(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンは通常、圧縮機セクションと、燃焼器セクションと、回転して電力を発生させるようにする少なくとも1つのタービンとを含む。圧縮機は、燃焼器セクションに直接フィードを吐出し、ここでは炭化水素燃料が噴射されて、混合及び燃焼される。次いで、燃焼ガスがタービンの1以上の段に送られてこれらを通過し、該タービンが燃焼ガスから回転エネルギーを抽出する。
【0003】
最大動作効率を得るために、ガスタービン燃焼システムは、様々な燃料組成、圧力、温度、及び燃料/空気比条件の幅広い範囲で稼働しなければならず、液体又はガス燃料、或いは両方の組み合わせ(「二元燃焼」システムと呼ばれる)を利用できることが好ましい。しかしながら、ガスタービン燃焼器で使用するための多くの炭化水素燃料候補は、不要な汚染物質及び/又は他のプロセスの副生成物を含有し、これらは、燃焼を妨げ、及び/又はガスタービンシステムの能力及び効率を低下させる傾向がある。多くの燃料候補はまた、環境汚染制御問題、詳細には望ましくないNOx成分の形成を生じさせる。
【0004】
結果として、従来の種々の燃焼器設計は、液体燃料組成を用いて高レベルのタービンエンジン性能を維持しながら、エミッションレベル、詳細には燃焼によって生じるNOx及びCOの量の許容可能な範囲を達成しようと試みているが、限定的にしか成功していない。低NOxエミッション(「乾式低NOx」(DLN)と呼ばれる)を達成できるほとんどのガスタービン燃焼器は、NOx生成を制御及び制限するために低重量の炭化水素燃料及び過剰な量の空気を含む、希薄予混合燃焼混合気を必要とする。通常、このような燃焼器は、重量で90から98%のメタン(CH
4)とそれよりも少ない量のCO
2、O
2、N
2、並びにエタン、エチレン、及びアセチレンなどのごく僅かな割合の短鎖炭化水素からなる加圧天然ガスの混合気を使用する。これらの希薄混合気は、従来の火炎燃焼器よりも低温で燃焼する傾向があり、これにより、窒素酸化物を含む低レベルの汚染物質を生成する。
【0005】
これまでに、単独で又は他のガス状燃料成分と組み合わせて石油及びディーゼル油などの液体炭化水素燃料を含む、天然ガスに対する代替物を用いて燃焼器を作動させる多くの試みがなされている。液体燃料を用いて希薄予混合及び予蒸発火炎を生成するために、燃料は、最初に蒸発させ、可能であれば、燃焼器にて点火する前に空気と混合して許容可能な燃料蒸気を生成できる、より可燃性が高く且つ熱効率のよいガスに改質する必要がある。この場合でも、他のガス燃料元素(低重量の脂肪族炭化水素を含む)と組み合わせて高分子量の炭化水素成分を含有する液体燃料を使用することは、問題があることが分かっている。
【0006】
高分子量燃料を用いる1つの認識されている手法は、詳細には重質の油又はナフサなどの燃料を軽質の炭化水素成分に改質するプロセスを伴う。しかしながら、公知の改質プロセスは、可能性のある熱効率損失を含む、複雑で高価なプロセス制御問題を伴う。例えば、1つの燃料成分として石油を用いるガスタービン設計は、より有用な燃料に容易には改質できない汚染物質からの高温腐食を受けやすい。結果として、液体燃料を用いるほとんどのガスタービンエンジンは、小さな炭化水素成分に容易に分解され、及び/又は効率的に蒸発させることができる液体天然ガス(LNG)又は超軽量油の何れかを燃料として稼働する。公知の転化プロセスは、触媒蒸気改質、自己熱触媒改質、触媒部分酸化及び非触媒部分酸化を含み、その各々が利点と欠点を有し、水素と一酸化炭素の種々の比率(「合成ガス」)をもたらす。
【0007】
既知の触媒システム(特に水素)からの反応生成物が燃料成分として極めて望ましいものであっても、場合によっては、触媒反応の結果として生じる高いガス温度に起因して触媒反応に大きな損傷を生じる可能性がある。すなわち、改質生成物の温度は、ガスタービン用の配管を形成するのに使用される材料の許容可能な閾値を超過することが多い。従って、加熱された改質ストリームを燃焼器に直接供給できるようにするために、下流側の配管に高い温度流体伝達材料が必要となり、システム材料コストが有意に増大する。加えて、改質器構成要素に対する過熱及び損傷を防ぐために、何らかの方式で触媒改質器を冷却しなければならず、これにより、従来の熱交換器の場合でも、システムに対する複雑さ及びコストが大幅に追加される。
【0008】
