(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。各図において、矢印X及びYは互いに直交する水平方向を示し、矢印Zは上下方向を示す。
【0012】
<第1実施形態>
<検査システム>
図1は本発明の検査方法を実施可能な検査システム例である検査システム1の平面図、
図2は検査システム1の正面図である。検査システム1は、検査装置10と、載置台20と、載置台40と、を含む。
【0013】
検査装置10は、アーム機構11と、アーム機構12と、ベースユニット13と、昇降・旋回ユニット14と、を含む。
【0014】
アーム機構11は、アーム111〜113を備える。アーム111の一端はベースユニット13に回動自在に支持されている。アーム111の他端とアーム112の一端とは互いに回動自在に支持されている。アーム112の他端とアーム113の一端とは互いに回動自在に支持されている。アーム113の他端にはエンドエフェクタ114が水平姿勢で支持されている。
【0015】
アーム機構11は、その内部及びベースユニット13の内部に設けられた駆動機構(不図示)によって、水平方向に伸縮し、エンドエフェクタ114が直線上で並行移動される。
図1はアーム機構11が収縮した状態を示している。
図2の実線はアーム機構11が収縮した状態を示し、
図2の破線は、X方向と平行なdx1方向にアーム機構11を伸長した状態を示している。エンドエフェクタ114の詳細は後述する。
【0016】
アーム113には、エンドエフェクタ114を水平軸周り(
図2の矢印dr2方向)に回動させる駆動機構(不図示)が内蔵されている。この駆動機構により、エンドエフェクタ114は、その上下面を反転することが可能である。
【0017】
アーム機構12は、アーム121〜123を備える。アーム121の一端はベースユニット13に回動自在に支持されている。アーム121の他端とアーム122の一端とは互いに回動自在に支持されている。アーム122の他端とアーム123の一端とは互いに回動自在に支持されている。アーム123の他端にはエンドエフェクタ124が水平姿勢で支持されている。エンドエフェクタ124の詳細は後述する。
【0018】
アーム機構11と同様にアーム機構12は、その内部及びベースユニット13の内部に設けられた駆動機構(不図示)によって、水平方向に伸縮し、エンドエフェクタ124が直線上で並行移動される。エンドエフェクタ114と、エンドエフェクタ124とは、互いの干渉を回避するために、Z方向にずらして配置されており、水平方向で同方向に往復移動可能となっている。
【0019】
アーム機構11とアーム機構12とは、水平方向に並べてベースユニット13に搭載されている。しかし、これらを上下方向に並べてベースユニット13に搭載する構成も採用可能である。
【0020】
ベースユニット13は、アーム機構11及び12を支持する。昇降・旋回ユニット14は、駆動軸14aと、本体14bとを備える。ベースユニット13は駆動軸14aに搭載されている。本体14bは駆動軸14aをZ方向に進退させる機構と、駆動軸14aをその中心線周りに回転させる機構とを内蔵する(不図示)。駆動軸14aをZ方向に進退させることにより、ベースユニット13をZ方向と平行なdz方向に昇降できる。これにより、アーム機構11とアーム機構12とがZ方向に昇降される。駆動軸14aを回転させることにより、ベースユニット13をZ方向の軸周りに回転できる。これにより、アーム機構11とアーム機構12とが
図1の矢印dr1方向に旋回される。そして、アーム機構11及び12の伸縮方向が載置台20に向かう態様と、載置台40に向かう態様と、を選択できる。
【0021】
載置台20には、検査対象の基板収容器100が載置される。載置台20は基板収容器が搭載可能なドックプレート21を備える。ドックプレート21は、載置台20内部の駆動機構(不図示)によりX方向と平行なdx2方向に往復移動可能となっている。
【0022】
ここで、検査対象となる基板収容器の例について
図3を参照して説明する。
図3は、基板収容器100の横断面図及び縦断面図を示している。基板収容器100は、本体部101と、ドア部102とを備えた、FOUP型の基板収容器である。本体部101は、その一側部に開口部101aを有する中空体である。ドア部102は開口部101aに着脱され、開口部101aを開閉する。
【0023】
本体部101内には、複数のスロットSLが形成されている。本実施形態の場合、25個のスロットSLが形成されている。個々のスロットを指す場合は、
図3に示すように最下部から順番に番号を付し、スロットSL1...スロットSL13...スロットSL25と表記する。各スロットSLは、本体部101の、対向する内壁から水平に突出した一対の支持部103により形成される。基板Wは、一対の支持部103上に載置され、その周縁が支持される。なお、本実施形態の場合、基板Wは円形のウエハであり、半導体デバイス用の基板を想定しているが、これに限られるわけではない。
【0024】
図1及び
図2を再び参照して、載置台20のドックプレート21上には、基板収容器100が、開口部101aが検査装置10側を向いた状態で搭載される。基板収容器100をドックプレート21に搬入出する場合、ドックプレート21が検査装置10から離れる方向に後退され、基板収容器100の検査を行う場合、ドックプレート21が検査装置10側に前進される。
【0025】
載置台20には、開閉装置30が設けられている。開閉装置30は基板収容器100のドア部102を開閉する。開閉装置30は、FOUP用のロードポートに設けられる周知のドア開閉機構と同様の構成となっており、簡単に説明する。開閉装置30は、壁部(ポートプレート)31と、保持部(ポートドア)32とを備える。壁部31は上下方向に立設されており、ドア部102が通過可能な水平方向に開口する開口部31aを備える。検査装置10は、ドックプレート21上の基板収容器100に収容された基板Wに対して、この開口部31aを介してアクセス可能である。
【0026】
保持部32は、不図示の駆動機構によりZ方向及びX方向に移動可能となっている。保持部32には、基板収容器100の本体部101とドア部102との係合機構を操作する操作機構が設けられている。また、保持部32には、例えば、負圧吸引によりドア部102を保持する保持機構が設けられている。
【0027】
