(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記閉塞体操作部および前記ロック部材操作部の両者は、親指と、親指以外の指とを相対的に接近させる方向に移動させる動作によって、ロック部材によるロックが解除され、かつ、前記閉塞体が前記閉塞位置から前記開放位置に移動するように構成されている
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の安全フック。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、実施形態における安全フックについて、詳しく説明する。なお、本明細書において、同種の機能を有する部材には、同一または類似の符号が付されている。そして、同一または類似の符号の付された部材について、繰り返しとなる説明が省略される場合がある。
【0014】
(第1の実施形態)
図1(A)及び(B)を参照して、第1の実施形態について説明する。
図1(A)は、第1の実施形態における安全フックの一例を模式的に示す側面図である。
図1(B)は、第1の実施形態における安全フックを模式的に示す上面図である。安全フック1−1は、少なくとも、フック部10と、閉塞体20と、第1付勢部材30と、を備える。
【0015】
フック部10は、鉤形状部16、換言すれば、被掛止部材を受け入れる部分を備える。鉤形状部16の形状は、被掛止部材が挿通される空間と、当該空間に連通する入口があれば、どのような形状であってもよい。鉤形状部16の形状は、例えば、C字形状、U字形状等である。鉤形状部16は、その内側に、被掛止部材を受け入れる空間4を規定する。なお、被掛止部材は、棒状体、管体、索体、ロープ、ワイヤー、金具等である。
【0016】
また、フック部10は、フック部基部12と、フック部先端部14とを備える。フック部基部12には、例えば、落下防止用ロープ等が掛止される。
図1(A)に記載の例では、フック部基部12に、落下防止用ロープ等の紐状部材が掛止される貫通穴12aが設けられている。フック部基部12の先端には、鉤形状部16の基端が設けられている。
図1(A)に記載の例では、フック部基部12と鉤形状部16とは一体に成形されている。鉤形状部16の先端には、フック部先端部14が設けられている。フック部先端部14の内側面14a、換言すれば、空間4に面する面は、後述の第1アーム部22を受け止めるストッパ部として機能する。なお、本発明の安全フックは、落下防止用以外、例えば、電線を引っ張る装置である掴線器と組み合わせて用いたり、ウィンチに巻き取るロープの先端に設けるフックとして用いることもできる。他の装置と組み合す場合は、貫通穴12aを介して他の装置とチェーンやワイヤーで連結すればよい。また、本発明の安全フックをウィンチに巻き取るロープの先端に設ける場合は、ロープの先端を貫通穴12aに取付ければよい。
【0017】
フック部10、より具体的には、フック部基部12には、第1軸3が配置されている。換言すれば、第1軸3は、フック部基部12を通過するように配置された軸である。第1軸3は、閉塞体20の揺動中心を規定する軸であって、後述の閉塞体基部21を通過するように配置された軸でもある。第1軸3の延びる方向は、閉塞体20が揺動する面に垂直な方向である。
【0018】
閉塞体20は、第1軸3のまわりに揺動可能なように、フック部10によって支持されている。閉塞体20は、閉塞体基部21と、第1アーム部22と、第2アーム部24とを備える。
【0019】
閉塞体基部21は、フック部10によって支持される部分である。閉塞体基部21は、第1軸3に沿って配置される軸ピンを介して、フック部10に支持されてもよい。軸ピンは、フック部10および閉塞体20と別体であってもよい。例えば、フック部10および閉塞体20のそれぞれに、軸ピンを受け入れる貫通穴が設けられていてもよい。代替的に、軸ピンは、フック部10および閉塞体20の一方と一体であってもよい。
【0020】
第1アーム部22は、閉塞体基部21から延び、フック部10の入口5を開閉可能な部分である。なお、入口5は、鉤形状部16の内側の空間4(鉤形状部16の内側面16aよりも内側の空間)と、鉤形状部16の外側との境界である。
