特許第5997381号(P5997381)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 本田技研工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5997381-ヘッドライト固定構造 図000002
  • 特許5997381-ヘッドライト固定構造 図000003
  • 特許5997381-ヘッドライト固定構造 図000004
  • 特許5997381-ヘッドライト固定構造 図000005
  • 特許5997381-ヘッドライト固定構造 図000006
  • 特許5997381-ヘッドライト固定構造 図000007
  • 特許5997381-ヘッドライト固定構造 図000008
  • 特許5997381-ヘッドライト固定構造 図000009
  • 特許5997381-ヘッドライト固定構造 図000010
  • 特許5997381-ヘッドライト固定構造 図000011
  • 特許5997381-ヘッドライト固定構造 図000012
  • 特許5997381-ヘッドライト固定構造 図000013
  • 特許5997381-ヘッドライト固定構造 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5997381
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】ヘッドライト固定構造
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/04 20060101AFI20160915BHJP
【FI】
   B60Q1/04 A
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-525073(P2015-525073)
(86)(22)【出願日】2014年4月15日
(86)【国際出願番号】JP2014060690
(87)【国際公開番号】WO2015001832
(87)【国際公開日】20150108
【審査請求日】2015年12月10日
(31)【優先権主張番号】特願2013-138907(P2013-138907)
(32)【優先日】2013年7月2日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100166648
【弁理士】
【氏名又は名称】鎗田 伸宜
(74)【代理人】
【識別番号】100161399
【弁理士】
【氏名又は名称】大戸 隆広
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100161355
【弁理士】
【氏名又は名称】野崎 俊剛
(72)【発明者】
【氏名】河村 和幸
(72)【発明者】
【氏名】辻 圭一郎
【審査官】 竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−16386(JP,A)
【文献】 特開2010−241375(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/001800(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントバンパの上方に位置するヘッドライトをヘッドライトブラケットによって車体に固定するヘッドライト固定構造において、
前記ヘッドライトブラケットは、前記ヘッドライトの下縁に沿って車幅方向に延びる水平部と、この水平部の車幅方向内側の端部から上方に延びる上延部とによって、前面視で略L字状に形成され、
前記上延部には、下向きの締結部材によって前記ヘッドライトの上部を固定するための上固定部が設けられており、
前記水平部には、上向きの締結部材によって前記ヘッドライトの下部を固定するための下固定部が設けられており、
前記水平部のなかの、前記下固定部よりも車幅方向内側の部分と、前記上延部とには、フロントグリルを係止するためのフロントグリル係止部がそれぞれ設けられていることを特徴とするヘッドライト固定構造。
【請求項2】
前記上固定部及び前記ヘッドライトの上部は、前記下向きの締結部材により、前記車体に共締めによって固定されている、請求項1記載のヘッドライト固定構造。
【請求項3】
前記水平部の車幅方向内側の端部は、車幅方向に形成された孔部を有し、
前記ヘッドライトの車幅方向内側の側面には、前記孔部に対応する位置に凸部が設けられ、
