(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明の実施の形態においては、眼鏡レンズの製造工程に含まれる表面処理工程として、眼鏡レンズの染色処理を例に挙げて説明する。ここで記述する表面処理工程とは、眼鏡レンズを処理液に浸漬させて表面処理する工程をいう。また、本発明の実施の形態においては、プラスチック製の眼鏡レンズを表面処理の対象物として想定する。ただし、表面処理の対象物はこれに限らず、ガラス製の眼鏡レンズであってもよい。
【0017】
本発明の実施の形態においては、次の順序で説明を行う。
1.眼鏡レンズの構成
2.第1の実施の形態(レンズ保持具の構成、眼鏡レンズの装着、染色処理工程、効果、応用例)
3.第2の実施の形態(レンズ保持具の構成、眼鏡レンズの装着、染色処理工程、効果)
4.第3の実施の形態(レンズ保持具の構成、眼鏡レンズの装着、効果)
5.第4の実施の形態(レンズ保持具の構成、染色処理工程、効果)
6.第5の実施の形態(レンズ保持具の構成、染色処理工程、効果)
7.変形例等
【0018】
<1.眼鏡レンズの構成>
図1は本発明で取り扱う眼鏡レンズの構成を示す図であり、図中(A)は正面図、(B)は側断面図をそれぞれ示している。
図示した眼鏡レンズ1は、たとえば、プラスチック成型によって得られるレンズ基材(フィニッシュレンズやセミフィニッシュレンズ)である。眼鏡レンズ1は、玉型加工前のレンズである。フィニッシュレンズとは、プラスチック成型においてレンズの両面が所定の光学面に仕上げられたレンズをいう。また、セミフィニッシュレンズとは、一方の光学面が仕上げ済みで、他方の光学面が仕上げ前の半完成品のレンズをいう。
【0019】
眼鏡レンズ1の外形は、外径D0の寸法で円形に形成されている。眼鏡レンズ1には表裏の関係で2つの光学面2,3が形成されている。一方の光学面2は凸面に形成されており、他方の光学面3は凹面に形成されている。また、眼鏡レンズ1にはコバ面4が形成されている。コバ面4は、眼鏡レンズ1の外周面(端面)を構成している。
【0020】
<2.第1の実施の形態>
(2−1.レンズ保持具の構成)
図2は本発明の第1の実施の形態に係るレンズ保持具の構成を示す断面図である。
レンズ保持具は、全体にカップ型に形成されたレンズ保持部材10を用いて構成されている。レンズ保持部材10は、胴部11と頭部12とを一体に有している。また、レンズ保持部材10は、頭部12と反対側に開口部13を有している。レンズ保持部材10の内部には、中空部14が形成されている。レンズ保持部材10は、ゴム状弾性を有する弾性材料を用いて構成されている。レンズ保持部材10を構成する弾性材料としては、たとえば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴムなどを用いることができる。
【0021】
胴部11は円筒状に形成されている。胴部11は、開口部13および中空部14を形成している。胴部11の内周面15は、好ましくは、図示のようにテーパー状に傾斜した状態に形成するのがよい。内周面15の傾斜角度θは、レンズ保持部材10の中心軸Jと平行な軸を基準として、たとえば、0度超、10度以下の範囲内に設定されている。内周面15の傾斜角度θは、好ましくは、0度超、5度以下に設定することが好ましい。これは、内周面15の傾斜角度θが5度を超えると、内周面15とコバ面4との接触面積が減少するからである。
【0022】
胴部11の内周面15は、頭部12から開口部13に向かって徐々に内径が小さくなるように形成されている。さらに詳述すると、内周面15の最小の内径(開口部13の開口径)D1は、眼鏡レンズ1の外径D0よりも小さく設定されている。また、内周面15の最大の内径D2は、眼鏡レンズ1の外径D0よりも大きく設定されている。そして、開口部13から中空部14内に少し進入した位置における内周面15の内径が、眼鏡レンズ1の外径D0とほぼ等しい寸法に設定されている。
【0023】
胴部11の外周面16は、レンズ保持部材10の中心軸Jと平行をなすように形成されている。胴部11の肉厚寸法は、胴部11の内周面15の半径と外周面16の半径の寸法差によって決まる。このため、胴部11の肉厚寸法は、内周面15のテーパーにしたがい、頭部12から開口部13に向かって徐々に大きくなるように設定されている。
【0024】
頭部12は、胴部11の中心軸方向の一方を閉塞するように形成されている。頭部12の外側面17は、略円弧状に膨出した状態に形成されている。頭部12の内側面18は、レンズ保持部材10の中心軸Jと直交する状態に形成されている。頭部12の内側面18は、胴部11の内周面15とともに、レンズ保持部材10の中空部14を区画している。
【0025】
(2−2.眼鏡レンズの装着)
次に、上記構成からなるレンズ保持具に眼鏡レンズ1を装着する場合の手順について説明する。
