(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5997459
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】使用後廃品フィルムの再生処理方法
(51)【国際特許分類】
B29B 17/00 20060101AFI20160915BHJP
B29B 17/04 20060101ALI20160915BHJP
B03C 1/00 20060101ALI20160915BHJP
B03B 5/28 20060101ALI20160915BHJP
B03B 9/06 20060101ALI20160915BHJP
B29B 9/16 20060101ALI20160915BHJP
【FI】
B29B17/00ZAB
B29B17/04
B03C1/00 B
B03B5/28 B
B03B9/06
B29B9/16
【請求項の数】20
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-37610(P2012-37610)
(22)【出願日】2012年2月23日
(65)【公開番号】特開2013-173239(P2013-173239A)
(43)【公開日】2013年9月5日
【審査請求日】2015年1月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】512046316
【氏名又は名称】ウィスコンシン・フィルム・アンド・バッグ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100096013
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100092967
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 修
(74)【代理人】
【識別番号】100129311
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 規之
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・フランシス・クレサ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・ジェイ・フィーニー
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・ウェイン・カールステッド
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ウィリアム・ブレーク
(72)【発明者】
【氏名】バッケル・ゲイリー・ハッカー
【審査官】
増田 健司
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭57−163314(JP,U)
【文献】
実開昭54−118474(JP,U)
【文献】
特開2010−241082(JP,A)
【文献】
特開昭58−14958(JP,A)
【文献】
特開昭59−189946(JP,A)
【文献】
特開2003−126830(JP,A)
【文献】
特開2001−170937(JP,A)
【文献】
特開2008−179075(JP,A)
【文献】
特開2001−122985(JP,A)
【文献】
特開2000−176935(JP,A)
【文献】
米国特許第4379724(US,A)
【文献】
米国特許第5257740(US,A)
【文献】
米国特許第5510076(US,A)
【文献】
特開2000−326407(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 17/00
B03B 5/28
B03B 9/06
B03C 1/00
B29B 9/16
B29B 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済み廃品の線状低密度ポリエチレンフィルム又は低密度ポリエチレンフィルムの供給物を処理する方法であって、
フィルムの供給物をシュレッダー内で引き裂いて、フィルムを層間剥離することによってフィルムの表面領域を露出させ;