開閉装置30の動作について説明する。ドックプレート21上に基板収容器100が搬送されると、保持部32は上昇される。保持部32はドア部102に近接する方向に移動され、ドア部102を保持する。そして、本体部101とドア部102との係合機構を操作して、両者の係合を解除する。続いて、保持部32は本体部101から離間する方向に移動され、降下される。これにより、本体部101が開放した状態となり、その検査が可能となる。検査終了後には逆の動作により、基板収容器100が閉鎖される。
【0028】
なお、本実施形態では、基板収容器100の検査の際、本体部101がドア部102で閉鎖された状態で、載置部20上に搬送される場合を想定している。しかし、ドア部102が事前に取り外され、本体部101が開放された状態で、載置部20上に搬送されてもよい。この場合、開閉装置30は不要となる。
【0029】
載置台40には、基板Wを収容可能な基板収容器41が載置される。基板収容器41は、検査対象である基板収容器100が収容する基板Wと同じ基板を収容可能であれば、どのようなものでもよく、基板収容器100と同タイプのものであってもよい。本実施形態の場合、基板収容器41は、基板収容器100の検査時に、基板Wを一時的に収容するために用いる。
【0030】
次に、
図4を参照してエンドエフェクタ114及び124の構成について説明する。
図4は、エンドエフェクタ114及び124の各平面図と、エンドエフェクタ114の平面図における線I-I断面図とを示している。
【0031】
エンドエフェクタ124は、基板Wの搬送用であり、その上面は、基板Wが載置される基板載置部を構成している。本実施形態の場合、エンドエフェクタ124の上面には複数の吸着孔124aが形成されている。吸着孔124aは、不図示のバキュームポンプに連通し、基板Wを負圧吸引することが可能である。これにより、基板Wの搬送中、基板Wがエンドエフェクタ124から脱落することを防止できる。
【0032】
エンドエフェクタ124を用いた基板Wの搬送は以下の手順で行うことができる。すなわち、昇降・旋回ユニット14によりエンドエフェクタ124を搬送対象の基板Wよりも低い位置に位置させる。次に、アーム機構112を伸長して搬送対象の基板Wの下方にエンドエフェクタ124を移動する。そして、昇降・旋回ユニット14によりエンドエフェクタ124を上昇させ、搬送対象の基板Wを持ち上げる。その後、搬送先のやや上方にエンドエフェクタ124を移動する。次に、昇降・旋回ユニット14によりエンドエフェクタ124を降下させ、搬送対象の基板Wを搬送先に載置する。
【0033】
エンドエフェクタ114は、基板Wの位置計測用であり、その上面にはセンサ115が搭載されている。本実施形態の場合、センサ115を複数(3つ)設けているが、1つであってもよい。3つのセンサ115はY方向に配置されており、同時に3か所の計測位置での計測が可能である。
【0034】
センサ115は、センサ本体1151と、プリズム(光回折部)1152と、を備える。センサ本体1151は、距離を計測する距離センサであり、ここでは光学式の距離センサを想定している。例えば、距離センサは、発光部と受光部とを備え、発光部から発振された光を計測対象において反射させ、その反射光を受光部で受光することで、計測対象までの距離を計測する。
【0035】
本実施形態の場合、計測する距離が10mm以下になる場合を想定している。一般的な距離センサであると、最短計測距離を下回る場合がある。そこで、プリズム1152を設け、発信された光を回折させることで、光路長を実際の計測対象までの距離よりも長くしている。計測する距離が距離センサの最短計測距離を上回る場合、プリズム1152は不要である。
【0036】
センサ本体1151はX方向に光を照射し、プリズム1152は光を下方へ回折する。エンドエフェクタ124には、プリズム1152の真下において開口部114aが形成されており、プリズム1152からの回折光は、開口部114aを通してエンドエフェクタ124の下方へ出光して基板Wの表面に照射される。基板Wからの反射光は、同様に、開口部114aを通過してプリズム1152で回折され、センサ本体1151に入射することになる。
【0037】
次に、検査装置10の制御系の構成について説明する。
図5は検査装置10を制御する制御装置15のブロック図である。なお、載置台20や開閉装置30の動作制御は制御装置15で行ってもよいし、別の制御装置により行ってもよい。
【0038】
制御装置15は、CPU等の処理部151と、RAM、ROM等の記憶部152と、外部デバイスと処理部151とをインターフェースするインターフェース部153と、を含む。インターフェース部153には、ホストコンピュータとの通信を行う通信インターフェースも含まれる。ホストコンピュータは、例えば、検査システム1が配置された製造設備全体を制御するコンピュータである。
【0039】
処理部151は記憶部152に記憶されたプログラムを実行し、各種のセンサ155の検出結果や上位のコンピュータ等の指示に基づいて、各種のアクチュエータ154を制御する。各種のセンサ155には、例えば、センサ本体1151、アーム機構11及び12の各構成部材の位置検出センサ、昇降・旋回ユニット14の各構成部材の位置検出センサ等が含まれる。各種アクチュエータ154には、例えば、アーム機構11及び12や昇降・旋回ユニット14の駆動源(例えばモータ)、吸着孔124aと連通したバキュームポンプの駆動源(例えばモータ)等が含まれる。
【0040】
<検査方法の概要>
図6及び
図7を参照して、基板収容器100の本実施形態における検査方法を概説する。基板収容器100が長期間の使用により変形している場合、基板収容器100に収容されている基板Wの位置が正規の位置からずれることになる。例えば、基板Wが水平姿勢ではなく斜めの姿勢で支持されている場合や、規定の高さよりも低い位置に位置している場合である。そこで、基板収容器100に収容されている基板Wの位置を計測し、その計測結果に基づいて基板収容器100の良否を判定することができる。
【0041】
図6は基板Wの計測位置の説明図である。本実施形態では、9つの計測位置P11〜P13、P21〜P23、P31〜P33が設定されている。総称するときは計測位置Pという。なお、計測位置は少なくとも1つあればよいが、計測位置を複数とすることで、基板収容器100の良否判定の精度を向上させることが可能である。計測位置は、X方向及びY方向の少なくともいずれか一方向に複数あることが好ましい。