まず、胴部11の開口部13を外側(開口径が大きくなる方向)に開くように変形させる。レンズ保持部材10は、ゴム状弾性を有しているため、たとえば、開口部13の端を指先や器具等で掴んで外側に引っ張る力を加えることにより、開口部13を拡開するように変形させる。
【0026】
次に、上述した開口部13の変形状態を維持しながら、中空部14内に眼鏡レンズ1を挿入する。このとき、レンズ保持部材10の中空部14において、眼鏡レンズ1がレンズ保持部材10と同心状に配置されるように、眼鏡レンズ1の姿勢を調整することが好ましい。
【0027】
次に、胴部11の開口部13に加えていた力を解除する。そうすると、胴部11の内周面15が眼鏡レンズ1のコバ面4に接触した状態となる。また、胴部11の開口部13が眼鏡レンズ1で閉塞された状態となる。このとき、胴部11の内周面15と眼鏡レンズ1のコバ面4との間には、開口部13の弾性変形の解除に伴う接触圧が作用する。このため、眼鏡レンズ1のコバ面4が胴部11の内周面15に密着した状態となる。
【0028】
以上の手順により、
図3(A),(B)に示すように、レンズ保持部材10に眼鏡レンズ1が装着される。この状態では、レンズ保持部材10の中空部14に、眼鏡レンズ1を蓋体として密閉空間19が形成される。具体的には、頭部12の内側面18とこれに対向する眼鏡レンズ1の光学面3、および胴部11の内周面15といった3つの面で囲まれた空間が密閉空間19となる。
【0029】
(2−3.染色処理工程)
次に、レンズ保持具を用いた眼鏡レンズ1の染色処理工程について説明する。
まず、上記の手順でレンズ保持部材10に眼鏡レンズ1を装着した後、
図4に示すように、眼鏡レンズ1を染色液21に浸漬させる。このとき、眼鏡レンズ1が有する2つの光学面2,3のうち、一方の光学面2を染色液21に浸漬させ、かつ他方の光学面3を染色液21に浸漬させない状態に、眼鏡レンズ1を保持する。これにより、眼鏡レンズ1の光学面3が染色されずに光学面2だけが染色される。
【0030】
ここで、眼鏡レンズ1の染色に用いられる染色液21の温度は、JISで規定される常温(20℃±15℃)よりも高い温度に維持される。具体的には、染色液21の温度が70℃〜98℃の範囲内に設定される。これに対して、レンズ保持部材10に眼鏡レンズ1を装着する作業は、常温の環境で行われる。このため、レンズ保持部材10で保持した眼鏡レンズ1を染色液21に浸漬させると、密閉空間19に存在する空気が、眼鏡レンズ1およびレンズ保持部材10を通して温められる。その結果、密閉空間19の空気が熱膨張する。
【0031】
そうした場合、上記熱膨張により圧縮された空気によって眼鏡レンズ1が開口部13側に押圧され、この押圧力の作用によって眼鏡レンズ1のコバ面4が胴部11の内周面15に押し付けられる。このため、眼鏡レンズ1を染色液21に浸漬させる前に比べて、胴部11の内周面15と眼鏡レンズ1のコバ面4との密着力が高まり、それと同時に、密閉空間19の密閉性も高まる。
【0032】
また、レンズ保持部材10に眼鏡レンズ1を装着した状態では、レンズ保持部材10の内部に密閉空間19が形成されるため、眼鏡レンズ1の光学面2を下向きにして染色液21に浸漬させたときに、密閉空間19の空気の存在によって、眼鏡レンズ1およびレンズ保持部材10に浮力が働く。このため、眼鏡レンズ1単体では染色液21に沈むことになるが、レンズ保持部材10で保持した場合は眼鏡レンズ1が染色液21の液面に浮いた状態に維持される。
【0033】
その後、上述のように眼鏡レンズ1の光学面2を染色液21に浸漬させてからの経過時間が予め設定された染色時間に到達したら、レンズ保持部材10と一緒に眼鏡レンズ1を染色液21から取り出す。染色時間は、眼鏡レンズ1の素材や所望する染色濃度などに応じて設定される時間である。染色液21から眼鏡レンズ1を取り出した後は、胴部11の開口部13を外側に開くように変形させて、レンズ保持部材10から眼鏡レンズ1を取り外す。
以上の染色処理工程により、眼鏡レンズ1が片面染色される。
【0034】
(2−4.効果)
本発明の第1の実施の形態によれば、以下のような効果が得られる。
すなわち、眼鏡レンズ1を染色処理するにあたって、一方の光学面2を染色液21に浸漬させ、かつ他方の光学面3を染色液21に浸漬させない状態に、眼鏡レンズ1を保持することにより、眼鏡レンズ1の片面染色を、昇華染色方式よりも簡便な浸漬染色方式によって実現することができる。
【0035】
また、レンズ保持部材10で保持した眼鏡レンズ1を染色液21に浸漬させた場合に、密閉空間19の空気の熱膨張を利用して、胴部11の内周面15と眼鏡レンズ1のコバ面4との密着力を高めることができる。このため、胴部11の内周面15と眼鏡レンズ1のコバ面4との接触界面に、染色液21が侵入しにくくなる。したがって、染色液21が眼鏡レンズ1の染色対象以外の部分に付着するのを抑制することができる。