この凸部は、車幅方向内方に突出して、前記孔部に係合している、請求項1又は請求項2記載のヘッドライト固定構造。
【請求項5】
前記ヘッドライトブラケットには、前記フロントバンパを係止するためのフロントバンパ係止部が設けられている、請求項1〜3のいずれか1項記載のヘッドライト固定構造。
【請求項6】
前記凸部の前面は、前記凸部の基端から先端に向かって車体後方に傾斜する傾斜面に形成されている、請求項3又は5記載のヘッドライト固定構造。
【請求項7】
前記ヘッドライトは、前記上固定部に重ねられ且つ固定される上固定当接部と、この上固定当接部から前記上固定部へ向かって突出する上位置決めピンと、前記下固定部に重ねられ且つ固定される下固定当接部と、この下固定当接部から前記下固定部へ向かって突出する下位置決めピンとを有し、
前記上固定部には、前記上位置決めピンを挿通する上位置決め孔が設けられ、前記下固定部には、前記下位置決めピンを挿通する下位置決め孔が設けられている、請求項1〜3、5、6のいずれか1項記載のヘッドライト固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体前部において、ヘッドライトを固定する部分が改良されたヘッドライト固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両の車体前部には、車両の前方を照らすヘッドライトや、衝突時の衝撃を吸収するフロントバンパ等が設けられている。このような、ヘッドライトやフロントバンパを固定する構造に関しては、特許文献1,2によって知られている。
【0003】
特許文献1から知られているヘッドライト固定構造は、ヘッドライトをステーによって車体に固定し、ヘッドライトの下方において、フロントバンパをアッパビームにより車体に固定している。ヘッドライトとフロントバンパとの取付精度を高めることにより、ヘッドライトとフロントバンパとの隙間を小さく設定することができる。この結果、車両の外観性が高まる。
【0004】
特許文献2から知られているヘッドライト固定構造は、ヘッドライトの車幅方向内方にて、フロントバルクヘッドの前にフロントアッパビームブラケットを設けている。車両の正面軽衝突時に、フロントアッパビームブラケットが変形して衝突エネルギーを吸収することにより、フロントバルクヘッドの変形を抑制することができる。
【0005】
しかし、ヘッドライトとフロントバンパの取付精度を高めたり、衝突時のエネルギーを吸収するために、ヘッドライトを固定するための部品以外の部品を別途用いており、部品点数が多くなる。また、ヘッドライトやフロントバンパを固定するために、ステーやブラケット等の部品が増えて構造が複雑になり、取付精度と衝撃吸収性を同時に満たすことは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−90916号公報
【特許文献2】特開2012−62017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ヘッドライトとその周辺部品の取付精度を簡便な構成で向上させるとともに、車両衝突時の衝撃吸収性も満たすことができる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、フロントバンパの上方に位置するヘッドライトをヘッドライトブラケットによって車体に固定するヘッドライト固定構造において、前記ヘッドライトブラケットは、前記ヘッドライトの下縁に沿って車幅方向に延びる水平部と、この水平部の車幅方向内側の端部から上方に延びる上延部とによって、前面視で略L字状に形成され、前記上延部には、下向きの締結部材によって前記ヘッドライトの上部を固定するための上固定部を有し、前記水平部には、上向きの締結部材によって前記ヘッドライトの下部を固定するための下固定部を有していることを特徴とするヘッドライト固定構造が提供される。
【0009】
請求項2に係る発明では、好ましくは、上固定部及びヘッドライトの上部は、下向きの締結部材により、車体に共締めによって固定されている。
【0010】
請求項3に係る発明では、好ましくは、水平部の車幅方向内側の端部は、車幅方向に形成された孔部を有し、ヘッドライトの車幅方向内側の側面には、孔部に対応する位置に凸部が設けられ、この凸部は、車幅方向内方に突出して、孔部に係合している。
【0011】
