特許第5997510号(P5997510)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5997510
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】操作装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/22 20060101AFI20160915BHJP
   E03C 1/23 20060101ALI20160915BHJP
   A47K 1/14 20060101ALI20160915BHJP
【FI】
   E03C1/22 C
   E03C1/23 Z
   A47K1/14 B
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-129489(P2012-129489)
(22)【出願日】2012年6月7日
(65)【公開番号】特開2013-253422(P2013-253422A)
(43)【公開日】2013年12月19日
【審査請求日】2015年5月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】392028767
【氏名又は名称】株式会社日本アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】堀田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】太田 慎一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 智哉
【審査官】 藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−248687(JP,A)
【文献】 特開2004−019393(JP,A)
【文献】 特開2012−036708(JP,A)
【文献】 特開2006−307544(JP,A)
【文献】 特開平09−209429(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12 − 1/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周側に突出し槽体又はこの近傍の構造物である取付対象物の表面上に配置される鍔部を一端部に有し、自身の一部が前記取付対象物の貫通孔に挿通される筒状のガイド部材と、
前記ガイド部材の内周に配置される操作ボタンと、
前記操作ボタンを往復移動可能な状態で支持する支持軸を有してなる操作機構と、
前記ガイド部材と直接又は間接的に接続され、前記操作機構を保持する継手機構とを備える操作装置であって、
前記継手機構は、
自身の一端部が前記ガイド部材と直接又は間接的に接続される筒状の外筒部と、
自身の内周において前記操作機構を保持するとともに、自身の他端部に所定の配管が接続され、前記外筒部よりも内周側に位置する筒状の内筒部と、
前記外筒部の他端部及び前記内筒部の外周を連接する鍔状の連接部とを有し、
前記外筒部の他端部内周面、前記内筒部の一端部外周面、及び、これらを連接する前記連接部の内側面によって環状の空間が形成されるとともに、
前記内筒部のうち前記連接部の内側面が連接される部位には、前記環状の空間と前記内筒部の内周空間とを連通する通水路が設けられ、
前記連接部の内側面は、内周側に向けて前記内筒部の他端側に傾斜することを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記内筒部は、
前記連接部が連接される部位から一端側に向けて延び、自身の内周において前記操作機構を支持する複数の突起部と、
前記連接部が連接される部位から一端側に向けて延び、自身の内周に形成された爪部が前記操作機構に係止される小突起部とを有し、
前記突起部及び前記小突起部は周方向に沿って間欠的に設けられることを特徴とする請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記突起部の内周には、内周側に突出し、前記突起部の延出方向に沿って延びる支持面部が設けられるとともに、
前記操作機構の外周には、前記支持軸の中心軸方向に沿って延び、周方向に沿って交互に設けられた複数の凸部及び凹部が形成され、