図1(A)に記載の例では、入口5は、フック部先端部14と、第1軸3との間に位置する開口部分である。閉塞体20が、
図1(A)に示される閉塞位置にある時、第1アーム部22の先端部22aは、フック部先端部14の内側面14aに接触する。閉塞体基部21から先端部22aに向かう方向を第1方向と定義するとき、第1アーム部22は、第1方向に沿って延びている。なお、閉塞体20が、開放位置にある時には、第1アーム部22の先端部22aは、鉤形状部16の内側領域(すなわち、空間4)に入り、入口5を開放する。
【0021】
第2アーム部24は、閉塞体基部21から延び、閉塞体操作部26を備える部分である。第2アーム部24は、第1アーム部22が延びる第1方向とは異なる方向に延びる。すなわち、第2アーム部24は、第1アーム部22と第2アーム部24との間に閉塞体基部21が配置されるように、閉塞体基部21から延びている。
図1(A)に記載の例では、第2アーム部24は、第2アーム部基部24aと、屈曲部24bと、第2アーム部先端部24cとを備えている。
図1(A)に記載の例では、閉塞体基部21(より具体的には、第1軸3)から第1アーム部22が延びる方向である第1方向と、閉塞体基部21(より具体的には、第1軸3)から第2アーム部基部24aが延びる方向である第2方向との間のなす角度は、略90度であるが、当該角度は、60度以上120度以下の角度であってもよい。
【0022】
閉塞体操作部26は、第2アーム部24に設けられている。より具体的には、閉塞体操作部26は、第2アーム部先端部24cに設けられている。閉塞体操作部26は、フック部10の外側、より具体的には、鉤形状部16の外側に配置されている。
図1(A)に記載の例では、閉塞体操作部26は、フック部10に対して、入口5とは反対側に配置されている。閉塞体操作部26は、閉塞体20を閉塞位置から開放位置に移動させるための部分である。
図1(A)に記載の例では、閉塞体操作部26を、閉塞体20の閉塞位置に対応するデフォルト位置から、閉塞体操作部26がフック部基部12に近づく方向に押圧することにより、閉塞体20が、閉塞位置から開放位置に移動する。すなわち、第1アーム部22が、空間4内に移動する。なお、閉塞体20が、閉塞位置から開放位置に移動する際に、閉塞体操作部26は、空間4内に入り込むことはない。
【0023】
図1(A)及び(B)に記載の例では、作業者は、フック部基部12を片方の手の掌で支持した状態で、当該片方の手の指(例えば、親指)によって閉塞体操作部26の操作を行うことが可能である。すなわち、作業者は、極めて容易に、閉塞体20の開放動作を実行可能である。
【0024】
第1付勢部材30は、閉塞体20を開放位置から閉塞位置に向けて付勢する部材である。第1付勢部材30の一端は、フック部10に接触し、第1付勢部材30の他端は、閉塞体20に接触している。
図1(A)に記載の例では、第1付勢部材30は、ねじりコイルばねを含む。ねじりコイルばねの一端は、フック部基部12に接触し、ねじりコイルばねの他端は、第1アーム部22(より具体的には、第1アーム部22の背面、すなわち、空間4に面する面)に接触している。第1付勢部材30が配置されることにより、フック部10の入口5が、意図せずして開放されることが抑制される。その結果、安全性が向上する。
【0025】
第1の実施形態では、閉塞体操作部26が、フック部10の外側に配置されている。このため、閉塞体操作部26を操作するに際して、フック部の先端部14と、閉塞体20の先端部22aとの間に、手袋または指が挟まれることがない。
【0026】
なお、
図1(A)に記載の例では、閉塞体操作部26の位置がフック部基部12に近づくように、第2アーム部24に屈曲部24bが設けられている。このため、作業者による閉塞体20の開放動作がより一層容易となる。また、
図1(A)に記載の例では、閉塞体操作部26に操作面26aが設けられている。そして、操作面26aは、フック部基部12の長手方向中心軸から離れていく方向を向いている。換言すれば、当該操作面26aと、フック部基部12の長手方向との間のなす角度は、90度より小さい角度(例えば、30度以上80度以下の角度)である。このため、閉塞体操作部26を、フック部基部12に近づくように操作することが、極めて容易である。更に、作業者はフック部10の外側に配置されている操作面26aを押すことで閉塞体20の開放動作をできることから、閉塞体20を回動する際に、閉塞体20とフック部10の間に手袋または指が挟まれることがない。