請求項4に係る発明では、好ましくは、水平部のなかの、下固定部よりも車幅方向内側の部分と、上延部とには、フロントグリルを係止するためのフロントグリル係止部がそれぞれ設けられている。
【0012】
請求項5に係る発明では、好ましくは、ヘッドライトブラケットには、フロントバンパを係止するためのフロントバンパ係止部が設けられている。
【0013】
請求項6に係る発明では、好ましくは、凸部の前面は、凸部の基端から先端に向かって車体後方に傾斜する傾斜面に形成されている。
【0014】
請求項7に係る発明では、好ましくは、ヘッドライトは、上固定部に重ねられ且つ固定される上固定当接部と、この上固定当接部から上固定部へ向かって突出する上位置決めピンと、下固定部に重ねられ且つ固定される下固定当接部と、この下固定当接部から下固定部へ向かって突出する下位置決めピンとを有し、上固定部には、上位置決めピンを挿通する上位置決め孔が設けられ、下固定部には、下位置決めピンを挿通する下位置決め孔が設けられている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明では、ヘッドライトブラケットは、ヘッドライトの下縁に沿って車幅方向に延びる水平部と、この水平部の車幅方向内側の端部から上方に延びる上延部とによって、前面視で略L字状に形成されている。上延部には、ヘッドライトの上部を固定するための上固定部を有し、水平部には、ヘッドライトの下部を固定するための下固定部を有しており、ヘッドライトを上下から挟み込んで固定するので、ヘッドライトのヘッドライトブラケットへの取付精度を向上させることができる。ヘッドライトのヘッドライトブラケットへの取付精度が向上するので、ヘッドライトとヘッドライトブラケットを一体的に扱い、車体に取り付けることができる。また、1個のL字状に形成されたヘッドライトブラケットであるため、簡便な構成にできる。
【0016】
請求項2に係る発明では、上固定部及びヘッドライトの上部は、下向きの締結部材により、車体に共締めによって固定されている。ヘッドライトとヘッドライトブラケットを車体に固定する締結部材は共用であるので、部品点数を削減し、部品コストを低減することができる。また、部品点数を削減することで、ヘッドライト周辺の部品の重量も低減することができる。
【0017】
請求項3に係る発明では、水平部の車幅方向内側の端部は、車幅方向に形成された孔部を有し、ヘッドライトの車幅方向内側の側面には、孔部に対応する位置に凸部が設けられる。凸部は、車幅方向内方に突出して孔部に係合しているので、上固定部及び下固定部から離れた部分に、3点目の固定点が形成することができる。ヘッドライトは、3点でヘッドライトブラケットに固定されるので、取付精度をより向上させることができるとともに、ヘッドライトのヘッドライトブラケットへの取付剛性も向上させることができる。
【0018】
請求項4に係る発明では、水平部のなかの、下固定部よりも車幅方向内側の部分と、上延部とには、フロントグリルを係止するためのフロントグリル係止部がそれぞれ設けられている。ヘッドライトブラケットは、フロントグリルを係止するためのブラケットも共用するので、部品点数を削減することができる。また、ヘッドライトとフロントグリルの固定点が、ヘッドライトブラケットに集約されるので、相互の位置決め精度を向上させることができる。また、ヘッドライトブラケットを共用することにより、部品同士が相互に補強し合うので、ヘッドライト及びフロントグリルの車体に対する取付剛性も向上する。
【0019】
請求項5に係る発明では、ヘッドライトブラケットには、フロントバンパを係止するためのフロントバンパ係止部が設けられている。ヘッドライトブラケットは、フロントバンパを係止するためのブラケットも共用するので、部品点数を削減することができる。また、ヘッドライトとフロントバンパの固定点が、ヘッドライトブラケットに集約されるので、相互の位置決め精度を向上させることができる。また、ヘッドライトブラケットを共用することにより、部品同士が相互に補強し合うので、ヘッドライト及びフロントバンパの車体に対する取付剛性も向上する。
【0020】
請求項6に係る発明では、凸部の前面は、凸部の基端から先端に向かって車体後方に傾斜する傾斜面に形成されている。車両の正面軽衝突時に、フロントバンパやフロントグリルを介して衝突荷重がヘッドライトブラケットに入力される。衝突荷重を受けたヘッドライトブラケットの係合部を、傾斜面によりスライドさせて、ヘッドライトとの係合を外すので、ヘッドライトの損傷を防止することができる。
【0021】
