(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
−フィルム巻取装置の概略構成−
まず、
図1を参照して、本実施形態によるフィルム巻取装置100の概略構成について説明する。
【0017】
フィルム巻取装置100は、
図1に示すように、製膜ライン(上流側)から供給されるフィルム150を巻き取るとともに、そのフィルム150を巻き取る巻芯151を切り替え可能に構成されている。このフィルム巻取装置100では、円筒状の巻芯151の両端を保持し、その巻芯151を回転させることによりフィルム150を巻き取る、いわゆるシャフトレスでの巻き取りを行うようになっている。また、フィルム巻取装置100は、フィルム150の上面が内側に配置されるように巻き取る下巻取りを行うように構成されている。
【0018】
なお、製膜ラインから供給されるフィルム150は、たとえば樹脂製の帯状フィルムであり、シャフトレスでの巻き取りが可能なものである。また、フィルム150は、幅方向(X1およびX2方向)において厚みにムラが発生する場合がある。
【0019】
フィルム巻取装置100は、上流側巻取ベース11および下流側巻取ベース12と、上流側巻取ベース11および下流側巻取ベース12にそれぞれ着脱可能に装着される巻取機構13と、上流側タッチローラベース14および下流側タッチローラベース15と、上流側タッチローラベース14および下流側タッチローラベース15にそれぞれ着脱可能に装着されるタッチローラアーム16とを備えている。
【0020】
なお、上流側巻取ベース11、下流側巻取ベース12、上流側タッチローラベース14および下流側タッチローラベース15などは、フィルム150の幅方向(巻芯151の軸方向)の両端にそれぞれ設けられている。すなわち、これらは、フィルム150の幅方向において対向するように設けられているが、
図1では片側のみを示している。
【0021】
上流側巻取ベース11は、水平方向(Y1およびY2方向)に移動可能に設けられている。この上流側巻取ベース11は、装着された巻取機構13を垂直方向(Z1およびZ2方向)に移動可能であり、装着された巻取機構13を下流側巻取ベース12に受け渡し可能に構成されている。
【0022】
下流側巻取ベース12は、上流側巻取ベース11よりも下流側(Y1方向側)に配置され、水平方向に移動可能に設けられている。この下流側巻取ベース12は、装着された巻取機構13を垂直方向に移動可能であり、装着された巻取機構13を上流側巻取ベース11に受け渡し可能に構成されている。
【0023】
巻取機構13は、巻芯151を回転可能に保持するように構成されている。なお、巻取機構13の詳細については後述する。
【0024】
上流側タッチローラベース14は、上流側巻取ベース11および下流側巻取ベース12の下方に配置されている。この上流側タッチローラベース14は、装着されたタッチローラアーム16を垂直方向に移動可能であり、装着されたタッチローラアーム16を下流側タッチローラベース15に受け渡し可能に構成されている。なお、上流側タッチローラベース14は、水平方向に移動しないように固定されている。
【0025】
下流側タッチローラベース15は、上流側巻取ベース11および下流側巻取ベース12の下方に配置されている。この下流側タッチローラベース15は、上流側タッチローラベース14よりも下流側に配置され、水平方向に移動可能に設けられている。また、下流側タッチローラベース15は、装着されたタッチローラアーム16を垂直方向に移動可能であり、装着されたタッチローラアーム16を上流側タッチローラベース14に受け渡し可能に構成されている。
【0026】
タッチローラアーム16は、タッチローラ16aを回転可能に支持するように構成されている。このタッチローラ16aは、フィルム150の下面に接触され、そのフィルム150を巻芯151に押圧するために設けられている。
【0027】
また、フィルム巻取装置100には、フィルム150を搬送するための複数のローラ17が設けられるとともに、巻芯151の切替時にフィルム150を切断するための切断装置(図示省略)が設けられている。また、フィルム巻取装置100には、フィルム150の巻き取りが終了されたロール152(
図7参照)を載置するための荷台18が設けられている。
【0028】
−フィルム巻取装置の動作−
次に、
図1〜
