
【0030】
本実施例に係る自動ドア装置1は、従来の自動ドア装置101(
図22参照)に対して、タイミングベルト連結用具11を設けている点が特徴となっている。
以下、タイミングベルト連結用具11について詳細に説明する。
【0031】
本発明に係るタイミングベルト連結用具11は、本実施例では、
図2に図示するように、一対設けられている。タイミングベルト連結用具11同士の間の間隔は、ボルト18及びナット19によって変更することができるように構成されている。これにより、
図2において、ナット19を回転させることによって、タイミングベルト10の張りの調整を行うことができる。
一対のタイミングベルト連結用具11は、何れも、同一の構成及び構造を有している。
したがって、以下、一対のタイミングベルト連結用具11のうちの1つについて説明する。
【0032】
タイミングベルト連結用具11は、
図3に図示するように、用具本体20と、タイミングベルト固定レバー21と、第1付勢部材22と、タイミングベルト抜け防止部材23と、第2付勢部材24と、複数本のビス26と、複数のナット27を備えて構成されている。
以下、タイミングベルト連結用具11の各構成について説明する。
【0033】
まず、用具本体20について説明する。
用具本体20は、
図2及び
図7に図示するように、一対の半割本体28を突き合わせ状態にして構成されている。
各半割本体28は、左右対称の形状に形成され、何れも、同一の構成及び構造を有している。
したがって、以下、一対の半割本体28のうちの1つについて説明する。
【0034】
半割本体28は、
図3及び
図4に図示するように、長矩形に形成され、上壁29と、底壁30と、前壁31と、後壁32と、側壁33とを備えて構成され、さらに、内部に、タイミングベルト端末部収容室34と、タイミングベルト抜け防止部材収容室35と、ボルト収容室36とを有している。
上壁29には、
図3及び
図4に図示するように、レバー出入口37と、第1嵌挿孔38とが形成されている。
【0035】
レバー出入口37は、後述するタイミングベルト固定レバー21が回動しながら用具本体20内を出入りする部分として形成されている。レバー出入口37は、半割本体28の軸方向の一端側(
図3及び
図4においては、前後方向の前端側)から中間部にかけて切り欠き形成されている。レバー出入口37は、
図7に図示するように、一対の半割本体28を突き合わせ状態にしたときに、タイミングベルト固定レバー21が回動しながら用具本体20内を出入り可能な形状に形成されている。
【0036】
第1嵌挿孔38は、後述するタイミングベルト抜け防止部材23の第1嵌挿軸54が挿通する部分として形成されている。第1嵌挿孔38は、半割本体28の軸方向(
図3及び
図4においては、前後方向)の中間部に設けられている。第1嵌挿孔38は、
図3及び
図4に図示するように、
上壁29の右縁部を略U字形に切り欠いて形成されている。第1嵌挿孔38は、一対の半割本体28を突き合わせ状態にしたときに、各半割本体28それぞれの第1挿通孔38同士が連通し、平面視円形となるように構成されている。
【0037】
底壁30は、
図3及び
図4に図示するように、半割本体28の軸方向の一端側(
図3及び
図4においては、前後方向の前端側)から他端側(
図3及び
図4においては、前後方向の後端側)まで延びるように設けられている。
底壁30には、タイミングベルト載置面39と、第2嵌挿孔40とが設けられている。
タイミングベルト載置面39は、タイミングベルト10(
図2参照)の端末部を用具本体20内に挿入し、後述するタイミングベルト端末部収容室34に収容したときに、タイミングベルト10の端末部が下面10a側を下にして載置される部分として形成されている。タイミングベルト載置面39は、
図4に図示するように、底壁30の軸方向の一端側(
図3及び
図4においては、前後方向の前端側)の内側に平面状に形成されている。
【0038】
第2嵌挿孔40は、後述するタイミングベルト抜け防止部材23の第2嵌挿軸56(
図3及び
図6参照)が挿通する部分として形成されている。第2嵌挿孔40は、
図3及び
図4に図示するように、底壁30の軸方向(
図3及び
図4においては、前後方向)における中間部に設けられている。第2嵌挿孔40は、
図4(a)に図示するように、底壁30の右縁部を略U字形に切り欠いて形成されている。第2嵌挿孔40は、一対の半割本体28を突き合わせ状態にしたときに、各半割本体28それぞれの第2嵌挿孔40同士が連通し、平面視円形となるように構成されている。