請求項7に係る発明では、ヘッドライトは、上位置決めピンと、下位置決めピンとを有する。上固定部には、上位置決めピンを挿通する上位置決め孔が設けられ、下固定部には、下位置決めピンを挿通する下位置決め孔が設けられているので、ヘッドライトブラケットに対する、ヘッドライトの位置決めを容易にできる。また、上位置決めピン及び下位置決めピンが、ヘッドライトブラケットに引っ掛かることで、組み付け時にヘッドライトからのヘッドライトブラケットが脱落することを防ぎ、ヘッドライト及びヘッドライトブラケットの車体への組み付け性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係る車体前部の正面図である。
図2】本発明に係る車体前部の要部分解図である。
図3図2に示されたヘッドライト周りの正面図である。
図4図3の4矢視図である。
図5図4に示された上固定部周りの分解斜視図である。
図6図3の6矢視図である。
図7図3の7矢視図である。
図8図7の8矢視図である。
図9図8の9−9線断面図である。
図10】本発明に係るヘッドライトブラケットの左側面図である。
図11】本発明に係るヘッドライトブラケット及びフロントグリルの背面図である。
図12図11の12矢視図である。
図13図11の13矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を実施するための形態を添付図に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0024】
実施例に係る自動車の車体前部について説明する。なお、便宜上、車体前部の左側について説明するが、車体前部の右側についても左右対称で同様の構造とする。
【0025】
図1に示されるように、車両10は例えば乗用車である。車体11は、モノコックボディからなり、車両10の車幅方向中心に対し、略左右対称に形成されている。車体11の前部は、アッパメンバ12と、フロントバルクヘッド13とを含み、フロントバルクヘッド13の後方にエンジンルーム14が形成されている。
【0026】
フロントバルクヘッド13は、アッパメンバ12の車幅方向内側に位置して上下に延びるサイドメンバ15と、このサイドメンバ15の上端の角部16から車幅方向内側に延びるアッパクロスメンバ17とを含む。
【0027】
フロントバルクヘッド13の角部16には、ヘッドライト20が車幅方向外に延びるように設けられ、このヘッドライト20の内側にフロントグリル30が設けられ、このフロントグリル30の下端及びヘッドライトの下端にフロントバンパ40が設けられている。
【0028】
ヘッドライト20は、フロントバンパ40の上方に位置し、正面視で、内端にV字状に形成されるV字凸部21と、このV字凸部21の上端部から外方に延びるように形成される上縁22と、V字凸部21の下端部から外方に延びるように形成される下縁23と、この下縁23の外端と上縁22の外端を繋いで上下に延びるように形成される外辺部24とを有する。
【0029】
フロントグリル30は、ヘッドライト20のV字凸部21に対応するように形成されるV字凹部31と、このV字凹部31の上端部から内方に延びるように形成されるグリル上辺部32と、V字凹部31の下端部から内方に延びるように形成されるグリル下辺部33とを有する。
【0030】
フロントバンパ40は、ヘッドライト20の下縁23及びグリル下辺部33に沿うように形成されるバンパ上辺部41と、このバンパ上辺部41の外端部から下方に延びるように形成されるバンパ外辺部42とを有する。
【0031】
図2及び図3に示されるように、ヘッドライト20は、ヘッドライトブラケット50によって、車体11のフロントバルクヘッド13に固定されている。ヘッドライト20では、V字凸部21の下側部は略水平に延びて下縁23に連続し、V字凸部21の上側部は外側へ若干傾斜するように上方へ延びている。
【0032】
ヘッドライトブラケット50は、ヘッドライト20の下縁23に沿って車幅方向に延びる水平部51と、この水平部51の車幅方向内側の端部52から上方に延びる上延部53とによって、前面視で略L字状に形成されている。ヘッドライトブラケット50は、L字状に形成されている内側が、ヘッドライト20のV字凸部21に沿うように形成されている。このため、ヘッドライトブラケット50とヘッドライト20を、一体的に扱うことができる。
【0033】