前記操作機構は、前記凹部に対して前記支持面部が配置された状態で、前記突起部により支持され、
前記支持面部の内径が、前記凸部の外径よりも小さくされることを特徴とする請求項2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記支持面部、及び、前記凸部は、少なくとも前記突起部の基部近傍まで延びることを特徴とする請求項3に記載の操作装置。
【請求項5】
前記支持面部の内径と前記凹部の外径とは、ほぼ等しくされており、
前記支持面部、及び、前記凹部は、少なくとも前記突起部の基部近傍まで延びることを特徴とする請求項3又は4に記載の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水口に設けられた栓蓋を操作するための操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、栓蓋を遠隔操作し、排水口を開閉させるための操作装置として、押しボタン式のものが知られている。このような操作装置としては、所定の槽体(例えば、浴槽や洗面台など)やその近傍の構造物である取付対象物に設けられた操作ボタンと、操作ボタンを往復移動可能な状態で支持する支持軸を有してなる操作機構と、操作ボタンが内周に配置され操作ボタンの移動をガイドするガイド部材と、操作機構を保持し、ガイド部材に対して直接又は間接的に取付けられる継手機構とを備えたものが提案されている(例えば、特許文献1等参照)。また一般に、継手機構には、所定の配管が接続され、操作ボタンとガイド部材との間等から浸入した水は、前記配管へと入り込み、継手機構の外側などへと漏れないように構成されている。
【0003】
加えて、継手機構としては、自身の一端部が取付対象物に対して接続される筒状の外筒部と、自身の内周において操作機構を保持するとともに、自身の他端部外周に前記配管が接続され、外筒部よりも内周側に位置する筒状の内筒部と、外筒部の他端部及び内筒部の外周を連接する鍔状の連接部とを有する構成とすることが考えられる。しかしながら、このように継手機構を構成した場合、継手機構の内周には、外筒部の他端部内周面、内筒部の一端部外周面、及び、これらを連接する連接部の内側面によって環状の空間が形成されることとなる。そのため、前記環状の空間に対して、操作ボタンとガイド部材との間等から浸入した水が溜まり、衛生性の低下を招いてしまうおそれがある。そこで、内筒部のうち連接部の内側面が連接される部位に、前記環状の空間と内筒部の内周空間とを連通する通水路を設け、当該通水路を介して前記環状の空間に浸入した水を排出することで、衛生性の向上を図ることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−82731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記連接部を、継手機構の中心軸と直交する方向に向けて延びるように構成することが考えられるが、このように構成した場合には、継手機構の中心軸が鉛直方向から斜めに傾いた状態で、ガイド部材に対して継手機構が取付けられたとき、浸入した水の一部が、前記環状の空間の外周側(最も下方側に位置する部位)に溜まってしまうこととなる。その結果、浸入した水が前記環状の空間に留まり続けてしまい、通水路を設けることによる衛生性の向上効果を十分に発揮させることができないおそれがある。
【0006】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、継手機構の中心軸が鉛直方向から斜めに傾いた状態でガイド部材に継手機構が取付けられた場合であっても、通水路を介して環状の空間に浸入した水をより確実に排出することができ、優れた衛生性を実現することができる操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0008】
手段1.外周側に突出し槽体又はこの近傍の構造物である取付対象物の表面上に配置される鍔部を一端部に有し、自身の一部が前記取付対象物の貫通孔に挿通される筒状のガイド部材と、
前記ガイド部材の内周に配置される操作ボタンと、
前記操作ボタンを往復移動可能な状態で支持する支持軸を有してなる操作機構と、
前記ガイド部材と直接又は間接的に接続され、前記操作機構を保持する継手機構とを備える操作装置であって、
前記継手機構は、
