(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、連続して前記レジストローラへと搬送する印刷媒体の給紙元を前記第1給紙部から前記第2給紙部へと切り替えるとき、前記レジストローラが前記印刷部へと搬送する印刷媒体の間隔が所定値となる前記レジストローラの駆動スケジュールに応じて、前記第1搬送ローラによるアシスト動作を終了させるタイミングを決定することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
前記制御部は、連続して前記レジストローラへと搬送する印刷媒体の給紙元を前記第1給紙部から前記第2給紙部へと切り替えるとき、第1搬送ローラによるアシスト動作において、印刷媒体の後端が前記第1搬送ローラを抜ける前に前記駆動部を停止させてアシスト動作を終了させる生産性重視モードと、印刷媒体の後端が前記第1搬送ローラを抜けると前記駆動部を停止させてアシスト動作を終了させる静音性重視モードとを選択可能であり、印刷ジョブに応じて、生産性重視モードおよび静音性重視モードのいずれかを選択することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の印刷装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0019】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に係る印刷装置の概略構成図、
図2は、
図1に示す印刷装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【0021】
図1において太線で示す経路が、印刷媒体である用紙Pが搬送される搬送経路である。搬送経路のうち、実線で示す経路が内部給紙経路RS1、一点鎖線で示す経路が外部給紙経路RS2、破線で示す経路が印刷経路RCである。
図1中の搬送経路に沿う矢印で示す方向が用紙Pの搬送方向である。以下の説明における上流、下流は、搬送経路における上流、下流を意味する。
図1の紙面に直交する方向を前後方向とし、紙面表方向を前方とする。また、
図1に示すように、前方から見て、上下左右を上下左右方向とする。
【0022】
図1、
図2に示すように、本実施の形態に係る印刷装置1は、給紙部2と、印刷部3と、操作入力部4と、制御部5とを備える。
【0023】
給紙部2は、用紙Pの給紙を行う。給紙部2は、内部給紙部11と、外部給紙部12と、レジストローラ13と、内部給紙モータ14と、中間搬送モータ15と、レジストモータ16とを備える。
【0024】
内部給紙部11は、レジストローラ13へと用紙Pを搬送する。内部給紙部11は、印刷装置1の筐体(図示せず)の内部に配置されている。内部給紙部11は、複数の内部給紙台21と、複数の内部給紙ローラ22と、複数の縦搬送ローラ23と、中間搬送ローラ24と、用紙センサ25とを備える。内部給紙部11は、請求項の第1給紙部に相当する。
【0025】
内部給紙台21は、印刷に用いられる用紙Pが積載されるものである。内部給紙台21は、印刷部3の下方に配置されている。
【0026】
内部給紙ローラ22は、内部給紙台21から用紙Pを1枚ずつピックアップし、内部給紙経路RS1へと送り出す。内部給紙ローラ22は、内部給紙台21の上側に設けられている。
【0027】
縦搬送ローラ23は、内部給紙台21から取り出された用紙Pを中間搬送ローラ24へと搬送する。縦搬送ローラ23は、内部給紙経路RS1に沿って配置されている。
【0028】
中間搬送ローラ24は、複数の内部給紙台21のいずれかから取り出されて内部給紙経路RS1に沿って搬送されてきた用紙Pを受け取ってレジストローラ13へと搬送する。また、中間搬送ローラ24は、レジストローラ13の動作時にアシスト動作を行う。アシスト動作は、レジストローラ13による用紙の搬送をアシスト(補助)する動作である。中間搬送ローラ24は、レジストローラ13と同期した動作によりレジストローラ13をアシストする。中間搬送ローラ24は、内部給紙経路RS1の下流部に配置されている。中間搬送ローラ24は、請求項の第1搬送ローラに相当する。
【0029】
