(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コーティング(150)が、構造コーティング(54)及び外側コーティング(56)を少なくとも備え、前記1以上のトレンチ(60)が、前記構造コーティング(54)及び前記外側コーティング(56)を通じて延びて、前記1以上の冷却チャンネル(130)のための前記少なくとも1つの出口領域(62)を画定する、請求項1記載の構成部品(100)。
複数の溝(132)が、前記基板に形成され、複数の冷却チャンネル(130)が、前記コーティング(150)及び前記溝(132)によって画定され、前記1以上のトレンチ(60)の少なくとも1つが、各出口領域(62)に隣接した1以上のコーティング隆起部(64)を含む、請求項1記載の構成部品(100)。
前記トレンチ(60)のフットプリント(70)が、前記トレンチ(60)の第1の端部(72)で、前記トレンチ(60)の第2の端部(74)におけるものよりも小さい、請求項1記載の構成部品(100)。
複数の溝(132)が、前記基板に形成され、複数の冷却チャンネル(130)が、前記コーティング(150)及び前記溝(132)によって画定され、前記チャンネル(130)が、前記チャンネル(130)が前記トレンチ(60)の前記第1の端部(72)の近くにあるときよりも、前記トレンチ(60)の前記第2の端部(74)の近くで互いにより近い間隔で配置される、請求項6記載の構成部品(100)。
複数の溝(132)が、前記基板に形成され、複数の冷却チャンネル(130)が、前記コーティング(150)及び前記溝(132)によって画定され、前記トレンチ(60)の前記第1の端部(72)の近くの前記冷却チャンネル(130)が、前記トレンチ(60)の前記第2の端部(74)の近くの前記冷却チャンネル(130)の少なくともいくつかより体積が小さい、請求項6記載の構成部品(100)。
前記コーティング(150)が、構造コーティング(54)及び外側コーティング(56)を少なくとも含み、前記1以上のトレンチ(60)が、前記外側コーティング(56)を通じて延びるが、前記構造コーティング(54)を完全には貫いて延びず、1以上の膜冷却用穴(142)が、前記構造コーティング(54)を通じて延びて各前記1以上の冷却チャンネル(130)を各前記トレンチ(60)と接続し、前記1以上の膜冷却用穴(142)及び前記1以上のトレンチ(60)が、前記少なくとも1つの出口領域(62)を画定するようになっている、請求項1記載の構成部品(100)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において、「第1」、「第2」などの用語は、任意の順序、数量、または重要性を示さず、むしろある要素を別のものと区別するために使用される。本明細書において、用語「1つの(「a」および「an」)」は、数量の限定を示さず、むしろ少なくとも1つの参照した要素が存在することを示す。数量と併せて用いられる修飾語「約(about)」は、述べた値を含み、分脈によって決定される意味を有する(例えば、特定の数量の測定に関連した誤差の程度を含む)。加えて、用語「組み合わせ(combination)」は、ブレンド、混合物、合金、反応生成物などを含む。
【0014】
また、本明細書では、接尾辞「(s)((1つまたは複数の))」は、通常、接尾辞「(s)」が修飾する用語の単数形と複数形の両方を含むことを意図するものであり、それによってその用語の1つまたは複数を含む(例えば、「the passage hole(通路の穴)」は、特段の断りがない限り、1つまたは複数のpassage holes(通路の穴)を含み得る)。本明細書全体を通じて「一実施形態(one embodiment)」、「別の実施形態(another embodiment)」、「一実施形態(an embodiment)」などの参照は、実施形態と併せて説明される特定の要素(例えば、特徴、構造、および/または特性)が、本明細書に記載した少なくとも1つの実施形態に含まれ、他の実施形態に存在しても存在しなくてもよいことを意味する。加えて、記載した発明性のある特徴は、様々な実施形態において任意の適切なやり方で組み合わせられてもよいことを理解されたい。
【0015】
図1は、ガスタービンシステム10の概略図である。システム10は、1つまたは複数の圧縮機12、燃焼器14、タービン16、および燃料ノズル20を備えることができる。圧縮機12およびタービン16は、1つまたは複数のシャフト18によって結合することができる。シャフト18は、単一のシャフト、またはシャフト18を形成するように共に結合した複数のシャフトの部分であってもよい。
【0016】
