(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記軸部材の前記磁石は、前記直流コイル内に配置される直流コイル用磁石と、前記交流コイル内に配置される交流コイル用磁石と、を備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の振動アクチュエータ。
前記ドライバは、前記直流コイルから取り出した前記交流成分に基づいて、前記直流コイルに供給する直流を制御することを特徴とする請求項7に記載の振動アクチュエータ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下添付図面に基づいて本発明の一実施形態における振動アクチュエータを詳細に説明する。
図1は本実施形態の振動アクチュエータの軸部材の中心線に沿った断面図を示す。本実施形態の振動アクチュエータは、円柱形状の軸部材1と、軸部材1を囲む筒状の電機子部2と、を備える。軸部材1には、中心線方向に複数の磁石4a,4bが配列される。電機子部2には、軸部材1を囲む複数のコイル5a,5bが中心線方向に配列される。また、電機子部2には、軸部材1の磁石に反発する保持磁石6a,6bが設けられる。軸部材1は電機子部2を貫通しており、電機子部2の中心線方向の両端部に設けられる直動軸受7に往復運動可能に支持される。
【0010】
軸部材1は、軸部材1の磁石4a,4bと電機子部2の保持磁石6a,6bとの反発力によって原点に復元するようになっている。磁石4a,4bと保持磁石6a,6bとの反発力は軸部材1がストロークの端に移動したときに最大になり、軸部材がストロークの中心の原点に移動したときに最小になる。磁石4a,4bと保持磁石6a,6bとの反発力がばねの復元力の替わりになっている。
【0011】
電機子部2のコイルは、軸部材1の復元力を調整するための直流コイル5aと、軸部材1を振動させるための駆動力を発生させる交流コイル5bと、を備える。電機子部2の中央のコイルは、直流が供給される直流コイル5aであり、直流コイル5aの中心線方向の両側に交流が供給される交流コイル5bが設けられる。保持磁石6a,6bは直流コイル5aと交流コイル5bの間に設けられている。
【0012】
直流コイル5aは軸部材1の復元力を調整するために設けられる。直流コイル5aに発生する磁束と軸部材1の磁石4a,4bの磁束との相互作用によって、軸部材1の共振帯が調整される。具体的には、直流コイル5aに直流電圧を印加して直流を供給すれば、保持磁石6a,6bの磁束と同方向の磁束又は逆方向の磁束が形成される。保持磁石6a,6bと同方向の磁束が形成されれば、保持磁石6a,6bの磁束が強められるので、軸部材1の復元力が大きくなる。一方、保持磁石6a,6bの磁束と逆方向の磁束が形成されれば、保持磁石6a,6bの磁束が弱められるので、軸部材1の反発力が弱められる。これにより、軸部材1の復元力を変化させることができる。後述するように、軸部材1の復元力の変化は、軸部材1の共振帯の変化につながる。軸部材1の復元力を調整することで、軸部材1の共振帯を調整することができる。
【0013】
交流コイル5bは軸部材1を振動させるために設けられる。交流コイル5bに交流電圧を印加して交流を供給すれば、交流コイル5bに交番磁束が発生する。コイルに発生する交番磁束と軸部材1の磁石に発生する磁束との相互作用によって、軸部材1が振動する。軸部材1は、交流コイル5bに供給する交流の周波数と同一の周波数で振動する。交流コイル5bの交流の周波数を軸部材1の共振帯に近づければ、高効率の振動出力を得ることができる。
【0014】
本実施形態の振動アクチュエータの各部の構造は以下のとおりである。軸部材1は、複数の磁石が設けられる磁石配列部1−1と、磁石配列部1−1の中心線方向の両端部に連結される一対の連結軸1−2と、を備える。磁石配列部1−1には、奇数個の磁石、この実施形態では三つの磁石4a,4bが中心線方向に配列される。各磁石4a,4bは中心線方向に着磁されており、各磁石4a,4bの中心線方向の一方の端部がN極に着磁され、他方の端部がS極に着磁されている。三つの磁石4a,4bは、隣接する磁石4a,4bの対向する磁極が異極になるように配置される。この実施形態では、