用紙センサ25は、中間搬送ローラ24の下流側近傍において、用紙Pを検出し、検出信号を制御部5へ出力する。用紙センサ25は、発光素子および受光素子を有する光学式センサからなる。
【0030】
外部給紙部12は、レジストローラ13へと用紙Pを搬送する。外部給紙部12は、外部給紙台31と、外部給紙ローラ32とを備える。外部給紙部12は、請求項の第2給紙部に相当する。
【0031】
外部給紙台31は、印刷に用いられる用紙Pが積載されるものである。外部給紙台31は、一部が印刷装置1の筐体(図示せず)の外部に露出して設置されている。
【0032】
外部給紙ローラ32は、外部給紙台31から用紙Pを1枚ずつピックアップするとともに、外部給紙経路RS2に沿ってレジストローラ13へと用紙Pを搬送する。外部給紙ローラ32は、外部給紙台31の上側に配置されている。外部給紙ローラ32は、請求項の第2搬送ローラに相当する。
【0033】
レジストローラ13は、内部給紙部11または外部給紙部12から搬送されてきた用紙Pを一旦止め、用紙Pにたるみが形成された後、印刷部3に向けて搬送する。レジストローラ13は、用紙1枚ごとに間欠的に動作する。レジストローラ13は、内部給紙経路RS1と外部給紙経路RS2との合流地点の近傍の印刷経路RC上に配置されている。
【0034】
内部給紙モータ14は、複数の内部給紙ローラ22および複数の縦搬送ローラ23を駆動させる。内部給紙モータ14は、図示しないクラッチにより各内部給紙ローラ22および各縦搬送ローラ23に接続/解除可能になっている。クラッチにより、駆動する内部給紙ローラ22、縦搬送ローラ23が切り替えられる。
【0035】
中間搬送モータ15は、中間搬送ローラ24および外部給紙ローラ32を選択的に駆動させる。具体的には、中間搬送モータ15は、正転駆動により外部給紙ローラ32を駆動させ、逆転駆動により中間搬送ローラ24を駆動させる。中間搬送モータ15と中間搬送ローラ24との間、および中間搬送モータ15と外部給紙ローラ32との間には、それぞれワンウェイクラッチが設けられている。これにより、中間搬送モータ15が正転駆動により外部給紙ローラ32を駆動させているときは、中間搬送ローラ24は駆動されない。また、中間搬送モータ15が逆転駆動により中間搬送ローラ24を駆動させているときは、外部給紙ローラ32は駆動されない。中間搬送モータ15は、請求項の駆動部に相当する。
【0036】
レジストモータ16は、レジストローラ13を駆動させる。
【0037】
印刷部3は、給紙された用紙Pを搬送しつつ、用紙Pに印刷を行う。印刷部3は、レジストローラ13の下流側に配置されている。印刷部3は、ベルト搬送部41と、インクジェットヘッド部42と、ベルトモータ43とを備える。
【0038】
ベルト搬送部41は、レジストローラ13から搬送されてきた用紙Pをベルト上に吸着保持して搬送する。
【0039】
インクジェットヘッド部42は、用紙Pの搬送方向と略直交する方向(前後方向)に複数のノズルが配列されたラインタイプの複数のインクジェットヘッド(図示せず)を有する。インクジェットヘッド部42は、ベルト搬送部41の上方に配置されている。インクジェットヘッド部42は、ベルト搬送部41により搬送される用紙Pにインクジェットヘッドからインクを吐出して画像を印刷する。
【0040】
ベルトモータ43は、ベルト搬送部41のベルトが掛け渡されたローラを駆動させる。これにより、ベルト搬送部41のベルトが回転する。
【0041】
操作入力部4は、ユーザの入力操作を受け付けるものである。操作入力部4は、ユーザが各種の入力操作を行うための操作ボタン、タッチパネル等を備える。
【0042】
制御部5は、印刷装置1全体の動作を制御する。制御部5は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えて構成される。本実施の形態において、制御部5は、生産性重視モードまたは静音性重視モードを選択可能である。生産性重視モード、静音性重視モードは、例えば、ユーザが操作入力部4を操作することにより選択可能である。
【0043】