【0042】
計測は、基板Wの一方面に対向するようにセンサ115を水平に移動させ、その対向位置を移動させて計測位置を変えながら行う。
図6の例では基板Wの上面に対向するようにセンサ115を移動させる例を示しているが、基板Wの下面に対向させて計測を行う場合もある。
【0043】
計測位置P11〜P13は、エンドエフェクタ114を基準位置X0からX方向にL1移動した位置に設定されている。この位置における3つのセンサ115の各計測結果を、計測位置P11〜P13での計測結果とする。
【0044】
同様に、計測位置P21〜P23は、エンドエフェクタ114を基準位置X0からX方向にL2移動した位置に、計測位置P31〜P33は、エンドエフェクタ114を基準位置X0からX方向にL3移動した位置に、それぞれ設定されており、各計測結果を計測位置P21〜P23、計測位置P31〜P33での計測結果とする。本実施形態では、そのセンサ配置により、複数の計測位置(3点)で同時に距離の計測を行える。
【0045】
センサ本体1151から出力される信号により、センサ115から基板Wの上面までのZ方向の距離hを計測する。なお、距離hを厳密に言うのであれば、プリズム1152の下面から基板Wの上面までの距離となるが、センサ本体1151から出力される信号により計算される距離(総距離という)には、センサ本体1151からプリズム1152の回折点までの距離と、回折点からプリズム1152の下面までの距離も含まれる。これら2つの距離は既知であるので、総距離から、上記の既知距離分を差し引けば、厳密な距離hが演算される。しかし、本実施形態の場合、以下に述べるように基準値に基づいた判定方法を利用するので、総距離を距離hとして扱っても問題はなく、センサ115から基板Wの上面までのZ方向の距離の計測とは、総距離の計測を含む概念である。
【0046】
図7は基板収容器100の良否判定例を示している。良否判定は、各計測位置の計測結果と、事前に設定した基準値と、を比較し、基板Wの高さ精度を判定することにより行う。具体的には、計測結果と基準値とのずれ量が、事前に設定した許容値内にあるか否かで判定する。
【0047】
なお、基準値及び許容値の少なくともいずれかは計測位置毎に設定してもよいし、一律の値としてもよい。基板Wが薄い場合、その撓みにより中央部分が下方へ僅かに垂れ下がる場合がある。よって、例えば、少なくとも中央部分と周縁部分とで分けて許容値が設定されることが好ましい。
【0048】
図7の判定例EX1は、計測結果が正常である場合を示している。正常範囲TH11〜正常範囲TH13は、ずれ量の下限値から上限値までの範囲を示している。同図の例では、計測位置毎に基準値及び許容値を設定した場合を想定し、正常範囲TH11〜正常範囲TH13は、それぞれ、計測位置P11〜P13に対応している。周縁部分の計測位置であるP11とP13については、対応する正常範囲TH11及びTH13を同じとし、中央部分の計測位置であるP12については、基板Wの撓みを考慮して、正常範囲TH11及びTH13よりも下方にずれた範囲としている。
【0049】
計測位置P11〜P13の計測結果は、距離h11〜h13で示されている。いずれも正常範囲TH11〜正常範囲TH13内に収まっているため、計測位置P11〜P13については正常であると判定される。
【0050】
図7の判定例EX2は、計測結果が異常である場合を示している。同図の例では、計測位置P13の距離h13は正常範囲TH13内に収まっている。しかし、計測位置P11及びP12の距離h11及びh12は正常範囲TH12及びTH13からはずれている。したがって、計測位置P11及びP12については異常であると判定される。
【0051】
基板収容器100の良否判定については、全計測位置の計測結果が正常の場合にのみ、正常と判定してもよいし、異常と判定された計測位置の数が規定値未満の場合は正常と判定してもよい。
【0052】
<基準値の設定>
既に述べたとおり、本実施形態では、事前に基準値を設定する。そこで、基準値の設定方法について
図8を参照して説明する。まず、基板収容器100を載置台20に載置するのに先立って、基準器50を載置台20に載置する(セット工程)。基準器50は、作業者が載置台20に載置してもよいし、設備内の搬送ロボットが載置台20に載置してもよい。
【0053】
本実施形態の場合、基準器50は、治具21と、治具21上に載置されたサンプル基板Wsと、から構成されている。治具21は、その上面が正常な基板収容器100の所定のスロットSL(ここではスロットSL1)の高さ(支持部103の上面)に一致する原器である。サンプル基板Wsは、検査対象の基板収容器100に実際に収容される基板Wと同じ基板であることが好ましい。一点鎖線LVで示すように、サンプル基板Wsは、正常な基板収容器100のスロットSL1に挿入された基板Wと、Z方向の位置が一致し、その上面が基準上面となる。
【0054】
基準器50を載置台20に載置した後、
図8に示すように、サンプル基板Wsの基準上面に対向するようにセンサ115をアーム機構11によって移動させる。センサ115のZ方向の位置は、スロットSL1に挿入された基板Wを計測するときの位置に設定される。基板収容器100の寸法やスロットSL間のピッチは既知であるため、各スロットSLに対応したセンサ115のZ方向の位置は事前に設定することができる。
【0055】
そして、基準上面とセンサ115の対向位置を移動させて計測位置を変えながら、センサ115から基準上面までの上下方向の距離を計測する。計測位置は、本実施形態の場合、計測位置P11〜P13、P21〜P23及びP31〜P33の合計9か所となる。
【0056】
各計測位置の計測結果から、各計測位置の上面基準値が設定される。そして、上面基準値と許容値とから各計測位置における正常範囲が規定されることになる。
【0057】
なお、本実施形態の場合、治具21の上面は平坦であり、治具21自体では基板Wの撓みを考慮していない。したがって、各計測位置の上面基準値は略均一となるが、許容値を計測位置によって変えることで、基板Wの撓みを考慮した良否判定が可能となる。
【0058】
