(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
不織布からなる第1シート層と、この第1シート層の一方の面に対向する不織布からなる第2シート層と、これら第1シート層及び第2シート層の間に、伸縮方向に沿ってかつ互いに間隔を空けて設けられた複数本の細長状の弾性伸縮部材とを備えており、
前記第1シート層及び第2シート層は、前記弾性伸縮部材の長手方向に間欠的、かつ前記弾性伸縮部材と交差する方向に細長く連続する縞状のパターンで配置されたホットメルト接着剤を介して接合されたシート接合部を有しており、
前記第1シート層及び第2シート層のいずれか一方がスパンボンド不織布からなり、かつ他方がエアスルー不織布からなり、このエアスルー不織布は前記スパンボンド不織布側の面が毛羽面とされている、
ことを特徴とする吸収性物品の伸縮構造。
前記シート接合部と前記弾性伸縮部材とが交差する部分のうち、前記弾性伸縮部材の前記スパンボンド不織布側で前記ホットメルト接着剤が前記弾性伸縮部材と交差する方向に連続し、かつ前記弾性伸縮部材の前記エアスルー不織布側では前記ホットメルト接着剤が前記弾性伸縮部材と交差する方向に不連続とされている、請求項1記載の吸収性物品の伸縮構造。
前記ホットメルト接着剤は、温度140℃における溶融粘度が10,000〜40,000mpas、温度160℃における溶融粘度が5,000〜10,000mpasのものであり、かつループタック粘着力が10〜500g/25mmのものである、
請求項1又は2記載の吸収性物品の伸縮構造。
各シート接合部の伸縮方向の幅が0.5〜4mmであり、隣り合うシート接合部の間隔が4〜8mmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品の伸縮構造。
前記吸収性物品は、前身頃及び後身頃を構成する外装体と、この外装体に取り付けられた、吸収体を含む内装体とを備え、前身頃における外装体の両側部と後身頃における外装体の両側部とがそれぞれ接合され、この接合された部分と対応する前後方向範囲が環状の胴周り部となるとともに、ウエスト開口部及び左右一対の脚開口部が形成された、パンツタイプ使い捨ておむつであり、
前記伸縮構造は、前記外装体における少なくとも内装体の幅方向両側を含む領域に、前記弾性伸縮部材が幅方向に沿うように、かつ前記エアスルー不織布が外側で前記スパンボンド不織布が内側となるように設けられている、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品の伸縮構造。
前記ホットメルト接着剤として、温度140℃における溶融粘度が10,000〜40,000mpas、温度160℃における溶融粘度が5,000〜10,000mpasのものであり、かつループタック粘着力が10〜500g/25mmのものを用いる、
請求項6又は7記載の吸収性物品の伸縮構造の製造方法。
版ロールの周方向が伸縮方向となるように、前記第1シート層及び第2シート層の少なくとも一方を版ロールと接触させ、版ロールの外周面上に周方向に間欠的かつ軸方向に連続的となる縞状のパターンで保持された前記ホットメルト接着剤を、当該第1シート層及び第2シート層の少なくとも一方に転写するホットメルト接着剤塗布工程と、
少なくとも一方に前記ホットメルト接着剤が転写された第1シート層及び第2シート層間に、前記弾性伸縮部材を挟む圧着工程とを有し、
前記ホットメルト接着剤塗布工程で、前記版ロールの外周面における各ホットメルト接着剤の周方向の幅を0.5〜4mmとし、隣り合うホットメルト接着剤の周方向の間隔を4〜8mmとする、
請求項6〜8のいずれか1項に記載の吸収性物品の伸縮構造の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の主たる課題は、意図しない接着に起因する襞の見栄えの悪化を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は第1シート層及び第2シート層に様々な素材を用いて伸縮構造の製造実験をする中で、エアスルー不織布を用いた場合には、ホットメルト接着剤の糸引きがあっても襞が潰れたりしにくいことに気が付いた。当初、その理由は不明であったが、エアスルー不織布の毛羽面がホットメルト接着剤により接着しにくいことが、ホットメルト接着剤の糸引きや飛散のように不十分な接着条件ではかえって意図しない接着を防ぐ結果となっているという知見を得るに至った。以下に述べる本発明は、このような知見に基づくものである。
【0008】
<請求項1記載の発明>
不織布からなる第1シート層と、この第1シート層の一方の面に対向する不織布からなる第2シート層と、これら第1シート層及び第2シート層の間に、伸縮方向に沿ってかつ互いに間隔を空けて設けられた複数本の細長状の弾性伸縮部材とを備えており、
前記第1シート層及び第2シート層は、前記弾性伸縮部材の長手方向に間欠的、かつ前記弾性伸縮部材と交差する方向に細長く連続する縞状のパターンで配置されたホットメルト接着剤を介して接合されたシート接合部を有しており、
前記第1シート層及び第2シート層のいずれか一方がスパンボンド不織布からなり、かつ他方がエアスルー不織布からなり、このエアスルー不織布は前記スパンボンド不織布側の面が毛羽面とされている、
ことを特徴とする吸収性物品の伸縮構造。
【0009】
(作用効果)
本発明の特徴は、ホットメルト接着剤の接着性に乏しい毛羽面を敢えて一方の接着面とし、他方の接着面はホットメルト接着剤の接着性に富むスパンボンド不織布を用いたところにある。この結果、ホットメルト接着剤の糸引きや飛散があっても、そのような不十分な接着条件では第1シート層及び第2シート層は接着されないか、又は多少接着されたとしてもすぐに剥がれるため、意図しない接着による襞の見栄えの悪化が効果的に防止される。また、接着面の両方をエアスルー不織布とすると、本来接着すべきシート接合部における接着も不十分になるおそれがあるが、本発明では、ホットメルト接着剤の接着性に富むスパンボンド不織布と組み合わせることにより、シート接合部では確実な接着が可能となり、結果的に見栄えに優れる襞が形成されるようになる。
【0010】
なお、本発明においてホットメルトホットメルト接着剤が連続するとは、シート接合部と弾性伸縮部材とが交差する部分において、弾性伸縮部材の第1シート層側及び第2シート層側の両方でホットメルト接着剤が伸縮方向と交差する方向に連続する形態の他、弾性伸縮部材が介在するためにいずれか一方側ではホットメルト接着剤が連続するが他方側では伸縮方向と交差する方向にホットメルト接着剤が不連続となっている形態も含む。
【0011】
<請求項2記載の発明>
前記シート接合部と前記弾性伸縮部材とが交差する部分のうち、前記弾性伸縮部材の前記スパンボンド不織布側で前記ホットメルト接着剤が前記弾性伸縮部材と交差する方向に連続し、かつ前記弾性伸縮部材の前記エアスルー不織布側では前記ホットメルト接着剤が前記弾性伸縮部材と交差する方向に不連続とされている、請求項1記載の吸収性物品の伸縮構造。
【0012】
(作用効果)
このように弾性伸縮部材のスパンボンド不織布側ではホットメルト接着剤が連続していると、シート接合部における接着性が高いものとなる。さらに、エアスルー不織布側ではホットメルト接着剤が不連続とされているため、エアスルー不織布の柔軟性が損なわれにくいものとなる。
【0013】
<請求項3記載の発明>
前記ホットメルト接着剤は、温度140℃における溶融粘度が10,000〜40,000mpas、温度160℃における溶融粘度が5,000〜10,000mpasのものであり、かつループタック粘着力が10〜500g/25mmのものである、
請求項1又は2記載の吸収性物品の伸縮構造。
【0014】
(作用効果)
シート接合部を形成するためのホットメルト接着剤としては、溶融粘度が低く、ループタック粘着力が高いものが不織布の接着性に優れる点で好ましいが、その場合、製造時の糸引きや飛散が発生しやすくなる。しかし、本発明ではホットメルト接着剤の糸引きや飛散があっても意図しない接着が発生しにくいため、このような不織布に対する接着性に富むホットメルト接着剤を使用することも可能となる。
【0015】
<請求項4記載の発明>
各シート接合部の伸縮方向の幅が0.5〜4mmであり、隣り合うシート接合部の間隔が4〜8mmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品の伸縮構造。
【0016】
(作用効果)
このような寸法でホットメルト接着剤によるシート接合部が配置されている(交差方向連続接合形態)と、形成される襞は、真直ぐに延びるものでありながら十分な高さと倒れにくさが両立するものとなる。
より詳細には、各シート接合部の伸縮方向の幅は隣り合う襞の間隔に影響を及ぼすものであり、形成される襞が薄い場合にこの幅が4mmを超えると、隣り合う襞の間が広くなり過ぎ、個々の襞が独立した見栄えとなるだけでなく、厚み方向の圧縮力により襞が潰れ広がる、倒れる等の変形をするとき、隣り合う襞が支え合う作用が弱くなる結果、変形に対する抵抗あるいは変更後の復元も弱くなり、結果的にフンワリ感が不十分となってしまう。