図7を参照して、本実施形態によるフィルム巻取装置100の動作について説明する。
【0029】
なお、フィルム巻取装置100によるフィルム150の巻取時には、
図1に示すように、上流側巻取ベース11が上流側(Y2方向側)に配置され、下流側巻取ベース12および下流側タッチローラベース15が下流側(Y1方向側)に配置される。また、上流側巻取ベース11に装着された巻取機構13が下側に配置され、下流側巻取ベース12に装着された巻取機構13が上側に配置され、上流側タッチローラベース14に装着されたタッチローラアーム16が上側に配置され、下流側タッチローラベース15に装着されたタッチローラアーム16が下側に配置される。
【0030】
まず、製膜ライン(上流側)から供給されるフィルム150が複数のローラ17により、上流側巻取ベース11に装着された巻取機構13の巻芯151と、上流側タッチローラベース14に装着されたタッチローラアーム16のタッチローラ16aとの間に搬送される。そして、上流側巻取ベース11の巻芯151にフィルム150が巻き取られる。このとき、フィルム150の下面がタッチローラ16aにより押圧された状態で、巻芯151が
図1において反時計回りに回転されており、フィルム150の上面が内側に配置されるように巻き取られる。すなわち、フィルム巻取装置100では下巻取りが行われる。
【0031】
そして、
図2に示すように、フィルム150の巻き取りに起因する巻き径の増大に応じて上流側巻取ベース11が下流側(Y1方向側)に移動する。
【0032】
その後、巻芯151の切り替えが開始されると、まず、
図3に示すように、下流側巻取ベース12および下流側タッチローラベース15が上流側(Y2方向側)に移動する。これにより、上流側巻取ベース11に装着された巻取機構13が下流側巻取ベース12に隣接配置されるとともに、下流側巻取ベース12に装着された巻取機構13が上流側巻取ベース11に隣接配置される。同様に、上流側タッチローラベース14に装着されたタッチローラアーム16が下流側タッチローラベース15に隣接配置されるとともに、下流側タッチローラベース15に装着されたタッチローラアーム16が上流側タッチローラベース14に隣接配置される。
【0033】
そして、
図4に示すように、上流側巻取ベース11に装着されていた巻取機構13(下側の巻取機構13)が下流側巻取ベース12に受け渡されるとともに、下流側巻取ベース12に装着されていた巻取機構13(上側の巻取機構13)が上流側巻取ベース11に受け渡される。同様に、上流側タッチローラベース14に装着されていたタッチローラアーム16(上側のタッチローラアーム16)が下流側タッチローラベース15に受け渡されるとともに、下流側タッチローラベース15に装着されていたタッチローラアーム16(下側のタッチローラアーム16)が上流側タッチローラベース14に受け渡される。
【0034】
そして、
図5に示すように、下流側タッチローラベース15に受け渡されたタッチローラ16aにより押圧されるフィルム150が下流側巻取ベース12に受け渡された巻芯151により巻き取られながら、下流側巻取ベース12および下流側タッチローラベース15が下流側に移動する。また、上流側巻取ベース11が上流側に移動する。これにより、巻き取りを行っている巻芯151が下流側に配置されるとともに、新しい巻芯151が上流側に配置される。
【0035】
その後、
図6に示すように、上流側巻取ベース11に装着された巻取機構13が下降されるとともに、上流側タッチローラベース14に装着されたタッチローラアーム16が上昇される。これにより、上流側タッチローラベース14のタッチローラ16aによりフィルム150が上流側巻取ベース11の新しい巻芯151に押圧される。
【0036】
そして、図示省略した切断装置によりフィルム150が切断され、その切断されたフィルム150が上流側巻取ベース11に装着された巻取機構13の新しい巻芯151に巻き付けられる。なお、新しい巻芯151は反時計回りに回転されており、新しい巻芯151によってフィルム150が巻き取られる。このようにして、フィルム150を巻き取りながら、フィルム150を巻き取る巻芯151が切り替えられる。すなわち、このフィルム巻取装置100では、巻芯151が切り替えられる際に、巻芯151が直線的に移動されている間も、フィルム150の巻き取りが停止されることなく行われるようになっている。
【0037】
その後、