図1において左から順番にN−S、N−S、N−Sの磁極が形成される。ここで、N−Sは各磁石4a,4bの両端部に発生する磁極を表す。隣接する磁石4a,4b間には、非磁性材料からなるスペーサが介在する。
【0015】
三つの磁石4a,4bのうち、中央の磁石4aは直流コイル5a内に配置される直流コイル用磁石4aである。直流コイル用磁石4aの中心線方向の長さL1は直流コイル5aの中心線方向の長さL2よりも短く、直流コイル用磁石4aの両端部の磁極は、保持磁石6a,6bの同極の磁極に反発するようになっている。
【0016】
両側の磁石4bは、交流コイル5b内に配置される交流コイル用磁石4bである。一対の交流コイル用磁石4bの内法(一対の交流コイル用磁石4bの内側の距離)L4は、一対の保持磁石6a,6bの外法(一対の保持磁石6a,6bの外側の距離)L3よりも大きい。そして、交流コイル用磁石4bの内側の磁極が保持磁石6a,6bの外側の磁極と反発する。直流コイル5a及び交流コイル5bが無励磁のとき、軸部材1の磁石4a,4bと保持磁石6a,6bの反発力によって、軸部材1が電機子部2に保持される。また、軸部材1が原点に復元する。
【0017】
交流コイル用磁石4bは、軸部材1を振動させる駆動力を発生する役割も持つ。一対の交流コイル用磁石4bのN−N間の磁極ピッチL5は、一対の交流コイル5bの中心間ピッチL6と異なっている。交流コイル用磁石4b磁極ピッチL5と交流コイル5bの中心間ピッチL6との差は、交流コイル5bの中心線方向の長さL7の1/8〜3/8倍に設定される。一対の交流コイル5bから一対の交流コイル用磁石4bに作用する推力の位相を、約90度ずらすためである。
【0018】
電機子部2は、中心線を一致させた直流コイル5a及び交流コイル5bを備える。直流コイル5a及び交流コイル5bは、ボビン9,10に巻かれている。中央の直流コイル5aと両側の交流コイル5bとの間には、リング状の保持磁石6a,6bが設けられる。保持磁石6a,6bは軸線方向に着磁されている。保持磁石6a,6bは対向する磁極が異極になるように、
図1において左から順番にS−N、S−Nになるように配置される。直流コイル5a、交流コイル5bコイル及び保持磁石6a,6bは、電機子部2のケーシングに収納されている。ケーシングには、軸部材1の連結軸1−2が往復運動するのを案内する直動軸受7が設けられている。
【0019】
直流コイル5a及び交流コイル5bには、ドライバから電力が供給される。ドライバは、直流コイル5aに直流電圧を印加する直流電源回路8aと、交流コイル5bに交流電圧を印加する交流電源回路8bと、を備える。
【0020】
ドライバの直流電源回路8aが直流コイル5aに直流電圧を印加すると、直流コイル5aが電磁石のように機能し、直流コイル5aの両端部にN極及びS極が形成される。上述のように、直流コイル5aの両端部の磁束は、保持磁石6a,6bの磁束を強めたり、弱めたりするので、保持磁石6a,6bの磁束の強さが調整される。一対の保持磁石6a,6bは、直流コイル5aに対向する側の磁極が異極になるようになっている。
【0021】
また、直流電源回路8aが直流コイル5aに直流電圧を印加すると、軸部材1はストロークの中心である原点に復帰する。本実施形態では、軸部材1の磁石と電機子部2の保持磁石6a,6bの反発力によって、軸部材1は原点に復帰するようになっている。ドライバが直流コイル5aに直流を供給することによっても、軸部材1が原点に復帰する。
【0022】
ドライバの交流電源回路8bは、交流コイル5bに位相を一致させた交流電圧を印加する。交流電圧は正弦波でも、矩形波でも三角波でもよい。交流電源回路8bが交流コイル5bに交流を供給すると、交流コイル5bに交番磁束が形成される。交流コイル5bの交番磁束と軸部材1の交流コイル用磁石4bの磁束との相互作用により、軸部材1に周期的に変動する推力が作用する。この軸部材1に作用する推力によって軸部材1が振動する。一対の交流コイル5bから交流コイル用磁石4bに作用する推力の位相は約90度ずれており、一方の交流コイル5bから一方の交流コイル用磁石4bに正弦波状の推力が作用し、他方の交流コイル5bから他方の交流コイル用磁石4bに余弦波状の推力が作用するようになっている。これにより、ストロークの端部付近に移動し減速域に入った軸部材1に早めにブレーキをかけることができ、軸部材1の振動を安定させることができる。