既存の改質プロセスに伴う高温を考慮すると、ガスタービンエンジン用に追加の水素を生成するために燃料改質触媒システムを使用することが極めて制限されてきた。公知の従来技術の触媒システムは、改質操作によって発生する反応の発熱を効果的に制御及び利用しながら、重質の液体及び/又はガス燃料成分を改質する許容可能な方法を提供するものではない。
【0009】
従って、公知の従来技術のシステムに対して種々の熱効率の問題が依然として存在する。例えば、Muenbergerによる米国特許第3796547号は、触媒床内に埋め込まれた1以上の熱交換器を備えて密封円筒容器内に収容される発熱触媒を用いて、冷却材(通常は水)が外部供給源から導入され、後で熱交換器から除去されることで、フィードストリームの触媒反応により発生する熱を制御するのを助ける熱交換装置を開示している。Muenbergerでは、処理されたプロセスストリームを用いて改質成分に冷却を加えること、或いは、熱的に集積化されたプロセスを維持することを企図又は教示していない。
【0010】
Sederquistによる米国特許第6444179号は、過熱蒸気を用いた触媒反応により燃料を転化し自由水素を発生させる、「自己熱」燃料電池型の改質器を記載している。燃料電池改質器は、触媒反応から生成された熱を用いて反応で使用される過熱蒸気を生成できるように構成された複数の混合管体から各々がなる、第1及び第2の反応物マニホルドを備えた閉鎖圧力容器を含む。Sederquistは、追加の熱を用いて燃料源を処理することを企図していない。
【0011】
Clawson他による米国特許第6083425号は、改質触媒を含有する部分酸化反応ゾーンに導入される酸素富化ガスフィード及び蒸気を用いて「改質器」内で炭化水素燃料を水素と二酸化炭素に転化する従来の方法を示している。Clawson他は、処理済み燃料ストリームを用いて改質成分に冷却を加えることを企図していない。
【0012】
Hokari他による米国特許公開番号2005/0072137は、重質油を「臨界超過」の高温高圧水及び酸化バナジウムに対する酸化剤と混合し、次いで、結果として得られる酸化バナジウムを分離することにより重質油を処理するプロセスを開示している。この場合も同様に、Hokari他は、触媒と生成熱の熱集積化を使用してはいない。
【0013】
同一出願人による米国特許第5113478号では、管状本体内に配置された熱プラグを用いて、燃焼室温度が特定の閾値を超えたときに燃焼室及び管状部材の外側の「受熱」フィンからの放射熱の結果として液体燃料が気化される液体燃料気化器を記載している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、改質器が、触媒改質段階中に発生する熱の集積化を行うと同時に、改質された燃料蒸気の品質を向上させた後に燃焼器への主燃料フィードと組み合わされる、ガスタービンエンジンで使用するための新規の燃料改質器設計を提供する。改質器は、完全に気化された燃料、或いは、別の方法では、複合(及び改質された)液体及びガスフィードを用いた二元燃焼器用の燃料成分を生成することができる。
【0020】
現在では、液体燃料及び/又はガス燃料を単独で又は組み合わせて用いる燃焼器の効率は、燃焼器に供給される空気/燃料混合気中に存在する自由水素の量を増大させ、その結果、不要なエミッションレベルを低減しながら、燃焼安定性及びターンダウンが増大する傾向になるような、本明細書で説明される方式でCPOXを用いて有意に改善できることが分かっている。
【0021】
1つの例示的な実施形態において、本発明は、触媒部分酸化(CPOX)プロセスを利用して、ガスタービンエンジンの燃焼器に供給される燃料の一部を改質する。CPOX反応は、本質的に高い発熱を伴うので、炭化水素燃料源及び空気などの酸素含有ガスは、高温で触媒と組み合わされて接触され、高濃度の水素及び改質した()炭化水素成分を含有する反応生成物を生成する。従って、改質器は、補完空気及び燃料混合物(通常は、天然ガスと重質の炭化水素ガス成分を含む)を触媒と接触させることにより、該補完燃料混合物を水素富化補完燃料に転化させ、結果として、自由水素及び/又は合成ガス状反応生成物(通常は、追加の二酸化炭素及び未反応の自由窒素を備えて水素富化である)を生成する発熱反応をもたらす。自由窒素及び/又は合成ガス状反応生成物の生成は、燃料源としての水素及び短鎖脂肪族炭化水素の使用に際しての固有の熱的及び環境的利点に起因して、燃焼器及びタービン効率の改善に役立つ。
【0022】