【0036】
また、染色処理に際しては、密閉空間19の空気の浮力を利用して、眼鏡レンズ1を染色液21の液面に浮いた状態に維持することができる。このため、浸漬中においては、密閉空間19による浮き袋効果によってレンズ保持部材10の反転(ひっくり返り)を抑制することができる。また、浸漬終了時においては、眼鏡レンズ1を染色液21から取り出す作業を容易に行うことができる。加えて、気泡溜まりによる染色ムラを避けるための空気抜き作業を容易に行うことができる。さらに詳述すると、気泡溜まりは、上記
図4の状態では、レンズ保持部材10の内周面15と眼鏡レンズ1の光学面2の周縁部とが交差する部分に、染色液21の液中に生じた気泡が溜まることで発生する。また、気泡溜まりは、上記
図4とは表裏逆向きに眼鏡レンズ1をレンズ保持部材10で保持し、光学面(凹面)3を染色液21に浸漬させた場合に、染色液21の液中に生じた気泡が光学面3の中心部分に溜まることで発生する。この気泡溜まりを放置すると染色ムラとなるため、気泡を放出する空気抜き作業が必要となる。本実施の形態においては、染色液21の液面に眼鏡レンズ1が浮いた状態となるため、この空気抜き作業を容易に行うことができる。
【0037】
また、眼鏡レンズ1の光学面3を染色液21に浸漬させる場合に、染色液21の液面に対して眼鏡レンズ1の中心軸が斜めになる向きでレンズ保持部材10を支持するようにすれば、気泡溜まりを光学面3の外周縁(眼鏡レンズ1の品質上、問題とならない部位)に寄せることもできる。
【0038】
さらに、図示はしないが、レンズ保持部材10の胴部11に空気抜きのためのスリット、孔等を設けるようにすれば、眼鏡レンズ1を染色液21に浸漬させたままレンズ保持部材10を少し傾けるだけで、レンズ保持部材10の外部に気泡を逃がすことができる。その場合、空気抜きのためのスリット、孔等を設ける位置は、
図3(A)におけるレンズ保持部材10の開口部13側において、胴部11の内周面15に接触する眼鏡レンズ1のコバ面4に上記のスリット、孔等の一部が重なるように設定することが望ましい。
【0039】
また、レンズ保持部材10の構成上、胴部11の肉厚寸法が開口部13に近づくほど大きくなっている。このため、レンズ保持部材10で保持した眼鏡レンズ1を染色液21に浸漬させた場合に、染色液21からの熱伝達を受けて密閉空間19の空気が熱膨張し、これに伴って生じる内圧と外圧の差を利用して、胴部11の内周面15と眼鏡レンズ1のコバ面4との密着力、および密閉空間19の密閉性を高めることができる。また、染色液21からの熱伝達を受けて密閉空間19の空気が熱膨張したときに、密閉空間19の圧力上昇により、胴部11の薄肉部が相対的に変形しやすくなり、胴部11の厚肉部は相対的に変形しづらくなる。したがって、密閉空間19の過剰な圧力上昇を胴部11の薄肉部の変形により抑制することができる。また、密閉空間19の空気が熱膨張した場合には、胴部11の厚肉部の変形が抑えられるため、眼鏡レンズ1をレンズ保持部材10の中空部14内に確実に留め置くことができる。
【0040】
(2−5.応用例)
密閉空間19の過剰な圧力上昇を抑制する手段としては、たとえば
図5に示すように、頭部12につながる胴部11の一部に他の部分よりも変形しやすい変形容易部20を形成することにより、胴部11の変形(密閉空間19の容積変化)を容易化したものであってもよい。変形容易部20は、胴部11の一部に、肉厚を薄くした部分と厚くした部分を交互に形成した構造になっている。
【0041】
また、上記実施の形態においては、密閉空間19内の空気の浮力により染色液21の液面に眼鏡レンズ1を浮かせるようにしたが、本発明はこれに限らず、たとえば、
図6に示すように、レンズ保持部材10で保持した眼鏡レンズ1を、レンズ保持部材10と一緒に染色液21の液中に沈めるようにしてもよい。具体的には、たとえば、レンズ保持部材10で保持した眼鏡レンズ1を、レンズ保持部材10と一緒に、図示しないラックにセットする。ラックには、1個または複数個のレンズ保持部材10をセットする。そして、所定個数の眼鏡レンズ1およびレンズ保持部材10を、ラックと一緒に染色液21の液中に沈める。
【0042】
このように眼鏡レンズ1を染色液21に沈めた場合でも、レンズ保持部材10の内部に密閉空間19がそのまま存在する。また、上記同様に密閉空間19の空気が熱膨張するため、密閉空間19の密閉性が高まる。このため、眼鏡レンズ1の光学面2だけを染色することができる。さらに、レンズ保持部材10と一緒に眼鏡レンズ1を染色液21の液中に沈める場合は、
