特許第5997612号(P5997612)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5997612増幅された酵素活性の酵素創傷壊死組織除去組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5997612
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】増幅された酵素活性の酵素創傷壊死組織除去組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/46 20060101AFI20160915BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20160915BHJP
   A61K 47/06 20060101ALI20160915BHJP
   A61K 47/34 20060101ALI20160915BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20160915BHJP
【FI】
   A61K37/54
   A61K9/06
   A61K47/06
   A61K47/34
   A61P17/02
【請求項の数】6
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2012-543231(P2012-543231)
(86)(22)【出願日】2010年12月8日
(65)【公表番号】特表2013-512965(P2013-512965A)
(43)【公表日】2013年4月18日
(86)【国際出願番号】US2010059409
(87)【国際公開番号】WO2011071986
(87)【国際公開日】20110616
【審査請求日】2012年11月6日
【審判番号】不服2014-23298(P2014-23298/J1)
【審判請求日】2014年11月17日
(31)【優先権主張番号】61/267,730
(32)【優先日】2009年12月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】306020656
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー オーソペディックス アーゲー
【氏名又は名称原語表記】Smith & Nephew Orthopaedics AG
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100114889
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 義弘
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】シ レイ
(72)【発明者】
【氏名】ジョバノヴィッチ アレクサ
(72)【発明者】
【氏名】オースト ダンカン
【合議体】
【審判長】 關 政立
【審判官】 齋藤 恵
【審判官】 大久保 元浩
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0281806(US,A1)
【文献】 特表2005−528425(JP,A)
【文献】 特表2007−505107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K47
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ポリエチレングリコール400と、コラゲナーゼとを含む親水性分散相;および
(b)疎水性ベースを含む疎水性連続相
を含む、創傷壊死組織除去組成物であって、
前記親水性分散相が、前記疎水性連続相に分散され;
前記ポリエチレングリコール400の量が、前記組成物に対し、13-27%重量/重量であり;
前記組成物が、無水物であり;かつ
前記組成物における前記ポリエチレングリコール400の最適量が、前記13-27%重量/重量の範囲内であり、ならびに前記最適量が、前記組成物の最大酵素活性が得られるポリエチレングリコール400の量を表す、
前記創傷壊死組織除去組成物
【請求項2】
疎水性ベースがワセリンである、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
(a)ポリエチレングリコール600と、コラゲナーゼとを含む親水性分散相;および
(b)疎水性ベースを含む疎水性連続相
を含む、創傷壊死組織除去組成物であって、
前記親水性分散相が、前記疎水性連続相に分散され;
前記ポリエチレングリコール600の量が、前記組成物に対し、20-40%重量/重量であり;
前記組成物が、無水物であり;かつ
前記組成物における前記ポリエチレングリコール600の最適量が、前記20-40%重量/重量の範囲内であり、ならびに前記最適量が、前記組成物の最大酵素活性が得られるポリエチレングリコール600の量を表す、
前記創傷壊死組織除去組成物
【請求項4】
疎水性ベースがワセリンである、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
(a)ポロキサマ-124と、コラゲナーゼとを含む親水性分散相;および
(b)疎水性ベースを含む疎水性連続相
を含む、創傷壊死組織除去組成物であって、
前記親水性分散相が、前記疎水性連続相に分散され;
前記ポロキサマ-124の量が、前記組成物に対し、20-40%重量/重量であり;
前記組成物が、無水物であり;かつ
前記組成物における前記ポロキサマ-124の最適量が、前記20-40%重量/重量の範囲内であり、ならびに前記最適量が、前記組成物の最大酵素活性が得られるポロキサマ-124の量を表す、
前記創傷壊死組織除去組成物
【請求項6】
疎水性ベースがワセリンである、請求項5記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年12月8日に出願された米国仮出願第61/267,730号についての権利を主張する。関連出願の内容は参照として本明細書中に組み入れられる。
【0002】
A.発明の分野
本発明は全体として、局所用酵素創傷壊死組織除去組成物、及び、壊死組織除去を必要とする創傷を処置する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
B.背景
創傷治癒は、しばしば、創傷領域中の生育不能な壊死組織の存在によりさらに複雑化される、複雑な過程である。感染を予防または減少し、そして治癒を容易にするため、その生育不能組織を創傷から除く過程が壊死組織除去である。トリプシン、パパイン、ブロメライン、スブチリシン、サチレインス(sutilains)及びコラゲナーゼ等のタンパク質分解酵素を含む局所用組成物が酵素創傷壊死組織除去に使用されてきた。一般に、標準的な手当では、壊死組織除去を必要とする創傷に一日に一回(24時間毎に一回)、または、組成物が汚れた場合にはより頻繁に、組成物を適用する。多くのタンパク質分解酵素は水をベースとした組成物中で分解されやすいため、多くの創傷壊死組織除去組成物は、参照として共に本明細書中に組み入れられる米国特許第3,821,364号及び米国特許第6,479,060号に開示されるように、ワセリン、鉱物油及び/または植物油等の無水の疎水性ベースで作られている。しかしながら、疎水性ベースを基礎とした酵素創傷壊死組織除去組成物は一般に創傷層の水性環境に混和せず、従って、タンパク質分解酵素の創傷層との接触は通常妨げられる。幾つかの別の組成物が、本明細書中にこれら全部が参照として組み入れられるUS6,548,556号(特許文献1)、US2003/0198631号(特許文献2)及びUS2003/0198632号(特許文献3)に開示されるように、プロピレングリコールまたはポロキサマ等の無水の親水性ベースで作られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】US6,548,556号
【特許文献2】US2003/0198631号
【特許文献3】US2003/0198632号
【発明の概要】
【0005】
本発明は、増幅された酵素活性の局所用酵素創傷壊死組織除去組成物を対象とする。これらの組成物は、少なくとも一つのタンパク質分解酵素及び少なくとも一つの親水性ポリオールを含む分散相、並びに、疎水性ベースを含む連続相を含む。本発明の創傷壊死組織除去組成物は、従来の創傷壊死組織除去組成物を超える増幅された酵素活性を有する。
【0006】
本発明の一態様において、液体親水性ポリオール及び少なくとも1つのタンパク質分解酵素を含む分散相、並びに、疎水性ベースを含む連続相を含む、創傷壊死組織除去組成物であって、液体親水性ポリオールの量が液体親水性ポリオールの最適量の±10%重量/重量内である組成物が開示される。例えば、もし最適量が約30%重量/重量であった場合、製剤の増幅された酵素活性を達成するための使用できる液体親水性ポリオールの量は、製剤全体の約20%重量/重量と約40%重量/重量の間であろう。別の態様において、液体親水性ポリオールの量は液体親水性ポリオールの最適量の±9%、8%、7%または6%重量/重量以内である。さらに別の態様において、液体親水性ポリオールの量は液体親水性ポリオールの最適量の±5%、4%、3%、2%、1%、0.5%または0.1%重量/重量以内である。
【0007】
(a)液体親水性ポリオール及び少なくとも1つのタンパク質分解酵素を含む分散相、並びに、(b)疎水性ベースを含む連続相、を含む組成物中の「液体親水性ポリオールの最適量」は、参照としてこの項目に組み入れられる、本明細書の詳細な説明の項目中の項目A中に記載の方法により決定できる。