ヘッドライトブラケット50において、上延部53には、下向きの締結部材71によってヘッドライト20の上部25を固定するための上固定部54を有している。水平部51の中間外側部には、上向きの締結部材72によってヘッドライト20の下部26を固定するための下固定部55を有している。水平部51の前面中間部には、車両後方向きの締結部材73によって、ヘッドライトブラケット50の水平部51を、サイドメンバ15に固定するための下ブラケット固定部56を有している。
【0034】
また、フロントバルクヘッド13では、アッパクロスメンバ17の上面17aに、上固定部54を固定するためのステー18が設けられている。ステー18にウェルドナット18aが設けられており、このウェルドナット18aに下向きの締結部材71が締結される。
【0035】
フロントバルクヘッド13において、サイドメンバ15には、サイドメンバ15の前面15aに下ブラケット固定部56を当接させ、車両後方向きの締結部材73を締結するウェルドナット15bが設けられている。
【0036】
また、ヘッドライト20において、下部26にナット26aが設けられており、このナット26aに上向きの締結部材72が締結される。このように、ヘッドライト20を上下から挟み込んで固定するので、ヘッドライト20のヘッドライトブラケット50への取付精度を向上させることができる。ヘッドライト20のヘッドライトブラケット50への取付精度が向上するので、ヘッドライト20とヘッドライトブラケット50を一体的に扱い、車体11に取り付けることができる。
【0037】
図4及び図5に示されるように、ステー18に、ヘッドライト20の上部25、ヘッドライトブラケット50の上固定部54の順に重ねられる。そして、上固定部54及びヘッドライト20の上部25は、下向きの締結部材71により、共締めされることによりフロントバルクヘッド13に固定される。
【0038】
ヘッドライト20の上部25は、上固定当接部25である。この上固定当接部25は、ヘッドライトブラケット50の上固定部54へ向かって突出する上位置決めピン25aを有し、上固定部54に重ねられる。上固定部54には、上位置決めピン25aを挿通する上位置決め孔54aが設けられており、結果、容易に位置決めできる。
【0039】
また、下ブラケット固定部56は、ヘッドライトブラケット50の端部52と、下固定部55との間に設けられている。車幅方向において、下固定部55は、ヘッドライトブラケット50の車幅方向の外端近傍に設けられ、上固定部54は、ヘッドライトブラケット50の車幅方向の内端近傍に設けられている。このため、ヘッドライトブラケット50の車幅方向全体を用いて、ヘッドライト20を支持することができ、上下のみならず、車幅方向においても安定して支持することができ、ヘッドライト20のヘッドライトブラケット50への取付精度がより向上させることができる。
【0040】
図3及び図6に示されるように、ヘッドライト20の下部26は、下固定当接部26である。この下固定当接部26は、ヘッドライトブラケット50の下固定部55へ向かって突出する下位置決めピン26aを有し、下固定部55に重ねられる。下固定部55には、下位置決めピン26aを挿通する下位置決め孔55aが設けられており、結果、容易に位置決めできる。
【0041】
また、ヘッドライトブラケット50は、端部52から左外方に向かって後方に傾斜するように延びている。ヘッドライト20のレンズ20aも、内側端から左外方に向かって後方に傾斜するように形成されている。結果、底面視で、ヘッドライトブラケット50がヘッドライト20のレンズ20aに沿うように配置でき、ヘッドライトブラケット50とヘッドライト20を一体的に扱うことができる。なお、ヘッドライト20は、レンズ20aと、このレンズ20aの後部のハウジング20bとを有する。
【0042】
図7及び図8に示されるように、ヘッドライトブラケット50は、水平部51の車幅方向内側の端部52に、車幅方向に開口する孔部57が形成されている。孔部57は、上下方向に長く形成されている。また、ヘッドライト20の車幅方向内側の側面に、孔部57に対応する位置に凸部27が設けられている。この凸部27は、車幅方向に突出して、孔部57に係合している。
【0043】
車両前後方向において、凸部27の幅よりも孔部57の横幅が若干大きく形成されているが、隙間は小さい。このため、前後方向のがたつきを防止することができる。上下方向において、凸部27の幅よりも孔部57の縦幅が大きく形成され、前後方向の隙間よりも大きい。このため、組み付け時に、凸部27を孔部57に容易に係合させることができる。
【0044】