しかも、単にシート接合部の伸縮方向の幅を0.5〜4mmとするだけで、隣り合うシート接合部の間隔を4mm未満又は8mm超とした場合には次のようになる。すなわち、隣り合うシート接合部の間隔は襞の高さや幅に影響するものであり、隣り合うシート接合部の間隔が2mm程度であると伸縮方向に連続接合した場合と同様に直交方向の連続性に乏しい襞となってしまい(伸縮方向に間欠的にシート接合部を設ける意味が無くなる)、3mmでは襞は伸縮方向と直交する方向に真直ぐに延びるが、隣り合う襞が支え合う作用は期待できず、フンワリ感は不足する。また、シート接合部の間隔が8mmを超えると、包装時の圧縮により襞が不規則に潰れてしまい、製品の見栄えが悪くなる。これに対して、シート接合部の伸縮方向の幅を0.5〜4mmとし、かつシート接合部の間隔を4〜8mmとしたときに初めて、十分なフンワリ感が得られ、また、包装時の圧縮により襞が不規則に潰れにくいものとなる。
そして、このようなパターンのシート接合部を有する場合、ホットメルト接着剤の塗布幅が狭いこともあって、糸引きや飛散が発生しやすい。よって、本発明はこのような寸法でシート接合部が形成される場合に特に好適である。
【0017】
<請求項5記載の発明>
前記吸収性物品は、前身頃及び後身頃を構成する外装体と、この外装体に取り付けられた、吸収体を含む内装体とを備え、前身頃における外装体の両側部と後身頃における外装体の両側部とがそれぞれ接合され、この接合された部分と対応する前後方向範囲が環状の胴周り部となるとともに、ウエスト開口部及び左右一対の脚開口部が形成された、パンツタイプ使い捨ておむつであり、
前記伸縮構造は、前記外装体における少なくとも内装体の幅方向両側を含む領域に、前記弾性伸縮部材が幅方向に沿うように、かつ前記エアスルー不織布が外側で前記スパンボンド不織布が内側となるように設けられている、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品の伸縮構造。
【0018】
(作用効果)
本発明の伸縮構造は、このようにパンツタイプ使い捨ておむつの外装体における少なくとも内装体の幅方向両側を含む領域に好適なものである。特に、外装体の外面がエアスルー不織布により形成されるため、製品外面の襞の見栄えが悪化しにくくなり、また製品外面を手で触ったときの柔軟性に富むものとなる。
【0019】
<請求項6記載の発明>
スパンボンド不織布及びエアスルー不織布のいずれか一方からなる第1シート層と、他方からなる第2シート層とを用い、
【0020】
前記エアスルー不織布の毛羽面が前記スパンボンド不織布と対向するように配置した前記第1シート層及び第2シート層の間に、伸縮方向に沿ってかつ互いに間隔を空けて複数本の細長状の弾性伸縮部材を挟み、
前記第1シート層及び第2シート層を、前記弾性伸縮部材の長手方向に間欠的、かつ前記弾性伸縮部材と交差する方向に細長く連続する縞状のパターンで配置したホットメルト接着剤を介して接合することによりシート接合部を形成する、
ことを特徴とする吸収性物品の伸縮構造の製造方法。
【0021】
(作用効果)
請求項1記載の発明と同様の作用効果を奏する。
【0022】
<請求項7記載の発明>
前記シート接合部の形成に際し、
前記ホットメルト接着剤を、前記スパンボンド不織布における前記エアスルー不織布側の面に、前記弾性伸縮部材の長手方向に間欠的、かつ前記弾性伸縮部材と交差する方向に細長く連続する縞状のパターンで塗布し、
前記エアスルー不織布の毛羽面には前記ホットメルト接着剤を塗布しない、
請求項6記載の吸収性物品の伸縮構造の製造方法。
【0023】
(作用効果)
請求項2記載の発明と同様の作用効果を奏する。
【0024】
<請求項8記載の発明>
前記ホットメルト接着剤として、温度140℃における溶融粘度が10,000〜40,000mpas、温度160℃における溶融粘度が5,000〜10,000mpasのものであり、かつループタック粘着力が10〜500g/25mmのものを用いる、
請求項6又は7記載の吸収性物品の伸縮構造の製造方法。
【0025】
(作用効果)
請求項3記載の発明と同様の作用効果を奏する。
【0026】
<請求項9記載の発明>
版ロールの周方向が伸縮方向となるように、前記第1シート層及び第2シート層の少なくとも一方を版ロールと接触させ、版ロールの外周面上に周方向に間欠的かつ軸方向に連続的となる縞状のパターンで保持された前記ホットメルト接着剤を、当該第1シート層及び第2シート層の少なくとも一方に転写するホットメルト接着剤塗布工程と、
少なくとも一方に前記ホットメルト接着剤が転写された第1シート層及び第2シート層間に、前記弾性伸縮部材を挟む圧着工程とを有し、
前記ホットメルト接着剤塗布工程で、前記版ロールの外周面における各ホットメルト接着剤の周方向の幅を0.5〜4mmとし、隣り合うホットメルト接着剤の周方向の間隔を4〜8mmとする、
請求項6〜8のいずれか1項に記載の吸収性物品の伸縮構造の製造方法。
【0027】
(作用効果)
請求項4記載の発明と同様の作用効果を奏する。また、このようなロール転写によるパターン塗布は、ホットメルト接着剤の幅を細く塗布できるが、糸引きや飛散も発生しやすい。よって、本発明を適用するのに特に好適である。
【発明の効果】
【0028】
以上のとおり、本発明によれば、意図しない接着に起因する襞の見栄えの悪化を防止できるようになる、等の利点がもたらされる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ詳説する。
図1〜
図6は、パンツタイプ使い捨ておむつの一例100を示している。このパンツタイプ使い捨ておむつ100は、製品外面(裏面)をなす外装体12と、外装体12に貼り付けられた内装体200とから構成されているものである。符号201は内装体200と外装体12との接合領域を示しており、符号Yはおむつの全長を示しており、符号Xはおむつの全幅を示している。
【0031】
内装体200は、尿等の排泄物等を吸収保持する部分であり、外装体12は内装体200を身体に装着するための部分である。なお、断面図における点模様部分は各構成部材を接合する接合部分を示しており、ホットメルト接着剤などのベタ、ビード、カーテン、サミット又はスパイラル塗布などにより形成されるものである。
【0032】
(内装体)
内装体200は任意の形状を採ることができるが、図示の形態では長方形である。内装体200は、
図3〜
図5に示されるように、肌に接する側となるトップシート30と、液不透過性シート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えているものであり、吸収機能を担う本体部である。符号40は、トップシート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させるために、トップシート30と吸収要素50との間に設けられた中間シート(セカンドシート)を示しており、符号60は、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、内装体200の両側に設けられた、装着者の肌側に起立する立体ギャザー60を示している。
【0033】
(トップシート)
トップシート30は、液を透過する性質を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを例示することができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンボンド法、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、エアスルー法、ポイントボンド法、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
【0034】
また、トップシート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、トップシート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
【0035】
立体ギャザー60を設ける場合、トップシート30の両側部は、液不透過性シート11と立体ギャザー60との間を通して、吸収要素50の裏側まで回り込ませ、液の浸透を防止するために、液不透過性シート11及び立体ギャザー60に対してホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。
【0036】
(中間シート)
トップシート30と吸収要素50との間には中間シート(「セカンドシート」とも呼ばれている)40を設けることができる。この中間シート40は、液を速やかに吸収体56側へ移行させて吸収体56による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収体56からの吸収液の逆戻り現象を防止し、トップシート30の表面を乾燥した肌触りとするためのものである。中間シート40は省略することもできる。
【0037】
中間シート40としては、トップシート30と同様の素材や、スパンレース、スパンボンド、SMS、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布が嵩高であるため好ましい。エアスルー不織布には芯鞘構造の複合繊維を用いるのが好ましく、この場合芯に用いる樹脂はポリプロピレン(PP)でも良いが剛性の高いポリエステル(PET)が好ましい。目付けは20〜80g/m