図6においてレンズ保持部材10の向きを上下反転することにより、レンズ保持部材10の開口部13が染色液21の液面側(上側)を向く姿勢で眼鏡レンズ1を保持してもよい。この場合は、密閉空間19の空気による浮力を受けて眼鏡レンズ1のコバ面4が胴部11の内周面15に押し付けられる。このため、胴部11の内周面15と眼鏡レンズ1のコバ面4との密着力、および密閉空間19の密閉性を、より一層高めることができる。
【0043】
<3.第2の実施の形態>
(3−1.レンズ保持具の構成)
図7(A),(B)は本発明の第2の実施の形態に係るレンズ保持具の構成を示す概略図である。
図7(A)に示す固定用部材22と同図(B)に示すレンズ保持部材10は、第2の実施の形態に係るレンズ保持具を構成する部材である。レンズ保持部材10については、上記第1の実施の形態と同様であるため説明を省略する。
【0044】
固定用部材22は、全体にリング状に形成されている。固定用部材22は、たとえば、樹脂や金属などを用いて構成することが可能であり、特に耐久性やレンズ保持状態の安定性等を考慮すると、金属を用いて構成することが好ましい。さらに、その場合は、軽量化の観点からアルミニウムを用いることが好ましい。また、適度なバネ性を付与する観点からステンレスを用いることも好ましい。
【0045】
固定用部材22は、帯状のベルト部23と、2つの操作部24とを一体に有している。ベルト部23は、円形のリング状に形成されている。ベルト部23の内径(リング径)は、2つの操作部24を離間する方向に外力を加えることにより、レンズ保持部材10の外径よりも大きく拡開できるようになっている。また、ベルト部23の内径は、上記の外力を加えない状態では、レンズ保持部材10の外径よりも若干小さくなるように設定されている。操作部24は、ベルト部23の両端部にそれぞれ形成されている。
【0046】
(3−2.眼鏡レンズの装着)
次に、上記構成からなるレンズ保持具に眼鏡レンズ1を装着する場合の手順について説明する。
まず、上記第1の実施の形態と同様の手順で、レンズ保持部材10に眼鏡レンズ1を装着する。
【0047】
次に、
図8に示すように、固定用部材22をレンズ保持部材10に嵌合させる。具体的には、固定用部材22に設けられた2つの操作部24を指または図示しない器具等で掴むなどして、ベルト部23の内径をレンズ保持部材10の外径よりも大きく拡開させるように外力を加え、その状態でレンズ保持部材10に固定用部材22を嵌め入れる。その際、レンズ保持部材10の中心軸方向において、眼鏡レンズ1が装着される部分に固定用部材22の位置を合わせ、その状態で外力を開放する。そうすると、外力の開放と同時にベルト部23の内径が固定用部材22自身のバネ性によって縮小するため、レンズ保持部材10の胴部11が外側から固定用部材22によって締め付けられた状態となる。つまり、レンズ保持部材10に嵌合した固定用部材22の締め付け力が、胴部11を介して眼鏡レンズ1に加わる。このため、レンズ保持部材10の中空部14内に眼鏡レンズ1が固定された状態になる。
【0048】
(3−3.染色処理工程)
次に、レンズ保持具を用いた眼鏡レンズ1の染色処理工程について説明する。
染色処理工程は、レンズ保持具の構成が異なる以外は、上記第1の実施の形態と同様に行われる。すなわち、上記の手順でレンズ保持具に眼鏡レンズ1を装着した後(
図8)、眼鏡レンズ1を染色液21に浸漬させ、その後、予め決められた染色時間が経過した段階で、染色液21からレンズ保持具と一緒に眼鏡レンズ1を取り出す。
【0049】
(3−4.効果)
本発明の第2の実施の形態によれば、上記第1の実施の形態と同様の効果に加えて、以下のような効果が得られる。
すなわち、レンズ保持部材10に固定用部材22を嵌合させることにより、
図9(A),(B)に示すように、レンズ保持部材10の内周面15と眼鏡レンズ1のコバ面4とを、固定用部材22の締め付け力を利用して密着させることができる。このため、固定用部材22を具備しない構成に比べて、レンズ保持部材10の内周面15と眼鏡レンズ1のコバ面4との接触界面に染色液21が侵入しにくくなる。したがって、染色液21が眼鏡レンズ1の染色対象以外の部分に付着するのを抑制することができる。また、固定用部材22による締め付け力によって、レンズ保持部材10に対し眼鏡レンズ1を確実に固定することができる。このため、レンズ保持具に装着した眼鏡レンズ1がレンズ保持部材10から落下しないように落下抑止力を高めることができる。
【0050】
<4.第3の実施の形態>
(4−1.レンズ保持具の構成)
図10は本発明の第3の実施の形態に係るレンズ保持具の構成を示す概略図である。