引き裂いたフィルムを、界面活性剤を含む水浴中で洗浄し、フィルムを浴中で撹拌して、汚染物質をフィルムから除去し;
フィルムを粉砕し、粉砕したフィルムを回転摩擦洗浄機内で洗浄して、更なる汚染物質をフィルムから除去し;
粉砕したフィルムを乾燥し;そして
粉砕し乾燥したフィルムを、水を加えずにブローンフィルム製造物用の粒状化体に圧縮する;
ことを含む上記方法。
【請求項2】
水浴が複数の洗浄機を含む、請求項1に記載のフィルムの供給物を処理する方法。
【請求項3】
前記水浴中の洗浄機の少なくとも1つが熱水を含む、請求項2に記載のフィルムの供給物を処理する方法。
【請求項4】
熱水が少なくとも140°Fで190°F以下である、請求項3に記載のフィルムの供給物を処理する方法。
【請求項5】
フィルムの供給物から金属を検出することを更に含み、フィルムの供給物を磁場にかけて鉄金属を確認することを含む、請求項1に記載のフィルムの供給物を処理する方法。
【請求項6】
検出した金属を機械除去及び手動除去のうちの1つによって除去することを更に含む、請求項5に記載のフィルムの供給物を処理する方法。
【請求項7】
粉砕し乾燥したフィルムが10重量%以下の含水量を含む、請求項1に記載のフィルムの供給物を処理する方法。
【請求項8】
圧縮することによって得た粒状化した物体をペレットに成形することを更に含む、請求項1に記載のフィルムの供給物を処理する方法。
【請求項9】
使用後廃品フィルムを処理する方法であって、
再生処理可能な線状低密度ポリエチレンプラスチックフィルムの供給物、又は再生処理可能な低密度ポリエチレンプラスチックフィルムの供給物、或いはこれらの組合せを与え;
プラスチックフィルムの供給物から金属を除去し;
プラスチックフィルムの供給物を金属除去の後に細断して、プラスチックフィルムを引き裂いてフィルムの表面領域を露出させ;
細断されたプラスチックフィルムを、フィルタースクリーンを通して水浴に排出し;
水浴中の水を撹拌して細断されたプラスチックフィルムの表面の全部を湿潤させ;
プラスチックフィルムを水浴から取り出し;
プラスチックフィルムを湿式粉砕し;
粉砕したプラスチックフィルムを回転摩擦洗浄機内で洗浄して、プラスチックフィルムから汚染物質を除去し;
少なくとも2つの異なるタイプの粉砕し洗浄したプラスチックフィルムをハイドロサイクロン内で分離して、より軽質のプラスチックフィルムをより重質のプラスチックフィルムから分離し;
粉砕し洗浄したプラスチックフィルムを乾燥し;そして
粉砕し乾燥したプラスチックフィルムを水を加えずにプラスチックフィルム用の粒状化体に圧縮し、粒状化体を、貯蔵するか、或いはブローンフィルム運転における原材料として用いる;
ことを含む上記方法。
【請求項10】
水浴に添加剤を加えることを更に含む、請求項9に記載の使用後廃品フィルムを処理する方法。
【請求項11】
添加剤が洗浄剤である、請求項10に記載の使用後廃品フィルムを処理する方法。
【請求項12】
水浴が複数の洗浄機を含む、請求項9に記載の使用後廃品フィルムを処理する方法。
【請求項13】
前記水浴中の洗浄機の少なくとも1つが熱水を含む、請求項12に記載の使用後廃品フィルムを処理する方法。
【請求項14】
熱水が少なくとも140°Fで190°F以下である、請求項13に記載の使用後廃品フィルムを処理する方法。
【請求項15】
金属の除去がプラスチックフィルムの供給物を磁場にかけて鉄金属を確認することを含む、請求項9に記載の使用後廃品フィルムを処理する方法。
【請求項16】
粉砕し乾燥したプラスチックフィルムが10重量%以下の含水量を含む、請求項9に記載の使用後廃品フィルムを処理する方法。
【請求項17】
金属の除去が機械除去及び手動除去のうちの1つを含む、請求項9に記載の使用後廃品フィルムを処理する方法。
【請求項18】
圧縮することによって得た粒状化体をペレットに成形することを更に含む、請求項9に記載の使用後廃品フィルムを処理する方法。
【請求項19】
使用後廃品フィルムを処理する方法であって、
再生処理可能な線状低密度ポリエチレンプラスチックフィルムの供給物、又は再生処理可能な低密度ポリエチレンプラスチックフィルムの供給物、或いはこれらの組合せを与え;
プラスチックフィルムの供給物から金属を除去し;