【0039】
前壁31は、
図3及び
図4に図示するように、側壁33の軸方向における一端側(
図3及び
図4においては、前後方向の前端側)に連続して設けられ、タイミングベルト挿脱口41と、タイミングベルト固定レバー係合部42とが形成されている。
タイミングベルト挿脱口41は、タイミングベルト10(
図2参照)の端末部をタイミングベルト端末部収容室34に挿脱する部分として設けられている。タイミングベルト挿脱口41は、
図4に図示するように、前壁31の下側を貫通し、タイミングベルト端末部収容室34に連通するように形成されている。
【0040】
タイミングベルト固定レバー係合部42は、タイミングベルト固定レバー21(
図3参照)を係合し、タイミングベルト10の端末部を固定した状態を保持するための部分として設けられている。タイミングベルト固定レバー係合部42は、
図3及び
図4に図示するように、前壁31の内側に凹状に形成されている。
【0041】
後壁32は、
図3及び
図4に図示するように、上壁29と、底壁30と、側壁33のそれぞれの軸方向における他端側(
図3及び
図4においては、前後方向の後端側)に連続して設けられ、ボルト挿通孔43が形成されている。ボルト挿通孔43は、ボルト収容室36に連通するように形成されている。
【0042】
側壁33は、
図3及び
図4に図示するように、底壁30の左右方向における左端側から上方に立設されている。側壁33の内面には、
図3及び
図4に図示するように、ガイド長孔44が形成されている。
ガイド長孔44は、
図3に図示するように、タイミングベルト固定レバー21の後述する回動軸45を係合する部分として形成されている。ガイド長孔44は、タイミングベルト固定レバー21が回動可能に、且つ、用具本体20の軸方向(
図3及び
図4においては、前後方向)に移動可能に取り付けることができるような形状に形成されている。ガイド長孔44は、長円形に形成された溝であって、側壁33の中間部に側壁33の軸方向(
図3及び
図4においては、前後方向)に沿って直線状に延びるように形成されている。
【0043】
側壁の外面には、
図3及び
図4に図示するように、複数のビス用孔25が貫通形成されている。複数のビス用孔25は、それぞれ、
図3に図示するビス26が挿通可能となるように形成されている。
【0044】
タイミングベルト端末部収容室34は、
図4に図示するタイミングベルト挿脱口41から挿入されたタイミングベルト10(
図2参照)の端末部を収容する部分として形成されている。タイミングベルト端末部収容室34は、
図3及び
図4に図示するように、半割本体28の軸方向の一端側(
図3及び
図4においては、前後方向の前端側)に形成され、一対の半割本体28を突き合わせ状態にしたときに、各半割本体28それぞれのタイミングベルト端末部収容室37同士が連通し、1つの収容室を形成するような構成となっている。
【0045】
タイミングベルト抜け防止部材収容室35は、
図3に図示するように、タイミングベルト抜け防止部材23を収容する部分として形成されている。タイミングベルト抜け防止部材収容室35は、
図3及び
図4に図示するように、半割本体28の軸方向(
図3及び
図4においては、前後方向)中間部に形成され、タイミングベルト端末部収容室34に連通するように形成されている。タイミングベルト抜け防止部材収容室35は、一対の半割本体28を突き合わせ状態にしたときに、各半割本体28それぞれのタイミングベルト抜け防止部材収容室35同士が連通し、1つの収容室を形成するような構成となっている。
【0046】
ボルト収容室36は、ボルト18(
図2参照)を収容する部分として形成されている。ボルト収容室36は、
図4に図示するように、半割本体28の軸方向の他端側(
図3及び
図4においては、前後方向の後端側)に形成され、タイミングベルト抜け防止部材収容室35に連通するように形成されている。ボルト収容室36は、一対の半割本体28を突き合わせ状態にしたときに、各半割本体28それぞれのボルト収容室
36同士が連通し、1つの収容室を形成するような構成となっている。ボルト収容室
36には、
図2に図示するナット19を装着するナット装着部50が形成されている。
【0047】
つぎに、タイミングベルト固定レバー21について説明する。
タイミングベルト固定レバー21は、
図3及び
図5に図示するように、一対の回動軸45と、タイミングベルト当接部46と、移動規制突起47と、抜け止め溝48と、係合突起49とを備えて構成されている。
