(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ステント係合部材の前記遠位端が切欠きを含み、前記プッシャアセンブリが、該ステント係合部材の該遠位端の周囲に配置されかつ該切欠きを少なくとも部分的にふさぐ管をさらに含む、請求項1記載のプッシャアセンブリ。
前記ステント係合部材が第一の内径を有し、前記細長い内側部材が、該ステント係合部材の前記近位端の近くにおける第二の内径を有し、該第一の内径が該第二の内径に実質的に等しい、請求項1〜3のいずれか一項記載のプッシャアセンブリ。
前記細長い内側部材がガイドワイヤルーメンを少なくとも部分的に画定し、前記ステント係合部材が該ガイドワイヤルーメンを少なくとも部分的に画定し、前記非外傷性チップが該ガイドワイヤルーメンを少なくとも部分的に画定する、請求項12記載のステント送達装置。
前記軸部の前記遠位端が前記切欠きを含み、前記ステント係合部材が、該軸部の該遠位端の周囲に配置されかつ該切欠きを少なくとも部分的にふさぐ管をさらに含む、請求項20記載のシステム。
前記ステント係合部材が第一の内径を有し、前記細長い内側管状部材が、該ステント係合部材の前記近位端の近くにおける第二の内径を有し、 該第一の内径が該第二の内径に実質的に等しい、請求項19〜25のいずれか一項記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
特定の態様および例が以下に記載されるが、当業者は、本発明が、具体的に開示される態様および/または用途ならびにそれらの自明の変形および均等物を超えるほどに及ぶということを理解するであろう。したがって、本明細書に開示される発明の範囲は、以下に記載される特定の態様によって限定されるべきではないと解釈される。
【0018】
本明細書に記載される送達システムの特定の局面は、参照により全体として本明細書に組み入れられる米国特許出願第11/876,764号(米国特許公開公報第2008/0097572号として公開)に記載されている。
【0019】
図1Aは、ステント送達装置10の例示的態様を示す。ステント送達装置10は、近位端部分2、一つまたは複数の中間部分11、6および遠位端部分4を含み、それらのそれぞれを本明細書においてさらに詳細に説明する。ステント送達装置10は、装置ボディまたはハンドル90および外側シースまたは外側部材20を含む。特定の態様において、外側シース20の外径は7フレンチ(0.092インチ、2.3mm)である。特定の態様において、外側シース20の外径は6フレンチ(0.079インチ、2.0mm)である。また、外側シース20の他の直径が可能である。
【0020】
図1Bは、ステント送達装置10の別の例示的態様を示す。ステント送達装置10は、近位端部分2、一つまたは複数の中間部分11、6および遠位端部分4を含み、それらのそれぞれを本明細書においてさらに詳細に説明する。ステント送達装置10は、装置ボディまたはハンドル90および外側シースまたは外側部材20を含む。特定の態様において、外側シース20の外径は7フレンチ(0.092インチ、2.3mm)である。特定の態様において、外側シース20の外径は6フレンチ(0.079インチ、2.0mm)である。また、外側シース20の他の直径が可能である。
【0021】
ステント送達装置10の近位端部分の例示的態様が、
図2Aに斜視図で示され、
図3Aに断面図で示されている。ステント送達装置10の近位端部分の別の例示的態様が、
図2Eに斜視図で示され、
図3Fに断面図で示されている。ステント送達装置10は、装置ボディまたはハンドル90に結合されている(かつ、
図2A、2E、3Aおよび3Fに示す態様においては、それに対して長軸方向にスライド可能に取り付けられている)ユーザ操作可能な要素またはスイッチ50を含む。スイッチ50はまた要素40(
図3C)に結合されており、当該要素40は、
図2A、2E、3Aおよび3Fに示す態様においては通路を有し、かつ外側シース20内に嵌るように構成されている。スイッチ50は、装置ボディ90上にスライド可能に取り付けられ、ブロック51を介して要素40に結合されている。いくつかの態様において、ブロック51は、スイッチ50を
図3Aまたは3Fに示す位置に向けて付勢する付勢要素(たとえばばね)を含んでもよい。いくつかの態様において、ブロック51は付勢要素を含まない。