上記で特定されたものを含めて、公知の従来技術のシステムとは異なり、改質ステップ中に発生した熱は、主として重質油から構成される1以上の別個の液体「廃棄」燃料フィード、又は代替として、長鎖脂肪族炭化水素などの残存する重質の炭化水素成分量を含有する高分子量燃料ガスを気化する(及び場合によっては分解する)のに用いられる。結果として組み合わされる補完燃料源は、最終燃焼器燃焼において、他の場合に実施可能であるよりも更に「希薄」な作動条件によって燃焼器動作全体を改善する。特に、本発明に従って処理される改質器燃料は、ディーゼル燃料、ガソリン燃料、及びより高い平均分子量油のような、炭化水素液体燃料の混合物を含む、ほとんどのあらゆる炭化水素ガス燃料を含む点に留意されたい。
【0023】
加えて、改質器触媒の反応生成物は、CPOX触媒を用いた発熱反応により遙かに高い温度で排出される。次いで、反応中に発生する追加の熱は、別個の「廃棄」液体及び/又はガスフィードストリーム内の高分子量の炭化水素成分を加熱(及び好ましくは気化及び/又は分解)することによって、改質器システム全体の熱集積化を達成するのに用いられる。触媒改質反応はまた、改質の生成物が主燃料源と組み合わされると、燃焼器フィードの有意な水素富化をもたらす。
【0024】
本発明の例示的な実施形態において、燃焼器に供給される燃料のおよそ80から90%は、1次燃料源、通常はガス燃料/空気混合気からなる。残りの10から20%は、改質操作に直接的に関与する3つの追加の燃料ストリーム、すなわち、触媒により処理された第1の改質燃料ストリーム(自由水素及び短鎖脂肪族化合物を生成する)と、場合によっては重質油を含む1以上の液体「廃棄」燃料成分を含む2つの補完燃料ストリームとを備える。両方の補完燃料ストリームは、改質油用冷却媒体としての機能を果たしながら、物理的及び化学的変化(重質成分の幾らかの熱分解を含む)を受ける。
【0025】
事実上、改質中に発生する発熱は、両方のストリームにおいてガス及び液体燃料中の重質成分の気化及び/又は熱的に分解する役割を果たす。第2の補完燃料ストリームは、また、改質器から出る高温の反応生成物に対する任意選択の冷却媒体として役割を果たすことができる。全ての3つの燃料ストリーム(主改質燃料と、第1及び第2の補完燃料ストリーム)は、共に合流されて、水素が有意に富化され且つ低級の脂肪族化合物である最終燃焼フィードを形成する。
【0026】
従って、本発明は、改善されたガス改質器設計、及び改質器により生成される高温反応生成物ストリームを冷却する、すなわち熱集積化するための関連する方法を提供する。従来技術のシステムとは異なり、冷却改質器は、あまり望ましくない燃料ストリームの一部を利用して、改質器用の圧力容器ハウジングを含む反応器組立体を冷却する。すなわち、ストリームの一部が反応器組立体を覆って、その周りに、及び隣接して配向されて反応器構成要素を冷却し、これにより過熱に起因した燃料改質器及び下流側配管への損傷を防ぐ。従って、本発明の1つの利点は、補完「廃棄」型燃料を用いて反応器によって生成される加熱改質油を許容可能レベルにまで冷却し、組み合わされた燃料/改質油混合気を低コスト、低温の配管材料を用いて下流側に輸送できるようにすることである。
【0027】
加えて、燃焼器端部において、水素レベルの増大は、低NOx運転中の火炎安定性を向上させ、結果としてエミッション低減及びターンダウンの増大をもたらす。インライン燃料改質器設計はまた、燃料反応性を正確に監視及び制御可能にし、燃料融通性及び効率の向上につながる。
【0028】
任意選択の実施形態において、蒸気(改質器燃料フィード組成に応じて飽和又は過熱された)は、改質器に直接配向されて触媒反応を促進する。蒸気はまた、改質器の下流側の反応器組立体への別個のフィードとして含まれ、改質油の追加の温度制御を提供するようにすることができる。別の実施形態において、窒素又は二酸化炭素などの希釈ストリームは、反応器組立体及び改質ストリームのための補完冷却として改質器内又はその周囲に配向される。
【0029】
各図面を参照すると、
図1は、本発明による改質方法及び装置を組み込んだ例示的なガスタービンエンジンの概略フロー図である。ガスタービンエンジン10は、圧縮機12、燃焼器11を形成する複数の燃焼器、及びガスタービン16を含む。圧縮機12及びガスタービン16は、回転シャフト15(単一のシャフト又は複数のシャフトセグメントを含む)により共に結合される。作動中、圧縮機12は、加圧空気を燃焼器11に供給し、主燃料源13は、1次燃料ストリームを燃焼器11に提供する。空気及び燃料が混合されて燃焼され、燃焼の高温ガスが圧縮機11からガスタービン16に直接流れて、ここで燃焼ガスからエネルギーが抽出されて仕事を産出する。
