(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
L−メントール、p−メンタン−3,8−ジオール、イソプレゴール、メントキシプロパン−1,2,−ジオール、クルクミン、メンチルラクテート(Symrise製Frescolat ML等)、ジンゲロール、イシリン、茶木油、サリチル酸メチル、樟脳、ペパーミント油、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、エチル3−(p−メンタン−3−カルボキサミド)アセテート、2−イソプロピル−N,2,3−トリメチルブチルアミド、メントングリセロールケタール、メントングリセリンアセタール、及びこれらの混合物、からなる群から選択される追加の冷感剤を更に含み、好ましくは前記追加の冷感剤が、メントールとメンチルラクテートの混合物であり、更に好ましくは重量比が1:4〜4:1であるメントールとメンチルラクテートの混合物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の除毛装置。
前記マトリックスが、非水溶性ポリマーを更に含み、好ましくは前記非水溶性ポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、ブタジエンスチレンコポリマー、ポリアセタール、アクリロニトリル−ブタジエンスチレンコポリマー、エチレン酢酸ビニルコポリマー、及びこれらの混合物の少なくとも1つを含み、前記非水溶性ポリマーが、好ましくは前記皮膚係合部材の5重量%〜40重量%、好ましくは15重量%〜35重量%の濃度で存在する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の除毛装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
I.熱的弾性感覚剤
冷涼又は冷たいという感覚は、低温又は化学冷感剤などの刺激による末梢神経繊維での受容体の活性化によるものであり、これは脳へ移動する電気化学信号を作り出し、次いで到着信号を解釈し、整理し、知覚又は感覚に統合するということは、今や広く確立されている。異なる部類の受容体が、哺乳類の知覚神経繊維において冷温又は化学冷感剤の刺激を感じることに関係していると見なされてきた。それらの受容体のうち、寒冷を感知することに関与する主要な候補は、寒冷感受性及びメントール感受性の受容体(CMR1)又はTRPM8であることが特定されかつ指定されている。受容体のTRPM8という専門用語は、低温、メントール、及びその他の化学冷感剤を含む刺激により活性化される一過性受容体電位(TRP)ファミリーの非選択的カチオンチャネルとしてのその特徴付けから来ている。しかしながら、皮膚又は口腔表面上での心地よい冷涼感の知覚に潜在する正確な機構は、現在明確には理解されていない。TRPM8受容体がメントール及びその他の冷感剤により活性化されることが立証されている一方で、知覚される全体的な感覚が心地よく、冷涼感があり、清涼であるために、他のどの受容体が関与している可能性があり、それらの受容体がどの程度刺激される又は場合によっては抑制される必要があるのかについては、完全には理解されていない。感覚剤は、様々な出願に記載されてきた。例えば、米国特許出願公開第2010/0086498号を参照のこと。
【0011】
本発明の皮膚係合部材は、少なくとも1つの熱的弾性感覚剤を含む。熱的弾性感覚剤は、従来の剃毛補助剤(皮膚係合部材)押出成形条件で残存することが可能であるが、剃毛環境での使用中皮膚上で、ユーザーが一般的に知覚可能な、冷涼感又は刺痛感を提供するために依然十分に活性であり続ける感覚剤成分として本明細書で定義される。理論に束縛されるものではないが、本発明の熱的弾性感覚剤は、揮発性があり、製作工程で失われ得る感覚剤に比べて、たとえ皮膚係合部材の中に押出成形された後でも、より大きな冷涼強度を提供することができると信じられている。いくつかの実施形態では、熱的弾性感覚剤は、液体培地内と同じ濃度、又は少なくとも70%、又は少なくとも90%皮膚上に塗布されたときと比べて、少なくとも50%の冷涼強度を維持する。皮膚係合部材は、除毛剤又は剃毛補助剤も含んでよく、かかる皮膚係合部材は、除毛装置、特にかみそりカートリッジの皮膚接触部上での使用に適した潤滑ストリップとも一般的に呼ばれていることは、当業者に理解されよう。
【0012】
更に、本発明の熱的弾性感覚剤は、L−メントールの冷涼強度を超えて、好ましくは少なくとも1.5倍大きな冷涼強度、更に好ましくは少なくとも5倍大きな冷涼強度、より一層好ましくは少なくとも10倍大きな冷涼強度で、最高約20倍大きな冷涼強度が皮膚係合部材に提供されたとき、より大きな冷涼強度を提供する。
【0013】
好適な熱的弾性感覚剤は、シクロヘキサン、具体的にはメンタンカルボン酸−N−(4−メトキシフェニル)−アミドの合成誘導体を含む。少なくとも1つの感覚剤は、約0.01%〜約25%、あるいは約1%〜約20%、あるいは約5%〜約15%、あるいは約7%〜13%、あるいは約10%の濃度で含まれてもよい。理論に束縛されるものではないが、これらの濃度の熱的弾性感覚剤は、特に5%より上の濃度、及び15%より下の濃度でかなりの数のユーザーに明らかな性能利益を提供すると信じられている。一部のユーザーは、より低い濃度を享受するかもしれないが、多くのユーザーは、効果が低すぎると感じるかもしれないと信じられている。同様に、何人かのユーザーは、15%より上の高濃度を享受するかもしれないが、意図した消費者の大半にとって、それは過度かもしれない。
【0014】
理論に束縛されるものではないが、これらの熱的弾性感覚剤の冷涼強度は、L−メントールの冷涼強度の約1.5倍であると信じられている。Leffingwell,John C.PhD、Cooler than Menthol and Cooling Compounds as Insect Repellents(Leffingwell & Associates、2011年5月4日最終更新)を参照のこと。
【0015】
皮膚係合部材は、任意で追加の冷感剤も備えてもよい。
a.メンタンカルボン酸−N−(4−メトキシフェニル)−アミド
【0016】
熱的弾性感覚剤は、以下の式A又は、好ましくは、式Bで表わされるメンタンカルボン酸−N−(4−メトキシフェニル)−アミドを含む。
【0018】
このようなメンタンカルボン酸−N−(4−メトキシフェニル)−アミドの非限定的な例は、米国特許出願公開第2011/0081303、及び同第2010/0086498に開示されている。この材料はCAS#68489−09−8の下でも開示されており、R
*,2S
*)−N−(4−メトキシフェニル)−5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキサンカルボキサミドと名称されてもよく、Symrise,Inc.によるSC1、WS−12又はFrescolat MMCとして市販されている。
【0019】
b.N−置換メンタンカルボキサミド
いくつかの好ましい実施形態では、熱的弾性感覚剤は、特に以下の式Iで表わされるN−置換メンタンカルボキサミドも含む。
【0020】
【化3】
(式中、mは0又は1であり、Y及びZはH、OH、C1〜C4直鎖若しくは分枝状アルキル、又は、C1〜C4直鎖若しくは分枝状アルコキシからなる群から独立して選択され、Xは(CH2)n−R(ここで、nは0又は1であり、かつRは非結合電子を含む基である)であるが、(a)Y及びZがHのとき、Xは4位のF、OH、MeO又はNO2ではなく、かつ2位又は6位のOHではなく、(b)Y又はZがHのとき、X,Y及びZは、(i)3位及び4位が同時にOMe基となることがなく、(ii)4位及び5位が同時にOMe基となることがなく、(iii)4位がOH基の場合、3位及び5位はOMe基ではなく、かつ(iv)4位がメチル基の場合、3位及び5位はOH基ではないようになる)。
【0021】
好ましい化合物は、Xが4位内にあるものである。最も好ましい化合物は、Xが4位内にあり、Y及びZがH、OH、Me、又はOMeのときである。
【0022】
結合電子を含む好ましい群は、ハロゲン、OH、OMe、NO2、CN、Ac、SO2NH2、CHO、CO2H及びCO2Et等のC1〜C4アルキルカルボキシレートである。
【0023】