2が好ましく、25〜60g/m
2がより好ましい。不織布の原料繊維の太さは2.2〜10dtexであるのが好ましい。不織布を嵩高にするために、原料繊維の全部又は一部の混合繊維として、芯が中央にない偏芯の繊維や中空の繊維、偏芯且つ中空の繊維を用いるのも好ましい。
【0038】
図示の形態の中間シート40は、吸収体56の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の長手方向長さは、吸収体56の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
【0039】
(液不透過性シート)
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等からなるプラスチックフィルムや、不織布の表面にプラスチックフィルムを設けたラミネート不織布、プラスチックフィルムに不織布等を重ねて接合した積層シートなどを例示することができる。液不透過性シート11には、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている不透液性かつ透湿性を有する素材を用いることが好ましい。透湿性を有するプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性プラスチックフィルムが広く用いられている。この他にも、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、プラスチックフィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
【0040】
液不透過性シート11は、防漏性を高めるために、吸収要素50の両側を回り込ませて吸収要素50のトップシート30側面の両側部まで延在させることもできる。
【0041】
また、液不透過性シート11の内側、特に吸収体56側面に、液分の吸収により色が変化する排泄インジケータを設けることができる。
【0042】
(立体ギャザー)
立体ギャザー60は、内装体200の両側部に沿って前後方向全体にわたり延在する帯状部材であり、トップシート30上を伝わって横方向に移動する流動性排泄物(尿や軟便等)を遮断し、横漏れを防止するために設けられているものである。本実施の形態の立体ギャザー60は、内装体200の側部から起立するように設けられ、付け根側の部分は幅方向中央側に向かって斜めに起立し、中間部より先端側の部分は幅方向外側に向かって斜めに起立するものである。この形態は面接触タイプの立体ギャザーであるが、幅方向外側に折り返されない線接触タイプの立体ギャザー(図示略)も採用することができる。
【0043】
より詳細には、立体ギャザー60は、内装体200の前後方向長さに等しい長さを有する帯状のギャザーシート62を幅方向に折り返して二つに折り重ねるとともに、折り返し部分及びその近傍のシート間に、細長状弾性伸縮部材63を長手方向に沿って伸長状態で、幅方向に間隔を空けて複数本固定してなるものである。立体ギャザー60のうち幅方向において折り返し部分と反対側の端部は内装体200の側縁部の裏面に固定された取付部分65とされ、この取付部分65以外の部分は取付部分65から突出する突出部分66(折り返し部分側の部分)とされている。また、突出部分66のうち前後方向両端部は、取付部分65から内装体200の側部を通りトップシート30の側部表面まで延在し、かつこのトップシート30の側部表面に対してホットメルト接着剤67等の固定手段により固定された倒伏部分とされ、突出部分66のうち前後方向中間部は非固定の自由部分とされ、少なくともこの自由部分の前後方向全体にわたり、前後方向に沿う細長状弾性部材63が伸長状態で固定されている。
【0044】
ギャザーシート62としてはスパンボンド不織布(SS、SSS等)やSMS不織布(SMS、SSMMS等)、メルトブロー不織布等の柔軟で均一性・隠蔽性に優れた不織布に、必要に応じてシリコンなどにより撥水処理を施したものを好適に用いることができ、繊維目付けは10〜30g/m
2程度とするのが好ましい。細長状弾性伸縮部材63としては糸ゴム等を用いることができる。スパンデックス糸ゴムを用いる場合は、太さは470〜1240dtexが好ましく、620〜940dtexがより好ましい。固定時の伸長率は、150〜350%が好ましく、200〜300%がより好ましい。なお、用語「伸長率」は自然長を100%としたときの値を意味する。また、図示のように、二つに折り重ねたギャザーシートの間に防水フィルム64を介在させることもできる。
【0045】
立体ギャザー60の自由部分に設けられる細長状弾性伸縮部材63の本数は2〜6本が好ましく、3〜5本がより好ましい。配置間隔60dは3〜10mmが適当である。このように構成すると、細長状弾性伸縮部材63を配置した範囲で肌に対して面で当たりやすくなる。先端側だけでなく付け根側にも細長状弾性伸縮部材63を配置しても良い。
【0046】
立体ギャザー60の取付部分65の固定対象は、内装体200におけるトップシート30、液不透過性シート11、吸収要素50等適宜の部材とすることができる。
【0047】
かくして構成された立体ギャザー60では、細長状弾性伸縮部材63の収縮力が前後方向両端部を近づけるように作用するが、突出部分66のうち前後方向両端部が倒伏状態に固定されるのに対して、それらの間は非固定の自由部分とされているため、自由部分のみが
図3に示すように身体側に当接するように起立する。特に、取付部分65が内装体200の裏面側に位置していると、股間部及びその近傍において立体ギャザー60が幅方向外側に開くように起立するため、立体ギャザー60が脚周りに面で当接するようになり、フィット性が向上するようになる。
【0048】
なお、図示形態と異なり、内装体200の左右各側において立体ギャザーを二重に(二列)設けることもできる。
【0049】
(吸収要素)
吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の全体を包む包装シート58とを有する。包装シート58は省略することもできる。
【0050】
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m
2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m
2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。吸収体56中には高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。
【0051】
吸収体56は長方形形状でも良いが、
図1及び
図2にも示すように、前端部、後端部及びこれらの間に位置し、前端部及び後端部と比べて幅が狭い括れ部とを有する砂時計形状を成していると、吸収体56自体と立体ギャザー60の、脚周りへのフィット性が向上するため好ましい。
【0052】
また、吸収体56の寸法は適宜定めることができるが、前後方向及び幅方向において、内装体の周縁部又はその近傍まで延在しているのが好ましい。なお、符号56Xは吸収体56の幅を示している。
【0053】
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56には、その一部又は全部に高吸収性ポリマー粒子を含有させることができる。高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子の粒径は、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、1000μm以下、特に150〜400μmのものが望ましい。高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
【0054】
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が40秒を超えると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に逆戻りしやすくなる。
【0055】
また、高吸収性ポリマー粒子としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、かさだかな吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
【0056】
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m
2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m
2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m
2を超えると、効果が飽和する。
【0057】