【0027】
また、
図1に記載の例では、第1軸3の延びる方向から見たとき、閉塞体20が閉塞位置にある時であっても、開放位置にある時であっても、第2アーム部24が、空間4とオーバーラップしていない。このため、空間4に配置される被掛止部材によって、第2アーム部24に不要な力が作用することが抑制される。第2アーム部24が、空間4とオーバーラップしないようにするためには、第1軸3を形成する位置と、第1アーム部22及び第2アーム部24の角度を調整すればよい。
【0028】
閉塞体20は、フック部10を挟むように2枚の板部で閉塞体基部21、第1アーム部22、第2アーム部24を形成し、第1アーム部22を連結板22bで連結し、第2アーム部24も連結板で連結すればよい。
図1(A)に記載の例では、第2アーム部24の連結板は操作面26aとしている。なお、閉塞体20は1枚の板部で形成してもよい。その場合は、必要に応じて、第1アーム部22を略L字状に形成し、フック部先端部14の内側面14aに当接する先端部22aの幅を広くしてもよい。また、第2アーム部先端部24cも、必要に応じて略L字状にすることで操作面26aを形成してもよい。
【0029】
(第2の実施形態)
図2(A)および
図2(B)を参照して、第2の実施形態について説明する。
図2(A)および
図2(B)は、第2の実施形態における安全フックの一例を模式的に示す側面図である。なお、
図2(A)は、閉塞体が閉塞位置にある状態を示し、
図2(B)は、閉塞体が開放位置にある状態を示す。
【0030】
第2の実施形態における安全フック1−2は、ロック部材40を備える点、閉塞体20に、ロック部材40と係合可能な第1係合部材19が設けられている点、および、フック部10に、ロック部材40を支持するための機構が設けられている点で、第1の実施形態における安全フック1−1とは異なる。その他の点では、第2の実施形態は、第1の実施形態と同様である。第2の実施形態における安全フック1−2の各構成要素に関し、第1の実施形態において既に説明された構成要素に対応する構成要素についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0031】
ロック部材40は、閉塞体20を閉塞位置に固定する部材である。ロック部材40は、当該ロック部材40を操作するためのロック部材操作部46を備える。ロック部材操作部46は、フック部10に対して、閉塞体操作部26と同じ側に配置されている。
【0032】
ロック部材40は、第2軸4のまわりに揺動可能なように、フック部10によって支持されている。ロック部材40は、ロック部材基部41と、ロック部材第1アーム部42と、ロック部材第2アーム部44とを備える。
【0033】
ロック部材基部41は、フック部10によって支持される部分である。ロック部材基部41は、第2軸4に沿って配置される軸ピンを介して、フック部10に支持されてもよい。軸ピンは、フック部10およびロック部材40と別体であってもよい。例えば、フック部10およびロック部材40のそれぞれに、軸ピンを受け入れる貫通穴が設けられていてもよい。代替的に、軸ピンは、フック部10およびロック部材40の一方と一体であってもよい。
【0034】
第2軸4は、ロック部材基部41およびフック部基部12を通過するように配置された軸である。第2軸4は、ロック部材40の揺動中心を規定する軸である。第2軸4の延びる方向は、ロック部材40が揺動する面に垂直な方向である。
【0035】
ロック部材第1アーム部42は、ロック部材基部41から延び、閉塞体20の第1係合部材19と係合する第2係合部材49(
図2(B)を参照。)を備える部分である。
図2(A)に記載の例では、第1係合部材19は、第2アーム部24に配置されたピンであり、第2係合部材49は、ロック部材第1アーム部42に設けられた凹部である。代替的に、第1係合部材19が凹部または凸部であり、第2係合部材49が、第1係合部材19の凹部または凸部に係合する凸部または凹部であってもよい。第1係合部材19と第2係合部材49とが、互いに係合している時、閉塞体10は、ロック部材40によって、閉塞位置に固定されている。また、第1係合部材19と第2係合部材49とが、互いに係合していない時、閉塞体10の閉塞体操作部26が操作されることにより、閉塞体20は、フック部10の入口5を開放することが可能である。