ガスタービンシステム10は、いくつかの高温ガス通路構成部品100を備えることができる。高温ガス通路構成部品は、システム10を通じての高温ガス流に少なくとも部分的に曝されるシステム10の任意の構成部品である。例えば、バケット組立体(ブレードまたはブレード組立体としても知られている)、ノズル組立体(ベーンまたはベーン組立体としても知られている)、シュラウド組立体、移行部分、保持リング、および圧縮機排気構成部品は、全て高温ガス通路構成部品である。しかし、本発明の高温ガス通路構成部品100は上記の例に限定されず、高温ガス流に少なくとも部分的に曝される任意の構成部品であってもよいことを理解されたい。さらに、本開示の高温ガス通路構成部品100は、ガスタービンシステム10内の構成部品に限定されず、高温の流れに曝され得るガスタービンシステム10の機械類または構成部品の任意の部分であってもよいことを理解されたい。
【0017】
高温ガス通路構成部品100が高温ガス流80に曝されると、高温ガス通路構成部品100は、高温ガス流80によって加熱され、高温ガス通路構成部品100が故障する温度に到達し得る。したがって、システム10が高温の高温ガス流80で動作し、システム10の効率および性能を向上させることを可能にするために、高温ガス通路構成部品100のための冷却システムが必要とされる。
【0018】
概して、本開示の冷却システムは、高温ガス通路構成部品100の表面に形成した一連の小型チャンネルまたはマイクロチャンネルを備える。高温ガス通路構成部品は、コーティングを備えてもよい。冷却流体は、プレナムからチャンネルに供給することができ、冷却流体は、チャンネルを通じて流れ、コーティングを冷却することができる。
【0019】
図2〜
図17を参照して、構成部品100を説明する。図示するように、例えば
図2では、構成部品100は、外面112および内面116を含む基板110を備える。図示するように、例えば、
図2では、内面116は、少なくとも1つの中空の内部空間114を画定する。図示するように、例えば
図2および
図3では、外面112は、1つまたは複数の溝132を画定する。図示するように、例えば、
図3および
図11では、各溝132は、基板110の表面112に沿って少なくとも部分的に延びると共に、基部134を有する。
【0020】
典型的には、基板110は、基板110の表面112内の溝132を形成する前に鋳造される。参照により全体が本明細書に組み込まれる譲渡された米国特許第5,626,462号に一般的に述べられるように、基板110は、第1の材料として本明細書に記載した任意の適した材料から形成することができる。構成部品100について目的とする用途に応じて、これは、Ni基超合金、Co基超合金、およびFe基超合金を含んでもよい。Ni基超合金は、γ相とγ’相の両方を含有する合金、特に、γ’相が超合金の体積で少なくとも40%を占めるγ相とγ’相の両方を含有するNi基超合金であってもよい。そのような合金は、高温強度および高温クリープ抵抗を含む所望の特性の組み合わせにより有利であることが知られている。第1の(基板)材料は、NiAl金属間化合物合金を含有することもでき、というのもこれらの合金は、航空機に使用されるタービンエンジン応用例に用いるのに有利である高温強度および高温クリープ抵抗を含む優れた特性の組み合わせを保有することが知られてもいるからである。Nb基合金の場合、Nb/Ti合金などの優れた耐酸化性を有するコーティングしたNb基合金が好ましく、特に、Nb−(27〜40)Ti−(4.5〜10.5)Al−(4.5〜7.9)Cr−(1.5〜5.5) Hf−(0〜6)V、 、を含有するこれらの合金であり、ただし、組成範囲は原子パーセントの単位である。第1の(基板)材料は、ケイ化物、炭化物またはホウ化物を含むNb含有金属間化合物などの少なくとも1つの二次相を含有するNb基合金を含むこともできる。そのような合金は、延性相(すなわち、Nb基合金)および強化相(trengthening phase)(すなわち、Nb含有金属間化合物)の複合材料に類似している。他の構成については、基板材料は、Mo
5SiB
2およびMo
3Siの二次相を有するモリブデン(固溶体)に基づいた合金などのモリブデン基合金を含む。他の構成については、基板材料は、SiC繊維で補強した炭化ケイ素(SiC)マトリックスなどのセラミックマトリックス複合材料を含む。他の構成については、基板材料は、TiAl基金属間化合物を含む。
【0021】
図3に示すように、例えば、1つまたは複数の出入り穴140が、各溝132の基部134を通じて形成されて、溝132を各中空の内部空間114と流体連通で接続する。典型的には、出入り穴140は、断面が円形または楕円形であり、例えば、レーザ加工(レーザ穴あけ)、アブレシブ液体ジェット、放電加工(EDM)、および電子ビーム穴あけのうちの1つまたは複数を用いて形成することができる。出入り穴140は、(
図6に示すように)各溝132の基部134に垂直であってもよく、またはより一般的には、溝の基部134に対して20〜90度の範囲の角度で穴をあけられてもよい。