好適なN−置換メンタンカルボキサミドの具体的な例は、式IIのN−[4−(シアノメチル)フェニル]−(1R,2R,5R)−2−イソプロピル−5メチルシクロヘキサンカルボキサミドである。
【0025】
この材料は、N−パラ−ベンゼンアセトニトリルメンタンカルボキサミドとしても一般的に参照される。例えば、Research Disclosure RD 522003(ジボダン)、米国特許出願公開第2009/0311206号及び同第2009/0306152号(両方Beiersdorfに寄与)、同第2006/0276667号、同第2010/0086498号、及び米国特許第7,414,152を参照のこと。N−パラ−ベンゼンアセトニトリルメンタンカルボキサミドを製作する様々な方法が開示されており、これらは米国特許出願公開第2006/027667号、同第2008/0300314号、同第2010/0040563号及び同第2010/0076080に含まれる。N−パラ−ベンゼンアセトニトリルメンタンカルボキサミドは、CAS 852379−28−3の下業者から市販されており、94%〜100%のアッセイ及び101kPa(760mm Hg)で145℃の融点を伴う白い粉末として供給されてもよい。
【0026】
これらの好ましい実施形態では、皮膚係合部材は、N−置換メンタンカルボキサミド及びメンタンカルボン酸−N−(4−メトキシフェニル)−アミドの混合物である熱的弾性感覚剤を1つ以上含み、改善された冷涼感、例えばより良い即効的で持続する冷却並びに全体的に優れた冷却を提供すると信じられている。これら2つの冷感剤は、N−置換メンタンカルボキサミド対メンタンカルボン酸−N−(4−メトキシフェニル)−アミドが約25:1〜約1:25、あるいは約10:1〜約1:10、あるいは約3:1〜約1:3の割合で化合してもよい。
【0027】
理論に束縛されることなく、N−置換メンタンカルボキサミドは、TRPM8及びTRPA1(ヒリヒリする/しびれる/火照る)受容体の両方を誘発し、一方でメンタンカルボン酸−N−(4−メトキシフェニル)−アミドは、冷却受容体TRPM8のみを誘発し、並びにL−メントールは、TRPM8、TRPA1及び加温受容体TRPV1 & TRPV3を誘発すると信じられている。それゆえ、上述したシクロヘキサンの合成誘導体の1つ又は両方を含むシステムは、追加の感覚剤を含有するオプションを伴い、剃毛時の及び持続性のある冷涼効果を得ることを可能にすると信じられている。
【0028】
c.追加の感覚剤
いくつかの実施形態では、皮膚係合部材は、上記で開示された熱的弾性感覚剤以外の1つ以上の追加の感覚剤を更に含む。例えば、メントールは冷感剤として広く使用されているが、メントールは、刺痛感、灼熱感、穿痛感、及び刺すような感覚、並びにミントの匂い及び苦い味を含むその他の感覚も生じさせ得る。従って、メントールは、寒冷、温熱、痛み及び味覚受容体を含む多くの異なる受容体に作用することが推測される。しかしながら、苦味又は刺激等の望ましくない感覚のない心地よい冷涼感等の特定の感覚をどの受容体活性がもたらすかの分離方法は容易には識別できない。特定の感覚剤の使用から望ましい感覚だけが引き出されるように冷感剤又はその他の感覚剤の活性をどのように制御するかも明らかではない。このようにして、本発明は、除毛工程の間にユーザーに対して冷涼効果を提供するための感覚剤として機能する、シクロヘキサン(上述)の特定の合成誘導体の追加に注目する。冷涼感を更に補うために、追加の感覚剤を使用することができる。
【0029】
天然起源又は合成起源の多数の冷感剤化合物が知られている。最もよく知られる化合物は、メントール、特にl−メントールであり、ペパーミント油、とりわけハッカL及びミドリハッカLで自然に見出される。メントールの異性体のうち、l−異性体が最も広く自然に存在し、通常は冷却特性を有するメントールという名称で呼ばれるものである。L−メントールは独特のペパーミントの香りを有し、かつ清潔でさわやかな味を有し、皮膚及び粘膜表面に塗布された際に冷涼感を与える。メントールのその他の異性体(ネオメントール、イソメントール、及びネオイソメントール)は、ある程度類似しているが同一ではない香り及び味を有する(すなわち、いくらかは、土のような、樟脳、かび臭いとして表される、好ましくない雰囲気を有する)。異性体の中で最大の違いは、その冷涼効力である。L−メントールは、最も効能のある冷涼感を提供すること、すなわち約800ppbの最も低い冷涼閾値(すなわち、冷涼効果が明確に認識され得る場合の濃度)を有することが報告されている。この濃度において、他の異性体では冷涼効果がない。例えば、d−ネオメントールは、約25,000ppb、及びl−ネオメントールは、約3,000ppbの冷涼閾値を有すると報告されている。[R.Emberger and R.Hopp,「Synthesis and Sensory Characterization of Menthol Enantiomers and Their Derivatives for the Use in Nature Identical Peppermint Oils,」Specialty Chemicals(1987),7(3),193〜201]。この研究は、冷涼及び新鮮さ並びにこれらの分子の活性に対する立体化学の影響の観点からI−メントールの優れた知覚特性を実証した。
【0030】
合成冷感剤のうち、多くは、メントールの誘導体であるか、又はメントールと構造的に関連する。すなわち、シクロヘキサン部分を含有し、カルボキサミド、ケタール、エステル、エーテル及びアルコールを含む官能基で誘導体化される。例には、「WS−3」として商用的に既知のN−エチル−ρ−メンタン−3−カルボキサミド等のρ−メンタンカルボキサミド化合物、並びにWS−5(N−エトキシカルボニルメチル−ρ−メンタン−3−カルボキサミド)、及びWS−14(N−tert−ブチル−ρ−メンタン−3−カルボキサミド)等の系列内の他のものが挙げられる。メンタンカルボキシエステルの例には、WS−4及びWS−30が挙げられる。メントールと構造的に無関係の合成カルボキサミド冷感剤の例は、「WS−23」として既知のN,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタナミドである。合成冷感剤の追加の例には、全てTakasagoから入手可能なTK−10として既知の3−(1−メントキシ)−プロパン−1,2−ジオール、イソプレゴール(商標名Coolact P)、及びρ−メンタン−3,8−ジオール(商標名Coolact 38D)等のアルコール誘導体、MGAとして既知のメントングリセロールアセタール、メンチルアセテート、メンチルアセトアセテート、Haarmann and Reimerによって供給されるFrescolat(登録商標)として既知のメンチルラクテート、及びV.Maneからの商標名Physcoolのモノメンチルスクシネート等のメンチルエステルが挙げられる。TK−10は、Amanoらの米国特許第4,459,425号に記載されている。メントールの他のアルコール及びエーテル誘導体は、例えば、第GB 1,315,626号及び米国特許第4,029,759号、同第5,608,119号、及び同第6,956,139号に記載されている。WS−3及び他のカルボキサミド冷感剤は、例えば、米国特許第4,136,163号、第4,150,052号、第4,153,679号、第4,157,384号、第4,178,459号及び第4,230,688号に記載されている。追加のN−置換ρ−メンタンカルボキサミドは、国際公開第WO 2005/049553A1号に記載されており、N−(4−シアノメチルフェニル)−ρ−メンタンカルボキサミド、N−(4−スルファモイルフェニル)−ρ−メンタンカルボキサミド、N−(4−シアノフェニル)