自身の一端部が前記ガイド部材と直接又は間接的に接続される筒状の外筒部と、
自身の内周において前記操作機構を保持するとともに、自身の他端部に所定の配管が接続され、前記外筒部よりも内周側に位置する筒状の内筒部と、
前記外筒部の他端部及び前記内筒部の外周を連接する鍔状の連接部とを有し、
前記外筒部の他端部内周面、前記内筒部の一端部外周面、及び、これらを連接する前記連接部の内側面によって環状の空間が形成されるとともに、
前記内筒部のうち前記連接部の内側面が連接される部位には、前記環状の空間と前記内筒部の内周空間とを連通する通水路が設けられ、
前記連接部の内側面は、内周側に向けて前記内筒部の他端側に傾斜することを特徴とする操作装置。
【0009】
上記手段1によれば、連接部の内側面(前記環状の空間を形成する面)は、内周側に向けて内筒部の他端側に傾斜する形状とされている。従って、継手機構の中心軸が鉛直方向から斜めに傾いた状態で、ガイド部材に継手機構が取付けられた場合であっても、前記環状の空間の外周側に水が溜まってしまうといった事態は生じにくくなる。その結果、通水路を介して前記環状の空間に浸入した水をより確実に排出することができ、優れた衛生性を実現することができる。
【0010】
また、連接部の内側面は、通水路側に向けて傾斜する形状となるため、浸入した水を重力により通水路側へと案内することができる。従って、通水路からの水の排出性能をより高めることができ、衛生性の更なる向上を図ることができる。
【0011】
手段2.前記内筒部は、
前記連接部が連接される部位から一端側に向けて延び、自身の内周において前記操作機構を支持する複数の突起部と、
前記連接部が連接される部位から一端側に向けて延び、自身の内周に形成された爪部が前記操作機構に係止される小突起部とを有し、
前記突起部及び前記小突起部は周方向に沿って間欠的に設けられることを特徴とする手段1に記載の操作装置。
【0012】
上記手段2によれば、爪部が操作機構に係止されているため、継手機構からの操作機構の抜けをより確実に防止することができる。
【0013】
また、上記手段2によれば、突起部や小突起部の間に、周方向に沿って間欠的に形成された複数の隙間が形成され、当該隙間により通水路が形成されるようになっている。従って、通水路の通水面積を効果的に増大させることができ、排水能力をより一層に高めることができる。その結果、衛生性の更なる向上を図ることができる。
【0014】
手段3.前記突起部の内周には、内周側に突出し、前記突起部の延出方向に沿って延びる支持面部が設けられるとともに、
前記操作機構の外周には、前記支持軸の中心軸方向に沿って延び、周方向に沿って交互に設けられた複数の凸部及び凹部が形成され、
前記操作機構は、前記凹部に対して前記支持面部が配置された状態で、前記突起部により支持され、
前記支持面部の内径が、前記凸部の外径よりも小さくされることを特徴とする手段2に記載の操作装置。
【0015】
尚、「支持面部の内径」とあるのは、継手機構の中心軸を中心とし、支持面部の内周を通る円の直径をいい、突起部を変形させることなく、支持面部の内周に配置可能な円柱の最大外径ということができる。また、凸部の外径とあるのは、支持軸の中心軸を中心とし、凸部の外周を通る円の直径をいう(以下、同様)。
【0016】
上記手段3によれば、操作機構は、その凹部に支持面部が配置された状態で、突起部により支持されている。そのため、継手機構に対する操作機構の相対回転を規制できるとともに、操作機構を継手機構に対して周方向に沿った一定の位置に精度よく取付けることができる。
【0017】
さらに、上記手段3によれば、支持面部の内径が凸部の外径よりも小さくされているため、突起部の内周に操作機構を挿入する際に、凸部の形成位置に対して支持面部が配置されてしまうことをより確実に防止でき、ひいては支持面部をより確実に凹部に配置することができる。従って、継手機構への取付時に、操作機構が周方向において誤った位置に取付けられてしまうことをより確実に防止できる。
【0018】
手段4.前記支持面部、及び、前記凸部は、少なくとも前記突起部の基部近傍まで延びることを特徴とする手段3に記載の操作装置。
【0019】
尚、「突起部の基部近傍」とあるのは、突起部のうち、内周側から外周側に向けて力が加えられた際に、外周側への撓み変形がほとんど生じない程度の剛性を確保できる部位をいう。
【0020】
