特許第5997371号(P5997371)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5997371電池監視装置及びそれを用いた電池システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5997371
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】電池監視装置及びそれを用いた電池システム
(51)【国際特許分類】
   G01R 19/00 20060101AFI20160915BHJP
【FI】
   G01R19/00 B
   G01R19/00 H
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-513462(P2015-513462)
(86)(22)【出願日】2013年4月26日
(86)【国際出願番号】JP2013062394
(87)【国際公開番号】WO2014174669
(87)【国際公開日】20141030
【審査請求日】2015年10月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立オートモティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100105463
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100102576
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 敏章
(72)【発明者】
【氏名】三浦 光
(72)【発明者】
【氏名】工藤 彰彦
(72)【発明者】
【氏名】菊地 睦
(72)【発明者】
【氏名】金井 友範
【審査官】 川瀬 正巳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−145128(JP,A)
【文献】 特開2010−11631(JP,A)
【文献】 特開2011−41422(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 19/00
G01R 31/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の組電池が電気的に接続された組電池群を監視する電池監視装置であって、
該電池監視装置は、前記組電池を形成する各電池セルの電圧を検出する第1電圧検出回路がそれぞれに実装された複数のセル監視回路基板と、前記組電池群の総電圧を検出する第2電圧検出回路が実装されたバッテリ監視回路基板と、を備え、
前記第2電圧検出回路には、前記組電池群の正極側及び負極側と接続された総電圧検出部が接続されており、前記組電池群の正極側と前記総電圧検出部とを接続する正極入力線及び/又は前記組電池群の負極側と前記総電圧検出部とを接続する負極入力線には少なくとも一つの抵抗が設けられ、前記正極入力線及び/又は前記負極入力線の前記抵抗は、前記複数のセル監視回路基板の少なくとも一つに配置されていることを特徴とする電池監視装置。
【請求項2】
前記正極入力線及び/又は前記負極入力線の前記抵抗は、前記複数のセル監視回路基板のそれぞれに分散配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の電池監視装置。
【請求項3】
複数の組電池が電気的に接続された組電池群を監視する電池監視装置であって、
該電池監視装置は、前記組電池を形成する各電池セルの電圧を検出する集積回路がそれぞれに実装された複数のセル監視回路基板と、前記組電池群の総電圧を検出するマイコンが実装された上位制御回路基板と、を備え、
前記マイコンには、前記組電池群の正極側及び負極側と接続された総電圧検出部が接続されており、前記組電池群の正極側と前記総電圧検出部とを接続する正極入力線及び/又は前記組電池群の負極側と前記総電圧検出部とを接続する負極入力線には少なくとも一つの抵抗が設けられ、前記正極入力線及び/又は前記負極入力線の前記抵抗は、前記複数のセル監視回路基板の少なくとも一つに配置されていることを特徴とする電池監視装置。
【請求項4】
複数の組電池が電気的に接続された組電池群を監視する電池監視装置であって、
該電池監視装置は、前記組電池を形成する各電池セルの電圧を検出する集積回路がそれぞれに実装された複数のセル監視回路基板を備え、該複数のセル監視回路基板から選択されたバッテリ監視用セル監視回路基板が、実装された集積回路によって組電池群の総電圧を検出するようになっており、
