特許第5997358号(P5997358)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5997358
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】インジェクタ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   F02M 61/18 20060101AFI20160915BHJP
【FI】
   F02M61/18 340D
   F02M61/18 360D
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-502004(P2015-502004)
(86)(22)【出願日】2014年7月4日
(86)【国際出願番号】JP2014067914
(87)【国際公開番号】WO2015008638
(87)【国際公開日】20150122
【審査請求日】2015年1月13日
(31)【優先権主張番号】特願2013-148246(P2013-148246)
(32)【優先日】2013年7月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立オートモティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】天明 浩之
(72)【発明者】
【氏名】佐野 靖
(72)【発明者】
【氏名】山崎 哲也
(72)【発明者】
【氏名】西亀 正志
(72)【発明者】
【氏名】岡本 良雄
(72)【発明者】
【氏名】小林 信章
(72)【発明者】
【氏名】茂木 康広
【審査官】 川口 真一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−336577(JP,A)
【文献】 特開2008−184977(JP,A)
【文献】 特開2001−027169(JP,A)
【文献】 特開2000−199469(JP,A)
【文献】 特表平10−513398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 61/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関内に燃料を噴射するインジェクタにおいて、
燃料の噴射と停止を行う開閉可能な弁体と、
該弁体と接触して燃料の噴射の停止を行う弁座と、
該弁座を支持する弁座支持体と、
前記弁体と前記弁座の下流に燃料を噴射するノズルプレートとを備え、
該ノズルプレートは、前記弁座とは別体であって前記弁座支持体に固着され、燃料を流す横方向通路と燃料を噴射する噴出口と燃料を旋回する旋回室と形成され、前記横方向通路の側壁と前記旋回室の側壁とが結合された結合部を有し、該結合部において前記横方向通路から前記燃料が噴出する方向に向けて突出した凸部形状が設けられていることを特徴とするインジェクタ。
【請求項2】
請求項1記載のインジェクタにおいて、
前記ノズルプレートに形成された前記横方向通路と前記旋回室が作製されている層と前記噴出口が作製されている層が一括形成されていることを特徴とするインジェクタ。
【請求項3】
請求項1記載のインジェクタにおいて、
前記弁体及び前記弁座と溶接する前記ノズルプレートの面の算術平均粗さRaは1マイクロメータ以下であることを特徴とするインジェクタ。
【請求項4】
請求項1記載のインジェクタにおいて、
前記ノズルプレートの溶接面側の横方向通路及び前記旋回室のエッジには、バリ取り痕が無いことを特徴とするインジェクタ。
【請求項5】
請求項1記載のインジェクタにおいて、
前記ノズルプレートに形成した横方向通路と旋回室の側壁の算術平均粗さRaは500ナノメータ以下であることを特徴とするインジェクタ。
【請求項6】
請求項1記載のインジェクタにおいて、
前記ノズルプレートは、前記横方向通路と前記旋回室の側壁と底面の角度が85度以上90度以下であり、かつ、側壁と底面の境界部が角形状となっていることを特徴とするインジェクタ。
【請求項7】
請求項1記載のインジェクタにおいて、
前記ノズルプレートは、前記横方向通路と燃料を噴射する噴出口と燃料を旋回する旋回室で形成され、該噴出口と該旋回室の相対位置が同じであることを特徴とするインジェクタ。
【請求項8】
請求項1記載のインジェクタにおいて、
前記ノズルプレートは、その周辺部の少なくとも一部分に段差形状を有していることを特徴とするインジェクタ。
【請求項9】
内燃機関内に燃料を噴射するインジェクタの製造方法において、
前記インジェクタは、燃料の噴射と停止を行う開閉可能な弁体と、該弁体と接触して燃料の噴射の停止を行う弁座と、該弁座を支持する弁座支持体と、前記弁体と前記弁座の下流に燃料を噴射するノズルプレートとより形成され、
前記インジェクタのノズルプレートは、前記弁座とは別体で形成されて前記弁座支持体に固着され、燃料を流す横方向通路と燃料を噴射する噴出口と燃料を旋回する旋回室とより形成され、
