特許第5997402号(P5997402)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 山▲崎▼ 公信の特許一覧

特許5997402汚染土壌を浄化する土壌浄化施設のための雨水処理方法
<>
  • 特許5997402-汚染土壌を浄化する土壌浄化施設のための雨水処理方法 図000002
  • 特許5997402-汚染土壌を浄化する土壌浄化施設のための雨水処理方法 図000003
  • 特許5997402-汚染土壌を浄化する土壌浄化施設のための雨水処理方法 図000004
  • 特許5997402-汚染土壌を浄化する土壌浄化施設のための雨水処理方法 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5997402
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】汚染土壌を浄化する土壌浄化施設のための雨水処理方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/04 20060101AFI20160915BHJP
   B09C 1/02 20060101ALI20160915BHJP
   B09C 1/08 20060101ALI20160915BHJP
   C02F 1/62 20060101ALI20160915BHJP
【FI】
   C02F1/04 CZAB
   B09B3/00 304K
   C02F1/62 Z
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-60536(P2016-60536)
(22)【出願日】2016年3月24日
【審査請求日】2016年3月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511203097
【氏名又は名称】山▲崎▼ 公信
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 公信
【審査官】 ▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−001213(JP,A)
【文献】 特許第5661211(JP,B2)
【文献】 特許第5736094(JP,B2)
【文献】 特許第5771342(JP,B2)
【文献】 特開昭53−121212(JP,A)
【文献】 特開昭53−119414(JP,A)
【文献】 特開昭53−093414(JP,A)
【文献】 特開2001−113240(JP,A)
【文献】 特開2004−351239(JP,A)
【文献】 特開2007−050326(JP,A)
【文献】 特許第5771343(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/02− 1/18
C02F 1/28
C02F 1/58− 1/64
B09C 1/00
B05B 1/00− 3/18
A01G 25/00−29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設外に排出されることなく施設内を循環して流れる洗浄液により、土壌汚染物質を含む汚染土壌を洗浄して浄化するクローズドシステム型の土壌浄化施設が配設された浄化施設敷地に降下し前記土壌浄化施設から前記浄化施設敷地に散逸又は漏出した土壌汚染物を含んでいる雨水を処理する雨水処理装置を用いた雨水処理方法であって、
前記土壌浄化施設は、前記汚染土壌を前記洗浄液で浄化しつつ分級して、清浄な粗骨材と砂と土とを生成するように構成され、
前記雨水処理装置は、
円筒状の周壁と前記周壁の下端部に結合された平面視で円形の底壁とを有し、平面視における前記底壁の中心部で該底壁から上方に隆起する中央隆起部を有し、前記周壁と前記中央隆起部の間における前記底壁の上方の環状空間部に砂又は土を収容する砂収容部と、
前記浄化施設敷地及び前記砂収容部に降下した雨水を貯留する雨水貯槽と、
前記雨水貯槽に貯留された雨水を加圧して前記砂収容部に供給する雨水供給機構と、
前記中央隆起部に配置され、駆動装置によって駆動され鉛直方向に伸びる回転中心軸のまわりに回転する回転機と、
前記砂収容部の半径方向に伸び、一端が前記回転機に連結され、他端が前記砂収容部の周壁の上方又はその近傍に位置し、前記回転機の回転に伴って前記回転中心軸のまわりに回転する回転フレームと、
前記回転フレームに配置され、前記雨水供給機構から供給される雨水を受け入れて、前記砂収容部に収容されている砂又は土の上面に向かって放出する雨水放出機構と
前記砂収容部に収容されている砂又は土の粒子の間隙を流下した余剰の雨水を前記雨水貯槽に還流させる雨水還流機構とを備えていて、
該雨水処理方法は、
前記回転フレームを前記回転中心軸のまわりに回転させながら、前記砂収容部に収容された砂又は土の上に前記雨水放出機構から雨水を散布する一方、該砂又は土に付着している雨水を空気中に蒸発させて前記砂収容部から除去し、
前記土壌浄化施設で生成された清浄な砂又は土の一部を、前記砂収容部に収容する砂又は土として用い、
前記砂収容部で所定の期間用いられて土壌汚染物質が蓄積された砂又は土を前記土壌浄化施設に導入し、前記汚染土壌とともに浄化して前記蓄積された土壌汚染物質を除去し、
前記雨水放出機構からの雨水の放出量を、前記砂収容部に収容された砂又は土の含水比が30〜35%に維持されるように設定することを特徴とする雨水処理方法
【請求項2】