【0008】
組成物が液体親水性ポリオールの最適量の±10%重量/重量以内にあるかどうか決定する方法は、参照として組み入れられる、本明細書の詳細な説明の項目中の項目Bに記載される。
【0009】
異なるタンパク質分解酵素を有する組成物についての液体親水性ポリオールの最適量は異なり得る。さらに、特定のタンパク質分解酵素を有する組成物についての液体親水性ポリオールの最適量は組成物の成分に依存して異なり得る。例えば、PEG-400及びワセリンを含むコラゲナーゼ組成物中の液体親水性ポリオールの最適量は、PEG-600及びワセリンを含むコラゲナーゼ組成物中の液体親水性ポリオールの最適量と異なり得るし、また、ポロキサマ-124及びワセリンを含むコラゲナーゼ組成物とも異なり得る。
【0010】
「親水性ポリオール」という用語は、少なくとも2つの水酸基を持つ水溶性、極性脂肪族アルコールを意味し、そして、これに限定されないが、高分子ポリオール(例えば、ポリエチレングリコール及びポロキサマ)を含む。
【0011】
「親水性ポリオール」、「ポリエチレングリコール」または「ポロキサマ」の記述における「液体」という用語は、25℃において材料が液体状態にあることを意味する。
【0012】
「親水性ポリオール」、「ポリエチレングリコール」または「ポロキサマ」の記述における「固形」という用語は、25℃において材料が固体状態にあることを意味する。
【0013】
本発明の別の態様において、壊死組織除去を必要とする創傷を処置する方法であって、液体親水性ポリオールと効果的な壊死組織除去濃度の少なくとも1つのタンパク質分解酵素をと含む分散相と、疎水性ベースを含む連続相とを含む組成物を創傷に適用することを含み、該液体親水性ポリオールの量が最適量の±10%重量/重量以内である方法が開示される。別の態様において、液体親水性ポリオールの量は、最適量の±9%、8%、7%、または6%重量/重量以内である。更に別の態様において、液体親水性ポリオールの量は、最適量の±5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.1%重量/重量以内である。
【0014】
ある態様では、タンパク質分解酵素はメタロプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、セリンプロテアーゼまたはアスパラギン酸ペプチダーゼである。一般に、メタロプロテアーゼ、システインプロテアーゼまたはセリンプロテアーゼを含む組成物の親水性ポリオールの最適量は、約10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%重量/重量から約40%重量/重量、または、この中で推論できるいずれの範囲若しくは数値である。アスパラギン酸ペプチダーゼを含む組成物の親水性ポリオールの最適量は、約48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%重量/重量から約68%重量/重量、または、この中で推論できるいずれの範囲若しくは数値である。一態様においてメタロプロテアーゼはコラゲナーゼである。別の態様ではメタロプロテアーゼはコラゲナーゼであり、そして親水性ポリオールの最適量は約10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%重量/重量から約40%重量/重量、またはこの中で推論できるいずれの範囲若しくは数値である。一態様においてメタロプロテアーゼはサーモリシンである。別の態様ではメタロプロテアーゼはサーモリシンであり、そして親水性ポリオールの最適量は約19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%重量/重量から約39%重量/重量、またはこの中で推論できるいずれの範囲若しくは数値である。一態様においてシステインプロテアーゼはパパインである。別の態様ではシステインプロテアーゼはパパインであり、そして親水性ポリオールの最適量は約19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%重量/重量から約39%重量/重量、またはこの中で推論できるいずれの範囲若しくは数値である。一態様ではセリンプロテアーゼはトリプシンである。別の態様ではセリンプロテアーゼはトリプシンであり、そして親水性ポリオールの最適量は約4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%重量/重量から約24%重量/重量、またはこの中で推論できるいずれの範囲若しくは数値である。一態様においてアスパラギン酸ペプチダーゼはペプシンである。別の態様ではアスパラギン酸ペプチダーゼはペプシンであり、そして親水性ポリオールの最適量は約48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%重量/重量から約68%重量/重量、またはこの中で推論できるいずれの範囲若しくは数値である。いくつかの態様ではタンパク質分解酵素は分散相中に懸濁されている。別の態様ではタンパク質分解酵素は分散相中に溶解されている。
【0015】
ある態様では、液体親水性ポリオールは液体ポリエチレングリコール若しくは液体ポロキサマ、またはそれらの混合物である。
【0016】
本発明のある態様では、組成物を物理的に安定化させるため、または、相分離を減らす若しくは阻止するために、分散相はさらに固形親水性ポリオールを含み得る。ある態様では、固形親水性ポリオールは固形ポロキサマ若しくは固形ポリエチレングリコール、またはそれらの混合物である。
【0017】
本発明の様々な態様において、疎水性ベースはワセリン、鉱物油、若しくは植物油、またはそれらの混合物を含む。一態様においてベースはワセリンを含む。別の態様において疎水性ベースは植物油を含む。さらに別の態様では疎水性ベースは鉱物油を含む。さらなる態様では疎水性ベースは、ワセリン及び鉱物油、ワセリン及び植物油、鉱物油及び植物油、または、ワセリン、鉱物油及び植物油を含む。さらに別の態様では疎水性ベースは植物油を含み、植物油はヒマシ油である。
【0018】
一態様では組成物は半固形である。別の態様では組成物は液体である。別の態様では、組成物はパッド、ガーゼまたはスポンジに浸透されている。一態様において、組成物は無菌若しくは無水、または両方である。
【0019】
組成物は創傷壊死組織除去剤を投与するのに適当ないずれのパッケージに包装され得る。組成物は、多用途、単一用量または定量用量パッケージ中に包装され得る。非限定的な例には、チューブ、瓶、広口瓶、ポンプ容器、圧力容器、ブラッダー(bladder)容器、エアゾール容器、エアゾールスプレー容器、ノンエアゾールスプレー容器、シリンジ、ポーチまたは小袋が含まれる。
【0020】
本発明の別の態様ではタンパク質分解酵素を含む分散相、及び、疎水性ベースを含む連続相を含む標的組成物を添加するための液体親水性ポリオールの最適量を決定する方法であって、(1)当該分散相及び当該連続相を含む組成物シリーズを取得する工程であって、当該分散相がさらに液体親水性ポリオールを含み、当該組成物シリーズにおける各組成物が同量のタンパク質分解酵素及び異なる量の当該液体親水性ポリオールを含む、前記工程;(2)当該組成物シリーズにおける各組成物の酵素活性を決定する工程;(3)酵素活性を当該組成物シリーズにおける各組成物中の液体親水性ポリオールの量に対して描くグラフ上の最高点を決定する工程であって、グラフ上の最高点が標的組成物に添加する液体親水性ポリオールの最適量に相関する、前記工程、を含む前記方法が開示される。一態様では、当該組成物シリーズにおける酵素活性は、本明細書中に記載されるようにインビトロ人工的焼痂試験モデルを用いて決定され得る。
【0021】
本発明のさらなる態様ではタンパク質分解酵素を含む分散相、及び、疎水性ベースを含む連続相を含む標的組成物中の酵素活性を増加する方法であって、(1)当該分散相及び当該連続相を含む組成物シリーズを取得する工程であって、当該分散相がさらに液体親水性ポリオールを含み、そして、当該組成物シリーズにおける各組成物が同量のタンパク質分解酵素及び異なる量の当該液体親水性ポリオールを含む工程;(2)当該組成物シリーズにおける各組成物の酵素活性を決定する工程;(3)当該酵素活性に対して当該組成物シリーズにおける各組成物に含まれる液体親水性ポリオールの量を描くグラフ上の最高点を決定する工程であって、グラフ上の当該最高点が標的組成物に添加する液体親水性ポリオールの最適量に相関する、前記工程;並びに(4)液体親水性ポリオールの最適量の±10%重量/重量を標的組成物に添加し、それにより標的組成物中の酵素活性を増加する工程を含む、前記方法が開示される。一態様において組成物シリーズにおける酵素活性は、本明細書中に記載されるようにインビトロ人工的焼痂試験モデルを用いて決定され得る。
【0022】
組成物シリーズ中のポリオール量は各組成物同士、ランダムまたは選択された量で異なり得る。一態様において当該組成物シリーズにおける各組成物中のポリオール量は、組成物の重量または用量の0%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%または100%である。
【0023】
「無水」という用語は組成物が組成物全体に関して、組成物の原料のいずれに存在する水和水、結合水、または典型的な湿度レベルを除いて、約5%重量/重量より少ない、若しくは約3%重量/重量より少ない、若しくは約1%重量/重量より少ない、若しくは約0.5%重量/重量より少ない、若しくは約0.1%重量/重量より少ない、または0%の遊離水若しくは添加水を含むことを意味する。