【0036】
ロック部材第2アーム部44は、ロック部材基部41から延び、ロック部材操作部46を備える部分である。ロック部材第2アーム部44は、ロック部材第1アーム部42が延びる方向とは異なる方向に延びる。すなわち、ロック部材第2アーム部44は、ロック部材第1アーム部42とロック部材第2アーム部44との間にロック部材基部41が配置されるように、ロック部材基部41から延びている。
図2(A)に記載の例では、ロック部材基部41(より具体的には、第2軸4)からロック部材第1アーム部42が延びる方向である第3方向と、ロック部材基部41(より具体的には、第2軸4)からロック部材第2アーム部44が延びる方向である第4方向との間のなす角度は、30度以上90度以下の角度である。
【0037】
ロック部材操作部46は、ロック部材第2アーム部44に設けられている。ロック部材操作部46は、フック部10の外側、より具体的には、鉤形状部16の外側(鉤形状部16の外側面16bよりも外側)に配置されている。
図2(A)に記載の例では、ロック部材操作部46は、閉塞体操作部26よりも、フック部基部12から遠い位置に配置されている。ロック部材操作部46は、ロック部材40をロック位置(第1係合部材19と第2係合部材49とが互いに係合した状態に対応する位置)からロック開放位置(第1係合部材19と第2係合部材49との係合が解除された状態に対応する位置)に移動させるための部分である。
図2(A)および
図2(B)に記載の例では、ロック部材操作部46を、ロック位置に対応するデフォルト位置(
図2(A)を参照)から、ロック部材操作部46がフック部基部12に近づく方向に押圧することにより、ロック部材40が、ロック位置からロック開放位置(
図2(B)を参照)に移動する。
【0038】
図2(A)および
図2(B)に記載の例では、作業者は、フック部基部12を片方の手の掌で支持した状態で、当該片方の手の指(例えば、親指)によってロック部材操作部46の操作を行うことが可能である。また、
図2(A)および
図2(B)に記載の例では、片方の手の指で、ロック部材操作部46を第5方向(フック部基部12に向かう方向)に移動させることにより、ロック部材40によるロックを解除する。そして、引き続き、ロック部材操作部46を第5方向(フック部基部12に向かう方向)に移動させることにより、閉塞体操作部26を、ロック部材操作部46を介して押圧し、閉塞体20を開放位置に移動させることが可能となる。すなわち、
図2(A)および
図2(B)に記載の例では、片手の掌の位置を変えることなく、ロック部材操作部46および閉塞体操作部26の両者を操作可能である。また、
図2(A)および
図2(B)に記載の例では、閉塞体操作部26を、ロック部材操作部46を介して操作可能である。すなわち、ロック部材操作部46を操作するだけで、ロック部材40のロック開放動作と、閉塞体20の開放動作とを実現可能である。また、
図2(A)および
図2(B)に記載の例では、作業者は、片手の掌でフック部基部12を支持した状態で、当該片手の親指と、親指以外の指とを相対的に接近させる方向に移動させる動作によって、ロック部材操作部46と閉塞体操作部26の両者を操作することが可能である。以上のとおり、
図2(A)および
図2(B)に記載の例では、作業者は、極めて容易に、ロック部材40のロック開放動作、および、閉塞体20の開放動作を実行可能である。
【0039】
第2の実施形態において、ロック部材40をロック開放位置からロック位置に向けて付勢する第2付勢部材(なお、
図2(A)および
図2(B)には、図面の複雑化を避けるために第2付勢部材は図示されていない。)が設けられてもよい。第2付勢部材の一端は、フック部10に接触し、第2付勢部材の他端は、ロック部材40に接触する。第2付勢部材は、ねじりコイルばねであってもよい。第2付勢部材が配置されることにより、ロック部材40によるロックが、意図せずして解除されることが抑制される。その結果、安全性が向上する。なお、第2付勢部材の付勢力は、第1付勢部材30の付勢力よりも小さくてもよい。第2付勢部材の付勢力を、第1付勢部材30の付勢力よりも小さくすることにより、作業者は、ロック部材40のロック開放動作の完了と、閉塞体20の開放動作の開始とを、指に伝わる感触によって把握することが可能である。なお、第2付勢部材の付勢力は、ロック部材操作部46の押圧をやめた時、ロック開放位置にあるロック部材40が、ロック位置に自動的に戻るような強さに設定されていることが好ましい。当該設定により、安全性が向上する。