生産性重視モードは、連続してレジストローラ13へと搬送する用紙Pの給紙元を内部給紙部11から外部給紙部12へと切り替える際の、中間搬送ローラ24のアシスト動作による時間のロスを抑えて生産性の低下を抑えるモードである。具体的には、生産性重視モードでは、制御部5は、連続して給紙する用紙Pの給紙元を内部給紙部11から外部給紙部12へと切り替えるとき、中間搬送ローラ24によるアシスト動作において、用紙Pの後端が中間搬送ローラ24を抜ける前にアシスト動作を終了させる。
【0044】
静音性重視モードは、用紙Pのバックテンションによる紙張り音を抑えることを重視するモードである。静音性重視モードでは、制御部5は、連続する用紙Pの給紙元を内部給紙部11から外部給紙部12へと切り替えるとき、生産性重視モードとは異なり、用紙Pの後端が中間搬送ローラ24を抜けると中間搬送ローラ24によるアシスト動作を終了させる。
【0045】
次に、印刷装置1の動作について説明する。
【0046】
印刷ジョブが入力されると、制御部5は、内部給紙部11または外部給紙部12からの給紙を開始させる。内部給紙部11または外部給紙部12から送り出された用紙Pがレジストローラ13に突き当てられ、用紙Pに所定量のたるみが形成されると、制御部5は、レジストローラ13を駆動させ、印刷部3へと用紙Pを搬送させる。印刷部3では、ベルト搬送部41により用紙Pを搬送しつつ、インクジェットヘッド部42からインクを吐出して用紙Pに画像を印刷する。
【0047】
印刷装置1では、給紙時において、中間搬送ローラ24および外部給紙ローラ32がレジストローラ13の動作をアシストするアシスト動作を行う。以下、アシスト動作を含む給紙制御について説明する。
【0048】
まず、外部給紙部12から給紙を行う場合の給紙制御について、
図3のタイムチャート図を参照して説明する。
図3において、上段は、レジストローラ13による搬送速度の推移を示し、下段は、外部給紙ローラ32による搬送速度の推移を示す。
【0049】
外部給紙部12から給紙を行う際、
図3に示すように、まず、制御部5は、中間搬送モータ15を正転駆動開始させることにより、外部給紙ローラ32を駆動開始させる。外部給紙ローラ32による搬送速度が所定の搬送速度V1に達すると、制御部5は、搬送速度V1を所定時間だけ維持させた後、中間搬送モータ15を停止させる。これにより、外部給紙ローラ32が停止する。外部給紙ローラ32は、時刻t1〜t2の駆動期間において、用紙Pを外部給紙台31からピックアップし、用紙Pをレジストローラ13に突き当てて所定量のたるみを形成させる。
【0050】
外部給紙ローラ32の停止後、時刻t3において、制御部5は、レジストモータ16を駆動開始させることにより、レジストローラ13を駆動開始させる。レジストローラ13による搬送速度が所定の搬送速度V2に達すると、制御部5は、搬送速度V2を所定時間だけ維持させた後、搬送速度V3へと減速させる。搬送速度V3はベルト搬送部41による搬送速度と略同じ速度である。その後、制御部5は、レジストローラ13の搬送速度V3を維持させ、用紙Pの後端がレジストローラ13を抜けたタイミングで、レジストモータ16を停止させる。これにより、レジストローラ13が停止する。
【0051】
一方、レジストローラ13の駆動開始と同時に、制御部5は、外部給紙ローラ32によるアシスト動作を開始させる。具体的には、時刻t3において、制御部5は、中間搬送モータ15を正転駆動開始させることにより、外部給紙ローラ32を駆動開始させる。その後、レジストローラ13の搬送速度V2への加速が終了し、用紙Pのたるみが吸収されるタイミング、あるいはたるみが吸収された後一定量搬送したタイミングで、制御部5は、中間搬送モータ15の減速を開始し、その後停止させる。これにより、外部給紙ローラ32が停止する。制御部5は、外部給紙ローラ32が停止する時刻t4の時点において、用紙Pの後端が外部給紙ローラ32を抜けていないように、外部給紙ローラ32によるアシスト動作を制御する。これは、外部給紙ローラ32が誤って次の用紙Pを搬送することを防止するためである。
【0052】
以上により1枚の用紙Pが外部給紙部12からレジストローラ13を介して印刷部3へと送られる。外部給紙部12から連続して給紙を行う場合は、