一対の回動軸45は、
図5に図示するように、タイミングベルト固定レバー21の軸方向の一端側(
図5においては、前後方向の後端側)に形成され、
図5における左右両側から突出するように設けられている。
【0048】
タイミングベルト当接部46は、タイミングベルト10(
図2参照)の端末部の先端が当接する部分として設けられている。また、タイミングベルト当接部46は、後述する第1付勢部材22による付勢を受ける部分として設けられている。タイミングベルト当接部46は、
図5に図示するように、タイミングベルト固定レバー21の軸方向の一端側(
図5においては、前後方向の後端側)から下方へ延びるように形成されている。
【0049】
移動規制突起47は、タイミングベルト10(
図2参照)の挿入方向へのタイミングベルト固定レバー21の移動を規制するための部分として設けられている。移動規制突起47は、
図5に図示するように、タイミングベルト固定レバー21の軸方向の一端側(
図5においては、前後方向の後端側)に凸状に形成されている。
【0050】
抜け止め溝48は、タイミングベルト10(
図2参照)の歯部10bに係合しタイミングベルト10を抜け止めするための部分として設けられている。抜け止め溝48は、
図5に図示するように、タイミングベルト固定レバー21の下面に複数条(本実施例では3条)設けられている。各抜け止め溝48は、
図5においては左右方向に延びる略U字形の形状を有し、
図2に図示するタイミングベルト10の歯部10bが嵌合可能な形状に形成されている。
【0051】
係合突起49は、
図5に図示するように、タイミングベルト固定レバー21の軸方向の他端側(
図5においては、前後方向の前端側)に突設され、
図3及び
図4に図示するタイミングベルト固定レバー係合部42に係合可能な形状に形成されている。
【0052】
つぎに、第1付勢部材22について説明する。
第1付勢部材22は、タイミングベルト固定レバー21を付勢し、タイミングベルト固定レバー21の他端側を、タイミングベルト10(
図2参照)の端末部を固定する位置からタイミングベルト10の固定を解除する位置に向かって回動させる部材として備えられている。第1付勢部材22は、タイミングベルト固定レバー21を付勢する力(スプリング力)が、後述する第2付勢部材24がタイミングベルト抜け防止部材23を付勢する力(スプリング力)よりも大きくなるように設定されている。
第1付勢部材22は、特に限定するものではないが、
図3に図示するような形状に形成され、リング部51と、第1脚部52と、第2脚部53とを備えて構成されるスプリングである。第1付勢部材22は、
図3に図示するようなスプリングに限定されるものではなく、他の弾性を有する部材であってもよいものとする(他の具体例としては、実施例2を参照)。
【0053】
つぎに、タイミングベルト抜け防止部材23について説明する。
タイミングベルト抜け防止部材23は、
図6に図示するように、軸状に形成され、第1嵌挿軸54と、移動規制部55と、第2嵌挿軸56とを備えて構成されている。
第1嵌挿軸54は、特許請求の範囲における「嵌挿軸」に相当するものである。
第1嵌挿軸54は、
図6に図示するように、タイミングベルト抜け防止部材23の軸方向の一端側(
図6においては、上下方向の上側)に円柱状に形成されている。第1嵌挿軸54は、
図3に図示する用具本体20の上壁29に形成された第1嵌挿孔38に嵌挿することができるように形成されている。第1嵌挿軸54は、第1嵌挿孔38に嵌挿されたときに用具本体20の軸方向に直交する方向(
図3においては、上下方向)に移動可能となるように形成されている。
【0054】
移動規制部55は、タイミングベルトの挿入方向へのタイミングベルト固定レバーの移動を規制する部分として設けられている。本実施例において、移動規制部55は、
図6に図示するように、第1嵌挿軸54の下端に連続して設けられ円柱状に形成されている。移動規制部55は、タイミングベルト固定レバー21がタイミングベルト10を固定した状態において、
図5に図示するタイミングベルト固定レバー21の移動規制突起47と略同じ高さ位置に配置されるように設けられている。
【0055】
第2嵌挿軸56は、特許請求の範囲における「嵌挿軸」に相当するものである。
第2嵌挿軸56は、
図6に図示するように、移動規制部55の下端に連続して設けられ円柱状に形成されている。第2嵌挿軸56は、