前記バッテリ監視用セル監視回路基板の集積回路には、前記組電池群の正極側及び負極側と接続された総電圧検出部が設けられており、前記組電池群の正極側と前記総電圧検出部とを接続する正極入力線又は前記組電池群の負極側と前記総電圧検出部とを接続する負極入力線には少なくとも一つの抵抗が設けられ、前記正極入力線又は前記負極入力線の前記抵抗は、前記複数のセル監視回路基板の少なくとも一つに配置されていることを特徴とする電池監視装置。
【請求項5】
前記バッテリ監視用セル監視回路基板は、前記組電池群の最上位の電位を有する電池セルの電圧を検出する集積回路が実装されたセル監視回路基板、もしくは、前記組電池群の最下位の電位を有する電池セルの電圧を検出する集積回路が実装されたセル監視回路基板であることを特徴とする、請求項4に記載の電池監視装置。
【請求項6】
請求項1に記載の電池監視装置と、該電池監視装置の各セル監視回路基板に接続された複数の組電池からなる組電池群と、を備えたことを特徴とする電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池監視装置及びそれを用いた電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばリチウムイオン電池やニッケル水素電池等の二次電池は、放電した二次電池を充電することにより繰り返して使用することができる。このような二次電池は、二次電池自体の組成に応じた充電時及び放電時の制限電圧値を有しているため、二次電池の電圧を監視しながらその充放電を行う必要がある。
【0003】
また、例えば電気自動車(EV)やハイブリッド自動車(HEV)等の車両は、必要な電源電圧を得るために、上記二次電池の複数個を直列もしくは並列に接続した組電池を使用している。このような車両においては、組電池の高電圧が車両のシャーシグラウンドと短絡すると作業者等が感電する可能性があるため、入力と出力とを絶縁した総電圧検出回路により組電池全体の総電圧を監視している。
【0004】
このような各電池の電圧と組電池の総電圧を同時に監視する従来技術が特許文献1、2に開示されている。
【0005】
引用文献1、2に開示されている組電池の総電圧検出回路や車両用電池システムは、組電池を形成する各電池セルの電圧を監視する集積回路と、組電池の総電圧を検出して前記集積回路を制御する制御回路(マイコン)とが実装された装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−236711号公報
【特許文献2】特開2010−228523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1、2に開示されている組電池の総電圧検出回路や車両用電池システムによれば、分圧抵抗で分圧された電圧を測定する差動増幅回路や電池セルを放電させる放電回路を設けることによって、当該総電圧検出回路や車両用電池システムの信頼性を高めることができる。
【0008】
しかしながら、特許文献1、2に開示されている総電圧検出回路や車両用電池システムにおいては、集積回路と該集積回路を制御する制御回路とが異なる基板に配置されており、例えば何等かの理由によって集積回路が実装された基板と制御回路が実装された基板とを繋ぐ接続線や集積回路が実装された基板同士を繋ぐ接続線が短絡した際に、各電池セルに大きな電流が流れてしまうといった問題が生じ得る。
【0009】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、例えば集積回路が実装された基板と制御回路が実装された基板とを繋ぐ接続線や集積回路が実装された基板同士を繋ぐ接続線が短絡した場合であっても、各電池セルに流れる電流を抑制することができ、その安全性を高めることのできる電池監視装置及びそれを用いた電池システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記する課題を解決するために、本発明に係る電池監視装置は、複数の組電池が電気的に接続された組電池群を監視する電池監視装置であって、該電池監視装置は、前記組電池を形成する各電池セルの電圧を検出する第1電圧検出回路がそれぞれに実装された複数のセル監視回路基板と、前記組電池群の総電圧を検出する第2電圧検出回路が実装されたバッテリ監視回路基板と、を備え、前記第2電圧検出回路には、前記組電池群の正極側及び負極側と接続された総電圧検出部が接続されており、前記組電池群の正極側と前記総電圧検出部とを接続する正極入力線及び/又は前記組電池群の負極側と前記総電圧検出部とを接続する負極入力線には少なくとも一つの抵抗が設けられ、前記正極入力線及び/又は前記負極入力線の前記抵抗は、前記複数のセル監視回路基板の少なくとも一つに配置されていることを特徴としている。
