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特許5997359マルチチャネル同期並列伝送の実現方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5997359
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】マルチチャネル同期並列伝送の実現方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H04J 13/18 20110101AFI20160915BHJP
【FI】
   H04J13/18
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-502041(P2015-502041)
(86)(22)【出願日】2012年3月28日
(65)【公表番号】特表2015-516733(P2015-516733A)
(43)【公表日】2015年6月11日
(86)【国際出願番号】CN2012073208
(87)【国際公開番号】WO2013143090
(87)【国際公開日】20131003
【審査請求日】2014年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】511207729
【氏名又は名称】ゼットティーイー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シェン チェンケ
【審査官】 北村 智彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−191648(JP,A)
【文献】 特開2006−157933(JP,A)
【文献】 特開2003−218835(JP,A)
【文献】 特開2002−246544(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0181450(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/69−1/719
H04J 13/00−13/22
IEEE Xplore
CiNii
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチチャネル同期並列伝送の実現方法であって、
送信側と受信側は、オンチップネットワーク(NoC)におけるデータを同期、並列に伝送する機能を持つ送信ポートと受信ポートを介してNoCに接続されるステップと、
送信側は、データをNoCの送信ポートに送信し、送信ポートが受信されたデータを双極性データシンボルに符号化し、そして当該双極性データシンボルをウォルシュ(Walsh)コードで変調し、その後NoCが全ての送信ポートの変調シンボルを同期に加算して混合し、混合された信号を同期並列にNoCのバスを介して各受信ポートに送信するステップと、
受信ポートは、そのWalshコードに基づいて、受信された混合データから双極性データシンボルを復調し、当該双極性データシンボルを復号化して受信側に送信するステップと、
を含み、
データを送信する場合、各送信側は、Nビット幅のバイナリデータをNoCのポート変調器に送信し、各受信ポートが受信側からNビット幅のバイナリデータを受信し、
前記ポート変調器は、K個のコードチャネル変調器を含み、ポート変調器におけるK個のコードチャネル変調器の出力が結合された後、ポート結合器を介してNoCの内部バスに接続され、
NoCのバスからの信号がNoCのポート復調器におけるK個のコードチャネル復調器に並列で送信され、K個のコードチャネル復調器により復調されたデータが並列−直列変換により1つのチャネルに結合され、
前記コードチャネル変調器は、符号器により送信側からのNビットのデータをN+1ビットの双極性データシンボルに変換し、そして所定のウォルシュ(Walsh)コードによって変調し、変調されたデータシンボルの各ビットをLチップに変化させ、その中のQ個のチップを並列に伝送することを特徴とする、
方法。
【請求項2】
前記N+1ビットの双極性データシンボルを調整する場合、前記コードチャネル変調器内のシンボル変調器によりN+1ビットの双極性データシンボルを2つのチャネルに分割して1つのマルチプレクサー(multiplexer)に接続し、その中の1つのチャネルの符号に対して否定(negation)を取り、双極性データシンボルの各ビットが所定のWalshコードでマルチプレクサーによりL個のチップに変調され、対応するチップが+1である場合、出力に対して直接入力を取り、それ以外の場合、否定を取ることを特徴とする