【0024】
他に特定されない限り、本明細書中に表現されるパーセント値は重量に対する重量であり、そして組成物全体に対するものである。
【0025】
「一つの(a)」または「一つの(an)」は、「含む」または「含有する」という用語と合わせて特許請求の範囲及び/または明細書中で使用される場合、「一つ(one)」を意味し得るが、また「一つまたはそれ以上」、「少なくとも一つ」及び「一つまたは一つ以上」という意味としても成り立つ。
【0026】
本明細書を通して、「約」という用語は当該値を得る装置、当該値を決定するのに採用される方法の内在する誤差変化、または、評価される対象の間に存在する変動を含む値を意味するよう使用される。
【0027】
本明細書及び特許請求の範囲中で使用されるように、「含まれる」(並びに「含む」及び「含み」等の「含む」のいずれの形体)、「有する」(並びに「有す」及び「有し」等のいずれの「有する」の形体)、「含める」(並びに「含め」及び「含めた」等の「含める」のいずれの形体)または「含有する」(並びに「含有し」及び「含有した」等の「含有する」のいずれの形体)も包括的または制限をもたないものであり、そして、明記されない付加的な要素または方法工程を排除しないものである。
【0028】
「処置する」、「阻害する」、「予防する」若しくは「減少する」の用語、またはこれらの用語のいずれの変化形も特許請求の範囲及び/または明細書中で使用される場合、所望の結果を達成するための、どのような測定可能な減少または完全な阻害を含む。
【0029】
特許請求の範囲及び/または明細書中で使用される「効果的」という用語は所望の、期待されるまたは意図される結果を達成するのに足りることを意味する。
【0030】
当該組成物、及び、その使用のための方法は、本明細書を通して開示されるいずれの成分または工程を「含」んでも、「から本質的に成って」も、または「から成って」もよい。「から本質的に成」るの過渡的状況、及び、一つの非限定的態様に関して、本明細書中に開示される組成物及び方法の基本的且つ新規な特性は組成物の増幅された酵素活性を含む。
【0031】
本発明のその他の目的、構成及び利点は、続いての詳細な説明により明らかになるであろう。しかしながら、詳細な説明及び特定の実施例は本発明の特定の態様を示すものであるものの、この詳細な説明から種々の変化及び改変が本発明の精神及び範囲内で当業者には明らかとなるので、例証としてのみ挙げられているに過ぎないことが理解されるべきである。
[本発明1001]
(a)液体親水性ポリオールと少なくとも1つのタンパク質分解酵素とを含む分散相;および
(b)疎水性ベースを含む連続相
を含む、創傷壊死組織除去組成物であって、
液体親水性ポリオールの量が、液体親水性ポリオールの最適量の±10%重量/重量内である、前記組成物。
[本発明1002]
液体親水性ポリオールの量が、液体親水性ポリオールの最適量の±7%重量/重量内である、本発明1001の組成物。
[本発明1003]
液体親水性ポリオールの量が、液体親水性ポリオールの最適量の±5%重量/重量内である、本発明1001の組成物。
[本発明1004]
タンパク質分解酵素がメタロプロテアーゼである、本発明1001〜1003のいずれかの組成物。
[本発明1005]
メタロプロテアーゼがコラゲナーゼである、本発明1004の組成物。
[本発明1006]
メタロプロテアーゼがサーモリシンである、本発明1004の組成物。
[本発明1007]
タンパク質分解酵素がシステインプロテアーゼである、本発明1001〜1003のいずれかの組成物。
[本発明1008]
システインプロテアーゼがパパインである、本発明1007の組成物。
[本発明1009]
タンパク質分解酵素がセリンプロテアーゼである、本発明1001〜1003のいずれかの組成物。
[本発明1010]
セリンプロテアーゼがトリプシンである、本発明1009の組成物。
[本発明1011]
タンパク質分解酵素がアスパラギン酸ペプチダーゼである、本発明1001〜1003のいずれかの組成物。
[本発明1012]
アスパラギン酸ペプチダーゼがペプシンである、本発明1011の組成物。
[本発明1013]
液体親水性ポリオールが液体ポリエチレングリコール若しくは液体ポロキサマ、または、それらの混合物である、本発明1001〜1012のいずれかの組成物。
[本発明1014]
タンパク質分解酵素が分散相中に懸濁されている、本発明1001〜1013のいずれかの組成物。
[本発明1015]
タンパク質分解酵素が分散相中に溶解されている、本発明1001〜1013のいずれかの組成物。
[本発明1016]
疎水性ベースがワセリンを含む、本発明1001〜1015のいずれかの組成物。
[本発明1017]
分散相がさらに固形親水性ポリオールを含む、本発明1001〜1016のいずれかの組成物。
[本発明1018]
固形親水性ポリオールが固形ポリエチレングリコール若しくは固形ポロキサマ、または、それらの混合物である、本発明1017の組成物。
[本発明1019]
組成物が半固形である、本発明1001〜1018のいずれかの組成物。
[本発明1020]
組成物が無水物である、本発明1001〜1019のいずれかの組成物。
[本発明1021]
組成物が無菌である、本発明1001〜1020のいずれかの組成物。
[本発明1022]
以下を含む、壊死組織除去を必要とする創傷を処置する方法:
液体親水性ポリオールと少なくとも1つのタンパク質分解酵素の有効な壊死組織除去濃度とを含む分散相、および
疎水性ベースを含む連続相
を含む組成物であって、液体親水性ポリオールの量が最適量の±10%重量/重量内である、前記組成物を創傷に適用する段階。
[本発明1023]
組成物が、本発明1001〜1021の組成物のいずれか一つである、本発明1022の方法。
[本発明1024]
タンパク質分解酵素を含む分散相、及び疎水性ベースを含む連続相を含む標的組成物に添加するための液体親水性ポリオールの最適量を決定する方法であって:
(1)分散相及び連続相を含む組成物シリーズを取得する工程であって、該分散相がさらに液体親水性ポリオールを含み、そして、該組成物シリーズ中の各組成物が、同量のタンパク質分解酵素及び異なる量の液体親水性ポリオールを含む、前記工程;
(2)組成物シリーズ中の各組成物の酵素活性を決定する工程;
(3)組成物シリーズ中の各組成物中に含まれる液体親水性ポリオール(単数または複数)量に対する酵素活性を描くグラフ上の最も高い点を決定する工程
を含み、グラフ上の最も高い点が、標的組成物に添加するための液体親水性ポリオールの最適量に相関する、前記方法。
[本発明1025]
最適量の±10%の液体親水性ポリオールを標的組成物に添加することをさらに含む、本発明1024の方法。
[本発明1026]
組成物シリーズが少なくとも5つの組成物を含む、本発明1024の方法。
[本発明1027]
組成物シリーズ中のポリオール量が、少なくとも10%重量/重量の増加量で異なる、本発明1026の方法。
[本発明1028]
第一の組成物が10%重量/重量の液体親水性ポリオールを、第二の組成物が30%重量/重量の液体親水性ポリオールを、第三の組成物が50%重量/重量の液体親水性ポリオールを、第四の組成物が70%重量/重量の液体親水性ポリオールを、そして、第五の組成物が90%重量/重量の液体親水性ポリオールを含む、本発明1027の方法。
[本発明1029]
第一の組成物が0〜30%重量/重量の液体親水性ポリオールを、第二の組成物が10〜50%重量/重量の液体親水性ポリオールを、第三の組成物が20〜60%重量/重量の液体親水性ポリオールを、第四の組成物が30〜80%重量/重量の液体親水性ポリオールを、そして、第五の組成物が40〜100%重量/重量の液体親水性ポリオールを含む、本発明1026の方法。
[本発明1030]
標的組成物が本発明1001〜1021の組成物のいずれか一つである、本発明1024〜1029のいずれかの方法。
[本発明1031]
タンパク質分解酵素を含む分散相、及び、疎水性ベースを含む連続相を含む、標的組成物中の酵素活性を増加する方法であって:
(1)分散相及び連続相を含む組成物シリーズを取得する工程であって、該分散相がさらに液体親水性ポリオールを含み、そして、該組成物シリーズの各組成物が同量のタンパク質分解酵素及び異なる量の液体親水性ポリオールを含む、前記工程;
(2)組成物シリーズ中の各組成物の酵素活性を決定する工程;
(3)組成物シリーズ中の各組成物中に含まれる液体親水性ポリオール(1つまたは複数)の量に対する酵素活性を描くグラフ中の最も高い点を決定する工程であって、グラフ上の最も高い点が標的組成物に添加する液体親水性ポリオールの最適量に相関する、前記工程;並びに
(4)液体親水性ポリオールの最適量の±10%重量/重量を標的組成物に添加し、それにより標的組成物中の酵素活性を増加する工程
を含む、前記方法。
[本発明1032]
組成物シリーズが少なくとも5つの組成物を含む、本発明1031の方法。
[本発明1033]
組成物シリーズ中のポリオール量が、少なくとも10%重量/重量の増加量で異なる、本発明1032の方法。
[本発明1034]
第一の組成物が10%重量/重量の液体親水性ポリオールを、第二の組成物が30%重量/重量の液体親水性ポリオールを、第三の組成物が50%重量/重量の液体親水性ポリオールを、第四の組成物が70%重量/重量の液体親水性ポリオールを、そして、第五の組成物が90%重量/重量の液体親水性ポリオールを含む、本発明1033の方法。
[本発明1035]
第一の組成物が0〜30%重量/重量の液体親水性ポリオールを、第二の組成物が10〜50%重量/重量の液体親水性ポリオールを、第三の組成物が20〜60%重量/重量の液体親水性ポリオールを、第四の組成物が30〜80%重量/重量の液体親水性ポリオールを、そして、第五の組成物が40〜100%重量/重量の液体親水性ポリオールを含む、本発明1032の方法。