【0030】
本発明の第1の実施形態によれば、改質器(参照符号14にて破線構成で図示される)は、燃焼器11の上流側に位置付けられる。上述のように、改質器の主要目的は、燃焼器への水素富化フィードストリームを生成すること(これにより、燃焼器に供給される複合燃料の全体の品質及び効率を改善し、不要なエミッションを低減すること)であると共に、熱集積化を利用して2次補完燃料ストリームを処理することである。
【0031】
図2は、熱集積化又は基本燃料成分の変更なしで、予混合燃焼器燃料フィードに依存する従来技術のシステムで使用される基本プロセスステップを描いた流れブロック図である。通常、液体燃料20は、参照符号22で示すように1以上の熱交換ユニットに供給される。次いで、液体燃料の温度は、加熱媒体23を用いて上昇され、好ましくは、不活性ガスキャリアストリーム24と組み合わされる気化燃料ストリームを生じる。追加の希薄予混合予気化燃料ガス25が既に気化された混合気に添加され、結果として得られる燃料混合気が従来の燃焼装置26に供給されて、比較的「清浄」な燃焼及び燃焼生成物27がもたらされる。
【0032】
図2に描いた従来技術のプロセス、詳細には希薄予気化予混合ガスフィード(「LPP」)の使用は、本発明の2つの重要な態様、すなわち、(1)重質のガス燃料成分から自由水素への転化、又は(2)低発熱量を有するいわゆる「廃棄」燃料を含む、前処理補完液体燃料成分に対して反応中に生成される発熱を使用すること、を達成することができない。その代わりに、
図1のシステムの液体成分を気化するために、外部供給源から相当量の追加の熱を加えなければならない。また、図示の従来技術では通常、改質器フィード自体を用いて本発明により達成される機能は、別個のキャリア流体として不活性ガスを用いる必要がある。
【0033】
図3は、本発明の第1の実施形態による、ガスタービンエンジンの燃焼器に対する予混合多燃料フィードを改質する主要なプロセスステップ、及びその例示的なプロセスのための機器要素を描いた概略流れ図である。改質器31(好ましくは、ガス、液体、又は液体/ガスフィードの組み合わせを処理できる)は、符号58で識別される燃焼器セクションの上流側、すなわち、燃料マニホルド(図示せず)の上流側に位置付けられ、主燃焼燃料の少なくとも一部を改質して水素富化改質油を生成する。
【0034】
図3に示すように、改質器31に供給される燃料は、任意選択的に、1以上の炭化水素ガス33を、単独で、或いは、任意選択の液体燃料フィード34(すなわち、名目上高い平均分子量燃料成分を含む液体燃料)と組み合わせて含む。改質器フィードはまた、改質される補完燃料源内の化学成分に応じて、本質的に飽和又は過熱された任意選択の蒸気フィード35を含む。場合によっては蒸気の使用は、結果として得られる合成ガス生成物を修正し、改質器により生成される二酸化炭素に対する水素の比を調整する助けとなる。
【0035】
改質器に供給される1次燃料はまた、周囲空気37と、改質器コアに供給される選択燃料成分の改質反応を促進する役割を果たす第2の任意選択蒸気フィード38(この場合も飽和又は過熱されたもの)とを含む。2つの混合フィードストリームは、組み合わされた改質器フィード32及び36として
図3に描かれている。改質器コア内の発熱触媒反応から生じる極めて高温の改質最終生成物燃料フィード55は、相当量の自由水素を含む。圧縮最終生成物燃料フィード55の追加の熱含量を用いて、以下で詳細に説明するように別個の補完燃料ストリームを処理することができる。
【0036】
図3は、ガス燃料41を含む第1の補完ガスストリーム40と、希釈ストリーム42(例えば、窒素又は水)と液体燃料フィード43との使用を示しており、液体燃料フィード43は通常、1次改質器フィードストリーム32及び36と比べて高い分子量の炭化水素を含む。この第1の補完ガスストリーム40は、改質器コアにおいて発生した反応熱を用いた熱処理ステップを受ける。名目上、反応中に発生する追加の熱は、液体フィード43を気化するのに十分なものである。従って、反応により発生する追加の熱を用いて、改質器コア31の周りの異なる周辺位置にて第1の補完燃料ストリーム40の一部を加熱(及び、場合によっては分解)することができる。
【0037】
図3はまた、追加の液体炭化水素燃料51及び場合によっては、燃焼器への最終フィードの一部となる重質燃料52を含む、任意選択の第2の補完燃料ストリーム50の使用を描いている。同様に、第2の補完燃料ストリーム50は、触媒反応による改質器コア内に発生した発熱の一部を用いる。好ましくは、改質反応からの発熱は、液体フィード50及び40両方を気化するのに十分なものであり、これら液体フィードは、組み合わされて圧縮最終生成物燃料フィード55になる。