必要であれば、高吸収性ポリマー粒子は、吸収体56の平面方向で散布密度あるいは散布量を調整できる。例えば、液の排泄部位を他の部位より散布量を多くすることができる。男女差を考慮する場合、男用は前側の散布密度(量)を高め、女用は中央部の散布密度(量)を高めることができる。また、吸収体56の平面方向において局所的(例えばスポット状)にポリマーが存在しない部分を設けることもできる。
【0058】
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMS不織布(SMS、SSMMS等)が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン複合材などを使用できる。目付けは、5〜40g/m
2、特に10〜30g/m
2のものが望ましい。
【0059】
包装シート58の包装形態は適宜定めることができるが、製造容易性や前後端縁からの高吸収性ポリマー粒子の漏れ防止等の観点から、吸収体56の表裏面及び両側面を取り囲むように筒状に巻き付け、かつその前後縁部を吸収体56の前後からはみ出させ、このはみ出し部分を表裏方向に潰してホットメルト接着剤等の接合手段により接合する形態が好ましい。
【0060】
(外装体)
外装体12は、前後方向中央から腹側に延在する前身頃Fを構成する部分と、前後方向中央から背側に延在する後身頃Bを構成する部分とを有し、これら前身頃Fの両側部と後身頃Bの両側部とが接合されて、
図6に示すように、装着者の胴を通すためのウエスト開口WO及び脚を通すための左右一対の脚開口LOが形成されているものである。符号12Aは接合部分を示している(以下、この部分をサイドシール部ともいう)。なお、股間部とは、展開状態における前身頃Fのウエスト縁から後身頃Bのウエスト縁までの前後方向中央を意味し、それよりも前側の部分及び後側の部分が前身頃F及び後身頃Bをそれぞれ意味する。
【0061】
外装体12は、ウエスト開口WOから脚開口LOの上端に至る前後方向範囲として定まる胴周り部Tと、脚開口LOを形成する部分の前後方向範囲(前身頃Fのサイドシール部12Aを有する前後方向領域と後身頃Bのサイドシール部12Aを有する前後方向領域との間)として定まる中間部Lとを有する。胴周り部Tは、概念的にウエスト開口の縁部を形成するウエスト縁部Wと、これよりも下側の部分であるウエスト下方部Uとに分けることができる。通常、胴周り部T内に幅方向伸縮応力が変化する境界(例えば弾性伸縮部材の太さや伸長率が変化する)を有する場合は、最もウエスト開口WO側の境界よりもウエスト開口WO側がウエスト縁部Wとなり、このような境界が無い場合は吸収体56又は内装体200よりもウエスト開口WO側がウエスト縁部Wとなる。これらの縦方向の長さは、製品のサイズによって異なり、適宜定めることができるが、一例を挙げると、ウエスト縁部Wは15〜40mm、ウエスト下方部Uは65〜120mmとすることができる。一方、中間部Lの両側縁は被着者の脚周りに沿うように括れており、ここが着用者の脚を入れる部位となる。この結果、外装体12は、全体としては略砂時計形状をなしている。外装体12の括れの程度は適宜定めることができ、
図1〜
図6に示す形態のように、すっきりとした外観とするために最も幅が狭い部分では内装体200の幅より狭くすることが好ましいが、最も幅が狭い部分でも内装体200の幅以上となるように定めてもよい。
【0062】
外装体12は、
図3〜
図5に示されるように、不織布からなる第1シート層12S及び不織布からなる第2シート層12Hにより表裏が形成されている。また、外装体12には、身体へのフィット性を高めるために、吸収体56よりもウエスト開口WO側に幅方向に連続する連続伸縮領域A3を有するとともに、吸収体56を有する前後方向範囲に、幅方向中間に設けられた非伸縮領域A1と、この非伸縮領域A1の幅方向両側に設けられた間欠伸縮領域A2とを有しており、連続伸縮領域A3及び間欠伸縮領域A2における第1シート層12S及び第2シート層12H間には、糸ゴム等の細長状弾性伸縮部材19(15〜17)が幅方向に沿って所定の伸長率で取り付けられて、幅方向に伸縮可能(幅方向が伸縮方向)とされている。細長状弾性伸縮部材19としては、合成ゴムを用いても、天然ゴムを用いても良い。図示形態における非伸縮領域A1及び間欠伸縮領域A2を有する前後方向範囲の一部又は全部について、幅方向全体にわたり連続伸縮領域A3としたり、図示形態における非伸縮領域A1の前後方向範囲をウエスト側又は股間側に拡大したりしても良い。
【0063】
図示形態についてより詳細に説明すると、まず外装体12のウエスト部Wは連続伸縮領域A3とされており、第1シート層12S及び第2シート層12H間には、幅方向全体にわたり連続するように、複数のウエスト部弾性伸縮部材17が前後方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で取り付けられている。ウエスト部弾性伸縮部材17のうちウエスト下方部Uに隣接する部分に配設される1本又は複数本については吸収体56と重なっていてもよい。ウエスト部Wにおけるウエスト下方部Uに隣接する部分は、ウエスト下方部Uと同様に非伸縮領域A1及び間欠伸縮領域A2を有する領域としても良い。ウエスト部弾性伸縮部材17としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm
2、特に0.1〜1.0mm
2程度)の糸ゴムを、5〜20mm、特に8〜16mmの間隔で3〜22本程度、それぞれ伸長率150〜400%、特に220〜320%程度で取り付けるのが好ましい。また、ウエスト部弾性伸縮部材17は、その全てを同じ太さと伸長率にする必要はなく、例えばウエスト部Wの上部と下部で弾性伸縮部材の太さと伸長率が異なるようにしてもよい。
【0064】
また、外装体12のウエスト下方部Uの第1シート層12S及び第2シート層12H間には、非伸縮領域A1を除いて、その上側及び幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、細長状弾性伸縮部材からなるウエスト下方部弾性伸縮部材15が複数本、前後方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で取り付けられている。ウエスト下方部弾性伸縮部材15としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm
2、特に0.1〜1.0mm
2程度)の糸ゴムを、5〜20mm、特に8〜16mmの間隔で5〜30本程度、それぞれ伸長率200〜350%、特に240〜300%程度で取り付けるのが好ましい。
【0065】
さらに、外装体12の中間部Lにおける第1シート層12S及び第2シート層12H間には、非伸縮領域A1を除いて、その幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、細長状弾性伸縮部材からなる中間部弾性伸縮部材16が複数本、前後方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で取り付けられている。カバー部弾性伸縮部材16としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm
2、特に0.1〜1.0mm
2程度)の糸ゴムを、5〜20mm、特に8〜16mmの間隔で2〜10本程度、それぞれ伸長率150〜300%、特に180〜260%で取り付けるのが好ましい。
【0066】
なお、図示形態の間欠伸縮領域A2のように、外装体12に設けられる弾性伸縮部材19(図示形態ではウエスト下方部弾性伸縮部材15及び中間部弾性伸縮部材16)が、非伸縮領域A1を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けられていると、当該非伸縮領域A1において吸収体56の幅方向収縮が防止される。よって、非伸縮領域A1は、吸収体56と幅方向に重なる部分の一部又は全部を含む幅方向中間(好ましくは内装体200と外装体12との接合領域201の全体を含む)の領域とされ、その幅方向両側におけるサイドシール部12Aまでの幅方向全体が間欠伸縮領域A2とされることが好ましい
【0067】
(外装体分割構造)
図示例では、前身頃Fから後身頃Bまでを一体的な外装体12により連続的に覆っているが、前身頃Fを形成する外装体と後身頃Bを形成する外装体とが股間側で連続しておらず、離間されている形態とすることもでき(図示略)、その場合、内装体200の外面のうち、前身頃Fを形成する外装体と後身頃Bを形成する外装体との間に露出する部分を覆う股間部外装体を貼り付けることもできる。股間部外装体としては、前述した外装体に用いられるものと同様の資材を用いることができる。
【0068】
(伸縮構造について)
本パンツタイプ使い捨ておむつにおいては、ウエスト部Wから中間部Lにかけての領域に本発明の伸縮構造が採用されている。すなわち、当該部分は、
図4、
図7及び
図11に示すように、第1シート層12S及び第2シート層12Hの間に、伸縮方向に沿ってかつ互いに間隔を空けて複数本の細長状の弾性伸縮部材19が設けられており、弾性伸縮部材19の両端部19fは、第1ホットメルト接着剤71を介して、第1シート層12S及び第2シート層12Hの少なくとも一方に固定された固定端部19fとされており、第1シート層12S及び第2シート層12Hは、少なくとも弾性伸縮部材19の両端部19fの間と対応する伸縮方向範囲で、弾性伸縮部材19の長手方向に間欠的、かつ弾性伸縮部材19と交差する方向に細長く連続する縞状のパターンで配置された第2ホットメルト接着剤72を介して接合されたシート接合部70を有している。