[本発明1036]
標的組成物が本発明1001〜1021の組成物のいずれか一つである、本発明1031〜1035のいずれかの方法。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】白色ワセリンを含む疎水相に分散されたコラゲナーゼ及びPEG-400を含む分散相を含む組成物シリーズについてのインビトロコラーゲン分解活性(mg/ml)(y軸)に対する、当該組成物シリーズ中に含まれるPEG-400の割合(x軸)のプロット。
図2】白色ワセリンを含む疎水相に分散されたコラゲナーゼ及びPEG-600を含む分散相を含む組成物シリーズについてのインビトロコラーゲン分解活性(mg/ml)(y軸)に対する、当該組成物シリーズ中に含まれるPEG-600の割合(x軸)のプロット。
図3】白色ワセリンを含む疎水相に分散されたコラゲナーゼ及びポロキサマ-124を含む分散相を含む組成物シリーズについてのインビトロコラーゲン分解活性(mg/ml)(y軸)に対する、当該組成物シリーズ中に含まれるポロキサマ-124の割合(x軸)のプロット。
図4】白色ワセリンを含む疎水相に分散されたトリプシン及びPEG-400を含む分散相を含む組成物シリーズについてのインビトロコラーゲン分解活性(mg/ml)(y軸)に対する、当該組成物シリーズ中に含まれるPEG-400の割合(x軸)のプロット。
図5】白色ワセリンを含む疎水相に分散されたパパイン及びPEG-400を含む分散相を含む組成物シリーズについてのインビトロコラーゲン分解活性(mg/ml)(y軸)に対する、当該組成物シリーズ中に含まれるPEG-400の割合(x軸)のプロット。
図6】白色ワセリンを含む疎水相に分散されたサーモリシン及びPEG-400を含む分散相を含む組成物シリーズについてのインビトロコラーゲン分解活性(mg/ml)(y軸)に対する、当該組成物シリーズ中に含まれるPEG-400の割合(x軸)のプロット。
図7】白色ワセリンを含む疎水相に分散されたペプシン及びPEG-400を含む分散相を含む組成物シリーズについてのインビトロコラーゲン分解活性(mg/ml)(y軸)に対する、当該組成物シリーズ中に含まれるPEG-400の割合(x軸)のプロット。
図8】白色ワセリンを含む疎水相に分散されたコラゲナーゼ及びPEG-400を含む分散相を含む組成物シリーズについてのコラゲナーゼの物理的放出(mg)(y軸)に対する、当該組成物シリーズ中に含まれるPEG-400の割合(x軸)のプロット。
図9】水中油(oil-in-water)型乳濁クリームと比較した白色ワセリン中PEG(PEG-in-white petrolatum)分散物中における酵素安定性。
図10】ブタの熱創傷中の痂皮除去における壊死組織除去効率。
【発明を実施するための形態】
【0033】
詳細な説明
本発明の一態様は増幅された酵素活性の局所用酵素創傷壊死組織除去組成物を提供する。これらの組成物は、少なくとも1つのタンパク質分解酵素及び親水性ポリオールを含む分散相、並びに、疎水性ベースを含む連続相を含む。本発明の一態様では親水性ポリオールは液体親水性ポリオールである。
【0034】
親水性ポリオール及びタンパク質分解酵素の疎水性ベース中の分散剤である本発明の組成物の酵素活性(例えば、インビトロコラーゲン分解)が、タンパク質分解酵素及び疎水性ベースの組合せのみに基づく酵素組成物(即ち、親水性ポリオール等の親水相なし)の酵素活性よりも単に高いだけではなく、タンパク質分解酵素及び親水性ベースの組合せのみに基づく酵素組成物(即ち、ワセリン等の疎水性相なし)よりも驚くほど高いことが見出された。酵素は水分の存在により活性化されるため、ベースが完全に水分中に混和され、そして、酵素の放出及び活性化に最も好適であろう、タンパク質分解酵素及び親水性ベースの組合せのみに基づく組成物において最も高い酵素活性が見られることが予期された。しかしながら、組成物中の親水性ポリオールの0%より多く、そして100%よりも少ない親水性ポリオールの最適量と相関する本発明の親水性相及び疎水性相の分散組成物が、最も高い酵素活性を有していた。
【0035】
予期されたように、親水性ビヒクルのみに基づく組成物中の物理的酵素放出が、疎水性ビヒクルのみに基づく組成物中の酵素の放出よりも大きく、そして本発明の組成物よりも大きいことが見出された。図8中から見て取れるように、酵素放出プロファイルは一般的に、親水性ポリオール(PEG-400)の割合増加と共に増加し、100%で最大の放出であり、そして0%で最小の放出であった。しかしながら、意外にも、酵素活性は本発明の分散組成物でより大きかった(図1〜7参照)。従って、これらの分散組成物の酵素活性プロファイルは期待されたようには物理的酵素放出プロファイルと相関しなかった。
【0036】
本発明の組成物は、親水性ポリオール及び壊死組織除去に効果的な濃度の少なくとも1つのタンパク質分解酵素を含む分散相、並びに、疎水性ベースを含む連続相を含む組成物であって、親水性ポリオールの量が親水性ポリオールの最適量の±10%重量/重量以内、または最適量の±9%、8%、7%若しくは6%重量/重量、または最適量の±5%、4%、3%、2%、1%、0.5%若しくは0.1%重量/重量である組成物を創傷に適用することによる壊死組織除去を必要とする創傷の処置に好適である。
【0037】
これら及びその他の本発明の非限定的態様がさらに詳細に以下の段落において論じられる。
【0038】
A.液体親水性ポリオールの最適量を決定する方法
以下のプロトコルは組成物シリーズ(「組成物シリーズ」と呼ばれる)を調製し、そして続いて本発明の分散物中に使用できる液体親水性ポリオールの最適量を決定するために使用できる:
【0039】
11種の組成物を組成物シリーズを作成するために使用できる。組成物シリーズ中におけるタンパク質分解酵素の量(%重量/重量)は一定に保たれることに留意せよ。11種の組成物を調製するために以下の工程を使用できる:
【0040】
(i)組成物シリーズ中で使用する成分(即ち、液体親水性ポリオール、タンパク質分解酵素、及び疎水性ベース)を決定し、そして、使用するタンパク質分解酵素の量を選択する。例として、液体親水性ポリオール(例えば、PEG400)、タンパク質分解酵素(例えば、1%重量/重量のコラゲナーゼ)、及び疎水性ベース(例えば、白色ワセリン)。
【0041】
(ii)組成物シリーズ中の組成物1のためには液体親水性ポリオールを0%使用し、選択された量のタンパク質分解酵素を使用し、そして、適量の疎水性ベースでバッチを100%にする。例えば、そして上記工程(i)を参照して、組成物シリーズ中の組成物1は以下を有するであろう:0%重量/重量PEG400、99%重量/重量の白色ワセリン、及び、1%重量/重量のコラゲナーゼ。
【0042】
(iii)組成物シリーズ中の組成物2のためには10%重量/重量の液体親水性ポリオールを使用し、同量のタンパク質分解酵素を使用し、そして、適量の疎水性ベースでバッチを100%にする。(液体親水性ポリオールの組立において、組成物シリーズにおける組成物について物理的に安定な分散を作り出すために、幾らかの固形の親水性ポリオールを必要に応じて使用することは許容されることに留意せよ。)
【0043】
(iv)組成物シリーズ中の組成物3のためには20%重量/重量の液体親水性ポリオールを使用し、同量のタンパク質分解酵素を使用し、そして、適量の疎水性ベースでバッチを100%にする。
【0044】
(v)組成物シリーズ中の組成物4のためには30%重量/重量の液体親水性ポリオールを使用し、同量のタンパク質分解酵素を使用し、そして、適量の疎水性ベースでバッチを100%にする。
【0045】
(vi)組成物シリーズ中の組成物5のためには40%重量/重量の液体親水性ポリオールを使用し、同量のタンパク質分解酵素を使用し、そして、適量の疎水性ベースでバッチを100%にする。
【0046】
(vii)組成物シリーズ中の組成物6のためには50%重量/重量の液体親水性ポリオールを使用し、同量のタンパク質分解酵素を使用し、そして、適量の疎水性ベースでバッチを100%にする。
【0047】
(viii)組成物シリーズ中の組成物7のためには60%重量/重量の液体親水性ポリオールを使用し、同量のタンパク質分解酵素を使用し、そして、適量の疎水性ベースでバッチを100%にする。
【0048】
(ix)組成物シリーズ中の組成物8のためには70%重量/重量の液体親水性ポリオールを使用し、同量のタンパク質分解酵素を使用し、そして、適量の疎水性ベースでバッチを100%にする。
【0049】
(x)組成物シリーズ中の組成物9のためには80%重量/重量の液体親水性ポリオールを使用し、同量のタンパク質分解酵素を使用し、そして、適量の疎水性ベースでバッチを100%にする。
【0050】
(xi)組成物シリーズ中の組成物10のためには90%重量/重量の液体親水性ポリオールを使用し、同量のタンパク質分解酵素を使用し、そして、適量の疎水性ベースでバッチを100%にする。
【0051】
(xii)組成物シリーズ中の組成物11のためには0%の疎水性ベースを使用し、同量のタンパク質分解酵素を使用し、そして、十分量の親水性ポリオールでバッチを100%にする。
【0052】
(xiii)本明細書の詳細な説明の段落Hに記載されるように、試料採集時間6、12、18及び24時間における組成物シリーズ中の11個の組成物各々の酵素活性をインビトロ人工的焼痂試験モデルを用いて決定する。
【0053】
(ivx)各データ収集時間について累積的に、組成物シリーズの各組成物中に存在する液体親水性ポリオール(単数または複数)量に対する各組成物の酵素活性の曲線を描く。累積的24時間データ収集時間についての曲線の最高点は、分散液中で使用できる液体親水性ポリオールの最適量に相関する。