図3に図示する用具本体20の底壁30に形成された第2嵌挿孔40に嵌挿することができるように形成されている。第2嵌挿軸56は、第2嵌挿孔40に嵌挿されたときに用具本体20の軸方向に直交する方向(
図3においては、上下方向)に移動可能となるように形成されている。第2嵌挿軸56は、後述する第2付勢部材24を嵌挿する部分として形成されている。
【0056】
つぎに、第2付勢部材24について説明する。
第2付勢部材24は、
タイミングベルト抜け防止部材23の移動規制部55を押し上げるように付勢する部材として備えられている。第2付勢部材24は、タイミングベルト抜け防止部材23を付勢する力(スプリング力)が、第1付勢部材22がタイミングベルト固定レバー21を付勢する力(スプリング力)よりも
小さくなるように設定されている。
本実施例では、第2付勢部材24は、特に限定するものではないが、
図3及び
図6に図示するような形状に形成されたコイルスプリングであるものとする。第2付勢部材24は、
図3及び
図6に図示するようなコイルスプリングに限定されるものではなく、他の弾性を有する部材であってもよいものとする。
【0057】
つぎに、タイミングベルト連結用具11の組み立て作業の手順について説明する。
まず、
図3において、タイミングベルト固定レバー21の一方(
図3においては、左右方向の右側)の回動軸45に第1付勢部材22のリング部51を挿通し、第2脚部53をタイミングベルト固定レバー21のタイミングベルト当接部
46の上面に載置する(
図8参照)。
また、
図3に図示する第2付勢部材24を、タイミングベルト抜け防止部材23の第2嵌挿軸56に挿通する。
【0058】
しかる後、
図3に図示するタイミングベルト固定レバー21の回動軸45を半割本体28のガイド長孔44に取り付ける。また、
図3に図示するタイミングベルト抜け防止部材23の第1嵌挿軸54を、用具本体20の第1嵌挿孔38に嵌挿し、タイミングベルト抜け防止部材23の第2嵌挿軸56を用具本体20の第2嵌挿孔40に嵌挿する。これにより、タイミングベルト抜け防止部材23の移動規制部55がタイミングベルト抜け防止部材収容部35に収容される(
図8参照)。さらに、
図2に図示するナット19を、
図3及び
図4に図示するナット装着部48に装着する。
最後に、
図7に図示するように、一対の半割本体28を突き合わせた状態にし、ビス26をビス用孔25に挿通する。そして、ビス26とナット27とを螺合する。これにより、上記突き合わせ状態を固定する。
以上により、タイミングベルト連結用具11の組み立て作業が完了する。
【0059】
つぎに、タイミングベルト10の端末部を、タイミングベルト連結用具11に接続固定する作業の手順と、各部の動作について説明する。
まず、
図8に図示するように、タイミングベルト抜け防止部材23の第1嵌挿軸54を、
図8に図示する矢印Aの指示する方向に押し下げ、移動規制部55をタイミングベルト抜け防止部材収容室35の下側に移動させる。
すると、タイミングベルト固定レバー21は、このタイミングベルト固定レバー21の一端側(タイミングベルト当接部46)が第1付勢部材22によって付勢され、タイミングベルト固定レバー21の他端側(
図8においては、前後方向の前端側)がタイミングベルト10を固定する位置からタイミングベルト10の固定を解除する位置に向かって(
図8においては、矢印Cが指示する方向とは反対の方向に)回動する。
また、タイミングベルト10の端末部を、
図8に図示する矢印Bの指示する方向からタイミングベルト挿脱口41を挿通させ、タイミングベルト端末部収容室34内に挿入する。そして、タイミングベルト10の先端をタイミングベルト当接部46に当接させる。
【0060】
そして、タイミングベルト固定レバー21を上方から押し下げ、
図8に図示する矢印Cの指示する方向に回動させる。すると、タイミングベルト固定レバー21の他端側は、
図9に図示するように、レバー出入口37を通過し、タイミングベルト10の端末部を固定する位置に達して回動を終了する。このとき、タイミングベルト固定レバー21の抜け止め溝48がタイミングベルト10の歯部10bに嵌合する。
しかる後、タイミングベルト抜け防止部材23の第1嵌挿軸54の押し下げを解除する。すると、移動規制部55が第2付勢部材24によって
図9に図示する矢印Dの指示する方向に付勢される。これにより、移動規制部55が矢印Dの指示する方向に移動する。
【0061】
そして、
図9において、タイミングベルト10を、引出方向(