前記横方向通路の側壁と前記旋回室の側壁とが結合された結合部が形成され、該結合部において前記横方向通路から前記燃料が噴出する方向に向けて突出した凸部形状が設けられ、
該横方向通路及び該旋回室の逆のパターン形状を複数回利用できる電鋳金型として作製し、
前記噴出口及び前記ノズルプレートの外形を使い捨てのレジストで作製し、
ノズルプレートを電鋳法で作製することを特徴とするインジェクタの製造方法。
【請求項10】
請求項9記載のインジェクタの製造方法において、
前記インジェクタのノズルプレートの噴出口の形状をレジストの形状により変更することができることを特徴とするインジェクタの製造方法。
【請求項11】
請求項9記載のインジェクタの製造方法において、
前記インジェクタのノズルプレートを電鋳法で製造するために用いる基板と電鋳金型の密着強度を高めるため、電鋳の前にドライエッチングまたはウェットエッチングを用いて前記基板をエッチングすることを特徴とするインジェクタの製造方法。
【請求項12】
請求項9記載のインジェクタの製造方法において、
前記インジェクタのノズルプレートを電鋳法で製造するために用いる基板と電鋳で作製する「電鋳金型」の密着強度を高めるため、ドライエッチングで酸化膜や不純物をエッチングし、連続して保護膜を成膜し、レジスト作製、電鋳、レジスト剥離の一連の操作を行なうことを特徴とするインジェクタの製造方法。
【請求項13】
請求項9記載のインジェクタの製造方法において、
前記インジェクタのノズルプレートを電鋳法で製造するために用いる基板と「電鋳金型」の密着強度を高めるため、ドライエッチングで酸化膜や不純物をエッチングし、連続して保護膜を成膜し、レジスト作製を行い、連続して保護膜除去、電鋳を行い、レジスト剥離の一連の操作を行なうことを特徴とするインジェクタの製造方法。
【請求項14】
請求項9記載のインジェクタの製造方法において、
前記インジェクタのノズルプレートを電鋳法で製造するために用いる基板として、バネ材を用いることを特徴とするインジェクタの製造方法。
【請求項15】
請求項9記載のインジェクタの製造方法において、
前記インジェクタのノズルプレートを電鋳法で製造するために用いる基板として、樹脂の上に金属箔が作製された基板を用いることを特徴とするインジェクタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インジェクタ及びその製造方法に関し、特にインジェクタのノズルプレートの構造及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特許文献1(特許第4646256号公報)がある。この公報には、「本発明による燃料噴射弁は、不動の弁座を有する弁座体の下流側に、多数の噴射開口を有する孔付きディスクが配置されていることによって特徴付けられている。噴射開口のすぐ下流側には、環状の流入中空室を備えた流入開口が設けられている。弁座体は流入中空室を、孔付きディスクの下流側の噴射開口がカバーされているように覆っている。噴射開口は、それぞれ1つの流入領域を有している。この流入領域の直径D1は、鋭い縁部を備えてすぐ下流側で流入領域に続く領域の直径D2よりも著しく大きく寸法設定されている。前記領域は、噴射開口の最も狭幅の横断面を形成している。また、前記領域から、噴射開口が、流れ方向で直径D3にまでトランペット状に拡幅している。燃料噴射弁は、特に混合気圧縮型の火花点火式の内燃機関の燃料噴射装置に使用するために適している。」と記載されている。
【0003】
また、特許文献2(特表2010−511833号公報)がある。この公報には、「本発明は、燃料噴射弁に関するものであり、この燃料噴射弁は不動の弁座面を備えた弁座体を有しており、この弁座と弁閉鎖体が弁の開閉のために協働する。弁座体は弁座支持体の長手方向開口内に収容され、この弁座支持体と堅く結合されている。弁座体の下端面に霧化アタッチメントが直に固着強度をもって電鋳されている。霧化アタッチメントには少なくとも1つの噴射開口が設けられており、この噴射開口は有利には下流方向で見て漏斗状に拡大している。当該燃料噴射弁は、特に混合気圧縮型火花点火式の内燃機関の燃料噴射装置への取付けに適している。」と記載されている。
【0004】
また、特許文献3(特開2002−98028号公報)がある。この公報には、「燃料噴射器のコストをほとんど上昇させることなく、噴出燃料の微粒化度を向上させることができる燃料噴射器用ノズルを提供する。ノズルに、複数の流路と複数の渦流室が一体形成されている。渦流室は流路からの燃料を受け入れ、受け入れた燃料を噴孔からスワール流または渦巻き流として噴出させることにより燃料を高度かつ急速に微粒化させる。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4646256号公報
【特許文献2】特表2010−511833号公報