【0022】
装置10のスイッチ50、ブロック51および要素40は、近位端方向および遠位端方向(装置10の縦軸(図示せず)に沿う)に可動であり、概して、他の方向には動きを制限される。したがって、スイッチ50の近位端方向への移動(近位端側92に向かう)は要素40の近位端方向への移動を生じさせ、スイッチ50の遠位端方向への移動(遠位端側91に向かう)は要素40の遠位端方向への移動を生じさせる。いくつかの態様において、(近位端方向または遠位端方向への)スイッチ50が移動する距離は、同じ距離の要素40の移動に変換される。いくつかの態様において、(近位端方向または遠位端方向への)スイッチ50が移動する距離は、(たとえば、ギヤアップまたはダウンされることにより)要素40の異なる距離の移動に変換される。本明細書においてさらに詳細に説明するように、要素40はステント係合要素45に結合され、このステント係合要素45が、スイッチ50が遠位端方向に動かされる期間の少なくとも一部分の間、装填されたステント30と係合し、それを外側シース20から遠位端方向に駆動する。
【0023】
外側シース20は装置ボディ90から遠位端方向に延びる。装置10はまた、内側部材60を含むことができ、その一部分は外側シース20内に位置している(たとえば、その中に同軸的に配置されている)。たとえば
図4Aに示すように、内側部材60(および、
図2Dに示すような特定の態様においては、内側スリーブ61)は、その遠位端が非外傷性チップまたはノーズコーン150に結合されている。(たとえば、外側シース20の内径が内側部材60の外径とは十分に異なり、それらが必ずしも接触しないために)外側シース20によって軸方向だけに制限されない内側部材60は、外側シース20に対するノーズコーン150の動きを容易にする。内側部材60は、ガイドワイヤ(たとえば、0.018インチ(約0.46mm)の直径を有する)が通され得るガイドワイヤルーメンを少なくとも部分的に画定する。ノーズコーン150は、ガイドワイヤ(たとえば、0.018インチ(約0.46mm)の直径を有する)が通され得るガイドワイヤルーメンを少なくとも部分的に画定する。
【0024】
放射線不透過性マーカ27が外側シース20沿いの任意の適当な位置に配置されて、ステント30の展開を支援するための手段を提供し得る。たとえば、外側シース20の遠位端からマーカ27までの距離は、その展開状態で送達されているステント30の呼び長さであり得る。
【0025】
図4Bは、外側シース20内のステント30の遠位端31を示す。いくつかの態様において、要素40またはステント係合部材45のいずれも内側部材60に取り付けられていない。特定のそのような態様において、要素40が、内側部材60が固定されている間に内側部材60を覆って近位端方向に動かされてもよく、ステント係合部材45が、内側部材60が固定されている間に内側部材60を覆って近位端方向および遠位端方向に動かされてもよい。
【0026】
図2A、2C、2E、3Aおよび3Fを参照すると、スイッチ50の許容可能な近位端−遠位端方向への動きは、装置ボディ90中のスロット52の長さおよび一つまたは複数のストッパ120の位置によって制限される。
図2Aおよび2Eに示すストッパ120の第一の位置121は、スイッチ50の遠位端方向への動きをスロット52の全長未満に制限する。いくつかの態様において、第一の位置121は、ステント係合部材45が外側シース20内に残る、スイッチ50の最も遠位端側の位置に対応する。これは、ステント30を進めるための例示的配置に対応する。ストッパ120は、好ましくは、たとえばばねによって第一の位置121へと付勢される。
図2Cおよび3Aにおいて、ストッパ120は、スイッチ50がスライドしてストッパ120を通り過ぎることを可能にする第二の位置122へと回されている。
【0027】