図示したレンズ保持具は、上記第1の実施の形態と同様に、全体にカップ型に形成されたレンズ保持部材10を用いて構成されている。ただし、上記第1の実施の形態と比較すると、レンズ保持部材10の内周面15の一部にストッパー部25を設けた点が異なる。ストッパー部25は、内方にせり出すように段付き状に形成されている。ストッパー部25は、全周(360°)にわたって連続的に形成されていてもよいし、所定の角度ピッチで複数箇所(好ましくは3箇所以上)に分けて形成されていてもよい。これにより、胴部11の内周面15は、ストッパー部25の段差を形作る第1の内周面(テーパー面)15aと、それよりも開口部13寄りの第2の内周面(テーパー面)15bによって形成されている。
【0051】
(4−2.眼鏡レンズの装着)
次に、上記構成からなるレンズ保持具に眼鏡レンズ1を装着する場合の手順について説明する。なお、上記第1の実施の形態と重複する内容はできるだけ省略する。
まず、胴部11の開口部13を外側に開くように変形させた後、その変形状態を維持しながら、中空部14内に眼鏡レンズ1を挿入する。このとき、
図11に示すように、眼鏡レンズ1の光学面3の外周部をストッパー部25に突き当てるようにする。
【0052】
次に、胴部11の開口部13に加えていた力を解除することにより、胴部11の第2の内周面15bを眼鏡レンズ1のコバ面4に密着させる。これにより、レンズ保持部材10の中空部14において、眼鏡レンズ1の保持位置と保持姿勢が決まる。以上の手順により、レンズ保持具に眼鏡レンズ1が装着される。以降の染色処理については、上記第1の実施の形態と同様であるため説明を省略する。
【0053】
(4−3.効果)
本発明の第3の実施の形態によれば、上記第1の実施の形態と同様の効果に加えて、以下のような効果が得られる。
すなわち、レンズ保持部材10の内周面15にストッパー部25を形成しているため、レンズ保持部材10に眼鏡レンズ1を装着する場合に、眼鏡レンズ1の位置および姿勢を安定させることができる。このため、レンズ保持部材10の中空部14の奥側に眼鏡レンズ1が入り込みすぎて、眼鏡レンズ1を保持する力が不足してしまう不都合を回避することができる。また、レンズ保持部材10に眼鏡レンズ1が傾いて保持された場合に起こり得る不都合、たとえば、レンズ保持部材10の内周面15と眼鏡レンズ1のコバ面4との密着性低下などの不都合を回避することができる。
【0054】
また、本発明の第3の実施の形態に係るレンズ保持部材10に、上記第2の実施の形態で記述した固定用部材22を組み合わせた場合は、上記第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0055】
<5.第4の実施の形態>
(5−1.レンズ保持具の構成)
図12は本発明の第4の実施の形態に係るレンズ保持具の構成を示す概略図である。
本発明の第4の実施の形態に係るレンズ保持具においては、レンズ保持部材10の頂部(頭部12)に引っ掛け部26を設けた構成を採用している。引っ掛け部26は、側面視T字形に形成されている。また、引っ掛け部26は、レンズ保持部材10の中心軸J上に形成されている。引っ掛け部26は、レンズ保持部材10と一体に形成されたものでもよいし、後付けでレンズ保持部材10に設けられたものでもよい。また、引っ掛け部26の形状は、他の形状(たとえば、リング形状)でもよい。
【0056】
また、レンズ保持具は、これに付属する器具として、染色処理に係る作業を補助する補助器具27を備えている。補助器具27は、主として、眼鏡レンズ1が装着されたレンズ保持部材10を染色液21に浸漬させる場合や、その後に染色液21からレンズ保持部材10と一緒に眼鏡レンズ1を引き上げる場合に用いられるものである。補助器具27は、取手部28と支持部29とを有している。取手部28はT字形に形成されている。支持部29は、取手部28の下端部に設けられている。支持部29の両端部には、レンズ保持部材10の引っ掛け部26を係止可能な溝等(不図示)が形成されている。
【0057】
(5−2.染色処理工程)
次に、レンズ保持具を用いた眼鏡レンズ1の染色処理工程について説明する。
まず、上記第1の実施の形態または第3の実施の形態と同様の手順で、レンズ保持部材10に眼鏡レンズ1を装着する。次に、補助器具27の支持部29の両端部に、それぞれレンズ保持部材10の引っ掛け部26を係止させる。次に、補助器具27の取手部28を握って、補助器具27と一緒にレンズ保持部材10を持ち上げた後、図示しない処理槽の上方まで移送する。次に、補助器具27の取手部28を握りながら、処理槽に向けてレンズ保持部材10をゆっくりと下ろすことにより、
図13に示すように、各々のレンズ保持部材10で保持する眼鏡レンズ1を染色液21に浸漬させる。これにより、眼鏡レンズ1は、上記同様に空気の浮力で染色液21の液面に浮いた状態となる。このため、浸漬中は補助器具27の取手部28から手を離してもかまわない。その後、予め決められた染色時間が経過したら、その段階で補助器具27の取手部28を握り、補助器具27と一緒にレンズ保持部材10をゆっくりと引き上げる。これにより、染色液21から眼鏡レンズ1が取り出される。
【0058】