【0038】
図3の第2の補完燃料ストリーム50は、液体燃料成分を気化しながら改質器のシェル側を冷却し、すなわち改質器温度を低下させる。顕著なことに、第1及び第2の補完燃料の両方からのフィードの一部は、例えば、比較的低い熱含量を有する溶鉱炉型構成要素を含む、本質的に「低グレード」とすることができる。それでも尚、これらの燃焼がより困難な燃料は、気化されて、改質プロセスから結果として生じる自由水素と組み合わされたときに、燃料成分として有用になる。
【0039】
図3の実施形態において、初期改質フィード(ここでは追加の水素で富化されている)は、第1及び第2の補完燃料ストリーム40及び50と共に組み合わされて、圧縮燃焼器燃料フィードを形成する。組み合わされ改質された気化燃料フィード55は、従来の燃料清浄化工程56を進み、あらゆる不要な残留重質燃料油を除去する。次いで、最終炭化水素及び水素富化燃料フィード57が、燃焼器58に供給され、使用済み(酸化された)ガスエミッション59を生じる。
【0040】
図4は、燃焼器への水素富化改質炭化水素フィードストリームを生成すると同時に、改質中に発生した熱を熱的に集積化するのに用いられる、本発明による改質器(全体的に符号60で示される)の例示的な実施形態の側断面図である。上述のように、改質器への第1の燃料フィード61は、燃料ガス(天然ガスなど)と、1以上の任意選択の液体燃料成分又は不活性ガスストリームとの混合気を含むことができる。改質器へのガス状フィードは、空気、二酸化炭素、及び場合によっては蒸気(好ましくは過熱された)を含み、触媒反応(例えば、CPOXを用いて)において加えられて、自由水素と、並びに反応の発熱特性に起因した相当量の熱を生成する。窒素又は
他の希釈材を用いて、過渡状態又は他の不安定な動作モード中に反応速度を制御することができる。改質器コアへの未改質フィード全体が、図示のように触媒床を通って改質器コア62から外部に、及び改質器吐出開口82の外に流れて、接続フランジ80を介して改質器に接続される下流側機器に流入する。
【0041】
作動時には、改質器フィード61は、高圧下で改質器コア62内に入り、次いで、触媒床65内の複数の等間隔に配置された半径方向開口に入って通過し、該開口は、この実施形態では直線的に離間し且つ改質器コア62を囲んで描かれている。これらを統合すると、改質器コア62、複数の燃料噴射開口63、64、及び触媒床65は、例示的な改質器コア組立体を定める。触媒床65における燃料噴射開口63及び64の数及び間隔は、利用される触媒のタイプ並びに改質器フィードの流れ特性及び組成に応じて変わることができる。例えば、改質器コアのハブの周りの種々の半径方向位置にて一連の線形的に離間した開口は、触媒床に入り通過する流れが均一なままであり且つ触媒床にわたり許容可能な圧力低下を有することを確保するために用いることができる。結果として得られる改質触媒反応生成物(相当量の自由水素を含む)は、改質器コアを囲む触媒床65から流出して改質油チャンネル77を流れ、更に、改質器コアの直ぐ下流側に出口流れチャンネル66を定める改質生成物収集ゾーン上に流れる。
【0042】
水素及び気化燃料を含有する組み合わされた改質燃料、並びに熱処理された2次燃料ストリーム79(以下で説明する)は、
図4に流れ矢印で示すように組み合わされて、組み合わされた改質器か燃料混合気を生成し、これが改質流チャンネル81に入り、次いで、フレアスロート67により定められる拡大流れチャンネルに流入する。改質器82の出口における組み合わされた燃料ストリームは、接続フランジ80を介して主燃焼器フィードに直接接続する。
図3に関連して上記で説明したように、この組み合わされた流れは、第2の熱交換工程を受け、燃焼器に到達する前に組み合わされたガスフィードを更に冷却することができる。
【0043】
図4はまた、圧力アトマイザ69及び70により図示される、複数のアトマイザステーションの例示的な実施形態を示しており、ここでアトマイザは、システムに対する第1の補完ガスタービン燃料フィード68を霧化(気化)する。上述のように、符号71において結果として得られる霧化ストリームは、改質器コア内で触媒改質中に発生した発熱を利用して、液体成分を噴霧状態に気化して、霧化ストリーム中に存在する高分子量の炭化水素成分の少なくとも一部を熱的に分解する。霧化プロセスはまた、改質器内又はその付近での高い燃料温度に起因した重質金属堆積及び汚損物の形成を阻止するのを助ける。