前記回転フレームは、前記回転機から上向きに伸びる内側鉛直アームと、前記内側鉛直アームから前記周壁の上方位置まで水平方向に伸びる水平アームと、前記水平アームから前記周壁の上面近傍まで下向きに伸びる外側鉛直アームとを有し、
前記外側鉛直アームの下端部に、前記周壁の上面に設けられた走行路を前記周壁の周方向に走行する車輪が取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の雨水処理方法
【請求項3】
前記雨水放出機構は、前記水平アームに沿って伸びる送水パイプと、前記送水パイプの下面に付設された複数の放水ノズルとを有することを特徴とする、請求項2に記載の雨水処理方法
【請求項4】
前記土壌汚染物質は有害金属又はその化合物であり、前記洗浄液はキレート剤を含む水であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1つに記載の雨水処理方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害金属及び/又はその化合物あるいはその他の土壌汚染物質を含む大量の汚染土壌を浄化する土壌浄化施設のための雨水処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばクロム、鉛、カドミウム、セレン、水銀などの有害金属及び/又はその化合物(以下、これらを「有害金属等」と総称する。)を原料又は材料として用いる生産施設の敷地又はその近隣地における土壌汚染、あるいは有害金属等を含む産業廃棄物の投棄等による土壌汚染が問題となっている。そして、有害金属等で汚染された土壌(以下「有害金属汚染土壌」という。)を、該有害金属汚染土壌が現に存在する位置(以下「原位置」という。)において、例えば有害金属等の不溶化、封じ込め又は電気修復などにより効果的に浄化することはかなり困難である。このため、有害金属汚染土壌は、一般に、掘削等により原位置から除去され、外部の土壌浄化施設で浄化される。なお、有害金属汚染土壌が除去された跡地は、通常、土壌浄化施設で浄化された元の土壌又は別の清浄な土壌で埋め戻される。
【0003】
そして、原位置外の土壌浄化施設で有害金属汚染土壌を浄化する手法としては、従来、有害金属汚染土壌を洗浄液で洗浄して有害金属等を除去するようにした土壌浄化手法が広く用いられている。かくして、本願出願人らは、有害金属等で汚染された汚染土壌を、キレート剤を含有する洗浄水で洗浄して有害金属等を除去する一方、洗浄廃液から固相吸着材で有害金属等を除去することにより洗浄水ないしはキレート剤を再生して繰り返し使用する、洗浄水を施設外に排出しないクローズドシステム型の土壌浄化施設を種々提案している(特許文献1〜4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5661211号公報
【特許文献2】特許第5736094号公報
【特許文献3】特許第5771342号公報
【特許文献4】特許第5771343号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】清沢秀樹著「地温変化にもとづく土壌面蒸発量の推定法について」三重大学紀要論文、三重大学農学部学術報告、1984年、68巻、25〜40頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、大量の汚染土壌(例えば、1000トン/日)を浄化する土壌浄化施設はかなり大規模な施設であり、その設置面積及び高さがかなり大きいので、このような土壌浄化施設を収容する建屋を設置することは実用的ではなく、また設置する場合は多大な建設費を必要とする。そこで、このような土壌浄化施設は、一般に浄化施設敷地内に露天で設置される。ところで一方、浄化施設敷地には時々雨が降るが、このような敷地内には土壌浄化施設から汚染土壌が散逸ないしは漏出している可能性があるので、浄化施設敷地に降下した雨水は土壌汚染物質を含む可能性がある。したがって、浄化施設敷地に降下した雨水をそのまま外部に排出することは好ましくない。
【0007】
なお、汚染土壌を洗浄した洗浄廃水に何らかの廃水処理を施して無害化し、外部に排出するようにした非クローズドシステム型の土壌浄化施設の場合は、浄化施設敷地に降下した雨水を洗浄廃水とともに処理すれば、雨水中の土壌汚染物質が未処理で外部に排出されることはない。しかしながら、洗浄水を施設外に排出しないクローズドシステム型の土壌浄化施設では、施設敷地内に降下した雨水をこのような簡便な手法で処理することはできない。一方、クローズドシステム型の土壌浄化施設の浄化施設敷地に降下した雨水に含まれる土壌汚染物質は非常に希薄であるので、このような土壌汚染物質を通常の廃水処理手法で除去するのはかなり困難であるといった問題がある。なお、このような問題は、有害金属等以外の土壌汚染物質を含む大量の汚染土壌を浄化する土壌浄化施設においても生じるのはもちろんである。
【0008】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたものであって、洗浄液を施設外に排出しないクローズドシステム型の土壌浄化施設の浄化施設敷地に降下した雨水を、これに含まれる有害金属等あるいはその他の土壌汚染物質を未処理で外部へ排出することなく、確実に処理することを可能にする手段を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するためになされた本発明に係る雨水処理装置は、施設外に排出されることなく施設内を循環して流れる洗浄液により、土壌汚染物質を含む汚染土壌を洗浄して浄化するクローズドシステム型の土壌浄化施設が配設された浄化施設敷地に降下した雨水を処理する。この雨水処理装置は、砂収容部と、雨水貯槽と、雨水供給機構と、回転機と、回転フレームと、雨水放出機構とを備えている。なお、土壌汚染物質としては、例えば有害金属等(有害金属及び/又はその化合物)などが挙げられ、この場合洗浄液としては、例えばキレート剤を含む水を用いることができる。
