(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5997491
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】四方切換弁
(51)【国際特許分類】
F16K 11/065 20060101AFI20160915BHJP
F25B 41/04 20060101ALI20160915BHJP
【FI】
F16K11/065 Z
F25B41/04 C
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-98606(P2012-98606)
(22)【出願日】2012年4月24日
(65)【公開番号】特開2013-227994(P2013-227994A)
(43)【公開日】2013年11月7日
【審査請求日】2015年1月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】100106563
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 潤
(72)【発明者】
【氏名】津久井 良輔
(72)【発明者】
【氏名】樋口 浩次
【審査官】
柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】
実開平4−52671(JP,U)
【文献】
実開昭55−49104(JP,U)
【文献】
実開昭52−143050(JP,U)
【文献】
特開2008−138995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 11/065
F25B 41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉空間を有する弁本体と、該弁本体の一側部に連結され、前記密閉空間と連通する第1導管と、前記弁本体の他側部に連結され、前記密閉空間と連通する第2導管と、該第2導管を挟んで両側に各々隣接して配置され、前記密閉空間と連通する第3及び第4導管と、前記弁本体内において前記第2乃至第4導管の各々に連通する開口部を有する弁座と、該弁座に摺動可能に配置される弁体とを備え、該弁体を一方向又は他方向に摺動させることにより、前記第1導管と前記第3導管との間、又は前記第1導管と前記第4導管との間の連通状態が選択的に切り替えられる四方切換弁であって、
前記弁体の前記弁座との当接面のうち、前記弁座と協働して密閉空間を形成するためのシール面を除く部分であって、前記シール面の弁体摺動方向の開放端部側にのみ、前記弁体摺動方向に溝を延設したことを特徴とする四方切換弁。
【請求項2】
前記弁体は、内側に流体の流通空間を形成する膨出部と、該膨出部を囲繞し、前記弁座上を摺動する鍔部とを有し、該鍔部に前記溝が延設されると共に、該鍔部の弁体摺動方向の開放端部に位置し、前記弁座に面する角部を曲面状又は平面状に面取りしたことを特徴とする請求項1に記載の四方切換弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍機器、空調機器等の可逆冷凍サイクルを利用した機器等に用いられる四方切換弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷凍サイクルシステムの冷媒通路に四方切換弁を配置して冷媒通路を切り換え、室内の冷房と暖房とを切り換えることが行なわれている。このような四方切換弁として、特許文献1には、
図6に示すような四方切換弁が提案されている。
【0003】
この四方切換弁50は、密閉中空のシリンダ状の弁本体42を有し、弁本体42には、圧縮機43の吐出管に連結され、高圧の冷媒が流入する高圧管44と、圧縮機43の吸入管に連結され、低圧の冷媒が流出する低圧管45と、低圧管45を挟んで両側に配置され、熱交換機46、47に連結された一対の導管48、49とが接続される。
【0004】
また、弁本体42内には、密閉空間内を往復移動するピストン51、52が収容され、これらの間に椀状の弁体53が配置される。ピストン51、52は、それらの内側に位置する第1室(高圧室)55と、外側に位置する第2室(低圧室)56との差圧に応じて動作し、それに伴って弁体53が弁座57上を摺動する。尚、高圧室55及び低圧室56間の差圧は、パイロット弁58によって制御される。
【0005】