図9に示されるように、凸部27は、ハウジング20bの壁面20cに設けられている。凸部27の前面27aは、凸部27の基端から先端に向かって車体後方に傾斜する傾斜面27aに形成されている。
【0045】
車両の正面軽衝突時に、フロントバンパ40(図1参照)やフロントグリル30(図1参照)を介して衝突荷重Fが、ヘッドライトブラケット50に入力される。衝突荷重Fを受けたヘッドライトブラケット50の係合部(孔部57)を、傾斜面27aによりスライドさせて、ヘッドライト20との係合を外すので、ヘッドライト20の損傷を防止することができる。
【0046】
図10図12に示されるように、ヘッドライトブラケット50は、水平部51のなかの、下固定部55よりも車幅方向内側の部分にフロントグリル30を係止するための第1のフロントグリル係止部61が設けられている。第1のフロントグリル係止部61は、側面視で、水平部51から立ち上がり、この立ち上がりの上端から前方に突出するように略L字状に形成されている。形状が簡単であるため、第1のフロントグリル係止部61を形成することが容易である。フロントグリル30は、第1のフロントグリル係止部61に対応する位置に、第1の受け部34が形成されている。
【0047】
また、ヘッドライトブラケット50は、上延部53の中間部分にフロントグリル30を係止するための第2のフロントグリル係止部62が設けられている。第2のフロントグリル係止部62は、側面視で、上延部53から前面から前方に突出するように形成された爪である。形状が簡単であるため、第2のフロントグリル係止部62を形成することが容易である。フロントグリル30は、第2のフロントグリル係止部62に対応する位置に、第2の受け部35が形成されている。
【0048】
フロントグリル30のV字凹部31は、直線状に形成された部分に比較して剛性が低いが、V字凹部31の上下部をフロントグリルブラケット50に係止することで、補強することができる。
【0049】
また、ヘッドライトブラケット50は、水平部51の外端部にフロントバンパ40を係止するためのフロントバンパ係止部63が設けられている。フロントバンパ係止部63は、側面視で、水平部51から立ち上がり、この立ち上がりの上端から前方に突出するように略L字状に形成されている。形状が簡単であるため、フロントバンパ係止部63を形成することが容易である。フロントバンパ40は、フロントバンパ係止部63に対応する位置に、受け部(図示しない)が形成されている。
【0050】
図4及び図13に示されるように、フロントグリル30のグリル上辺部32には、ヘッドライトブラケット50の上固定部54に対応する位置に車両後方に突出する突出フランジ36が設けられている。この突出フランジ36には、グリル側貫通孔37が設けられている。また、ヘッドライトブラケット50の上固定部54には、ブラケット側貫通孔64が設けられている。上固定部54に突出フランジ36を重ね合わせ、クリップ74を、グリル側貫通孔37及びブラケット側貫通孔64に挿通することで、突出フランジ36を上固定部54に固定することができる。
【0051】
また、上固定部54は、リブ65により補強されている。上固定部は、ヘッドライト50及びフロントグリル30を固定する部分であるが、リブ65により上固定部54の剛性を向上させることができる。
【0052】
以上に述べたヘッドライト固定構造の作用を次ぎに述べる。
図1図3及び図11に示されるように、ヘッドライトブラケット50を、ヘッドライト20、フロントグリル30及びフロントバンパ40で共用することにより、部品同士が相互に補強し合うので、ヘッドライト20、フロントグリル30及びフロントバンパ40の車体11に対する取付剛性が向上する。
【0053】
以上に述べたヘッドライト固定構造をまとめて以下に記載する。
図1図3に示されるように、ヘッドライトブラケット50は、ヘッドライト20の下縁23に沿って車幅方向に延びる水平部51と、この水平部51の車幅方向内側の端部52から上方に延びる上延部53とによって、前面視で略L字状に形成されている。上延部53には、ヘッドライト20の上部25を固定するための上固定部54を有し、水平部51には、ヘッドライト20の下部26を固定するための下固定部55を有しており、ヘッドライト20を上下から挟み込んで固定するので、ヘッドライト20のヘッドライトブラケット50への取付精度を向上させることができる。
【0054】
ヘッドライト20のヘッドライトブラケット50への取付精度が向上するので、ヘッドライト20とヘッドライトブラケット50を一体的に扱い、車体11に取り付けることができる。また、1個のL字状に形成されたヘッドライトブラケット50であるため、簡便な構成にできる。