p−メンタンカルボキサミド、N−(4−アセチルフェニル)−ρ−メンタンカルボキサミド、N−(4−ヒドロキシメチルフェニル)−ρ−メンタンカルボキサミド、及びN−(3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−ρ−メンタンカルボキサミドが挙げられる。他のN−置換ρ−メンタンカルボキサミドには、N−((5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル)カルボニル)グリシンエチルエステル及びN−((5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル)カルボニル)アラニンエチルエステル等の国際公開第WO 2006/103401号、並びに米国特許第4,136,163号、同第4,178,459号、及び同第7,189,760号に開示されるもの等のアミノ酸誘導体が挙げられる。グリシン及びアラニン等のアミノ酸を含むメンチルエステルは、例えば、第EP 310,299号、並びに米国特許第3,111,127号、同第3,917,613号、同第3,991,178号、同第5,703,123号、同第5,725,865号、同第5,843,466号、同第6,365,215号、同第6,451,844号、及び同第6,884,903号に開示されている。ケタール誘導体は、例えば、米国特許第5,266,592号、同第5,977,166号、及び同第5,451,404号に記載されている。メントールに構造的には関連していないが、同様の生理学的冷涼効果を有すると報告されている追加の作用剤には、3−メチル−2−(1−ピロリジニル)−2−シクロペンテン−1−オン(3−MPC)、5−メチル−2−(1−ピロリジニル)−2−シクロペンテン−1−オン(5−MPC)、及び2,5−ジメチル−4−(1−ピロリジニル)−3(2H)−フラノン(DMPF)を含む、米国特許第6,592,884号に記載されるα−ケトエナミン誘導体、WeiらのJ.Pharm.Pharmacol.(1983),35:110〜112に記載されるイシリン(AG−3−5、化学名1−[2−ヒドロキシフェニル]−4−[2−ニトロフェニル]−1,2,3,6−テトラヒドロピリミジン−2−オンとしても既知)が挙げられる。メントールの冷感剤活性及び合成冷感剤に関する概説には、H.R.WatsonらのJ.Soc.Cosmet.Chem.(1978),29,185〜200及びR.Eccles,J.Pharm.Pharmacol.,(1994),46,618〜630が挙げられる。
【0031】
II.マトリックス材料
皮膚係合部材は、熱的弾性感覚剤が存在する範囲内でマトリックス材料を更に含む。マトリックス材料は、様々な形であることができ、それらの混合物/組み合わせでもよい。
【0032】
a.固体ポリマーマトリックス
いくつかの実施形態では、マトリックスは、水溶性ポリマー、例えばポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシメタクリレート、ポリビニルイミダゾリン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、シリコーンポリマー、及びこれらの混合物を含む。いくつかの実施形態では、かかる水溶性ポリマーは、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0033】
いくつかの実施形態では、皮膚係合部材は、Gillette、Schick又はBICによるかみそりカートリッジに使用されているような、市販の皮膚係合部材に一般的に見られる他の任意の成分を含む。かかる皮膚係合部材の非限定的な例としては、米国第6301785号、同第6442839号、同第6298558号、同第6302785号及び米国特許出願公開2008/060201号、及び同第2009/0223057号で開示されたものが挙げられる。いくつかの実施形態では、皮膚係合部材は更に、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルイミダゾリン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、シリコーンコポリマー、スクロースステアレート、ビタミンE、石鹸、界面活性剤、パンテノール、アロエ、ポリエチレングリコール等の可塑剤;髭柔軟剤;シリコーンオイル、Teflon(登録商標)ポリテトラフルオロエチレン粉末(DuPont製)、及びワックス等の追加の潤滑剤;メントール、樟脳、オイゲノール、ユーカリプトール、サフロール、及びメチルサリシレート等の精油;Hercules Regalrez 1094及び1126等の粘着付与剤;不揮発性冷感剤、皮膚鎮静剤のシクロデキストリンとの包接錯体;芳香剤;抗掻痒/反対刺激物質;レゾルシノール等の抗菌/角質溶解物質;キャンデリラ(Candilla)ワックス及びグリシルレチン酸等の抗炎症剤;硫酸亜鉛等の収斂剤;pluronic及びiconol材料等の界面活性剤;スチレン−b−EOコポリマー等の相溶剤;鉱物油、ポリカプロラクトン(PCL)、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される皮膚係合部材成分を含む。
【0034】
水溶性ポリマーは、好ましくは、少なくとも50重量%、更に好ましくは少なくとも60重量%の皮膚係合部材を含み、最大約99%、又は最大約90%のマトリックスを含むであろう。より好ましい水溶性ポリマーは、POLYOX(Union Carbide Corporationから入手可能)又はALKOX(Meisei Chemical Works、京都、日本から入手可能)として一般的に既知のポリエチレンオキシドである。これらのポリエチレンオキシドは、好ましくは統一された原子質量単位、ダルトン、又は約100,000から6百万のg/mol(分子量)、最も好ましくは約300,000から5百万の分子量を有するであろう。最も好ましいポリエチレンオキシドは、約5百万(例えば、POLYOX COAGULANT)の平均分子量を有する、約40%〜80%のポリエチレンオキシド及び約300,000(例えば、POLYOX WSR−N−750)の平均分子量を有する、約60%〜20%のポリエチレンオキシドの配合物を含む。またポリエチレンオキシド配合物は、最大約10重量%の低分子量(すなわち、MW<10,000)ポリエチレングリコール、例えばPEG−100も有利に含有してもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、マトリックスは更に、約0.5%〜約50%、好ましくは約1%〜約20%のポリカプロラクトン(好ましくは分子量が30,000〜60,000ダルトン)を含む。米国特許第6,302,785号を参照のこと。
【0036】
他の実施形態では、皮膚係合部材は、ポリエチレングリコール(MW<10,000、例えば、PEG−100の1〜10重量%)等の低分子量水溶性放出促進剤、架橋ポリアクリル(例えば、2〜7重量%)等の水膨張性放出促進剤、着色剤、酸化防止剤、防腐剤、ビタミンE、アロエ、冷感剤、精油、髭軟化剤、収斂剤、薬剤等の他の従来の皮膚係合部材成分を含有してもよい。着色剤を含有する部分を、着色剤を(例えば、浸出又は摩耗によって)放出するように設計し、それによって剃毛中に、好ましくは色付きの部分が摩耗するとストリップが変色するようにすることで、皮膚係合部材及び/又はかみそりカートリッジが有効耐用期間又は最適性能の限界に達したことの指標を使用者に提供する。その部分は、例えば、約0.1重量%〜約5.0重量%(好ましくは約0.5重量%〜3重量%)の間の着色剤を含有してもよい。
【0037】
マトリックスは更に、水溶性ポリマーが分散される非水溶性ポリマーを含んでよい。好ましくは、皮膚係合部材の約0重量%〜約50重量%、より好ましくは約5重量%〜約40重量%、最も好ましくは約15重量%〜約35重量%の濃度で非水溶性ポリマーを含む。使用され得る好適な非水溶性ポリマーには、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、ポリスチレン(PS)、ブタジエン−スチレンコポリマー(例えば、中及び高耐衝撃性ポリスチレン)、ポリアセタール、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、並びにこれらの配合物、例えば、ポリプロピレン/ポリスチレンの配合物、又はポリスチレン/耐衝撃性ポリスチレンの配合物が挙げられる。
【0038】
1つの好ましい非水溶性ポリマーは、ポリスチレン、好ましくはNOVA C2345A等の汎用ポリスチレン、又はBASF 495F KG21等の耐衝撃性ポリスチレン(すなわち、ポリスチレン−ブタジエン)である。ストリップ又はいずれかの部分は、生産中及び使用中の双方において、適正な機械的強度をもたらすために、十分な量で非水溶性ポリマーを含有する必要がある。
【0039】