突起部が樹脂等により形成されている場合には、突起部が弾性変形し拡径し得る。そのため、凸部の内側に支持面部を位置したままの状態で、突起部の内周に対して操作機構を最終的な配置位置まで挿入することができてしまうおそれがある。
【0021】
この点、上記手段4によれば、支持面部及び凸部は、変形(拡径)が極めて生じにくい突起部の基部近傍まで延びるように構成されている。従って、突起部の内周に操作機構を挿入する際に、凸部の内周側に支持面部が配置されている状態では、操作機構を最終的な配置位置まで挿入することができなくなる。その結果、継手機構に対する操作機構の誤組付をより一層確実に防止することができる。
【0022】
手段5.前記支持面部の内径と前記凹部の外径とは、ほぼ等しくされており、
前記支持面部、及び、前記凹部は、少なくとも前記突起部の基部近傍まで延びることを特徴とする手段3又は4に記載の操作装置。
【0023】
尚、「凹部の外径」とあるのは、支持軸の中心軸を中心とし、凹部の外周を通る円の直径をいう。また、「支持面部の内径と凹部の外径とがほぼ等しい」とあるのは、支持面部の内径と凹部の外径とが同一である場合のみならず、両者に若干(例えば、0.5mm以下)の径差がある場合も含む趣旨である。
【0024】
上記手段5によれば、操作機構の中心軸方向に沿った広範囲において、支持面部により凹部の外周面を支持することができ、突起部により操作機構を一層安定的な状態で支持することができる。
【0025】
また、上記手段5によれば、変形の生じにくい突起部の基部近傍において、操作機構が支持面部により支持されることとなる。従って、突起部の変形に伴い、操作機構に傾きが生じてしまうことをより確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】浴槽に取付けられた操作装置等を示す断面図である。
図2】操作装置の構成を示す拡大断面図である。
図3】継手機構に取付けられたリング部材等を示す断面図である。
図4】継手機構の構成を示す一部破断斜視図である。
図5】継手機構の構成を示す拡大平面図である。
図6】支持面部の内径や凸部等の外径を説明するための断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、操作装置1は、取付対象物としての浴槽100に取り付けられており、図2に示すように、ガイド部材2と、筒状部材3と、操作ボタン4と、操作機構5と、伝達部材6と、継手機構7とを備えている。
【0028】
ガイド部材2は、浴槽100の側壁部101(図1参照)の上方から外周側に延びるフランジ部102に取付けられており、樹脂等により筒状に形成されている。また、ガイド部材2は、外周に雄ねじ部21を有する円筒状の本体部22と、当該本体部22の一端部(上端部)から外周側に突出する鍔部23とを備えている。前記本体部22(前記雄ねじ部21)は、前記フランジ部102に形成された貫通孔103に挿通されており、前記鍔部23は、フランジ部102の表面に配置されている。さらに、ガイド部材2は、その他端側(下方側)内周に、内周側に向けて突出する環状の突出部24を備えており、突出部24の内径は、ガイド部材2の一端側(上方側)内周における内径よりも小さくされている。
【0029】
筒状部材3は、環状をなすとともに、所定の樹脂により形成されており、自身の内周に前記雄ねじ部21に螺合可能な雌ねじ部31を備えている。そして、筒状部材3が、前記鍔部23との間でフランジ部102を挟み込むようにして前記雄ねじ部21に螺合されることにより、ガイド部材2及び筒状部材3が浴槽100(フランジ部102)に固定されている。
【0030】
加えて、筒状部材3の外周面には、凹状をなし、周方向に沿って延びる環状の被係止部32が設けられている。さらに、筒状部材3の外周面のうち、前記被係止部32よりも他端側(下方側)には、一端側(上方側)に向けて徐々に外径が増大する拡径部33が設けられている。加えて、筒状部材3の一端面(上端面)とフランジ部102との間には、ゴム等により形成された環状のシール部材9が設けられており、筒状部材3及びフランジ部102間が水密にシールされている。
【0031】