【0022】
構成部品100は、基板110の表面112の少なくとも一部を覆って配設した1つまたは複数の層54、56を含むコーティング150をさらに備える。
図3に示すように、例えば、溝132およびコーティング150は共に、構成部品100を冷却するための1つまたは複数のチャンネル130を画定する。典型的には、チャンネル長は、膜穴径の10〜1000倍の範囲であり、具体的には、膜穴径の20〜100倍の範囲である。チャンネル130は、構成物品(エーロフォイル本体、前縁、後縁、翼端、端壁、プラットフォーム)の表面上のどこかで使用できることが有益である。加えて、チャンネルは直線壁を有するように示されているが、チャンネル130は、任意の構成を有してもよく、例えば、チャンネル130は、直線、曲線状であってもよく、または複数の曲線部を有してもよい。
【0023】
コーティング150は、エーロフォイル形状の外面112に一致し、チャンネル130を形成する溝132を覆う。いくつかの構成については、コーティング150は、単に、チャンネルを覆う第1のコーティングまたは構造コーティングであってもよい。すなわちいくつかの応用例については、追加のコーティングが使用されない。しかし、他の応用例については、ボンディングコートおよび/または遮熱コーティング(TBC)も使用される。コーティング150は、任意の適した材料であり得ると共に基板110のエーロフォイル形状の外面に接着される第2の材料を含む。特定の構成については、コーティング150は、工業用の構成部品向けの場合、0.1〜2.0ミリメートルの範囲の厚さを有し、具体的には0.1〜1ミリメートルの範囲の厚さを有し、より具体的には0.1〜0.5ミリメートルの厚さを有する。航空機構成部品については、典型的にはこの範囲は、0.1〜0.25ミリメートルである。しかし、特定の構成部品100に関する要求事項に応じて、他の厚さが利用されてもよい。
【0024】
図示するように、例えば、
図3〜6および
図9〜16では、1つまたは複数のトレンチ60は、コーティング150の1つまたは複数の層54、56を通じて形成される。図示するように、例えば、
図3および
図4では、1つまたは複数のトレンチ60は、(1つまたは複数の)冷却チャンネル130のための少なくとも1つの出口領域62を少なくとも部分的に画定する。
図3および
図4に示す例示の構成については、コーティング150は、構造コーティング54および外側コーティング56を少なくとも備え、トレンチ60は、構造コーティング54および外側コーティング56を通じて延びて冷却チャンネル130のための出口領域62を画定する。有益には、各トレンチは、冷却チャンネル領域の直上をカットし、個々の膜穴の精密な位置決めをする必要性をなくす。このやり方で、膜コーティングは、単純化した機械加工を用いて設けることができる。
【0025】
溝132は、直線または曲線状であってもよく、直線壁または曲線壁を有してよい。
図6に示す構成については、基部134は、各溝132の上部136より広く、各溝132が、内側に向かって窪んだ形状の溝132を備えるようになっていると共に、各チャンネル130が、内側に向かって窪んだ形状のチャンネル130を備えるようになっている。内側に向かって窪んだ形状のチャンネル130の様々な特性および利益、ならびに内側に向かって窪んだ形状のチャンネル130を形成する技法は、米国特許出願第12/943,624号、Ronald S.Bunkerら、「Components with re−entrant shaped cooling channels and methods of manufacture」(GE整理番号246424−1に対応)に記載されており、この特許出願は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0026】
特定の構成については、内側に向かって窪んだ形状の溝132のそれぞれ1つの基部134は、各溝132の上部136より少なくとも2倍広い。より特定の構成では、内側に向かって窪んだ形状の各溝132の基部134は、少なくとも3倍あり、具体的には各溝132の上部136より約3〜4倍の範囲で広い。内側に向かって窪んだ溝132を形成するための技法は、米国特許出願第12/943,624号、Bunkerらに与えられている。コーティング150は、満たされていない内側に向かって窪んだ溝132を覆って(すなわち、犠牲的充填材で溝を満たすまたは一部満たすことなく)堆積できることが有益である。加えて、内側に向かって窪んだ溝は、単純な形状の溝(すなわち、上部136および基部がほぼ等しい幅をした溝)と比べて強化した冷却を与える。
【0027】
同様に、より小さい構成部品については、コーティング150が、溝を満たすまたは一部満たすことなく(任意の形状を有する、すなわち溝が内側に向かって窪んだ形状である必要がない)満たされていない溝132を覆って堆積できるように、この溝は、十分に小さいものであってもよい。例えば、これは、より小さい航空機サイズの構成部品の場合であり得る。