b.皮膚軟化剤
他の実施形態において、マトリックス材料は、少なくとも1つの皮膚軟化剤を含む。いくつかの実施形態では、皮膚軟化剤には疎水性がある。所定の実施形態において、組成物は、本質的に1つ以上の皮膚軟化剤から構成されてもよく、25℃で流体を形成し得る。皮膚軟化剤が流体形態の場合、流体は好ましくは以下に開示するように皮膚係合リザーバ内に含有される。そのような実施形態では、組成物粘度に応じて、様々な開口部のサイズは、使用中に皮膚軟化剤の投与を制御するために使用されてもよい。
【0040】
皮膚軟化剤は、室温で液体、半固体及び/又は個体である。皮膚軟化剤は、1つ以上の炭化水素皮膚軟化剤、脂質、親油性のスキンケア剤、又はそれらの混合物を含んでもよい。好適な脂質としては、脂肪酸、脂肪族アルコール、エステル、トリグリセリド、脂肪、バター、及びワックス等の脂肪族アシル、グリセロ脂質、グリセロリン脂質、スフィンゴ脂質、ステロール脂質、プレノール脂質、サッカロ脂質、ポリケチド、親油性皮膚有効成分の皮膚軟化剤、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0041】
炭化水素皮膚軟化剤は、直鎖、分枝鎖、飽和及び不飽和炭化水素、並びにこれらの混合物を含み、自然又は合成炭化水素の皮膚軟化剤及びこれらの混合物を含む。好ましい自然炭化水素皮膚軟化剤としては、ペトロラタム、鉱油及びこれらの混合物が挙げられる。好ましい合成炭化水素皮膚軟化剤は、イソヘキサデカン(Croda製Arlamol HD(商標)等)及びポリデセン(Exxon Mobil製Puresyn 2(商標)等)等の分岐鎖炭化水素が挙げられる。
【0042】
脂肪族アルコール又は脂肪酸皮膚軟化剤としては、飽和及び不飽和高級アルコール、特にC
12〜C
30脂肪族アルコール又は脂肪酸、特にラウリン酸、ミリスチン、パルミチン、ステアリン、アラキジン酸又はベヘンが挙げられる。エステル皮膚軟化剤としては、C
12〜C
30アルコールのエステル及びこれらの混合物、特にミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル及びこれらの混合物が挙げられる。トリグリセリド皮膚軟化剤としては、合成又は自然トリグリセリド、特にヒマワリ、アボカド、オリーブ、ビーバー香、ココナツ、ココア及びこれらの混合物由来の自然トリグリセリドが挙げられる。更に好ましくは、市販されている材料Myritol(商標)312及び318(Cognis)、Estasan(商標)(Croda)及びMiglyol(商標)(Sasol)等の、ココナッツ由来のトリグリセリドである。脂肪及びバター皮膚軟化剤としては、ココナツバター、シアバター及びこれらの混合物が挙げられる。ワックス皮膚軟化剤としては、石蝋、微結晶ろう、キャンデリア、オゾケライト及びこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、皮膚軟化剤は石蝋を含む。有利なことに、ろうは、固体保湿組成分に更に改善された硬度及び浸食性を与えることができるので、疎水性相は、いくつかのろうを含む。好ましくは、浸食性固体保湿組成物は、約2重量%〜約20重量%及びより好ましくは約3重量%〜約15重量%の浸食性固体保湿組成物のろうを含有する。
【0043】
好適な脂質の別の群には、酢酸ビタミンE及びニコチン酸トコフェロールを含む油溶性ビタミン(例えば、ビタミンE誘導体)、油溶性ビタミンA誘導体(例えば、パルミチン酸レチニル、ラノリン、セラミド、ステロール及びステロールエステル、サリチル酸、カンファー、ユーカリプトール、及び精油)を含む、親油性皮膚有効成分の皮膚軟化剤が挙げられる。
【0044】
いくつかの実施形態では、マトリックス材料は、少なくとも1つの皮膚軟化剤及び非水溶性構造化ポリマーを含む。このような組成物の例は、「浸食性保湿剤を含む除毛装置」という表題の同時係属米国特許出願第13/0265556号、及び「浸食性保湿剤を含む除毛装置」という表題の同第13/026575号(Stephensらの両方が2010年2月18日に申請)で説明されている浸食性個体保湿組成物として説明されてきた。
【0045】
本明細書で使用される、用語「固体」とは、浸食性固体保湿組成物に関連して使用されるとき、25℃で固体の組成物を指す。本明細書で使用される、用語「非水溶性」は、構造化ポリマーに関して使用されるとき、31/NF 26 Vol.2 General Notices,17ページの米国薬局方(USP)定義によると、「極めてわずかに水溶性」を意味し、又は「極めてわずかに水溶性」未満は、USP定義を使用すると、1000部の溶媒(この場合、水)が標準温度及び標準気圧で1部の溶質(この場合、構造化ポリマー)を溶解するために必要とされることを意味する。本明細書に使用される、用語「可溶性」は、非水溶性構造化ポリマーの性能を説明するとき、31/NF 26 Vol.2 General Notices,17ページの米国薬局方定義によると、疎水性相で溶解することは、「可溶性」を意味し、又は少なくとも「可溶性」は、USP定義を使用すると、30部以下の溶媒(この場合、疎水性相)が非水溶性構造化ポリマーの融点で1部の溶媒(この場合、構造化ポリマー)を溶解するために必要とされることを意味する。
【0046】
いくつかの実施形態では、皮膚軟化剤を含むマトリックスは浸食性固体保湿組成物で、25℃で約0.50kg〜約3,25kg、好ましくは約0.75kg〜約3.00kg、より好ましくは約1.00kg〜約2.50kgのChatillon高度を有し、以下提供される実験計画書に従って測定された。そのようなChatillon硬度を有する皮膚コンディショニング組成物が摩耗の有益な割合を提供することが信じられている。Chatillon硬度試験は、米国特許出願第13/026556号に開示されている。
【0047】
非水溶性構造化ポリマーが浸食性固体保湿組成物内に含まれるとき、非水溶性構造化ポリマーは、浸食性固体保湿組成物に適当な摩耗特性を与える任意の非水溶性構造化ポリマーであってよく、好ましくは、浸食性固体保湿組成物に上記で定義した範囲のChatillon硬度を与え得る非水溶性構造化ポリマーである。構造ポリマーは、疎水性相における混和性又は可溶性を支援するために非水溶性であり(非水溶性構造ポリマーの融点で)、順にポリマー全体の疎水性相の均一分布を確実にしてもよく、したがってより均等な摩耗特性を確実にしてもよい。更に、ポリマーの水溶性特質は、湿式剃毛等の水を使用する除毛工程の間に可溶化し、洗い流してもよい、より親水性のあるポリマーに対してポリマーの耐久性を向上させてもよい(したがって、やはり浸食性固体保湿組成物である)。
【0048】
いくつかの実施形態では、浸食性固体保湿組成物は、約2重量%〜約50重量%、好ましくは約3重量%〜約40重量%、更に好ましくは約4重量%〜約12重量%の浸食性個体保湿組成物の非水溶性構造化ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、非水溶性構造化ポリマーは、ブロックコポリマーを含む。より有利に、ブロックコポリマーは、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、マルチブロックコポリマー、放射状ブロックコポリマー、ランダムブロックコポリマー、又はこれらのポリマーの混合物を含む。更により有利に、ブロックコポリマーは、トリブロックコポリマーを含む。
【0049】
マトリックス材料が固体ポリマーマトリックスを含む場合、1つ以上の皮膚軟化剤も固体ポリマーマトリックスに含まれてもよい。
【0050】
c.石鹸基剤
マトリックス材料は、石鹸基剤、すなわち、少なくとも1つの石鹸又は断続性の石鹸、例えば、流入石鹸基剤又は押出成形石鹸基剤を含んでもよい。石鹸基剤の基本的な構成要素は、基剤を形成する鹸化若しくは中和された植物油又は獣脂であってもよく、あるいは合成流入石鹸基剤であってもよい。また、ココナツ酸又は他の脂肪酸の過脂肪材料含有部分(例えば、約25重量%を超える)が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、マトリックス材料は、鹸化若しくは中和された植物油又は獣脂等、又は前述の材料の組み合わせを含む、基材を含む。植物油若しくは獣脂の鹸化又は中和は、基剤を形成する脂肪酸のグリセロール及び塩の生成をもたらす。マトリックスは、約50重量%〜約100重量%の鹸化又は中和された基材(例えば、約75重量%〜約100重量%鹸化又は中和された基材)を含むことができ、不透明、半透明、又は透明であってよい。生成され得る例示的な脂肪酸の塩には、最大で約22個の炭素原子を有する、カルボン酸ナトリウム塩が挙げられる。