【0069】
(ホットメルト接着剤)
第1ホットメルト接着剤71及び第2ホットメルト接着剤72としては、例えばEVA系、粘着ゴム系(エラストマー系)、オレフィン系、ポリエステル・ポリアミド系などの種類のものが存在し、特に限定無く使用できる。第1ホットメルト接着剤71及び第2ホットメルト接着剤72は同じものを使用することもできる。また、第2ホットメルト接着剤72と弾性伸縮部材19との交差位置では、第2ホットメルト接着剤72を介して弾性伸縮部材19を第1シート層12S及び第2シート層12Hの少なくとも一方に固定できるため、第2ホットメルト接着剤72のみで十分に弾性伸縮部材19を固定できるのであれば、第1ホットメルト接着剤71を設けなくても良い。
【0070】
第1ホットメルト接着剤71及び第2ホットメルト接着剤72の両方を用いる場合、第1ホットメルト接着剤71の保持力が、第2ホットメルト接着剤72の保持力よりも高いものであると好ましい。特に、第1ホットメルト接着剤71の保持力は120分超であるのが好ましく、第2ホットメルト接着剤72の保持力は30〜90分であるのが好ましい。
【0071】
また、一般に溶融粘度の高いホットメルト接着剤は保持力が高いため、第1ホットメルト接着剤71の溶融粘度は、第2ホットメルト接着剤72の溶融粘度よりも高いことが望ましい。具体的には、第1ホットメルト接着剤71は温度140℃における溶融粘度が10,000〜40,000mpas、温度160℃における溶融粘度が5,000〜10,000mpasのものが好ましく、第2ホットメルト接着剤72は温度140℃における溶融粘度が3,000〜7,000mpas、温度160℃における溶融粘度が1,000〜4,000mpasのものが好ましい。
【0072】
また、ループタック粘着力が高いホットメルト接着剤は不織布同士の接着に適しているため、第2ホットメルト接着剤72のループタック粘着力が、第1ホットメルト接着剤71のループタック粘着力よりも高いことが望ましい。具体的には、第1ホットメルト接着剤71のループタック粘着力は10〜500g/25mmのものが好ましく、第2ホットメルト接着剤72のループタック粘着力は1,000g/25mm以上のものが好ましい。
【0073】
さらに、第1ホットメルト接着剤71の剥離強度が縦横ともに100cN/25mm以上であり、第2ホットメルト接着剤72の剥離強度が縦横ともに100cN/25mm以上であると、より好ましい。
【0074】
このような要件を満たす第1ホットメルト接着剤71としては、ホットメルト接着剤メーカーから容易に入手することができる。
【0075】
第1ホットメルト接着剤71及び第2ホットメルト接着剤72の目付け(塗布量)は適宜定めることができるが、3〜30g/m
2の範囲内とすることが好ましく、特に10〜20g/m
2の範囲内とすることが好ましい。
【0076】
(弾性伸縮部材の固定)
図4、
図7及び
図11に示すように、連続伸縮領域A3及び間欠伸縮領域A2における弾性伸縮部材19は、その幅方向両端部19fが第1ホットメルト接着剤71を介して第1シート層12S及び第2シート層12Hに固定された固定端部19fとされている。図示形態のように、外装体12における幅方向中間部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けられている弾性伸縮部材19の場合には、幅方向両側の各弾性伸縮部材19の両端部19fが固定端部19fとされ、外装体12の幅方向全体にわたり連続する弾性伸縮部材19の場合には、弾性伸縮部材19における外装体12の幅方向両端部19fに位置する部分が固定端部19fとされる。
【0077】
第1ホットメルト接着剤71は、
図7、
図8、
図11及び
図13に示すように弾性伸縮部材19と直交する方向に間欠的に、かつ弾性伸縮部材19と重なる位置にのみ配置する他、
図9及び
図15に示すように複数の弾性伸縮部材19の端部にわたるように前後方向に連続するパターンで配置することもできる。第1ホットメルト接着剤71は、第1シート層12S及び第2シート層12Hの少なくとも一方に対してスロットコート、カーテンコート等により塗布する他、各弾性伸縮部材19の端部の部位にのみ塗布する場合には、コームガンやシュアラップノズル等の塗布手段により弾性伸縮部材19の両端部となる部分の外周面にのみ塗布しても良い。
【0078】
間欠伸縮領域A2における幅方向中央側の固定端部19fを固定する場合、
図7及び
図9に示すように幅方向に間隔を空けて左右個別に第1ホットメルト接着剤71を配置する他、
図8及び
図10に示すように左右の固定端部19fにわたり連続的に第1ホットメルト接着剤71を配置することもできる。
【0079】
サイドシール部12Aは超音波シールやヒートシールにより溶着され、硬質化した部分であるため、
図18(a)に示すようにサイドシール部12A側の固定端部19fがサイドシール部12Aに位置していると、保持力の高い、つまり硬質な第1ホットメルト接着剤71の存在によってサイドシール部12Aが必要以上に硬くなるおそれがある。よって、サイドシール部12A側の固定端部19fは、
図18(b)に示すようにサイドシール部12Aに隣接又は幅方向中央側に離間していることが好ましい。なお、この
図18(b)に示される形態からも理解されるように、第1ホットメルト接着剤71による接着部位は、伸縮領域A2,A3の伸縮方向の端部であれば良く、図示形態のように弾性伸縮部材19の両端部とする必要はなく、例えば弾性伸縮部材19の少なくとも一端部は第1ホットメルト接着剤71による接着部位とせず、弾性伸縮部材19の端部の近傍等の適宜の位置に第1ホットメルト接着剤71による接着部位を設けても良い。
【0080】
第1ホットメルト接着剤71による各接着部位の少なくとも一部は、
図12(d)(f)(g)、
図14(d)(g)、及び
図16(d)(f)(g)に示すように、第2ホットメルト接着剤72を介さずに弾性伸縮部材19と第1シート層12S及び第2シート層12Hの少なくとも一方とを接着することが好ましい。第1ホットメルト接着剤71の保持力が第2ホットメルト接着剤72より高い場合であっても、接着対象間に第1ホットメルト接着剤71の層及び第2ホットメルト接着剤72の層が介在する場合(二重塗布の場合)、第2ホットメルト接着剤72の層のみが介在する場合と比べるならば弾性伸縮部材19の固定力は高くなるものの、第2ホットメルト接着剤72の層が介在する分だけ当該層の凝集破壊が起こりやすく、弾性伸縮部材19の固定力は低下するからである。
【0081】
このため、弾性伸縮部材19の通過位置において第1ホットメルト接着剤71の位置と第2ホットメルト接着剤72の位置とが重ならないように配置することも考えられる(図示略)。ただし、このように第1ホットメルト接着剤71及び第2ホットメルト接着剤72の位置を異なるものとする場合、それぞれ間欠的に塗布することが必要となり、その正確な位置制御は少なからず困難である。
【0082】
よって、
図7〜9、
図11〜
図16に示すように、第2ホットメルト接着剤72は少なくとも伸縮方向に間欠的なパターンで、弾性伸縮部材19の固定端部19fの位置を含めて配置(二重塗布)し、弾性伸縮部材19の通過位置で第1ホットメルト接着剤71を各第2ホットメルト接着剤72の幅よりも長く伸縮方向に連続させるのは好ましい形態である。これにより、第1ホットメルト接着剤71の配置部分において、第1ホットメルト接着剤71及び第2ホットメルト接着剤72の重なる二重部分が一部形成されるものの、第2ホットメルト接着剤72間に第1ホットメルト接着剤71の一重部分も確実に形成されるため、弾性伸縮部材19の両端部19fを第1ホットメルト接着剤71のみを介して接着することができる。この場合における第1ホットメルト接着剤71の連続幅71wは適宜定めれば良いが、第2ホットメルト接着剤72の幅72wの5倍以上であることが好ましく、また、隣接する第2ホットメルト接着剤72の伸縮方向の間隔72dの1.5倍以上であることが好ましい。通常の場合、第1ホットメルト接着剤71が第2ホットメルト接着剤72を介さずに弾性伸縮部材19を接着する部分の総幅は5〜30mm程度とすることが好ましい。また、第2ホットメルト接着剤72の好ましい間欠パターンとしては後述する交差方向連続接合形態を例示することができる。
【0083】
(第2ホットメルト接着剤によるシート接合)
第2ホットメルト接着剤72は、少なくとも弾性伸縮部材19の固定端部19f間の幅方向範囲内において第1シート層12S及び第2シート層12Hを接合するものであり、どの程度の範囲に配置されていても良いが、図示形態のように、弾性伸縮部材19の固定端部19fを含む伸縮領域A2,A3の全体にわたり一様なパターンで設けられていることが好ましい。
【0084】
図7〜