プラスチックフィルムの供給物を金属除去の後に細断して、プラスチックフィルムを引き裂いてフィルムの表面領域を露出させ;
細断されたプラスチックフィルムを、フィルタースクリーンを通して水浴に排出し;
水浴中の水を撹拌して細断されたプラスチックフィルムの表面の全部を湿潤させ、水浴は、洗浄剤、酸化剤、及び漂白剤を含む界面活性剤を含み;
プラスチックフィルムを水浴から取り出し;
プラスチックフィルムを湿式粉砕し;
粉砕したプラスチックフィルムを回転摩擦洗浄機内で洗浄して、プラスチックフィルムから汚染物質を除去し;
少なくとも2つの異なるタイプの粉砕し洗浄したプラスチックフィルムをハイドロサイクロン内で分離して、より軽質のプラスチックフィルムをより重質のプラスチックフィルムから分離し;
粉砕し洗浄したプラスチックフィルムを乾燥して、フィルムが10重量%以下の含水量を含むようにし;そして
粉砕し乾燥したプラスチックフィルムを水を加えずにプラスチックフィルム用の粒状化体に圧縮し、粒状化体を、貯蔵するか、或いはブローンフィルム運転における原材料として用いる;
ことを含む上記方法。
【請求項20】
圧縮することによって得た粒状化体をペレットに成形することを更に含む、請求項19に記載の使用後廃品フィルムを処理する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、廃品を再生処理する方法に関し、より詳しくは使用後廃品の線状低密度ポリエチレンフィルム及び使用後の低密度ポリエチレンフィルムを再生処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]使用後のプラスチック廃棄物の再生利用は、環境的に適切で「環境に優しい」ものとして大きく評判になっている。都市の混合された使用後のプラスチック廃棄物の大多数としては、例えば炭酸飲料のボトルにおいて用いられているポリエチレンテレフタレート(PET)材料、及び牛乳ビンのような無着色高密度ポリエチレン(HDPE)材料が挙げられる。通常の再生処理手順においては、PET及びHDPEから構成される容器を他の廃棄物から分離し、次により小さい片に細断し、洗浄し、加熱し、他の製品として再使用するために押出又は粒状化する。
【0003】
[0003]再生処理するのが困難であった1つのタイプの使用後廃品(PC)はポリエチレンフィルムである。通常は、PCフィルム材料は「ストレッチ包装」線状低密度ポリエチレン(LLDPE)である。LLDPEの強度特性及び伸縮性のために、かかるフィルムはパレット貨物又は梱包プロセス用の梱包材料及び包装材料として用いられる。他のタイプのPCフィルムは、包装及び袋として用いられる低密度ポリエチレン(LDPE)である。
【0004】
[0004]LLDPEフィルムは、輸送中に箱、容器、又は同様の物品をパレット上に包装及び固定する際に用いられる。所定の目的地に到着したら、かかるPCフィルムはパレット材料から取り外されて廃棄される。かかるPCフィルムは、通常は、フィルムの外側の上に接着されているラベル、及び輸送プロセス中にフィルム上に配置される種々の荷印を有する。PCフィルムは、通常はパレット上の材料の周りを複数回被包しているので、フィルムの複数の層の上に複数の層が存在している。
【0005】
[0005]また、PCフィルムは他の廃品材料を梱包するのにも用いられる。PCフィルムをパレット又は他の梱包物から取り外した場合には、汚れ、油、生体物質、積層、ラベル接着剤等のような高い汚染レベルのために、PCフィルムは、ごみ廃棄場内に投棄されるか、或いは他のプラ
スチック製品のための充填剤として処理される。工業フィルム又はバッグ製品として用いるための実用的なブローンフィルム製造物としてPCフィルムを再使用することは一般に行われていない。通常は、かかる使用後のフィルムは、存在する高い汚染レベルによって深刻な処理上の問題点及び最終製品における不快な特性、例えば臭気、変色、及び「凹みのある」外観が引き起こされるので、用途が限定される。
【発明の概要】
【0007】
[0007]上記で議論した背景技術の欠点及び制限は本発明によって克服される。