【0010】
ここで、砂収容部は、円筒状の周壁と該周壁の下端部に結合された平面視で円形の底壁とを有し、平面視における底壁の中心部ないしは中心近傍部で該底壁から上方に隆起する中央隆起部を有し、周壁と中央隆起部の間における底壁の上方の環状空間部に砂又は土を収容するようになっている。雨水貯槽は、浄化施設敷地、砂収容部及び雨水貯槽自体に降下した雨水を貯留する。雨水供給機構は、雨水貯槽に貯留された雨水を加圧して砂収容部ないしは雨水放出機構に供給する。回転機は、中央隆起部に配置され、駆動装置(例えば、モータ、原動機等)によって駆動され鉛直方向に伸びる回転中心軸のまわりに回転する。回転フレームは、平面視では砂収容部の半径方向に伸び、一端が回転機に連結(又は結合)され、他端が砂収容部の周壁の上方又はその近傍に位置し、回転機の回転に伴って前記回転中心軸のまわりに回転する。雨水放出機構は、回転フレームに配置され、雨水供給機構から供給される雨水を受け入れて、砂収容部に収容されている砂又は土の上面に向かって放出する。
【0011】
本発明に係る雨水処理装置において、回転フレームは、回転機から上向きに伸びる内側鉛直アームと、内側鉛直アームから周壁の上方位置まで水平方向に伸びる水平アームと、水平アームから周壁の上面近傍まで下向きに伸びる外側鉛直アームとを有し、外側鉛直アームの下端部に、周壁の上面に設けられた走行路(例えば、レール、溝等)を周壁の周方向に走行する車輪が取り付けられているのが好ましい。
【0012】
本発明に係る雨水処理装置において、雨水放出機構は、水平アームに沿って伸びる送水パイプと、送水パイプの下面に付設された複数の放水ノズルとを有しているのが好ましい。また、この雨水処理装置は、砂収容部の底部の雨水を雨水貯槽に還流させる雨水還流機構を備えているのが好ましい。
【0013】
本発明に係る雨水処理装置を用いて、土壌浄化施設が配設された浄化施設敷地に降下した雨水を処理する本発明に係る雨水処理方法は、回転フレームをその回転中心軸のまわりに回転させながら、砂収容部に収容された砂又は土の上に雨水放出機構から雨水を散布する一方、該砂又は土に付着している雨水を空気中に蒸発させて前記砂収容部から除去することを特徴とする。この雨水処理方法においては、砂収容部で所定の期間用いられた砂又は土を土壌浄化施設に導入し、浄化すべき汚染土壌とともに浄化する一方、土壌浄化施設で汚染土壌を浄化することにより得られた清浄土壌の一部(例えば、洗い砂)を、砂収容部に収容する砂又は土として用いるのが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る雨水処理装置によれば、浄化施設敷地、砂収容部及び雨水貯槽自体に降下した雨水はすべて雨水貯槽に貯留される。そして、雨水貯槽に貯留されている雨水を、雨水供給機構と雨水放出機構とにより、砂収容部内の砂又は土の上に散布し、砂又は土に付着している雨水を大気中に蒸発させて砂収容部から除去することができる。他方、雨水に含まれている土壌汚染物質は、蒸発せず砂収容部内に残留する。したがって、クローズドシステム型の土壌浄化施設の浄化施設敷地に降下した雨水に含まれる土壌汚染物質の外部への排出を確実に防止することができる。すなわち、浄化施設敷地及び砂収容部に降下した雨水を、これらに含まれる有害金属等あるいはその他の土壌汚染物質を未処理で外部へ排出することなく、外部に排出することができる。
【0015】
さらに、砂収容部で用いられ土壌汚染物質が付着している砂又は土を適宜に土壌浄化施設に導入し、浄化すべき汚染土壌とともに浄化することができるので、雨水に含まれていた土壌汚染物質を処理することができる。また、土壌浄化施設で汚染土壌を浄化することにより得られた清浄土壌の一部(例えば、洗い砂)を、砂収容部に収容する砂又は土として用いることができるので、砂収容部で用いる砂又は土を容易に調達することができる。
【0016】
本発明に係る雨水処理方法によれば、回転フレームを回転させながら、砂収容部に収容された砂又は土の上に雨水放出機構から雨水を散布する一方、該砂又は土に付着している雨水を空気中に蒸発させて砂収容部から除去する。このとき、雨水に含まれていた土壌汚染物質は、蒸発せず砂収容部内に残留するので、クローズドシステム型の土壌浄化施設の浄化施設敷地に降下した雨水に含まれる土壌汚染物質の外部への排出を確実に防止することができる。また、砂収容部で所定の期間用いられた砂又は土を土壌浄化施設に導入し、浄化すべき汚染土壌とともに浄化する一方、土壌浄化施設で汚染土壌を浄化することにより得られた清浄土壌の一部(例えば、洗い砂)を、砂収容部に収容する砂又は土として用いるようにすれば、雨水に含まれていた土壌汚染物質を処理することができ、かつ砂収容部で用いる砂又は土を容易に調達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】クローズドシステム型の土壌浄化施設が配設された浄化施設敷地、砂収容部及び雨水貯槽に降下した雨水を処理する雨水処理装置の配置形態を模式的に示す平面図である。
図2】浄化施設敷地に配設された土壌浄化施設の概略構成を模式的に示す平面図である。
図3】砂収容部の一部の模式的な縦断面図である。
図4】砂収容部の一部の模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照しつつ本発明の実施形態を具体的に説明する。