【0028】
図7および
図8に示す例示の構成については、コーティング層54、56のうちの少なくとも1つが、1つまたは複数の透過性スロット144を画定し、各層54、56が、1つまたは複数の溝132のそれぞれを完全には被わないようになっている。具体的には、
図7に示す構成については、コーティング150は、少なくとも構造コーティング54と、外側コーティング56とを備える。
図7に示すように、外側コーティング56は、構造コーティング54に形成した透過性スロット144を完全には被わず、透過性スロット144が、外側コーティング56を通じて延びるようになっている。しかし、
図8に示す例示の構成については、外側コーティング56の少なくとも1つの層が、各溝132を完全に被い、それによって各チャンネル130をシールする。透過性スロット144の形成は、譲渡された米国特許出願第12/943646号、Ronald Scott Bunkerら、「Component and methods of fabricating and coating a component」(GE整理番号247894−1に対応)に一般に記載されており、本明細書には、この特許出願が、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0029】
米国特許出願第12/943646号、Bunkerらに述べられているように、透過性スロット144は、様々なチャンネル形状に対して形成することができる。典型的には、透過性スロット(間隙)144は、構造コーティングが施されて厚さを増すときに間隙144の幅が変化する不規則な形状を有する。初めに、構造コーティングの第1の部分が、基板110に施されるとき、間隙144の幅は、マイクロチャンネル130の上部136の幅の50%と同じ程度であり得る。次いで、間隙144は、構造コーティングを構築するときに、上部136の幅の5%以下まで狭くなり得る。特定の例については、間隙144の幅は、最も狭い点で、各チャンネル上部136の幅の5%〜20%である。加えて、透過性スロット144は、孔質であってもよく、その場合には、「多孔質の」間隙144が、いくらかの接続部、すなわち間隙のないいくらかの箇所または場所を有してもよい。有益には、間隙144は、コーティング150に応力緩和をもたらす。
【0030】
その特定に機能に応じて、透過性スロット144は、(1)
図7に示すようにコーティング層の全部を通じて、または(2)コーティングの全てではなく一部を通じて延びることができ、例えば、透過性スロット144が、1つまたは複数のコーティング層50に形成されてもよく、続いて堆積した層がスロットを被い、それによって
図8に示すようにスロット144を効果的に封止する。透過性スロット144は、(1つまたは複数の)構造コーティングの応力/ひずみ緩和として機能できることが有益である。加えて、透過性スロット144は、透過性スロット144が全てのコーティングを通じて延びるとき(
図7)に冷却手段として働くことができ、すなわち、この構成の場合、透過性スロット144は、各チャンネル130から構成部品の外表面まで冷却液を輸送するように構成される。さらに、透過性スロット144は、上側コーティングによって被われるとき(
図8)、これらのコーティングが損傷を受けまたは剥落した場合に、受動的冷却手段として働くことができる。
【0031】
(1つまたは複数の)トレンチ60が、冷却チャンネル130に対して様々な角度で向けられてもよい。
図3、
図6および
図9に示す例示の構成については、各トレンチ60は、冷却チャンネル130にほぼ垂直に向けられる。本明細書で使用する場合、用語「ほぼ(approximately)」は、+/−10°の範囲内を意味するものと理解されたい。
図11に示す例示の構成については、トレンチ60は、冷却チャンネル130に対して非直交の入射角を有する。すなわち、この構成については、(1つまたは複数の)トレンチ60およびチャンネル130は、直角でない。例えば、
図11に示す構成については、トレンチ60とチャンネル130の間の非直交の向きは、高温ガス流の方向に対する膜冷却の分布に利益を与える。
【0032】
いくつかの構成については、例えば、
図3、
図6、
図9および
図11に示すように、単一のトレンチ60だけが、冷却チャンネル100の所与のセットに与えられる。しかし、他の構成については、複数のトレンチ60が、1つまたは複数のコーティング層54、56を通じて形成される。
図12は、そのような構成の一例を示す。しかし、
図12に示す構成は、例示的なものに過ぎない。
【0033】
トレンチ60は、連続的または断続的であり得る。すなわち、連続的なトレンチ60は、ほぼ一定の深さまたは平面(smooth)を有してもよいが、先細りのまたは湾曲した深さを有してもよい。例として、断続的なトレンチ60を、13および