請求項に記載の方法。
【請求項3】
結合された前記出力が前記ポート結合器を介してNoCの内部バスに接続された場合、ポート結合器は、すべての送信ポートからの変調信号を混合してNoCの内部バスに送信し、そして当該バスを介してすべてのポート復調器に送信することを特徴とする
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記コードチャネル復調器は、NoCバスからの信号を受信した場合、コードチャネル変調器の逆演算を実行し、
NoCの内部システムバスからの混合信号が前記コードチャネル復調器を通した後、直交符号が除去されたユーザデータのクロックは、周辺クロックであることを特徴とする
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記コードチャネル復調器内のシンボル復調器は、入力信号を2つのチャネルに分割し、その中の1つのチャネルの信号に対して否定を取り、そして前記2つのチャネルの信号を直交符号によって制御されるマルチプレクサーにより加算器に送信し、加算器をトリガしてL個のチップ(1つのユーザデータに対応する)を加算し、その後加算結果をLで割ってユーザデータを復元することを特徴とする
請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記Walshコードが送信ポートの送信先アドレスによって唯一に指定され、各受信ポートが1つの唯一のWalshコードによって指定されることを特徴とする
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
マルチチャネル同期並列伝送の実現システムであって、データを同期、並列に伝送する機能を持つ送信ポートと受信ポートと、さらに前記送信ポートと前記受信ポートが設置されたNoCとを備え、
前記送信ポートと前記受信ポートが送信側と受信側をNoCに接続させることに用いられ、且つ、
前記送信ポートが、送信側からNoCに送信されたデータを受信し、そして受信されたデータを双極性データシンボルに符号化し、当該双極性データシンボルをWalshコードで変調することに用いられ、
前記NoCが、すべての送信ポートの変調シンボルを同期に加算して混合し、混合された信号を同期並列にNoCバスを介して各受信ポートに送信することに用いられ、
前記受信ポートがそのWalshコードに基づいて、受信された混合データから双極性データシンボルを復調し、当該双極性データシンボルを復号化して受信側に送信することに用いられ
データを送信する場合、各送信側は、Nビット幅のバイナリデータをNoCのポート変調器に送信することに用いられ、各受信ポートが受信側からNビット幅のバイナリデータを受信することに用いられ、
前記ポート変調器に含まれるK個のコードチャネル変調器の出力が結合され、ポート結合器を介してNoCの内部バスに接続され、
NoCのバスからの信号がNoCのポート復調器におけるK個のコードチャネル復調器に並列で送信され、K個のコードチャネル復調器により復調されたデータが並列−直列変換により1つのチャネルに結合され、
前記コードチャネル変調器は、符号器により送信側からのNビットのデータをN+1ビットの双極性データシンボルに変換し、そして所定の双極性Walshコードによって前記双極性データシンボルを変調し、変調されたデータシンボルの各ビットをLチップに変化させ、その中のQ個のチップを並列に伝送することに用いられることを特徴とする、
システム。
【請求項8】
前記コードチャネル変調器は、前記N+1ビットの双極性データシンボルを調整する時に、N+1ビットの双極性データシンボルを2つのチャネルに分割してマルチプレクサーに接続し、その中の1つのチャネルの符号に対して否定を取り、双極性データシンボルの各ビットが所定のWalshコードでマルチプレクサーによりL個のチップに変調され、対応するチップが+1である場合、出力に対して直接入力を取り、それ以外の場合、否定を取ることに用いられるシンボル変調器を含むことを特徴とする
請求項に記載のシステム。
【請求項9】
結合された前記出力が前記ポート結合器を介してNoCの内部バスに接続された場合、ポート結合器は、すべての送信ポートからの変調信号を混合してNoCの内部バスに送信し、そして当該バスを介してすべてのポート復調器に送信することに用いられることを特徴とする
請求項7又は8に記載のシステム。
【請求項10】
前記コードチャネル復調器は、NoCのバスからの信号を受信する時に、コードチャネル変調器の逆演算を実行することに用いられ、
NoCの内部システムバスからの混合信号が前記コードチャネル復調器を通した後、直交符号が除去されたユーザデータのクロックは、周辺クロックであることを特徴とする