図9に図示する矢印Eの指示する方向)へ牽引することでタイミングベルト固定レバー21の回動軸45をガイド長孔44に沿って
図9に図示する矢印Eの指示する方向に移動させる。
すると、
図10に図示するように、タイミングベルト固定レバー21の係合突起49が、用具本体20のタイミングベルト固定レバー係合部42に係合する。
以上により、タイミングベルト10の端末部を、タイミングベルト連結用具11に接続固定する作業が完了する。
【0062】
ここで、タイミングベルト10に、このタイミングベルト10を用具本体20へ挿入する際の挿入方向に押し込もうとする力が働いた場合の、本発明の作用について説明する。
図1に図示するような自動ドア装置1のドア4がストッパーに当たったときに、タイミングベルト10には、
図11に図示するように、このタイミングベルト10を用具本体20へ挿入する際の挿入方向(
図11においては、矢印Fの指示する方向)に押し込もうとする力が働く。
【0063】
このような場合に、
図23に図示する従来技術のタイミングベルト連結用具201であれば、タイミングベルト202が用具本体203への挿入方向(
図23(c)においては、矢印Zの指示する方向)に押し込まれ、回動レバー204の係留部209と用具本体203の回動レバー用係止部206との係合が解除されてしまう。これにより、タイミングベルト連結用具201は、回動レバー204が開いてしまい、タイミングベルト202の端末の接続固定状態が解除される。そして、タイミングベルト202がタイミングベルト連結用具201から離脱してしまう。
【0064】
これに対し、本実施例のタイミングベルト連結用具11は、
図11に図示するように、タイミングベルト抜け防止部材23の移動規制部55がタイミングベルト固定レバー21の移動規制突起47と略同じ高さ位置に配置されている状態においては、タイミングベルト10に、このタイミングベルト10を用具本体20へ挿入する際の挿入方向(
図11においては、矢印Fの指示する方向)に押し込もうとする力が働いても、タイミングベルト固定レバー21の移動規制突起47がタイミングベルト抜け防止部材23の移動規制部55に当接する。これにより、タイミングベルト固定レバー21の
図11に図示する矢印Fの指示する方向への移動が規制される。このため、タイミングベルト固定レバー21の係合突起49と、用具本体20のタイミングベルト固定レバー係合部42との係合が解除されることはない。
したがって、タイミングベルト10が用具本体20から離脱しなくなる。
【0065】
最後に、タイミングベルト10の端末部と、タイミングベルト連結用具11との接続固定を解除する作業の手順と、各部の動作について説明する。
まず、
図12に図示するように、タイミングベルト抜け防止部材23の第1嵌挿軸54を、
図12に図示する矢印Gの指示する方向に押し下げる。すると、タイミングベルト抜け防止部材23の移動規制部55は、
図12に図示するように、タイミングベルト固定レバー21の
移動規制突起47の高さ位置よりも下側となる高さ位置に移動する。
【0066】
そして、タイミングベルト10を、
図12に図示するように、用具本体20への挿入方向(
図12においては、矢印Hの指示する方向)に押し込み、タイミングベルト固定レバー21の回動軸45をガイド長孔44に沿って
図12に図示する矢印Hの指示する方向に移動させる。
【0067】
すると、
図13に図示するように、タイミングベルト固定レバー21の係合突起49と用具本体20のタイミングベルト固定レバー係合部42との係合が解除される。そして、第1付勢部材22の付勢により、タイミングベルト固定レバー21の他端側がタイミングベルト10を固定する位置からタイミングベルト10の固定を解除する位置に向かって(
図13においては、矢印Jの指示する方向に)回動する。
以上により、タイミングベルト10の端末部と、タイミングベルト連結用具11との接続固定を解除する作業が完了する。
【0068】
以上、
図1−
図13を参照しながら説明してきたように、本発明のタイミングベルト連結用具によれば、タイミングベルト固定レバー21によってタイミングベルト10を固定した状態にすると、タイミングベルト抜け防止部材23によってタイミングベルト10の挿入方向へのタイミングベルト固定レバー21の移動が規制される。これにより、従来技術のように回動停止用ビスを用いることなくタイミングベルト固定レバー21がタイミングベルト10を固定する位置からタイミングベルト10の固定を解除する位置に向かって回動するのを阻止することができる。このことから、タイミングベルト10の端末の接続固定作業における回動停止用ビスの取り付けを省略することができる。また、ドア4がストッパーに当たったときにタイミングベルト10が用具本体20への挿入方向に押し込まれても、タイミングベルト抜け防止部材23によってタイミングベルト10の挿入方向へのタイミングベルト固定レバー21の移動が規制される。これにより、タイミングベルト固定レバー21によるタイミングベルト10の固定状態が解除されないようにすることができる。このことから、タイミングベルト10が用具本体20から離脱するのを防止することができる。