図7に示すように、下流側タッチローラベース15に装着されたタッチローラアーム16が下降され、下流側タッチローラベース15が次回の巻芯151の切り替えまで待機する。また、下流側巻取ベース12が下流側(Y1方向側)に移動するとともに、荷台18が上昇する。これにより、フィルム150の巻き取りが終了されたロール152が荷台18に受け渡される。
【0038】
その後、下流側巻取ベース12に装着された巻取機構13に新しい巻芯151が保持され、その巻取機構13が上昇する。また、荷台18からロール152が排出される。
【0039】
以上の動作が繰り返し行われることにより、巻芯151の切り替えを行いながら、フィルム150が連続的に巻き取られる。
【0040】
−巻取機構の構成−
次に、
図8および
図9を参照して、フィルム巻取装置100の巻取機構13の構成について説明する。
【0041】
巻取機構13は、
図8および
図9に示すように、本体部材21および22と、本体部材21および22を連結する連結部材23と、連結部材23に沿って移動可能なスライド部材24および25と、巻芯151(
図1参照)を保持するチャック26および27と、モータ28〜30とを備えている。
【0042】
本体部材21および22は、フィルム150(
図1参照)の幅方向において対向するように設けられている。本体部材21(
図8参照)は、フィルム150の幅方向における一方側(X2方向側)の上流側巻取ベース11または下流側巻取ベース12に装着され、その上流側巻取ベース11または下流側巻取ベース12により垂直方向に移動されるようになっている。本体部材22(
図9参照)は、フィルム150の幅方向における他方側(X1方向側)の上流側巻取ベース11または下流側巻取ベース12に装着され、その上流側巻取ベース11または下流側巻取ベース12により垂直方向に移動されるようになっている。
【0043】
連結部材23は、巻芯151の軸方向(X1およびX2方向)に延びるように形成されており、一端が本体部材21の上端部に連結されるとともに、他端が本体部材22の上端部に連結されている。このため、上流側巻取ベース11または下流側巻取ベース12により本体部材21および22が移動される際に、その本体部材21および22が同期した状態で移動される。すなわち、本体部材21および22が一体的に移動するように構成されている。
【0044】
スライド部材24および25は、巻芯151の軸方向に移動可能であり、連結部材23の下方に配置されている。なお、スライド部材24および25は、それぞれ、本発明の「第1スライド部材」および「第2スライド部材」の一例である。
【0045】
スライド部材24(
図8参照)は、本体部材21の近傍に配置されている。このスライド部材24は、連結部材23のガイドレール23aに係合されるスライド係合部(ガイドシュー)24aと、シャフト32が挿入されるシャフト挿入部24bと、下方に延びるアーム部24cとを有する。連結部材23のガイドレール23aは、巻芯151の軸方向に延びるように形成され、スライド係合部24aは、そのガイドレール23aに沿って移動するように構成されている。シャフト挿入部24bの内周面には、螺旋状の溝が形成されている。
【0046】
スライド部材25(
図9参照)は、本体部材22の近傍に配置されている。このスライド部材25は、連結部材23のガイドレール23bに係合されるスライド係合部25aと、シャフト34が挿入されるシャフト挿入部25bと、下方に延びるアーム部25cとを有する。連結部材23のガイドレール23bは、巻芯151の軸方向に延びるように形成され、スライド係合部25aは、そのガイドレール23bに沿って移動するように構成されている。シャフト挿入部25bの内周面には、螺旋状の溝が形成されている。
【0047】
チャック26(
図8参照)は、スライド部材24のアーム部24cの先端に設けられ、巻芯151の一方端部(X2方向側の端部)を保持するように構成されている。このチャック26は、アーム部24cに対して回転可能に設けられた円筒状のケーシング26aと、ケーシング26a内に配置されたピストン26bと、ピストン26bの軸方向への移動に応じて径方向に移動するラグ26cと、ケーシング26aに設けられたプーリ26dとを有する。ピストン26bは、図示省略したエアシリンダによって軸方向に移動するように構成されている。そして、チャック26は、ラグ26cが突出されることにより、円筒状の巻芯151を内側から押圧して保持するようになっている。なお、チャック26は、本発明の「第1チャック」の一例である。
