【実施例】
【0046】
実施例
本発明をより理解するために、以下の実施例を記載する。これらの実施例は説明の目的のみであり、どのような形であれ本発明の範囲を限定すると解釈すべきでない。本明細書に記載されているすべての文献は出典明示によりそれら全体を包含させる。
【0047】
実施例1:GPIIb/IIIa結合に対する高親和性を有する修飾されたRGDペプチド
環状ペプチドは、GPIIb/IIIaに強力にかつ選択的に結合することが述べられている。インテグリリンがGPIIb/IIIaへ選択的に結合することができることが示されているため、このようなペプチドの1つであるインテグリリンをFVIIIと結合するための標的ドメインとして使用した。インテグリリンは、短いPEGリンカーを加えることにより修飾され、タンパク質中の遊離システイン残基へ選択的に結合することができるマレイミド部分となった。修飾されたインテグリリンは、リンカーのみを有するものをBHRF−1(
図2A)ならびにリンカーおよびフルオレセイン(FITC)を有するものをBHRF−3(
図2B)と称する。
図3に示されるとおり、固定化されたGPIIa/IIIbへのフィブリノーゲン(Fbn)結合を強くブロックしたため、修飾されたインテグリリンは、GPIIb/IIIaに対する親和性を維持している。
【0048】
GPIIb−IIIaへのペプチド結合を、試験化合物によるフィブリノーゲン結合の競合を測定する固相結合アッセイを使用して測定した。該アッセイは以下のように行った。精製されたGPIIb−IIIa(Innovative Research, Novi, MI)で、バッファーA(20mMのトリス pH7.5、0.15MのNaClならびにそれぞれ1mMのMgCl
2、CaCl
2およびMnCl
2)で希釈された0.mL/ウェル×2μg/mLにて、96ウェルImmulon−Bプレートを被覆した。4℃で一晩インキュベーション後、プレートを、バッファーB(50mMのトリス pH7.5、0.1MのNaClならびにそれぞれ1mMのMgCl
2、CaCl
2およびMnCl
2)中3.5%のBSAにて1時間30℃でブロックした。バッファーBで3回洗浄後、希釈されたペプチドまたはタンパク質溶液を0.1%のBSA/バッファーB中の3.5nMのビオチン化フィブリノーゲンと混合し、ウェルに加え、30℃で2時間インキュベートした。洗浄(3回、バッファーB)後、1:4000のストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)を1時間30℃で加えた(Pierce Chemical Co., Rockford, IL)。最後の洗浄工程(3回、バッファーB)後、プレートをUltra TMB(3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン)(Pierce Chemical Co., Rockford, IL)で5分展開し、同量の2Mの硫酸で停止した。プレート吸光度を450nmで読み、IC
50値を4−パラメーターロジスティックフィットを使用して決定した。
【0049】
次に、修飾されたインテグリリンペプチド(BHRF1)をFVIIIのBドメインに位置するシステイン(Cys)残基を介してFVIIIと結合させる。
【0050】
実施例2:FVIIIへのGPIIb/IIIa結合ペプチドの結合
全長FVIIIのポリペプチド配列は当分野で知られている(例えば、配列番号:1、配列番号:2およびWO2006/053299に記載されているもの、参照)。
【0051】
FVIIIの濃縮および遊離スルフヒドリル基の脱離
組換えFVIIIのBドメインに位置するCys残基は、タンパク質発現中の培地において存在するシステインにより覆われているが、以下のとおり還元剤、例えば、TCEPでの処理により容易に除去することができる。FVIII(20mL)を解凍し、2つのAmicon(登録商標)−15カートリッジ(Millipore, Billerica, MA)で濃縮し、低温下で25分2000×g(約3153rpm)で回転させた。2.8mLの副産物の濃度は、NanoDrop(登録商標)分光光度計(ThermoFisher Scientific, Waltham, MA)を使用してA280により約0.8−0.9mg/mLである。次にバッファーを10mLのZeba desaltingカートリッジを使用して交換し、50mMのトリス、150mMのNaCl、2.5mMのCaCl