また、本実施形態の場合、基準器50を治具21とサンプル基板Wsとから構成したが、治具21のみから構成し、治具21の上面が一点鎖線LVで示される高さに一致するようにすることも可能である。しかし、サンプル基板Wsを用いることで、実際の計測時により近い条件で基準値設定を行うことができる。
【0059】
<制御例>
上記のとおり、基準値が設定された後、基板収容器100の計測及び良否判定を実行することができる。その際の検査装置10の制御例について
図9〜
図20を参照して説明する。
図9は制御装置15の処理部151が実行する処理例を示す風呂チャート、
図10〜
図20は検査装置10の動作説明図である。
【0060】
図9を参照して、S1では載置台20に、検査対象の基板収容器100が載置されるまで待機する。基板収容器100は作業者が載置台20に載置してもよいし、設備内の搬送ロボットが載置台20に載置してもよい(載置工程)。載置台20に基板収容器100が載置されると、開閉装置30がそのドア部102開放する。本体部101は、その開口部101aが検査装置10側を向いた状態となる。
【0061】
基板収容器100の検査は、基板Wに対する処理前の前処理として行ってもよいし、基板Wに対する処理とは全く別に行ってもよい。基板Wに対する処理前の前処理として基板収容器100の検査を行う場合、基板収容器100に収容されている基板Wの枚数や、基板Wが挿入されているスロットSLが異なる場合があり得る。そこで、S2では、基板収容器100に収容されている基板Wの枚数や、配置を検査に適した枚数や配置に調整する処理を行う。なお、基板収容器100に収容されている基板Wの枚数や、基板Wが挿入されているスロットSLに関する情報は、例えば、ホストコンピュータから得ることが可能である。
【0062】
図10は、基板収容器100に対する基板Wの収容例を2例示している。収容例EX3は、全スロットSLに基板Wが挿入された満杯の例を示し、収容例EX4は、スロットSL1にのみ基板Wが挿入された例を示している。つまり、基板Wが最大枚数収容された例と、基板Wが最小枚数収容された例を示している。2つの極端な例を例示することで、2以上24枚以下の基板Wが収容された場合についても、これら2つの例の応用により適用可能であることが理解されよう。
【0063】
なお、基板収容器100に対する基板Wの収容数によって基板収容器100が受ける荷重が異なるため、その変形度合が異なる場合がある。したがって、基板収容器100の検査は、なるべく多くの基板Wが収容された状態で行うことが好ましい。
【0064】
図10には、エンドエフェクタ114が併記されている。本実施形態の場合、スロットSL間のピッチがセンサ115の高さよりも狭い場合を想定している。収容例EX3の場合、エンドエフェクタ114を基板収容器100内に挿入すると、いずれかの基板Wと干渉してしまう(センサ干渉ケースという)。したがって、その対応が必要になる。収容例EX4の場合、基板WはスロットSL1のみに挿入されていることから、基板Wと干渉せずにエンドエフェクタ114を基板収容器100内に挿入可能である(センサ非干渉ケースという)。ただし、スロットSL1以外のスロットSLについては、このままでは検査できない。したがって、その対応が必要になる。まず、収容例EX3のセンサ干渉ケースの場合について、
図9のフローチャートと、
図11〜
図14の動作説明図とを参照しながら説明する。
【0065】
<センサ干渉ケースの場合>
センサ干渉ケースの場合、始めに一部の基板Wをエンドエフェクタ124により基板収容器100から抜き出し、エンドエフェクタ114が挿入可能な空間をつくる。抜き出す基板Wの数は、エンドエフェクタ114が挿入可能な最低数でよいが、ここでは、約半数の基板Wを抜き出す例を説明する。その後、基板Wが挿入されている計測対象スロットSLに隣接する空きスロットSLの空間へ、エンドエフェクタ114をアーム機構11によって水平に移動させてエンドエフェクタ114(センサ115)を挿入し、その基板Wの位置をセンサ115により計測する。計測が終了すると、アーム機構12のエンドエフェクタ124によって、計測対象スロットSLから基板Wを抜き取り、他のスロットSLへ基板Wを入れ替える。以降、計測と入れ替えとを反復することで、複数のスロットSLについて計測を行う。計測の対象とするスロットSLは、本実施形態では全スロットSLとするが、必ずしも全スロットSLである必要はなく、一部のスロットSLを代表として計測の対象とすることも可能である。以下、具体的に説明する。
【0066】
S2では、
図11の状態ST1に示すように、アーム機構12と昇降・旋回ユニット14によって基板収容器100に収容されている基板Wを一枚ずつ抜き出し、抜き出した基板Wを基板収容器41に一時的に保管する。ここでは、スロットSL14〜SL25に挿入されている基板Wを基板収容器41に移載する。その際、抜き出したスロットSLの番号と、挿入した基板収容器41のスロットの番号とを対応づけて管理しておくこともできる。
【0067】
この結果、
図11の状態ST2に示すように、基板収容器100は、スロットSL1〜SL13には基板Wが挿入され、スロットSL14〜SL25は空きスロットとなる。そして、スロットSL13の上側にエンドエフェクタ114が挿入可能となる。
【0068】
図9のS3では基板Wの位置を計測する(計測工程)。ここでは、まず、スロットSL13を計測対象スロットとする。昇降・旋回ユニット14によりセンサ115の位置をスロットSL13に対応させる。続いて、
図11の状態ST3に示すように、センサ115をアーム機構11によってX方向に水平に移動させ、スロットSL13に挿入されている基板Wの上面に対向させる。そして、上述した9点の計測位置Pについて距離計測を行う。スロットSL13に挿入されている基板Wの距離計測が終了すると、アーム機構11を収縮してセンサ115を基板収容器100から退避させる。
【0069】
次に
図9のS4へ進み、基板Wの入れ替えを行う(入替工程)。ここでは、スロットSL13からスロットSL25へ基板Wを搬送する。まず、昇降・旋回ユニット14によりエンドエフェクタ124の位置をスロットSL13に対応させる。アーム機構12を伸長してエンドエフェクタ124を基板収容器100内に進入させ、昇降・旋回ユニット14によりエンドエフェクタ124を上昇させて基板Wを持ち上げる。そして、アーム機構112を収縮して