(5−3.効果)
本発明の第4の実施の形態によれば、上記第1の実施の形態または第2の実施の形態と同様の効果に加えて、以下のような効果が得られる。
すなわち、レンズ保持部材10に引っ掛け部26を設けているため、この引っ掛け部26を利用して染色処理に係る作業を簡便に行うことができる。たとえば、レンズ保持部材10に保持した眼鏡レンズ1を染色液21に浸漬させる場合やそこから取り出す場合に、レンズ保持部材10の引っ掛け部26に補助器具27を係止して、補助器具27と一緒にレンズ保持部材10を移送することが可能となる。このため、染色液21に眼鏡レンズ1を浸漬させる作業や、染色液21から眼鏡レンズ1を取り出す作業を容易に行うことができる。
【0059】
また、一つの補助器具27に複数のレンズ保持部材10を引っ掛けて持ち上げられる構成とすれば、染色液21に眼鏡レンズ1を浸漬させる作業や、染色液21から眼鏡レンズ1を取り出す作業を、複数の眼鏡レンズ1につき一度に行うことができる。このため、一連の染色作業を効率的に行うことが可能となる。
【0060】
<6.第5の実施の形態>
(6−1.レンズ保持具の構成)
図14は本発明の第5の実施の形態に係るレンズ保持具の構成を示す概略図である。
本発明の第5の実施の形態に係るレンズ保持具においては、上記第4の実施の形態と比較して、補助器具27を用いたレンズ保持部材10の支持方式が異なる。すなわち、上記第4の実施の形態においては、レンズ保持部材10で保持した眼鏡レンズ1が横向きになるように(光学面2,3が鉛直方向を向くように)、レンズ保持部材10を補助器具27で支持する方式を採用している。これに対して、第5の実施の形態においては、レンズ保持部材10で保持した眼鏡レンズ1が縦向きになるように(光学面2,3が水平方向を向くように)、レンズ保持部材10を補助器具27で支持する方式を採用している。具体的には、補助器具27の取手部28の下端に支持部29を設けるとともに、この支持部29を円弧状に湾曲させた構成を採用している。また、レンズ保持部材10の外周部に固定用部材22を嵌合させ、この固定用部材22に補助器具27の支持部29を係着する構成を採用している。係着構造としては、たとえば、支持部29の端部に図示しない爪を設け、この爪を固定用部材22の操作部24に引っ掛けて留める構造を採用することが可能である。この場合は、レンズ保持部材10に引っ掛け部26(
図12を参照)を設ける必要はない。
【0061】
(6−2.染色処理工程)
次に、レンズ保持具を用いた眼鏡レンズ1の染色処理工程について説明する。
まず、前述した第2の実施の形態と同様の手順で、レンズ保持部材10に眼鏡レンズ1を装着した後、レンズ保持部材10の外側に固定用部材22を嵌合させる。次に、補助器具27の支持部29をレンズ保持部材10の外周に沿わせて、支持部29の端部を固定用部材22に係着させる。
【0062】
次に、補助器具27の取手部28を握って、補助器具27と一緒にレンズ保持部材10を持ち上げた後、図示しない処理槽の上方まで移送する。次に、補助器具27の取手部28を握りながら、処理槽に向けてレンズ保持部材10をゆっくりと下ろすことにより、上記
図14に示すように、各々のレンズ保持部材10が保持する眼鏡レンズ1を染色液21に浸漬させる。このとき、レンズ保持部材10と一緒に眼鏡レンズ1を染色液21の中に浸漬させるようにする。その後、浮力によってレンズ保持部材10が染色液21の液面に浮かないように、補助器具27を上から押さえ、その状態で予め決められた染色時間が経過するまで待つ。その後、予め決められた染色時間が経過したら、その段階で補助器具27の取手部28を握り、補助器具27と一緒にレンズ保持部材10をゆっくりと引き上げる。これにより、染色液21から眼鏡レンズ1が取り出される。
【0063】
(6−3.効果)
本発明の第5の実施の形態によれば、上記第4の実施の形態と同様の効果に加えて、以下のような効果が得られる。
すなわち、染色処理に際して、染色液21の液中に眼鏡レンズ1を縦向きに沈めて浸漬させるため、レンズ保持部材10に対して眼鏡レンズ1をいずれの向きで装着した場合でも、眼鏡レンズ1の光学面2,3に気泡溜まりが発生しなくなる。このため、気泡溜まりによる染色ムラの発生を回避することができる。また、眼鏡レンズ1を縦向きに保持することにより、片方の光学面をグラジ染色することが可能となる。グラジ染色とは、眼鏡レンズ1の上半分だけを染色し、下半分は無染色としたり、上下で染色の濃度を変えたりする染色方法をいう。
【0064】
<7.変形例等>
本発明の技術的範囲は上述した実施の形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
【0065】