図1に示すように、汚染土壌処理場1(以下、略して「処理場1」という。)の土壌浄化施設敷地2(以下、略して「施設敷地2」という。)には、施設敷地2外に排出されることなく施設敷地2内の所定の循環経路を循環して流れる洗浄液により、土壌汚染物質を含む汚染土壌を洗浄して浄化するクローズドシステム型の土壌浄化施設3が露天で配置されている。そして、処理場1内において施設敷地2の近傍には、主として施設敷地2内に降下した雨水(雪解け水を含む)を処理する雨水処理装置Sが設けられている。
【0019】
雨水処理装置Sには、施設敷地2等に降下した雨水を、雨水排出通路4を介して受け入れる雨水貯槽5が配設されている。雨水貯槽5は、地面に埋設された、平面形状が矩形であるコンクリート製の貯水池である。なお、以下では処理場1内における施設ないしは装置の位置関係を簡明に示すため、図1中において雨水貯槽5と施設敷地2とが並ぶ方向(図1中の位置関係では左右方向)に関して、雨水貯槽5が位置する側を「左」といい、施設敷地2が位置する側を「右」ということにする。
【0020】
さらに、雨水処理装置Sには、処理場1内において雨水貯槽5に対して、左右方向と垂直な方向に適度に離間して、砂又は土を収容する砂収容部6が配設されている。なお、以下では、処理場1内における施設ないしは装置の位置関係を簡明に示すため、雨水貯槽5と砂収容部6とが並ぶ方向(左右方向と垂直な方向)に関して、雨水貯槽5が位置する側を「前」といい、砂収容部6が位置する側を「後」ということにする。
【0021】
砂収容部6は、円筒状の周壁7と該周壁7の下端部に結合された平面視で円形の底壁8とを有し、平面視における底壁8の中心部ないしは中心近傍部に、底壁8から上方に隆起する略円柱形の中央隆起部9が設けられている。そして、周壁7と中央隆起部9の間において底壁8の上方に環状空間部10が形成され、この環状空間部10に砂又は土が収容されている。また、雨水処理装置Sには、雨水貯槽5に貯留された雨水を砂収容部6に供給する雨水供給機構11と、雨水供給機構11によって供給される雨水を砂収容部6内の砂又は土の上に散布する雨水散布機構12と、砂収容部6の底部の余剰の雨水を雨水貯槽5に還流させる雨水還流機構13とが設けられている。なお、雨水貯槽5、砂収容部6、雨水供給機構11、雨水散布機構12及び雨水還流機構13の具体的な構成は後で詳しく説明する。
【0022】
以下、施設敷地2に設置された土壌浄化施設3の構成及び機能を具体的に説明する。
図2に示すように、施設敷地2の外周部には、敷地全周にわたってコンクリート製の外周溝15が配設されている。そして、施設敷地2内に降下した雨水は、種々の雨水排水路(図示せず)を経由して又は地表を流れて外周溝15に流入するようになっている。したがって、施設敷地2内に降下した雨水は、外周溝15を介することなく施設敷地2の外部に流出することはない。なお、外周溝15に流入した雨水はすべて、雨水排出通路4を介して雨水貯槽5(図1参照)に流入する。
【0023】
土壌浄化施設3においては、有害金属等(有害金属及び/又はその化合物)で汚染され、あるいはその他の汚染物質(例えば、フッ素、ホウ素、シアン等の第二種特定有害物質)で汚染された地盤の掘削等により採取された土壌(汚染土壌)が、投入ホッパ16に受け入れられる。そして、投入ホッパ16内の土壌はまず混合装置17に投入され、混合装置17内で洗浄液と混合される。ここで、土壌は、細粒土(粒径が0.075mm以下のシルト又は粘土)を含むとともに、種々の粒径の土石ないしは土砂、例えば石(粒径が75mm以上)、礫(粒径が2ないし75mm)及び/又は砂(粒径が0.075ないし2mm)等を含むものである。
【0024】
投入ホッパ16内の土壌は有害金属等で汚染され、場合によってはさらにその他の汚染物質で汚染されている。ここで、有害金属等としては、例えばクロム、鉛、カドミウム、セレン、水銀、金属砒素及びこれらの化合物などが挙げられる。その他の汚染物質としては、例えば、フッ素又はその化合物、ホウ素又はその化合物、シアン化合物等の第二種特定有害物質などが挙げられる。洗浄液は、このような土壌から有害金属等を除去するためのものである。
【0025】
土壌から有害金属等を除去するための洗浄液としては、例えばキレート剤水溶液などを用いることができる。キレート剤としては、例えばEDTA(エチレンジアミン四酢酸)、あるいは生分解性を有するHIDS(3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸)、IDS(2,2’−イミノジコハク酸)、MGDA(メチルグリシン二酢酸)、EDDS(エチレンジアミンジ酢酸)又はGLDA(L−グルタミン酸ジ酢酸)のナトリウム塩などを用いることができる。これらのキレート剤は、いずれも土壌に付着している有害金属等ないしはこれらのイオンを効果的に捕捉する(キレートする)ことができるものである。
【0026】
混合装置17で生成された土壌と洗浄液の混合物(以下「土壌洗浄液混合物」という。)はミルブレーカ18に移送される。ミルブレーカ18としては、例えばロッドミルを用いることができる。ロッドミルは、詳しくは図示していないが、ドラムの中に複数のロッドが配置された破砕装置であり、ドラムの回転によってロッドが互いに平行に転動して線接触し、その衝撃力、剪断力、摩擦力等により比較的粒径の大きい石、礫、砂等を破砕するとともに、これらに付着し又は含まれている有害金属等あるいはその他の汚染物質を剥離して洗浄液中に離脱させる。なお、洗浄液中に離脱した有害金属等あるいはその他の汚染物質の一部ないしは大部分は、比較的粒径が小さい細粒土の表面に付着するので、土壌中の有害金属等あるいはその他の汚染物質の大部分は、細粒土の表面に集約される。
【0027】