図2Dは、内側部材60の長軸方向に延び、かつガイドワイヤ(図示せず)を受け入れるように構成されている内側スリーブ61の形態にある内側部材60の例示的態様を含む装置10の例示的態様のサブアセンブリの断面図である。いくつかの態様において、内側部材60は、その遠位端または他の任意の適当な位置で任意の適当なやり方で、たとえばLoctite(登録商標)4014接着剤によって内側スリーブ61に固定されてもよい中間スリーブ62を含む。中間スリーブ62(たとえばハイポチューブを含む)はまた、内側部材60の近位端まで延びてもよい。いくつかの態様において、内側部材60は、その遠位端または他の任意の適当な位置で任意の適当なやり方(たとえばはんだ付け)で中間スリーブ62に接続された外側スリーブ63(ハイポチューブを含む)を含む。外側スリーブ63はまた、内側部材60の近位端まで延びてもよい。いくつかの態様において、内側部材60は、その遠位端または他の任意の適当な位置で任意の適当なやり方(たとえばはんだ付け)で外側スリーブ63に接続された移動制限スリーブ64を含む。スリーブ64は、装置ボディ90に対する内側部材60の移動を制限するように構成され得る。スリーブ64は、(そのサイズのせいで)装置ボディ90のキャビティ55の近位端開口と干渉するように構成されることができる(たとえば
図3Aに示すように)。スリーブ64は、遠位端方向ではブロック51と干渉するように構成されることができる(たとえば、ルアーフィッティング100がはじめにYアダプタ95と干渉しないならば)。
【0028】
図3Bは、要素25と導入器35の止血弁のシール31との相互作用を示す拡大断面図である。特定の態様において、装置10は、外側シース20に結合(たとえばスライド可能に結合)されている要素25を含む。いくつかの態様において、要素25は、外側シース20の外面に沿って相対的に自由にスライドするように構成されている。特定のそのような態様において、要素25は、導入器35の止血弁と干渉するように構成されている。要素25は、少なくとも部分的に導入器35の内側に嵌り、止血弁と干渉して、流体が装置10のハンドル90へと逆流することがないように構成されているが、それでもなお、装置の外側シース20が要素25および導入器35内で相対的に自由にスライドすることを可能にする。要素25は、外側シース20と患者の外面との間の実質的な流体シールを維持しながらも、装置10の外側シース20と、装置10の外側シース20が挿入される導入器35との間の摩擦を減らすことができる。
【0029】
図3Cは、任意の適当なやり方で、たとえば肩部57で終端するプレス嵌めによって、または適当な接着剤、たとえばLoctite(登録商標)接着剤の一つ(たとえば4014、4305、3321など)によってブロック51に固定された近位端ハイポチューブ41を含む要素40の例示的態様を含む装置10の例示的態様のサブアセンブリの断面図である。ブロック51はピン54を介してスイッチ50に固定されており、当該ピン54は、スイッチ50に接着されることができ、かつブロック51にプレス嵌めまたは接着されることができる。要素40はまた、その近位端において任意の適当なやり方で、たとえばLoctite(登録商標)4305によって、近位端ハイポチューブ41に接続され、かつその遠位端において支持管または軸部46(他方でステント係合部材45に接続されている)に接続されている中間管42を含み得る。いくつかの態様において、要素40は、中間管42を覆うように配置されかつ近位端ハイポチューブ41の遠位端に当接している支持管43を含む。
【0030】
特定の態様において、支持管43は任意の適当な位置で中間管42に接続される(たとえば、任意の適当な接着剤を使用して)。支持管43は、中間管42の剛性を増すように構成され得る。
【0031】
要素40はまた、中間管42を覆うように装着されかつ支持管43の遠位端に当接する戻り止め44を含み得る。戻り止め44は、任意の適当な接着剤を使用して任意の適当な位置で中間管42に接続され得る。戻り止め44は、送達過程中にステント30がシース内に戻される場合、外側シース20によって包囲されたステント30の近位端方向への移動を阻止するように構成され得る。
図3Cに示すサブアセンブリはまた、内側部材60の外面および内側部材60の特定の態様における外側ハイポチューブの周囲の流体の逆流を減らす(たとえば阻止する)ように設計された、リテーナ58(たとえばステンレス鋼を含む)によって定位置に保持されるシール56(たとえばシリコーンを含む)を含む。
【0032】
図6は、その一部分が外側シース20内に位置するような要素40を示す。いくつかの態様において、要素40は中空であり、その通路が、その内部に位置する内側部材60の一部分を収容する。要素40のいくつかの態様は非中空であってもよい。
【0033】