たとえば、上記実施の形態においては、眼鏡レンズ1の製造工程に含まれる表面処理工程として、眼鏡レンズ1の染色処理を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、眼鏡レンズ1を処理液に浸漬させて所望の機能層を形成する表面処理に広く適用することが可能である。具体的には、たとえば、眼鏡レンズ1の光学面2,3に防汚層もしくは防曇層を形成する処理、またはハードコート層を形成する処理(ハードコート処理)、撥水処理コートなどに適用することが可能である。染色処理に適用した場合は、眼鏡レンズ1の2つの光学面2,3をそれぞれ異なる色で染色したり、一方の光学面2(または光学面3)だけを染色したり、あるいは光学面2と光学面3でそれぞれ染色する領域を変えたりすることが可能となる。また、染色処理以外の表面処理、たとえば、眼鏡レンズ1のハードコート処理として、眼鏡レンズ1の光学面2,3にそれぞれハードコート層を形成する場合は、光学面2と光学面3でそれぞれ組成等が異なるハードコート液を用いて、ハードコート層を形成することが可能となる。さらに、眼鏡レンズ1をレンズ保持部材10で保持する形態に限らず、眼鏡レンズ1の光学面2,3の一方の面を処理液に浸漬させ、かつ他方の面を処理液に浸漬させない状態で眼鏡レンズ1を片面処理する、浸漬法を利用した眼鏡レンズ1の製造方法に広く適用することが可能である。
【0066】
また、上記第4の実施の形態に関して、補助器具27で支持できるレンズ保持部材10の個数については、1つでもよいし、3つ以上でもよい。また、眼鏡レンズ1を染色液21に浸漬させた段階で、一旦、補助器具27をレンズ保持部材10から取り外し、染色時間が経過した後に、再び補助器具27をレンズ保持部材10の引っ掛け部26に係止させて引き上げるようにしてもよい。
【0067】
また、
図12および
図13においては、説明の便宜上、ストッパー部25が形成されていないレンズ保持部材10と、ストッパー部25が形成されているレンズ保持部材10を、補助器具27の支持部29に係止させているが、これに限らず、ストッパー部25が形成されていないレンズ保持部材10だけ、またはストッパー部25が形成されているレンズ保持部材10だけを、補助器具27の支持部29に係止させてもよい。また、ストッパー部25の有無にかかわらず、上記の固定用部材22を嵌合したレンズ保持部材10に引っ掛け部26を設け、これに補助器具27の支持部29を係止させてもよい。
【0068】
また、上記第5の実施の形態に関して、気泡溜まりによる染色ムラの発生を回避するためには、眼鏡レンズ1を縦向きに保持する以外にも、眼鏡レンズ1を水平面に対して傾いた状態に保持してもよい。
【0069】
また、上記各実施の形態においては、プラスチック製の眼鏡レンズを表面処理の対象物として想定するが、これに限らず、ガラス製の眼鏡レンズを表面処理の対象物としてもよい。
【0070】
また、上記各実施の形態においては、レンズ保持部材10の全部を、ゴム状弾性を有する弾性材料で構成しているが、本発明はこれに限らず、少なくとも眼鏡レンズ1が装着される部分(たとえば、胴部11の全部または一部)を当該弾性材料で構成したものであればよい。
【0071】
また、上記各実施の形態においては、レンズ保持部材10の内周面15をテーパー状に形成したが、本発明はこれに限らず、レンズ保持部材10のゴム状弾性だけで眼鏡レンズ1を確実に保持できる場合は、レンズ保持部材10の内周面15を中心軸J(
図2)と平行な面で形成してもよい。また、レンズ保持部材10の外周面16についても、中心軸Jと平行な面で形成してもよいし、テーパー状に形成してもよい。
【0072】
また、レンズ保持部材10の全体形状についても種々の変形が可能である。たとえば
図15(A)に示すように、レンズ保持部材10を断面半球状に形成してもよいし、
図15(B)に示すように、レンズ保持部材10につば部10aを設けて断面ハット型に形成してもよい。このハット型のレンズ保持部材10によれば、レンズ保持部材10に眼鏡レンズ1を装着する場合に、レンズ保持部材10のつば部10aを利用して開口部13を拡開させることができるため、眼鏡レンズ1の装着作業が容易になる。また、眼鏡レンズ1を染色液21に浸漬させる場合は、つば部10aの存在によってレンズ保持部材10が反転しづらくなる。このため、つば部10aがないものと比べて、反転抑制効果を高めることができる。
【0073】
また、レンズ保持部材10の構成としては、眼鏡レンズ1を蓋体として密閉空間19を形成するものに限らず、レンズ保持部材10自身が浮力を有するような中空部14を備えた構成としてもよい。具体的には、たとえば、
図16(A)または(B)に示すように、レンズ保持部材10の内部に密閉状態で中空部14を形成し、この中空部14による浮き袋効果(浮力)によってレンズ保持部材10の反転を抑制しつつ、眼鏡レンズ1を染色液21の液面に浮かせる構成としてもよい。