ミルブレーカ18から排出された土壌洗浄液混合物はトロンメル19に導入される。トロンメル19は、詳しくは図示していないが、洗浄液を貯留することができる受槽と、水平面に対して傾斜して配置された略円筒形のドラムスクリーンとを有する篩分装置であって、ドラムスクリーンは、モータによりその中心軸まわりに回転することができるようになっている。また、ドラムスクリーン内に、洗浄液をスプレー状で噴射することができるようになっている。
【0028】
トロンメル19の回転しているドラムスクリーンの内部を土壌洗浄液混合物が流れる際に、ドラムスクリーンの網目より細かい土壌粒子は、洗浄液とともにドラムスクリーンの網目を通り抜け、ドラムスクリーン外に出て受槽内に入る。他方、ドラムスクリーンの網目より粗い土壌粒子すなわち粗骨材は、ドラムスクリーンの網目を通り抜けることができないので、ドラムスクリーンの下側の開口端を経由して、ドラムスクリーン外に排出される。トロンメル19内では、土壌洗浄液混合物中の土壌粒子同士が互いに擦れ合うので、土壌粒子の表面に残留・付着している有害金属等あるいはその他の汚染物質が剥離され、洗浄液中に離脱させられる。このように洗浄液中に離脱した有害金属等あるいはその他の汚染物質の一部ないしは大部分は、比較的粒径が小さい細粒土の表面に付着する。
【0029】
ドラムスクリーンの網目の分級径(目開き)は、例えば粒径が2mm未満の土壌粒子がドラムスクリーンの網目を通り抜けるように設定される。したがって、トロンメル19では、粒径が2mm以上の土壌粒子(主として礫)が土壌洗浄液混合物から分離される。前記のとおり、比較的粒径が大きい土壌粒子に付着している有害金属等あるいはその他の汚染物質が洗浄液中に剥離されるので、粒径が2mm以上の土壌粒子は、ほとんど汚染物質を含まない。なお、トロンメル19のドラムスクリーンの網目の寸法(目開き)は前記のものに限定されるわけではなく、得ようとする比較的粒径が大きい土壌粒子の粒径に応じて、任意に設定することができるのはもちろんである。
【0030】
トロンメル19の受槽内に収容された粒径が2mm未満の土壌粒子と洗浄液とを含む土壌洗浄液混合物はサイクロン20に導入される。サイクロン20は、詳しくは図示していないが、下方に向かって狭まる略円錐状のシリンダ内に土壌洗浄液混合物をポンプで圧送して旋回流を生じさせ、これによって生じる遠心力を利用して、土壌洗浄液混合物を、比較的粒径が小さい(例えば0.075mm未満)細粒土と洗浄液の混合物と、比較的粒径が大きい(例えば0.075mm以上)土壌粒子とに分離する。そして、細粒土と洗浄液の混合物(以下「細粒土含有液」という。)はサイクロン20の上端部から排出され、比較的粒径が大きい土壌粒子はサイクロン20の下端部から排出される。細粒土含有液はpH調整槽21に輸送される。細粒土含有液に含まれる細粒土は、例えば粒径が0.075mm未満のシルト又は粘土である。
【0031】
他方、サイクロン20の下端部から排出された比較的粒径が大きい土壌粒子は分級機22に導入される。なお、この比較的粒径が大きい土壌粒子は、例えばその粒径が0.075〜2mmの砂であり、ある程度の洗浄液を含んでいる。分級機22は、所定の圧力及び液量で洗浄液を流動させて、比較的粒径が大きい土壌粒子すなわち砂にすすぎ洗浄処理を施すとともに、残留している浮遊物ないしは異物を捕集する。
【0032】
分級機22から排出された洗浄液はpH調整槽21に導入され、細粒土含有液に加えられる。そして、pH調整槽21では、細粒土含有液(加えられた洗浄液を含む)のpHが、pH調整剤、例えば酸性液(例えば、硫酸、塩酸等)及びアルカリ性液(例えば、水酸化ナトリウム水溶液等)を用いて、ほぼ中性又は所定のpH(例えば、pH7〜8)となるように調整される。なお、図示していないが、pH調整槽21では、細粒土含有液のpHはpHメータ等を備えたpH自動制御装置により自動的に調整される。
【0033】
pH調整槽21でpHが調整された細粒土含有液は凝集槽23に一時的に貯留される。凝集槽23では、細粒土含有液にポリ塩化アルミニウム液(PAC)と、高分子凝集剤と、pH調整剤(酸性液又はアルカリ性液)とが添加される。これにより、凝集槽23内に非水溶性の金属水酸化物と細粒土とが混在する多数のフロックが生成される。
【0034】
凝集槽23内の細粒土含有液はシックナ24に導入される。シックナ24は、詳しくは図示していないが、細粒土含有液がほぼ静止している状態でフロックないしは細粒土を重力により沈降させ、下部に位置するスラッジ層(例えば、固形分の比率が5〜10%)と、上部に位置しほとんどフロックないしは細粒土を含まない上澄液(洗浄液)とを形成する。なお、上澄液の表面に浮遊している浮上油は、例えばシックナ24の水面にオイル吸収マットなどを浮遊させて適宜にこのオイル吸収マットを回収することにより、除去することができる。
【0035】
シックナ24内の上澄液は、洗浄液槽25に導入されて貯留される。洗浄液槽25に貯留されている洗浄液は、キレート剤再生装置26でキレート剤が再生された後、混合装置17とトロンメル19と分級機22とに供給される。なお、洗浄液槽25に貯留されている洗浄液が目減りしたときには、適宜に洗浄液槽25に水及びキレート剤が補給される。なお、キレート剤再生装置26の構成及び機能は、本発明の要旨ではないのでその詳しい説明は省略するが、例えば本願発明者らに係る特許文献1〜4には、種々のキレート剤再生装置26の具体的な構成及び機能が開示されている。
【0036】