【0051】
石鹸基剤は、合成石鹸基剤であってもよい。特定の実施形態には、合成石鹸基剤は、グリコール(例えば、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、トリプロピレングリコール、及び/又はメチルプロパンジオールグリコール)、グリセリン、脂肪酸塩(例えば、ステアリン酸ナトリウム及び/又はステアリン酸カリウム)、C15〜C25アルコール(例えば、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、及び/又はミリスチンアルコール)、ステアレス(例えば、Brij(登録商標)−721等のステアレス21等)、ステアリン酸、微結晶ろう(例えば、微結晶ろうSP 16、SP 19、SP 16、SP 18、SP−1674、SP 16W、SP 60W、SP 89、Multiwax 180M、X−145、W−445、及び/又はW−835)、1つ以上の界面活性剤(例えば、Tegobetaine F−50、Lonzaine(登録商標)、Mackam(登録商標)群の界面活性剤、Mirataine(登録商標)群の界面活性剤)、並びにラウリルエーテル硫酸ナトリウム(「SLES」)(例えば、25%活性SLES)が挙げられる。
【0052】
特定の実施形態では、石鹸基剤は、全て石鹸基剤の、約0.5重量%〜約30重量%のグリコール(例えば、約10重量%〜約25重量%のグリコール又は約12重量%〜約15重量%のグリコール)、約10重量%〜約40重量%のグリセリン(例えば、約18重量%〜約34重量%のグリセリン又は約18重量%〜約24重量%のグリセリン)、約20重量%〜約40重量%の脂肪酸塩(例えば、約25重量%〜約40重量%の脂肪酸塩(例えば、ステアレート)又は約30重量%〜約35重量%の脂肪酸塩)、約0.1重量%〜約10重量%のステアリン酸(例えば、約2重量%〜約5重量%のステアリン酸)、約0.5重量%〜約10重量%の微結晶ろう(例えば、約0.5重量%〜約5重量%の微結晶ろう又は約1重量%〜約3重量%の微結晶ろう)、約1重量%〜約15重量%のベタイン(例えば、約2重量%〜約10重量%の活性ベタイン又は約4重量%〜約9重量%の活性ベタイン)、及び約1重量%〜約20重量%の活性SLES(例えば、約1重量%〜約20重量%の活性SLES又は約10重量%〜約15重量%の活性SLES)を含むことができる。熱的弾性感覚剤の添加前の1つの例示的な流入石鹸基剤は、以下を含む。
【0054】
幾つかの実施形態では、基剤及び合成界面活性剤の組み合わせを採用することができる。
【0055】
d.担体
いくつかの実施形態では、皮膚係合部材は、担体を更に含み、マトリックス、感覚剤及び他の任意の材料は、担体内及び/又は担体上に含有されてもよい。担体は、マトリックス材料及び封入状有効成分が適用されるトレーの形状であってよく、又は担体は、マトリックス及び封入された材料を少なくとも部分的に含有する保持構造を形成してよい。いくつかの実施形態では、担体は、例えば担体及び皮膚間に直接接触して又はせずに皮膚へ剃毛補助剤が投与されるリザーバ、及び米国特許第6,298,558号及び同第7,581,318号で開示されたシース等を形成する。特に、マトリックス材料が、汎用的であるが、流体形態中に皮膚軟化剤を含む場合、担体は、好ましくは皮膚係合部材の1つ以上の材料の投与を管理するための1つ以上の投与開口部を有するシースである。皮膚係合部材の構成に関するとき、本明細書で定義される重量パーセントは、特に定めがない限り、担体ではなく本明細書で開示される皮膚係合部材の他の構成要素に基づいて決定される。
【0056】
e.マトリックス中の追加の有効成分
i.任意の冷感剤
マトリックス材料は、未封入の不揮発性冷涼剤又は皮膚鎮静剤のシクロデキストリンとの包接錯体を、好ましくは皮膚係合部材の最大約25重量%、最も好ましくは約10重量%〜約20重量%の量で更に含んでもよい。本明細書で用いるとき「未封入」とは、追加の有効成分が封入体の外側に存在し、マトリックス材料の残部内に分散されていることを意味する。不揮発性冷感剤は、皮膚への生理学的冷涼効果を有し、メントールより揮発性がかなり低い作用剤を意味する。好ましくは、不揮発性冷感剤は、熱重量分析(例えば、Dupontの951 Thermogravimetric Analyzerを1分あたり20℃の温度上昇で使用)にかけると、160℃の温度において初期重量の少なくとも約50%、更に好ましくは160℃の温度において初期重量の少なくとも約80%、最も好ましくは175℃の温度において初期重量の少なくとも約50%を保持するものである。
【0057】
利用できる好適な冷感剤には、不揮発性メントール類縁体、例えばメンチルラクテート、メンチルエトキシアセテート、メントングリセリンアセタール、3−1メントキシプロパン−1,2−ジオール、エチル1−メンチルカーボネート、(IS,3S,4R)−p−メンタ−8−エン−3−オル、メンチルピロリドン25カルボキシレート、例えば、N−置換−p−メンタン−3−カルボキサミド(参考として本明細書に組み込まれる米国特許第4,136,163号に記載)を含む、N−置換−pメンタン−3−カルボキサミドが挙げられる。
【0058】
シクロデキストリン包接錯体に利用できる好適な皮膚鎮静剤には、メントール、樟脳、オイゲノール、ユーカリプトール、サフロール、サリチル酸メチル、及び前述のメントール類似物が挙げられる。任意の好適なシクロデキストリンは、αシクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、並びにヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、メチル−β−シクロデキストリン、及びアセチル−βシクロデキストリン等の修飾シクロデキストリンを含む包接錯体を形成するために利用されてもよい。好ましいシクロデキストリンは、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンである。
【0059】
マトリックス材料がシクロデキストリン包接錯体を含むとき、マトリックス材料は、最大約10重量%、好ましくは約2重量%〜約7重量%の置換剤も有利に含んでよく、これは水と接触すると包接錯体から皮膚鎮静剤を変位させ、それによって使用中に皮膚係合部材から皮膚鎮静剤の放出を促進する。置換剤は、皮膚鎮静剤で形成された錯体よりも、シクロデキストリンを含むより安定した錯体の形成を可能にする材料であるので、皮膚係合部材が水と接触するとき錯体から皮膚鎮静剤を変位させる。好適な置換剤には、界面活性剤、安息香酸、及び特定のアミン(例えば、尿素)が挙げられる。前述の冷感剤、シクロデキストリン包接錯体、及び置換剤に関する更なる詳細は、米国特許第5,653,971号及び同第5,713,131号に見出され得る。
【0060】
当業者は、「任意の冷感剤」の項に記載された1つ以上の冷感剤は、ナノ粒子及び/又はマイクロ粒子のいずれかの中に封入された形状の冷感剤としても使用され得ることを理解するであろう。マトリックス材料は更に、未封入状態の1つ以上の他のスキンケア有効成分を含んでよい。好適な他のスキンケア有効成分の非限定的な例は、本明細書を通して開示されたものを含む。
【0061】
III.封入状有効成分
いくつかの実施形態では、本発明の皮膚係合部材は、少なくとも1つの封入状有効成分を更に含む。封入状有効成分は、(例えば)熱的弾性感覚剤、追加の感覚剤、芳香剤又は他のスキンケア有効成分又は組成物であってもよい。いくつかの実施形態では、かかる少なくとも1つの封入状有効成分の濃度(カプセル及び封入状有効成分の重量を含む)は、かかる皮膚係合部材の約0.01重量%〜約50重量%、あるいは約10重量%〜45重量%、あるいは約15重量%〜約35重量%である。封入状有効成分は、同一の成分又は異なる成分を含有することができる。また、封入状有効成分は、成分の混合物を含むこともできる。
【0062】