請求項7又は8に記載のシステム。
【請求項11】
前記コードチャネル復調器は、入力信号を2つのチャネルに分割し、その中の1つのチャネルの信号に対して否定を取り、そして前記2つのチャネルの信号を、直交符号によって制御されるマルチプレクサーにより加算器に送信し、加算器をトリガしてL個のチップ(1つのユーザデータに対応する)を加算し、その後加算結果をLで割ってユーザデータを復元することに用いられるシンボル復調器を含むことを特徴とする
請求項に記載のシステム。
【請求項12】
前記Walshコードは、送信ポートの送信先アドレスによって唯一に指定され、各受信ポートが1つの唯一のWalshコードによって指定されることを特徴とする
請求項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信分野に関し、具体的にマルチチャネル同期並列伝送の実現方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、データへの双極性符号化に基づく符号分割多元接続オンチップネットワーク(CDMA−NoC)システムにおいて、データをマルチチャネルで同期並列に伝送する機能は徐々に言及されているが、現在まだ関連技術がない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これを鑑みて、本発明の主な目的は、マルチチャネル同期並列伝送を実現するように、マルチチャネル同期並列伝送の実現方法及びシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を実現するために、本発明の技術的なスキームは、以下のように実現される。
【0005】
マルチチャネルの同期並列伝送の実現方法は、
送信側と受信側がオンチップネットワーク(NoC)における、データを同期、並列に伝送する機能を持つ送信ポートと受信ポートを介してNoCに接続されるステップと、
送信側がデータをNoCの送信ポートに送信し、送信側ポートが受信されたデータを双極性データシンボルに符号化し、そして当該双極性データシンボルをウォルシュ(Walsh)コードで変調し、その後NoCが全ての送信ポートの変調シンボルを同期に加算して混合し、混合された信号を同期並列にNoCバスを介して各受信ポートに送信するステップと、
受信ポートがそのWalshコードに基づいて、受信された混合データから双極性データシンボルを復調し、当該双極性データシンボルを復号化して受信側に送信するステップとを含む。
【0006】
ここで、データを送信する場合、各送信側は、Nビット幅のバイナリデータをNoCのポート変調器に送信し、各受信ポートが受信側からNビット幅のバイナリデータを受信する。
【0007】
前記ポート変調器に含まれるK個のコードチャネル変調器におけるの出力が結合された後、ポート結合器を介してNoCの内部バスに接続される。
【0008】
NoCバスからの信号がNoCのポート復調器におけるK個のコードチャネル復調器に並列で送信され、ここで、K個のコードチャネル復調器で復調されたデータが並列−直列変換により1つのチャネルに直列で結合される。
【0009】
ここで、前記コードチャネル変調器は、符号器により送信側からのNビットのデータをN+1ビットの双極性データシンボルに変換し、そして所定のウォルシュWalshコードによって変調し、変調されたデータシンボルの各ビットをLチップに変化させ、その中のQ個のチップを並列に伝送する。
【0010】
ここで、前記N+1ビットの双極性データシンボルを調整する場合、前記コードチャネル変調器におけるシンボル変調器によりN+1ビットの双極性データシンボルを2つのチャネルに分割してマルチプレクサー(multiplexer)に接続し、その中の1つのチャネルの符号に対して否定(negation)を取り、双極性データシンボルの各ビットが所定のWalshコードでマルチプレクサーによりL個のチップに変調され、対応するチップが+1である場合、出力に対して直接入力を取り、それ以外の場合、否定を取る。
【0011】
ここで、結合された前記出力が前記ポート結合器を介してNoCの内部バスに接続された場合、ポート結合器は、すべての送信ポートからの変調信号を混合してNoCの内部バスに送信し、そして当該バスを介してすべてのポート復調器に送信する。
【0012】
ここで、前記コードチャネル復調器は、NoCバスからの信号を受信した場合、コードチャネル変調器の逆演算を実行する。
【0013】
NoCの内部システムバスからの混合信号が前記コードチャネル復調器を通した後、直交符号が除去されたユーザデータのクロックは、周辺クロックである。