図4に示すようにアトマイザに供給される補完燃料成分は、種々のガス燃料、希釈材(又は水)、及び液体炭化水素燃料を含むことができる。
【0044】
一定の条件下では、補完燃料成分68は、圧力アトマイザ69、70により霧化される前に僅かに冷却され且つ圧力を増大させることが必要となる場合がある。
図4の実施形態において、冷却は、図示のように、冷却水入口73及び出口74と共にウォータジャケットを用いて達成することができる。必要であれば、追加のキャリアガス(窒素など)も用いて、補完燃料輸送管72から主改質燃料混合気内に霧化ストリームを輸送する(キャリアガス75と、アトマイザに隣接し且つ符号78で示されるように更に下流側の複数のキャリアガス入口ポートを参照)のを支援することができる。
【0045】
図4はまた、実施形態においてCH
4燃料と周囲空気がどのようにして改質器に同時に供給されて触媒床65内を半径方向に通過するかを示している。改質器フィードとの発熱触媒反応によって発生する熱により、補完燃料輸送管72の壁(並びに燃料管により定められる管状スペース全体)が極めて高温になり、反応からの伝導熱及び放射熱が、霧化されている液体ストリーム内の少なくとも一部の高分子量炭化水素成分を気化及び/又は熱的に分解できるようになる。次いで、気化/分解されたストリーム及び当初の改質生成物(水素を含む)の両方は、改質油流れチャンネル81内で改質器の下流側部分において組み合わされる。
【0046】
或いは、少量の液体燃料を高温の改質器ストリーム内(補完燃料輸送管内にではなく)に直接噴射してもよい。この両方の噴射方法は、液体燃料のタイプ及び物理的特性に応じて、本発明と共に利用することができる。また、追加の「残留」改質及び熱分解は、通常は、高温の水素富化改質ストリームの結果として、改質流れチャンネル自体内で触媒床65の下流側で生じることが分かっている。
【0047】
図3に関連して上述されたように、
図4の改質装置及び方法は、改質器への任意選択の別個の蒸気フィードを含む(成分が受けている改質に応じて、飽和又は過熱される)。蒸気フィードの量及び熱特性は、改質されている補完燃料源を含む化学成分に部分的に依存する。蒸気はまた、燃料ストリームにおける選択炭化水素化合物の少なくともある程度の部分酸化により改質反応の制御を助ける。
【0048】
改質器で起こる基本CPOX触媒反応は、本質的に高い発熱を伴うので、触媒に対する損傷を防ぎ、経時的な自由水素の生成を最大限にするのを確保するために反応熱を制御しなくてはならない。幾つかの許容可能な触媒は、所望のCPOX反応を達成することが知られており、典型的には、入口と出口ストリーム間に位置付けられる密閉触媒反応チャンバでの使用が容易な適切な指示構造体上に載置された、プラチナ又はロジウムもしくは他の貴金属など、従来の金属を含む。当業者には理解されるように、改質工程での使用に選択された特定の触媒(種々のCPOX触媒を含む)は、燃焼器の上流側の正確な作動条件、フィード組成、その他に部分的に依存することになる。
【0049】
図4の装置及びプロセスにおいて、改質器フィードは名目上、天然ガス、メタン、寝房、ブタン、プロパン、ディーゼル、ケロシン、航空燃料、石炭由来の燃料、バイオ燃料、含酸素炭化水素原料、及びこれらの組み合わせを含む、ガス成分又はガス及び液状成分の組み合わせからなる。好ましいガス成分は、触媒改質反応を抑制する傾向のある硫黄化合物又は他の無機化合物を含有することが多い液体燃料に比べて、より少ない「汚染物質」(例えば、非炭化水素化合物)を含有する。何れにしても、本発明は、「二元燃料」容量、すなわち、液体フィードとガスフィードの両方で使用することができる。
【0050】
改質されることになるガスは、また、超「清浄」(天然ガス及び自由水素と同様の組成)なものからより長鎖の炭化水素を有する「汚れた」ものまで、その組成を大きく変えることができる。好ましくは、自由水素が存在すると、改質動作の全体効率が低下する傾向があり、すなわち、改質器反応自体が主生成物として自由水素を生成するので、ガスは、水素濃度が比較的低いことになる。「改質」されることになるCH
4燃料/空気と比べて、システムに対する重質油フィードの量は、重量で約10から20%にすべきであることが分かっている。加えて、燃料改質器及び燃焼器に対する主燃料は、同じ又は異なる燃料成分からなることができ、これによりシステムは同時燃焼モードで作動することが可能になる。