図14に示す。例示の構成については、複数の溝132は基板に形成され、複数の冷却チャンネル130がコーティング150および溝132によって画定されるようになっている。
図14に示すように、トレンチ60は、各出口領域62に隣接した1つまたは複数のコーティング隆起部64を含む。
図13および
図14に示す例示の構成については、コーティング隆起部は、隣り合った出口領域62を分離する。しかし、
図3に示す構成については、トレンチ60は、コーティング隆起部を含まないが、代わりに、連続的なトレンチを含む。
【0034】
図4、
図5、
図10および
図14に示すトレンチは、チャンネルの頂部にほぼ垂直である壁を有するが、他の構成については、トレンチの壁が、チャンネルに対して他の角度で形成されてもよい。例えば、トレンチ60は、
図15に示すように角度の付いた出口壁66を有してもよい。
図15に示す例示の構成については、トレンチ60は、角度の付いた出口壁66と角度の付いた入口壁68との両方を含む。加えて、入口壁68および出口壁66が、直線であるように示されているが、口壁68および出口壁66は、曲線状または丸みがあることもできる。
【0035】
トレンチ60は、対称または非対称のフットプリントを有してもよい。例えば、
図3、
図6、
図9および
図11〜
図13に示すトレンチ60については、各トレンチのフットプリントは、トレンチの2つの端部で同じである。しかし、
図16に示す構成については、トレンチ60のフットプリント70は、トレンチ60の第1の端部72で、トレンチ60の第2の端部74におけるものよりも小さい。加えて、冷却チャンネル130を等間隔に配置するものとして示したが、他の構成(特に図示せず)については、チャンネル130が、チャンネル130がトレンチ60の第1の端部72の近くにあるときよりも、トレンチ60の第2の端部74の近くで互いにより近い間隔で配置される。さらに、冷却チャンネル130を同じ体積を有するものとして示すが、他の構成(特に図示せず)については、トレンチ60の第1の端部72の近くの冷却チャンネル130は、トレンチ60の第2の端部74の近くの冷却チャンネル130の少なくともいくつかより体積が小さい。また、
図17に示す構成については、
図3、
図6、
図9および
図11〜13に示すトレンチ60は、直線トレンチ60を有するが、トレンチ60は、曲線状トレンチ60を備えてもよい。同様に、トレンチの壁は、
図3に示すように直線であってもよく、
図15に示すように角度が付けられてもよく、または曲線状であってもよい(特に図示せず)。
【0036】
図9および
図10に示す例示の構成については、コーティング150は、構造コーティング54および外側コーティング56を含む、トレンチ60は、外側コーティング56を通じて延びるが、構造コーティング54を完全には貫いて延びない。例示の構成については、膜冷却用穴142は、構造コーティング54を通じて延びて各冷却チャンネル130をトレンチ60と接続する。膜穴142は、丸くてもよく、または非円形状の穴であることもできる。この構成については、膜冷却用穴142およびトレンチ60は、冷却チャンネル130のための出口領域62を画定する。したがって、
図9および
図10に示す例示の構成については、マイクロチャンネル130は、出入り穴140から膜冷却用穴142へ冷媒を輸送する。この構成については、膜冷却用穴142の向きは、いくつかの構成についてのトレンチの向きと並べられてもよい。しかし、他の構成については、膜冷却用穴142の向きは、
図11中の出口領域62からの冷媒流の方向によって示すように、(1つまたは複数の)トレンチ60の向きとは異なる。膜冷却用穴142および(1つまたは複数の)トレンチ60を異なる向きとして与えることによって、冷却をさらに強化することができる。
【0037】
構成部品100を製造する方法を、
図2〜
図6、
図9〜
図13、および
図15〜
図20を参照して説明する。図示するように、例えば、
図18では、製造方法は、1つまたは複数の溝132を基板110の表面112に形成することを含む。
図2を参照して上述した通り、基板110は、少なくとも1つの中空の内部空間114を有する。図示するように、例えば、
図3中では、各溝132は、基板110の表面112に沿って少なくとも部分的に延びると共に、基部134を有する。溝132およびチャンネル130は、図では長方形であるように示すが、溝132およびチャンネル130は、他の形状をとることもできる。例えば、溝132(およびチャンネル130)は、
図6を参照して上述した通り、内側に向かって窪んだ溝132(内側に向かって窪んだチャンネル130)であってもよい。加えて、溝132(チャンネル130)の側壁は、直線である必要がない。様々応用例について、溝132(チャンネル130)の側壁は、曲線状であってもよくまたは丸みのあってもよい。