操作ボタン4は、前記ガイド部材2の内周に配置されており、自身の表面が浴槽100の表面に露出する円板部41と、当該円板部41の外周側背面から他端側(下方側)に向けて延び、自身の外径が前記円板部41の外径よりも小さい円筒状の筒状部42と、当該筒状部42の内周側に形成され、前記円板部41の中心部背面から他端側(下方側)に向けて延びる筒状の嵌合部43とを備えている。また、外観品質の向上を図るべく、円板部41は、その表面が所定の金属(例えば、ステンレス)からなる被覆部41Aで覆われている。
【0032】
前記操作機構5は、ガイド部材2の中心軸に沿って延び、当該中心軸に沿って往復移動可能な樹脂製の支持軸51を備えており、当該支持軸51の先端部が前記嵌合部43に嵌合されている。これにより、操作ボタン4は、ガイド部材2の中心軸に沿って往復移動可能な状態で支持軸51に取付けられている。尚、操作ボタン4の移動時には、前記円板部41の外周面がガイド部材2の一端側内周に沿うようにして移動し、前記筒状部42の外周面が前記突出部24の内周に沿うようにして移動する。すなわち、操作ボタン4は、ガイド部材2によってその移動がガイドされるようになっている。
【0033】
伝達部材6は、金属製のワイヤーにより形成されるとともに、一端が前記操作機構5に接続され、他端が浴槽100の排水口104に設けられた栓蓋105を支持する栓蓋支持機構106に接続されている(図1参照)。また、伝達部材6は、自身の外周に設けられた筒状の外皮61に対して往復移動可能に構成されており、操作ボタン4(支持軸51)の変位に伴い、外皮61内を往復移動するようになっている。そして、操作ボタン4の変位に伴い、前記栓蓋105が上下動し、ひいては前記排水口104が開閉するようになっている。
【0034】
継手機構7は、所定の樹脂により形成されており、外筒部71と、当該外筒部71よりも内周側に位置する内筒部72と、外筒部71の他端部及び内筒部72の外周を連接する鍔状の連接部73とを備えている。
【0035】
外筒部71は、その一端側外周に、周方向に沿って延びる環状の第1突条部74と、継手機構7の軸方向に沿って前記第1突条部74から他端側に離間した位置に設けられ、周方向に沿って延びる環状の第2突条部75とを備えている。そして、両突条部74,75の間に形成された環状の溝部76に対して、弾性変形可能な所定の樹脂等からなるリング部材8が配置されている。
【0036】
リング部材8は、周方向の一部に開口部を有するC字状をなしており、自身の弾性変形により前記開口部を拡幅可能に構成されている。そして、リング部材8は、拡幅状態とした前記開口部に継手機構7(外筒部71)を通すことにより、前記溝部76に配置されている。加えて、図3に示すように、リング部材8の内周部82は、継手機構7の内周から外周を貫通する孔部77を通って継手機構7の内周に突出している。そして、前記内周部82が前記被係止部32に係止されることで、継手機構7(外筒部71)が筒状部材3を介してガイド部材2に間接的に接続されている(図2参照)。尚、継手機構7(外筒部71)の内周面と筒状部材3の外周面との間には、ゴム等からなる環状のシール部材10が設けられており、継手機構7及び筒状部材3間が水密にシールされている。
【0037】
内筒部72は、図4及び図5に示すように、外筒部71の内周において、連接部73が連接される部位から一端側(上方側)に向けて延びる複数(本実施形態では、4本)の突起部78と複数(本実施形態では2本)の小突起部79とを備えている。突起部78は、周方向に沿って等間隔に設けられており、小突起部79よりも長くされている。また、突起部78は、その内周に、内周側に若干だけ突出し、突起部78の延出方向に沿って延びる支持面部78Aを備えている。加えて、小突起部79は、継手機構7の中心軸を挟んで突起部78間に一対設けられており、その一端側内周に、内周側に突出する爪部79Aを備えている。さらに、突起部78及び小突起部79は、周方向に沿って間欠的に設けられている。
【0038】
また、操作機構5の外周には、図2に示すように、支持軸51の中心軸方向に沿って延び、周方向に沿って交互に設けられた複数の凸部52及び凹部53が形成されている。そして、操作機構5は、図6図6では、支持軸51等を不図示)に示すように、凹部53に対して前記支持面部78Aが配置されており、継手機構7に対して相対回転不能な状態で突起部78により支持されている。加えて、凸部52に設けられた切り欠き部分に爪部79Aが係止されることで、継手機構7からの操作機構5の抜け防止が図られている(図2参照)。
【0039】