他方、シックナ24の下部に堆積しているスラッジは、中間タンク27に移送され、一時的に貯留される。そして、中間タンク27内のスラッジは、適宜に又は連続的に、フィルタプレス28に移送される。フィルタプレス28は、詳しくは図示していないが、バッチ式又は半連続式の加圧式濾過器であって、中間タンク27から受け入れたスラッジを加圧濾過し、濾過ケークと濾液とを生成する。フィルタプレス28の濾過圧力は、例えば濾過ケークの含水率が30〜40%となるように好ましく設定される。ここで、フィルタプレス27の濾液はシックナ24に戻される。このように、洗浄液は、土壌浄化施設3内で再生しつつ循環使用され、外部には排出されない。すなわち、土壌浄化施設3はクローズドシステム型の土壌浄化施設である。
【0037】
以下、図3図4を参照しつつ、雨水貯槽5、砂収容部6、雨水供給機構11、雨水散布機構12及び雨水還流機構13を備えた雨水処理装置Sの構成及び機能を具体的に説明する。雨水貯槽5(図1参照)は、平面形状が矩形であるコンクリート製の貯水池であり、詳しくは図示していないが、その上端近傍部が大気中に露出するようにして、地面に埋設されている。この雨水貯槽5には、施設敷地2に降下した雨水と、砂収容部6に降下した雨水とが流入し、貯留される。また、雨水貯槽5自体に降下した雨水も雨水貯槽5に貯留される。
【0038】
環状空間部10に砂又は土を収容するように構成された砂収容部6は、円筒状の周壁7と、平面形状が円形の底壁8と、略円柱形の中央隆起部9とが一体形成されたコンクリート製の容器である。そして、砂収容部6は、処理場1(図1参照)内において、周壁7の上端近傍部が大気中に露出するようにして地面30に埋設されている。砂収容部6は平面視では円形であり、その直径は該砂収容部6で蒸発させる雨水の量等に応じて好ましく設定される(例えば、直径50〜150m)。また、砂収容部6(環状空間部10)の深さは、雨水を蒸発させるのに適した量の砂又は土を収容することができるように好ましく設定される(例えば0.4〜0.8m)。
【0039】
砂収容部6の底壁8の上面には、雨水還流機構13として、互いに適当な間隔を隔てて配置された所定の深さ(例えば5〜10cm)を有する複数の排水溝31と、これらの排水溝31に接続された集合排水溝32(図1参照)とが設けられている。集合排水溝32の先端(前端)は雨水貯槽5に接続され、各排水溝31内に流入した雨水は、重力で集合排水溝32を介して雨水貯槽5に流入するようになっている。なお、複数の排水溝31の配置形態は、砂収容部6の底部の雨水を支障なく集合排水溝32に排出することができれば、どのようなものであってもよい。例えば、排水溝31は、格子状に形成された複数の溝であってもよく、また同心円状に形成された複数の円形溝と半径方向に伸びる複数の直線状の溝とを組み合わせたものであってもよい。
【0040】
これらの排水溝31の間に位置する複数の凸部33の上には、雨水は通過させるが砂又は土は通過させない多孔板34が配設されている。ここで、多孔板34は単一の板状部材ではなく、製作及び運搬に適した寸法の多数の多孔板(例えば、左右1〜2m、前後2〜5m、厚さ5〜10mmの多孔板)で構成されている。そして、多孔板34の上に、砂又は土からなる所定の厚さ(例えば30〜60cm)の砂層35が設けられている。
【0041】
砂収容部6には、中央隆起部9の上面に配置された回転機36と、一端が回転機36に連結ないしは結合され回転機36とともに回転する回転フレーム37とが付設されている。回転機36は、詳しくは図示していないが、駆動装置(例えば、モータ、原動機等)によって駆動され、鉛直方向に伸びる回転中心軸Lのまわりに回転する。回転フレーム37は、下端部が回転機36に連結ないしは結合され上向きに伸びる内側鉛直アーム37aと、内側鉛直アーム37aの上端部から周壁7の上方位置まで半径方向に伸びる水平アーム37bと、水平アーム37bの先端部から周壁7の上面近傍まで下向きに伸びる外側鉛直アーム37cとを有している。そして、外側鉛直アーム37cの下端部に車輪保持具38が取り付けられ、この該車輪保持具38によって、金属材料(例えば、鉄)からなる車輪39が回転自在に保持されている。
【0042】
砂収容部6の周壁7の上面には、金属材料(例えば、鉄)からなり周壁7に沿って湾曲して伸びるレール40が敷設されている。そして、車輪39は、回転フレーム37が回転中心軸Lのまわりに回転するときには、レール40の上を転動するようになっている。なお、レール40及び車輪39を設けず、周壁7の上面に円周方向に伸びる溝部ないしは凹部を設け、外側鉛直アーム37cの下端部の車輪保護具38に、溝部ないしは凹部に収容され、溝部内ないしは凹部内で転動するゴムタイヤ付車輪を取り付けてもよい。
【0043】
回転フレーム37には、雨水散布機構12として、送水パイプ42と、該送水パイプ42に取り付けられた複数の放水ノズル43とが付設されている。ここで、放水ノズル43は、その放出口が下方を向くようにして、送水パイプ42の、水平アーム37bに沿って伸びる部分42aに取り付けられている。そして、送水パイプ42には、雨水供給機構11によって、雨水貯槽5に貯留されている雨水が加圧状態で供給される。
【0044】
雨水供給機構11(図1参照)は、一端が雨水貯槽5内の雨水に浸漬され他端が送水パイプ42に接続された雨水供給管45と、雨水貯槽5の近傍において雨水供給管45に介設された雨水供給ポンプ46とを備えている。雨水供給ポンプ46は、雨水貯槽5内に貯留されている雨水を吸い込んで加圧し、雨水供給管45を介して送水パイプ42に供給する。送水パイプ42に供給された雨水は、複数の放水ノズル43から、砂収容部6内の砂又は土の上面に向かっておおむね下向きに放出される。
【0045】