【0048】
チャック27(
図9参照)は、スライド部材25のアーム部25cの先端に設けられ、巻芯151の他方端部(X1方向側の端部)を保持するように構成されている。このチャック27は、アーム部25cに対して回転可能に設けられた円筒状のケーシング27aと、ケーシング27a内に配置されたピストン27bと、ピストン27bの軸方向への移動に応じて径方向に移動するラグ27cとを有する。ピストン27bは、図示省略したエアシリンダによって軸方向に移動するように構成されている。そして、チャック27は、ラグ27cが突出されることにより、円筒状の巻芯151を内側から押圧して保持するようになっている。なお、チャック27は、本発明の「第2チャック」の一例である。
【0049】
モータ28(
図8参照)は、スライド部材24を移動させるための駆動力源であり、本体部材21に設けられている。モータ28の出力軸にはプーリ28aが設けられている。モータ28とスライド部材24との間には、シャフト31および32が設けられている。なお、モータ28は、本発明の「第1モータ」の一例である。
【0050】
シャフト31は、本体部材21に回転可能に支持されている。このシャフト31は、一端にプーリ31aが設けられ、他端がカップリング40を介してシャフト32に連結されている。プーリ31aおよび28aにはベルト39が巻き掛けられており、モータ28から出力される動力をシャフト31に伝達可能になっている。また、シャフト31には、歯車31bが設けられ、その歯車31bには、シャフト31の回転を検出するためのロータリエンコーダ(図示省略)が連結されている。このロータリエンコーダは、スライド部材24の軸方向における位置を検出するために設けられている。
【0051】
シャフト32は、連結部材23に回転可能に支持されている。このシャフト32は、リードスクリューであり、外周面に螺旋状の溝が形成されている。そして、シャフト32は、スライド部材24のシャフト挿入部24bに挿入されており、シャフト32の外周面の溝とシャフト挿入部24bの内周面の溝とが噛み合っている。また、シャフト32は、電磁クラッチ41およびカップリング42を介してシャフト33に連結されている。シャフト33は、連結部材23に回転可能に支持されている。なお、シャフト32を支持するベアリングは、ラジアル荷重およびアキシャル荷重を受けることが可能である。また、シャフト32は、本発明の「第1シャフト」の一例であり、電磁クラッチ41は、本発明の「第2クラッチ」の一例である。
【0052】
モータ29(
図9参照)は、スライド部材25を移動させるための駆動力源であり、本体部材22に設けられている。モータ29とスライド部材25との間には、シャフト34〜36が設けられている。なお、モータ29は、本発明の「第2モータ」の一例である。
【0053】
シャフト35および36は、本体部材22に回転可能に支持されている。シャフト36は、一端にプーリ36aが設けられ、他端が電磁クラッチ44およびカップリング43を介してモータ29の出力軸に連結されている。シャフト35は、一端がカップリング46を介してシャフト34に連結され、他端にプーリ35aが設けられている。プーリ35aおよび36aにはベルト45が巻き掛けられており、モータ29から出力される動力をシャフト34に伝達可能になっている。また、シャフト35には、歯車35bが設けられ、その歯車35bには、シャフト35の回転を検出するためのロータリエンコーダ47が連結されている。このロータリエンコーダ47は、スライド部材25の軸方向における位置を検出するために設けられている。なお、電磁クラッチ44は、本発明の「第1クラッチ」の一例である。
【0054】
シャフト34は、連結部材23に回転可能に支持されている。このシャフト34は、リードスクリューであり、外周面に螺旋状の溝が形成されている。そして、シャフト34は、スライド部材25のシャフト挿入部25bに挿入されており、シャフト34の外周面の溝とシャフト挿入部25bの内周面の溝とが噛み合っている。シャフト34に形成される溝は、その向き(ねじ方向)およびリードがシャフト32と同じである。このため、シャフト32の回転に対するスライド部材24の移動量と、シャフト34の回転に対するスライド部材25の移動量とが同じである。また、シャフト34は、カップリング50を介してシャフト33に連結されている。なお、シャフト34を支持するベアリングは、ラジアル荷重およびアキシャル荷重を受けることが可能である。また、シャフト34は、本発明の「第2シャフト」の一例である。