図5Aは、プッシャアセンブリまたはラチェットアセンブリ500の例示的態様を模式的に示す。プッシャアセンブリ500は、内側部材60の遠位端、ステント係合部材45およびコネクタ74を含む。ステント係合部材45の近位端は内側部材60の遠位端に近接する。コネクタ74は、内側部材60の遠位端をステント係合部材45の近位端に機械的に結合する。
【0034】
特定の態様において、内側部材60は三つの層:(1)内層60a(たとえばナイロンを含む)、(2)中間層60b(たとえば編みステンレス鋼リボンを含む)および(3)外層60c(たとえばナイロンを含む)を含む。いくつかの態様において、内側部材60の遠位端は内層60aおよび中間層60bを含む。特定のそのような態様において、外層60cは内側部材60の遠位端から除去される(たとえばミリング、ストリッピング、エッチングされる)。
【0035】
図7A〜7Gは、ステント係合部材45の例示的態様を示す。ステント係合部材45は、ステント係合部材45の遠位端に向けて半径方向外向きに延びている部分を含む。
図7A、7B、7Fおよび7Gに示す態様において、ステント係合部材45は、カーブした遠位端を有するシャベル形またはスコップ形を有する部分を含む。
図7Cおよび7Dに示す態様において、ステント係合部材45は、平らな遠位端を有するシャベル形またはスコップ形を有する部分を含む。いくつかの態様において、ステント係合部材45は、(たとえばニッケル・チタン合金を含む)ハイポチューブを切断(たとえばレーザ切断)、変形およびヒートセットすることによって形成され得る。たとえば、
図7A〜7D、7Fおよび7Gは、概ね円柱形のハンドル部分と、ステント係合部材45の遠位端に向けて半径方向外向きに延びている、切断、変形およびヒートセットされたシャベル形またはスコップ形の部分とを示す。
【0036】
図7Bは、疲労応力破損などを緩和し、ステント係合部材がステント30のルーメン内で近位端方向にスライドする際にステント係合部材45がより容易に内方に変形することを可能にするように構成された撓みスロット48を含むステント係合部材45の態様を示す。いくつかの態様において、撓みスロット48はダンベルまたは犬骨の形を有する。いくつかの態様において、撓みスロット48は、ハイポチューブを切断する際に形成される。また、撓みスロットの他の形状も可能である。また、撓みスロットと他のステント係合部材45(たとえば、
図7A、7C、7D、7Fおよび7Gに示すステント係合部材45)との組み合わせも可能である。
【0037】
いくつかの態様において、ステント係合部材45は、軸部46および軸部46に機械的に結合されたラチェットを含む。軸部46は、ラチェットの直径よりも小さい外径を有するハイポチューブ(たとえばニッケル・チタン合金を含む)を含み得る。再び
図5Aおよび5Bを参照すると、軸部46は、ステント係合部材45が内側部材60の遠位端に機械的に結合されるときの応力を減らすことができる凹状または扇形の近位端面49を有してもよい。いくつかの態様において、軸部46の外径はラチェットの内径に実質的に類似している。いくつかの態様において、軸部46の外径は内側部材60の中間層60bの外径に実質的に等しい。
【0038】
いくつかの態様において、軸部46は、ポリマーとの結合を高めるように構成された部分を含む。
図7Aは、切欠き460を含む軸部46を含むステント係合部材45の例示的態様を示す。いくつかの態様において、切欠き460はレーザ切断されている。いくつかの態様において、切欠き460は、切断後、変形およびヒートセットされてもよい(たとえば、切欠き460中の突起を内方に付勢するために)。また、切欠きの他の形状が可能である。また、軸部46と他の形状(たとえば、
図7B〜7D、7Fおよび7Gに示す形状)の切欠き460との組み合わせが可能である。
【0039】