図16に示すように、第2ホットメルト接着剤72を介して第1シート層12S及び第2シート層12Hが接合されたシート接合部70が、弾性伸縮部材19の長手方向に間欠的、かつ弾性伸縮部材19と交差する方向に連続的となる縞状のパターンで配置される交差方向連続接合形態では、弾性伸縮部材19は、固定端部19fにおいて少なくとも第1ホットメルト接着剤71を介して第1シート層12S及び第2シート層12Hの少なくとも一方に固定されるとともに、シート接合部70と交差する位置で第1シート層12S及び第2シート層12Hの少なくとも一方に第2ホットメルト接着剤72を介して固定されることとなる。
【0085】
そして、この交差方向連続接合形態では、弾性伸縮部材19の収縮に伴い、
図11(b)、
図13(b)及び
図15(b)にそれぞれ示すように、第1シート層12S及び第2シート層12Hにおけるシート接合部70間に位置する部分がそれぞれ収縮し、互いに反対向きに膨らんで襞80が形成される。
図11(b)、
図13(b)及び
図15(b)は自然長の状態であるが、装着時にはこの状態から弾性伸縮部材19がある程度まで伸長され、
図11(c)、
図13(c)及び
図15(c)に示すように、襞80の裾が広がり、それに伴い襞80の高さ80hが低くなる。また、この伸縮構造は、交差方向連続接合形態であるため、シート接合部70に沿って真直ぐに延びる襞80が形成され、通気性、見栄えに優れるものである。
【0086】
図11及び
図12に示す形態は、第1シート層12Sにおける第2シート層12H側の面に、伸縮方向には間欠的にかつ伸縮方向と交差する方向には所定の幅で連続的に接着剤71を塗布し、第2シート層12Hにおける第1シート層12S側の面には、接着剤71を塗布せずに、第1シート層12S及び第2シート層12H間に弾性伸縮部材19を伸長状態で挟み、第1シート層12S及び第2シート層12H、並びに第1シート層12S及び弾性伸縮部材19をそれぞれ第2ホットメルト接着剤72により接合したものである。この場合、シート接合部70と弾性伸縮部材19とが交差する部分のうち、弾性伸縮部材19の第1シート層12S側で第2ホットメルト接着剤72が伸縮方向と交差する方向に連続することにより弾性伸縮部材19が第2ホットメルト接着剤72を介して第1シート層12Sに固定されるとともに、弾性伸縮部材19の第2シート層12H側では第2ホットメルト接着剤72が伸縮方向と交差する方向に不連続となる。
図12(e)中にはこの不連続となる部分を符号73により示している。第2シート層12Hにおいて第2ホットメルト接着剤72が間欠的に存在することより第2シート層12Hの柔軟性の低下、ひいては第1シート層12S及び第2シート層12Hの全体としての柔軟性の低下を抑制できる。また、弾性伸縮部材19はシート接合部70と交差する部分では第1シート層12S側だけ第2ホットメルト接着剤72が連続するとはいえ、弾性伸縮部材19の両側はシート接合部70により第1シート層12S及び第2シート層12Hが一体化しているから、弾性伸縮部材19の収縮力は第1シート層12S及び第2シート層12Hの実質的に同一に作用し、第1シート層12S及び第2シート層12Hの両者に均等な襞を形成することができる。
【0087】
なお、第1シート層12S及び第2シート層12Hに同様のパターンで接着剤71を塗布することも可能である。この場合、
図13及び
図14に示すように、シート接合部70と弾性伸縮部材19とが交差する部分のうち、弾性伸縮部材19の第1シート層12S側及び第2シート層12H側の両方で第2ホットメルト接着剤72が伸縮方向と交差する方向に所定の幅で連続するため、弾性伸縮部材19をより強固に固定できる利点がある。また、図示しないが第2シート層12Hに第2ホットメルト接着剤72を塗布し、第1シート層12Sには第2ホットメルト接着剤72を塗布せずに弾性伸縮部材19を挟み込んで固定することも可能である。ただし、これらの形態は、第2シート層12Hにおいて第2ホットメルト接着剤72が連続するため、肌に接触させる第2シート層12Hそのものの柔軟性の低下だけでなく、その柔軟性の低下部分が弾性伸縮部材19により肌に押し付けられるため、あまり好ましくない。よって、
図11及び
図12に示す形態のように第2シート層12Hのように装着者の肌に接触する面を有する側は第2ホットメルト接着剤72が連続しないことが望ましい。
【0088】
このような形態では、各シート接合部70の伸縮方向の幅70wは0.5〜4mm(特に0.5〜1mm)とされ、隣り合うシート接合部70の間隔70dが4〜8mm(特に5〜7mm)とされていると好ましい。基本的に、シート接合部70の伸縮方向の幅70wが狭すぎると第2ホットメルト接着剤72の塗布が困難となり、広すぎると柔軟性が低下する。さらに、各シート接合部70の伸縮方向の幅70wは隣り合う襞80の間隔に影響を及ぼすものであり、交差方向連続接合形態のように、形成される襞80が薄い場合にこの幅が4mmを超えると、隣り合う襞80の間が広くなり過ぎ、個々の襞80が独立した見栄えとなるだけでなく、厚み方向の圧縮力により襞80が潰れ広がる、倒れる等の変形をするとき、隣り合う襞80が支え合う作用が弱くなる結果、変形に対する抵抗あるいは変更後の復元も弱くなり、結果的にフンワリ感が不十分となってしまう。
【0089】
しかも、単にシート接合部70の伸縮方向の幅70wを0.5〜4mmとするだけで、隣り合うシート接合部70の間隔70dを4mm未満又は8mm超とした場合には次のようになる。すなわち、隣り合うシート接合部70の間隔70dは襞80の高さ80hや幅に影響するものであり、隣り合うシート接合部の間隔が2mm程度であると伸縮方向に連続固定した場合と同様の縦方向の連続性に乏しい襞80となってしまい(伸縮方向に間欠的にシート接合部70を設ける意味が無くなる)、3mmでは襞80は伸縮方向と直交する方向に真直ぐに延びるが、隣り合う襞80が支え合う作用は期待できず、フンワリ感は不足する。また、シート接合部70の間隔70dが8mmを超えると、包装時の圧縮により襞80が不規則に潰れてしまい、製品の見栄えが悪くなる。これに対して、シート接合部70の伸縮方向の幅70wを0.5〜4mmとし、かつシート接合部70の間隔70dを4〜8mmとしたときに初めて、十分なフンワリ感が得られ、また、包装時の圧縮により襞80が不規則に潰れにくいものとなる。
【0090】
なお、シート接合部70の幅70wは柔軟性を高めるためには狭く、例えば1mm以下とすることが望ましいが、第2ホットメルト接着剤72による弾性伸縮部材19の固定力の低下は避けられないため、前述のように固定端部19fではより保持力の高い第1ホットメルト接着剤71を介して固定することは非常に重要となる。
【0091】
隣り合う弾性伸縮部材19の間隔19dは適宜定めることができるが、10mmを超えると、縦方向間欠接合形態ほどではないが、襞80の厚みが伸縮方向と交差する方向に変化し、もこもことしてくるため、本発明では、隣り合う弾性伸縮部材19の間隔19dは10mm以下、特に3〜7mmとすることが好ましい。
【0092】
シート接合部70(第2ホットメルト接着剤72)の形状は適宜定めることができ、
図17に示すような波状とするほか、弾性伸縮部材19に対して斜め方向に延びる形状とすることもできるが、弾性伸縮部材19に対して直交する方向に延びる形状とすることが好ましい。
【0093】
(第1シート層及び第2シート層について)
特徴的には、第1シート層12S及び第2シート層12Hのいずれか一方がスパンボンド不織布からなり、かつ他方がエアスルー不織布からなり、このエアスルー不織布はスパンボンド不織布側の面が毛羽面とされる。このように、ホットメルト接着剤の接着性に乏しい毛羽面を敢えて一方の接着面とし、他方の接着面はホットメルト接着剤の接着性に富むスパンボンド不織布を用いると、第2ホットメルト接着剤72の糸引きや飛散があっても、そのような不十分な接着条件では第1シート層12S及び第2シート層12Hは接着されないか、又は多少接着されたとしてもすぐに剥がれるため、意図しない接着による襞80の見栄えの悪化が効果的に防止される。また、接着面の両方をエアスルー不織布とすると、本来接着すべきシート接合部70における接着も不十分になるおそれがあるが、本発明では、第2ホットメルト接着剤72の接着性に富むスパンボンド不織布と組み合わせることにより、シート接合部70では確実な接着が可能となり、結果的に見栄えに優れる襞80が形成されるようになる。
【0094】
エアスルー不織布及びスパンボンド不織布のいずれを外側とし、いずれを内側とするかは適宜定めることができるが、製品外面の襞80の見栄えが悪化しにくくなり、また製品外面を手で触ったときの柔軟性に富むものとなるという観点からは、エアスルー不織布を外側(つまり図示形態の第1シート層12S)とし、スパンボンド不織布を内側(つまり図示形態の第2シート層12H)とすることが望ましい。
【0095】
エアスルー不織布及びスパンボンド不織布の原料繊維が何であるかは特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。柔軟性を重視する場合には、第1シート層12S及び第2シート層12Hの少なくとも一方として、ポリプロピレン(PP)又はそのコポリマー(例えばポリエチレンや、エチレンを共重合成分として配合したコポリマー)の不織布(以下、PP系不織布ともいう)や、ポリエチレン(PE)を鞘に、ポリプロピレン(PP)を芯成分にした芯鞘繊維(PE/PP)の不織布を用いるのが好ましい。