【0055】
モータ30(
図8参照)は、チャック26を回転させるための駆動力源であり、本体部材21に設けられている。モータ30とチャック26との間には、シャフト37およびスプラインシャフト38が設けられている。なお、モータ30は、本発明の「第3モータ」の一例である。
【0056】
シャフト37は、本体部材21に回転可能に支持されている。このシャフト37は、一端がモータ30の出力軸に連結され、他端にプーリ37aが設けられている。また、本体部材21にはプーリ21aが回転可能に設けられ、プーリ21aおよび37aにはベルト48が巻き掛けられている。このため、モータ30から出力される動力がプーリ21aに伝達されるようになっている。プーリ21aの中心には貫通孔が形成され、その貫通孔の内周面には軸方向に延びる内歯が形成されている。
【0057】
スプラインシャフト38の外周面には、軸方向に延びる外歯が形成されている。そして、スプラインシャフト38は、一端側がプーリ21aの貫通孔に挿入されており、スプラインシャフト38の外歯とプーリ21aの内歯とが嵌合されている。このため、スプラインシャフト38とプーリ21aとが回転方向に相対回転不能に連結されるとともに、スプラインシャフト38がプーリ21aに対して軸方向に移動可能である。
【0058】
また、スプラインシャフト38は、他端側がスライド部材24のアーム部24cに回転可能に支持されている。スプラインシャフト38にはプーリ38aが設けられ、プーリ38aおよび26dにはベルト49が巻き掛けられている。このため、プーリ21aの回転がスプラインシャフト38などを介してチャック26に伝達されるようになっている。
【0059】
つまり、本実施形態の巻取機構13では、スライド部材24および25を移動させるための動力伝達系統と、巻芯151を回転させるための動力伝達系統とが分離されている。また、スライド部材24および25をそれぞれ独立して移動させるとともに、スライド部材24および25を一体的に移動させることが可能である。
【0060】
−巻取機構の動作−
次に、
図8〜
図11を参照して、フィルム巻取装置100の巻取機構13の動作について説明する。なお、以下では、巻芯151を保持する際の動作と、巻芯151によりフィルム150を巻き取る際の動作について説明する。
【0061】
[巻芯を保持する際の動作]
まず、巻芯151を保持する前の状態では、
図8に示すように、スライド部材24が本体部材21側(X2方向側)に配置されるとともに、
図9に示すように、スライド部材25が本体部材22側(X1方向側)に配置されている。このとき、電磁クラッチ41が解放されており、シャフト32とシャフト34とが機械的に分離されている。また、電磁クラッチ44が係合されており、モータ29によりシャフト34を回転可能な状態である。なお、この状態では、スプラインシャフト38の一方端部(X2方向側の端部)が本体部材21の内部に配置されている。すなわち、本体部材21の内部には、スプラインシャフト38を逃がすための空間が形成されている。
【0062】
そして、チャック26および27の間に巻芯151が配置される。その後、モータ28によってシャフト31および32が回転されることにより、スライド部材24が巻芯151に近づくように(X1方向側に)移動される。なお、スプラインシャフト38は、プーリ21aと摺動され、スライド部材24とともに軸方向(X1方向)に移動される。また、モータ29によってシャフト33〜36が回転されることにより、スライド部材25が巻芯151に近づくように(X2方向側に)移動される。なお、シャフト34の回転方向は、シャフト32の回転方向とは反対方向である。
【0063】
これにより、
図10に示すように、スライド部材24に設けられたチャック26の先端が巻芯151の一方端部に挿入され、
図11に示すように、スライド部材25に設けられたチャック27の先端が巻芯151の他方端部に挿入される。なお、巻芯151の軸方向における長さが大きい場合には、スライド部材24および25の移動量が小さくなり、巻芯151の軸方向における長さが小さい場合には、スライド部材24および25の移動量が大きくなる。