【0040】
第2の実施形態では、ロック部材40を操作するロック部材操作部46が、フック部10に対して、閉塞体操作部26と同じ側に配置されている。このため、1つの指で、ロック部材操作部46と、閉塞体操作部26とを操作することが可能である。
【0041】
なお、
図2(A)に記載の例では、ロック部材操作部46に操作面46aが設けられている。そして、操作面46aは、フック部基部12の長手方向中心軸から離れていく方向を向いている。換言すれば、当該操作面46aと、フック部基部12の長手方向との間のなす角度は、90度より小さい角度(例えば、30度以上80度以下の角度)である。このため、ロック部材操作部46を、フック部基部12に近づくように操作することが、極めて容易である。
【0042】
閉塞体20が、フック部10を挟むように2枚の板部で形成されている場合は、ロック部材40も一部が閉塞体20を挟むように2枚の板部で形成し、ロック部材第2アーム44を連結板で連結すればよい。
図2(A)及び
図2(B)に記載の例では、連結板は操作面46aとしている。又は、閉塞体20の一方の板部側にロック部材40を形成してもよい。その場合、ロック部材第2アーム44の先端部分を略L字状にすることで操作面46aを形成してもよい。閉塞体20が1枚の板部で形成されている場合は、ロック部材40を閉塞体20と同じ側に形成すればよい。
【0043】
ところで、安全フックをワイヤー等の変形可能な被掛止部材に掛止した場合、被掛止部材が捩じれることで、閉塞体20の第1アーム部22を押し上げることがある。つまり、閉塞体操作部26を操作しなくても、被掛止部材自体の捩じれにより、被掛止部材が安全フックから外れてしまう可能性がある。第2の実施形態における安全フック1−2は、ロック部材40を備えている。したがって、被掛止部材が捩じれた場合でも安全フック1−2から外れることは無く、安全性が向上する。
【0044】
(第3の実施形態)
図3(A)および
図3(B)を参照して、第3の実施形態について説明する。
図3(A)および
図3(B)は、第3の実施形態における安全フックの一例を模式的に示す側面図である。なお、
図3(A)は、閉塞体が閉塞位置にある状態を示し、
図3(B)は、閉塞体が開放位置にある状態を示す。
【0045】
第3の実施形態における安全フック1−3は、ロック部材40−3を備える点、閉塞体20に、ロック部材40−3と係合可能な第1係合部材19が設けられている点、および、フック部10に、ロック部材40−3を支持するための機構が設けられている点で、第1の実施形態における安全フック1−1とは異なる。その他の点では、第3の実施形態は、第1の実施形態と同様である。また、第3の実施形態における安全フック1−3は、ロック部材40−3の形状および配置が、第2の実施形態における安全フックのロック部材40の形状および配置とは異なっている。第3の実施形態における安全フック1−3の各構成要素に関し、第1の実施形態または第2の実施形態において既に説明された構成要素に対応する構成要素についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0046】
ロック部材40−3は、閉塞体20を閉塞位置に固定する部材である。ロック部材40−3は、当該ロック部材40−3を操作するためのロック部材操作部46−3を備える。ロック部材操作部46−3は、フック部10に対して、閉塞体操作部26と反対側に配置されている。
【0047】
ロック部材40−3は、第2軸4のまわりに揺動可能なように、フック部10によって支持されている。ロック部材40−3は、ロック部材基部41−3と、ロック部材第1アーム部42−3と、ロック部材第2アーム部44−3とを備える。
【0048】