【0014】
ここで、前記コードチャネル復調器におけるシンボル復調器は、入力信号を2つのチャネルに分割し、その中の1つのチャネルの信号に対して否定を取り、そして前記2つのチャネルの信号を直交符号によって制御されるマルチプレクサーにより加算器に送信し、加算器をトリガしてL個のチップ(1つのユーザデータに対応する)を加算し、その後加算結果をLで割ってユーザデータを復元する。
【0015】
ここで、前記Walshコードが送信ポートの送信先アドレスによって唯一に指定され、各受信ポートが1つの唯一のWalshコードによって指定される。
【0016】
マルチチャネル同期並列伝送の実現システムは、データを同期、並列に伝送する機能を持つ送信ポートと受信ポートと、さらに前記送信ポートと前記受信ポートが設置されたNoCと、を備え、ここで、
前記送信ポートと前記受信ポートが送信側と受信側をNoCに接続させることに用いられ、且つ、
前記送信ポートが、送信側からNoCに送信されたデータを受信し、そして受信されたデータを双極性データシンボルに符号化し、当該双極性データシンボルをWalshコードで変調することに用いられ、
前記NoCが、すべての送信ポートの変調シンボルを同期に加算して混合し、混合された信号を同期並列にNoCバスを介して各受信ポートに送信することに用いられ、
前記受信ポートが、そのWalshコードに基づいて、受信された混合データから双極性データシンボルを復調し、当該双極性データシンボルを復号化して受信側に送信することに用いられる。
【0017】
ここで、データを送信する場合、各送信側は、Nビット幅のバイナリデータをNoCのポート変調器に送信することに用いられ、各受信ポートが受信側からNビット幅のバイナリデータを受信することに用いられ、
前記ポート変調器に含まれるK個のコードチャネル変調器の出力が結合された後、ポート結合器を介してNoCの内部バスに接続され、
NoCのバスからの信号がNoCのポート復調器におけるK個のコードチャネル復調器に並列で送信され、ここで、K個のコードチャネル復調器により復調されたデータが並列−直列変換により1つのチャネルに結合される。
【0018】
ここで、前記コードチャネル変調器は、送信側からのNビットのデータを符号器によりN+1ビットの双極性データシンボルに変換し、そして所定の双極性Walshコードによって前記双極性データシンボルを変調し、変調されたデータシンボルの各ビットをLチップに変化させ、その中のQ個のチップを並列に伝送することに用いられる。
【0019】
ここで、前記コードチャネル変調器は、前記N+1ビットの双極性データシンボルを調整する時に、N+1ビットの双極性データシンボルを2つのチャネルに分割してマルチプレクサーに接続し、その中の1つのチャネルの符号に対して否定を取り、双極性データシンボルの各ビットが所定のWalshコードでマルチプレクサーによりL個のチップに変調され、対応するチップが+1である場合、出力に対して直接入力を取り、それ以外の場合、否定を取ることに用いられるシンボル変調器を含む。
【0020】
ここで、結合された前記出力が前記ポート結合器を介してNoCの内部バスに接続された場合、ポート結合器は、すべての送信ポートからの変調信号を混合してNoCの内部バスに送信し、そして当該バスを介してすべてのポート復調器に送信することに用いられる。
【0021】
ここで、前記コードチャネル復調器は、NoCのバスからの信号を受信した場合、コードチャネル変調器の逆演算を実行することに用いられる。
【0022】
NoCの内部システムバスからの混合信号が前記コードチャネル復調器を通した後、直交符号が除去されたユーザデータのクロックは、周辺クロックである。
【0023】
ここで、コードチャネル復調器は、入力信号を2つのチャネルに分割し、その中の1つのチャネルの信号に対して否定を取り、そして前記2つのチャネルの信号を、直交符号によって制御されるマルチプレクサーにより加算器に送信し、加算器をトリガしてL個のチップ(1つのユーザデータに対応する)を加算し、その後加算結果をLで割ってユーザデータを復元することに用いられるシンボル復調器を含む
【0024】
ここで、前記Walshコードは、送信ポートの送信先アドレスによって唯一に指定され、各受信ポートが1つの唯一のWalshコードによって指定される。
【0025】