図3に示すように、制御部5は、上述した外部給紙ローラ32およびレジストローラ13の駆動制御を繰り返す。ここで、後続の用紙Pをピックアップして搬送するために外部給紙ローラ32の駆動を開始する時刻t5は、当該用紙Pに対応するレジストローラ13の駆動開始時刻t6に応じて決定される。時刻t6は、レジストローラ13により印刷部3へと搬送される先行の用紙Pと後続の用紙Pとの紙間(間隔)が所定値となるようにするための駆動開始時刻として決定される。紙間は、先行の用紙Pの後端と後続の用紙Pの先端との間の距離である。
【0053】
次に、内部給紙部11から給紙を行う場合の給紙制御について、
図4のタイムチャート図を参照して説明する。
図4において、上段は、レジストローラ13による搬送速度の推移を示し、下段は、中間搬送ローラ24による搬送速度の推移を示す。
【0054】
内部給紙部11から給紙を行う際、まず、制御部5は、印刷に使用する用紙Pが積載された内部給紙台21に対応する内部給紙ローラ22および縦搬送ローラ23をクラッチ(図示せず)により内部給紙モータ14に接続させる。その後、制御部5は、内部給紙モータ14を駆動開始させる。これにより、内部給紙ローラ22が内部給紙台21から用紙Pをピックアップし、内部給紙ローラ22および縦搬送ローラ23が用紙Pを中間搬送ローラ24に向けて搬送する。
【0055】
内部給紙ローラ22および縦搬送ローラ23により搬送される用紙Pが中間搬送ローラ24に到達する前の時刻t11において、制御部5は、中間搬送モータ15を逆転駆動開始させることにより、中間搬送ローラ24を駆動開始させる。中間搬送ローラ24による搬送速度が所定の搬送速度V4に達すると、制御部5は、搬送速度V4を所定時間だけ維持させた後、中間搬送モータ15を停止させる。これにより、中間搬送ローラ24が停止する。中間搬送ローラ24は、時刻t11〜t12の駆動期間において、用紙Pを受け取ってレジストローラ13へと搬送し、用紙Pをレジストローラ13に突き当てて所定量のたるみを形成させる。
【0056】
中間搬送ローラ24の停止後、時刻t13において、制御部5は、レジストモータ16を駆動開始させることにより、レジストローラ13を駆動開始させる。レジストローラ13による搬送速度が搬送速度V2に達すると、制御部5は、搬送速度V2を所定時間だけ維持させた後、搬送速度V3へと減速させる。その後、制御部5は、レジストローラ13の搬送速度V3を維持させ、用紙Pの後端がレジストローラ13を抜けたタイミングで、レジストモータ16を停止させる。これにより、レジストローラ13が停止する。
【0057】
一方、レジストローラ13の駆動開始と同時に、制御部5は、中間搬送ローラ24によるアシスト動作を開始させる。具体的には、時刻t13において、制御部5は、中間搬送モータ15を逆転駆動開始させることにより、中間搬送ローラ24を駆動開始させる。その後、制御部5は、レジストローラ13と同様に、中間搬送ローラ24による搬送速度が搬送速度V2に達すると、搬送速度V2を所定時間だけ維持させた後、搬送速度V3へと減速させる。そして、用紙Pの後端が中間搬送ローラ24を抜けると、その時刻t14において、制御部5は、中間搬送モータ15の停止制御を開始し、中間搬送モータ15を停止させる。これにより、中間搬送ローラ24が停止する。ここで、制御部5は、用紙センサ25により用紙Pの後端が検出されると、用紙Pの後端が中間搬送ローラ24を抜けたと判断する。
【0058】
以上により1枚の用紙Pが内部給紙部11からレジストローラ13を介して印刷部3へと送られる。上述のように、中間搬送ローラ24は、用紙Pの後端が中間搬送ローラ24を抜けるまで、レジストローラ13と同期した動作によりレジストローラ13をアシストする。これにより、用紙Pの後端が中間搬送ローラ24を抜けるまで、レジストローラ13および中間搬送ローラ24が用紙Pのたるみを維持しつつ用紙Pを搬送する。
【0059】
内部給紙部11から連続して給紙を行う場合は、
図5に示すように、制御部5は、用紙Pの後端が中間搬送ローラ24を抜けた時刻t14において、中間搬送ローラ24による搬送速度の加速を開始させ、搬送速度V4まで加速させる。そして、制御部5は、搬送速度V4を所定時間だけ維持させた後、中間搬送ローラ24を停止させる。これにより、中間搬送ローラ24が、後続の用紙Pを受け取り、レジストローラ13に突き当てて所定量のたるみを形成させる。