図7Dは、複数の開口部464を含む軸部46を含むステント係合部材45の例示的態様を示す。いくつかの態様において、開口部464はレーザ切断されている。いくつかの態様において、複数の開口部464は三つのスルーホールまたは六つの個々の穴を含む。特定の態様において、複数の開口部464は、第一のスルーホール464a、第二のスルーホール464bおよび第三のスルーホール464cを含む。第一のスルーホール464aおよび第二のスルーホール464bは、周方向に整列し、長軸方向に離間している。第三のスルーホール464cは、第一のスルーホール464aおよび第二のスルーホール464bから周方向に約90°回転している。第三のスルーホール464cは、長軸方向に第一のスルーホール464aと第二のスルーホール464bとの間にある。第三のスルーホール464cは、第一のスルーホール464aおよび/または第二のスルーホール464bのいくつかの部分と長軸方向にオーバーラップする部分を含み得る。また、開口部464の他の数および開口部464の他の配向が可能である(たとえば、スルーホールではない開口部、周方向に約30°、約45°、約60°、約90°、約120°、約135°、約150°、約180°およびそれらの間の範囲でオフセットされている開口部、長軸方向にオフセットされている開口部など)。
【0040】
いくつかの態様において、切欠き460と開口部464との組み合わせが使用されたり、かつ/または互いに代用されたりしてもよい。たとえば、
図7Aまたは7Bに示すステント係合部材45の軸部46が、
図7Dに示す複数の開口部464を含み得る。別の例として、
図7Dに示すステント係合部材45の軸部46が、
図7Aに示す切欠き460を含み得る。
【0041】
いくつかの態様において、軸部46は、ラチェットを通過して、たとえばラチェットの遠位端を越える長さまで延びる。たとえば、
図7Dは、ラチェットを通過してラチェットの付形部分の遠位端を越える長さまで延びる軸部46を含むステント係合部材45の例示的態様を示す。
【0042】
いくつかの態様において、軸部46は、たとえば軸部46の可撓性を増すように構成された、遠位端に近接するレーザ切断部462を含む。いくつかの態様において、レーザ切断部462は一つまたは複数のらせんを含む。たとえば、レーザ切断部462は、第一の周方向位置から出発して第一の方向に巻く第一のらせんおよび第二の周方向位置(たとえば、第一の周方向位置から約180°)から出発して同じく第一の方向に巻く第二のらせんを含み得る。
【0043】
いくつかの態様において、軸部46は、長軸方向に離間した二つのアーチ形溶接部(たとえばレーザ溶接部)によってラチェットに機械的に結合されている。たとえば、
図5Aおよび7Aは、ラチェットを軸部46に結合する長軸方向に離間した二つのアーチ形(たとえば全周囲)溶接部47を示す。いくつかの態様において、アーチ形溶接部はほぼ同じ周方向位置から始まる。いくつかの態様において、軸部46は、アーチ形に離間した複数のスポット溶接部(たとえばレーザ溶接部)によってラチェットに機械的に結合されている。たとえば、
図7Dにおける7E-7E線から見た断面図である
図7Eは、ラチェットを軸部46に結合するアーチ形に離間した三つのスポット溶接部472a、472b、472cを示す。また、他の数のスポット溶接部が可能である(たとえば、五つ以下、三つ以下、一つなど)。いくつかの態様において、溶接部472a、472b、472cは、約30°、約45°、約60°、約75°、約90°、約120°およびそれらの間の範囲で離間しており、その場合、角度は、溶接部472a、472b、472cと共通の点(たとえば、軸部46の中心、ラチェットの中心など)とを接続する線の間で計測されてもよい。たとえば、
図7Eに示す態様において、溶接部472aは溶接部472cから約90°離間し、溶接部472bは溶接部472a、472cから約45°離間している。
【0044】
第一の溶接部(たとえば溶接部472b)が形成されると、軸部46は、その溶接点472bでラチェットの中心から引き離される。この引き離しが反対側でラチェットと軸部46との間にギャップ474を形成することができる。アーチ形溶接部において、溶接がギャップ474の最大距離に近づくにつれて、ラチェットと軸部46との間の接続は、おそらく溶接部分が結合効果を有しないであろう程度にまで弱くなり得る。複数のスポット溶接部がアーチ形溶接部と少なくとも同じくらいの結合効果を生じさせ、加工時間を短縮し、より頑丈な結合を作り出す場合がある。
図7Eに示す態様において、溶接部472a、472b、472cは、それぞれ、ラチェットと軸部46との間に結合効果を有する。ラチェットが片側により多くの材料(たとえば、