【特許文献3】特開2002−98028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1には、電気めっきによる金属析出によって、有利には、孔付きディスクを再現可能に極端に精密にかつ廉価に極めて大きな個数で同時に製作することができる。さらに、この製作形式によって、極めて大きな構成自由度が可能となる。なぜならば、孔付きディスクに設けられた開口の輪郭が自由に選択可能であるからであると記載されている。しかし、電気めっきの厚さ制御に関する記載が無く、極めて大きな個数で同時に製作した際の厚さ分布を制御することは、高度な技術を必要とする。また、孔付きディスクの孔形状は燃料が入る側の寸法はレジストで制御されているが、噴出口側の寸法はトランペット状の形状になるとしているが、この形状はレジスト等で制御しているものではなく、均一に作製するためには高度な技術を要する。
【0007】
上記特許文献2には、内燃機関の燃料噴射装置用の燃料噴射弁であって、弁長手軸線と、不動の弁座を備えた弁座体と、該弁座体の前記弁座と協働する弁閉鎖体とを有する形式のものにおいて、前記弁座体に、霧化アタッチメントが直に固着強度をもって電鋳によって一体成形されていることを特徴とする燃料噴射弁の構造及び製造方法が記載されている。しかし、弁座体に、霧化アタッチメントを直接作製するためには、個々に製作する必要があり、スループットを向上させる必要がある。
【0008】
上記特許文献3には、ノズルに、複数の流路と複数の渦流室が一体作製されている。渦流室は流路からの燃料を受け入れ、受け入れた燃料を噴孔からスワール流または渦巻き流として噴出させることにより燃料を高度かつ急速に微粒化させる構造が記載されている。しかし、具体的な製造方法の記載はなく、また、図によると本構造体は、硬貨状の形状に流路等の溝が作製されており、全体が均一に厚い形状のため、弁座への溶接には高度な技術を要する。
【0009】
本発明の目的は、インジェクタを組み立てる際に必要なノズルプレートを弁部材への溶接工程が容易になるように、溶接部分の厚さを薄くし、かつノズルプレートの配置された燃料の横方向通路と旋回室の構成が燃料が噴出する側から見て凸形状とすることで、燃料の切れが良好となるノズルプレートを提供する。併せて、基板の上に横方向通路と旋回室の逆パターンを予め電気めっきで作製(以下、電鋳で作製したノズルプレートと区別するため、「電鋳金型」と呼ぶ)し、燃料の噴出口及びノズルプレートの外形を使い捨てのレジストで作製する。そして一括して複数個を電鋳で作製することでスループットを向上させ、かつ、燃料の噴出口の形状を制御できるノズルプレートを電鋳で作製する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、内燃機関内に燃料を噴射するインジェクタにおいて、燃料の噴射と停止を行う開閉可能な弁体と、該弁体と接触して燃料の噴射の停止を行う弁座と、前記弁体と前記弁座の下流に燃料を噴射するノズルプレートとを備え、該ノズルプレートは、燃料を流す横方向通路と燃料を噴射する噴出口と燃料を旋回する旋回室とより形成され、燃料が噴射される側から見て横方向通路、噴出口、及び旋回室部を凸部形状としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、弁部材への溶接が容易なインジェクタのノズルプレートの構造を低コストで提供することができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明のインジェクタの構成の断面図を示す。
図2図1のインジェクタに配置されたノズルプレートの拡大断面図を示す。
図3】インジェクタのノズルプレートの平面図、部分拡大図及び斜視図を示す。
図4A】インジェクタの基本的なノズルプレートの製造工程(1)を示す。
図4B】インジェクタの基本的なノズルプレートの製造工程(2)を示す。
図5】ノズルプレートを工業的に生産する場合のパターン図を示す。
図6図4A図4Bの製造工程で製造したときのノズルプレートの断面図及び平面図を示す。
図7A】厚みのあるノズルプレートを製造する製造工程(1)を示す。
図7B】厚みのあるノズルプレートを製造する製造工程(2)を示す。
図8図7A図7Bの製造工程で製造したときのノズルプレートの断面図及び平面図を示す。
図9】電鋳で作製したノズルプレートの横方向通路及び旋回室の形状を説明する図である。
図10】ノズルプレートの電鋳金型の形状を変更することで、ノズルプレートの形状を制御できることを説明する図である。
図11】「電鋳金型」の製造方法の工程を示す図である。
図12】「電鋳金型」の製造方法の別の工程を示す図である。
図13A】周辺部に段差の有するノズルプレートの製造工程(1)を示す。
図13B】周辺部に段差の有するノズルプレートの製造工程(2)を示す。
図13C】周辺部に段差の有するノズルプレートの製造工程(3)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
【0014】
(実施例1)