【0060】
その後、時刻t15において、制御部5は、レジストローラ13の駆動および中間搬送ローラ24によるアシスト動作を開始させる。これにより、レジストローラ13および中間搬送ローラ24が、後続の用紙Pのたるみを維持しつつ用紙Pを搬送する。ここで、時刻t15は、前述の外部給紙部12からの給紙の場合と同様に、レジストローラ13により印刷部3へと搬送される先行の用紙Pと後続の用紙Pとの紙間が所定値となるようにするための駆動開始時刻として決定される。
【0061】
なお、内部給紙部11から連続して給紙を行う場合において、給紙元の内部給紙台21を切り替えることがあるが、この場合も、上述した制御が行われる。この場合、給紙元の内部給紙台21が切り替わることで用紙Pのサイズが変わると、レジストローラ13および中間搬送ローラ24の駆動時間が変わる。
【0062】
次に、連続して印刷する用紙Pの給紙元を内部給紙部11と外部給紙部12との間で切り替える場合の給紙制御について説明する。
【0063】
印刷装置1において、例えば、印刷に用いる用紙として複数種類の用紙が混在する印刷ジョブを実行する場合、連続して印刷する用紙Pの給紙元を内部給紙部11と外部給紙部12との間で切り替えることがある。制御部5は、給紙元を内部給紙部11から外部給紙部12へと切り替える際、生産性重視モードと静音性重視モードとで異なる制御を行う。
【0064】
まず、静音性重視モードにおける給紙制御について、
図6のタイムチャート図を参照して説明する。
図6において、上段は、レジストローラ13による搬送速度の推移を示し、中段は、外部給紙ローラ32による搬送速度の推移を示し、下段は、中間搬送ローラ24による搬送速度の推移を示す。
図6において、1枚目および3枚目の給紙元が外部給紙部12であり、2枚目の給紙元が内部給紙部11である。
【0065】
図6に示すように、まず、制御部5は、1枚目の給紙のため、
図3と同様に外部給紙ローラ32およびレジストローラ13を駆動させる。1枚目の給紙時の外部給紙ローラ32によるアシスト動作の終了後、時刻t21において、制御部5は、2枚目の給紙のため、中間搬送モータ15を逆転駆動開始させることにより、中間搬送ローラ24を駆動開始させる。その後、制御部5は、
図4と同様にレジストローラ13および中間搬送ローラ24を駆動させる。ここで、2枚目の用紙Pを搬送するためのレジストローラ13の駆動開始時刻t23は、印刷部3へと搬送される1枚目の用紙Pと2枚目の用紙Pとの紙間が所定値となるように決定されるものである。
【0066】
2枚目の用紙Pの後端が中間搬送ローラ24を抜けると、その時刻t24において、制御部5は、中間搬送モータ15の停止制御を開始する。そして、中間搬送モータ15が停止することにより中間搬送ローラ24が停止した時刻t25において、制御部5は、中間搬送モータ15を正転駆動開始させることにより、外部給紙ローラ32の駆動を開始させる。これにより、3枚目の用紙Pの外部給紙台31からのピックアップおよび搬送が開始される。その後、制御部5は、
図3と同様に外部給紙ローラ32およびレジストローラ13を駆動させる。
【0067】
次に、生産性重視モードにおける給紙制御について、
図7のタイムチャート図を参照して説明する。
図7は、
図6と同様の1〜3枚目の給紙を生産性重視モードで行う場合のタイムチャート図である。
【0068】
図6に示した静音性重視モードの給紙制御では、上述のように、制御部5は、2枚目の用紙Pの後端が中間搬送ローラ24を抜けると中間搬送モータ15の逆転駆動を停止させる。そして、制御部5は、中間搬送モータ15が停止することにより中間搬送ローラ24が停止した時刻t25において、中間搬送モータ15の正転駆動を開始させて外部給紙ローラ32を駆動開始させる。
【0069】
これに対し、生産性重視モードでは、
図7に示すように、2枚目の用紙Pの後端が中間搬送ローラ24を抜ける前の時刻t31において、制御部5は、中間搬送モータ15の停止制御を開始する。そして、中間搬送モータ15が停止することにより中間搬送ローラ24が停止した時刻t32において、制御部5は、中間搬送モータ15を正転駆動開始させることにより、外部給紙ローラ32を駆動開始させる。これにより、3枚目の用紙Pの外部給紙台31からのピックアップおよび搬送が開始される。その後、制御部5は、