2および100ppmのTween(登録商標)−80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)であらかじめ平衡にした。0.88mg/mLの濃度で2.8mLのタンパク質溶液を得た。次にTCEPを最終濃度0.68mMに加え、混合物を4℃で約3時間穏やかに回転させた。TCEPを2連続Zebaカートリッジスピンにより除去し、FVIIIを再酸化のために少なくとも30分放置し、ペプチドを加えた。TCEPの除去後、FVIII濃度は0.768mg/mLと測定された(“KG−R”)。
【0052】
RGD標的ペプチドの結合
修飾されたインテグリリンペプチドBHRF−1をFVIIIへ結合させるために、0.294mgのペプチド(M.W.1225)を48μLの乾燥ジメチルスルホキシド(DMSO)に加え、5mMの貯蔵溶液を製造した。次にこの貯蔵溶液(34.4μL)を2.8mLのKG−Rに加えた。80分後に反応を等モル量のシステインの添加によりクエンチした。次に反応混合物を開始Trisバッファー(2リットル)に対して大規模に透析した。BHRF−1−FVIIIの最終濃度は0.74mg/mLであり、そして収量は2mgであった。同様の方法をBHRF−3−FVIIIを製造するために使用した。
【0053】
図3に示されるとおり、修飾されたインテグリリンペプチドBHRF−1およびBHRF−3は、固定化されたGPIIa/IIIbへのフィブリノーゲン(Fbn)結合を強力にブロックするため、GPIIb/IIIaに対する親和性を維持している。BHRF−1へ結合したFVIII(FVIII−BHRF−1)は、固定されたGPIIb/IIIaへのフィブリノーゲン結合の阻害に対して高力価を示した(IC
50=0.043+/−0.05nM(N=3))。これは親BHRF−1ペプチドよりもさらに強力であった。結果を表1に示す。
表1
【表1】
【0054】
Bドメイン欠失FVIIIへのRGD標的ペプチドの結合
Bドメイン欠失FVIII(“BDD”)を結合するために使用するとき、WO2006/053299に記載されているBドメイン欠失FVIIIの種々のCys変異タンパク質を、標的ドメイン、例えば、本明細書に記載されている修飾されたRGDペプチドへBDDを結合するために使用することができる。
【0055】
実施例3:BHRF−1−FVIIIは固定化されたGPIIb/IIIaに結合する
BHRF−1−FVIIIのGPIIb/IIIaへの結合活性を試験するために、ビオチン化GPIIb/IIIaをストレプトアビジンプレート上に固定し、結合バッファー(50mMのトリス、pH7.5、100mMのNaCl
2、1mMのCaCl
2、1mMのMgCl
2、1mMのMnCl
2および1mg/mLのBSA)中でBHRF−1−FVIIIまたは非修飾FVIIIのいずれかと処理した。非結合タンパク質を結合バッファーで3回洗浄することにより除去した。アッセイバッファー(25μL)をプレートに加え、FVIII活性を発色アッセイキット(Coatest(登録商標) SP4, Chromogenix, Lexington, MA)を使用して測定した。
図4に示されるとおり、BHRF−1−FVIIIの結合が存在するが、ほんの少しの非修飾FVIIIの結合が検出された。BHRF−1−FVIIIの結合の増加は、GPIIb/IIIaへのBHRF−1結合に対して競合する環状RGDペプチド(GpenGRGDSPCA;配列番号:5)の添加により完全に除去された。さらに、GPIIb/IIIaがプレート上に固定化されていないとき、非常に低いバックグラウンドレベルのタンパク質が結合した。これらのデータは、BHRF−1−FVIIIがペプチド標的ドメインを介してGPIII/IIIIaへ標的化され得ることを示す。
【0056】
非結合FVIIIをBHRF1−FVIIIの製造物から除去しなかったため、試験を行い、存在する非結合FVIIIの量を測定した。BHRF1−FVIII活性を過剰レベルの固定化されたGPIIb/IIIaを含むビーズを使用して枯渇させた。約80%のBHFR1−FVIIIの活性を枯渇させることができ、製造物における約20%のFVIII活性は非結合FVIII由来であることを示す。
【0057】
実施例4:BHRF−1−FVIIIおよびFVIIIでのインビトロ全血凝固活性アッセイ
止血活性におけるBHRF−1−FVIIIの血小板結合の効果を評価するため、その活性をLandskroner, et al., (Haemophilia 11:346-352, 2005)に記載されている全血凝固線溶分析装置(ROTEM(登録商標)、Pentapharm GmbH)システムを使用して非結合FVIIIの活性と比較した。凝固活性の測定、例えば、Coatest(登録商標)発色アッセイまたは活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)アッセイとは異なって、ROTEM(登録商標)アッセイは血小板の機能に依存し、したがって、血小板へのBHRF−1−FVIII結合の効果を示すことができる。アッセイを行うために、血友病Aマウスのクエン酸全血を室温で等量のBHRF−1−FVIII(1mIU)または非結合FVIII(Coatest(登録商標)発色アッセイに基づく)と混合した。自動ピペットにて300μLの処理血液を20μLのCaCl