本発明の実施例1では、インジェクタのノズルプレートの構造及び製造方法について説明する。図1は、本発明の実施例1に係るインジェクタの断面構造図を示す。図1において、10はインジェクタ、100は弁座支持体、101はコイル、102は弁体、104は燃料流入口、105は弁体ガイド、106は噴出口、107はノズルプレートに形成された横方向通路、108はノズルプレート、113は導体、114はコネクタである。
【0015】
図1に示されたインジェクタ10は、通常時閉型の電磁式インジェクタである。導体113の先端部に作製されたコネクタ114には、バッテリ電源より電力を供給されるプラグが接続され、図示しないコントローラによって通電と非通電のオンオフ制御がなされる。コイル101に通電されていない状態においては、弁座支持体100に接続された弁座103と弁体ガイド115によって保持された弁体102とが密着しており、燃料は噴射されない。燃料は図示しない燃料ポンプによって圧力を付与された状態で燃料供給口より供給され、燃料流入口104から弁体102と弁座103との密着位置まで燃料で満たされている。コイル101に通電され、弁体ガイド105に支持された弁体102が図1の上方に変位することによって弁体102は弁座103から離れると、燃料は弁座103と弁体102の隙間を通ってその下流にあるノズルプレート108に作製された横方向通路107に流入し、噴出口106から噴射される。
【0016】
図2は、本発明のインジェクタのノズルプレート近傍の部分拡大断面図である。
図2において、円筒形の弁座支持体100の中央の孔には、細長い円柱形の弁体102が配置され、弁体支持体100の先端部は円柱形の孔を形成し、この孔に弁体102を支持する弁体ガイド105、弁座103及びノズルプレート108を順に下流に向かって配置している。弁座103は、円錐形状の凹部で中央に燃料を通過させる孔を有し、弁体102は先端を円錐形状の凸部として尖らし、弁座103と弁体102は重なると隙間がないように形成している。弁体102が中心軸方向に可動し、弁座103と重なると隙間がなくなり塞がった状態となるので、弁座103の孔からは燃料は流れない構成となっている。また、弁座支持体100の先端は、ノズルプレート108が溶接部分112を溶接して配置されている。ここで用いる溶接は、具体的には、レーザー溶接を用いることが望ましい。
【0017】
次に、ノズルプレート108について図3を用いて説明する。図3において、図3(a)はノズルプレートの平面図、図3(b)は図3(a)に示したA−A断面図を示し、図3(c)は斜視図を示している。図3(a)において、ノズルプレート108は薄い円形状の金属板で材質はニッケルを主成分とする金属、クロムを主成分とする金属などで、直径は4〜6mm程度、厚みは0.2〜1mm程度である。ノズルプレート108の表面には十字形状で凹部を形成し、燃料が横方向に流れる通路の横方向通路107を形成し、十字形状のそれぞれの先端には十字形状の幅寸法より大きい直径の円形状の凹部を形成し、燃料が旋回できる旋回室109を配置する。旋回室109は、燃料の効果的噴射のため必要に応じて旋回するものである。さらに、旋回室109の概略中心付近には燃料を噴射する噴出口106を形成する。
【0018】
図3(b)は、図3(a)に示すA−A断面図で、左側の旋回室109より横方向通路107を通り右側の旋回室109まで、噴出口106を通過する線での部分断面図を示し、断面図の下側が燃料が噴き出される側である。旋回室109は、円形で凹部形状のため空間を有し、横方向通路からの燃料が旋回室109で旋回して、燃料は旋回力を付与され、各噴出口106より噴き出され、ミスト状の燃料がエンジンのインテークマニホールドヘ送られる。すなわち、ノズルプレート108は、横方向通路107、旋回室109は燃料を噴射する方向に凸部形状をなっている。
【0019】
図3(c)は、ノズルプレート108の斜視図を示し、十字形で凹部形状を有し燃料を流す横方向通路107及びその先端に形成した燃料が旋回する旋回室109を配置している構成を示している。
【0020】
次に、本発明のノズルプレート108の製造方法について、図4A図4Bを用いて説明する。図4A及び図4Bは、ノズルプレート108の製造方法を示す工程図である。また、図5は、大きな基板110上にノズルプレート108をマトリクス的にパターンを配置し、工業的に大量生産する場合のパターン図を示している。
図4A及び図4Aでは、ノズルプレート108が1つ記載しているが、製造する際には、図5に示すように複数個を一括して製造する。
【0021】
以下、ノズルプレート108の各製造工程を図4A図4Bについて説明する。ここで、括弧内の数字は工程順の番号を表しており、外の場合も同じである。
【0022】
(1)銅、ステンレス、ニッケルなどの金属板や樹脂の上に銅、ステンレス、ニッケルなどの金属箔が作製された基板、または図4Bの工程(8)において、基板を変形させることで剥離性を容易にすることが可能なバネ材からなる基板、などの基板201の上にレジスト202で横方向通路107と旋回室109のパターンを作製する。