【0038】
溝132は、様々な技法を用いて形成することができる。例えば、溝132は、アブレシブ液体ジェット、プランジ電解加工(ECM)、スピニング単一点電極(「ミリング」EDM)を用いた放電加工(EDM)、レーザ加工(レーザ穴あけ)のうちの1つまたは複数を用いて形成することができる。例示のレーザ加工技法は、2010年1月29日に出願した、譲渡された米国特許出願第12/697,005号、「Process and system for forming shaped air holes」に一般的に述べられており、この出願は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。例示のEDM技法は、2010年5月28日に出願した、譲渡された米国特許出願第12/790,675号、「Articles which include chevron film cooling holes, and related processes」に一般的に述べられており、この出願は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0039】
図18中に概略的に示すように、特定のプロセス構成については、溝132は、基板110の表面112にアブレシブ液体ジェット160を向けることによって形成される。例示のウォータジェット穴あけのプロセスおよびシステムは、米国特許出願第12/790,675号において与えられる。米国特許出願第12/790,675号に説明されるように、典型的には、ウォータジェットプロセスは、高圧水流に懸濁している研磨粒子(例えば、研磨「グリット」)の高速流を利用する。水圧は、かなり変わり得るが、しばしば、約35〜620MPaの範囲である。ガーネット、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、およびガラス玉などのいくつかの研磨剤を使用することができる。有益には、ウォータジェットプロセスは、基板110を任意のかなりの程度加熱することを伴わない。したがって、溝132のための所望の出口形状にさもなければ悪影響を与え得る「熱影響域」が基板表面112上に形成されない。
【0040】
加えて、米国特許出願第12/790,675号に説明されるように、ウォータジェットシステムは、多軸コンピュータ数値制御した(CNC)ユニットを含んでもよい。CNCシステムはそれ自体、当業界で知られており、例えば、米国特許出願公開第2005/0013926号(S.Rutkowskiら)に説明されており、この出願は、参照により本明細書に組み込まれる。CNCシステムは、いくつかのX,YおよびZ軸、ならびに回転軸に沿って切削工具の移動を可能にする。
【0041】
図19に示すように、この製造方法は、1つまたは複数の出入り穴140を、溝132のそれぞれの溝の基部134を通じて形成して、溝132を各中空の内部空間114と流体連通で接続することをさらに含む。出入り穴は上述されており、例えば、レーザ加工(レーザ穴あけ)、アブレシブ液体ジェット、放電加工(EDM)、および電子ビーム穴あけのうちの1つまたは複数を用いて形成することができる。
【0042】
図20に示すように、この製造方法は、基板110の表面112の少なくとも一部を覆ってコーティング150を堆積し、溝132およびコーティング150が共に、構成部品100を冷却するための1つまたは複数のチャンネル130を画定するようにすることをさらに含む。これは、構造コーティングの1つまたは複数の層54を堆積すること、および適宜、構造コーティング54を覆って追加のコーティング層56を堆積することを含んでもよい。例えば、ボンディングコートおよび/または遮熱コーティング(TBC)が、特定の応用例に使用されてもよい。しかし、他の応用例については、追加のコーティングが使用されない。構造コーティング54および適宜追加のコーティング56は、様々な技法を用いて堆積することができる。特定のプロセスについては、構造コーティング54は、イオンプラズマ蒸着(陰極アーク)を実行することによって堆積される。例示のイオンプラズマ蒸着装置および方法は、譲渡された米国特許出願公開第20080138529号、Weaverら、「Method and apparatus for cathodic arc ion plasma deposition」に一般的に与えられており、この出願は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。簡単に言えば、イオンプラズマ蒸着は、コーティング材料で形成されたカソードを真空チャンバ内の真空環境の中に配置し、真空環境内で基板110を用意し、カソードに電流を供給してカソード表面上に陰極アークを形成し、それによってカソード表面からコーティング材料がアーク誘起エロージョンすることになり、カソードからのコーティング材料を基板表面112上に堆積することを含む。