図12の状態ST4に示すように、エンドエフェクタ124を後退させて、基板Wを一旦基板収容器100から抜き出す。
【0070】
続いて、基板Wがエンドエフェクタ124に保持されている状態で、昇降・旋回ユニット14によりエンドエフェクタ124の位置をスロットSL25に対応させる。続いてアーム機構12を伸長して
図12の状態ST5に示すようにエンドエフェクタ124をスロットSL25上に進入し、昇降・旋回ユニット14によりエンドエフェクタ124を降下させる。これにより基板WをスロットSL25に収容できる。
【0071】
図9のS5では、スロットSL1〜SL13について計測を完了したかを判定し、未計測のスロットがあればS3へ戻って同様の処理を繰り返す。スロットSL13の次には、スロットSL12が計測対象スロットとなる。
図12の状態ST6はスロットSL12に挿入されている基板WについてS3の計測を行っている状態を示している。計測が完了すると、スロットSL12に挿入されている基板WをスロットSL24に搬送することになる。
【0072】
同様の手順を繰り返し、スロットSL1の基板Wの計測が終了すると、その基板WはスロットSL13に挿入される。その結果、
図13の状態ST7に示すように、スロットSL13〜SL25には基板Wが挿入され、スロットSL1〜SL12は空きスロットとなる。
【0073】
スロットSL24やSL25に挿入されている基板Wについては、その上面にセンサ115を対向させようとすると本体部101の壁部にセンサ115が干渉する。そこで、センサ115の検出方向を切り替える。具体的には
図9のS6でエンドエフェクタ114を水平軸周りに回動させ、その上下面を反転する。これにより、基板Wの下面を計測面とすることが可能となる。こうして、計測対象スロットSLの、基板収容器100内における位置に応じて、センサ115の検出方向を上向き又は下向きに切り替えることで、センサ115と基板収容器100との干渉を回避できる。
【0074】
ここで、
図8で説明した基準器50による基準値は、基板Wの上面を計測面とした上面基準値であり、基板Wの下面を計測面とする場合の下面基準は設定されていない。そこで、
図9のS7で下面基準値を設定する。なお、下面基準値は後述するS11の判定処理までに設定されればどの段階で設定しても構わない。
【0075】
スロットSL13については、基板Wの上面を計測面とした距離計測が既に終了している。したがって、スロットSL13について、基板Wの下面を計測面として再度距離計測を行い、その計測結果と、上面の計測結果と、上面基準値と、から下面基準値を設定することができる。
【0076】
図13の状態ST8に示すように、スロットSL13に挿入されている基板Wの下面にセンサ115を対向させ、上面の場合と同様に9つの計測位置Pについて距離計測を行う。下面基準値は、例えば、以下の通り演算できる。所定の計測位置Pにおける上面基準値をh1とし、その上面の距離計測結果がh1+αであったとする。同じ位置の下面の距離計測結果をhzとすると、下面基準値h2は、h2=hz−α、と設定することができる。各計測位置Pについて同様に下面基準値を求め、更に、下面基準値と事前に設定した許容値とから正常範囲が規定される。その際、許容値は上面の場合の許容値と同じとしてもよい。こうして、下面用の基準器がなくても、下面基準値を設定でき、下面基準値を基準として、基板Wの高さ精度を判定できる。
【0077】
下面基準値設定のためのスロットSL13の基板Wの距離計測が終了すると、
図13の状態ST9に示すように、アーム機構12を駆動してエンドエフェクタ124によりスロットSL13に挿入されている基板Wを抜き出し、スロットSL1へ搬送する。
【0078】
次に、未計測のスロットSL14〜SL25の計測を行う。計測の手順は、スロットSL1〜SL13の場合と同様であり、
図9のS8で計測を行い、S9で基板Wの入れ替えを行い、S10でスロットSL14〜SL25の全ての計測が完了したかを判定して、全てが完了するまでS8とS9の処理を繰り返すものである。
【0079】
始めにスロットSL14が計測対象スロットとされる。
図14の状態ST10は、スロットSL14に挿入されている基板Wの下面にセンサ115を対向させ、上面の場合と同様に9つの計測位置Pについて距離計測を行っている態様を示している。スロットSL14について計測が終了すると、基板Wの入れ替えを行う。アーム機構12を駆動して
図14の状態ST11に示すようにエンドエフェクタ124によりスロットSL14に挿入されている基板Wを抜き出し、スロットSL2へ搬送する。
【0080】
次に、スロットSL15が計測対象スロットとされる。
図14の状態ST11は、スロットSL15に挿入されている基板Wの下面にセンサ115を対向させ、9つの計測位置Pについて距離計測を行っている態様を示している。スロットSL15について計測が終了すると、基板Wの入れ替えを行う。アーム機構12を駆動してエンドエフェクタ124によりスロットSL15に挿入されている基板Wを抜き出し、スロットSL3へ搬送する。以降、同様の手順により、スロットSL16〜SL25の計測を行う。全ての計測が完了すると、
図9のS11の判定処理を行う。
【0081】
図9のS11の判定処理では、S3及びS8の計測結果と基準値とを比較して、基板Wの高さ精度を判定する。具体的には、計測結果と基準値とのずれ量が許容値内か否かにより基板収容器100の良否を判定する。上面の距離計測結果は、上面基準値と比較され、下面の距離計測結果は下面基準値と比較されることはいうまでもない。判定の結果は、不図示の報知装置により音声や表示により報知してもよいし、ホストコンピュータに判定結果を送信するようにしてもよい。S12では復帰処理を行う。ここでは、基板収容器41に収容した基板Wを基板収容器100に戻す処理を行う。その際、スロットSLと基板Wとの対応関係が、検査前の対応関係と同じとなるようにしてもよい。
【0082】
以上により検査が終了する。検査対象であった基板収容器100の本体部101はそのドア部102が開閉装置30により装着されて閉鎖され、次工程等に搬送される。そして、次の検査対象となる基板収容器100が載置台20に載置されることになる。以上の通り、本実施形態ではFOUPのように背面が塞がれた基板収容器やスロット間のピッチが狭い基板収容器の検査が可能となる。
【0083】