ロック部材基部41−3は、フック部10によって支持される部分である。ロック部材基部41−3は、第2軸4に沿って配置される軸ピンを介して、フック部10に支持されてもよい。軸ピンは、フック部10およびロック部材40−3と別体であってもよい。例えば、フック部10およびロック部材40−3のそれぞれに、軸ピンを受け入れる貫通穴が設けられていてもよい。代替的に、軸ピンは、フック部10およびロック部材40−3の一方と一体であってもよい。
【0049】
第2軸4は、ロック部材基部41−3およびフック部基部12を通過するように配置された軸である。第2軸4は、ロック部材40−3の揺動中心を規定する軸である。第2軸4の延びる方向は、ロック部材40−3が揺動する面に垂直な方向である。
【0050】
ロック部材第1アーム部42−3は、ロック部材基部41−3から延び、閉塞体20の第1係合部材19と係合する第2係合部材を備える部分である。
図3(A)に記載の例では、第1係合部材19は、第2アーム部24に配置されたピンであり、第2係合部材は、ロック部材第1アーム部42−3に設けられた凹部である。代替的に、第1係合部材19が凹部または凸部であり、第2係合部材が、第1係合部材10の凹部または凸部に係合する凸部または凹部であってもよい。第1係合部材19と第2係合部材とが、互いに係合している時、閉塞体10は、ロック部材40−3によって、閉塞位置に固定されている。また、第1係合部材19と第2係合部材とが、互いに係合していない時、閉塞体10の閉塞体操作部26が操作されることにより、閉塞体20は、フック部10の入口5を開放することが可能である。
【0051】
ロック部材第2アーム部44−3は、ロック部材基部41−3から延び、ロック部材操作部46−3を備える部分である。ロック部材第2アーム部44−3は、ロック部材第1アーム部42−3が延びる方向とは異なる方向に延びる。すなわち、ロック部材第2アーム部44−3は、ロック部材第1アーム部42−3とロック部材第2アーム部44−3との間にロック部材基部41−3が配置されるように、ロック部材基部41−3から延びている。
図3(A)に記載の例では、ロック部材基部41−3(より具体的には、第2軸4)からロック部材第1アーム部42−3が延びる方向である第3方向と、ロック部材基部41−3(より具体的には、第2軸4)からロック部材第2アーム部44−3が延びる方向である第4方向との間のなす角度は、90度以上180度以下である。
【0052】
ロック部材操作部46−3は、ロック部材第2アーム部44−3に設けられている。ロック部材操作部46−3は、フック部10の外側、より具体的には、フック部基部12の外側(フック部基部12の外側面12bよりも外側)に配置されている。ロック部材操作部46−3は、ロック部材40−3をロック位置(第1係合部材19と第2係合部材とが互いに係合した状態に対応する位置)からロック開放位置(第1係合部材19と第2係合部材との係合が解除された状態に対応する位置)に移動させるための部分である。
図3(A)および
図3(B)に記載の例では、ロック部材操作部46−3を、ロック位置に対応するデフォルト位置(
図3(A)を参照)から、ロック部材操作部46−3がフック部基部12に近づく方向に押圧することにより、ロック部材40−3が、ロック位置からロック開放位置(
図3(B)を参照)に移動する。
【0053】
図3(A)および
図3(B)に記載の例では、作業者は、フック部基部12を片方の手の掌で支持した状態で、当該片方の手の指(例えば、人差し指、中指、または、薬指)によってロック部材操作部46−3の操作を行うことが可能である。また、
図3(A)および
図3(B)に記載の例では、片方の手の指で、ロック部材操作部46−3を第6方向(ロック部材操作部46−3のデフォルト位置からフック部基部12に向かう方向)に移動させることにより、ロック部材40−3によるロックを解除する。そして、引き続き、フック部基部12を片方の手の掌で支持した状態で、親指等の他の指で、閉塞体操作部26を第5方向(閉塞体操作部26のデフォルト位置からフック部基部12に向かう方向)に移動させることにより、閉塞体20を開放位置に移動させることが可能である。すなわち、
図3(A)および
図3(B)に記載の例では、片手の掌の位置を変えることなく、ロック部材操作部46−3および閉塞体操作部26の両者を操作可能である。また、
図3(A)および