2(200mmol)を有し、外因性アクチベーター(NATEM)を有さないROTEM(登録商標)カップへ分配することにより、サンプルを再石灰化した。測定を最後のピペッティング後即座に開始し、血液凝固形成を37℃で2時間(7200秒)連続的にモニタリングした。
【0058】
止血に関するROTEM(登録商標)分析パラメーターは、凝固時間(CT)、測定の開始後に2mmの凝固堅固を得るために必要である時間、凝固形成時間(CFT)、2mmの凝固堅固から20mmの凝固強度までの時間、およびα角度、凝固形成の速度を含む。
【0059】
図5に示されるとおり、BHRF−1−FVIIIは、ROTEM(登録商標)アッセイにおいて等量(発色アッセイに基づいて)の非結合FVIIIよりも凝固に必要な時間が少なく、凝固の効率が高いことを示した。CTの違いは約400秒であり、これはFVIII標準曲線に基づいて約2−3倍のFVIII活性に相当する。
【0060】
標的化凝固因子の止血活性および薬物動態パラメーターは、血友病Aマウスモデルを使用してインビボで評価することができる。標的化凝固因子は尾静脈内注射により投与することができる。処置後複数の時点で、血液を%のクエン酸ナトリウム中に回収し、マウスにおけるFVIIIの>6の半減期(t
1/2)に相当する注入後48時間にわたって、止血活性をROTEMを使用して測定する。
【0061】
実施例5:ヒトおよびマウス血小板へのインビトロ結合アッセイ
FVIII−BHRF−1のヒト血小板への結合
ヒト血小板は、5×10
9の血小板/チューブで14mLの血漿でAllcells(Emeryville, CA)から得た。血小板およびすべての洗浄液、バッファー、試薬および遠心機を室温に温め、実験工程中、室温で維持した。血小板のための洗浄バッファー(WB)は、20mMのHEPES、0.5%のBSAおよび50ng/mLのPGE1および2.5U/mLのアピラーゼ、pH7.4を補ったTyrodeのバッファーである。
【0062】
細胞を700×gで15分25℃で遠心し、次に上清を注意深く除去し、14mLのWBを加えた。細胞を穏やかにWBに再懸濁し、記載のとおりに遠心した。
【0063】
第2の遠心分離後、上清を除去し、血小板を15mLのWBに再懸濁した。その時に、細胞をそれぞれ5mLの3つの等量のアリコートに分けた。3つのアリコートを前記のように遠心し、次に3つの血小板ペレットを下記のいずれかで再懸濁した:
A.5mLの結合バッファー+5mg/mLのBSA(BBB、50mMのトリス、100mMのNaCl、それぞれ1mMのCaCl
2、MgCl
2およびMnCl
2)
B.FVIIIを欠いているがvWFは存在する5mLのHemA血漿
C.FVIIIおよびvWFの両方を欠いている5mLの免疫喪失血漿。
【0064】
バッファー(A)または血漿(BまたはC)に関して、以下の条件を使用した:
1.バッファー/血漿のみ+2.5nMのBHRF−1−FVIII(約20%の非結合FVIII(実施例3、参照)を含む)
2.バッファー/血漿+血小板+2.5nMのBHRF−1−FVIII(約20%の非結合FVIIIを含む)
3.バッファー/血漿のみ+2.5nMの組換えFVIII
4.バッファー/血漿+血小板+2.5nMの組換えFVIII。
【0065】
それぞれの条件1−4に関して、100μLのA、BまたはCを室温でマイクロチューブにピペットで移し、次にBHRF−1−FVIIIまたは非結合FVIIIをチューブに加えた。チューブを37℃で1.5時間(振とうなしで)インキュベートした。インキュベーション後、チューブを最高速度(16,000rpm)で5分遠心し、血小板をペレット化した。上清を回収し、FVIII活性をアッセイした。上清中の活性量は非結合FVIIIまたはBHRF−1−FVIIIの量を反映する。データはすべての状態におけるBHRF1−FVIIIのヒト血小板への結合を証明する(
図6に示されている)。BHRF−1−FVIIIが条件AおよびCにおいて約20%の非結合FVIIIを含むため、データは、高い割合の複合体が結合していることを示す。FVIIIの結合は条件AおよびBにおいて観察されなかったが、35%のFVIII活性が条件Cにおいて結合した。図は、また、35%のFVIIIの非特異的結合に関して補正された条件Cに対して維持しているFVIII活性のレベルが、この条件において観察されたことを示す(すなわち、出発FVIII活性を、結合パーセントを計算するために35%引いた)。