封入技術の非限定的な例は、米国特許第7,115,282号に記載されたナノ及びマイクロ粒子であってもよい。本発明のナノ粒子は本来疎水性である。いくつかの実施例では、ナノ粒子は、0.01ミクロン〜約10ミクロン、又は約0.05ミクロン〜約5ミクロン、又は約0.1ミクロン〜約2ミクロンの範囲の平均直径を有する。任意の個々の粒子のこの線寸法は、粒子表面上の2点を結んだ最長の直線の長さを表す。いくつかの実施形態では、一部のナノ粒子が1つ以上の関水性マイクロ粒子内に封入される。いくつかの実施形態では、皮膚係合部材に存在する大部分のナノ粒子が、かかる関水性マイクロ粒子内に封入される。マイクロ粒子は、約2.0ミクロン〜約100ミクロン、又は約20ミクロン〜約100ミクロンの平均粒径を有する。
【0063】
本発明の感覚剤は、純成分として(組成物内への直接添加として)、封入状態で、若しくはコーティング又は別の層で含まれてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の熱的弾性感覚剤は、未封入状態及び封入状態の両方で存在することができる。いくつかの実施形態では、熱的弾性感覚剤の1つは、未封入状態であってよく、他の感覚剤又は熱的弾性感覚剤は、封入状態であってよい。例えば、いくつかの実施形態では、N−置換メンタンカルボキサミドは、未封入状態であってよく、メンタンカルボン酸−N−(4−メトキシフェニル)−アミドは、カプセル内にあってよい。他の実施形態では、N−置換メンタンカルボキサミドは、封入状態であってよく、メンタンカルボン酸−N−(4−メトキシフェニル)−アミドは、未封入状態であってよい。更に、他の実施形態では、追加の感覚剤又は追加の冷感剤(本明細書に開示されているもの等)は、本発明の熱的弾性感覚剤の1つ又は両方と共に未封入状態の中に存在してもよい。例えば、上記熱的弾性感覚剤のいずれも、全て未封入の生成物として、若しくはカプセル内の1つ以上の冷感剤又は感覚剤として、Lメントール、メンチルラクテート、又は他の任意の一般的に使用される冷感剤と共に使用されてもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、封入状有効成分中の有効成分又は複数の有効成分の濃度は、ナノ粒子の約20重量%〜約90重量%、好ましくは約30重量%〜約75重量%の範囲である。いくつかの実施形態では、封入状有効成分内の有効成分又は複数の有効成分の濃度は、マイクロ粒子の約10重量%〜約60重量%、又は約30重量%〜約50重量%の範囲である。最低10重量%、最低5重量%、又は最低1重量%等、より少ない濃度の封入状有効成分を使用することもできる。
【0065】
いくつかの実施形態では、封入状有効成分は、1つ以上の冷感剤、例えばL−メントール+メンチルラクテート(Frescolat ML)、L−メントール+メントングリセリンアセタール(Frescolat MGA)、又はL−メントール+Coolact 10、又はペパーミント油を含む。更に別の実施形態では、封入状有効成分は、少なくとも1つの冷感剤及び芳香剤、鉱物油、又はこれらの組み合わせを含む。別の実施形態では、冷感剤は、国際公開第2007115593号に記載されるようなメントール及びメンチルラクテートの混合物(Fresocolat Plusとして市販)、又は、米国特許第6,897,195号に記載されるような1:4〜4:1の範囲の重量比のメントールとメンチルラクテートとの共融混合物を含む。
【0066】
IV.追加のスキンケア有効成分
局所適用に一般的に使用される様々なスキンケア有効成分(「複数の活性剤」)は、未封入の生成物として及び/又は封入状態で、皮膚係合部材の中に含まれてもよい。
【0067】
好適な冷感剤の非限定例としては、L−メントール、p−メンタン−3,8−ジオール、イソプレゴール、メントキシプロパン−1,2,−ジオール、クルクミン、メンチルラクテート(SymriseのFrescolat ML等)、ジンゲロール、イシリン、茶木油、メチルサリシレート、樟脳、ペパーミントオイル、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、エチル3−(p−メンタン−3−カルボキサミド)アセテート、2−イソプロピル−N,2,3−トリメチルブチルアミド、メントングリセロールケタール、メントングリセリン(Glyerine)アセタール、Coolact 10、及びこれらの混合物が挙げられる。これら及びその他の冷感剤は既知であり、米国特許出願公開第2008/0300314A1号、米国特許第5,451,404号、及び同第7,482,373号等様々な公表文献に記載されている。更に別の実施形態では、冷感剤は、様々な剃毛補助剤での使用について前述した1つ以上の冷感剤を含む。例えば、米国特許第5,095,619号、同第5,713,131号、同第5,095,619号、同第5,653,971号、同第6,298,558号、同第6,944,952号、及び同第6,295,733号を参照のこと。
【0068】
化粧品及び皮膚科的な使用に好適なその他の有効成分を本明細書で使用してよい。好適な有効成分の非限定的な例には、ビス−アボロール及びジンジャー抽出物、Olivem 450(登録商標)及びOlivem 460(登録商標)等のオリーブ油、ラウリルp−クレゾールケトキシム、4−(1−フェニルエチル)1,3−ベンゼンジオール、Lupin(Lupinus albus)油&小麦胚芽油鹸化物、加水分解ルピナスタンパク質、L−リジン及びL−アルギニンペプチドの抽出物、油溶性ビタミンC、Evodia rutaecarpaフルーツ抽出物、亜鉛ピドレート及び亜鉛PCA、アルファ−リノール酸、p−チモール、及びこれらの組み合わせ、シュガーアミンからなる群から選択される少なくとも1つの追加の皮膚及び/又は毛髪ケア有効成分、ビタミンB
3、レチノイド、ヒドロキノン、ペプチド、ファルネソル、フィトステロール、ジアルカノイルヒドロキシプロリン、ヘキサミジン、サリシル酸、N−アシルアミノ酸化合物、日焼け止め有効成分、水溶性ビタミン、油溶性ビタミン、ヘスペレジン、からし種子抽出物、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、カルノシン、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)及びブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、メンチルアントラニレート、セチルピリジニウムクロリド、テトラヒドロクルミン、バニリン又はその誘導体、エルゴチオネイン、メラノスタチン、ステロールエステル、イデベノン、デヒドロ酢酸、Licohalcone A、クレアチン、クレアチニン、フィーバーフュー抽出物、イースト抽出物(例えば、Pitera(登録商標))、ベータグルカン、アルファグルカン、ジエチルヘキシルシリンギリデンマロネート、エリスリトール、p−サイメン−7−オル、ベンジルフェニルアセテート、4−(4−メトキシフェニル)ブタン−2−オン、エトキシキン、タンニン酸、没食子酸、オクタデセンジオン酸、p−サイメン−5−オル、メチルスルホニルメタン、アベナンスラマイド化合物、脂肪酸(特に、多不飽和脂肪酸)、抗菌剤、チオール化合物(例えば、N−アセチルシステイン、グルタチオン、チオグリコレート)、他のビタミン(ビタミンB 12)、ベータ−カロテン、ユビキノン、アミノ酸、その塩、その誘導体、その前駆体、及び/又はこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの追加の皮膚及び/又はヘアケア活性剤;及び皮膚病学的に許容し得るキャリアの1つ以上が挙げられる。これら及び他の潜在的に好適な有効成分は、米国特許公開第2008/0069784号により詳細に記述されている。
【0069】
使用できる追加の有効成分としては、商標名Signaline S,Jojoba Oil,Ceramidone,Net DG,Pal−GHK(Paltenex),Rhodysterol,Vital ETで市販されるもの、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0070】