【0055】
図2に示されるように、上固定部54及びヘッドライト20の上部25は、下向きの締結部材71により、車体11に共締めによって固定されている。ヘッドライト20とヘッドライトブラケット50を車体11に固定する締結部材71は共用であるので、部品点数を削減し、部品コストを低減することができる。また、部品点数を削減することで、ヘッドライト20周辺の部品の重量も低減することができる。
【0056】
図7に示されるように、凸部27は、車幅方向内方に突出して孔部57に係合しているので、上固定部54及び下固定部55から離れた部分に、3点目の固定点が形成することができる。ヘッドライト20は、3点でヘッドライトブラケット50に固定されるので、取付精度をより向上させることができるとともに、ヘッドライト20のヘッドライトブラケット50への取付剛性も向上させることができる。
【0057】
図11に示されるように、ヘッドライトブラケット50は、フロントグリル30を係止するためのブラケットも共用するので、部品点数を削減することができる。また、ヘッドライト20(図3参照)とフロントグリル30の固定点が、ヘッドライトブラケット50に集約されるので、相互の位置決め精度を向上させることができる。また、ヘッドライトブラケット50を共用することにより、部品同士が相互に補強し合うので、ヘッドライト20及びフロントグリル30の車体11(図3参照)に対する取付剛性も向上する。
【0058】
図11に示されるように、ヘッドライトブラケット50は、フロントバンパ40を係止するためのブラケットも共用するので、部品点数を削減することができる。また、ヘッドライト20(図3参照)とフロントバンパ40の固定点が、ヘッドライトブラケット50に集約されるので、相互の位置決め精度を向上させることができる。また、ヘッドライトブラケット50を共用することにより、部品同士が相互に補強し合うので、ヘッドライト20及びフロントバンパ40の車体11(図3参照)に対する取付剛性も向上する。
【0059】
図1及び図9に示されるように、凸部27の前面27aは、凸部27の基端から先端に向かって車体後方に傾斜する傾斜面27aに形成されている。車両10の正面軽衝突時に、フロントバンパ40やフロントグリル30を介して衝突荷重がヘッドライトブラケット50に入力される。衝突荷重を受けたヘッドライトブラケット50の係合部を、傾斜面27aによりスライドさせて、ヘッドライト20との係合を外すので、ヘッドライト20の損傷を防止することができる。
【0060】
図4図6に示されるように、ヘッドライト20は、上位置決めピン25aと、下位置決めピン26aとを有する。上固定部54には、上位置決めピン25aを挿通する上位置決め孔54aが設けられ、下固定部55には、下位置決めピン26aを挿通する下位置決め孔55aが設けられているので、ヘッドライトブラケット50に対する、ヘッドライト20の位置決めを容易にできる。また、上位置決めピン25a及び下位置決めピン26aが、ヘッドライトブラケット50に引っ掛かることで、組み付け時にヘッドライト20からのヘッドライトブラケット50が脱落することを防ぎ、ヘッドライト20及びヘッドライトブラケット50の車体11への組み付け性を向上させることができる。
【0061】
尚、実施例においては、車幅方向中心を対称にして、車幅方向左側の部品について説明したが、車幅方向右側であっても同様である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明のヘッドライト固定構造は、左右のヘッドライトを有する、自動車に好適である。
【符号の説明】
【0063】
10 車両
11 車体
13 フロントバルクヘッド
20 ヘッドライト
23 下縁
25 上部(上固定当接部)
25a 上位置決めピン
26 下部(下固定当接部)
26a 下位置決めピン
27 凸部
27a 傾斜面(前面)
30 フロントグリル
40 フロントバンパ
50 ヘッドライトブラケット
51 水平部
52 端部
53 上延部
54a 上位置決め孔
55a 下位置決め孔
57 孔部
61 第1のフロントグリル係止部
62 第2のフロントグリル係止部
63 フロントバンパ係止部
71 下向きの締結部材
72 上向きの締結部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13