本発明は、再構成機能を持つマルチコアプロセッサクラスタによるマルチチャネル同期並列伝送ネットワークである。需要に応じて、当該マルチコアシステムは、若干の処理クラスタを動的に構成することができ、同じネットワークにおける異なるクラスタの所属するコアが完全に分離し、同じクラスタにおける全てのコア間の通信が完全に同期並列であり、即ちマルチチャネル同期並列の伝送機能を持つ。異なるチャネルの通信帯域幅要求に適応するように各NoCポートに1つ以上のチャネルを動的に割り当てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明による実施例のデータへのシンボル双極性符号化に基づくCDMA NoCの構成図である。
図2】本発明による実施例のポート変調器(MoD)と復調器(deMoD)の構成図である。
図3】本発明による実施例のコードチャネル変調器の構成図である。
図4】本発明による実施例の符号化原理を示す図である。
図5】本発明による実施例のポート変調器の構成図である。
図6】本発明による実施例のポート結合器の構成図である。
図7】本発明による実施例のポート復調器及び各クロックエリアの原理を示す図である。
図8】本発明による実施例のコードチャネル復調器の構成図である。
図9】本発明による実施例のシンボル復調器の構成図である。
図10】本発明の実施例のNoCの各部分のバス幅を示す図である。
図11】本発明による実施例のマルチチャネル同期並列伝送を実現するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
マルチコアプロセッサ、マルチコアアレイ(又はベクトル)プロセッサ、特に再構成可能なマルチコアアレイ(又はベクトル)処理クラスタシステムには、コア間の通信ネットワークがマルチチャネル同期並列通信機能を提供するように要求される場合が多い。例えば、再構成可能なアレイ処理クラスタにおいて、複数のアレイ(又はベクトル)処理コアは、1つの処理クラスタ(cluster)を動的に再構成し、1つのSoC(オンチップシステム)内に複数のこのような処理クラスタが共存する。この場合、各クラスタに位置するすべてのアレイコアの間が同時に同期並列のデータ交換を完了することができるように要求される。しかし、異なるクラスタは、完全に分離する。つまり、オンチップネットワークは、
同じネットワークにおける異なるクラスタの所属するコアが完全に分離すること、
同じクラスタにおけるすべてのコア間の通信が完全に同期並列であり、即ちマルチチャネル並列伝送機能であって、同時に各チャネルの伝送遅延が等しいこと、
動的再構成機能であって、異なる通信帯域幅要求に適応するように各NoCポートに1つ以上のチャネルを動的に割り当てることが可能である。
【0028】
本発明は、データへの双極性符号化に基づくCDMAオンチップネットワークシステムを説明した。すべてのデータ送信側と受信側は、当該NoC上のTX(送信)ポートとRX(受信)ポートを介してNoCにアクセスされる。これらのTXとRXの間にデータを同期、並列に伝送して交換することができる。すべてのデータ送信必要な送信ポートは、まずデータを双極性データシンボルに符号化し、次にアドレスとして使用された直交Walsh(ウォルシュ)コードによって変調し、且つNoCに同期並列に送信する。TXポートからの変調データは、混合されて全てのRXポートに送信(例えば、放送)される。各受信ポートは、それぞれにより指定されたWalshコードに基づいて、受信された混合データから自身のデータシンボルを復調することで、マルチポート間の並列同期の交換伝送を完了する。上記の技術的な内容は、マルチコアプロセッサ、マルチコアDSP、マルチコア並列アレイプロセッサなどのマルチコアチップ内に広く応用されて、コア間の大規模な広帯域の並列通信を行うことができる。
【0029】
具体的には、図1は、データへのシンボル双極性符号化に基づくCDMA NoCの構造を示す図である。NoCは、NoCノードと周辺ポートから構成される。各ポートに1つの送信ポートと1つの受信ポートがある。各送信ポートは、NoC CDMA変調器を介してNoCに接続され、各受信ポートは、復調器を介してNoCに接続される。すべての変調器と復調器は、NoCの内部バスに接続される。
【0030】
Walshコードのコードライブラリを定義しており、当該コードライブラリにおける各Walshコードの長さがL(その値がいずれかの整数であってよい)個のチップである。コードライブラリにおけるすべてのWalshコードは、完全に直交しなければならない。したがって、コード長さがLであるコードライブラリは最大限のLグループの直交コードを提供することができる。L個のWalshコードを有するデータシンボル双極性符号CDMA NoCは、最大限のL個のアクセスポートをサポートする。
【0031】
図2は、ポートMoDとdeMoDの構造を示す。各送信ポートは、Nビット幅のバイナリデータをNoCのポート変調器に送信する。各受信ポートは、NoCからNビット幅のバイナリデータを受信する。
【0032】