【0011】
また、本発明に係る電池システムは、前記電池監視装置と、該電池監視装置の各セル監視回路基板に接続された複数の組電池からなる組電池群と、を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、バッテリ監視回路基板へ組電池群の最上位の電位を入力する正極入力線及び/又は組電池群の最下位の電位を入力する負極入力線に設けられた抵抗が複数のセル監視回路基板の少なくとも一つに分散配置されていることによって、例えば第1電圧検出回路が実装されたセル監視回路基板と第2電圧検出回路が実装されたバッテリ監視回路基板とを繋ぐ接続線や第1電圧検出回路が実装されたセル監視回路基板同士を繋ぐ接続線が短絡した場合であっても、各電池セルに流れる電流を抑制することができ、作業者等が電池システムを安全に取り扱うことができる。
【0013】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る電池監視装置及びそれを用いた電池システムの実施形態1の全体構成を示す全体構成図。
図2】本発明に係る電池監視装置及びそれを用いた電池システムの実施形態2の全体構成を示す全体構成図。
図3】本発明に係る電池監視装置及びそれを用いた電池システムの実施形態3の全体構成を示す全体構成図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る電池監視装置及びそれを用いた電池システムの実施形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
[実施形態1]
図1は、本発明に係る電池監視装置及びそれを用いた電池システムの実施形態1の全体構成を示したものである。
【0017】
図示する電池システム500は、主に、複数の組電池21、22が電気的に直列に接続された組電池群200と、該組電池群200を監視する電池監視装置100と、を備えている。
【0018】
組電池群200を構成する組電池21、22はそれぞれ、複数の電池セル20が直列に接続されて形成されている。なお、電池セル20としては、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドニウム電池、鉛電池、キャパシタ等が挙げられる。
【0019】
電池監視装置100は、例えば、組電池群200の総電圧や総電流、組電池群200を構成する各組電池21、22の電圧や電流、組電池21、22を形成する各電池セル20の電圧や電流、温度、それらに基づく各電池セル20の充電状態や劣化状態等を監視するもので、主に、各組電池21、22に接続される複数のセル監視回路基板31、32と、各セル監視回路基板31、32を制御するための上位制御回路基板(バッテリ監視回路基板)61と、を備えている。
【0020】
セル監視回路基板31、32はそれぞれ、主に、組電池21、22を形成する各電池セル20を監視するセル監視用集積回路(第1電圧検出回路)41、42と、上位制御回路基板61のマイコン(第2電圧検出回路)12や他のセル監視回路基板との通信インターフェースとして直列に接続される通信用コンデンサ52、53、54、55と、を有している。
【0021】
集積回路41、42は、例えば、上位制御回路基板61のマイコン12から送信される指令信号に基づいて各集積回路41、42に接続された組電池21、22の各電池セル20の電圧を検出し、その検出結果を外部へ送信する。
【0022】
また、上位制御回路基板61は、主に、電源部10と、マイコン12と、総電圧検出部13と、各セル監視回路基板31、32との通信インターフェースとして直列に接続される通信用コンデンサ51と、を有している。
【0023】
電源部10は、外部に設けられた鉛蓄電池11からの電源供給によって電圧を生成しており、この電源部10により生成された電圧によって電池監視装置100を構成する各回路が動作するようになっている。
【0024】
マイコン12は、各電池セル20の電圧を測定する際、上記したように、通信用コンデンサ51を介して各セル監視回路基板31、32に実装された集積回路41、42へ指令信号を送信し、この指令信号に基づいて、集積回路41、42が該集積回路41、42に接続された組電池21、22の各電池セル20の電圧を測定する。測定された各電池セル20の電圧値は集積回路41、42内に設けられたレジスタ(不図示)に一旦格納され、マイコン12は、測定された各電池セル20の電圧値を前記レジスタから読み出して通信により取得する。