なお、本例では、スロットSL13とスロットSL14との間で計測面を基板上面から基板下面に切り替えたが、計測面を切り替えるスロットSLはスロットSL13とSL14との間である必要はなく、適宜選択可能である。
【0084】
また、本例では、始めに計測面を基板上面としてスロットSL1〜SL13を計測対象とし、計測面を基板下面に切り替えて、スロットSL14〜SL25を計測対象としたが、逆でもよい。つまり、始めに計測面を基板下面としてスロットSL13〜SL25を計測対象とし、計測面を基板下面に切り替えて、スロットSL1〜SL12を計測対象としてもよい。
【0085】
また、S3及びS8の計測結果は、各スロットSLに挿入されている基板Wの位置情報(高さ情報)としても活用できる。例えば、計測結果を基板Wの位置情報としてホストコンピュータに送信して基板収容器100と対応づけて保存しておく。その後に基板Wを処理する際、基板収容器100から基板Wを搬出するロボットの取り出し位置の制御情報として、保存した位置情報を活用することができる。これにより、ロボットハンドと基板Wとが干渉する事態を回避することが可能となる。
【0086】
<センサ干渉ケースの場合の別例>
上述した例では、S4やS9の基板Wの入れ替えの際、抜き出した基板Wを基板収容器100の別のスロットSLに挿入したが、基板収容器41に挿入するようにしてもよい。
図15〜
図17はその一例を示す。
【0087】
本例においても、
図9のS2までの処理は同じであり、始めにスロットSL1〜SL13には基板Wが挿入され、スロットSL14〜SL25は空きスロットの状態とする。そして、スロットSL13が最初の計測対象スロットとなり、スロットSL13に挿入されている基板Wの上面を計測面として距離計測を行う。
【0088】
計測が終わると、アーム機構12を駆動してエンドエフェクタ124により
図15の状態ST21に示すようにスロットSL13から基板Wを抜き出すが、搬送先は、
図15の状態ST22に示すように基板収容器41とする。この結果、スロットSL1〜SL12には基板Wが挿入され、スロットSL13〜SL25は空きスロットの状態となる。
【0089】
次に、スロットSL12が計測対象スロットとなり、
図15の状態ST23に示すようにスロットSL12に挿入されている基板Wの上面を計測面として距離計測を行う。計測が終わると、アーム機構12を駆動してエンドエフェクタ124によりスロットSL13から基板Wを抜き出し、基板収容器41に搬送する。この結果、スロットSL1〜SL11には基板Wが挿入され、スロットSL12〜SL25は空きスロットの状態となる。
【0090】
以降、同様の手順を繰り返す。スロットSL1〜SL13の計測が終了すると、
図16の状態ST23に示すように、基板収容器100は一旦空になる。
【0091】
次に、
図16の状態ST24及び状態ST25に示すように、基板収容器41から基板収容器100へ基板Wを戻す。ここでは、スロットSL13〜SL25に基板Wを戻す。すると、
図17の状態ST26の状態に至る。この状態は
図13の状態ST7と同じ状態である。この後、S6及びS7と同じ処理を行う。つまり、エンドエフェクタ114を反転させて、
図17の状態ST27に示すように、スロットSL13に挿入されている基板Wの下面を計測面として再度距離計測を行い、下面基準値を設定する。
【0092】
下面基準値設定のためのスロットSL13の基板Wの距離計測が終了すると、アーム機構12を駆動してエンドエフェクタ124によりスロットSL13に挿入されている基板Wを抜き出す。このときも別のスロットSLに搬送せずに、
図17の状態ST28に示すように基板収容器41に、抜き出した基板Wを搬送する。
【0093】
その後、基板Wの下面を計測面として、スロットSL14〜SL25の計測を行う。その際、計測後の基板Wの搬送先は基板収容器41である。スロットSL14〜SL25の計測が完了すると、基板収容器100は再び
図16の状態ST23と同様に空になる。
図9のS11の判定が完了すると、続くS12で基板収容器41から基板収容器100へ基板Wを戻して検査が終了する。
【0094】
<センサ非干渉ケースの場合>
次に、
図10に収容例EX4として例示したセンサ非干渉ケースの場合について説明する。センサ非干渉ケースの場合、エンドエフェクタ114が挿入可能な空間は存在している。したがって、計測が終了すると、計測済みのスロットSLから基板Wを抜き出し、次の計測対象スロットに基板Wを順次挿入していくことになる。本例も、基本的な処理の流れは
図9に示したフローチャートと同様であり、S4やS9における基板Wの入れ替えの方法が異なる。よって、
図9のフローチャートと、
図18〜
図20の動作説明図とを参照しながら説明する。
【0095】
本例の場合、S2では、必要に応じて基板Wの配置調整を行う。最初の計測対象スロットSLに基板Wが挿入され、その上側にエンドエフェクタ114の配置空間が形成されればよい。基板収容器41への基板Wの搬送は不要である。ここでは、スロットSL1が最初の計測対象スロットである場合を想定する。
【0096】
図9のS3では基板Wの位置を計測する(計測工程)。ここでは、まず、スロットSL1を計測対象スロットとする。
図18の状態ST31に示すように、センサ115をアーム機構11によってX方向に水平に移動させ、スロットSL1に挿入されている基板Wの上面に対向させる。そして、上述した9点の計測位置Pについて距離計測を行う。スロットSL13に挿入されている基板Wの距離計測が終了すると、アーム機構11を収縮してセンサ115を基板収容器100から退避させる。
【0097】
次に
図9のS4へ進み、基板Wの入れ替えを行う(入替工程)。ここでは、
図18の状態ST32に示すようにスロットSL1から基板Wを抜き出し、状態ST33に示すように次の計測対象スロットであるスロットSL2へ基板Wを搬送する。以降、計測対象スロットをスロットSL2から順番にSL13まで切り替えて、距離計測と基板Wの入れ替えを行う(
図9のS5)。
【0098】
スロットSL13まで計測が完了すると、
図19の状態ST34に示すようにスロットSL13に基板Wが挿入された状態となる。そこで、センサ干渉ケースの場合と同様に、
図9のS6でエンドエフェクタ114を水平軸周りに回動させ、その上下面を反転し、基板Wの下面を計測面とすることを可能とする。更に、S7で下面基準値の設定を行う。すなわち、