【0023】
(2)「電鋳金型」を作製するため、電気めっきを用いて、逆パターンを金属203で作製する。電気めっきを行う前に、ドライエッチングやウェットエッチングで酸化膜を除去すると電気めっきの不析出を防ぐことができる。特に、ステンレスやニッケルなど強固な酸化膜が表面を覆っている基板では、酸化膜除去の効果が大きい。また、充填する金属203は、電気めっきで作製でき、かつ図4Bの工程(8)の工程で引き剥がすことが容易である金属が望ましい。具体的には、銅を主成分とする金属、ニッケルを主成分とする金属、クロムを主成分とする金属、または、それらを逆パターン形状や図4Aの工程(5)のノズルプレート108に用いる金属との引き剥がし易さによって組み合わせることが望ましい。
【0024】
(3)上記の工程(1)で作製したレジスト202を剥離する。
【0025】
(4)噴出口106になる噴出口パターンレジスト204とノズルプレート外形パターンレジスト205を作製する。
【0026】
(5)電鋳技術を用いてノズルプレート108を作製する。電鋳の前にノズルプレート108と金属203、基板201とが剥離が可能な状態にする。具体的な電鋳前の剥離のための表面処理方法として、表面をクロム酸塩、硫化物、ヨウ化物、酸化物などの無機物で被覆したり、タンパク質の親水性コロイドで被覆したり、有機系材料で被覆したりする。また、ワックス、グリース、ペイント、微粉砕グラファイトを塗布する。これらの剥離のための表面処理は、特に、クロム酸塩、硫化物、ヨウ化物、酸化物などの無機物で被覆することは、上記の工程(3)で行うことも可能である。または、ここで用いる金属は、ノズルプレート108の使用条件に耐える金属である必要がある。具体的には、腐食、燃料噴射時の圧力、燃料噴射時の繰り返し応力また、図1のインジェクタの先端に組み付ける際の溶接の容易さを考慮する必要がある。具体的には、ニッケルを主成分とする金属、クロムを主成分とする金属、または、用途に応じてそれらを多層に積層することが望ましい。
【0027】
(6)ノズルプレート108の厚さを規定するため、機械的加工技術を用いて表面を削る。具体的には、研磨、研削やそれらを組み合わせることが望ましい。本実施例による製造工程では、全てを「電鋳金型」とはせず噴出口パターン204をレジストを用いて作製している理由は、本工程で機械加工を行う必要性からである。なお、高度な電気めっき技術をもって、均一な厚さが実現できれば本工程が必要なければ省略することも可能である。ただ、この場合においても、剥離性の観点から噴出口を「電鋳金型」で作製することは困難である。
【0028】
(7)上記の工程(4)で作製した噴出口パターンレジスト204、ノズルプレート外形パターンレジスト205を剥離する。
【0029】
(8)ノズルプレート108を基板201、「電鋳金型」である金属203から剥離する。ここで剥離した「電鋳金型」は図4Aの工程(3)と同じ物であり、繰り返し使用することが可能である。剥離したノズルプレート108の剥離面は基板201の算術平均粗さRaと同じであり、その大きさは基板201の表面処理条件にもよるが、1マイクロメータ以下と極めて平滑である。また、機械加工で生じるバリの発生は見られない。
【0030】
また、図6において、図6(a)は実施例1により製造されたノズルプレートの断面図を示し、図6(b)はその平面図を示す。燃料が噴射される側から見て横方向通路107、噴出口106、旋回室109部分が凸部形状となっているため、燃料を噴射したとき、燃料がノズルプレート表面にまとわりつくことがなく、燃料切れがよい。また、ノズルプレート108の厚さを必要な部分以外、薄く製造できるため、図1に示す弁座支持体100や弁座103との溶接が容易となる。
【0031】
(実施例2)
次に、ノズルプレートの厚みが必要なインジェクタのノズルプレートの構造及びその製造方法について説明する。図7A及び図7Bは、厚みのあるノズルプレート108の製造工程を示し、工程順に沿って説明する。
【0032】
(1)銅、ステンレス、ニッケルなどの金属板や樹脂の上に銅、ステンレス、ニッケルなどの金属箔が作製された基板、図7Bの工程(8)において、基板を変形させることで剥離性を容易にすることが可能なバネ材からなる基板、などの基板201の上にレジスト202で横方向通路107と旋回室109のパターンを作製する。
【0033】
(2)「電鋳金型」を作製するため、電気めっきを用いて、逆パターンを金属203で作製する。電気めっきを行う前に、ドライエッチングやウェットエッチングで酸化膜を除去すると電気めっきの不析出を防ぐことができる。特に、ステンレスやニッケルなど強固な酸化膜が表面を覆っている基板では、酸化膜除去の効果が大きい。また、充填する金属203は、電気めっきで作製でき、かつ図7Bの工程(8)の工程で引き剥がすことが容易である金属が望ましい。具体的には、銅を主成分とする金属、ニッケルを主成分とする金属、クロムを主成分とする金属、または、それらを逆パターン形状や図7Aの工程(5)のノズルプレート108に用いる金属との引き剥がし易さによって組み合わせることが望ましい。