【0096】
スパンボンド不織布は単層のものの他、スパンボンド層を複数積層してなるスパンボンド不織布、例えばSS不織布(二層)や、SSS不織布(三層)を好適に用いることができ、四層以上のものを用いることもできる。
【0097】
エアスルー不織布及びスパンボンド不織布の厚みや目付けは特に限定されないが、厚みは0.1〜1mm、目付は10〜20g/m
2程度であることが望ましい。
【0098】
このように、第1シート層12S及び第2シート層12Hを異なる素材とする場合、本発明の伸縮構造を形成する領域では一枚のシート材を折り返して第1シート層12S及び第2シート層12Hを形成するのではなく、第1シート層12S及び第2シート層12Hを別体のシート材で形成する。
図5に示す形態の外装体12では、ウエスト縁部から中間部Lにかけて本発明の伸縮構造を形成するために、前身頃のウエスト開口WOの縁から後身頃のウエスト開口の縁まで延びる外面側部分、及び前身頃のウエスト開口WOの縁で内側に折り返された折り返し部分12r(内装体200のウエスト開口WO側の端部を被覆するように延びている)を有する第1シート材と、第1シート材の外面側部分の内側に接合された第2シート材とを有しており、第2シート材がウエスト縁部Wから中間部Lまで延在されているが、
図8及び
図10に示す形態のようにウエスト縁部を除いてウエスト下方部Uから中間部Lにかけて本発明の伸縮構造を形成する場合には、第2シート材がウエスト縁部まで延在していなくても良い。この場合、では第1シート材の外面側部分及び折り返し部分12rが第1シート層12S及び第2シート層12Hをそれぞれ形成し、ウエスト下方部U及び中間部Lでは第1シート材及び第2シート材が第1シート層12S及び第2シート層12Hをそれぞれ形成するものとなる。また、図示形態の外装体12のようにシート材を折り返さなくても良い。さらに、第1シート層12S及び第2シート層12Hの少なくとも一方は、その一部が他の部分と異なるシート材により形成されていても良い。
【0099】
(製造方法)
製造に際しては、第1ホットメルト接着剤71を用いる場合には第1ホットメルト接着剤71を弾性伸縮部材19、又は第1シート層12S及び第2シート層12Hの少なくとも一方に塗布し、第2ホットメルト接着剤72を第1シート層12S及び第2シート層12Hの少なくとも一方に塗布し、両シート層12S,12Hを張り合わせるのと同時に弾性伸縮部材19を両シート層12S,12H間に挟み込めばよい。
【0100】
第2ホットメルト接着剤72の塗布方式は特に限定されるものではないが、シート接合部70の伸縮方向の幅70wを細く、例えば1mm以下とする場合、第2ホットメルト接着剤72の塗布幅が狭くなり、カーテンやベタ等のようにノズルから噴射する塗布方式による間欠塗布では塗布が困難なため、細幅塗布に好適なパターンコート(凸版方式でのホットメルト接着剤71の転写)を採用することが望ましい。
図19は、第2ホットメルト接着剤72の塗布にパターンコートを用いた製造フローの一例を示している。すなわち、このパターンコート式の設備例は、第2シート層12Hと、第2シート層12H側の面に第2ホットメルト接着剤72を塗布した第1シート層12Sとの間に弾性伸縮部材19を挟むようにして、一対のニップロール101間に送り込み、圧着させて
図11及び
図12に示す伸縮構造を形成するものである。第1シート層12Sは、ニップロール101に送り込まれる前に、前述のシート接合部70と対応する凸パターン、つまりつまり外周面上に周方向に(搬送方向、MD方向。伸縮方向となる方向である。)に間欠的、かつ軸方向(搬送方向と交差する方向、CD方向)に連続的となる縞状の凸パターンを有する版ロール102と接触され、版ロール102の凸パターン上に保持された第2ホットメルト接着剤72が転写塗布される。符号103は版ロール102の凸パターンに第2ホットメルト接着剤72を所定の厚さで転写塗布するためのホットメルト接着剤供給ロール(凸版印刷におけるアニロックスロール)を示しており、符号104はホットメルト接着剤供給ロール103に第2ホットメルト接着剤72を供給する供給ノズルを示している。
【0101】
図示形態では、弾性伸縮部材19の固定端部19を固定するための第1ホットメルト接着剤71は、弾性伸縮部材19と直交する方向に間欠的に、かつ弾性伸縮部材19と重なるように配置するために、圧着位置よりも上流側における弾性伸縮部材19の搬送過程で、その搬送位置に配置されたノズル105から弾性伸縮部材19の外周面に搬送方向に間欠的に塗布するようになっているが、パターンコートやスプレー、カーテンコート等の適宜のノズルにより、第1シート層12S及び第2シート層12Hの少なくとも一方に対して搬送方向に間欠的に塗布しても良い。
【0102】
(非伸縮領域の形成)
非伸縮領域A1は、両シート層12S,12Hの接合及び弾性伸縮部材19の固定を行った後、非伸縮領域A1とする領域において、弾性伸縮部材19を幅方向中間の1か所又は複数か所で加圧及び加熱により切断するか、又は弾性伸縮部材19のほぼ全体を加圧及び加熱により細かく切断し、間欠伸縮領域A2に伸縮性を残しつつ非伸縮領域A1では伸縮性を殺すことにより構築することができる。
【0103】
図20(a)は、弾性伸縮部材19を幅方向中間の1か所で切断する場合を示しており、周方向の1か所に切断凸部82を有する加圧部81を外周面に備え、切断凸部82が所望の温度に加熱されるシールロール80と、これに対向配置された表面平滑なアンビルロール90とにより、第1シート層12S及び第2シート層12H間に弾性伸縮部材19を取り付けた切断対象を挟み、切断凸部82とアンビルロール90の外周面との間に挟まれる部位のみ弾性伸縮部材19を加圧及び加熱して切断するものである。このような加工を施した製品では、
図21(a)(b)に示すように、非伸縮領域A1における第1シート層12S及び第2シート層12H間には、間欠伸縮領域A2の弾性伸縮部材19から連続する切断残部のみが不要弾性伸縮部材19rとして残り、溶融跡22が一本だけ切断痕跡として残ることになる。図示しないが、複数か所で切断する場合は、周方向の複数か所に切断凸部82を有するシールロール80を用いれば良い。
【0104】
また、
図20(b)は、弾性伸縮部材19のほぼ全体を細かく切断する場合を示しており、千鳥状等の間欠配置とされた多数の切断凸部83を有する加圧部81を外周面に備え、切断凸部82が所望の温度に加熱されるシールロール80と、これに対向配置された表面平滑なアンビルロール90とにより、第1シート層12S及び第2シート層12H間に弾性伸縮部材19を取り付けた切断対象を挟み、切断凸部83とアンビルロール90の外周面との間に挟まれる部位のみ弾性伸縮部材19を加圧及び加熱して切断するものである。このような加工を施した製品では、
図21(c)に示すように、非伸縮領域A1における第1シート層12S及び第2シート層12H間には、間欠伸縮領域A2の弾性伸縮部材19から連続する切断残部、及び両方の間欠伸縮領域A2の弾性伸縮部材19と連続しない弾性伸縮部材の切断片が、不要弾性伸縮部材19rとして前後方向及び幅方向に間欠的に残り、溶融跡22が切断痕跡として前後方向及び幅方向に間欠的に残ることになる。
【0105】
(非伸縮領域におけるシート接合)
非伸縮領域A1にはシート接合部70を設けなくても良いが、第1シート層12Sが第2シート層12Hに対してずれたり、浮いたりするのは好ましくないため、接合するのが好ましい。非伸縮領域A1における第1シート層12S及び第2シート層12Hの接合は、2枚のシート層12S,12Hが接合される限り特に限定されるものではないが、前述の交差方向連続接合形態で形成されていると、非伸縮領域A1における不要弾性伸縮部材19rが2枚のシート層12S,12Hに対してホットメルト接着剤により固定されるため好ましい。
【0106】
製造容易性及び製造安定性の観点からは、
図7〜
図9に示すように、非伸縮領域A1における第2ホットメルト接着剤72によるシート接合部70の形状、寸法、数、及び配置等は、間欠伸縮領域A2における第2ホットメルト接着剤72によるシート接合部70と同様とすることが望ましい。もちろん、非伸縮領域A1における第2ホットメルト接着剤72によるシート接合部70の形状、寸法、数、及び配置等は、間欠伸縮領域A2における第2ホットメルト接着剤72によるシート接合部70と異なるものとしても良い。
【0107】
その他、非伸縮領域A1におけるシート接合部70の詳細は、伸縮領域におけるシート接合部70の項で述べたとおりであるため、ここではあえて説明を省略する。
【0108】
<その他>
図7、
図9及び
図10に示される例は、パンツタイプ使い捨ておむつのウエスト縁部W、ウエスト下方部U及び中間部Lまでの部分に本発明の伸縮構造を適用したものであるが、
図8に示すようにウエスト下方部U及び中間部L(
図8の形態はウエスト縁部Wについては弾性伸縮部材19の幅方向全体にわたり第1ホットメルト接着剤71で固定したもの)のみに適用しても、またウエスト下方部Uのみに適用しても良い(特に中間部Lの弾性伸縮部材16がない場合等)。また、上述の伸縮構造は、立体ギャザー、テープタイプ使い捨ておむつの背側部分の胴周り部、脚周り部若しくはファスニングテープ等、他の伸縮部にも適用することができる。