したがって、タイミングベルト10の端末の接続固定に係る作業性を良好にしつつ、タイミングベルト10が押し込まれた場合であってもタイミングベルト10の接続固定が解除されるのを防止することができるという効果を奏する。
【0069】
また、本発明のタイミングベルト連結用具によれば、ドア4がストッパーに当たったときにタイミングベルト10が用具本体20への挿入方向に押し込まれても、タイミングベルト固定レバー21の一端が移動規制部55に当接する。すると、タイミングベルト10の挿入方向へのタイミングベルト固定レバー21の移動を規制することができる。これにより、タイミングベルト固定レバー21によるタイミングベルト10の固定状態が解除されず、タイミングベルト10が用具本体20から離脱するのを確実に防止することができる。
したがって、タイミングベルト10が挿入方向に押し込まれた場合であってもタイミングベルト10の接続固定が解除されるのを確実に防止することができるという効果を奏する。
【0070】
また、本発明のタイミングベルト連結用具によれば、タイミングベルト抜け防止部材23が第2付勢部材24によって付勢されるため、移動規制部55をタイミングベルト固定レバー21の一端と略同じ高さ位置に配置することができる。これにより、タイミングベルト10の挿入方向へのタイミングベルト固定レバー21の移動を、より確実に阻止することができる。また、タイミングベルト10の端末の接続固定を解除する際は、タイミングベルト抜け防止部材23を押し下げることにより、移動規制部55によるタイミングベルト固定レバー21の移動規制を解除することができる。さらに、タイミングベルト固定レバー21の一端側が第1付勢部材22によって付勢されているため、移動規制部55によるタイミングベルト固定レバー21の移動規制を解除した後、タイミングベルト固定レバー21と用具本体20との係合を解除すると、タイミングベルト固定レバー21の他端側がタイミングベルト10を固定する位置からタイミングベルト10の固定を解除する位置に向かって回動する。
したがって、タイミングベルト10の端末の接続固定に係る作業性を、さらに向上させつつ、タイミングベルト10が押し込まれた場合であっても、より確実にタイミングベルト10の接続固定が解除するのを防止することができるという効果を奏する。
【0071】
さらに、本発明のタイミングベルト連結用具を備える自動ドア装置は、上記構成のタイミングベルト連結用具11と同様の効果を奏する。
【実施例2】
【0072】
本発明に係るタイミングベルト連結用具、及び、自動ドア装置は、実施例1の他、下記の実施例2を用いてもよいものとする。
以下、
図14−
図21を参照しながら実施例2を説明する。
図14はタイミングベルト連結用具の実施例2の分解斜視図、
図15は実施例2における第1付勢部材の平面図、正面図、及び、側面図、
図16は、タイミングベルトの端末をタイミングベルト連結用具に接続固定する作業手順の説明図であって、タイミングベルト固定レバーをタイミングベルトの端末に固定する前の状態を示す図、
図17はタイミングベルト固定レバーをタイミングベルトの端末に装着した状態であって、タイミングベルト固定レバーを用具本体に係合する前の状態を示す図、
図18はタイミングベルト固定レバーを用具本体に係合した状態を示す図、
図19はタイミングベルトが用具本体への挿入方向に押し込まれた際の本発明の作用を説明する図、
図20はタイミングベルトの端末とタイミングベルト連結用具との接続固定を解除する作業手順の説明図であって、タイミングベルト抜け防止部材を押し下げた状態を示す図、
図21はタイミングベルト固定レバーと用具本体との係合を解除した状態を示す図である。
図14−
図21において、実施例1と同一の構成部材には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