【0054】
さらに、組成物シリーズ中に複数の成分を含ませることができると仮定して(例えば、分散相内におけるポリオール(単数若しくは複数)、タンパク質分解酵素(単数若しくは複数)、疎水性ベース、及び追加の成分、並びに/または、連続疎水性相内における追加の成分)、組成物シリーズは次のようにして作出できる:(1)シリーズ中の各組成物について上で議論されたように親水性ポリオールの量を変化させ;(2)タンパク質分解酵素の決定された量を使用し;そして、(3)親水性ポリオールを含む追加の成分の量によりバッチが100%にされる組成物11を除き、疎水性ベースを含む追加の成分の量によりバッチを100%にする。
【0055】
B.組成物が液体親水性ポリオールの最適量の+/−10%重量/重量を有するか決定する方法
以下のプロトコルを用いることにより、(a)液体親水性ポリオール及び少なくとも1つのタンパク質分解酵素を含む分散相、並びに(b)疎水性ベースを含む連続相を含む組成物(「所望の組成物」と呼ぶ)が、液体親水性ポリオールの最適量の±10%以内にあるかを決定することができる:
【0056】
第一工程:次を含む所望の組成物を得る:(i)液体親水性ポリオール及びタンパク質分解酵素を含む分散相、並びに(ii)疎水性ベースを含む連続相。
【0057】
第二工程:所望の組成物に基づき一連の組成物(「組成物シリーズ」と呼ぶ)を調製する。組成物シリーズ中のタンパク質分解酵素の量(%重量/重量)が一定に保たれ、そして、所望の組成物中に存在する量(%重量/重量)と同じであることに留意せよ。組成物シリーズを調製するため以下の工程を用いることができる:
【0058】
(i)所望の組成物中の全成分の量を決定する(%重量/重量)。
【0059】
(ii)所望の組成物中の連続相の総量を決定する(%重量/重量)。例として、所望の組成物が15%重量/重量の液体親水性ポリオール(例えば、PEG400)、1%重量/重量のタンパク質分解酵素(例えば、コラゲナーゼ)及び84%重量/重量の疎水性ベース(例えば、白色ワセリン)を含む場合、所望の組成物は84%重量/重量が連続相であり、そして、16%重量/重量が分散相である。
【0060】
第三工程:本明細書の上記段落Aに記載の方法により組成物シリーズを調製する(例えば、これは本明細書の段落Aに記載の方法で11個の組成物を調製することを含むであろう)。
【0061】
第四工程:本明細書の詳細な説明の段落Hに記載されるように、試料採集時間6、12、18及び24時間における組成物シリーズ中の11個の組成物各々の酵素活性をインビトロ人工的焼痂試験モデルを用いて決定する。
【0062】
第五工程:各データ収集時間について累積的に、組成物シリーズの各組成物中に存在する液体親水性ポリオール(単数または複数)量に対する各組成物の酵素活性の曲線を描く。累積的24時間データ収集時間についての曲線の最高点は所望の組成物についての液体親水性ポリオールの最適量に相関する。
【0063】
第六工程:所望の組成物についての液体親水性ポリオールの最適量の±10%重量/重量内にあるかを決定するために、所望の組成物内に存在する液体親水性ポリオールの量を比較する。
【0064】
C.タンパク質分解酵素
創傷壊死組織除去に有用ないずれのタンパク質分解酵素も本発明に好適である。タンパク質分解酵素(プロテアーゼ)は、タンパク質のポリペプチド鎖中でアミノ酸同士を連結するペプチド結合の加水分解によりタンパク質を壊す。それは、触媒機構に基づいて4つの主たるグループに分類される:セリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、及びアスパラギン酸プロテアーゼ。活性部位中にスレオニン及びグルタミン酸等の他の触媒アミノ酸を持つ幾つかのプロテアーゼも同定されているが、しかしながら、それらは主要なグループを形成してはいない。
【0065】
1.セリンプロテアーゼ
セリンプロテアーゼは、ペプチド結合を攻撃する求核種として機能するセリン残基の水酸基に依存する。ヒトにおいて見出された主要な一族は、キモトリプシン様、スブチリシン様、アルファ/ベータ加水分解酵素、及びシグナルペプチダーゼ族を含む。進化史において、セリンプロテアーゼは元来消化酵素であった。哺乳動物においては、セリンプロテアーゼは遺伝子重複により血液凝固、免疫系及び炎症の機能を担うよう進化した。これらのプロテアーゼは広い基質特異性を有し、そして広範なpH中で働く。セリンプロテアーゼの非限定的な例は、トリプシン、キモトリプシン、スブチリシン、サチレインス、プラスミン及びエラスターゼを含む。
【0066】
2.システインプロテアーゼ
求核種がシステイン残基のスルフヒドリル基中の切断しやすいペプチド結合を攻撃するペプチダーゼはシステインプロテアーゼとして知られる。システインプロテアーゼは一般には、パパイヤ、パイナップル及びキーウィを含む果物で見受けられる。システインプロテアーゼは広い基質特異性を有し、そして生理的な条件下で広く用いられる。このファミリーでは、パパインが長期に亘り創傷壊死組織除去に頻繁に使用されてきた。ブロメライン及びアナライン等の他のシステインプロテアーゼも創傷壊死組織除去への適用について研究されてきた。その他の非限定的なシステインプロテアーゼの例は、カルパイン、カスパーゼ、キモパパイン及びクロストリパインを含む。
【0067】
3.メタロプロテアーゼ
メタロプロテアーゼは、通常、亜鉛また場合によりコバルト、マグネシウム、ニッケル若しくは銅である二価金属陽イオンが水分子を活性化する一方で、ペプチド結合への求核攻撃が水分子により媒介されるプロテアーゼに含まれる。金属イオンはその活性において非常に重要である。金属イオンと相互作用、キレート化または酸化する可能性のあるどのような化合物であれ酵素活性に影響するであろう。このファミリーのメタロプロテアーゼの非限定的な例は、サーモリシン、コラゲナーゼ、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMPs)、バシロリシン(bacillolysin)、ディスパーゼ、ビブリオリシン(vibriolysin)、シュードリシン(pseudolysin)、ストロメリシン、及び種々の細菌由来天然メタロプロテアーゼ類を含む。
【0068】
4.アスパラギン酸ペプチダーゼ
アスパラギン酸ペプチダーゼは、アスパラギン酸残基が活性化された水分子のリガンドであるため、このように名づけられている。このファミリーの殆どの酵素において、触媒水分子に結合し、そして活性化するために一対のアスパラギン酸残基が一緒に作用する。全てまたは殆どのアスパラギン酸ペプチダーゼはエンドペプチダーゼである。殆どのアスパラギン酸ペプチダーゼは広い特異性を有する。しかしながら、殆どのアスパラギン酸ペプチダーゼの最適pHは酸性の範囲である。このファミリーのアスパラギン酸ペプチダーゼの非限定的な例は、ペプシン、キモシン、ベータセクレターゼ、プラスメプシン、植物性酸プロテアーゼ類及びレトロウイルス性プロテアーゼ類を含む。
【0069】
5.コラゲナーゼ
創傷壊死組織除去に好適なタンパク質分解酵素はメタロプロテアーゼのコラゲナーゼである。コラゲナーゼは実質的に純粋であっても、または、検出可能なレベルで他のプロテアーゼを含有してもよい。
【0070】
コラゲナーゼの力価分析、及び「コラゲナーゼ単位」の意味は、本明細書中で使用されるように、(ウシアキレス腱)からの未変性コラーゲンのpH7.2且つ37℃で24時間消化に基づく。切断されたペプチド結合の数がニンヒドリンとの反応により測定される。トリプシン消化コントロールから放出されるアミノ基が減算される。一つの正味コラゲナーゼ単位は、1分当たり1ナノモルのロイシン同等物と同等なニンヒドリン反応性材料を溶解するであろう。
【0071】
本発明の組成物中のコラゲナーゼの量(力価または濃度)は創傷の壊死組織除去をするのに効果的な量である。一般に、組成物中のコラゲナーゼの力価は、産物中で使用されるコラゲナーゼの活性に基づき、産物1グラム当たり約1から約10,000コラゲナーゼ単位で異なり得る。種々の態様において、産物1グラム当たりのコラゲナーゼ単位として表現される力価は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500から約10000、またはこの中で推論できるいずれの範囲若しくは数値である。
【0072】
組成物中のコラゲナーゼの濃度は一般的に約0.001%重量/重量から約8%重量/重量で異なり得る。種々の態様において、重量当たりパーセント重量で表される濃度は約0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008.0.009、0.010、0.015、0.020、0.025、0.030、0.035、0.040、0.045、0.050、0.055、0.060、0.065、0.070、0.075、0.080、0.085、0.090、0.095、0.100、0.125、0.150、0.175、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、1、2、3、4、5、6、7から約8、またはこの中で推論できるいずれの範囲若しくは数値である。
【0073】
一態様において、コラゲナーゼはクロストリジウム・ヒストリチクム由来であるが、別の態様では、コラゲナーゼは他の源由来であってもよい。好適なコラゲナーゼを製造する方法は、本明細書中に参照として組み入れられる米国特許第3,705,083号、第3,821,364号、第5,422,261号、第5,332,503号、第5,422,103号、第5,514,370号、第5,851,522号、第5,718,897号及び第6,146,626号に開示されている。