[0008]使用後廃品の線状低密度ポリエチレンフィルム又は低密度ポリエチレンフィルムの供給物を未使用に近い品質のブローンフィルム製造物に処理する方法が提供される。本方法は、フィルムの供給物をシュレッダー内で引き裂いて、フィルムを層間剥離することによってフィルムの表面領域を露出させることを含む。フィルムの引き裂かれた供給物を、洗浄剤を含む水浴中で洗浄する。膜を、界面活性剤を含む浴中で撹拌して、フィルム上の汚染物質をフィルムから除去する。洗浄したフィルムをより小さい片に粉砕し、粉砕したフィルムの回転摩擦洗浄機内での更なる洗浄を行って、更なる汚染物質をフィルムから除去する。次に、粉砕したフィルムを乾燥し、水を加えずに未使用に近い品質のブローンフィルム製造物の粒状化体に圧縮する。
【0008】
[0009]フィルムの供給物を処理する方法には、少なくとも140°Fで190°F以下の温度を有する熱水中での少なくとも1回の洗浄プロセスを含ませることができる。このプロセス中において、粉砕プロセスの前にフィルムの供給物中の金属を検出して供給物から除去する。
【0009】
[0010]また、使用後廃品フィルムを未使用に近い品質のブローンフィルム製造物に処理する方法も提供される。この方法は、再生処理可能な線状低密度ポリエチレンプラスチックフィルムの供給物、及び低密度ポリエチレンプラスチックフィルムの供給物の1つを与え、プラスチックフィルムの供給物から金属を除去することを含む。金属除去の後にプラスチックフィルムを細断し、細断プロセスによってプラスチックフィルムを引き裂いて、フィルムの表面領域を露出させる。細断されたプラスチックフィルムを、フィルタースクリーンを通して水浴に排出して、その中で細断されたプラスチックフィルムを撹拌して、細断されたプラスチックフィルムの表面の全部を湿潤させる。次に、プラスチックフィルムを水浴から取り出し、プラスチックフィルムの湿式粉砕を行う。
【0010】
[0011]粉砕したプラスチックフィルムを、回転摩擦洗浄機内で再び洗浄して、汚染物質をプラスチックフィルムから除去する。少なくとも2つの異なるタイプの粉砕し洗浄したプラスチックフィルムを、ハイドロサイクロン内で分離して、より軽質のプラスチックフィルムをより重質のプラスチックフィルムから分離する。粉砕したプラスチックフィルムを乾燥し、水を加えずに未使用に近い品質の線状低密度ポリエチレンプラスチックの粒状化体に圧縮する。次に、粒状化体を、貯蔵するか、或いはブローンフィルム運転における原材料として用いる。
【0011】
[0012]使用後廃品フィルムを未使用に近い品質のブローンフィルム製造物に処理する方法が更に提供される。この方法は、再生処理可能な線状低密度ポリエチレンプラスチックフィルムの供給物、及び低密度ポリエチレンプラスチックフィルムの供給物の1つを与え、プラスチックフィルムの供給物から金属を除去することを含む。次に、プラスチックフィルムを金属除去の後に細断して、プラスチックフィルムを引き裂いてフィルムの表面領域を露出させる。細断されたプラスチックフィルムを、フィルタースクリーンを通して水浴に排出して、フィルムを撹拌して細断されたプラスチックフィルムの表面の全部を湿潤させる。水浴は、界面活性剤、例えば汚染物質の除去を助ける洗浄添加剤を含む。洗浄したプラスチックフィルムを水浴から取り出し、湿式粉砕する。次に、粉砕したプラスチックフィルムを回転摩擦洗浄機内で再び洗浄して、更なる汚染物質をプラスチックフィルムから除去する。
【0012】
[0013]少なくとも2つの異なるタイプの粉砕し洗浄したプラスチックフィルムを分離するために、プラスチックフィルムをハイドロサイクロンにかける。ハイドロサイクロン内で、より軽質のプラスチックフィルムをより重質のプラスチックフィルムから分離する。粉砕したプラスチックフィルムを乾燥して、10重量%以下の含水量を含むようにする。粉砕し乾燥したプラスチックフィルムを、水を加えずに未使用に近い品質のポリエチレンプラスチックの粒状化体に圧縮して、貯蔵するか、或いはブローンフィルム運転における原材料として用いる。また、圧縮工程の後に粒状化したプラスチックフィルムをペレットに成形することもできる。
【0013】
[0014]本発明を実施するための装置は、耐久性があり且つ長持ちし、その動作寿命の全体にわたってユーザーによるメンテナンスが僅かしか必要ないか又は全く必要ない構造のものである。また、本発明の装置は、その市場での魅力を増大させてそれによってそれに最も広い可能な市場を与えるために、安価な構造のものである。最後に、上記の有利性及び目的の全ては、いかなる実質的な相対的欠点を招くことなく達成される。