さらに、内筒部72の他端部外周には、所定の樹脂により形成された筒状の配管107の一端部が接続されている(図1参照)。そして、前記配管107の他端部は、排水口104に接続され内部が排水流路となる管体108に接続されており、継手機構7の内部に浸入した水は、配管107を通して管体108側へと排水されるようになっている。
【0040】
次いで、継手機構7の構成について詳述する。本実施形態では、図4及び図5に示すように、継手機構7の内部に、外筒部71の他端部内周面、内筒部72の一端部外周面、及び、これらを連接する連接部73の内側面によって環状の空間SPが形成されている。そして、内筒部72のうち連接部73の内側面が連接される部位には、前記環状の空間SPと内筒部72の内周空間とを連通する通水路CAが設けられている。本実施形態において、通水路CAは、突起部78同士間と突起部78及び小突起部79間とに形成された隙間により形成されており、周方向に沿って間欠的に複数設けられている。また、通水路CAは、継手機構7の中心軸を挟んで対称となる位置にそれぞれ形成されている。
【0041】
加えて、本実施形態では、連接部73の内側面が、内周側に向けて内筒部72の他端側(下方側)に傾斜するように構成されている。すなわち、連接部73の内側面を伝わって、前記環状の空間SPに浸入した水が通水路CA側に向けて案内されるように構成されている。尚、本実施形態では、連接部73の傾斜角度(継手機構7の中心軸を含む断面において、連接部73の内側面と前記中心軸に直交する直線とのなす角のうち最小の角度)は、操作装置1の取付けられる面(取付面)の傾斜角度(継手機構7の中心軸を含む断面において、前記取付面と水平に延びる直線とのなす角のうち最小の角度をいい、取付面が水平に延びている場合には0°となる)よりも大きなものとされている。すなわち、取付面が傾いている場合であっても、連接部73の全周において、環状の空間SPに浸入した水が、連接部73の内側面を伝わって通水路CA側に案内されるようになっている。
【0042】
さらに、操作機構5やこれを支持する突起部78は、次のように構成されている。すなわち、図6に示すように、支持面部78Aの内径D1が凸部52の外径D2よりも小さなものとされている。また、支持面部78Aの内径D1と凹部53の外径D3とは、ほぼ等しいものとされている。尚、支持面部78Aの内径D1とあるのは、継手機構7の中心軸を中心とし、支持面部78Aの内周を通る円C1の直径をいう。また、凸部52の外径D2とあるのは、支持軸51の中心軸を中心とし、凸部52の外周を通る円C2の直径をいう。さらに、凹部53の内径D3とあるのは、支持軸51の中心軸を中心とし、凹部53の外周を通る円C3の直径をいう。
【0043】
加えて、図2及び図4に示すように、支持面部78A及び凸部52(凸部52については、継手機構7に操作機構5を正常に取付けた状態における)は、少なくとも突起部78の基部近傍まで延びるように構成されている。尚、「突起部78の基部」とは、突起部78の根元をいう。また、「突起部78の基部近傍」とあるのは、突起部78のうち、内周側から外周側に向けて力が加えられた際に、外周側への撓み変形がほとんど生じない程度の剛性を確保できる部位をいう。例えば、突起部78の基部から、当該基部より突起部78の先端に向けて10mm程度の位置までの間を、突起部78の基部近傍ということができる。尚、支持面部78A及び凸部52(継手機構7に操作機構5を正常に取付けた状態における)は、突起部78のうち外周側への変形がより生じにくい位置まで延びていることが好ましい(すなわち、突起部72の基部により接近しているほど好ましい)。従って、支持面部78A及び凸部52が、突起部78の基部から突起部78の先端に向けて6mmの位置よりも前記基部側に延びていることがより好ましく、突起部78の基部から突起部78の先端に向けて3mmの位置よりも前記基部側に延びていることがより一層好ましい。
【0044】
さらに、本実施形態において、凹部53(継手機構7に操作機構5を正常に取付けた状態における)は、支持面部78Aと同様に、少なくとも突起部78の基部近傍まで延びるように構成されている。
【0045】
以上詳述したように、本実施形態によれば、連接部73の内側面(環状の空間SPを形成する面)は、内周側に向けて内筒部72の他端側に傾斜する形状とされている。従って、継手機構7の中心軸が鉛直方向から斜めに傾いた状態で、ガイド部材2に継手機構7が取付けられた場合であっても、前記環状の空間SPの外周側に水が溜まってしまうといった事態は生じにくくなる。その結果、通水路CAを介して前記環状の空間SPに浸入した水をより確実に排出することができ、優れた衛生性を実現することができる。