【0074】
6.トリプシン
創傷壊死組織除去に好適な別のタンパク質分解酵素はセリンプロテアーゼであるトリプシンである。典型的には、トリプシンは健康なウシ若しくはブタ、またはその両方の膵臓由来である。トリプシンはまた組換起源でもあり得る。医薬品グレードのトリプシン(USP/NF)は結晶化トリプシンとして知られる。乾燥されたものを基準として計算すると、1mg当たり2500USP未満よりも少なくはないトリプシン単位を含有し、そして、標識力価の90.0%以上且つ110.0%以下である。トリプシンの力価分析及びUSPトリプシン単位の定義は、本明細書中に参照として組み入れられるUSP31(公式2008年8月1日)の結晶化トリプシンモノグラフ中に見出される。
【0075】
本発明の組成物中のトリプシン量(力価または濃度)は、創傷の壊死組織除去に有効なレベルである。一般に、組成物中のトリプシン力価は、産物1グラム当たり約90から約60,000USPトリプシン単位の範囲であり得る。種々の態様において、産物1グラム当たりのUSPトリプシン単位で表現されるトリプシン力価は、約90、100、150、200、250、300、320、350、375、400、500、600、675、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000、10000、20000、30000、40000、50000から約60000、または、またはこの中で推論できるいずれの範囲若しくは数値である。
【0076】
組成物中のトリプシン濃度は、一般に、約0.0025%重量/重量から約1%重量/重量の範囲であり得る。種々の態様において、重量当たりの重量パーセントとして表現されるトリプシン濃度は、約0.0025、0.0050、0.010、0.015、0.020、0.025、0.030、0.035、0.040、0.045、0.050、0.055、0.060、0.065、0.070、0.075、0.080、0.085、0.090、0.095、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95から約1、またはこの中で推論できるいずれの範囲若しくは数値である。
【0077】
D.親水性ポリオール
本発明の親水性ポリオールは少なくとも2つの水酸基を持つ水溶性の極性脂肪族アルコールであり、そして、例えばポリエチレングリコール及びポロキサマである重合体ポリオールを含む。本発明の一態様において分散相中の親水性ポリオールは液体親水性ポリオールである。ある態様では、液体親水性ポリオールは液体ポリエチレングリコール若しくは液体ポロキサマ、または、それらの混合物である。固形ポリエチレングリコールまたは固形ポロキサマ等の固形親水性ポリオールもまた本発明の分散相に分散を物理的に安定化するのを助けるために添加され得る。液体親水性ポリオールのその他の例は、これらに限定されないが、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、へキシレングリコール、グリセリン、へキシレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、炭酸プロピレン及びエトキシジグリコールを含み、そして、これらもまた分散相に添加され得る。
【0078】
1.ポリエチレングリコール
ポリエチレングリコールはエチレングリコール及び水のホモ重合体であり、次の式により示される:
H(OCH2CH2) nOH
ここで、nはオキシエチレン基の平均数を示す。ポリエチレングリコールは、その分子量に依存し25℃において液体または固体であり得る。
【0079】
以下の好適な、非限定的な液体ポリエチレングリコールの例はUSP学名命名法により記載される:ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール500及びポリエチレングリコール600。
【0080】
以下の好適な、非限定的な固形ポリエチレングリコールの例はUSP学名命名法により記載される:ポリエチレングリコール700、ポリエチレングリコール800、ポリエチレングリコール900、ポリエチレングリコール1000、ポリエチレングリコール1100、ポリエチレングリコール1200、ポリエチレングリコール1300、ポリエチレングリコール1400、ポリエチレングリコール1450、ポリエチレングリコール1500、ポリエチレングリコール1600、ポリエチレングリコール1700、ポリエチレングリコール1800、ポリエチレングリコール1900、ポリエチレングリコール2000、ポリエチレングリコール2100、ポリエチレングリコール2200、ポリエチレングリコール2300、ポリエチレングリコール2400、ポリエチレングリコール2500、ポリエチレングリコール2600、ポリエチレングリコール2700、ポリエチレングリコール2800、ポリエチレングリコール2900、ポリエチレングリコール3000、ポリエチレングリコール3250、ポリエチレングリコール3350、ポリエチレングリコール3750、ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール4250、ポリエチレングリコール4500、ポリエチレングリコール4750、ポリエチレングリコール5000、ポリエチレングリコール5500、ポリエチレングリコール6000、ポリエチレングリコール6500、ポリエチレングリコール7000、ポリエチレングリコール7500、及びポリエチレングリコール8000。
【0081】
液体及び固形ポリエチレングリコールは、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーからCARBOWAX(商標)の商品名で、そして、BASFコーポレーションからLUTROL(登録商標)E及びPLURACARE(登録商標)Eの商品名で市販されている。医薬品グレード(USP/NF)及び化粧品グレードの両方のポリエチレングリコールが本発明に好適である。
【0082】
2.ポロキサマ
ポロキサマは酸化エチレン及び酸化プロピレンの合成ブロック共重合体であり、次の式により示される:
HO(C2H4O)a(C3H6O)b(C2H4O)a H
この式中、a及びbは反復単位数を示す。一般に、個々のポロキサマに依存して、aは2から150であり、そして、bは15から70である。ポロキサマは、その分子量に依存し25℃において液体または固体であり得る。
【0083】
以下の好適な、非限定的な液体ポロキサマの例はCTFA/INCI学名命名法を用いて記載される:ポロキサマ101、ポロキサマ105、ポロキサマ122、ポロキサマ123、ポロキサマ124、ポロキサマ181、ポロキサマ182、ポロキサマ183、ポロキサマ184、ポロキサマ212、ポロキサマ231、ポロキサマ282、ポロキサマ331、ポロキサマ401及びポロキサマ402。
【0084】
以下の好適な、非限定的な固形ポロキサマの例はCTFA/INCI学名命名法を用いて記載される:ポロキサマ108、ポロキサマ188、ポロキサマ217、ポロキサマ237ポロキサマ238、ポロキサマ288、ポロキサマ338、ポロキサマ407、ポロキサマ185、ポロキサマ215、ポロキサマ234、ポロキサマ235、ポロキサマ284、ポロキサマ333、ポロキサマ334、ポロキサマ335及びポロキサマ403。
【0085】
液体及び固形ポロキサマは、BASFコーポレーションからPLURONIC(登録商標)及びLUTROL(登録商標)の商品名で、そして、UNIQEMAコーポレーションからSYNPERONIC(登録商標)の商標で市販されている。医薬品グレード(USP/NF)のポロキサマは、ポロキサマ124、ポロキサマ188、ポロキサマ237、ポロキサマ338及びポロキサマ407である。医薬品グレード及び化粧品グレードの両方のポロキサマが本発明に好適である。
【0086】
E.疎水性ベース
本発明の疎水性ベースは、これらに限定されないが、植物、動物、石油及び合成由来の脂肪、乳酪、グリース、ワックス、溶媒及び油、鉱物油、植物油、ワセリン、水不溶性有機エステル及びトリグリセリド、シリコン若しくはフッ素化物、またはそれらの混合物を含み得る。本発明の一態様において疎水相はワセリンを含む。
【0087】
植物由来材料は、これに限定されないが、落花生(ピーナッツ)油、ペルーバルサム油、カルナウバ蝋、カンデリラ蝋、ヒマシ油、水素化ヒマシ油、ココアバター、ココナッツ油、コーン油、綿実油、ホホバ油、マカダミア種子油、オリーブ油、オレンジ油、オレンジワックス、パーム核油、なたね油、サフラワー油、ゴマ油、シアバター、大豆油、ヒマワリ種子油、チャノキ油、植物油及び水素化植物油を含む。
【0088】
非限定的な動物由来の材料は、蜜蝋、タラ肝油、エミュー油、ラード、ミンク油、サメ肝油、スクアラン、スクアレン及び獣脂を含む。
【0089】
非限定的な石油材料は、イソパラフィン、微結晶蝋、重鉱物油、軽鉱物油、オゾケライト、ワセリン及びパラフィンを含む。
【0090】
好適な、非限定的な有機エステル及びトリグリセリドの例は、安息香酸C12-15アルキル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、中鎖トリグリセリド、トリラウリン及びトリヒドロキシステアリンを含む。
【0091】
非限定的なシリコンの例はジメチコン及びシクロメチコンである。フッ素化合物の非限定的な例はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。
【0092】
1.ワセリン