【0034】
(3)上記工程(1)で作製したレジスト202を剥離する。
【0035】
(4)噴出口106になる噴出口パターンレジスト204とノズルプレート外形パターンレジスト205を作製する。ここでは、上記工程(5)で電鋳技術を用いて厚くめっきを行った時に隣接するノズルプレート111と接触しないようにレジストを厚く作製する。
【0036】
(5)電鋳技術を用いてノズルプレート108を作製する。ノズルプレート108と金属203、基板201とが剥離が可能な状態にする。具体的な電鋳前の剥離のための表面処理方法として、表面をクロム酸塩、硫化物、ヨウ化物、酸化物などの無機物で被覆したり、タンパク質の親水性コロイドで被覆したり、有機系材料で被覆したりする。また、ワックス、グリース、ペイント、微粉砕グラファイトを塗布する。これらの剥離のための表面処理は、特に、クロム酸塩、硫化物、ヨウ化物、酸化物などの無機物で被覆することは、上記工程(3)で行うことも可能である。
または、ここで用いる金属は、ノズルプレート108の使用条件に耐える金属である必要がある。具体的には、腐食、燃料噴射時の圧力、燃料噴射時の繰り返し応力また、図1のインジェクタの先端に組み付ける際の溶接の容易さを考慮する必要がある。具体的には、ニッケルを主成分とする金属、クロムを主成分とする金属、または、用途に応じてそれらを多層に積層することが望ましい。
【0037】
(6)ノズルプレート108の厚さを規定するため、機械的加工技術を用いて表面を削る。具体的には、研磨、研削やそれらを組み合わせることが望ましい。本実施例による製造工程では、全てを「電鋳金型」とはせず噴出口パターン204をレジストを用いて作製している理由は、本工程で機械加工を行う必要性からである。なお、高度な電気めっき技術をもって、均一な厚さが実現できれば本工程が必要なければ省略することも可能である。ただ、この場合においても、剥離性の観点から噴出口を「電鋳金型」で作製することは困難である。
【0038】
(7)上記工程(4)で作製した噴出口パターンレジスト204、ノズルプレート外形パターンレジスト205を剥離する。
【0039】
(8)ノズルプレート108を基板201、「電鋳金型」である金属203から剥離する。ここで剥離した「電鋳金型」は図7Aの工程(3)と同じ物であり、繰り返し使用することが可能である。剥離したノズルプレート108の剥離面は基板201の算術平均粗さRaと同じであり、その大きさは基板201の表面処理条件にもよるが、1マイクロメータ以下と極めて平滑である。また、機械加工で生じるバリの発生は見られない。
【0040】
図8は、実施例2により製造された、実施例1より厚みのあるノズルプレートの断面図及び平面図を示す。燃料切れに関しては、図6に示すノズルプレートの形状より劣るが、ノズルプレート108の厚さが厚い分だけ燃料の高圧噴射に対応することができる効果を有する。
【0041】
(実施例3)
次に、実施例1または実施例2の製造方法によって製造したノズルプレートの形状について、図9を用いて説明する。図9において、図9(a)はノズルプレートの平面図及び旋回室109の部分拡大図を示し、図9(b)は図9(a)のA−A‘断面図で、機械加工の場合を示し、図9(c)は電鋳による加工の場合を示している。図9(b)は、一般的なエンドミル等の機械加工で製造した場合を示し、凹部形状の底部のコーナ部を直角に近い形状にすることは困難である。これに対し、図9(c)は、電鋳技術を用いてノズルプレート108の横方向通路107を製造した場合、凹部形状の底部のコーナ部を直角に近い形状にすることができる。
【0042】
なお、直角に近い形状では燃料の流れが不安定になる等の不具合がある場合は、図4Aの工程(3)または図7Aの工程(3)の後にエッチング液に浸すことで、図10に示すように金属202を直角に近い形状から角が取れた形状まで様々な形状とすることが可能であり、その「電鋳金型」を用いることでノズルプレート108の横方向通路107や旋回室109の凹部形状の底部のコーナ部形状を制御することが可能となる。ここで、図10において、図10(a)は標準的な電鋳金型で、基板201上に金属203を形成し、金属203の上部コーナ部を直角にした金型を示し、この標準的金型で製造した成形品は、凹部の底部のコーナ部が直角形状を有している。また、図10(b)は基板201の上に金属203を形成し、金属203の上部コーナ部を面取り加工した電鋳金型を示す。この面取り加工した電鋳金型で製造した成形品は、凹部の底部のコーナ部が曲率半径Rを有した形状となっており、またこの曲率半径Rを任意に設定することができる。従って、使い勝手の良い製造技術である。
【0043】
(実施例4)
次に、実施例4として、実施例1または実施例2の製造方法によって製造するために用いる「電鋳金型」の作製方法を説明する。図11は、電気めっきを用いて、逆パターンを作製する金属203と基板201の接合強度を高める構造体を製造する工程を示す。その製造工程を図11に沿って説明する。