なお、図中の矢印は、前後、上下、左右の各方向を示している(矢印の各方向は一例であるものとする)。
【0073】
図14において、引用符号61は、本発明のタイミングベルト連結用具の実施例2を示している。
本実施例におけるタイミングベルト連結用具61は、
図14に図示する第1付勢部材62の構成及び構造以外は、実施例1と同じ構成及び構造を備えている。
したがって、本実施例では、第1付勢部材62の構成について説明し、他の構成及び構造の詳細な説明は省略する。
【0074】
本実施例における第1付勢部材62は、所定の板厚を有する金属板からなり、
図14及び
図15に図示するような形状に形成される板バネである。
第1付勢部材62の弾力は、板バネの板厚を変更することにより調整するものとする。第1付勢部材62は、実施例1における第1付勢部材22と同様、タイミングベルト固定レバー21を付勢する力(スプリング力)が、第2付勢部材24がタイミングベルト抜け防止部材23を付勢する力(スプリング力)よりも大きくなるように設定されている。
【0075】
第1付勢部材62は、上板63と、第1側板64と、第2側板65とを備えて構成されている。
上板63には、
図15(a)に図示するように、挿通孔66と、切り欠き部67とが設けられている。
挿通孔66は、
図15に図示するように、上板63の中央部に貫通形成されている。挿通孔66は、
図14に図示するタイミングベルト抜け防止部材23の第1嵌挿軸54を挿通可能に形成されている。
切り欠き部67は、
図15(a),(b)に図示するように、上板63の中間部から後述する第1側板64の中間部にわたって切り欠き形成されている。切り欠き部67は、
図14に図示するタイミングベルト固定レバー21の移動規制突起47が挿通可能となるような形状に形成されている。
【0076】
第1側板64は、
図15(c)に図示するように、上板63の前端に連続して設けられ下方に傾斜するように形成されている。第1側板64は、
図15(c)に仮想線で図示するように、弾性変形するように形成されている。第1側板64には、上端から中間部にわたって上板63から連続する切り欠き部67が形成されている。
【0077】
第2側板65は、
図15(c)に図示するように、上板63の後端に連続して設けられ、上板63に対して略直交して下方に延びるように形成されている。
【0078】
つぎに、タイミングベルト連結用具61の組み立て作業の手順について説明する。
タイミングベルト連結用具61の組み立て作業の手順は
、第1付勢部材62の挿通孔66に、タイミングベルト抜け防止部材23の第1嵌挿軸54を挿通する点、及び、タイミングベルト固定レバー21を、移動規制突起47が第1付勢部材62の第1側板64に形成された切り欠き部67に挿通され、タイミングベルト当接部46が第1側板64と接触するように配置する点以外は、実施例1における組み立て作業の手順と同一である。
【0079】
つぎに、タイミングベルト10の端末部を、タイミングベルト連結用具61に接続固定する作業の手順と、各部の動作について説明する。
まず、
図16に図示するように、タイミングベルト抜け防止部材23の第1嵌挿軸54を、
図16に図示する矢印Kの指示する方向に押し下げ、移動規制部55をタイミングベルト抜け防止部材収容室35の下側に移動させる。
すると、タイミングベルト固定レバー21は、このタイミングベルト固定レバー21の一端側(タイミングベルト当接部46)が第1付勢部材62によって付勢され、タイミングベルト固定レバー21の他端側(
図8においては、前後方向の前端側)がタイミングベルト10を固定する位置からタイミングベルト10の固定を解除する位置に向かって(
図16においては、矢印Mが指示する方向とは反対の方向に)回動する。
また、タイミングベルト10の端末部を、
図16に図示する矢印Lの指示する方向からタイミングベルト挿脱口41を挿通させ、タイミングベルト端末部収容室34内に挿入する。そして、タイミングベルト10の先端をタイミングベルト当接部46に当接させる。
【0080】
そして、タイミングベルト固定レバー21を上方から押し下げ、
図16に図示する矢印Mの指示する方向に回動させる。すると、タイミングベルト固定レバー21の他端側は、
図17に図示するように、レバー出入口37を通過し、タイミングベルト10の端末部を固定する位置に達して回動を終了する。このとき、タイミングベルト固定レバー21の抜け止め溝48がタイミングベルト10の歯部10bに嵌合する。
しかる後、タイミングベルト抜け防止部材23の第1嵌挿軸54の押し下げを解除する。すると、移動規制部55が第2付勢部材24によって