図3と同様に外部給紙ローラ32およびレジストローラ13を駆動させる。
【0070】
中間搬送ローラ24が停止した時刻t32の時点において、2枚目の用紙Pの後部は中間搬送ローラ24にニップされた状態であるが、レジストローラ13による用紙Pの搬送により、中間搬送ローラ24は連れ回りする。これにより、2枚目の用紙Pは中間搬送ローラ24を抜け、レジストローラ13により印刷部3へと送られる。
【0071】
ここで、3枚目の用紙Pを搬送するためのレジストローラ13の駆動開始時刻t33は、印刷部3へと搬送される2枚目の用紙Pと3枚目の用紙Pとの紙間が、1枚目の用紙Pと2枚目の用紙Pとの紙間と同じ所定値となるように決定されるものである。このように、生産性重視モードでは、給紙元を内部給紙部11から外部給紙部12へと切り替えるときでも、印刷部3へと搬送する用紙Pの紙間が所定値となるようにレジストローラ13の駆動スケジュールが決定される。
【0072】
レジストローラ13の駆動開始時刻t33に対し、制御部5は、外部給紙ローラ32が用紙Pをピックアップして搬送し、レジストローラ13に突き当てて所定量のたるみを形成させるための駆動開始時刻として、時刻t32を決定する。さらに、制御部5は、時刻t32で外部給紙ローラ32を駆動開始させる、すなわち中間搬送モータ15を正転駆動開始させるために、中間搬送ローラ24によるアシスト動作における中間搬送モータ15の逆転駆動の停止制御を開始する時刻t31を決定する。
【0073】
上述のように、生産性重視モードでは、制御部5は、印刷部3へと搬送される2枚目の用紙Pと3枚目の用紙Pとの紙間が、1枚目の用紙Pと2枚目の用紙Pとの紙間と同じになるように給紙制御を行う。すなわち、
図7に示すように、レジストローラ13における1枚目搬送時の停止時刻t22と2枚目搬送時の駆動開始時刻t23との間の時間と、2枚目搬送時の停止時刻t26と3枚目搬送時の駆動開始時刻t33との間の時間とを、同じ時間Tg1とする。
【0074】
一方、静音性重視モードでは、前述のように、2枚目に対する中間搬送ローラ24によるアシスト動作において、用紙Pの後端が中間搬送ローラ24を抜けるまでアシスト動作を継続する。このため、3枚目の給紙のための外部給紙ローラ32の駆動開始が、生産性重視モードの場合よりも遅れる。この結果、
図6に示すように、レジストローラ13における2枚目搬送時の停止時刻t26と3枚目搬送時の駆動開始時刻t27との間の時間Tg2が、時間Tg1よりも長くなる。すなわち、静音性重視モードでは、生産性重視モードに対し、用紙Pの給紙元を内部給紙部11から外部給紙部12へと切り替える際に、(Tg2−Tg1)だけ時間のロスが生じる。
【0075】
しかしながら、静音性重視モードでは、2枚目の用紙Pの後端が中間搬送ローラ24を抜けるまで、用紙Pのたるみが維持されるので、レジストローラ13と中間搬送ローラ24との間では用紙Pにバックテンションは生じない。このため、紙張り音(騒音)および搬送不良の発生が抑えられる。これに対し、生産性重視モードでは、2枚目の用紙Pの後端が中間搬送ローラ24を抜ける前に中間搬送ローラ24によるアシスト動作を終了するため、用紙Pにバックテンションが生じる可能性がある。ただし、生産性重視モードの2枚目の給紙時においても中間搬送ローラ24によるアシスト動作は行うため、紙張り音および搬送不良を低減する効果はある。
【0076】
なお、1枚目と2枚目との間で給紙元を外部給紙部12から内部給紙部11へと切り替える際は、
図6の静音性重視モード、
図7の生産性重視モードともに、外部給紙ローラ32によるアシスト動作の終了後、時刻t21で中間搬送ローラ24の駆動を開始している。外部給紙ローラ32によるアシスト動作は短時間で終了するため、生産性に影響を与えることなく、次の用紙Pの給紙のための中間搬送ローラ24の駆動を開始できる。外部給紙ローラ32によるアシスト動作を短時間で終了させるのは、前述のように、外部給紙ローラ32が誤って次の用紙Pを搬送することを防止するためである。