図19の状態ST35に示すように、スロットSL13に挿入されている基板Wの下面を計測面として再度距離計測を行い、下面基準値を設定する。距離計測後、エンドエフェクタ124によりスロットSL13から基板Wを抜き出し、
図20の状態ST37に示すようにスロットSL14へ搬送する。
【0099】
次に、未計測のスロットSL14〜SL25について、
図9のS8〜S10の処理を行う。まず、スロットSL14を計測対象とする。
図20の状態ST38に示すようにスロットSL14に挿入されている基板Wの下面にセンサ115を対向させ、9つの計測位置Pについて距離計測を行う。スロットSL14について計測が終了すると、基板Wの入れ替えを行う。アーム機構12を駆動してエンドエフェクタ124によりスロットSL14に挿入されている基板Wを抜き出し、次の計測対象スロットであるスロットSL15へ搬送する。以降、同様の手順により、スロットSL15〜SL25の計測を行う。全ての計測が完了すると、
図9のS11の判定処理を行い、S12の復帰処理を行って検査が終了する。
【0100】
<第2実施形態>
図9のS2の枚数・配置調整処理では、様々な調整が可能である。例えば、
図10の収容例EX3のように、全スロットSLに基板Wが挿入された満杯の状態で基板収容器100が載置台20上に載置された場合、
図10の収容例EX4のように一枚だけ基板Wを残して、残りの基板Wを基板収容器41に搬送してもよい。この場合、上述したセンサ非干渉ケースの場合の処理が可能となる。
【0101】
また、基板収容器41に、事前に基板Wを収容しておき、基板収容器100に搬送してもよい。例えば、空の基板収容器100が載置台20上に載置された場合、基板収容器41に収容しておいた基板Wを、基板収容器100に搬送することで、
図11の状態ST2に示した、センサ干渉ケースの初期状態とする。その後、センサ干渉ケースの場合の処理が可能となる。また、空の基板収容器100が載置台20上に載置された場合、基板収容器41に収容しておいた基板Wを、基板収容器100のスロットSL1に搬送することで、センサ非干渉ケースの場合の処理が可能となる。
【0102】
<第3実施形態>
第1実施形態では、エンドエフェクタ114の片面にセンサ115を配置したが、両面にセンサ115を配置してもよい。この構成の場合、エンドエフェクタ114を反転する機構がなくても、基板Wの計測面を上面とする場合と下面とする場合に対応できる。また、エンドエフェクタ114の上側に位置する基板Wと下側に位置する基板Wとを同時に計測することも可能となる。
【0103】
また、センサ115による計測位置をエンドエフェクタ114のX方向の移動により変更したが、更に、Y方向にエンドエフェクタ114を移動させて計測位置を変更するようにしてもよい。これにより、より少ない数のセンサ115によって、より多くの計測位置を設定することが可能となる。
【0104】
<第4実施形態>
第1実施形態では、基準器50が基準上面を形成するものとしたが、基準上面に加えて基準下面を形成する基準器を用いてもよい。
図21はその一例を示す。
【0105】
同図の基準器60は、底板部61と、天板部62と、これらを接続する支柱部63と、を備えて、全体として略C字型をなしている。底板部61の上面61aは基準上面を形成している。基準器60が載置台20に載置された状態で、上面61aは、正常な基板収容器100の所定のスロットSL(ここではスロットSL1)に挿入された基板Wの上面と、Z方向の位置が一致する。天板部62の下面62aは基準下面を形成している。基準器60が載置台20に載置された状態で、下面62aは、正常な基板収容器100の所定のスロットSL(ここではスロットSL25)に挿入された基板Wの下面と、Z方向の位置が一致する。
【0106】
図21において実線で示すように、上面61aに対向するようにセンサ115をアーム機構11によって移動させる。センサ115のZ方向の位置は、スロットSL1に挿入された基板Wを計測するときの位置に設定される。上面61aとセンサ115の対向位置を移動させて計測位置を変えながら、センサ115から上面61aまでの上下方向の距離を計測することで、各計測位置Pの上面基準値を設定できる。
【0107】
図21において破線で示すように、下面62aに対向するようにセンサ115をアーム機構11によって移動させる。センサ115のZ方向の位置は、スロットSL25に挿入された基板Wを計測するときの位置に設定される。下面62aとセンサ115の対向位置を移動させて計測位置を変えながら、センサ115から下面62aまでの上下方向の距離を計測することで、各計測位置Pの下面基準値を設定できる。
【0108】
本実施形態では、基準器60により上面基準値及び下面基準値の双方の設定が可能となり、
図9のS7で示した基準値の設定処理が不要となる。
【0109】
<第5実施形態>
第1実施形態では、基板WのZ方向のずれ量により、基板収容器100の良否判定を行ったが、基板Wの水平方向のずれ量により、基板収容器100の良否判定を行ってもよい。本実施形態では、センサ115によって、計測対象スロットSLに挿入された基板Wの周縁の水平方向の位置を計測する。基板Wが円弧形状部分を有している場合、センサ115が円弧形状部分を通過した各位置を計測することで、円弧形状部分の中心位置を演算できる。そして、演算した中心位置(中心位置CTという)と、正常な基板収容器100に挿入されている基板の中心位置(基準中心位置CT0という)とのずれ量により、基板収容器100の良否判定を行う。なお、本実施形態の場合、基板Wが円形であり、全周が円弧形状であるが、部分的に円弧形状を有している基板であれば、円弧形状部分がセンサ115の検出範囲内に位置していることを前提として本実施形態は適用可能である。
【0110】
図22は、本実施形態の検査方法の説明図である。エンドエフェクタ114は、第1実施形態と同様の構成であるが、3つのセンサ115を区別する場合、同図の符号にしたがって、センサ115R、115C、115Lと表記する。
【0111】
3つのセンサ115はエンドエフェクタ114の移動方向と直交する方向に離間して配置されている。3つのセンサ115が基板Wの円弧形状部分を通過した各位置を計測すると、基板Wの中心位置CTを演算できる。
【0112】