【0066】
FVIII−BHRF−1のマウス血小板への結合
BHRF−1−FVIIIは、また、
図7に示されるとおりマウス血小板へ結合した。同様の結合アッセイを、血小板リッチ血漿(PRP)を回収するためにマウスクエン酸血を200×gで15分遠心することを除いて、ヒト血小板に記載されたとおりに実施した。PRPをクエン酸洗浄バッファー(11mMのグルコース、128mMのNaCl、4.3mMのNaH
2PO
4、7.5mMのNa
2HPO
4、4.8mMのクエン酸Na、2.4mMのクエン酸、0.35%のBSA、pH6.5)+50ng/mLのPGE1で希釈し、クエン酸洗浄バッファー+50ng/mLのPGE1で2回洗浄した(1200×gで10分遠心することにより)。最後に血小板を結合バッファー(50mMのトリス、100mMのNaCl、それぞれ1mMのCaCl
2、MgCl
2およびMnCl
2)+5mg/mLのBSAに再懸濁した。非結合FVIIIおよびBHRF−1−FVIIIを血小板に加え、37℃で2時間後、血小板を遠心分離により回収し、上清における非結合FVIII活性を測定した。
【0067】
図7に示されるとおり、59%の非結合FVIIIの活性にて血小板に結合した。BHRF−1ペプチドを介する血小板への添加BHRF−1−FVIII活性結合のパーセントを計算するために、FVIIIの非特異的結合(ペプチドを介して起こらない)のレベルを反映するために、出発FVIII活性の量を59%によって補正した。BHRF−1−FVIIIに関する補正値は31%非結合であった(69%結合)。100uMのインテグリリンをペプチド結合を完了するために加えたとき、非結合活性は82%非結合に上がった(18%結合)(非特異的FVIII結合に関しても補正した)。これらのデータは、BHRF−1−FVIIIがBHRF−1標的ドメインを介してマウス血小板に結合し得ることを証明する。
【0068】
実施例6:薬物動態学的試験
血漿中の細胞(例えば、血小板)への結合におけるFVIII活性を反映する血友病Aマウスへの注射後の種々の時間での血液中のFVIIIのレベルを、全血凝固アッセイ、例えば、上記のROTEM(登録商標)を使用して測定する。
【0069】
実施例7:FVIII活性の評価のための発色アッセイ
精製されたタンパク質および複合体のFVIII活性をCoatest(登録商標)SPアッセイキット(Chromogenix, Lexington, MA)を使用して評価した。アッセイを、96−ウェルプレートフォーマットにおいて製造業者の指示にしたがって行った。簡潔には、FVIIIまたは複合体を含む希釈されたサンプルを、活性化FIX/FX/リン脂質の混合物、次に25mMのCaCl
2、発色基質S−2765/I−2581の順に混合した。それぞれの試薬添加中、サンプルを37℃で5分インキュベートした。最後の発色基質の添加後、反応を5分後に20%の酢酸を停止させ、プレート吸光度を405nmで読み、490nmバックグラウンドに対して標準化した。サンプル吸光度を、0.3−40mIU/mLの動作範囲でWHO/NIBSCの血漿由来FVIII標準曲線に対して調節した。
【0070】
実施例8:血友病マウスにおけるインビボ有効性アッセイ
血液凝固の促進における標的化FVIII分子の有効性を示すため、およびこれらの作用期間を評価するために、血友病(HemA)マウスの尾クリップ損傷または尾静脈切断モデルを下記のとおりに使用することができる。
【0071】
尾クリップ損傷モデル
試験サンプルを尾静脈注射を介したマウスに投与する。投与後、マウスをケタミン/キシラジン(100mg/kg、10mg/kg)にて腹腔内(IP)で麻酔する。動物を完全に麻酔後、尾を個々に13mLの37℃にあらかじめ温められた塩水中に約10分置く。尾カットを鋭利なメスにて行い、尾を9mLの37℃の温塩水を有する新しいチューブに即座に入れる。血液を30分間連続的に回収する。出血量を血液回収チューブの重量により、または血液回収チューブ中の血液/塩水混合物の光学濃度により測定する。
【0072】
尾静脈切断