以下、土壌浄化施設3が配設された施設敷地2及び砂収容部6に降下した土壌汚染物質を含む可能性がある雨水を、雨水処理装置Sにより処理する方法を具体的に説明する。施設敷地2に降下した雨水(雪解け水を含む)は、空気中に自然に蒸発(気化)する水を除いて、すべて雨水排出通路4を介して雨水貯槽5に流入し、貯留される。この雨水には、土壌浄化施設3から施設敷地2に散逸ないしは漏出した有害金属等あるいはその他の土壌汚染物質が若干含まれている可能性がある。また、砂収容部6に降下した雨水も、空気中に自然に蒸発(気化)する水を除いて、排水溝31と集合排水溝32とを介して雨水貯槽5に流入し、貯留される。この雨水も、有害金属等あるいはその他の土壌汚染物質を含む可能性がある。なお、雨水貯槽5自体に降下した雨水も雨水貯槽5に貯留される。
【0046】
雨水貯槽5内に貯留された雨水は、雨水供給ポンプ46により、雨水供給管45を介して、雨水散布機構12の送水パイプ42に連続的に供給され、放水ノズル43から砂収容部6内の砂層35の上面に向かっておおむね下向きに滴状で放出され、砂層43に散布される。このような状態において、回転フレーム37ないしは雨水散布機構12は、駆動装置(例えば、モータ、原動機等)によって回転駆動される回転機36によって回転中心軸Lのまわりに回転させられる。その際、車輪39はレール40の上を転動する。回転フレーム37の回転速度は、例えば、周壁7に対応する位置における移動速度(周速)が毎時4〜10kmとなるように設定される。
【0047】
なお、回転フレーム37の水平アーム37bの各位置の移動速度、ないしは送水パイプ42の水平部分42aに取り付けられた各放水ノズル43の移動速度は、回転中心軸Lからの水平距離に比例して大きくなるので、砂収容部6内の砂層35に万遍なく雨水を散布するために、送水パイプ42の水平部分42aに取り付けられる各放水ノズル43の口径は、回転軸中心軸Lからの水平距離に応じて、例えば該水平距離におおむね比例して雨水放出量が増加するように設定するのが好ましい。
【0048】
このように、砂収容部6の上方で回転中心軸Lのまわりに回転する送水パイプ42ないし放水ノズル43により、砂収容部6内の砂層35の上に雨水が散布され、砂層35を構成する砂又は土の粒子は、常に粒子間に雨水が保持され、ないしは粒子が雨水の薄膜により被覆された飽和水分状態(例えば、含水比30〜35%)に維持される。そして、砂層35中に保持された雨水は、空気中に蒸発(気化)する。かくして、雨水貯槽5に流入する雨水は、すべて砂層35から空気中に蒸発する。その際、雨水に含まれていた有害金属等は、砂層35内に残留し、外部には排出されない。したがって、施設敷地2に降下した雨水、あるいは砂収容部6に降下した雨水は、これらに含まれる有害金属等を外部に排出することなく処理される。なお、施設敷地2、雨水貯槽5及び砂収容部6に降下した雨水をすべて砂層35から蒸発させるために必要とされる砂収容部6の面積ないしは寸法は、後で説明する。
【0049】
雨水散布機構12から砂層35への雨水の散布量は、砂層35からの雨水の蒸発量よりも多くなるように好ましく設定される(例えば、蒸発予測量の1.2〜2.0倍)。これにより、砂層35を構成する砂又は土は飽和水分状態(例えば、含水比30〜35%)に維持される。ここで、余剰の雨水は、砂層35内の砂又は土の粒子の間隙を流下し、多孔板34を通り抜けて排水溝31に流入する。そして、排水溝31内の余剰の雨水は、集合排水溝32を介して雨水貯槽5に還流する。
【0050】
このような雨水の蒸発処理を繰り返し実施すると、砂収容部6内の砂層35には、有害金属等又はその他の土壌汚染物質が次第に蓄積されてゆく。そこで、所定の期間が経過するごとに(例えば2〜6か月ごとに)、砂収容部6内の所定の領域ないしは区画(例えば、100〜200mの領域)の砂又は土を除去して土壌浄化施設3に導入し、浄化すべき汚染土壌とともに浄化する。
【0051】
そして、砂収容部6の砂又は土が除去された区画ないしは領域には、土壌浄化施設3で汚染土壌を浄化することにより得られた清浄土壌の一部である洗い砂を導入する。すなわち、砂収容部6内の所定の区画ないしは領域の有害金属等を含む砂又は土を洗い砂と交換する。このように、施設敷地2内に降下した雨水、あるいは砂収容部6に降下した雨水に含まれる有害金属等又はその他の土壌汚染物質は土壌浄化施設3で処理され、未処理で外部に排出されることはない。したがって、クローズドシステム型の土壌浄化施設3の施設敷地2に降下した雨水を、これに含まれる土壌汚染物質を外部に排出することなく処理することができる。
【0052】
例えば施設敷地2の面積が2000m(例えば、平面視で左右40m×前後50mの矩形の土地)であり、土壌処理施設3の汚染土壌処理量が500m/日(約850トン/日)ある場合、雨水貯槽5、砂収容部6及び雨水散布機構12の仕様は、例えば下記のように設定してもよい。ここでは、便宜上、土壌浄化施設3及び雨水処理装置Sは、1日24時間、365日稼働するものとする。なお、下記の具体例は、あくまでも一例であり、施設敷地2の面積又は土壌処理施設3の汚染土壌処理量、あるいは稼動時間がこれらと異なる場合でも、同様の手法で雨水貯槽5及び砂収容部6の寸法及び雨水散布機構12の雨水散布量を設定することができるのはもちろんである。
【0053】
(1) 雨水貯槽5
・直方体状貯槽(左右寸法:25m、前後寸法:40m、深さ:4m)
・上面面積 1000m
・最大貯水量 約4000m
(2) 砂収容部6
・略円筒状(直径:90m、深さ:0.8m)
・上面面積 6360m
・砂収容量 約4000m
(3) 雨水散布機構12
・散水量 5〜10m/時
【0054】
<降水量>