同図の例では、センサ115Rは、基準位置X0からX方向にLR移動した位置で、基板Wの周縁PRを検出している。距離の計測結果が急に短くなった位置を周縁PRとみなすことができる。センサ115Cは、基準位置X0からX方向にLC移動した位置で、基板Wの周縁PCを検出している。センサ115Lは、基準位置X0かららX方向にLL移動した位置で、基板Wの周縁PLを検出している。
【0113】
3つのセンサ115の基準位置X0におけるX−Y平面上の座標は既知であるから、X−Y平面上での周縁PR、PC及びPLの座標を演算できる。また、基板Wの半径も既知である。したがって、周縁PR、PC及びPLの座標を中心として、基板Wの半径を有する仮想円を描いたとき、理論上、3つの仮想円の交点が基板Wの中心位置CTとなる。
【0114】
なお、基板Wの中心位置CTを演算するためには、必ずしも、3か所の周縁の位置が必要なわけではなく、2か所の周縁の位置(例えば、PRとPC等)でもよい。この場合、2つの仮想円の交点が2つとなり、どちらかが基板Wの中心位置となる。基板収容器100の変形量が想定内の場合、基板Wの中心位置の座標は、ある程度の範囲内に収まる。したがって、2つの交点のうち、この範囲内に属する方を中心位置とみなすことも可能である。
【0115】
基準中心位置は、例えば、基準器を用いて事前に設定することができる。基準器は、例えば、基準器50のように、サンプル基板Wsを用いてその円弧形状の周縁を基準周縁として利用することができる。この場合、サンプル基板Wsが治具51に対して水平方向に適切に位置決めされている必要がある。そして、サンプル基板Wsを
図22の例と同様の方法で計測し、中心位置の演算結果を基準中心位置とすることができる。また、基準器は、例えば、基板Wと同形の円弧形状部分を有する治具であってもよい。この場合も、形状部分を基準周縁として、
図22の例と同様の方法で計測し、中心位置の演算結果を基準中心位置とすることができる。
【0116】
本実施形態における処理の流れも
図9に示したフローチャートと同様である。S3やS8の計測工程では、
図22に示した方法で、3つのセンサ115が基板Wの周縁を通過した各位置が計測される。S4及びS9の基板Wの入れ替えやS6のエンドエフェクタ114の反転は第1実施形態と同様であるが、S7の基準値の設定は不要である。
【0117】
S11では、基準中心位置CT0と、演算した中心位置CTとのずれ量を演算して良否判定を行う。
図23の演算例EX11はその一例を示す。同図の例は、あるスロットSTnに挿入された基板Wの中心位置CTnと、基準中心位置CT0とのX方向のずれ量dxと、Y方向のずれ量dyとを例示している。ずれ量の許容値は、例えば、X方向とY方向とに区別して設定され、ずれ量dx、dyが許容値を超えたか否かを基礎として基板収容器100の良否判定を行うことができる。なお、ずれ量は中心位置CTnと基準中心位置CT0との最短距離とし、許容値も方向を区別せずに設定してもよい。
【0118】
以上により、基板Wの水平方向のずれ量により、基板収容器100の良否判定を行うことが可能である。本実施形態においてもFOUPのように背面が塞がれた基板収容器やスロット間のピッチが狭い基板収容器の検査が可能となる。
【0119】
なお、本実施形態の場合、センサ115は基板Wの周縁を検出できればよいので、距離を計測可能な必要はない。したがって、距離センサ以外の各種センサも採用可能である。
【0120】
<切り欠き対策>
ウエハのような円形の基板には、その向きを示すために、基板周縁に切り欠きが形成されている場合がある。
図23の計測例EX12に示すように、一部のセンサ115(ここではセンサ115L)の検出位置上に切り欠きNが存在している場合、切り欠きNの端縁を基板Wの周縁PLとして検出してしまう場合がある。これは中心位置CTの演算に誤差を生じさせる要因となる。
【0121】
その対策としては、以下のものが挙げられる。すなわち、すでに述べたとおり、基板Wの中心位置CTを演算するためには、必ずしも、3か所の周縁の位置が必要なわけではなく、2か所の周縁の位置でもよい。周縁PR、PC及びPLの座標を中心とした3つの仮想円のうち、2つの仮想円の交点が2つあることは全て述べたとおりである。仮想円の組み合わせは3通りあるので、2つの仮想円の交点は6通りある。
【0122】
3つのセンサ115間のY方向の距離W1、W2が、切り欠きNの幅NWよりも長いことを前提とすると、切り欠きNの端縁を検出するセンサ115は最大で1つである。そこで、6通りの交点のうち、交点間の距離が短い上位2つの交点から中心位置CTを決定すれば、切り欠きNの端縁を検出した検出結果を排除できることになる。
【0123】
また、別の対策として、センサ115を4つ以上設けることが挙げられる。
図23の配置例EX13はその一例を示す。同図の例では、センサ115が4つ設けられており、第1センサ群として、センサ115AR及びセンサ115ALがY方向に離間して設けられ(以下、A組のセンサ115ともいう)、第2センサ群として、センサ115BR及びセンサ115BLがY方向に離間して設けられている(以下、B組のセンサ115ともいう)。
【0124】
センサ115ARとセンサ115BRのY方向の距離W3は、切り欠きNの幅NWよりも長く、センサ115ALとセンサ115BLのY方向の距離W4も、切り欠きNの幅NWよりも長くなっている。したがって、A組のセンサ115の検出位置上に切り欠きNが存在していた場合、B組のセンサ115の検出位置上には切欠きNは存在しないことになる。
【0125】
A組のセンサ115の検出結果から基板Wの中心位置CTAを演算し、また、B組のセンサ115の検出結果から基板Wの中心位置CTBを演算する。基準中心位置CT0と中心位置CTAとのずれ量と、基準中心位置CT0と中心位置CTBとのずれ量をそれぞれ算出し、いずれか一方のずれ量が許容値内であれば基板収容器100は正常と判定し、双方のずれ量が許容値外であれば基板収容器100は異常と判定することができる。
【0126】
<第6実施形態>
第1〜第5実施形態とは適宜組み合わせることが可能である。例えば、第1実施形態と第5実施形態とを組み合わせて、基板WのZ方向のずれ量と、基板Wの水平方向のずれ量との双方により、基板収容器100の良否判定を行ってもよい。
【0127】
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。