【0014】
[0015]本発明のこれら及び他の有利性は、図面を参照して最も良好に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】[0016]
図1は、使用後廃品(PC)フィルムを再生処理する方法の代表的な態様のフロー図である。
【
図2】[0017]
図2は、
図1に示すフロー図にしたがってPCフィルムを処理するように構成されている装置の上面概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0018]フィルムの外側の上に接着されているラベル、及び輸送プロセス中にフィルム上に配置される種々の荷印、並びに他の汚染物質のために再生処理するのが困難なPCフィルムのような使用後廃品(PC)を再生処理するための方法及び装置が提供される。再使用することができる実用的なブローンフィルム製造物を与えるためには、ラベル、接着剤、他の適用された荷印、及び汚染物質をPCフィルムから除去しなければならない。PCフィルム(LLDPE及びLDPE)を、それ単独で使用することができるか又は未使用の材料と配合することができる未使用に近い品質のブローンフィルム製造物に処理することが本発明の目的である。
【0017】
[0019]本発明の目的に関して、「未使用に近い」という用語は、ブローンフィルム製造物の未使用の材料に匹敵するPCフィルムの品質を意味する。かかる品質に関する試験は視認ゲル検出試験である。本発明の目的に関して、「ゲル」とはPCフィルムの非溶融部分又は非溶融汚染物質である。この試験においては、ゲルの数は、それらの寸法とは関係なく、12インチ×12インチの正方形の試料について測定する。未使用の材料は10〜0個のゲルの間のゲルカウント値を有する。未使用に近い材料は1,000〜11個のゲルの間のゲルカウント値を有する。本出願人は、従来のPC製造物を、本発明の方法及び装置を用いて製造したPC製造物と比較して、以下の結果を得た。
【0019】
[0020]図面を参照すると、
図1は、使用後廃品フィルムを未使用に近い品質のブローンフィルム製造物に再生処理する方法の代表的な態様のフロー図である。
図2は、
図1に示すフロー図にしたがってPCフィルムを処理するように構成されている装置の配置の代表的な態様の上面概要図である。
図2に示されている装置の物理的な配置は例示のものであり、ここに記載する方法を用いる特定の施設の領域内に配置することができる他の構成又は装置の配置が意図されることを理解すべきである。
【0020】
[0021]使用後廃品の線状低密度ポリエチレンフィルム又は低密度ポリエチレンフィルム或いはLLDPE及びLDPEフィルムの組合せ(以下「PCフィルム」)の供給物12を貯蔵コンベヤ14上に配置する。コンベヤ14上へのPCフィルムの供給物12の配置は、フォークリフト、クレーン、ホイスト、及び幾つかの場合においては手動配置のような任意の簡便な通常の方法によって行うことができる。貯蔵コンベヤ14によって、PCフィルムの供給物12を傾斜コンベヤ15に送る。
【0021】
[0022]PCフィルムの供給物12は、通常は、固定バンドによって梱包内に一緒に保持される。通常の運転においては、最初の視覚検査のために、固定バンドを切断して梱包を解荷する。かかるプロセスは、操作者によって定めるように手作業か又は機械によって行うことができる。始めにPCフィルムの供給物12内に非フィルム体が見られる場合には、かかる物体を手作業か又は機械によって取り出す。
【0022】
[0023]次に、解梱したPCフィルムの供給物12を、貯蔵コンベヤ14によって、特定の形態の金属の除去を容易にするために金属検出器16を通してか又はその付近を通してコンベヤ15に送る。金属検出器16は、通常は、鉄材料の検出及びその除去の補助を自動で行うために幾つかの形態の磁石、例えば電磁石を有する誘導金属検出器である。また、PCフィルムの供給物12への適当な距離内において一連の永久磁石を用いて鉄金属体を検出及び/又は除去することもできることも意図される。他のタイプの検出器、例えばX線機械を用いて非フィルム体を検出することもできる。
【0023】