【0044】
(1)銅、ステンレス、ニッケルなどの金属板や樹脂の上に銅、ステンレス、ニッケルなどの金属箔が作製された基板、または図4Bの工程(8)または図7Bの工程(8)において、基板を変形させることで剥離性を容易にすることが可能なバネ材からなる基板、などの基板201表面にプラズマエッチング処理を行い、電気めっきの析出を阻害する物質を除去する。具体的に除去する物質は、酸化膜や有機物である。つづいて、真空中で、基板側から接続膜/Cu301をスパッタを用いて成膜する。接続膜は、Cuと基板の両方と接着強度を有する金属であれば良く、具体的には、Ti、Crを用いると良い。
【0045】
(2)レジスト202で横方向通路107と旋回室109の逆パターンを作製する。
【0046】
(3)「電鋳金型」を作製するため、電気めっきを用いて、逆パターンを金属203で充填する。充填する金属203は、電気めっきで作製でき、かつ図4Bの工程(8)または、図7Bの工程(8)の工程で引き剥がすことが容易である金属が望ましい。具体的には、銅を主成分とする金属、ニッケルを主成分とする金属、クロムを主成分とする金属、または、それらを逆パターン形状や図4Aの工程(5)または図7Aの工程(5)記載の電鋳金属組成によって組み合わせることが望ましい。
【0047】
(4)(2)で作製したレジスト202を剥離する。
以下、図4Aの工程(4)または図7Aの工程(4)以降の工程を用いてノズルプレート108を作製する。
【0048】
(実施例5)
次に、実施例5として、実施例1または実施例2の製造方法によって製造する「電鋳金型」の作製方法について説明する。図12は、電気めっきを用いて、逆パターンを作製する金属203と基板201の接合強度を高める構造体で、この構造体を作製する工程を示す。また、実施例4との違いは、接続膜/Cu301より保護膜を用いることである。
【0049】
(1)銅、ステンレス、ニッケルなどの金属板や樹脂の上に銅、ステンレス、ニッケルなどの金属箔が作製された基板、図4Bの工程(8)または図7Bの工程(8)において、基板を変形させることで剥離性を容易にすることが可能なバネ材からなる基板、などの基板201表面にプラズマエッチング処理を行い、電気めっきの析出を阻害する物質を除去する。具体的に除去する物質は、酸化膜や有機物である。つづいて、真空中で、保護金属をスパッタを用いて成膜する。保護金属302は、次工程(2)でエッチング除去できれば良く、具体的には、Ti、Cr、Alを用いると良い。
【0050】
(2)レジスト202で横方向通路107と旋回室109の逆パターンを作製する。続いて、保護金属302をウェットエッチングで除去する。このウェットエッチングから次の「電鋳金型」を作製するための電気めっきまでは、大気に晒さないように水中で搬送することが望ましい。
【0051】
(3)「電鋳金型」を作製するため、電気めっきを用いて、逆パターンを金属203で充填する。充填する金属203は、電気めっきで作製でき、かつ図4Bの工程(8)または、図7Bの工程(8)の工程で引き剥がすことが容易である金属が望ましい。具体的には、銅を主成分とする金属、ニッケルを主成分とする金属、クロムを主成分とする金属、または、それらを逆パターン形状や図4Aの工程(5)または図7Aの工程(5)記載の電鋳金属組成によって組み合わせることが望ましい。
【0052】
(4)(2)で作製したレジスト202を剥離する。
【0053】
(5)基板上の保護金属302をエッチングで除去する。
以下、図4Aの工程(4)または、図7Aの工程(4)以降の工程を用いてノズルプレートを作製する。
【0054】
(実施例6)
次に、実施例1または実施例2のノズルプレートの製造方法において、図4Bの工程(7)または図7Bの工程(7)で、ノズルプレート108を基板201及び金属203より剥離する場合、容易に剥離し難いことがあった。本発明の実施例6は、ノズルプレート108の周辺に段差を有する形状を作製し、基板201及び金属203よりピン等により剥がし易い構成のノズルプレートを製造する。その製造工程を図13A図13B及び図13Cに示し、この工程に沿って説明する。
【0055】
(1)銅、ステンレス、ニッケルなどの金属板や樹脂の上に銅、ステンレス、ニッケルなどの金属箔が作製された基板、または図4Bの工程(8)において、基板を変形させることで剥離性を容易にすることが可能なバネ材からなる基板、などの基板201の上にレジスト202−1で横方向通路107と旋回室109のパターンを作製する。
【0056】