【0023】
図2は、本実施形態の振動アクチュエータの等価モデルを示す。
図2に示すように、本実施形態の振動アクチュエータはばね−質量系の等価モデルに置き換えることができる。この等価モデルにおいて、質点MがばねKに繋がれている。質点Mが軸部材1を表し、ばねKの復元力が磁力による反発力を表す。振動周波数fの外力が交流コイル5bから軸部材1に作用する推力を表す。なお、ばねKの復元力は線形であるのに対し、磁力による反発力は非線形であるが、ここでは磁力による反発力も線形であると仮定して
図2の等価モデルを使用する。
【0024】
図2の等価モデルにおいて、ばねKの固有振動数(共振周波数)は1/2π×√(k/m)Hzで表される。ここで、kはばねのばね定数であり、mは質点Mの質量である。質点Mを振動させる外力の振動周波数fがばねKの固有振動数に近ければ、質点Mが共振し、質点Mを高効率で振動させることができる。そこで、本実施形態においては、直流コイル5aに供給する直流を変化させて、軸部材1が共振する振動数の帯域を調整し、軸部材が共振するようにしている。これを詳述するに、直流コイル5aに流す電流を変化させると、軸部材1の磁石4a,4bと電機子部2の保持磁石6a,6bとの反発力が変化するので、
図2の等価モデルにおいてばねKのばね定数が変化する。ばねKのばね定数が変化すると、ばねKの固有振動数が変化する。軸部材1の共振帯を振動周波数fに近づければ、軸部材1を高効率で振動させることができる。
【0025】
図3は、軸部材1の磁石4a,4bの中心線方向の長さ、及びピッチを変化させたときの軸部材1の周波数特性(周波数と振幅との関係)を示す。横軸の周波数は交流コイル5bに供給される交流の周波数(
図2の等価モデルの外力の周波数f)である。縦軸の振幅は、軸部材1の振幅(μm)である。
【0026】
振動アクチュエータの仕様として、振動周波数が予め例えば50Hz等に決定されている。振動アクチェータを設計する際には、軸部材1の共振帯が仕様の振動周波数50Hzに近づくようにする必要がある。
図3の周波数特性(1)は、軸部材1の共振帯が50Hzになるように作り込まれた振動アクチュエータを示す。
図3の周波数特性(2)は、軸部材1の磁石4a,4bの中心線方向の長さ、及びピッチを変化させた振動アクチュエータを示す。この周波数特性(2)を持つ振動アクチュエータにおいては、軸部材1の共振帯が50Hzから40Hzに変化してしまっている。周波数特性(2)の振動アクチュエータを50Hzで振動させようとしても、軸部材1の振幅は共振振幅5000μmの約1/10の500μmとなる。振幅を大きくするために、交流コイル5bに供給する電力を大きくすることも考えられるが、交流コイル5bの温度が上昇してしまうという新たな問題を招く。
【0027】
しかし、本実施形態の振動アクチュエータによれば、直流コイル5aに流す直流の大きさを変化させることで、軸部材1の共振帯を広く変化させることができる。そして、軸部材1の共振帯が仕様の振動周波数50Hzに近づくように制御すれば、高効率の振動出力を得ることができる。実際に実験したところ、直流コイル5aに供給する直流の大きさを制御することで、共振帯が見事に変化し、
図3の周波数特性(2)を持つ振動アクチュエータの共振帯が50Hzに変化した。
【0028】
本実施形態の振動アクチュエータによれば、さらに以下の効果を奏する。直流コイル5aの中心線方向の両端部に保持磁石6a,6bを設けることで、交流コイル5bに直流を供給していないときでも、電機子部2が軸部材1を保持できるようになる。
【0029】
保持磁石6a,6bの、直流コイル5aに対向する側の磁極を互いに異ならせることで、直流コイル5aの両端部に配置される保持磁石6a,6bの磁束を均等に調整することができる。
【0030】