【0025】
図示するように、上位制御回路基板61と各セル監視回路基板31、32との間を繋ぐ通信線は、上位制御回路基板61や各セル監視回路基板31、32に実装された通信用コンデンサ51〜55を介して各基板の外部へ接続されるため、各基板の外部の通信線は、組電池群200や鉛蓄電池11から浮動(浮遊)電位(floating potential)となっている。
【0026】
一方、マイコン12は、組電池群200の総電圧を測定する際、該マイコン12に接続された所定の回路構成からなる総電圧検出部13を介して組電池群200の正極側と負極側の電位を取得し、該マイコン12の内部に設けられたA/Dコンバータ(不図示)により組電池群200の総電圧を測定する。
【0027】
具体的には、組電池群200の正極側は、セル監視回路基板31に実装された総電圧検出抵抗121を介して上位制御回路基板61へ入力され、抵抗群(例えば5個)127を介して総電圧検出部13の入力部に接続されている。また、組電池群200の負極側は、セル監視回路基板32に実装された総電圧検出抵抗125、126及びセル監視回路基板31に実装された総電圧検出抵抗123を介して上位制御回路基板61へ入力され、抵抗群(例えば3個)128を介して総電圧検出部13の入力部に接続されている。すなわち、組電池群200の正極側は、正極入力線13a(正極入力回路ともいう)を介して総電圧検出部13の入力部と接続され、負極入力線(負極入力回路ともいう)13bを介して総電圧検出部13の入力部と接続され、正極入力線13aには、セル監視回路基板31に実装された総電圧検出抵抗121及び上位制御回路基板61に実装された抵抗群127からなる正極抵抗が設けられ、負極入力線13bには、セル監視回路基板32に実装された総電圧検出抵抗125、126、セル監視回路基板31に実装された総電圧検出抵抗123及び上位制御回路基板61に実装された抵抗群128からなる負極抵抗が設けられている。
【0028】
正極入力線13aと負極入力線13bとは、セル監視回路基板31、32に実装された複数の抵抗と上位制御回路基板61に実装された複数の抵抗とによって、各ラインで同一に分圧された状態で上位制御回路基板61の総電圧検出部13へ入力されており、マイコン12は、正極入力線13aと負極入力線13bおよび総電圧検出部13を介して組電池群200の正極側と負極側の電位を取得することによって、組電池群200の総電圧を測定することができる。
【0029】
ここで、組電池群200の総電圧を測定するために正極入力線13aと負極入力線13bに設けられた総電圧検出抵抗、特に負極入力線13bに設けられた総電圧検出抵抗123、126が各セル監視回路基板31、32に分散して配置されている。これにより、何らかの理由によって例えば集積回路41、42が実装されたセル監視回路基板31、32とマイコン12が実装された上位制御回路基板61とを繋ぐ接続線あるいは集積回路41、42が実装されたセル監視回路基板31、32同士を繋ぐ接続線が短絡した場合であっても、各セル監視回路基板31、32に実装された総電圧検出抵抗123、126によって各電池セル20に流れる電流を抑制することができる。
【0030】
なお、図示するように、各セル監視回路基板31、32には、以下の図2に基づき説明するようにセル監視回路基板の汎用性を高めるために、組電池21の負極側と接続された総電圧検出抵抗122、組電池22の正極側と接続された総電圧検出抵抗124が実装されている。すなわち、各セル監視回路基板31、32の内部には通信インターフェースとしての絶縁素子が実装されておらず、かつ、各セル監視回路基板31、32が同一の回路構成を有しているため、複数のセル監視回路基板を直列に接続して簡単に多様な電池システムを形成し得るようになっている。
【0031】
また、上位制御回路基板61には、上位制御回路基板61のマイコン12とセル監視回路基板31、32の集積回路41、42との間の絶縁低下を検出する地絡検出部14が実装されており、この地絡検出部14は、コンデンサ56を介して正極入力線13aと接続されている。なお、地絡検出部14は、コンデンサ56を介して負極入力線13bと接続されてもよい。
【0032】