図17に図示する矢印Nの指示する方向に付勢される。これにより、移動規制部55が矢印Nの指示する方向に移動する。
【0081】
そして、
図17において、タイミングベルト10を、引出方向(
図17に図示する矢印Pの指示する方向)へ牽引することでタイミングベルト固定レバー21の回動軸45をガイド長孔44に沿って
図17に図示する矢印Pの指示する方向に移動させる。
すると、
図18に図示するように、タイミングベルト固定レバー21の係合突起49が、用具本体20のタイミングベルト固定レバー係合部42に係合する。
以上により、タイミングベルト10の端末部を、タイミングベルト連結用具61に接続固定する作業が完了する。
【0082】
ここで、タイミングベルト10に、このタイミングベルト10を用具本体20へ挿入する際の挿入方向に押し込もうとする力が働いた場合の、本発明の作用について説明する。
図1に図示するような自動ドア装置1のドア4がストッパーに当たったときに、タイミングベルト10には、
図19に図示するように、このタイミングベルト10を用具本体20へ挿入する際の挿入方向(
図19においては、矢印Qの指示する方向)に押し込もうとする力が働く。
【0083】
このような場合に、
図23に図示する従来技術のタイミングベルト連結用具201であれば、タイミングベルト202が用具本体203への挿入方向(
図23(c)においては、矢印Zの指示する方向)に押し込まれ、回動レバー204の係留部209と用具本体203の回動レバー用係止部206との係合が解除されてしまう。これにより、タイミングベルト連結用具201は、回動レバー204が開いてしまい、タイミングベルト202の端末の接続固定状態が解除される。そして、タイミングベルト202がタイミングベルト連結用具201から離脱してしまう。
【0084】
これに対し、本実施例のタイミングベルト連結用具61は、
図19に図示するように、タイミングベルト抜け防止部材23の移動規制部55がタイミングベルト固定レバー21の移動規制突起47と略同じ高さ位置に配置されている状態においては、タイミングベルト10に、このタイミングベルト10を用具本体20へ挿入する際の挿入方向(
図19においては、矢印Qの指示する方向)に押し込もうとする力が働いても、タイミングベルト固定レバー21の移動規制突起47がタイミングベルト抜け防止部材23の移動規制部55に当接する。これにより、タイミングベルト固定レバー21の
図11に図示する矢印Qの指示する方向への移動が規制される。このため、タイミングベルト固定レバー21の係合突起49と、用具本体20のタイミングベルト固定レバー係合部42との係合が解除されることはない。
したがって、タイミングベルト10が用具本体20から離脱しなくなる。
【0085】
最後に、タイミングベルト10の端末部と、タイミングベルト連結用具61との接続固定を解除する作業の手順と、各部の動作について説明する。
まず、
図20に図示するように、タイミングベルト抜け防止部材23の第1嵌挿軸54を、
図20に図示する矢印Rの指示する方向に押し下げる。すると、タイミングベルト抜け防止部材23の移動規制部55は、
図20に図示するように、タイミングベルト固定レバー21の
移動規制突起47の高さ位置よりも下側となる高さ位置に移動する。
【0086】
そして、タイミングベルト10を、
図20に図示するように、用具本体20への挿入方向(
図20においては、矢印Sの指示する方向)に押し込み、タイミングベルト固定レバー21の回動軸45をガイド長孔44に沿って
図20に図示する矢印Sの指示する方向に移動させる。
【0087】
すると、
図21に図示するように、タイミングベルト固定レバー21の係合突起49と用具本体20のタイミングベルト固定レバー係合部42との係合が解除される。そして、第1付勢部材62の付勢により、タイミングベルト固定レバー21の他端側がタイミングベルト21を固定する位置からタイミングベルト10の固定を解除する位置に向かって(
図21においては、矢印Uの指示する方向に)回動する。
以上により、タイミングベルト10の端末部と、タイミングベルト連結用具61との接続固定を解除する作業が完了する。
【0088】
以上、
図14−
図21を参照しながら説明してきたように、本発明によれば、実施例1と同様の効果を奏する。
【0089】
この他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。