電機子部2の三つのコイル5a,5bの中央に直流コイル5aを配置し、両側に交流コイル5bを配置することで、コイル5a,5bの配置が左右対称になり、軸部材1の振動が安定化する。
【0031】
ドライバが直流コイル5aに直流を供給すると、軸部材1が原点に復帰するようにしているので、ユーザが原点合わせをする必要がなくなる。軸部材1の原点復帰後、交流コイル5bに交流を供給することで、軸部材1を振動させることができる。
【0032】
軸部材1の磁石4a,4bが、直流コイル5a内に配置される直流コイル用磁石4aと、交流コイル5b内に配置される交流コイル用磁石4bと、を備えるので、軸部材1の共振帯の調整と軸部材1の振動との両立を図ることができる。
【0033】
図4は、本実施形態の振動アクチュエータのドライバに直流制御部としてのレゾルバを組み込んだ例を示す。振動アクチュエータの軸部材1及び電機子部2の構成は
図1に示す振動アクチュエータと同一であるので、同一の符号を附してその説明を省略する。この実施形態のドライバは、軸部材1の振幅を検出する機能を持ち、軸部材1の振幅が最大になるように直流コイル5aに供給する直流を制御することを特徴とする。
【0034】
軸部材1が電機子部2に対して相対的に振動すると、直流コイル5aには逆起電圧が発生する。この逆起電圧によって、直流コイル5aには交流成分が発生する。直流コイル5aに発生する交流成分を取り出すことで、軸部材1の振幅を計測することができる。直流コイル5aには、ドライバから直流が供給されているので、この交流成分はドライバから供給される直流に重畳される。
【0035】
直流コイル5aに発生する交流成分は、軸部材1の振動に起因するものと、交流コイル5bの相互インダクタンスに起因するものとに分けることができる。相互インダクタンスに起因する交流成分は、ドライバ側で知ることができるので、全体の交流成分から相互インダクタンスに起因する交流成分を減算することで(外部ノイズを打ち消す)ことで、軸部材1の振幅を知ることができる。
【0036】
図4に示すように、ドライバは、直流コイル5aに直流電圧を印加する直流電源回路8aと、交流コイル5bに交流を供給する交流電源回路8bと、を備える。軸部材1が振動することによって、直流電源回路8aにはDC成分をアベレージにした交流成分が発生する。この交流成分をコンデンサ11aで絶縁すれば、ゼロをアベレージにした交流成分を取り出すことができる。オペアンプ12には、直流コイル5aの交流成分のピークピーク値(Peak-to-peak value)が入力される。また、オペアンプ12には、コンデンサ11bを介して交流電源回路8bの指令電流のピークピーク値(Peak-to-peak value)が入力される。オペアンプ12は、直流コイル5aの交流成分のピークピーク値(検出される速度情報)と交流電源回路8bの指令電流のピークピーク値とを比較する。そして、前者のピークピーク値から後者のピークピーク値を減算し、軸部材1の振幅を算出する。ドライバは、直流コイル5aの交流成分のピークピーク値(検出される速度情報)又は算出された軸部材1の振幅が最大になるように、直流コイル5aに供給する直流を制御(例えばPID制御)する。ドライバは、軸部材1の振動周波数を1〜100Hzまで変化させ、軸部材1の振幅を計測し、軸部材1の共振帯を検出する。ドライバは検出した軸部材1の共振帯が指令周波数に追従するように直流コイル5aに供給する直流を制御する。
【0037】
本実施形態の振動アクチュエータによれば、直流コイル5aに発生する交流成分を取り出すことで、高価なエンコーダを用いなくても軸部材1の振幅を計測することが可能になる。また、直流コイル5aに発生する交流成分に基づいて、直流コイル5aに供給する直流を制御するので、軸部材1の振幅を最大にすることができる。
【0038】
図5は、本実施形態の振動アクチュエータの軸部材1の磁石の個数を五個にした例を示す。磁石の個数以外の構成は
図1に示す第一の実施形態の振動アクチュエータと同一であるので、同一の符号を附してその説明を省略する。