ワセリンは石油から得られる半固形炭化水素の精製混合物であり、そして、その色は濃い琥珀色から明るい黄色まで異なっている。白色ワセリンは完全またはほぼ完全に脱色されたワセリンであり、そしてその色はクリーム色から純白まで異なっている。ワセリン及び白色ワセリンはまた、融点、粘度及び濃度が異なり得る。
【0093】
PENRECOコーポレーションから種々のグレードのものが、PENRECO(登録商標)ULTIMA、PENRECO(登録商標)SUPER、PENRECO(登録商標)SNOW、PENRECO(登録商標)REGENT、PENRECO(登録商標)LILY、PENRECO(登録商標)CREAM、PENRECO(登録商標)ROYAL、PENRECO(登録商標)BLOND及びPENRECO(登録商標)AMBERの商品名で市販されている。SONNEBORNコーポレーションから種々のグレードのものが、ALBA(登録商標)、SUPER WHITE PROTOPET(登録商標)、SUPER WHITE FONOLINE(登録商標)、WHITE PROTOPET 1S(登録商標)、WHITE PROTOPET 2L(登録商標)、WHITE PROTOPET 3C(登録商標)、WHITE FONOLINE(登録商標)、PERFECTA(登録商標)、YELLOW PROTOPET 2A(登録商標)、YELLOW FONOLINE(登録商標)、PROTOLINE(登録商標)、SONOJELL #4(登録商標)、SONOJELL #9(登録商標)、MINERAL JELLY#10(登録商標)、MINERAL JELLY#14(登録商標)、MINERAL JELLY#17(登録商標)及びCARNATION TROUGH GREASE(登録商標)の商品名で市販されている。
【0094】
ワセリン及び白色ワセリンは化粧品グレード及び医薬品(USP/NF)グレードの両方が入手可能であり、そして、両方が本発明に好適である。
【0095】
F.局所用組成物
本発明の局所用組成物は疎水性連続相中に親水性分散相を含む分散物である。分散相はタンパク質分解酵素及び親水性ポリオールを含む。本発明の一態様において親水性ポリオールは液体親水性ポリオールである。幾つかの態様において、液体親水性ポリオールは液体ポリエチレングリコール若しくは液体ポロキサマ、またはその混合物である。連続相は疎水性ベースを含む。疎水性ベースはワセリンであり得る。組成物は創傷壊死組織除去のために創傷の処置に有用である。
【0096】
ここで定義されるように組成物は無水物であってもよい。組成物は半固形または液体であってもよい。組成物はパッド、ガーゼまたはスポンジ上に染み込まされていてもよい。組成物はまた無菌であり得る。
【0097】
組成物は、この性質の局所用組成物に好適な当技術分野において公知の追加の材料、例えば、吸収剤、脱臭剤、界面活性剤、溶媒、レオロジー変性剤、塗膜形成剤、安定剤、軟化薬、保湿剤、保存剤、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、芳香剤及び着色剤を含み得る。
【0098】
組成物はまた、この性質の局所用組成物に好適な当技術分野において公知の追加の薬学的に活性な成分、例えば、抗菌剤、創傷治癒剤、麻酔剤、傷薬及び止血剤を含んでいてもよい。傷薬の非限定的な例はペルーバルサムである。
【0099】
組成物は創傷壊死組織除去を投与するのに好適ないずれのパッケージに包装し得る。組成物は、多用途、単回用量、または定量用量パッケージに包装し得る。非限定的な例は、チューブ、瓶、広口瓶、ポンプ容器、圧力容器、ブラッダー(bladder)容器、エアゾール容器、エアゾールスプレー容器、ノンエアゾールスプレー容器、シリンジ、ポーチまたは小袋を含む。
【0100】
G.製造工程
本発明の組成物は、当技術分野における通常の技術を有する者に公知の技術及び方法により、入手可能な親水性ポリオールの一部または全てにタンパク質分解酵素を溶解または懸濁することにより調製できる。得られた溶液または懸濁液は、分散物を形成するよう疎水性ベースと混合でき、疎水性ベースが連続相となり、そして、親水性ポリオール/酵素相は分散相となる。これらの組成物は、当技術分野における通常の技術を有する者に公知の加工設備、例えば、ブレンダー、ミキサー、ミル、ホモジェナイザー、分散機、溶解機等々を用いて調製され得る。
【0101】
H.インビトロ人工的焼痂試験モデル
組成物の酵素活性の増幅は、以下、及び、本明細書に参照として組み入れられる出版物「製剤化酵素創傷壊死組織除去剤の壊死組織除去効率についての人工的創傷焼痂を用いたインビトロ評価及びインビボブタモデルによる研究(Study on the debriment efficacy of formulated enzymatic wound deriding agents by in vitro assessment using artificial wound eschar and by an in vivo pig model)」 Shiら、Wound Repair Regen、2009年、17(6):853に記載されるようなインビトロ人工的焼痂試験モデルを用いて組成物を試験することにより立証された。ウシコラーゲン(I型)、ウシフィブリノーゲン及びエラスチンを人工的創傷焼痂(AWE)基質を作るために使用した。AWE基質を産生するために使用された原材料は、コラーゲン-FITC標識、エラスチン-ローダミン、及びフィブリン-クマリンであった。AWE基質を1グラム調製するために、650mgのコラーゲン-FITC、並びに、各々100mgのエラスチン-ローダミン及びフィブリン-クマリンを50mLのチューブに量り入れ、そして10mLのトリス緩衝液生理食塩水中にホモジェナイズした。別のチューブ中に、10mLの15mg/mLのフィブリノーゲン溶液をトリス緩衝液生理食塩水で調製した。2つの溶液を合わせそして十分混合した。トロンビン溶液(50U/mLの0.25mL)を添加し、急速に混合し、そして溶液を90mmの非反応性膜フィルターを含むペトリ皿中に注いだ。トロンビン誘導フィブリノーゲン重合の結果、材料は、染色されたタンパク質を固形マトリックスへと凝固させることにより、膜フィルターの上に軟らかいシートを形成し始めた。凝固されたAWE基質を30分間固化させ、そしてその後、トロンビンを除去するために15分間水で洗浄した。AWE基質を使用するために、さらに調製物中含水量75%まで脱水した。
【0102】
膜にAWE基質を付着させたまま、穴あけ器を用いて直径35mmの破片を切り出した。AWE基質切り出しをフランツ型拡散セルシステム(Hanson Research, Chatsworth, CA)の平面上に載せ、そしてその上にTEFLON(登録商標)サンプルホルダーを載せた。壊死組織除去軟膏試料をサンプルホルダーの中央部に載せ、そして全ての過剰な試料を掻き取った。レセプターセル中の溶液は、コラゲナーゼ、パパイン、サーモリシンまたはトリプシンを含む試料についてはpH7.4のトリス緩衝液であり、そして、ペプシンを含む試料についてpH2の酢酸ナトリウム緩衝液であった。レセプターセル中の溶液は、次の試料採取時間において1mLの増加量で採取した:0、1、2、3、6、12、18及び24時間。一端終了後、試料を485nm(励起波長)及び520nm(発光波長)におけるFITC染料の蛍光測定により、mg/mlで報告されるコラーゲンの消化(コラーゲノリシス)について決定するために分析した。
【0103】
I.インビトロ物理的酵素放出試験
組成物からの酵素の放出はPVDF(0.45ミクロン)フィルターを用いたフランツセル拡散研究により決定した。この研究は35℃において行われ、そして6時間かかった。レセプターセル中の溶液試料は総タンパク質分析に付された。
【0104】
タンパク質濃度はBCA分析(Peirce)で決定され、同じコラゲナーゼを参照標準として用いた。詳細は以下に記載される通りである。
【0105】
BCAタンパク質分析は、周知のアルカリ媒体中のタンパク質によるCu2+からCu1+への還元を、ビシンコニン酸による銅一価の陽イオン(Cu1+)の感度が高く且つ選択的な比色定量検出と組み合わせる。第一の工程は、青色の複合体を形成する、アルカリ環境中での銅のタンパク質とのキレート化である。このビューレット反応として知られる反応中、3またはそれ以上のアミノ酸残基を含むペプチドは、酒石酸ナトリウムを含むアルカリ環境中で第二銅イオンと色のついたキレート複合体を形成する。有機化合物ビューレット(NH2-CO-NH-CO-NH2)及び第二銅イオンも類似の複合体を形成するため、これはビューレット反応として知られることとなった。過剰の尿素及び熱の産物であるビューレットは、銅と反応して水色の四配位複合体を形成する。発色現象反応の第二の工程において、感度が高く且つ選択的な比色定量検出試薬であるBCAは、工程1において形成された銅一価の陽イオン(Cu1+)と反応する。2分子のBCAと一つの銅一価イオンとのキレート化により紫色の反応産物が形成される。BCA/銅複合体は水溶性であり、そして562nmにおいてタンパク質濃度の増加と共に強い直線状の吸収を示す。紫色は、最小(10%より少ない)のシグナルの消失で、550nmから570nmの間のいずれの波長においても測定できる。本明細書中に参照として組み入れられる次の刊行物を参照せよ:Smith, P.K.、Krohn, R.I.、Hermanson, G.T.、Mallia, A.K.、Gartner, F.H.、Provenzano, M.D.、Fujimoto, E.K.、Goeke, N.M.、Olson, B.J.及びKlenk, D.C.(1985年)。ビシンコニン酸を用いたタンパク質の測定(Measurement of protein using bicinchoninic acid.)。Anal.Biochem.150巻、70-85頁。