【0109】
<明細書中の用語の説明>
明細書中で以下の用語が使用される場合、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
・「前後(縦)方向」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味する。
【0110】
・「MD方向」及び「CD方向」とは、製造設備における流れ方向(MD方向)及びこれと直交する横方向(CD方向)を意味し、いずれか一方が前後方向となるものであり、他方が幅方向となるものである。不織布のMD方向は、不織布の繊維配向の方向である。繊維配向とは、不織布の繊維が沿う方向であり、例えば、TAPPI標準法T481の零距離引張強さによる繊維配向性試験法に準じた測定方法や、前後方向及び幅方向の引張強度比から繊維配向方向を決定する簡易的測定方法により判別することができる。
【0111】
・「展開状態」とは、収縮や弛み無く平坦に展開した状態を意味する。
【0112】
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。
【0113】
・「人工尿」は、尿素:2wt%、塩化ナトリウム:0.8wt%、塩化カルシウム二水和物:0.03wt%、硫酸マグネシウム七水和物:0.08wt%、及びイオン交換水:97.09wt%を混合したものであり、特に記載の無い限り、温度40度で使用される。
【0114】
・「ゲル強度」は次のようにして測定されるものである。人工尿49.0gに、高吸収性ポリマーを1.0g加え、スターラーで攪拌させる。生成したゲルを40℃×60%RHの恒温恒湿槽内に3時間放置したあと常温にもどし、カードメーター(I.techno Engineering社製:Curdmeter−MAX ME−500)でゲル強度を測定する。
【0115】
・「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度20±5℃、相対湿度65%以下)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を相対湿度10〜25%、温度50℃を超えない環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から米坪板(200mm×250mm、±2mm)を使用し、200mm×250mm(±2mm)の寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、20倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
【0116】
・「厚み」は、自動厚み測定器(KES−G5 ハンディー圧縮試験機)を用い、荷重:10gf/cm
2、及び加圧面積:2cm
2の条件下で自動測定する。
【0117】
・「吸水量」は、JIS K7223−1996「高吸水性樹脂の吸水量試験方法」によって測定する。
【0118】
・「吸水速度」は、2gの高吸収性ポリマー及び50gの生理食塩水を使用して、JIS K7224‐1996「高吸水性樹脂の吸水速度試験法」を行ったときの「終点までの時間」とする。
【0119】
・ホットメルト接着剤の「剥離強度」は、以下のようにして測定されるものである。すなわち、繊度1.44dtex、目付け17g/m
2のPP繊維からなる疎水性スパンボンド不織布301を2枚(それぞれMD方向100mm以上×CD方向75mm以上)用意し、一方の不織布301のCD方向中央領域に25mmの塗布幅でMD方向に連続的に、測定対象のホットメルト接着剤302を20g/m
2の塗布量で塗布し、このホットメルト接着剤302を介して他方の不織布301をMD方向及びCD方向を合わせて接着した後、その上から2kgのローラーを1往復させて圧着させ、
図23に示す不織布接着体300を作製する。次に、この不織布接着体300から、
図23に点線で示す切断線で切断し、MD方向75mm×CD方向25mmで全面が接着された縦方向試験片310と、MD方向25mm×CD方向75mmで、CD方向両端から25mmの非接着部分321と、その間のMD方向25mm×CD方向25mmの接着部分322を有する横方向試験片320を作製する。そして、縦方向試験片310では、
図23に二点鎖線で示すように、MD方向一端から25mmの端部の両不織布を剥離(コールドスプレーを対象部分に吹き付けることにより対象部分の接着力を低下させて剥離する)してつかみ代311を形成し、各不織布のつかみ代311を引張試験機の上下つかみ具でそれぞれつかみ、つかみ具間隔30mm、引張速度300mm/minの条件で、
図24に示すように残りの接着部分312を剥離し、その引き剥がしに要する引張力(cN/25mm)を測定する。横方向試験片320では、CD方向一端部の非接着部分321の各不織布を引張試験機の上下つかみ具でそれぞれつかむ以外は、縦方向試験片310と同様にして試験を行う。剥離部分の破壊状態を観察し、界面破壊(界面剥離)及び凝集破壊のときには、縦軸を引張力とする測定曲線のうち、剥離開始以降(曲線が上がり切った後)の波状部分から最初の5つの頂点及び最初の5つの底点を選び、各点の引張力の平均値を測定値とする。また、材料破壊(基材破壊)のときには、引張力の最大値を測定値とする。以上の測定を、縦方向試験片310及び横方向試験片320のそれぞれについて3回実施し、それぞれ3回の測定値を平均して縦の剥離強度及び横の剥離強度とする。
【0120】
・ホットメルト接着剤の「保持力」は、以下のようにして測定されるものである。すなわち、
図25に示すように、25μm厚のPETフィルムを用意し、長さ100mm×幅25mmの2枚の長方形PETフィルム401の長手方向の端部(長手方向の一端から25mmの部分)同士を、測定対象のホットメルト接着剤層402を介して接着した試験片400を作製する。試験片400の接着部分403は25mm×25mmとなる。このホットメルト接着剤層402はスロット塗布により20g/m
2の厚みで塗布し、接着後、接着部分403の上から2kgのローラーを1往復させて圧着させた後、試験片400を常温(23℃)下で16時間放置し、さらに
図26に示すように試験片400の両端部のPETフィルム401を、厚み方向にネジで締め付けるつかみ具404でつかみ、接着部分403に力が加わらないように、クリープ試験機(恒温槽)内に40℃で2時間放置する。その後、クリープ試験機内に、
図26に示すように一方のつかみ具404を上にして吊り下げ、他方のつかみ具404に錘405を吊るし、錘405及び錘側のつかみ具405の合計で1kgの鉛直荷重をかけ、荷重をかけ始めた時から接着部分403が完全に剥がれ、錘405側のPETフィルムが剥がれ落ちるまでの時間を測定する。測定は120分までとし、120分経過までに錘が落下しなかったときには測定結果は「120分超」とする。以上の測定を3回行い、測定結果の平均値を保持力(分)とする。3回の測定結果に、120分超が1回、120分以下が2回あったときには、120分以下の2回の測定結果の平均値を保持力とし、120分超が2回、120分以下が1回あったときには、120分以下の1回の測定結果を保持力とし、3回とも120分超のときには保持力は120分超とする。
【0121】
・「ループタック粘着力」は、次のように測定される値を意味する。すなわち、ホットメルト接着剤を厚さが50μmのPET板上に50μmの厚みで塗布する。これを、幅25mm、長さ125mmの大きさに切取り、テープ状とした後、そのテープの両端を重ね合わせることでループ状とする。このループを、LT−100型ループタックテスター(ケムインストルメント社製)に固定した後、PE(ポリエチレン)板に対して、25mm×25mmの接着面積で、接着時間2秒で接着する。次いで、20℃で、引き剥がし速度300mm/分でループ状のテープを引き剥がし、最大の力を測定し、ループタック粘着力とする。
【0122】
・「溶融粘度」は、JIS Z 8803に従い、ブルックフィールドB型粘度計(スピンドルNo.027)を用いて、規定の温度で測定されるものである。
【0123】
・試験や測定における環境条件についての記載が無い場合、その試験や測定は、標準状態(試験場所は、温度20±5℃、相対湿度65%以下)の試験室又は装置内で行うものとする。
【0124】
・各部の寸法は、特に記載が無い限り、自然長状態ではなく展開状態における寸法を意味する。
【解決手段】不織布からなる第1シート層12Sと、この第1シート層12Sの一方の面に対向する不織布からなる第2シート層12Hと、これら第1シート層12S及び第2シート層12Hの間に、伸縮方向に沿ってかつ互いに間隔を空けて設けられた複数本の細長状の弾性伸縮部材19とを備えており、第1シート層12S及び第2シート層12Hは、弾性伸縮部材19の長手方向に間欠的、かつ弾性伸縮部材19と交差する方向に細長く連続する縞状のパターンで配置されたホットメルト接着剤を介して接合されたシート接合部70を有しており、第1シート層12S及び第2シート層12Hのいずれか一方がスパンボンド不織布からなり、かつ他方がエアスルー不織布からなり、このエアスルー不織布はスパンボンド不織布側の面が毛羽面とされている、吸収性物品の伸縮構造である。