別の実施形態では、有効成分はメチルナフタレニルケトンであってよい。メチルナフタレニルケトンは、1−(1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−2,3,8,8−テトラメチル−2ナフタレニル)−エタン−1−オン分子若しくはその異性体又は誘導体であり得る。New YorkのIFFからIso−E−Superとして市販されている。冷涼メントール受容体といわれているTRPM8受容体の上方調整能を有するものを含む、その他の感覚剤も使用してよい。好適なTRPM8調節剤の非限定的な例には、p−メンタン−3,8−ジオール、イソプレゴール、メトキシプロパン−1,2,−ジオール、クルクミン、メンチルラクテート、ジンゲロール、イシリン、メントール、茶木油、チルサリシレート、樟脳、ペパーミント油、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、エチル3−(p−メンタン−3−カルボキサミド)アセテート、2−イソプロピル−N,2,3−トリメチルブチルアミド、メントングリセロールケタール、およびその混合物が挙げられる。
【0071】
有効成分は、局所使用に好適な1つ以上のスキンケア有効成分であってもよい。「The CTFA Cosmetic Ingredient Handbook,Second Edition(1992)」には、スキンケアに関連する業界で一般に使用される広く様々で非限定的な化粧品及び医薬品の成分が記載されており、それらは本発明の組成物への使用に好適である。これらの成分の種類の例としては、研磨剤;吸着剤;芳香剤、顔料、着色剤/染料、精油、皮膚感覚剤、収斂剤等の美的成分(例えば、丁子油、樟脳、ユーカリ油、オイゲノール、マンサク留出物)、抗ニキビ剤、固化防止剤、消泡剤、抗菌剤(例えば、ヨードプロピルブチルカーバメート)、酸化防止剤、結合剤、生物学的添加物、緩衝剤、充填剤、キレート化剤、化学添加物、染料、化粧用収斂剤、化粧用殺生物剤、変性剤、薬用収斂剤、外用鎮痛剤、脂肪アルコール及び脂肪酸、被膜形成剤又は材料、例えば、組成物の被膜形成特性及び持続性を支援するためのポリマー(例えば、エイコセン及びビニルピロリドンのコポリマー)、不透明化剤、pH調整剤、噴射剤、還元剤、隔離剤、皮膚漂白及び美白剤、皮膚コンディショニング剤、皮膚鎮静剤及び/又は皮膚回復剤及び誘導体、皮膚治療剤、増粘剤、並びにビタミン及びその誘導体が挙げられる。追加の好適な皮膚処置有効成分の追加の非限定的な例は、米国特許第2003/0082219号I項(すなわち、ヘキサミジン、酸化亜鉛、及びニアシナミド);同第5,665,339号D項(すなわち、冷感剤、皮膚コンディションニング剤、日焼け防止剤及び顔料、並びに薬剤);及び同第2005/0019356号(すなわち、落屑有効成分、抗にきび有効成分、キレート剤、フラボノイド、並びに抗菌及び抗かび有効成分)に含まれる。しかしながら、多くの材料は1つ以上の効果をもたらすことがあること、又は1つ以上の作用様式を介して機能し得ることに留意すべきである。従って、本明細書の分類は便宜上実施されたものであって、有効成分を、列挙した特定の1つ又は複数の用途に制限しようとするものではない。
【0072】
V.除毛ヘッド
発明のいくつかの実施形態によると、除毛装置は、通常除毛ヘッド並びに柄又はグリップ部分を含み、除毛ヘッドが装着されているところに設けられている。除毛装置は、手動又は電動であってよく、湿式及び/又は乾燥用途で用いてよい。除毛装置は、脱毛剤と共に使用される除毛装置等の幅広い掻き取り表面を含んでもよく、又は装置が剃毛かみそりの場合、かみそりカートリッジであってよい。除毛ヘッドは、取り替え可能及び/又は駆動可能にカートリッジ連結構造体へ、そして順番に又は独立して(例えば、完全に固定して)柄に接続される。いくつかの実施形態では、カートリッジ連結構造体は、除毛ヘッドを解除可能に係合するために少なくとも1つのアームを含む。
【0073】
除毛ヘッドは、一般的に第1の末端部と第2の末端部との間に位置する1つ以上の伸長縁部(ブレード)を含み、かかる1つ以上の伸長縁部は、かかる第1の末端部に向かって延びる先端部を含む。除毛ヘッドがかみそりカートリッジの場合、1つ以上の伸長縁部はブレードを含んでもよい。例えば、米国特許第7,168,173号は、Gillette Companyから市販されており、複数のブレードを伴うかみそりカートリッジを含む、Fusion(登録商標)かみそりを概略的に記載する。加えて、かみそりカートリッジは、ガード及び皮膚係合部材を含んでもよい。様々なかみそりカートリッジが本発明に従って使用可能である。フィン、ガード及び/又は剃毛補助具を備える、及びこれらを備えない好適なかみそりカートリッジの非限定的な例としては、Fusion(登録商標)、Venus(登録商標)の製品ラインでGillette Companyによって販売されるもの、及び米国特許第7,197,825号、同第6,449,849号、同第6,442,839号、同第6,301,785号、同第6,298,558号、同第6,161,288号、及び米国特許公開第2008/060201号に開示されるものが挙げられる。当業者は、本皮膚係合部材を、2枚、3枚、4枚若しくは5枚のブレードを有するものを含む、任意の現在販売されているシステム又は使い捨てかみそりと共に使用することができることを理解するだろう。このような場合、除毛装置はかみそりであり、除毛ヘッドはかみそりカートリッジであり、かつ1つ以上の伸長縁部はブレードである。他の実施形態では、除毛装置は、除毛組成物、すなわち脱毛剤と共に使用するための掻き取り具である。
【0074】
いくつかの実施形態では、かかる少なくとも1つの皮膚係合部材は、除毛工程中に皮膚と接触するカートリッジの部分上で、ブレード前方及び/又は後方に位置する。1つ以上の伸長縁部の「前方」にある機構は、例えば、除毛装置で処理される表面が伸長縁部と接触する前にその機構に接触するように配置される。伸長縁部の「後方」にある機構は、除毛装置で処理される表面が伸長縁部と接触した後にその機構に接触するように配置される。1つ以上の皮膚係合部材が除毛装置上で提供される場合、皮膚係合部材は、物理的な形/構造及び/又は化学組成の点において同じ(同一)又は異なってよく、1つ以上の皮膚係合部材は、感覚剤を含んでもよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、複数(例えば、2、最初及び2番目)の皮膚係合部材は、式A又は好ましくは式Bによるメンタンカルボン酸−N−(4−メトキシフェニル)−アミドを含む第1の皮膚係合部材並びに式I又は好ましくは式IIによる(より更に好ましくは大1の皮膚係合部材の式Bを伴う)N−置換メンタンカルボキサミドを含む第2の皮膚係合部材と共に、除毛ヘッド上に提供されてもよい。これらの皮膚係合部材は、伸長縁部(例えば、かみそりカートリッジのブレード)の前方又は後方で集合的に(例えばお互いに隣接して)位置してもよく、伸長縁部及び他の後方と並行、又は独立したものを含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、カートリッジは、ユーザーの皮膚を係合するための少なくとも1つの伸長した可撓性突出部を備えるガードを含む。少なくとも1つの可撓性突出部は、かかる1つ以上の伸長縁部に対して通常平行の可撓性フィンを含んでもよい。かかる少なくとも1つの可撓性突出部は、かかる1つ以上の伸長縁部に対して通常平行ではない少なくとも1つの部分を含む可撓性フィンを、追加的に又は二者択一的に含んでもよい。好適なガードの非限定的な例としては、現在のかみそりのブレードに使用されるものが挙げられ、米国特許第7,607,230号及び同第7,024,776号(エラストマー性/可撓性フィンバーを開示)、同第2008/0034590号(湾曲したガードフィンを開示)、同第2009/0049695(A1)号(上面と下面との間に延在する少なくとも1つの通路を形成するガードを有するエラストマー性ガードを開示)に開示されるものが挙げられる。いくつかの実施形態では、かかる皮膚係合部材は、カートリッジ上でガードの後方及びかかる伸長縁部の前方に位置する。他の実施形態では、皮膚係合部材は、カートリッジ上のガードの前方に位置する。この実施形態は、ガードと接触する前に皮膚係合部材を提供するのに特に有用であり得る。
【0077】
VI.製造方法
本発明の皮膚係合部材は、射出成形、押型成型、含浸処理、スプレーコーティング、カレンダー加工及び押出成形、又はそそのようなステップの組み合わせを含む、任意の適切な方法によって作成されてもよい。熱的弾性感覚剤を含むストリップの組成物の全ては、成形又は押出成形の前に配合されてもよい。最良の結果として、構成成分は乾燥していることが好ましい。