【0051】
図5は、
図4で描かれた例示的な改質器設計の斜視側断面図である。参照を容易にするために、
図5の斜視図においては、
図4に関して上記で説明された同じ要素の参照符号が示されている。
【0052】
図6から9は、本発明の代替の実施形態を描いているが、
図3、4、及び5に関連して上記で説明された様態でガスタービン燃料を別個のキャリアガスフィードと組み合わせるシステムではなく、補完燃料が(CPOX触媒床に直ぐ隣接した位置か、又は主改質燃料の下流側の位置において)改質器に直接噴射される。
図6はまた、燃料が触媒床に軸方向に噴射され、次いで、触媒床を通って高温改質油として軸方向で流出するのを示している。参照を容易にするために
図4と比較して、
図6の実施形態の同じ構成要素は、
図4で使用した同じ参照符号で識別される。
【0053】
図4の実施形態と同様に、
図6において全体的に符号61で示される改質器に対する未改質の第1の燃料フィードは、通常、燃料ガス(天然ガス)と、1以上の液体燃料成分との混合物を含む。未改質の燃料フィード61は、空気、一酸化炭素、及び場合によっては蒸気(好ましくは過熱されたもの)を含むことができ、該蒸気は、(例えば、CPOXを用いて)触媒反応に加わり、自由水素と、触媒反応の発熱特性に起因して相当量の熱とを生成する。
図6に示すように、未改質フィードは、軸流パターンで(
図4で示される半径方向流フィードとは対照的に)触媒床90内に直接に通り、従って、直接触媒床内に進む。結果として得られる改質油は、改質生成物収集ゾーン91及び主改質油流れチャンネル81を通過する。
【0054】
作動時には、未改質の燃料フィード61は、触媒チャンバ90内で改質器コアの周りに軸方向に整列された複数の等間隔配置の燃料噴射開口を高圧下で直接通過する。
図4の実施形態と同様に、触媒床内の燃料噴射開口の数及び間隔は、利用されるCPOX触媒のタイプ並びに改質器フィードの流れ特性及び組成に応じて変わることができる。触媒反応の結果として改質された生成物(自由水素を含む)は、触媒床90を出て、改質生成物収集ゾーン91に流れ、最終的には主改質油流れチャンネル81に入る。
【0055】
図6はまた、圧力アトマイザにより例示された複数のアトマイザステーションの使用を示しており、ここでアトマイザは、第2の燃料フィード68を霧化(気化)し、該フィードがアトマイザ92を介して改質生成物収集ゾーン91に直接に供給される。
上述のように、結果として得られる霧化ストリームは、触媒改質中に発生した発熱を利用して、液体成分を噴霧状態に気化して、霧化ストリーム中に存在する高分子量の炭化水素成分の少なくとも一部を熱的に分解する。アトマイザに対する第2のガスタービン燃料フィード68は、種々のガス燃料、希釈材(又は水)、並びに液体炭化水素燃料を含むことができる。
【0056】
次いで、水素及び気化燃料を含有する触媒反応の改質生成物は、図示のように、収集ゾーン91において霧化燃料と組み合わされて、組み合わされた改質気化燃料混合物を生成し、符号82において、改質器から接続フランジ80を介して主燃焼フィードに直接に流出する。
図4の実施形態と同様に、第2の燃料フィード68は、圧力アトマイザ92により霧化される前に僅かに冷却され且つ圧力を増大させることが必要となる場合がある。冷却は、図示のように、冷却水入口73及び出口74と共にウォータジャケットを用いて達成される。
【0057】
図6の実施形態は、どのような追加のフィードもなく、補完燃料を改質器に直接に供給することを企図しているが、
図6はまた、圧力アトマイザ92から各アトマイザノズルと改質油チャンネルとの間の小環状スペース93を通って主改質燃料混合気内に霧化ストリームを輸送するのを支援するために、少なくとも一部の追加のキャリアガス(窒素、CO
2蒸気、酸素枯渇EGR、又は追加のガス燃料)の可能性のある使用(破線形式で示す)、或いは、任意選択のキャリアガス75と関連するキャリアガス入口ポート78を用いること(破線形式で示す)を示している。キャリアガスはまた、小環状スペース93にも流入することができる。
【0058】
図7は、本発明の別の代替の実施形態を示す側断面図であり、この場合も同様に、1以上の燃料噴射ノズル及びアトマイザを用いて軸方向に整列した触媒床90内に通過する直接燃料噴射を利用している。
図6の実施形態とは対照的に、燃料噴射は、CPOX触媒床の更に下流側で高温改質油ストリーム内に直接的に行う。この場合も同様に、参照を容易にするために、
図7の実施形態の同じ構成要素は、
図6に使用される同じ数字で識別される。