【0077】
次に、中間搬送ローラ24によるアシスト動作の制御処理について、
図8のフローチャートを参照して説明する。
【0078】
図8のフローチャートの処理は、内部給紙部11からの給紙において、用紙Pをレジストローラ13に突き当てて所定量のたるみを形成させるための中間搬送ローラ24の駆動が終了したことにより開始となる。
【0079】
図8のステップS10において、制御部5は、中間搬送ローラ24によるアシスト動作の開始タイミングになったか否かを判断する。アシスト動作の開始タイミングは、レジストローラ13の駆動開始タイミングと同時である。アシスト動作の開始タイミングになっていないと判断した場合(ステップS10:NO)、制御部5は、ステップS10を繰り返す。
【0080】
アシスト動作の開始タイミングになったと判断した場合(ステップS10:YES)、ステップS20において、制御部5は、中間搬送モータ15の逆転駆動を開始させる。これにより、中間搬送ローラ24が駆動を開始する。また、制御部5は、レジストモータ16によるレジストローラ13の駆動も開始させる。この後、制御部5は、
図4等に示したように、中間搬送ローラ24をレジストローラ13と同期して駆動させる。これにより、用紙Pは、中間搬送ローラ24によりアシストされつつレジストローラ13により搬送される。
【0081】
次いで、ステップS30において、制御部5は、レジストローラ13および中間搬送ローラ24により搬送中の用紙Pが、今回の印刷における最後の用紙であるか否かを判断する。
【0082】
最後の用紙ではないと判断した場合(ステップS30:NO)、ステップS40において、制御部5は、次の用紙Pが外部給紙部12からの給紙であるか否かを判断する。
【0083】
次の用紙Pが外部給紙部12からの給紙であると判断した場合(ステップS40:YES)、ステップS50において、制御部5は、生産性重視モードが選択されているか否かを判断する。
【0084】
生産性重視モードが選択されていると判断した場合(ステップS50:YES)、ステップS60において、制御部5は、中間搬送ローラ24によるアシスト動作を終了させるタイミングを決定する。これは、前述の
図7における時刻t32を決定することに相当する。すなわち、印刷部3へと搬送される現在の用紙Pと次の用紙Pとの紙間が所定値となるレジストローラ13の駆動開始タイミング(
図7の時刻t33に相当)から逆算して、現在の用紙Pに対する中間搬送ローラ24によるアシスト動作を終了させるタイミング(
図7の時刻t32に相当)を決定する。そして、制御部5は、中間搬送ローラ24によるアシスト動作を終了させるタイミングで中間搬送モータ15を停止させるための停止制御を開始するタイミング(
図7の時刻t31に相当)を決定する。
【0085】
次いで、ステップS70において、制御部5は、中間搬送ローラ24によるアシスト動作を終了させるタイミングで中間搬送モータ15を停止させるための停止制御を開始するタイミングになったか否かを判断する。中間搬送モータ15の停止制御を開始するタイミングになっていないと判断した場合(ステップS70:NO)、制御部5は、ステップS70を繰り返す。
【0086】
中間搬送モータ15の停止制御を開始するタイミングになったと判断した場合(ステップS70:YES)、ステップS80において、制御部5は、中間搬送モータ15の停止制御を行う。これは、
図7の時刻t31において中間搬送モータ15の停止制御を開始し、時刻t32において停止させることに相当する。これにより、中間搬送ローラ24が停止し、アシスト動作が終了する。
【0087】
一方、ステップS50において、静音性重視モードが選択されていると判断した場合(ステップS50:NO)、ステップS90において、制御部5は、用紙Pの後端が中間搬送ローラ24を抜けたか否かを判断する。ここで、制御部5は、用紙センサ25により用紙Pの後端が検出されると、用紙Pの後端が中間搬送ローラ24を抜けたと判断する。用紙Pの後端が中間搬送ローラ24を抜けていないと判断した場合(ステップS90:NO)、制御部5は、ステップS90を繰り返す。
【0088】
用紙Pの後端が中間搬送ローラ24を抜けたと判断した場合(ステップS90:YES)、ステップS80において、制御部5は、中間搬送モータ15の停止制御を行う。これは、