【0064】
そして、エアシリンダ(図示省略)によってピストン26bがX1方向側に移動されることにより、ラグ26cが径方向に突出する。このため、ラグ26cが巻芯151の内周面を押圧することにより、チャック26が巻芯151の一方端部を保持する。また、エアシリンダ(図示省略)によってピストン27bがX2方向側に移動されることにより、ラグ27cが径方向に突出する。このため、ラグ27cが巻芯151の内周面を押圧することにより、チャック27が巻芯151の他方端部を保持する。
【0065】
[フィルムを巻き取る際の動作]
そして、チャック26および27により巻芯151を保持した状態で、モータ30によりシャフト37およびスプラインシャフト38が回転されると、チャック26とともに巻芯151およびチャック27が回転される。これにより、製膜ライン(上流側)から供給されるフィルム150が巻芯151に巻き取られる。
【0066】
ここで、フィルム150の巻き取り時には、電磁クラッチ41が係合されるとともに、電磁クラッチ44が解放される。これにより、フィルム150の巻き取り時にモータ28が回転されると、シャフト32および34が一体的に回転され、スライド部材24および25が同じ向きに移動される。すなわち、スライド部材24および25が互いの距離を保ちながら軸方向に移動される。そして、モータ28によりシャフト32および34の回転方向が交互に変更されることによって、スライド部材24および25が軸方向に揺動される。つまり、このフィルム巻取装置100では、フィルム150の巻き取りを行いながら、チャック26および27により保持される巻芯151を軸方向に揺動させることが可能であり、いわゆるオシレート巻きを行うことが可能である。
【0067】
−効果−
本実施形態では、上記のように、チャック26が設けられたスライド部材24およびチャック27が設けられたスライド部材25を軸方向に移動可能にすることによって、長さの異なる巻芯151に対応することができる。すなわち、巻芯151の長さが異なる場合であっても、チャック26および27により巻芯151を適切に保持してフィルム150を巻き取ることができる。また、巻芯151を軸方向に揺動させながらフィルム150を巻き取ることによって、フィルム150の幅方向において厚みにムラがある場合に、そのムラを幅方向に散らすことができるので、ゲージバンドの発生を抑制することができる。したがって、本実施形態では、直動型でシャフトレスでの巻き取りを行う場合において、長さの異なる巻芯151に対応するとともに、ゲージバンドの発生を抑制することができる。
【0068】
−他の実施形態−
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0069】
たとえば、本実施形態では、上流側タッチローラベース14および下流側タッチローラベース15が上流側巻取ベース11および下流側巻取ベース12の下方に配置され、下巻取りを行うフィルム巻取装置100に本発明を適用する例を示したが、これに限らず、上流側タッチローラベースおよび下流側タッチローラベースが上流側巻取ベースおよび下流側巻取ベースの上方に配置され、上巻取りを行うフィルム巻取装置に本発明を適用してもよい。
【0070】
また、本実施形態では、モータ30によりチャック26が駆動されるとともに、チャック27が従動される例を示したが、これに限らず、両方のチャックがそれぞれモータにより駆動されるようにしてもよい。
【0071】
また、本実施形態において、ベルト49は、張力を加えるためのプーリ(図示省略)にも巻き掛けられている。なお、ベルト39、45および48についても同様である。
【課題】直動型でシャフトレスでの巻き取りを行う場合において、長さの異なる巻芯に対応するとともに、ゲージバンドの発生を抑制することが可能なフィルム巻取装置を提供する。
【解決手段】フィルム巻取装置100は、上流側巻取ベース11および下流側巻取ベース12にそれぞれ着脱可能に装着される巻取機構13を備える。そして、フィルム巻取装置100は、フィルム150の巻取時に、電磁クラッチ44が解放されるとともに、電磁クラッチ41が係合された状態で、モータ28によりシャフト32および34を回転させることによって、チャック26および27により保持される巻芯151を軸方向に揺動させながらフィルム150を巻き取ることが可能に構成されている。