HemAオスマウスを、それらの体重によって異なる処置グループにランダム化する。尾静脈の取り扱いの24時間前に、マウスに尾静脈注射によって投与する。尾静脈切断の前に、マウスを50μg/kgのケタミンおよび1mg/kgのメデトミジンを含む混合物にて麻酔する(IP)。尾にフレンチカテーテルを使用して直径2.7mMで印を付ける。メデトミジンの麻酔効果はIP注射による1mg/kgのアチパメゾールにて逆転される。尾静脈をメスの刃で切断する。次に尾を37℃の塩水チューブに入れ、血液を傷口から洗い流すためにチューブを回転させる。塩水が視覚化するためにあまりにも不透明になったとき、尾の出血が停止するまで新しいチューブと置き換える。出血が停止するためにかかる時間を急性凝固時間として記録する。次にマウスを4×8インチの湿布上に置かれた白色の紙寝具を備えた個々の透明なケージに戻す。再出血および瀕死の時間を、後の9−11時間を1時間毎に過剰血液喪失に関してモニタリングする。
【0073】
実施例9:標的化FVIIIの組換え発現
1つの態様において、HKB11細胞を、5%CO
2インキュベーター中で37℃でタンパク質フリー培地中でオービタルシェーカー(100−125rpm)上で懸濁液培地中にて培養し、0.25から1.5×10
6細胞/mL密度で維持する。トランスフェクションのためのHKB11細胞を遠心分離により回収し、次に発現培地、例えば、FreeStyle
TM293発現培地(Invitrogen, Carlsbad, CA)中で1.1×10
6細胞/mLで再懸濁した。細胞を6−ウェルプレート(4.6mL/ウェル)に播種し、37℃のCO
2インキュベーター中でオービタルローター(125rpm)上でインキュベートする。それぞれのウェルにおいて、5μgのプラスミドDNAを0.2mLのOpti−MEM(登録商標)I培地(Invitrogen, Carlsbad, CA)と混合する。それぞれのウェルにおいて、7μLの293fectin
TM試薬(Invitrogen, Carlsbad, CA)を0.2mLのOpti−MEM(登録商標)I培地と穏やかに混合し、室温で5分インキュベートする。希釈した293fectin
TMを希釈したDNA溶液に加え、穏やかに混合し、室温で20−30分インキュベートし、次に5×10
6(4.6mL)のHKB11細胞で播種されたそれぞれのウェルに加える。次に細胞をCO
2インキュベーター中で37℃で3日間オービタルローター(125rpm)上でインキュベートし、その後に細胞を1000rpmで5分遠心分離によりペレット状にし、上清を回収する。
【0074】
HKB11細胞の安定なトランスフェクションを以下の方法を使用して得る。HKB11細胞に一過性トランスフェクションに記載されている293fectin
TM試薬を使用してプラスミドDNAをトランスフェクトする。トランスフェクト細胞を種々の希釈(1:100、1:1000、1;10,000)で100mmの培養皿に分配し、5%のFBSおよび200ug/mLのハイグロマイシン(Invitrogen, Carlsbad, CA)を補ったDMEM−F12培地中で約2週間維持する。個々の単一コロニーを採取し、滅菌クローニングディスク(Scienceware(登録商標)、Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)を使用して6ウェルプレートへ移した。クローンを確立し、預ける。これらのクローンを、FVIII活性アッセイ(例えば、Coatest(登録商標)およびaPTTアッセイ)により、ならびにFVIII ELISAにより、高い発現の融合タンパク質をスクリーニングする。
【0075】
培養上清および精製画分における第VIII因子の活性レベルは、上記96ウェルフォーマットにおいて市販の発色アッセイキット(Coatest(登録商標) SP4 FVIII、Chromogenix, Lexington, MA)を使用して測定され得る。第VIII因子の凝固活性は、また、Electra(登録商標)1800C自動凝固分析器(Beckman Coulter, Fullerton, CA)によるFVIII欠失ヒト血漿におけるaPTTアッセイを使用して測定され得る。簡潔には、凝固希釈液中の上清サンプルの3つの希釈物を器具により製造し、次に100μLを100μLのFVIII欠失血漿および100μLの自動aPTT試薬(ウサギ脳のリン脂質および微粉化シリカ、Biomerieux, Durham, NC)と混合する。100μLの25mMのCaCl
2溶液の添加後、凝固形成の時間を記録する。標準曲線を同じ精製FVIIIの連続希釈物を使用してそれぞれの時間に対して作成し、ELISAアッセイにおける標準として使用する。
【0076】
本発明が特定の態様および実施例と関連して記載されているが、種々の修飾および変化が作成され得て、均等は本発明の精神および範囲から逸脱することなく置き換えられ得ると理解すべきである。したがって、明細書および実施例は、限定的意味というよりはむしろ説明と考えるべきである。さらに、本明細書に挙げられている全ての文献、特許出願および特許はそれら全体を出典明示により本明細書に包含される。