【0043】
非限定の一例では、イオンプラズマ蒸着プロセスは、プラズマ蒸着プロセスを含む。コーティングの非制限の例には、米国特許第5,626,462号を参照して以下より詳細に述べるように、構造コーティング54、ならびにボンドコーティングおよび耐酸化性コーティング(これらは、本明細書中では参照符号56によって個々におよびまとめて特定される)が含まれる。ある高温ガス通路構成部品100については、構造コーティング54は、ニッケル基合金またはコバルト基合金を含み、具体的には超合金または(NiCo)CrAlY合金を含む。例えば、基板材料が、γ相とγ’相の両方を含むNi基超合金である場合、構造コーティング54は、米国特許第5,626,462号を参照して以下より詳細に述べるように同様の材料組成を含んでもよい。
【0044】
他のプロセス構成については、構造コーティング54は、サーマルスプレープロセスおよびコールドスプレープロセスのうちの少なくとも1つを実行することによって堆積される。例えば、サーマルスプレープロセスは、燃焼溶射またはプラズマ溶射を含むことができ、燃焼溶射は、高速フレーム溶射(HVOF)または高速空気燃料溶射(HVAF)を含むことができ、プラズマ溶射は、(空気または不活性ガスなどの)大気プラズマ溶射、または低圧プラズマ溶射(LPPS、これは真空プラズマ溶射すなわちVPSとしても知られている)を含むことができる。非限定の一例では、NiCrAlYコーティングが、HVOFまたはHVAFによって堆積される。構造コーティング54を堆積する他の例示の技法には、スパッタリング、電子ビーム物理蒸着、無電解めっき、および電気めっきが含まれるが、これらに限定されない。
【0045】
いくつかの構成については、構造コーティング層54および適宜追加のコーティング層56を堆積する複数の堆積技法を用いることが望ましい。例えば、第1のコーティング層を、イオンプラズマ蒸着を用いて堆積することができ、続く堆積層および適宜追加の層(図示せず)を、燃焼溶射プロセスまたはプラズマ溶射プロセスなどの他の技法を用いて堆積することができる。使用する材料に応じて、コーティング層のための異なる堆積技法を使用することにより、歪み耐性および/または延性の利益をもたらすことができる。
【0046】
より一般的には、米国特許第5,626,462号に述べられたように、コーティング150を形成するために使用される材料は、任意の適した材料を含む。冷却されるタービン構成部品100のケースについては、構造コーティング材料は、約1150℃までの温度に耐えることができなければならず、一方、TBCは、約1425℃までの温度に耐えることができる。譲渡された米国特許出願第12/943,563号、Bunkerら、「Method of fabricating a component using a fugitive coating」(GE整理番号245561−1に対応)に一般的に述べられるように、構造コーティング54は、基板110のエーロフォイル形状の外面112に適合し、この基板110のエーロフォイル形状の外面112に接着されるようになされなければならず、本明細書には、この特許出願が、全体が本明細書に組み込まれる。
【0047】
米国特許第5,626,462号に述べられるように、基板材料が、γ相とγ’相の両方またはNiAl金属間化合物合金を含むNi基超合金である場合、構造コーティング54のための材料は、基板と同様の材料組成を含んでもよい。コーティング54と基板110の材料のそうした組み合わせは、動作環境の最高温度が、既存のエンジンの最高温度に同様の場合(例えば、1650℃未満)などの特定の用途に対して好ましい。基板110の第1の材料が、Nb基合金、NiAl基金属間化合物合金、またはTiAl基金属間化合物合金である場合、同様に、構造コーティング54が、同様の材料組成を含んでもよい。
【0048】
米国特許第5,626,462号に述べられるように、モノリシック金属合金コーティングまたは金属間化合物合金コーティング54の使用を不十分にさせる温度、環境または他の制約を課す応用例などの他の応用例については、構造コーティング54が、複合材料を含むことが好ましい。複合材料は、金属間化合物合金および金属合金(I
s+M)の相、ならびに金属間化合物−金属間化合物(+I
M)相からなってもよい。金属合金Mは、構成部品100の要求事項に応じて、基板110に使用されるのと同じ合金であってもよく、または異なる材料であってもよい。さらに、米国特許出願第12/943,563号、Bunkerらに述べられているように、2つの構成相は、化学的に相性が良くなければならない。所与のコーティング内で、複数のI
S+MまたはI
S+I
Mの複合材料を使用することもでき、そのような複合材料は、2種類の材料または2つの相の組み合わせに限定されないことにも留意されたい。例の構造コーティング材料に関する追加の詳細は、米国特許第5,626,462号に与えられている。