(2)「電鋳金型」を作製するため、電気めっきを用いて、逆パターンを金属203で作製する。電気めっきを行う前に、ドライエッチングやウェットエッチングで酸化膜を除去すると電気めっきの不析出を防ぐことができる。特に、ステンレスやニッケルなど強固な酸化膜が表面を覆っている基板では、酸化膜除去の効果が大きい。また、充填する金属203は、電気めっきで作製でき、かつ図4Bの工程(8)の工程で引き剥がすことが容易である金属が望ましい。具体的には、銅を主成分とする金属、ニッケルを主成分とする金属、クロムを主成分とする金属、または、それらを逆パターン形状や図4Aの工程(5)記載のノズルプレート108に用いる金属との引き剥がし易さによって組み合わせることが望ましい。
【0057】
(3)上記工程(1)で作製したレジスト202−1を剥離する。
【0058】
(4)ノズルプレートの厚さより薄くしたレジスト202−2を貼り付ける。
【0059】
(5)ノズルプレートの最外形の大きさより片側20マイクロメートル以上小さいフォトマスク401で紫外光402を遮光し露光する。そして、紫外光402が照射されたレジスト205は固化する。ここでの露光エリアは、ノズルプレート周辺部全体でも良いし、周辺部の一部のみでも良い。
【0060】
(6)ノズルプレートを製作するのに最適になるような厚さでレジスト202−3を貼り付ける。
【0061】
(7)ノズルプレートの最外形の大きさになるようなフォトマスク401で紫外光402を遮光し噴出口106になる噴出口パターンレジスト204とノズルプレート外形パターンレジスト206を作製する。ここでレジスト206は、紫外光402が照射され、固化した部分で、工程(5)のレジスト205と内側において、長さtの段差を有している。
【0062】
(8)レジスト202−2、202−3を現像する。
基板201と金属203の上にはノズルプレート外形パターンのレジスト205、206と、噴出口パターンレジスト204が形成される。
【0063】
(9)電鋳技術を用いてノズルプレート108を作製する。電鋳の前にノズルプレート108と金属203、基板201とが剥離が可能な状態にする。具体的な電鋳前の剥離のための表面処理方法として、表面をクロム酸塩、硫化物、ヨウ化物、酸化物などの無機物で被覆したり、タンパク質の親水性コロイドで被覆したり、有機系材料で被覆したりする。また、ワックス、グリース、ペイント、微粉砕グラファイトを塗布する。これらの剥離のための表面処理は、特に、クロム酸塩、硫化物、ヨウ化物、酸化物などの無機物で被覆することは、工程(3)で行うことも可能である。または、ここで用いる金属は、ノズルプレート108の使用条件に耐える金属である必要がある。具体的には、腐食、燃料噴射時の圧力、燃料噴射時の繰り返し応力また、図1のインジェクタの先端に組み付ける際の溶接の容易さを考慮する必要がある。具体的には、ニッケルを主成分とする金属、クロムを主成分とする金属、または、用途に応じてそれらを多層に積層することが望ましい。
【0064】
(10)ノズルプレート108の厚さを規定するため、機械的加工技術を用いて表面を削る。具体的には、研磨、研削やそれらを組み合わせることが望ましい。本実施例による製造工程では、全てを「電鋳金型」とはせず噴出口パターン204を、レジストを用いて作製している理由は、本工程で機械加工を行う必要性からである。なお、高度な電気めっき技術をもって、均一な厚さが実現できれば本工程が必要なければ省略することも可能である。ただ、この場合においても、剥離性の観点から噴出口を「電鋳金型」で作製することは困難である。
【0065】
(11)上記工程(8)で作製した噴出口パターンレジスト204、ノズルプレート外形パターンレジスト205、206を剥離する。
【0066】
(12)ノズルプレート108を基板201、「電鋳金型」である金属203から剥離する。また、剥離するときは工程(7)のレジスト205、206で作製した段差207をピン等で押し上げることにより剥離する。ここで剥離した「電鋳金型」は図4Aの工程(3)と同じ物であり、繰り返し使用することが可能である。剥離したノズルプレート108の剥離面は基板201の算術平均粗さRaと同じであり、その大きさは基板201の表面処理条件にもよるが、1マイクロメータ以下と極めて平滑である。また、機械加工で生じるバリの発生は見られない。
本実施例で形成したノズルプレート108は、周辺部に形成された段差に楔状冶具を差し込むことで基板201から容易に引き剥がすことが可能となる。
【0067】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0068】
10‥インジェクタ
100‥弁座支持体
101‥コイル
102‥弁体
103‥弁座
104‥燃料流入口
105‥弁体ガイド
106‥噴出口
107‥横方向通路
108‥ノズルプレート
109‥旋回室
110‥大きな基板
111‥隣接するノズルプレート
112‥溶接部分
113‥導体
114‥コネクタ
201 基板
202、202−1、202−2、202−3‥レジスト
203‥金属
204‥噴出口パターンレジスト
205‥ノズルプレート外形パターンレジスト
301‥接続膜/Cu
302‥保護金属
401‥フォトマスク
402‥紫外光
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C