【0059】
加えて、
図6の実施形態と同様にして、改質器に対する主未改質燃料フィード61は、触媒床90内を軸方向(半径方向ではなく)流れパターンで直接的に通過し、触媒床から出て改質生成物収集ゾーン91に入る。次いで、改質油生成物は、主改質油チャンネル81に下向し、接続フランジ80を介して下流側触媒反応に接続された改質器出口82から出る。作動時には、改質器フィードは、高圧下で改質器コアに入り、改質器コアの周りに軸方向に整列し一定の間隔を置いて配置される開口として描かれた、触媒チャンバ90内の複数の開口を直接通過する。
【0060】
図7の実施形態はまた、残存するガスタービン燃料68を気化する役割を果たす圧力アトマイザ100によって示される複数の液体燃料アトマイザを含む。気化燃料は、図示のように改質生成物収集ゾーン91内に直接供給される。上述のように、触媒改質中に発生する発熱は、霧化ストリーム中の液体成分を気化し、霧化ストリーム中に存在する高分子量の炭化水素成分の少なくとも一部を熱的に分解する。加えて、上記で検討した他の実施形態と同様に、改質生成物収集ゾーン91における改質油生成物は、ガスタービンエンジンに対する組み合わせたフィードの一部として何らかの残留液体燃料成分を気化するのに十分な発熱量を有するキャリア流体として機能する。
【0061】
次いで、水素、追加の気化燃料、及びあらゆる残留霧化燃料を含有する組み合わされた改質燃料が組み合わされて、改質器から主燃焼フィードに直接流出する燃料混合気を形成する。
図6の実施形態と同様に、追加の(補完的)ガスタービン燃料68は、圧力アトマイザ100により霧化される前に僅かに冷却され且つ圧力を増大させることが必要となる場合がある。この場合も同様に、冷却は、図示のように、冷却水入口73及び出口74と共にウォータジャケット102を用いて達成することができる。
【0062】
図6の実施形態と同様に、
図7はまた、どのような追加のガスフィードも必要とすることなく、残りのガスタービン燃料68を改質器に直接供給する可能性を企図している。しかしながら、
図7はまた、各アトマイザノズルと改質油チャンネル81との間の小環状スペースを通って主改質燃料混合気内に霧化ストリームを輸送するのを支援するために、追加のキャリアガス75の任意選択的な使用(破線形式で示す)、或いは、符号78の任意選択のキャリアガス入口ポートを用いること(同様に破線形式で示す)を示している。
【0063】
更に別の代替の実施形態において、
図8は、1以上の補完燃料噴射ノズル95による噴射が触媒床90に近接して行われている、軸流触媒床90内を通る直接燃料噴射の使用を示す側断面図である。参照を容易にするために、
図8の実施形態の同じ要素は、
図6及び7に示す同じ参照符号で識別されている。
図8の実施形態は、1つの主要な態様、明確には、改質生成物収集ゾーン91内に噴射される追加のガスタービン燃料70のための噴射ノズルの位置、すなわち、触媒床と改質壁部との間の小環状スペース内の触媒床90に直ぐ隣接した位置の点で
図7とは異なる。
図8はまた、任意選択のキャリアガス入口ポート78通って主改質燃料混合気内に霧化ストリームを輸送するのを支援するために、必要に応じて、キャリアガス75の任意選択的な使用を(破線形態で)示している。
【0064】
最後に、
図9は、本発明の更に別の代替の実施形態を示す側断面図であり、ここでは、
図4に示すものと類似した半径方向流れ触媒床を通る直接燃料噴射を用いており、高温改質油ストリームへの噴射が触媒床90の出口又はその付近で生じている。
図9の実施形態は、触媒床90内を通る軸方向ではなく半径方向の燃料フィードを用いており、この場合も残りのガスタービン燃料68の直接噴射は図示の1以上の燃料噴射ノズル92によるものである。
【0065】
上述の図の全ては、従来の天然ガス運転と共に、本発明による燃料改質器を用いることにより、NOx及び他の不要な燃焼副生成物のエミッション低減を依然として達成しながら、最終の燃焼器燃料品質を有意に高める結果となる。新規の方法及び改質器設計はまた、上述の熱交換ユニットを用いて燃料成分を気化及び/又は熱的に分解するための追加のエネルギーを提供する際の熱効率が改善されることにより、熱集積化がもたらされる。
【0066】
現時点で最も実用的且つ好ましい実施形態であると考えられるものに関して本発明を説明してきたが、本発明は、開示した実施形態に限定されるものではなく、逆に添付の請求項の技術的思想及び範囲内に含まれる様々な修正形態及び均等な構成を保護するものであることを理解されたい。