図7A〜7Dに示すラチェットのシャベルまたはスコップ部分)を有する態様において、スポット溶接部472a、472b、472cはその側に実施されて、誤差(たとえば長軸方向溶接誤差)のためのさらなる余地を提供してもよい。特定の態様において、ギャップ474は少なくとも部分的にふさがれてもよい(たとえばポリマーによって)。
【0045】
図7Fおよび7Gは、ステント係合部材45の別の例示的態様を示す。ステント係合部材45は、ステント係合部材45の遠位端に向けて半径方向外向きに延びている部分を含む。
図7Dに示す態様において、ステント係合部材45は、カーブした遠位端および遠位端方向かつ/または外方にフレア状のチップ452を有する、シャベル形またはスコップ形を有する部分を含む。いくつかの態様において、ステント係合部材45は、(たとえばニッケル・チタン合金を含む)ハイポチューブを切断(たとえばレーザ切断)、変形およびヒートセットすることによって成形され得る。
図7Fおよび7Gは、概ね円柱形のハンドル部分と、ステント係合部材45の遠位端に向けて半径方向外向きに延びている、切断、変形およびヒートセットされたフレア状チップシャベル形またはスコップ形部分とを示す。
【0046】
図5Aは、ステント係合部材45の近位端がわずかに離間した突合せ接合で内側部材60の遠位端に機械的に結合されている例示的態様を示す。内側部材60の遠位端の周囲およびステント係合部材60の近位端の周囲において、コネクタ74(たとえば管状部材(たとえばナイロンを含む)を含む)が、(たとえば、熱収縮スリーブによって半径方向内向きに圧縮されることによって)熱収縮されている。いくつかの態様において、コネクタ74のいくつかの部分が、内側部材60とステント係合部材45との間のギャップの中に入り込んでもよい。特定の態様において、内側部材の遠位端は、機械的結合の前に変更されてもよい(たとえば外側層60cを除去することによって)。
【0047】
いくつかの態様において、コネクタ74の外径は内側部材60の外径に実質的に等しい。いくつかの態様において、コネクタ74の内径は内側部材60の中間層60bの外径に実質的に等しい。これら両方の条件が満たされるとき、コネクタ74の近位端部分が、事実上、除去された外側層60cに代わり得る。
【0048】
いくつかの態様において、コネクタ74の外径は、ステント係合部材45におけるステント係合部材45の遠位端に向けて半径方向外向きに延びていない部分(たとえば、本明細書に記載されるハイポチューブの円柱形部分)の外径に実質的に等しい。いくつかの態様において、コネクタ74の内径は軸部46の外径に実質的に等しい。これら両方の条件が満たされるとき、コネクタ74の遠位端部分は、コネクタ74とステント係合部材45との間に実質的にシームレスの面を提供し得る。また、前段落における条件と組み合わされるとき、コネクタ74は、ステント係合部材45における半径方向外向きに延びている部分以外は実質的に均一な外径を有するプッシャアセンブリ500を提供することができる。これは、均一な外観をプッシャアセンブリ500に提供し得る。これはまた、プッシャアセンブリ500におけるステント係合部材45の半径方向外向きに延びている部分以外の部分がステント30および/または外側シース20と相互作用する(たとえば不都合に突き出る)可能性を減らし得る。
【0049】
図5Bは、ステント係合部材45の近位端がカテーテルシャフトまたは内側部材60の遠位端に機械的に結合されている別の例示的態様を示す。内側部材60の遠位端は、たとえば、概ねステント係合部材45の近位端の外径である外径を有するツールを使用して、フレア状にされている。ステント係合部材45の近位端(たとえば切欠き462または開口部464を含む)は内側部材60のフレア状遠位端に配置されている。熱収縮管材料または他の手段を使用して、内側部材60を半径方向内向きに付勢してステント係合部材45の周囲に潰してもよい。内側部材60の内層のいくつかの部分が切欠き462または開口部464の中に突出する。結合された構造は、内側部材60の内径およびステント係合部材45の内径に基づく均一な内径を有する。結合された構造は、有利には、別個の剪断面を有しなくてもよい。結合された構造は、たとえばステント係合部材45におけるラチェットの近位端の近くの部分に沿ってわずかな外向きフレアを有し得る。この結合構造は、有利には、より少ない個別部品を使用する(たとえば、コネクタ74を使用しない)こと、内側部材60を変更しない(たとえば層60cを除去しない)こと、および/または軸部46を変更しない(たとえば扇形面49を形成しない)ことにより、製造を簡素化し得る。