【0049】
次に、
図3〜
図6、
図9〜
図13、
図15および
図16を参照すると、この製造方法は、コーティング150の1つまたは複数の層54、56を通じて1つまたは複数のトレンチ60を形成して、(1つまたは複数の)冷却チャンネル130のための少なくとも1つの出口領域62を少なくとも部分的に画定することをさらに含む。特定の構成については、コーティング150は、構造コーティング54および外側コーティング56を少なくとも含む。
図3、
図4、
図6および
図11〜
図16に示す例示の構成については、1つまたは複数のトレンチ60は、構造コーティング54および外側コーティング56を通じて延びるように形成されて、1つまたは複数の冷却チャンネル130のための少なくとも1つの出口領域62を画定する。有益には、いくつかのマイクロチャンネルのためにコーティングのストリップを連続して綺麗におよび正確に除去するように、アブレシブウォータジェット除去などの操作を用いて、複数のチャンネル出口/端部を接続する浅いトレンチとしてコーティングを除去する(およびそれによって、その流れをトレンチの中に導入する冷却用「穴」としてチャンネル端部を露出させる)ことによって、膜性能を維持しつつ製造費用を削減する。
【0050】
より一般的には、(1つまたは複数の)トレンチ60は、アブレシブ液体ジェット、プランジ電解加工(ECM)、スピニング電極(ミリングEDM)を用いた放電加工(ED)、レーザ加工、および従来のコンピュータ数値制御した(CNC)ミリングのうちの1つまたは複数を用いて製造することができる。これらの技法それぞれを用いて金属コーティングを機械加工することができる。コーティングの1つまたは複数が非金属である場合、(1つまたは複数の)トレンチは、アブレシブ液体ジェット、レーザ加工、および従来のCNCミリングのうちの1つまたは複数を用いて形成することができる。例示のウォータジェット穴あけプロセスおよびシステムは、米国特許出願第12/790,675号を参照して上述されている。上記の通り、例示のレーザ加工技法は、米国特許出願第12/697,005号に記載されており、例示のEDM技法は、米国特許出願第12/790,675号に記載されている。他のプロセス構成については、(1つまたは複数の)トレンチ60は、マスキング技法を用いて形成することができ、この場合には、コーティングが(1つまたは複数の)トレンチ60に施されないように、コーティングを、マスクを用いて堆積する。典型的には、マスキング法は、例えば上記の材料除去技法のうちの1つまたは複数を用いる追加の機械加工後のステップを必要とする。
【0051】
多くの高温ガス通路構成部品の構成については、コーティング150は、構造コーティング54および外側コーティング56を少なくとも含む。
図9および
図10に示す例示の構成については、トレンチ60は、外側コーティング56を通じて延びるように形成されるが、構造コーティング54を完全に貫いて延びていない。この構成については、この方法は、例えば
図10に示すように、1つまたは複数の膜冷却用穴142を、構造コーティング54を通じて形成して、それぞれの(1つまたは複数の)冷却チャンネル130をそれぞれのトレンチ60に接続することをさらに含む。この構成については、(1つまたは複数の)膜冷却用穴142および(1つまたは複数の)トレンチ60が、少なくとも1つの出口領域(62)を画定する。膜冷却用穴142は、アブレシブ液体ジェット、プランジECM、スピニング電極を用いるEDM(ミリングEDM)、従来のEDM(電極は回転しない)、およびレーザ加工を含む様々な技法のうちの1つまたは複数を用いて形成することができる。
【0052】
トレンチを高温ガス通路構成部品の表面に組み込むことによって、構成部品の基板の表面に沿って延びる冷却チャンネルのための出口領域を形成する比較的費用のかからない手段をもたらすことが有益である。加えて、トレンチは、高温表面から素早く分離し、燃焼ガスと望ましくない混合をさせるのではなくチャンネルから出る冷媒を高温表面と緊密な接触で維持することによって、高温ガス通路構成部品の表面の冷却を強化する働きをさらにすることができる。さらに、冷却チャンネルのための出口領域を少なくとも部分的に画定するためにトレンチを使用することによって、冷却チャンネルのレイアウトに対して膜コーティングのより柔軟な向きを可能にし、それにより冷却をさらに強化することができる。
【0053】
本発明のいくつかの特徴だけを、本明細書に例示および記載してきたが、当業者は、多くの修正形態および変更形態を思いつくであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神に含まれるそのような修正形態および変更形態の全てを含むものであることを理解されたい。