このように、本実施形態1では、組電池群200の負極側と上位制御回路基板61の総電圧検出部13とを接続する負極入力線13bに設けられた総電圧検出抵抗123、126が、セル監視回路基板の少なくとも一つ、特に各セル監視回路基板31、32に分散配置されているこれにより、例えば集積回路41、42が実装されたセル監視回路基板31、32とマイコン12が実装された上位制御回路基板61とを繋ぐ接続線あるいは集積回路41、42が実装されたセル監視回路基板31、32同士を繋ぐ接続線が短絡した場合であっても、各電池セル20に流れる電流を抑制することができ、作業者等が電池システム500を安全に取り扱うことができる。
【0033】
なお、上記する実施形態1では、正極入力線13aと負極入力線13bとに設けられた抵抗の基数が同一となるように上位制御回路基板61に実装された抵抗の実装数を調整したが、例えば総電圧検出部13へ入力される電圧値が組電池群200の正極側と負極側で同一の分圧比となるような回路の場合には、正極入力線13aと負極入力線13bとに設けられる抵抗の基数は異なっていても良い。
【0034】
また、上記する実施形態1では、セル監視回路基板32から出力される信号が、その外部のループバック経路を介して再びセル監視回路基板32へ入力される構成としたが、例えばセル監視回路基板32の外部のループバック経路を省略し、部品の実装選択によってセル監視回路基板32の内部にループバック経路を形成してもよい。
【0035】
[実施形態2]
図2は、本発明に係る本発明に係る電池監視装置及びそれを用いた電池システムの実施形態2の全体構成を示したものである。図2に示す実施形態2の電池監視装置100A及びそれを用いた電池システム500Aは、上記する実施形態1に対して正極入力線に設けられた総電圧検出抵抗を分散配置した構成が相違しており、その他の構成は実施形態1とほぼ同様である。したがって、実施形態1と同様の構成については、同様の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0036】
上記するように、当該電池監視装置100Aの各セル監視回路基板は同一の回路構成を有しているため、各セル監視回路基板の接続形態を変更することで簡単に多様な電池システムを形成し得る。
【0037】
本実施形態2では、組電池群200Aの上位の組電池21Aにセル監視回路基板32Aが接続され、組電池群200Aの下位の組電池22Aにセル監視回路基板31Aが接続されている。
【0038】
上位制御回路基板61Aに実装されるマイコン12Aは、各電池セル20Aの電圧を測定する際、通信用コンデンサ51Aを介して各セル監視回路基板31A、32Aに実装された集積回路41A、42Aへ指令信号を送信し、この指令信号に基づいて、集積回路41A、42Aが該集積回路41A、42Aに接続された組電池22A、21Aの各電池セル20Aの電圧を測定する。測定された各電池セル20Aの電圧値は集積回路41A、42A内に設けられたレジスタ(不図示)に一旦格納され、マイコン12Aは、測定された各電池セル20Aの電圧値を前記レジスタから読み出して通信により取得する。
【0039】
また、本実施形態2では、図2に示すように、組電池群200Aの正極側は、セル監視回路基板32Aに実装された総電圧検出抵抗125A、126A及びセル監視回路基板31Aに実装された総電圧検出抵抗123Aを介して上位制御回路基板61Aへ入力され、抵抗群(例えば3個)127Aを介して総電圧検出部13Aの入力部に接続されている。また、組電池群200Aの負極側は、セル監視回路基板31Aに実装された総電圧検出抵抗121Aを介して上位制御回路基板61Aへ入力され、抵抗群(例えば5個)128Aを介して総電圧検出部13Aの入力部に接続されている。すなわち、組電池群200Aの正極側は、正極入力線13aA(正極入力回路ともいう)を介して総電圧検出部13Aの入力部と接続され、組電池群200Aの負極側は、負極入力線13bA(負極入力回路ともいう)を介して総電圧検出部13Aの入力部と接続され、正極入力線13aAには、セル監視回路基板32Aに実装された総電圧検出抵抗125A、126A、セル監視回路基板31Aに実装された総電圧検出抵抗123A及び上位制御回路基板61Aに実装された抵抗群127Aからなる正極抵抗が設けられ、負極入力線13bAには、セル監視回路基板31Aに実装された総電圧検出抵抗121A及び上位制御回路基板61Aに実装された抵抗群128Aからなる負極抵抗が設けられている。
【0040】
正極入力線13aAと負極入力線13bAとは、セル監視回路基板31A、32Aに実装された複数の抵抗と上位制御回路基板61Aに実装された複数の抵抗とによって、各ラインで同一に分圧された状態で上位制御回路基板61Aの総電圧検出部13Aへ入力されており、マイコン12Aは、正極入力線13aAと負極入力線13bAおよび総電圧検出部13Aを介して組電池群200Aの正極側と負極側の電位を取得することによって、組電池群200Aの総電圧を測定することができる。