[0024]傾斜コンベヤ15によって、PCフィルムの供給物12を、シュレッダー18、例えばPCフィルムを大塊及び小片に引裂細断するように構成されているVecoplan又はWiemaシュレッダーに送って、スクリーンを通して細断されたフィルムを排出する。スクリーンの寸法及び得られるフィルム表面積は、操作上の必要条件によって変化させることができる。スクリーンの1つの例は、複数の3インチの開口を有するものである。
【0024】
[0025]シュレッダー18は、PCフィルムの供給物12を引き裂いて、フィルムの表面領域を露出させるように構成されている。シュレッダー18はまた、フィルムを層間剥離する。通常の輸送包装プロセスのために、PCフィルムは1つの層が他の層の頂部上に積層されており、シュレッダー18はかかる複数の層を層間剥離する、即ち複数のフィルム層を互いに分離するように構成されている。フィルムを切断するように構成されているシュレッダーは、通常はフィルム層を溶融させ、それによってフィルムの洗浄が不可能ではないにしても困難になる。
【0025】
[0026]細断されたPCフィルムの供給物は、排出ベルト20によって洗浄及び輸送スクリュー22に送られる。洗浄及び輸送スクリュー22によって細断されたフィルムを湿潤させ、フィルムを予備洗浄/浮沈タンク装置24に送る。
予備洗浄/浮沈タンク装置24においては、金属検出器16によって認識されなかった高密度物質、例えば石、ガラス、又は砂の更なる分離を行って、後段の除去のために
予備洗浄/浮沈タンク装置24の底部に沈降させる。
予備洗浄/浮沈タンク装置24内では、例えば一連の回転パドルによって行われる撹拌によってフィルムを更に湿潤させる。
【0026】
[0027]
予備洗浄/浮沈タンク装置24内において、界面活性剤、例えば洗浄剤、及びタンク内で混合される他の化合物によってPCフィルムの更なる洗浄を行って、インク、接着剤等のような全ての汚染物質をフィルムから更に洗浄除去する。
【0027】
[0028]界面活性剤は、液体に加えて液体の表面張力を減少させ、それによって液体の拡散及び湿潤特性を増大させる物質である。界面活性剤は、例えば不溶性の染料の水性懸濁液を分散させるために用いる。かかる添加剤はまた、PCフィルムにラベルを貼り付けるために用いられている接着剤を軟化させる。好ましい界面活性剤としては、洗浄剤、酸化剤、及び漂白剤が挙げられる。界面活性剤には、イオン性及び非イオン性薬剤などの他の化学物質又は添加剤を含ませることができることを理解しなければならない。PCフィルムの洗浄に加えて、
予備洗浄/浮沈タンク装置24内においては、撹拌によってそれ自体に粘着する傾向を有するPCフィルムの層間剥離も促進される。
【0028】
[0029]操作者によって定められた時間の後、PCフィルムの破片を第1の粒状化機26に送る。第1の粒状化機26によって、シュレッダー及び
予備洗浄/浮沈タンク装置24から受容されたPCフィルム領域の寸法が更に減少する。第1の粒状化プロセスの後の通常の粒径は、およそ3/4インチである。第1の粒状化機26における粒状化プロセスはまた、フィルム基材からの湿潤ラベルの更なる分離を促進させる。PCフィルムを、第1の粒状化機26から摩擦洗浄機28に送る。
【0029】
[0030]粒状化したPCフィルムを、傾斜した円筒形のトラフ及び傾斜した高速駆動パドルスクリューを有して構成されている摩擦洗浄機28内で洗浄して、第1の粒状化機26から排出される粉砕された材料を脱水及び洗浄する。スクリューは、ベアリングによってハウジング内に固定され、ステンレススチールスクリーン内に被包されている。細断し粉砕した材料及び水をトラフの下端に供給し、スクリューによって材料を上向きに送って、例えば1,000rpmの速度で回転させる。
【0030】
[0031]粒状化したPCフィルムを摩擦洗浄機28内で洗浄し、これをトラフの頂部の出口に送る。汚染物質及び水は微細ステンレススチールスクリーンを通してトラフ壁に送られて、高速スクリューの摩擦によってPCフィルムが更に洗浄される。摩擦洗浄機28は洗浄タンクの前又はその後に配置することができることを理解すべきである。
図1に示すように、摩擦洗浄機28はターボ洗浄機30の後に配置する。摩擦洗浄機28はまた、
図1に示すように湿式粉砕機26の後に配置する。
図2においては、ターボ洗浄機30を摩擦洗浄機28の後に配置している。