【0078】
配合された組成物は、約6.89〜13.8MPa(1000〜2000psi)のバレル圧、約10〜50rpmのローター速度、並びに約150℃〜185℃の温度及び約170℃〜185℃のダイ温度を伴う、直径1.9センチメートル(3/4インチ)の押出成形機、Haakeシステム90、を通して押出成形されてもよい。あるいは、3.2センチメートルの(1 1/4インチ)一軸式押出成形機は、175℃〜200℃、好ましくは185℃〜190℃の工程温度、20〜50rpm、好ましくは25〜35rpmのスクリュー速度、及び1800〜5000psi、好ましくは13.8〜24.1MPa(2000〜3500psi)の押出圧力で採用されてもよい。押出成形されたストリップは、約25℃まで空冷される。ストリップを射出成形するために、ペレットの中へ粉末配合物を最初に押出成形することが好ましい。これは、3.2又は3.8センチメートル(1 1/4又は1 1/2インチ)の1軸式押出成形機において、温度120℃〜180℃、好ましくは140℃〜150℃で、20〜100rpm、好ましくは45〜70rpmのスクリュー速度で実施することができる。次に、ペレットは、任意追加的にホットランナーシステムを備えた単一空洞又は多空洞であってよい、単一材料成形又は多材料成形機のいずれかで成形される。工程温度は、165℃〜250℃、好ましくは180℃〜225℃であってよい。射出圧は、溢れ出すことなく完全に部を満たすのに十分であるべきである。空洞の大きさ、形状、及び数に応じて、射出圧は、2.07〜17.24MPa(300〜2500psi)の範囲であってよい。サイクル時間は、同じパラメータに依存し、3〜30秒、最適には通常約6〜15秒の範囲であってよい。
【0079】
VII.図の詳細
図1及び
図2を参照して、かみそりカートリッジ(除毛ヘッドの例)14は、ハウジング16を含み、これは3つのブレード18、フィン付きエラストマーガード20、及びカートリッジの皮膚係合部分(この場合はキャップ)上に配置された皮膚係合部材22と、を含む。皮膚係合部材22は2層を有するように表示され、第1の層はマトリックス及び本発明の封入状有効成分であってよく、第2の層は、従来の剃毛補助剤、又はその逆であってよい。皮膚係合部材は、カートリッジ後部の開口部の中に(接着剤、嵌合具、又は溶融結合により)好ましくは固定される。
図3に示す皮膚係合部材32は、皮膚係合部材32が全体的に均質な組成物及び均一でわずかに湾曲した平坦上面を有すること以外は、皮膚係合部材22と同様である。この種の皮膚係合部材も、楔形状断面又は他の任意の所望する形状で作成してもよい。皮膚係合部材は、サンドイッチ又はシース/コア構成体等、2つ以上の層で構成されてもよい。
【0080】
本発明は、ユーザーの皮膚上へ、本発明の少なくとも1つの実施形態に従って皮膚係合剃毛補助部材を塗布することによって、冷涼感、刺痛感、清涼感、ないしは別の方法で局所に顕著な感覚又は知覚をユーザーに提供するための皮膚係合剃毛補助部材の使用方法も含んでよい。これは、剃毛の工程又は方法の一部として行われてもよい。
【実施例】
【0081】
実施例1〜4は、後述の方法と共に以下の表に従って作製されてもよく、成分は、タンブラー内で他の成分と共に配合及び混合され、これは均質な粉末を作製する。次に、得られた粉末は、160℃〜180℃及び10〜20MPa(100〜200バール)の圧力で、潤滑ストリップ内に単一押出成形される。
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】
【0084】
実施例3及び4は、1週間に最低4回剃毛し、冷涼感に敏感な10人の男性剃毛者によって作製及び実験され、これは彼らが、冷涼潤滑ストリップ付きかみそり製品及びこれに対して非冷涼潤滑ストリップ付きかみそり製品で剃毛することにより事前に審査されたことを意味し、半顔実験計画書を使用し、彼らが冷涼感覚を知覚できたことを示し、このようにして2つのかみそり製品を識別する。それぞれの被験者は、潤滑ストリップのみが異なる3つのかみそり製品で剃毛した。冷涼感度の検出における剃毛準備の変動効果を最小限にするため、缶のGillette Series Sensitive Skin Shave Gelがそれぞれの剃毛に使用された。それぞれの被験者の剃毛環境は、全体の剃毛実験を通してできる限り近づけられ、例えば、かみそりにおける唯一の変動は潤滑ストリップであり、全ての実験に同じ剃毛準備(Gillette Series Sensitive Skin Shave Gel)が使用された。製品の剃毛順序は、製品干渉の可能性を打ち消すために無作為化された。それぞれのかみそり製品は、5回の通常剃毛に使用された。10人の剃毛者は、剃毛中及び後に知覚した冷涼感を0〜10段階で(0は冷涼感覚の知覚なしを示す)採点した。これらの採点は平均され、結果は以下の表の通りである:
【0085】
【表4】
【0086】
結果は、冷感剤が押出プロセスに耐え、剃毛中及び後の両方で剃毛者に顕著な冷涼効果を提供できることを示す。重要なことに、これらの被験者で、剃毛中に比べて剃毛後の冷涼強度の増加が示された。かかる剃毛補助剤中の一般的な多くの他の追加の冷感剤は、多くのユーザーに対して意味ある顕著な効果を提供できないと元来考えられていたため、これは驚きであり意外であった。
【0087】
5%メントールを含有する以下の比較例は、上記の方法を用いて作製され、並びに1週間に最低4回剃毛し、上記の通り冷涼感に敏感な4人の男性剃毛者によって実験された。剃毛者は、いかなる冷涼効果も検出することができなかったと報告した。
【0088】
【表5】
【0089】
本明細書の全体を通じて与えられる全ての最大の数値限定は、それよりも小さい全ての数値限定を、そうしたより小さい数値限定が恰も明確に本明細書に記載されているものと同様にして包含するものと理解すべきである。本明細書の全体を通じて与えられる全ての最小の数値限定は、それよりも大きい全ての数値限定を、そうしたより大きい数値限定が恰も本明細書に明確に記載されているものと同様にして包含するものである。本明細書の全体を通じて与えられる全ての数値範囲は、そうしたより広い数値範囲に含まれる全てのより狭い数値範囲を、そうしたより狭い数値範囲の全てが恰も本明細書に明確に記載されているものと同様にして包含するものである。同様に、発明の各特定の実施形態のそれぞれの特徴は、各他の特定の実施形態に、全てのそのような組み合わせが恰も本明細書に明確に記載されているものと同様に独立して適応されてもよいが、これらの組み合わせが明確に除外されている又は関連する特徴が本質的に不適合である(例えば、特徴が正反対である)場合を除く、と理解されるべきである。
【0090】
特に指定のない限り、本明細書の明細、実施例、及び請求の範囲における全ての部、比、及び百分率は、重量基準であり、全ての数値限定は、当該分野により提供される通常の程度の精度で使用される。
【0091】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に指定のないかぎり、それぞれのかかる寸法は、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0092】
「発明を実施するための形態」において引用する全ての文献は、その関連部分において参照として本明細書に組み込まれるものであるが、いずれの文献の引用も、こうした引用が本発明の先行技術であることを容認するものとして解釈すべきではない。この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参照によって組み込まれる文書におけるいずれかの意味又は定義と対立する限りにおいて、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義を優先するものとする。特に指定のない限り、前置詞の「a」、「an」、及び「the」は「1つ以上」を意味する。
【0093】
本発明の特定の実施形態が図示され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。従って、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。