ポート変調器は、複数のコードチャネル変調器と1つのコードチャネル結合器から構成される。コードチャネル変調器の数量Kは、応用需要に応じて確定されることができるが、最大限でL個を超えることができなく、即ちK≦Lとする。K個のコードチャネル変調器の出力は、結合器により結合された後、ポート結合器を介してNoCの内部バスに接続される。
【0033】
同様に、NoCのバスからの信号は、ポート復調器の各コードチャネル復調器の入力に並列で送信される。同様に、コードチャネル復調器の数量は、応用需要に応じて確定されることができるが、最大限でL個を超えることができない。ここでは、ポート復調器は、同様にK個のコードチャネル復調器を含むと仮定する。
【0034】
図3は、各コードチャネル変調器の構造を示す。送信ポートからのNビットのデータは、まず符号器(encoder)により(N+1)ビットの双極性コードに変換し、具体的な符号化原理が図4に示される。Nビット幅の入力データは、符号化されて正負対称の双極性データシンボルになる。送信ポートがデータを送信しない場合、符号器の出力がすべてゼロである(当該NoCには、全ゼロが全てデータがないことを示すことに用いられる)と約束して決めることができる。符号化された双極性データシンボルは、所定の双極性Walshコードによって変調される。当該Walshコードは、データ伝送の送信先ポートのコードチャネル復調器のアドレスとする。
【0035】
変調後、各データシンボルは、Lチップ(各シンボルがN+1ビットである)になり、伝送レートを向上させるために、Q個のチップを並列で伝送し、即ち直列-並列変換によりQ個のチップをQ本の並列出力バス(各バスがN+1ビットである)に送信することができる。この直列-並列(時間-空間)変換後、L/Q個のクロックで1つのデータシンボルの伝送を完了する必要がある。
【0036】
図3は、クロックエリアの概念をさらに示し、その中の1つのクロックエリアが周辺クロックエリアであり、当該クロックが周辺ポートのアクセスデータクロックであり、周辺入力/出力データの伝送レートを調整することに用いられる。
【0037】
別のクロックエリアは、チップクロックエリアであり、直交コードのチップレベルのコードレートを調整することに用いられる。周辺ポートからのユーザデータが直交コードによって変調された後、クロックは、周辺のデータ伝送クロックからチップクロックにアップする。
【0038】
別のクロックエリアは、NoCノードの内部バスクロックエリアである。NoCのデータ伝送容量を向上させるために、変調後のユーザデータストリームは、Q本の並列の内部システムバスに送信されて並列で伝送される。当該バスのクロックがRsであり、チップクロックがRmである場合、Rs=Rm/Qになる。
【0039】
図4は、各コードチャネル変調器内のシンボル変調器の構造を示す。N+1ビットの双極性データシンボルは、2つのチャネルに分割されてマルチプレクサー(multiplexer)に接続し、その中の1つのチャネルの符号に対して否定(negation)を取る。双極性データシンボルの各ビットは、所定のWalshコードでマルチプレクサーによりL個のチップに変調される。対応するチップが+1である場合、出力に対して直接入力を取り、それ以外の場合、否定を取る。
【0040】
図4から分かるように、シンボル変調器の入力は、外部データクロックであり、マルチプレクサーを通した後、クロックがチップクロックにアップし、周辺クロックがRwであれば、Rm=LRwになる。
【0041】
図5は、ポート変調器の構造を示す。双極性符号化されたデータは、直列-並列変換によりKチャネル(Kは、ポートが有するコードチャネル数である)に分割され、各チャネルのデータが1つの変調器に送信される。上述したように、各コードチャネル変調器は、Q個の並列出力を有し、1つの加算器によってこのK個のコードチャネルからのKグループの信号を加算してマルチコードチャネルの信号混合を完了する。各バスの混合された後のビット幅がN+1からN+Ceil{LogK}に拡張し、混合後の信号が送信ポートの出力になる。
【0042】
図5は、同様に各クロックエリアの範囲を示す。
【0043】
図6は、ポート結合器を示す図である。結合器は、すべての送信ポートからの変調信号を混合してNoCの内部バスに送信し、そして当該バスを介してすべてのポート復調器に送信することに用いられる。送信ポートからの各バスのビット幅がN+Ceil{LogK}であり、ポート結合器を通したNoCのQ本の内部システムバスのそれぞれのビット幅がN+LogLに広くなる。
【0044】