【0041】
ここで、本実施形態2では、組電池群200Aの総電圧を測定するために正極入力線13aAと負極入力線13bAに設けられた総電圧検出抵抗、特に正極入力線13aAに設けられた総電圧検出抵抗123A、126Aが各セル監視回路基板31A、32Aに分散して配置されている。これにより、何らかの理由によって例えば集積回路41A、42Aが実装されたセル監視回路基板31A、32Aとマイコン12Aが実装された上位制御回路基板61Aとを繋ぐ接続線あるいは集積回路41A、42Aが実装されたセル監視回路基板31A、32A同士を繋ぐ接続線が短絡した場合であっても、各セル監視回路基板31A、32Aに実装された総電圧検出抵抗123A、126Aによって各電池セル20Aに流れる電流を抑制することができ、作業者等が電池システム500Aを安全に取り扱うことができる。
【0042】
[実施形態3]
図3は、本発明に係る本発明に係る電池監視装置及びそれを用いた電池システムの実施形態3の全体構成を示したものである。図3に示す実施形態3の電池監視装置100B及びそれを用いた電池システム500Bは、上記する実施形態1、2に対して複数のセル監視用集積回路から選択される一つの集積回路を用いて組電池群の総電圧を検出する構成が相違しており、その他の構成は実施形態1、2とほぼ同様である。したがって、実施形態1、2と同様の構成については、同様の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0043】
本実施形態3では、組電池群200Bの総電圧の通信速度を速めるために、組電池群200Bの総電圧を測定するための総電圧検出部13Bが、複数のセル監視回路基板31B、32Bから選択されたバッテリ監視用セル監視回路基板32Bの集積回路42Bの内部に設けられており、バッテリ監視用セル監視回路基板32Bの集積回路42Bによって組電池群200Bの総電圧を測定する。
【0044】
図3に示すように、電池監視装置100Bは、主に、各組電池21B、22Bに接続される複数のセル監視回路基板31B、32B(後述するように、セル監視回路基板32Bが組電池群200Bの総電圧を検出するためのバッテリ監視回路基板を兼ねる)と、各セル監視回路基板31B、32Bを制御するための上位制御回路基板61Bと、を備えている。
【0045】
セル監視回路基板31B、32Bはそれぞれ、主に、組電池21B、22Bを形成する各電池セル20Bを監視するセル監視用集積回路(第1電圧検出回路)41B、42B(後述するように、集積回路42Bが第2電圧検出回路を兼ねる)と、上位制御回路基板61Bのマイコン12Bや他のセル監視回路基板との通信インターフェースとして直列に接続される通信用コンデンサ52B、53B、54B、55Bと、を有している。
【0046】
集積回路41B、42Bは、例えば、上位制御回路基板61Bのマイコン12Bから送信される指令信号に基づいて各集積回路41B、42Bに接続された組電池21B、22Bの各電池セル20Bの電圧を検出し、その検出結果を外部へ送信する。
【0047】
また、上位制御回路基板61Bは、主に、電源部10Bと、マイコン12Bと、セル監視回路基板31B、32Bとの通信インターフェースとして直列に接続される通信用コンデンサ51Bと、を有している。
【0048】
マイコン12Bは、各電池セル20Bの電圧を測定する際、上記するように、通信用コンデンサ51Bを介して各セル監視回路基板31B、32Bに実装された集積回路41B、42Bへ指令信号を送信し、この指令信号に基づいて、集積回路41B、42Bが該集積回路41B、42Bに接続された組電池21B、22Bの各電池セル20Bの電圧を測定する。測定された各電池セル20Bの電圧値は集積回路41B、42B内に設けられたレジスタ(不図示)に一旦格納され、マイコン12Bは、測定された各電池セル20Bの電圧値を前記レジスタから読み出して通信により取得する。
【0049】
一方、組電池群200Bの総電圧を測定する際には、組電池群200Bの電池セル20のうち最も電位の低い電池セルを監視するセル監視回路基板(バッテリ監視回路基板)32Bの集積回路42B(第2電圧検出回路)が、その内部に設けられた所定の回路構成からなる総電圧検出部13Bを介して組電池群200Bの正極側と負極側の電位を取得し、該集積回路42Bの内部に設けられたA/Dコンバータ(不図示)によって組電池群200Bの総電圧を測定する。
【0050】