【0031】
[0032]PCフィルム12の粒状化供給物は、ポンプ32によって、例えばHerbold Meckesheimによって製造されているハイドロサイクロンのようなハイドロサイクロン34とも呼ばれるウォーターサイクロンに送られる。ハイドロサイクロン34はポンプ32からの水圧下で運転して、水を渦巻状に送ってPCフィルムから汚染物質を更に分離し、ハイドロサイクロン34内を動く水の回転力によってPCフィルムの複数の層を更に分離する。
【0032】
[0033]PCフィルムが、ハイドロサイクロン34から、水の主流と共にその上端において排出され、全ての沈降物質(より高密度の物質)は下端において排出される。ハイドロサイクロン34は、ポンプ32及びターボ洗浄機30と連動して運転して、PCフィルムの更なる洗浄及びPCフィルムからの汚染物質の分離を与える。ハイドロサイクロン34からの水によって、汚染物質は振動スクリーニング装置38及び第2の摩擦洗浄機36に引き続いて送られる。
【0033】
[0034]ターボ洗浄機30の運転は、冷水又は熱水のいずれかを用いて行うことができる。熱水浴の場合には、温度は120°F〜170°Fの範囲であってよく、好ましい温度は少なくとも140°Fで約190°F以下の水温である。熱水は、洗浄機内においてPCフィルムの更なる洗浄を行うために、PCフィルムに与えられる回転運動に加えて用いられる。190°Fより高い温度はPCフィルムを変形及び/又は溶融させる傾向がある。
【0034】
[0035]第2の摩擦洗浄機36から排出されたら、PCフィルム
をターボ乾燥機40内に投入する。ターボ乾燥機40によってPCフィルムから湿分を除去し、圧送システム42によってPCフィルムを第2のターボ乾燥機44内に投入する。第2のターボ乾燥機44によって更なる湿分をPCフィルムから除去する。この時点で、PCフィルムは通常は小片の形態であり、これを次にフィルム小片緩衝サイロ48内に投入する。
【0035】
[0036]PC小片から更なる湿分を除去するために熱を用いる熱乾燥装置46内で更なる乾燥を行う。一連の圧送管及び
圧送システム42によって、第1のターボ乾燥機40、第2のターボ乾燥機44、熱乾燥装置46、及びフィルム小片緩衝サイロ48が相互接続されている。更なるターボ乾燥機及び熱乾燥装置をシステム内に設置して、圧送管に接続することができることを理解すべきである。
【0036】
[0037]圧送システ
ム42によって、PCフィルム小片をフィルム小片緩衝サイロ48から任意の商業的に入手できる装置であってよいプラストコンパクター装置50に送る。1つのかかるプラストコンパクターにおいては、プラストコンパクター50は、両方のディスクがねじ込み継ぎ手の交換可能な混練レールを有するように構成されている回転及び固定圧縮ディスクを用いて運転する。供給スクリューを用いて、PCフィルムを供給サイロ48から固定ディスクの中央を通ってプラストコンパクター50の処理領域中に連続的に送る。圧縮機ディスクに対する摩擦及びその間の摩擦によって材料を速やかに加熱する。プラストコンパクター装置の運転中は、PC材料は摩擦のために加温されて、軟化し始める。PCの表面が溶融し始めて、ワーム形状の構造物が得られる。プラストコンパクター50内での更なる加熱によって、PCフィルム中の湿分が更に減少する。ここに記載する方法の通常の運転においては、PCフィルムは10重量%以下の湿分含量を有する。
【0037】
[0038]プラストコンパクター装置50から、ワーム形状の構造物を第2の粒状化機52に送って、ワーム形状の構造物を所要の凝集粒状化体の寸法に縮小させる。凝集PCフィルムの具体的な寸法は、第2の粒状化機52の内部のスクリーンを変化させることによって選択される。プラストコンパクター装置50によって、更なる湿分をPCフィルムから更に除去し、粉砕し乾燥したフィルムを、水を加えずに未使用に近い品質のブローンフィルム製造物の粒状化体に圧縮する。
【0038】
[0039]本方法の一態様においては、コントローラー54を用いて、水温、空気圧、時間、具体的な機械の粒状寸法、及び運転速度などの装置の種々の機能を制御する。