【0050】
ステント係合部材45は、遠位端方向に進められるときにはステント30と係合するように構成され、近位端方向に引っ込められるときにはステントと係合しないように構成されている。たとえば、ステント係合部材45の半径方向外向きに延びている部分は、編みステントのフィラメント間の一つまたは複数の交点(たとえば、
図5Dの33における係合によって示すように、第一の側におけるフィラメント間の第一の交点、および反対にある第二の側におけるフィラメント間の第二の交点)と係合するように構成され得る。別の例として、ステント係合部材45の半径方向外向きに延びている部分は、レーザ切断されたハイポチューブステント中の一つまたは複数の切欠きと係合するように構成され得る。さらなる例として、ステント係合部材45の半径方向外向きに延びている部分は、他のタイプのステントの一つまたは複数の係合可能な特徴(たとえば、金属、プラスチック、それらの組み合わせなどを含む)と係合するように構成されてもよく、そしてステント係合部材45の半径方向外向きに延びている部分は、グラフトの一つまたは複数の係合可能な特徴(たとえば内側ステント面を含む)、それらの組み合わせなどと係合するように構成されてもよい。
【0051】
いくつかの態様において、プッシャアセンブリ500は、ステント係合部材45よりも内方に配置されかつ内側部材60の遠位端の近くからステント係合部材45の遠位端よりも遠くまで延びる管75(たとえばナイロンを含む)を含む。たとえば、
図5Aに示すように、管75は、ステント係合部材45の概ね近位端からステント係合部材45を通過してステント係合部材45をいくらか越える長さまで延びる。
【0052】
いくつかの態様において、プッシャアセンブリ500は、場合によっては、たとえば、ステント係合部材45の鋭利な縁による損傷から管75を保護するために、管75における、ステント係合部材45の半径方向外向きに延びている部分内の部分の近くにおいて、管75の半径方向外側にある、第二の管76(たとえばポリイミドを含む)を含む。特定のそのような態様において、第二の管は、ステント係合部材45の半径方向外向きに延びている部分の近位端からステント係合部材45の遠位端まで延びる。
【0053】
いくつかの態様において、非外傷性チップ150が、管75の遠位端に機械的に結合され、ステント係合部材45の遠位端から長軸方向に離間している。チップ150は近位端151および遠位端152を有する。
図5Aおよび5Bは模式図であり、そのため、ステント係合部材45とチップ150との長軸方向間隔は正確には示されていない場合がある(たとえば、管75を横切る曲線対によって暗示されるように)。いくつかの態様において、ステント係合部材45の遠位端は、たとえば、チップ150の近位端151から少なくとも約30mmである。チップ150は、近位端151に近く、かつ外面154を有する概ね円柱形の部分153を含み得る。チップ150は、遠位端152に近く、かつ外面156を有する概ね円錐形または円錐台形の部分155を含み得る。
【0054】
いくつかの態様において、チップ150は少なくとも一つの開口部157、158を含む。開口部157、158は、外側シース20の外側から外側シース20の内側までの流体連通を可能にするように構成されている。特定のそのような態様において、少なくとも一つの開口部157は、近位端151と外面154との間の流体連通を可能にするように構成されており、かつ/または少なくとも一つの開口部158は、近位端151と外面156との間の流体連通を可能にするように構成されている。少なくとも一つの開口部157は、有利には、装置10の遠位端の前進中に流体を蓄積しにくいものであってもよい。いくつかの態様において、少なくとも一つの開口部157、158はチップ150中の溝(たとえばU字形溝)を含む。いくつかの態様において、少なくとも一つの開口部157、158はチップ150中の第二のルーメンを含む。少なくとも一つの開口部157、158は、たとえば、チップ150の成形中に形成されてもよいし、かつ/またはチップ150から材料を除去する(たとえば、エッチング、ドリル加工などによって)ことから得られてもよい。いくつかの態様において、少なくとも一つの開口部は、概ね円柱形の部分153における180°離れた二つの溝を含む。