具体的には、組電池群200Bの正極側は、セル監視回路基板31Bに実装された総電圧検出抵抗121B、123B及びセル監視回路基板32Bに実装された総電圧検出抵抗126B、125Bを介して分圧されて、集積回路42Bの総電圧検出部13Bの入力部に接続されている。また、組電池群200Bの負極側は、直接的に集積回路42Bの総電圧検出部13Bの入力部に接続されている。すなわち、組電池群200Bの正極側は、正極入力線13aB(正極入力回路ともいう)を介して総電圧検出部13Bの入力部と接続され、組電池群200Bの負極側は、負極入力線13bBを介して総電圧検出部13Bの入力部と接続され、正極入力線13aBには、セル監視回路基板31Bに実装された総電圧検出抵抗121B、123B及びセル監視回路基板32Bに実装された総電圧検出抵抗126B、125Bからなる正極抵抗が設けられている。
【0051】
セル監視回路基板32Bの集積回路42Bは、正極入力線13aBと負極入力線13bBおよび総電圧検出部13Bを介して組電池群200Bの正極側と負極側の電位を取得することによって、組電池群200Bの総電圧を測定することができる。
【0052】
ここで、本実施形態3では、組電池群200Bの総電圧を測定するために正極入力線13aBに設けられた総電圧検出抵抗123B、126Bが、各セル監視回路基板31B、32Bに分散して配置されている。これにより、何らかの理由によって例えば集積回路41B、42Bが実装されたセル監視回路基板31B、32B同士を繋ぐ接続線が短絡した場合であっても、各セル監視回路基板31B、32Bに実装された総電圧検出抵抗123B、126Bによって各電池セル20Bに流れる電流を抑制することができる。
【0053】
なお、上記する実施形態3では、組電池群200Bの正極側の電位が一旦セル監視回路基板31Bの外部へ出力され、再びセル監視回路基板31Bへ入力される構成としたが、例えばセル監視回路基板31Bの内部に設けた接続線を介して組電池群200Bの正極側の電位をセル監視回路基板32Bへ送信してもよい。
【0054】
また、図示するように、組電池21Bの負極側を、セル監視回路基板31Bに実装された総電圧検出抵抗122Bを介して下位のセル監視回路基板32Bの集積回路42Bに接続し、組電池21B、22B間の接続状態の異常を検出するための電圧測定に使用してもよい。
【0055】
また、上記する実施形態3では、組電池群200Bの総電圧を測定するために正極入力線13aBに設けられた総電圧検出抵抗123B、126Bが各セル監視回路基板31B、32Bに分散して配置される形態について説明したが、組電池群200Bの負極側と総電圧検出部13Bとを接続する負極入力線13bBに複数の総電圧検出抵抗を設け、負極入力線13bBに設けられた複数の総電圧検出抵抗を各セル監視回路基板31B、32Bに分散して配置してもよい。
【0056】
また、上記する実施形態1〜3では、複数の電池セルを直列に接続して形成した組電池の複数個を更に直列に接続して組電池群を構成する形態について説明したが、組電池群を構成する組電池の基数や接続形態(直列や並列)あるいは組電池を構成する電池セルの基数や接続形態(直列や並列)は、必要とされる電池システムの性能に応じて適宜変更することができる。
【0057】
なお、本発明は上記した実施形態1〜3に限定されるものではなく、様々な変形形態が含まれる。例えば、上記した実施形態1〜3は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0058】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0059】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0060】
10 電源部
11 鉛蓄電池
12 マイコン(第2電圧検出回路)
13 総電圧検出部
13a 正極入力線
13b 負極入力線
14 地絡検出部
20 電池セル
21、22 組電池
31、32 セル監視回路基板
32B バッテリ監視用セル監視回路基板(バッテリ監視回路基板)
41、42 セル監視用集積回路(第1電圧検出回路)
42B セル監視用集積回路(第2電圧検出回路)
51 上位制御回路基板の通信用コンデンサ
52、53、54、55 セル監視回路基板の通信用コンデンサ
56 コンデンサ
61 上位制御回路基板(バッテリ監視回路基板)
100 電池監視装置
121、122、123、124、125、126 総電圧検出抵抗
127、128 抵抗群
200 組電池群
500 電池システム
図1
図2
図3