図3(B)に記載の例では、作業者は、片手の掌でフック部基部12を支持した状態で、当該片手の親指と、親指以外の指とを相対的に接近させる方向に移動させる動作によって、ロック部材操作部46と閉塞体操作部26の両者を操作することが可能である。以上のとおり、
図3(A)および
図3(B)に記載の例では、作業者は、極めて容易に、ロック部材40−3のロック開放動作、および、閉塞体20の開放動作を実行可能である。
【0054】
第3の実施形態において、ロック部材40−3をロック開放位置からロック位置に向けて付勢する第2付勢部材50が設けられてもよい。第2付勢部材50の一端は、フック部10に接触し、第2付勢部材50の他端は、ロック部材40−3に接触する。
図3(A)および
図3(B)に記載の例では、第2付勢部材50は、ねじりコイルばねを含む。ねじりコイルばねの一端は、フック部基部12に接触し、ねじりコイルばねの他端は、ロック部材第2アーム部44−3(より具体的には、ロック部材操作部46−3の背面、すなわち、フック部基部12に面する面)に接触している。第2付勢部材50が配置されることにより、ロック部材40−3によるロックが、意図せずして解除されることが抑制される。その結果、安全性が向上する。なお、第2付勢部材50の付勢力は、第1付勢部材30の付勢力よりも小さくてもよい。第2付勢部材の付勢力を、第1付勢部材30の付勢力よりも小さくすることにより、作業者が、ロック部材操作部46−3と、閉塞体操作部26とを同時に押圧した時、まず、ロック部材40−3によるロックが解除され、次に、閉塞体20による入口5の閉塞が開放されるという一連の動作が、円滑に実行されることとなる。なお、第2付勢部材50の付勢力は、ロック部材操作部46−3の押圧をやめた時、ロック開放位置にあるロック部材40−3が、ロック位置に自動的に戻るような強さに設定されていることが好ましい。当該設定により、安全性が向上する。
【0055】
第3の実施形態では、ロック部材40−3を操作するロック部材操作部46−3が、フック部10に対して、閉塞体操作部26と反対側に配置され且つ両操作部の移動方向も異なっている。このため、ロック部材操作部46−3および閉塞体操作部26のうちのいずれか一方に、意図せずして、押圧力が作用した場合であっても、閉塞体20が開放されることがない。このため、安全性がより一層向上する。
【0056】
なお、
図3(A)に記載の例では、ロック部材操作部46−3に操作面46a−3が設けられている。そして、操作面46a−3は、フック部基部12の長手方向中心軸から離れていく方向を向いている。換言すれば、当該操作面46a−3と、フック部基部12の長手方向との間のなす角度は、90度より小さい角度(例えば、10度以上80度以下の角度)である。このため、ロック部材操作部46−3を、フック部基部12に近づくように操作することが、極めて容易である。
【0057】
閉塞体20が、フック部10を挟むように2枚の板部で形成されている場合は、ロック部材40−3も一部が閉塞体20を挟むように2枚の板部で形成し、ロック部材第2アーム44−3を連結板で連結すればよい。
図3(A)及び
図3(B)に記載の例では、連結板は操作面46a−3としている。又は、閉塞体20の一方の板部側にロック部材40−3を形成してもよい。その場合、ロック部材第2アーム44−3の先端部分を略L字状にすることで操作面46a−3を形成してもよい。閉塞体20が1枚の板部で形成されている場合は、ロック部材40−3を閉塞体20と同じ側に形成すればよい。
【0058】
第3の実施形態における安全フック1−3も、ロック部材40−3を備えている。したがって、第2の実施形態と同様に、被掛止部材が捩じれた場合でも安全フック1−3から外れることは無く、安全性が向上する。
【解決手段】安全フック1−1は、フック部10と、フック部10によって揺動可能に支持される閉塞体20と、閉塞体20を開放位置から閉塞位置に向けて付勢する第1付勢部材30とを具備する。閉塞体20は、閉塞体基部21と、フック部10の入口を開閉可能な第1アーム部22と、第1アーム部22とは異なる方向に延びる第2アーム部24とを備える。第2アーム部24は、閉塞体操作部26を備える。閉塞体操作部26を操作することにより、閉塞体20が、閉塞位置から開放位置に移動する。