そして、図示のように、弁体53を左端に摺動させた場合には、弁体53の外側で高圧管44と右側の導管49を連通させつつ、弁体53の内側で低圧管45と左側の導管48を連通させることができる。逆に、弁体53を右端に摺動させた場合には、高圧管44を左側の導管48と、低圧管45を右側の導管49と連通させることができ、弁体53の位置を切り換えることで、冷媒通路を変更することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−41636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記四方切換弁50において、装置コストを低減するため、比較的安価な材料であるナイロンによって弁体53を形成した場合には、ナイロンは摩擦係数が大きいため、弁体53が弁座57上を摺動する際に異音が生じるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであって、弁体を比較的摩擦係数の大きい材料で形成した場合でも、異音の発生を防止することが可能な四方切換弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、密閉空間を有する弁本体と、該弁本体の一側部に連結され、前記密閉空間と連通する第1導管と、前記弁本体の他側部に連結され、前記密閉空間と連通する第2導管と、該第2導管を挟んで両側に各々隣接して配置され、前記密閉空間と連通する第3及び第4導管と、前記弁本体内において前記第2乃至第4導管の各々に連通する開口部を有する弁座と、該弁座に摺動可能に配置される弁体とを備え、該弁体を一方向又は他方向に摺動させることにより、前記第1導管と前記第3導管との間、又は前記第1導管と前記第4導管との間の連通状態が選択的に切り替えられる四方切換弁であって、前記弁体の前記弁座との当接面のうち、前記弁座と協働して密閉空間を形成するためのシール面を除く部分
であって、前記シール面の弁体摺動方向の開放端部側にのみ、前記弁体摺動方向に溝を延設したことを特徴とする。
【0010】
そして、本発明によれば、弁体のシール面を除く当接面に、弁体の摺動方向に溝を延設したため、弁体の摺動時に、弁体と弁座の当接面に冷媒に含まれる潤滑油を導入し易くなり、該当接面に油膜を確保することができるので、両者間の吸着を防ぎ、異音の発生を防止することができる。
【0011】
上記四方切換弁において、前記弁体は、内側に流体の流通空間を形成する膨出部と、該膨出部を囲繞し、前記弁座上を摺動する鍔部とを有し、該鍔部に前記溝が延設されると共に、該鍔部の弁体摺動方向の開放端部に位置し、前記弁座に面する角部を曲面状又は平面状に面取りすることができる。これにより、面取り部を介して弁体の溝に潤滑油を導入し易くなり、より確実に異音の発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、弁体を比較的摩擦係数の大きい材料で形成した場合でも、弁体摺動時に異音が発生することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る四方切換弁の第1の実施形態を示す図であって、(a)は断面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【
図2】
図1の四方切換弁の弁体を示す図であって、(a)は断面図、(b)は底面図である。
【
図3】
図1の四方切換弁の弁体及びその周辺を示す図であって、(a)は
図1(b)の拡大図、(b)は弁体の弁座との当接面及びその周辺を示す拡大断面図、(c)は(a)の要部拡大図である。
【
図4】本発明に係る四方切換弁の弁体の他の例を示す図であって、(a)は断面図、(b)は底面図である。
【
図5】本発明に係る四方切換弁の弁体の他の例を示す図であって、(a)は断面図、(b)は底面図である。
【
図6】従来の四方切換弁の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明に係る四方切換弁の一実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明においては、本発明に係る四方切換弁を冷凍サイクルシステムの冷媒通路を切り換えるために用いる場合を例にとって説明する。
【0015】
図1は、本発明に係る四方切換弁の一実施の形態を示し、この四方切換弁1は、
図6に示した従来の四方切換弁50と同様の基本構成を有し、密閉中空のシリンダ状の弁本体2に、圧縮機(不図示)からの高圧の冷媒が流入する第1導管4に連通する開口部5と、圧縮機の吸入管に連結され、低圧の冷媒が流出する第2導管6に連通する開口部7を設け、この開口部7を挟んで両側に、熱交換機(不図示)への第3及び第4導管10、11に連通する2つの開口部12、13を配置し、椀状の弁体14が弁座15に摺動自在に設けられる。
【0016】
弁体14は、ナイロン等で形成され、
図2及び