図6の時刻t24において中間搬送モータ15の停止制御を開始し、時刻t25において停止させることに相当する。これにより、中間搬送ローラ24が停止し、アシスト動作が終了する。
【0089】
ステップS40において、次の用紙Pが内部給紙部11からの給紙であると判断した場合(ステップS40:NO)、ステップS100において、制御部5は、用紙Pの後端が中間搬送ローラ24を抜けたか否かを判断する。用紙Pの後端が中間搬送ローラ24を抜けていないと判断した場合(ステップS100:NO)、制御部5は、ステップS100を繰り返す。
【0090】
用紙Pの後端が中間搬送ローラ24を抜けたと判断した場合(ステップS100:YES)、ステップS110において、制御部5は、中間搬送ローラ24による搬送速度をアシスト動作時の速度から次の用紙の搬送用の速度へと変更するために中間搬送モータ15の加速を開始させる。これは、
図5の時刻t14において搬送速度V3から搬送速度V4への加速を開始させることに相当する。これにより、中間搬送ローラ24によるアシスト動作が終了する。
【0091】
ステップS30において、最後の用紙であると判断した場合(ステップS30:YES)、制御部5は、ステップS90へと進み、以降の処理を行ってアシスト動作を終了する。
【0092】
以上説明したように、印刷装置1では、生産性重視モードにおいて、給紙元を内部給紙部11から外部給紙部12へと切り替えるとき、中間搬送ローラ24によるアシスト動作において、用紙Pの後端が中間搬送ローラ24を抜ける前に中間搬送モータ15を停止させてアシスト動作を終了させる。これにより、印刷装置1は、給紙元を内部給紙部11から外部給紙部12へと切り替える際の、外部給紙部12からの給紙の開始の遅れを低減することで、給紙元の切り替えによる時間のロスを低減できる。よって、印刷装置1は、中間搬送ローラ24によるアシスト動作により用紙Pに生じるバックテンションによる騒音(紙張り音)を低減するとともに搬送不良を低減しつつ、印刷物の生産性の低下を抑制することができる。
【0093】
具体的には、印刷装置1では、生産性重視モードにおいて、給紙元を内部給紙部11から外部給紙部12へと切り替えるとき、レジストローラ13が印刷部3へと搬送する用紙Pの紙間(間隔)が所定値となるようなレジストローラ13の駆動スケジュールに応じて、中間搬送ローラ24によるアシスト動作を終了させるタイミングを決定する。これにより、生産性重視モードでは、内部給紙部11から外部給紙部12への給紙元の切り替えがある場合でも、一定の紙間で印刷部3へと用紙Pを搬送できる。この結果、印刷装置1は、生産性重視モードにおいて、中間搬送ローラ24によるアシスト動作により騒音および搬送不良を低減しつつ、印刷物の生産性を維持できる。
【0094】
なお、静音性重視モードを省略してもよい。また、生産性重視モードにおいて、給紙元を内部給紙部11から外部給紙部12へと切り替えるとき、中間搬送ローラ24によるアシスト動作を省略するようにしてもよい。
【0095】
また、制御部5が、印刷ジョブに応じて、生産性重視モードまたは静音性重視モードを選択するようにしてもよい。例えば、用紙Pに生じるバックテンションによる紙張り音の大きさは、用紙Pの種類やサイズにより異なる。そこで、例えば、内部給紙部11から外部給紙部12への給紙元の切り替えがあり、内部給紙部11から給紙する用紙Pの種類が、紙張り音が大きい種類である印刷ジョブを実行する際、制御部5が、静音性重視モードを自動的に選択するようにしてもよい。また、例えば、所定枚数以上の印刷を行う印刷ジョブの場合は、制御部5が、生産性重視モードを自動的に選択するようにしてもよい。これにより、印刷装置1は、印刷ジョブに適した給紙を実行できる。
【0096】
また、例えば、外部給紙部12を複数有し、複数の外部給紙部12の外部給紙ローラ32と、内部給紙部11の中間搬送ローラ24とを、1つの中間搬送モータ15で選択的に駆動させる構成の印刷装置にも本発明は適用可能である。
【0097】
本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。