図1に示す振動アクチュエータの軸部材1の場合、隣接する直流コイル用磁石4aと交流コイル用磁石4bの対向する磁極が異極になっている。このため、直流コイル用磁石4aの磁束の一部が交流コイル用磁石4bに向かう。その分、磁石の磁束を有効に利用できていないことになる。この例では、軸部材1の直流コイル用磁石4aと交流コイル用磁石4bとの間に、これらの磁石4a,4bの磁束を半径方向の外側(図中黒の矢印)に向ける中間磁石4cが設けられている。中間磁石4cは軸線方向に着磁されており、直流コイル用磁石4a及び交流コイル用磁石4bに反発する。
【0039】
図6は、本発明の第二の実施形態の振動アクチュエータを示す。この実施形態では、電機子部22には一つのコイル23が設けられる。コイル23の軸線方向の両端部には、保持磁石24が設けられる。保持磁石24は、互いに対向する側の磁極が異極になるように配置される。軸部材21には一つの磁石25が設けられる。軸部材21の磁石25は軸線方向に着磁され、電機子部22の保持磁石24に反発する。ドライバの直流電源回路26及び交流電源回路27は、コイル23に直流電圧及び交流電圧を同時に印加する。この実施形態の振動アクチュエータにおいても、コイル23に供給する直流を調整すれば、軸部材21の共振帯を調整することができる。そして、コイル23に供給する交流の周波数を軸部材21の共振帯に近づければ、高効率の振動出力を得ることができる。なお、コイル23の両端部に保持磁石24を設ける替わりに、磁性材料からなる鉄製ヨークを設けてもよい。
【0040】
図7は、本発明の第三の実施形態の振動アクチュエータを示す。この実施形態では、電機子部32に直流コイル33及び交流コイル34が並べて設けられる。直流コイル33と交流コイル34との間には、保持磁石35が設けられる。31軸部材には一つの磁石36が設けられ、保持磁石3と吸引している。ドライバの直流電源回路37は直流コイル33に直流電圧を印加し、交流電源回路38は交流コイル34に交流電圧を印加する。この実施形態の振動アクチュエータにおいても、直流コイル33に供給する直流を調整すれば、軸部材31の共振帯を調整することができる。そして、交流コイル34に供給する交流の周波数を軸部材31の共振帯に近づければ、高効率の振動出力を得ることができる。
【0041】
図8は、本発明の第四の実施形態の振動アクチュエータを示す。この実施形態の振動アクチュエータは、
図1に示す第一の実施形態の振動アクチュエータの左側の交流コイル5b及び左側の交流コイル用磁石4bを取り除いたものである。コイルを直流コイル5a及び右側の交流コイル5bの二つから構成している。他の構成は第一の実施形態の振動アクチュエータと同一なので、同一の符号を附してその説明を省略する。コイルを直流コイル5a及び交流コイル5bの二つから構成しても、軸部材1の共振帯を調整することができる。
【0042】
なお、本発明は上記実施形態に具現化されるのに限られることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲で他の実施形態に具現化することができる。
【0043】
例えば、電機子部のコイルの個数、電機子部の保持磁石の個数、及び軸部材の磁石の個数は上記実施形態に限れられることはなく、振動アクチュエータの仕様に応じて適宜変更可能である。
【0044】
本発明の振動アクチュエータは、直流コイルで軸部材の共振帯を調整し、交流コイルで軸部材を振動させるという特徴を持つ。上記実施形態では、軸部材の振動周波数を共振帯に近づけ、軸部材の振幅を最大にする場合について説明した。しかし、本発明によれば、軸部材の共振帯と軸部材の振動周波数を適宜設定することにより、軸部材の振幅を任意に調整することができる。よって、本発明は軸部材の軸部材の振幅を最大にする例だけでなく、軸部材の振幅を任意に調整する場合についても適用できる。
【0045】
上記第一の実施形態では、直流コイルに直流を供給したときの軸部材の原点と、軸部材の磁石と電機子部の保持磁石の反発力による軸部材の原点とを一致させているが、ずらしてもよい。例えば、振動アクチュエータを縦にして使用する場合、重力によって軸部材の原点がずれる。このような場合でも、直流コイルに直流を供給することで、軸部材を原点に戻すことが可能になる。