【0046】
また、連接部73の内側面を伝わって、環状の空間SPに浸入した水を重力により通水路CA側に向けて案内することができる。従って、通水路CAからの水の排出性能をより高めることができ、衛生性の更なる向上を図ることができる。
【0047】
加えて、突起部78や小突起部79の間に、周方向に沿って間欠的に形成された複数の隙間が形成され、当該隙間により通水路CAが形成されている。従って、通水路CAの通水面積を効果的に増大させることができ、排水能力をより一層に高めることができる。その結果、衛生性の更なる向上を図ることができる。
【0048】
さらに、操作機構5は、その凹部53に支持面部78Aが配置された状態で、突起部78により支持されている。そのため、継手機構7に対する操作機構5の相対回転を規制できるとともに、操作機構5を継手機構7に対して周方向に沿った一定の位置に精度よく取付けることができる。
【0049】
併せて、支持面部78Aの内径D1が凸部52の外径D2よりも小さくされているため、突起部78の内周に操作機構5を挿入する際に、凸部52の形成位置に対して支持面部78Aが配置されてしまうことをより確実に防止でき、ひいては支持面部78Aをより確実に凹部53に配置することができる。従って、継手機構7への取付時に、操作機構5が周方向において誤った位置に取付けられてしまうことをより確実に防止できる。
【0050】
また、支持面部78A及び凸部52は、変形(拡径)が極めて生じにくい突起部78の基部近傍まで延びるように構成されている。従って、突起部78の内周に操作機構5を挿入する際に、凸部52の内周側に支持面部78Aが配置されている状態では、操作機構5を最終的な配置位置まで挿入することができなくなる。その結果、継手機構7に対する操作機構5の誤組付をより一層確実に防止することができる。
【0051】
さらに、支持面部78A、及び、凹部53は、少なくとも突起部78の基部近傍まで延びるように構成されている。従って、操作機構5の中心軸方向に沿った広範囲において、支持面部78Aにより凹部53の外周面を支持することができ、突起部78により操作機構5を一層安定的な状態で支持することができる。また、変形の生じにくい突起部78の基部近傍において、操作機構5が支持面部78Aにより支持されるため、突起部78の変形に伴い、操作機構5に傾きが生じてしまうことをより確実に防止できる。
【0052】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0053】
(a)上記実施形態における筒状部材3や継手機構7等の構成は例示であって、これらの構成は特に限定されるものではない。従って、例えば、筒状部材3及び継手機構7を接続する際に、筒状部材3に対して継手機構7が螺合されるように両者を構成してもよい。
【0054】
(b)上記実施形態において、継手機構7は、筒状部材3を介してガイド部材2に間接的に接続されているが、継手機構7をガイド部材2に対して直接的に接続することとしてもよい。従って、例えば、筒状部材3を省略し、ガイド部材2(本体部22)の外周に、雄ねじ部21に代えて凹状の被係止部を設けるとともに、当該被係止部に対してリング部材8の内周部82を係止することとしてもよい。
【0055】
(c)上記実施形態において、操作装置1は、取付対象物としての浴槽100に取付けられているが、操作装置1の取付対象は浴槽100に限られるものではなく、例えば、浴槽以外の槽体(例えば、洗面器や流し台など)に操作装置1を取付けることとしてもよい。また、槽体の近傍に設けられた構造物(例えば、流し台のカウンタ等)に操作装置1を取付けることとしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1…操作装置、2…ガイド部材、4…操作ボタン、5…操作機構、7…継手機構、23…鍔部、51…支持軸、52…凸部、53…凹部、71…外筒部、72…内筒部、73…連接部、78…突起部、78A…支持面部、79…小突起部、100…浴槽(取付対象物)、CA…通水路、SP…環状の空間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6