図3に示すように、内側に流体の流通空間14aを形成する膨出部14bと、膨出部14bを囲繞し、弁座15上を摺動する鍔部14cとを有し、鍔部14cにおいて、弁座15と協働して密閉空間を形成するためのシール面14dを除く部分に多数の溝14eが弁体14の摺動方向に延設される。膨出部14bの下部の相対向する内面には、膨出部14bの機械的強度を増強するための補強ピン14fが装着される。
【0017】
弁座15は、真鍮等で形成され、
図1に示すように、弁本体2の内部において第2乃至第4導管6、10、11の各々に連通する開口部7、12、13を有する。
【0018】
弁本体2の内部には、弁座15と栓体2aとの間にピストン16が、弁座15と栓体2bとの間にピストン17が設けられ、ピストン16、17の間に、高圧室18が形成される。ピストン16、17は、連結板19によって一体的に移動可能に連結される。ピストン16と栓体2aとの間に形成された作動室20と、ピストン17と栓体2bとの間に形成された作動室21とは、導管を介して四方切換パイロット弁(不図示)に連結されている。パイロット弁が、作動室20、21の間に介在することにより、作動室20、21のいずれか一方が導管を介して高圧側の第1導管4に連通するとき、他方の作動室が導管を介して低圧側の第2導管6に連通するように構成される。
【0019】
上記構成を有する四方切換弁1は、例えば、
図1に示す冷房時において、第1導管4から第3導管10へ圧縮機からの高圧の冷媒が流れ、第4導管11から第2導管6に低圧の冷媒が流れる。
【0020】
冷房から暖房に切り換えるには、例えば、パイロット弁に通電励磁することにより、作動室21の圧力が徐々に低下し、高圧室18内の圧力によってピストン17も徐々に栓体2b側に移動し、栓体2bに衝撃を与えずに栓体2bまでピストン17が到達する。これにより、弁体14が右方へ移動して開口部7と開口部12とを覆い、冷媒の流れが反対になって暖房運転となる。
【0021】
上記冷房から暖房への切換え、及びその逆の動作において、弁体14が弁座15上を摺動するが、弁体14のシール面14dを除く当接面に、弁体14の摺動方向に多数の溝14eを延設したため、弁体14と弁座15の当接面に冷媒に含まれる潤滑油を導入し易くなる。これによって、弁体14と弁座15の当接面に油膜を確保することができ、両者間の吸着を防ぎ、異音の発生を防止することができる。また、弁体14のシール面14dには、溝14eを形成していないため、弁体14と弁座15との間のシール性を低下させることなく、冷媒の漏れを防止することができる。
【0022】
次に、上記弁体14の他の例について、
図4及び
図5を参照しながら説明する。
【0023】
図4に示す弁体24は、
図2に示した弁体14と同様、ナイロン等で形成され、内側に流体の流通空間24aを形成する膨出部24bと、膨出部24bを囲繞し、弁座15上を摺動する鍔部24cとを有し、鍔部24cのシール面24dを除く部分に多数の溝24eが弁体24の摺動方向に延設され、膨出部24bの下部の相対向する内面に補強ピン24fが装着される。
【0024】
この弁体24の弁体14と異なる点は、鍔部24cの下方の角部24gを曲面状に面取りした点である。これにより、面取りした角部24gを介して弁体24の溝24eに潤滑油を導入し易くなり、弁体24と弁座15の当接面に油膜を確保して両者間の吸着を防ぎ、異音の発生をより確実に防止することができる。
【0025】
図5に示す弁体34は、
図2に示した弁体14及び上記弁体24と同様、ナイロン等で形成され、内側に流体の流通空間34aを形成する膨出部34bと、膨出部34bを囲繞し、弁座15上を摺動する鍔部34cとを有し、鍔部34cのシール面34dを除く部分に多数の溝34eが弁体34の摺動方向に延設され、膨出部34bの下部の相対向する内面に補強ピン34fが装着される。
【0026】
この弁体34の弁体14及び弁体24と異なる点は、鍔部34cの下方の角部34gを平面状に面取りした点である。これにより、面取りした角部34gを介して弁体34の溝34eに潤滑油を導入し易くなり、弁体34と弁座15の当接面に油膜を確保して両者間の吸着を防ぎ、異音の発生をより確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 四方切換弁
2 弁本体
2a 栓体
2b 栓体
4 第1導管
5 開口部
6 第2導管
7 開口部
10 第3導管
11 第4導管
12、13 開口部
14 弁体
14a 流通空間
14b 膨出部
14c 鍔部
14d シール面
14e 溝
14f 補強ピン
15 弁座
16、17 ピストン
18 高圧室
19 連結板
20、21 作動室
24 弁体
24a 流通空間
24b 膨出部
24c 鍔部
24d シール面
24e 溝
24f 補強ピン
24g 角部
34 弁体
34a 流通空間
34b 膨出部
34c 鍔部
34d シール面
34e 溝
34f 補強ピン
34g 角部