図16(A)に示すレンズ保持部材10においては、眼鏡レンズ1の光学面3をレンズ保持部材10の下面側に表面張力等により吸着させて保持することにより、眼鏡レンズ1の光学面2だけを染色することができる。また、
図16(B)に示すレンズ保持部材10においては、全体にリング形状(ドーナツ形状)をなすレンズ保持部材10の内周面に眼鏡レンズ1のコバ面4を密着させるかたちで眼鏡レンズ1を保持することにより、眼鏡レンズ1の光学面2だけを染色することができる。また、必要に応じてレンズ保持部材10にカバー33を付設することにより、浸漬中に染色液21の液滴が光学面3に付着することを有効に防止することができる。
【0074】
以下、本発明の好ましい実施の形態について付記する。
【0075】
[付記1]
眼鏡レンズを処理液に浸漬させて表面処理する表面処理工程を有する眼鏡レンズの製造方法であって、
前記表面処理工程においては、前記眼鏡レンズが有する2つの光学面のうち、第1の光学面を前記処理液に浸漬させ、かつ第2の光学面を前記処理液に浸漬させない状態に保持して、前記眼鏡レンズの表面処理を行う
ことを特徴とする眼鏡レンズの製造方法。
【0076】
[付記2]
前記眼鏡レンズをレンズ保持具で保持することにより、前記眼鏡レンズの第2の光学面を密閉空間に面する状態に保持する
ことを特徴とする付記1に記載の眼鏡レンズの製造方法。
【0077】
[付記3]
前記処理液を常温よりも高い温度に維持し、
前記レンズ保持具で保持した前記眼鏡レンズを前記処理液に浸漬させた場合に、前記密閉空間の空気の熱膨張を利用して、前記レンズ保持具と前記眼鏡レンズの接触部分の密着力を高める
ことを特徴とする付記2に記載の眼鏡レンズの製造方法。
【0078】
[付記4]
前記密閉空間の空気の浮力を利用して、前記眼鏡レンズを前記処理液の液面に浮いた状態に維持する
ことを特徴とする付記2または3に記載の眼鏡レンズの製造方法。
【0079】
[付記5]
前記眼鏡レンズの第2の光学面を前記密閉空間に面する状態に保持しつつ、前記レンズ保持具とともに前記眼鏡レンズを前記処理液の液中に沈める
ことを特徴とする付記2または3に記載の眼鏡レンズの製造方法。
【0080】
[付記6]
前記処理液の液中において、前記眼鏡レンズを縦向きまたは水平面に対して傾いた状態に保持する
ことを特徴とする付記5に記載の眼鏡レンズの製造方法。
【0081】
[付記7]
前記表面処理が眼鏡レンズの染色処理である
ことを特徴とする付記1〜6のいずれかに記載の眼鏡レンズの製造方法。
【0082】
[付記8]
前記表面処理が眼鏡レンズのハードコート処理である
ことを特徴とする付記1〜6のいずれかに記載の眼鏡レンズの製造方法。
【0083】
[付記9]
前記表面処理が眼鏡レンズの撥水処理コートである
ことを特徴とする付記1〜6のいずれかに記載の眼鏡レンズの製造方法。
【0084】
[付記10]
眼鏡レンズを処理液に浸漬させて表面処理する表面処理工程で用いられるレンズ保持具であって、
前記表面処理工程において、前記眼鏡レンズが有する2つの光学面のうち、第1の光学面を前記処理液に浸漬させ、かつ第2の光学面を前記処理液に浸漬させない状態に保持するレンズ保持部材を備える
ことを特徴とするレンズ保持具。
【0085】
[付記11]
前記レンズ保持部材は、前記眼鏡レンズの外径に対応して開口した開口部と当該開口部に通じる中空部とを有するとともに、少なくとも前記眼鏡レンズが装着される部分を弾性材料で構成し、前記開口部を塞ぐように前記眼鏡レンズを装着した場合に前記中空部に密閉空間が形成されるように構成されている
ことを特徴とする上記付記10に記載のレンズ保持具。
【0086】
[付記12]
前記レンズ保持部材は、前記開口部および前記中空部を形成する円筒状の胴部を有するとともに、前記胴部の内周面の内径が前記開口部に向かって徐々に小さくなるように設定されている
ことを特徴とする付記10または11に記載のレンズ保持具。
【0087】
[付記13]
前記胴部の肉厚寸法が前記開口部に向かって徐々に大きくなるように設定されている
ことを特徴とする付記10、11または12に記載のレンズ保持具。
【0088】
[付記14]
前記レンズ保持部材に嵌合されて前記レンズ保持部材の外側から締め付け力を付与することにより、前記中空部内に前記眼鏡レンズを固定する固定用部材をさらに備える
ことを特徴とする付記10〜13のいずれかに記載のレンズ保持具。
【0089】
[付記15]
前記レンズ保持部材の内周面の一部に、前記眼鏡レンズの外周部を突き当て可能なストッパー部が形成されている
ことを特徴とする付記10〜14のいずれかに記載のレンズ保持具。
【0090】
[付記16]
前記レンズ保持部材は、前記表面処理に係る作業を補助する補助器具を係止可能な引っ掛け部を有する
ことを特徴とする付記10〜15のいずれかに記載のレンズ保持具。