【実施例】
【0106】
以下の実施例は、一定の非限定的な本発明の態様を示すために含まれる。以下の実施例中に開示される技術が本発明の実施において良く機能することが出願人により発見された技術を示すものであることが、当業者には認識されるであろう。しかしながら、本発明の開示に照らして、当業者は、開示される特定の態様中に多くの変更を加えることができ、そして、それでも本発明の精神または範囲から外れることなく、同様または類似の結果が得られることを認識するであろう。
【0107】
実施例1:コラゲナーゼ/PEG400のワセリン中分散物
表1中の分散物が、ワセリン中に分散される種々の濃度のポリエチレングリコール400(PEG-400)を用いて調製された。
【0108】
(表1)
*PEG-1450がPEG-400に添加され、各々、およそ96%及び100%の総PEGとなる半固体を形成した。
【0109】
各分散物の酵素壊死組織除去活性は上記のインビトロ人工的焼痂モデルにより決定され、そしてその結果が図1に描かれる。図1中の結果から見て取れるように、24時間曲線に基づくPEG-400の最適量は約20%重量/重量PEG-400である。
【0110】
実施例2:コラゲナーゼ/PEG600のワセリン中分散物
表2中の分散物が、ワセリン中に分散される種々の濃度のポリエチレングリコール600(PEG-600)を用いて調製された。
【0111】
(表2)
【0112】
各分散物の酵素壊死組織除去活性は上記のインビトロ人工的焼痂モデルにより決定された。結果が図2に描かれる。図2中の結果から見て取れるように、24時間曲線に基づくPEG-600の最適量は約30%重量/重量PEG-600である。
【0113】
実施例3:コラゲナーゼ/ポロキサマ124のワセリン中分散物
表3中の分散物が、ワセリン中に分散される種々の濃度のポロキサマ124を用いて調製された。
【0114】
(表3)
*ポロキサマ407がポロキサマ124に添加され、およそ100%の総ポロキサマとなる半固体を形成した。
【0115】
各分散物の酵素壊死組織除去活性は上記のインビトロ人工的焼痂モデルにより決定された。結果が図3に描かれる。図3中の結果から見て取れるように、24時間曲線に基づくポロキサマ124の最適量は約30%重量/重量ポロキサマ124である。
【0116】
実施例4:トリプシン/PEG400のワセリン中分散物
表4中の分散物が、ワセリン中に分散される種々の濃度のポリエチレングリコール400(PEG-400)を用いて調製された。
【0117】
(表4)
*PEG-1450がPEG-400に添加され、およそ97%の総PEGとなる半固体を形成した。
【0118】
各分散物の酵素壊死組織除去活性は上記のインビトロ人工的焼痂モデルにより決定された。結果が図4に描かれる。図4中の結果から見て取れるように、24時間曲線に基づくPEG-400の最適量は約14%重量/重量PEG-400である。
【0119】
実施例5:パパイン/PEG400のワセリン中分散物
表5中の分散物が、ワセリン中に分散される種々の濃度のポリエチレングリコール400(PEG-400)を用いて調製された。
【0120】
(表5)
*PEG-1450がPEG-400に添加され、およそ97%の総PEGとなる半固体を形成した。
【0121】
各分散物の酵素壊死組織除去活性は上記のインビトロ人工的焼痂モデルにより決定された。結果が図5に描かれる。図5中の結果から見て取れるように、24時間曲線に基づくPEG-400の最適量は約29%重量/重量PEG-400である。
【0122】
実施例6:サーモリシン/PEG400のワセリン中分散物
表6中の分散物が、ワセリン中に分散される種々の濃度のポリエチレングリコール400(PEG-400)を用いて調製された。
【0123】
(表6)
*PEG-1450がPEG-400に添加され、およそ97%の総PEGとなる半固体を形成した。
【0124】
各分散物の酵素壊死組織除去活性は上記のインビトロ人工的焼痂モデルにより決定された。結果が図6に描かれる。図6中の結果から見て取れるように、24時間曲線に基づくPEG-400の最適量は約29%重量/重量PEG-400である。
【0125】
実施例7:ペプシン/PEG400のワセリン中分散物
表7中の分散物が、ワセリン中に分散される種々の濃度のポリエチレングリコール400(PEG-400)を用いて調製された。
【0126】
(表7)
*PEG-1450がPEG-400に添加され、およそ96%の総PEGとなる半固体を形成した。
【0127】
各分散物の酵素壊死組織除去活性は上記のインビトロ人工的焼痂モデルにより決定された。結果が図7に描かれる。図7中の結果から見て取れるように、24時間曲線に基づくPEG-400の最適量は約58%重量/重量PEG-400である。
【0128】
実施例8:酵素の物理的放出のためのコラゲナーゼ/PEG400のワセリン中分散物
表8中の分散物が、ワセリン中に分散される種々の濃度のポリエチレングリコール400(PEG-400)を用いて調製された。
【0129】
(表8)
*PEG-1450がPEG-400に添加され、各々、およそ83%及び100%の総PEGとなる半固体を形成した。
【0130】
酵素の物理的放出は上記のインビトロ物理的酵素放出試験により決定された。結果は図8に描かれる。図8中の結果から見て取れるように、コラゲナーゼの物理的放出は分散物中のPRG-400濃度の増加と共に全般的に増加し、100%で最大の放出そして0%PEG-400で最低の放出であった。
【0131】
ここで示される結果から見て取れるように、親水性ポリオールの増加された濃度の関数としての分散物の物理的酵素放出プロファイルは、親水性ポリオールの増加された濃度の関数としての酵素の酵素活性プロフィールと相関しなかった。
【0132】
実施例9:安定性及び効率データ
図9は、本発明の分散物(「WP分散物中30%PEG」)及び水中油型乳剤(「水性クリーム」)中のコラゲナーゼの安定性を比較するデータを提供する。これらのデータは、水性クリームと比較した場合に、WP分散物中30%PEG中においてコラゲナーゼがより安定であったことを示唆する。表9〜10は、WP分散物中30%PEG及び水性クリーム製剤についての説明書を提供する。
【0133】
(表9)(WP分散物中30%PEG)*
*WP分散物中PEGは次のように調製された:(A)活性相:(1)9.71グラムのPEG-600及び0.2361グラムのコラゲナーゼを室温(20〜25℃)において20分間、45分間混合した。(B)主位相:(1)102.784グラムの白色ワセリン、37.65グラムのPEG-600、及び2.27グラムのポロキサマ-407を均一になるまで70℃で混合した;(2)混合物を40〜45℃に冷却した。主位相に添加の7.79グラムの活性相を添加し、続いて、30分間または均質な混合物が得られるまで攪拌した。
【0134】
(表10)(水性クリーム)*
*水性クリームは次のように調製された:(A)活性相:(1) 0.2グラムのコラゲナーゼを20グラムの脱イオン水と混合した。(B)主位相:(1)20.36グラムの白色ワセリンを4.5グラムの乳化ロウ、4.5グラムのIncroquateTMS、及び19.83グラムのグリセリン(96%)と70℃において均一になるまで混合し;(2)混合物を35〜40℃に冷却した。主位相に活性相を添加し、続いて、30分間または均質な混合物が得られるまで攪拌した。
【0135】
図10は、ブタ熱創傷の焼痂除去における、本発明の分散物(「白色ワセリン中PEG」−表11)の次の3つの製剤に対する酵素壊死組織除去効率を比較するデータを提供する:(1)水性クリーム−表12;(2)SANTYL(登録商標)(コラゲナーゼ及び白色ワセリンの混合物である「市販製品」);及び(3)ハイドロゲル製剤−表13。熱創傷がブタに作出され、そして数日後に硬い焼痂が形成された。製剤は一日に一回硬い焼痂に2週間に亘って適用された。完全に壊死組織除去された創傷のみが「完全壊死組織除去」として数えられた。各処置につき総数20個の創傷があった。
【0136】
(表11)(白色ワセリン中PEG)*
*白色ワセリン中PEGは次のように調製された:(A)活性相:(1)32.67グラムのPEG-600及び1.63グラムのポロキサマ-407を70℃で、混合物が透明になるまで均質化し;(2)混合物を約35℃まで冷却し;そして、(3)サーモリシンを混合し、少なくとも30分間混合した。(B)主位相:(1)236.52グラムの白色ワセリン、30.05グラムのPEG-600、及び1.5グラムのポロキサマ-407を70℃で均質化し;そして(2)混合物を約35℃まで冷却した。活性相(B)を主位相(B)に添加し、そして室温(20〜25℃)で45分間混合した。
【0137】
(表12)(水性クリーム)*
*水性クリームは次のように調製された:(1)パラベンを緩衝液中、高温(>70℃)でグリセリンと共に融解し;(2)乳化ロウ及びパルミチン酸イソプロピルを添加し;(3)混合物を高温で45分間混合し、そしてその後、約35℃まで冷却し;(4)サーモリシンをスラリーとして緩衝液中に添加し;(5)混合物を室温(20〜25℃)まで冷却した。
【0138】
(表13)(ハイドロゲル)*
*ハイドロゲルは次のように調製された:(1)パラベン及びプロピレングリコールを水中に70℃で溶解し;(2)室温(20〜25℃)でHPMCを添加し;(3)サーモリシンを添加して、そして乳状粘性の溶液が形成された。
図1
図2
図3
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図6
図7
図8
図9
図10