雨水貯槽5には、施設敷地2に降下する雨水と、雨水貯槽5自体に降下する雨水と、砂収容部6に降下する雨水(砂層35と排水溝31と集合排水溝32とを介して雨水貯槽5に流入する)とが一時的に受け入れられることになる。他方、2013年における日本の平均年間降水量が1847mmであることに鑑み、処理場1における平均年間降水量をやや余裕をもって2000mm(すなわち、2.0m/m・年)と想定すれば、施設敷地2と雨水貯槽5と砂収容部6とには、年間18500mの雨水が降下するものと推定される。
2.0m3/m2・年×(2000m2+1000m2+6360m2)=18720m3/年
【0055】
<雨水貯槽>
前記のとおり、雨水貯槽5の最大貯水容量は約4000mであるが、これは施設敷地2と雨水貯槽5と砂収容部6とに降下する雨水の約2.6か月分に相当する。他方、雨水貯槽5内に貯留されている雨水は、日々砂収容部6で処理され減少してゆくので、雨水貯槽5は、施設敷地2と雨水貯槽5と砂収容部6とに降下する雨水を、溢流させることなく十分な余裕をもって貯留することができる。また、一般に、湖沼や溜池などにおける水面からの水の蒸発量は、一般に水面1mあたり年間0.5〜1.0mであることが知られている。したがって、雨水貯槽5(上面面積1000m)からは、少なくとも年間500mの雨水が蒸発するものと推定される。
0.5m3/m2・年×1000m2=500m3/年
【0056】
<砂層における雨水蒸発量>
砂収容部6内の砂層40における雨水の蒸発量は、以下で説明するように3.15m/m・年(すなわち、3.15トン/m・年)であると推算される。すなわち、まず非特許文献1には、温度が14.2℃であり、相対湿度が59%であり、空気の流速が250cm/秒であるときにおける、含水比が32.1%(飽和水分状態)の土壌からの水の蒸発速度は11.3×10−6g/cm・秒であると開示されている。また、温度が14.8℃であり、相対湿度が57%であり、空気の流速が170cm/秒であるときにおける、含水比が32.9%(飽和水分状態)の土壌からの水の蒸発速度は7.9×10−6g/cm・秒であると開示されている。
【0057】
このような非特許文献1の開示事項に鑑みれば、日本における平均的な気候ないしは地面の状態を、温度15℃、相対湿度60%、風速2m/秒程度と想定したときには、砂収容部6内の飽和水分状態にある砂層35(砂又は土)からの平均的な雨水の蒸発量は、おおむね10.0×10−6g/cm・秒であるものと推定される。この蒸発量は、実用的な単位に換算すれば、3.15m/m・年となる。
10.0×10-6g/cm2・秒
=10.0×10-6×10-6×104トン/m2・秒=1.0×10-7トン/m2・秒
=1.0×10-7×3600×24×365トン/m2・年=3.15トン/m2・年
したがって、砂収容部6内の砂層35からは、年間20030トン(20030m)の雨水が蒸発する。
3.15トン/m2・年×6360m2=20030トン/年
【0058】
<雨水処理装置における水の収支>
前記のとおり、施設敷地2と雨水貯槽5と砂収容部6とには、年間18720mの雨水が降下するものと推定される。他方、雨水貯槽5では少なくとも年間500mの雨水が蒸発し、砂収容部6では年間20030mの雨水が蒸発し、雨水処理装置Sでは合計20530mの水が蒸発するものと推定される。このように、雨水処理装置Sでは、1年間で全体的には、施設敷地2と雨水貯槽5と砂収容部6と降下する雨水より多くの量の雨水を蒸発させることができるので、基本的には、施設敷地2と雨水貯槽5と砂収容部6とに降下する雨水を、おおむね1800mの余裕(余裕率10%)をもってすべて蒸発させて処理することができる。しかしながら、とくに降水量が多い年もあり、また冬季には雨水の蒸発量が少ないので、万全を期して、前記の具体例における砂収容部6の直径の寸法(90m)を、20〜30%程度大きくしてもよい。
【符号の説明】
【0059】
S 雨水処理装置、1 汚染土壌処理場(処理場)、2 土壌浄化施設敷地(施設敷地)、3 土壌浄化施設、4 雨水排出通路、5 雨水貯槽、6 砂収容部、7 周壁、8 底壁、9 中央隆起部、10 環状空間部、11 雨水供給機構、12 雨水散布機構、13 雨水還流機構、15 外周溝、16 投入ホッパ、17 混合装置、18 ミルブレーカ、19 トロンメル、20 サイクロン、21 pH調整槽、22 分級機、23 凝集槽、24 シックナ、25 洗浄液槽、26 キレート剤再生装置、27 中間タンク、28 フィルタプレス、30 地面、31 排水溝、32 集合排水溝、33 凸部、34 多孔板、35 砂層、36 回転機、37 回転フレーム、37a 内側鉛直アーム、37b 水平アーム、37c 外側鉛直アーム、38 車輪保持具、39 車輪、40 レール、42 送水パイプ、42a 送水パイプの水平部分、43 放水ノズル、45 雨水供給管、46 雨水供給ポンプ。
【要約】
【課題】クローズドシステム型の土壌浄化施設の浄化施設敷地に降下した雨水を、土壌汚染物質を未処理で外部へ排出することなく処理することを可能にする手段を提供する。
【解決手段】クローズドシステム型の土壌浄化施設3の施設敷地2に降下した雨水を処理する雨水処理装置Sは、雨水貯槽5と、砂収容部6と、雨水供給機構11と、雨水散布機構12と、回転機36と、回転フレーム37とを備えている。砂収容部6は、周壁7と、円形の底壁8と、底壁8から上方に隆起する中央隆起部9とを有している。雨水供給機構11は、雨水貯槽5に貯留された雨水を雨水散布機構12に供給する。回転機36は、中央隆起部9に配置され、鉛直方向に伸びる回転中心軸のまわりに回転する。回転フレーム37は、回転機36の回転に伴って回転する。雨水散布機構12は、雨水供給機構11から供給される雨水を、砂収容部6に収容されている砂又は土の上面に向かって放出する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4