[0040]コントローラー54は、システムの種々の装置に接続されているマイクロプロセッサーであってよい。コントローラー54はまた、多数の周辺機器、又はデスクトップコンピューター、又はラップトップコンピューター、又はスマートホンに接続されているサーバーであってもよい。また、コントローラーはそれぞれの個々の機械を制御するように構成して、任意の装置から離隔させることができることも意図される。コントローラー54と種々の装置との間の伝達は、配線接続又は無線機器のいずれかによって行うことができる。コントローラーに接続されているメモリー/データベースは、コントローラー54から離隔させることができる。コントローラー54は、通常は、入力機器、例えばマウス又はキーボード、或いはディスプレー機器、例えばモニタースクリーン又はスマートホンを含む。かかる機器は、コントローラーに配線接続するか、或いは適当なソフトウエア、ファームウエア、及びハードウエアと無線接続することができる。また、ディスプレー機器には、コントローラー54に接続されているプリンターを含ませることができる。ディスプレー機器は、ユーザーによって定められるようにレポートをメール又はファックスするように構成することができる。コントローラー54は、ネットワーク、例えばローカルエリアネットワーク又はワイドエリアネットワークに接続することができ、これらは配線接続ネットワーク及び無線ネットワーク、例えばBluetoothネットワーク、或いはWIFI接続又は「クラウド」接続によるインターネットネットワークの1つであってよい。
【0039】
[0041]他の態様においては、水処理装置60を種々の洗浄装置に接続して、システム内で使用された水を連続使用するために再生処理及び濾過する。水の品質はプロセスの種々の段階において変化し、水の再生処理及び濾過は、操作者によるか及び/又はコントローラー54と連動して制御する。
【0040】
[0042]更なる態様においては、1以上の試験ステーションを設置して、処理するPCフィルムの品質を試験する。1つのかかる試験は上記に記載の「ゲルカウント」試験であるが、操作者によって定めるように他の適当な試験を行うことができる。試験ステーションをコントローラー54に接続し、コントローラー54を設定することによって結果を自動的にモニター、試験、及びレポートすることができる。試験は、通常は操作者によって定めるように、プロセスの種々の段階において行う。
【0041】
[0043]本発明の目的に関し、「接続」という用語は、2つの要素(電気的又は機械的)を互いに直接的又は間接的に接合することを意味する。かかる接合は、固定状態か又は可動状態であってよい。かかる接合は、2つの要素(電気的又は機械的)及び任意の更なる中間部材を互いと単一の一体の物体として一体形成するか、或いは2つの要素及び任意の更なる部材を互いに結合させて達成することができる。かかる接合は永久的であってよく、或いは取り外しできるか又は解除できるものであってよい。
[0006]また、本発明を実施する装置は耐久性があり且つ長持ちする構造のものでなければならず、また、その動作寿命の全体にわたってユーザーによるメンテナンスが僅かしか必要ないか又は全く必要ないものでなければならない。また、本発明の装置の市場での魅力を増大させるためには、安価な構造のものであって、それによってその装置に最も広い可能な市場を与えなければならない。最後に、上記の有利性及び目的の全てがいかなる実質的な相対的欠点を招くことなく達成されることも目標である。
【0042】
[0044]本方法及び装置の上記の記載はその特定の態様及び適用を参照して示し記載しているが、これは例示及び記載の目的で示したものであり、包括的であるか、又は本発明を開示されている特定の態様及び適用に限定することは意図しない。ここに記載する方法及び装置に対する数多くの変更、修正、変動、又は代替を行うことができ、これらはいずれも本発明の精神又は範囲から逸脱するものではないことは、当業者には明らかであろう。本方法の原理及びその実際的適用の最良の例示を与えて、それによって当業者が本方法及び装置を、種々の態様で、及び意図する特定の使用に適するように種々の修正を加えて利用することを可能にするために、特定の態様及び適用を選択及び記載した。したがって、全てのかかる変更、修正、変動、及び代替は、それに適正に、法的に、及び衡平法上有効に与えられている幅にしたがって解釈する場合に、特許請求の範囲によって定められる本発明の範囲内であると解釈すべきである。