図7は、ポート復調器及び各クロックエリアを示す図である。NoCの内部システムバスからの混合信号は、各ポート復調器に受信された後、並列−直列(空間−時間)変換によりバスクロックからチップクロックにアップし、即ちRm=QRsになる。並列−直列変換後のシリアルデータは、K個のコードチャネル復調器に並列で送信される。各コード復調器の出力(周辺ユーザクロックエリア)は、複数の復調器により並列−直列変換されて周辺ポートに送信される。
【0045】
図8は、コードチャネル復調器であり、コードチャネル復調器がコードチャネル変調器の逆演算を実行する。NoCの内部システムバスからの混合信号がコードチャネル復調器を通した後、直交コードが除去されたユーザデータのクロックは、周辺クロックである。
【0046】
図9は、各シンボル復調器の構造を示す。シンボル変調器と同様に、入力信号は、2つのチャネルに分割され、その1つのチャネルの入力信号に対して否定を取る。この2つのチャネルの信号は、直交コードによって制御されたマルチプレクサーにより加算器に送信される。加算器は、L個のチップ(1つのユーザデータに対応する)を加算し、その後加算結果をLで割ってユーザデータを復元し、即ちCDMAで逆拡散する。逆拡散されたユーザデータは、逆拡散前のチップクロックを周辺ポートの周辺ポートデータクロックに復元する。
【0047】
図10は、NoCの各部分のバスの幅を示す。図から分かるように、各送信ポートには、Nビット幅のデータバスとLogLビット幅のアドレスバスという2本のバスがNoC入力に接続されている。アドレスバスは、データの送信先アドレスを与え、当該アドレスが変調器Walshコードのポインタである。Nビット幅のデータは、コードチャネル変調器とコード結合器を通した後、Q本のN+LogKビット幅のバスを介してポート結合器に出力される。すべてのポートからの信号は、ポート結合器内で結合された後、N+LogLビット幅の混合信号を生成し、当該混合信号がNoCのQ本の内部システムバスに並列で送信される。このQ本のシステムバスは、混合信号をすべてのポート復調器に送信(例えば、放送)する。復調された信号は、新たに周辺ポートで識別可能なNビットのデータに復元される。各ポート復調器におけるコードチャネル復調器には、1つの動的配置可能な直交コードがあり、当該直交コードが当該コードチャネルのアドレスコードである。システムバス上に混合された信号に対して、当該直交コードによって変調されたデータが含まれば、当該データが当該直交コードをアドレスコードとするコードチャネル復調器により復調されてそれに接続された受信ポートに送信される。
【0048】
一つの実施例として、テーブル1は、データの双極性符号化テーブルであり、当該テーブルにおいて周辺ポートのデータビット幅が3とし、双極性符号化された後に4ビットに拡張されることになる。テーブルにおいて4ビットの全ゼロは、データ伝送がないことを示す。同様に、いずれかのビット幅のデータの双極性符号化を与えることができ、ここで1つ1つ示さない。
【0049】
【表1】
【0050】
上記の説明と組み合わせて、本発明に係るマルチチャネル同期並列伝送を実現する操作上の考えとしては、図11に示すようなプロセスに示されることができ、当該プロセスが以下のステップを含む。
【0051】
ステップ1101:送信側と受信側は、NoCにおいて、データを同期、並列に伝送する機能を持つ送信ポートと受信ポートを介してNoCに接続される。
【0052】
ステップ1102:送信側は、データをNoCの送信ポートに送信し、送信ポートが受信されたデータを双極性データシンボルに符号化し、そして当該双極性データシンボルをWalshコードで変調し、その後NoCがすべてのポートの変調シンボルを同期に加算して混合し、混合された信号を同期並列にNoCのバスを介して各受信ポートに送信する。
【0053】
ステップ1103:受信ポートは、そのWalshコードに基づいて、受信された混合データから双極性データシンボルを復調し、当該双極性データシンボルを復号化して受信側に送信する。
【0054】
上述したように、方法かシステムに関わらず、本発明に係るマルチチャネル同期並列伝送を実現する技術は、
同じネットワークにおける異なるクラスタの所属するコアが完全に分離すること、
同じクラスタにおけるすべてのコア間の通信が完全に同期並列であり、即ちマルチチャネル同期並列伝送機能を持つとともに、各チャネルの伝送遅延が等しいこと、
動的再構成機能であって、異なる通信帯域幅要求に適応するように各NoCポートに1つ以上のチャネルを動的に割り当てること、
という利点がある。
【0055】
以上は、本発明の好ましい実施例に過ぎなく、本発明の保護範囲を限定することに用いられるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11