【0055】
少なくとも一つの開口部157、158は、装置10を滅菌するために役立つ場合がある。たとえば、エチレンオキシドガスを少なくとも一つの開口部157、158に通して流して、ステント30、ステント係合部材45および外側シース20のルーメン内の他の部品を滅菌してもよい。いくつかの態様において、円柱形部分153は、たとえば、装置10の前進中に外側シース20のルーメンを実質的に閉塞するために、外側シース20の内径よりも大きい(たとえば、外側シース20の直径に実質的に等しい)外径を有する。本明細書に記載されるように、外側シース20のルーメンは、たとえばスイッチ50の操作中に動作環境に暴露され、異物が外側シース20のルーメン中に蓄積する場合がある。少なくとも一つの開口部157、158は、使用前に装置10から空気を排出することに役立つ場合がある(たとえば、チップ150が外側シース20に近接するとき、生理食塩水を装置10に通して流すことを可能にする)。
【0056】
図5Bは、チップ150とステント係合部材45との間の結合構造の別の例示的態様を示す。本明細書に記載されるように、ステント係合部材45は、ラチェットの遠位端を越えて突出する軸部46を含んでもよく、そして遠位端方向に延びる部分は、らせん462のような特徴を含んでもよい。いくつかの態様において、管75は軸部46の遠位端の周囲において(たとえば、熱収縮スリーブによって半径方向内向きに圧縮されることにより)熱収縮され、管75の材料が特徴462の中に押し込まれる。プッシャアセンブリ500は、場合によっては、軸部46と管75とを結合するメルトカプラ76を含み得る。
【0057】
図5Cは、装置10の外側シース20が三つの層:(1)内層20a(たとえばポリテトラフルオロエチレン(PTFEまたはTeflon(登録商標))を含む)、(2)中間層20b(たとえば編みステンレス鋼リボンを含む)および(3)外層20c(たとえばPebax(登録商標)を含む)を含むプッシャアセンブリ500を含むステント送達装置10の遠位端550の態様を示す。チップ150の円柱形部分の外径は、外側シース20の層20a、20b、20cの一つまたは複数に対応する(たとえば、それらの外径と整合する)ように構成されてもよい。
【0058】
図5Dは、装置10の外側シース20が三つの層:(1)内層20a(たとえばポリテトラフルオロエチレン(PTFEまたはTeflon(登録商標))を含む)、(2)中間層20b(たとえば編みステンレス鋼リボン(たとえば、
図5Bに示す編みステンレス鋼リボンとは異なる格子密度を有する)を含む)および(3)外層20c(たとえば、第一の材料(たとえばPebax(登録商標)を含む)および第一の材料とは異なる第二の材料(たとえばナイロンを含む)を含むプッシャアセンブリ500を含むステント送達装置10の遠位端の態様を示す。たとえば、外層20cが約90cm(または900mm)の長さを有するいくつかの態様においては、近位端側70cm(または700mm)が第一の材料(たとえばナイロンを含む)を含んでもよく、そして遠位端側20cm(または200mm)が、第一の材料とは異なる第二の材料(たとえばPebax(登録商標)を含む)を含んでもよい。別の例として、外層20cが約120cm(または1,200mm)の長さを有するいくつかの態様においては、近位端側100cm(または1,000mm)が第一の材料(たとえばナイロンを含む)を含んでもよく、そして遠位端側20cm(または200mm)が、第一の材料とは異なる第二の材料(たとえばPebax(登録商標)を含む)を含んでもよい。また、第一の材料および第二の材料の他の長さおよび材料が可能である。
【0059】
特定の態様において、外層20cは一つまたは複数のマーカ(たとえばマーカバンド)(図示せず)を含む。いくつかの態様において、マーカバンドの一つまたは複数はタングステン注入ポリマーを含み得る。マーカは、装置の位置に関するユーザ情報を提供するのに十分な幅広さであってもよい。いくつかの態様において、マーカの一つまたは複数は、約1mm〜約2mm(たとえば約1.5mm)、約2mm未満などの幅を有し得る。
【0060】
チップ150の円柱形部分の外径は、外側シース20の層20a、20b、20cの一つまたは複数に対応する(たとえば、それらの外径と整合する)ように構成され得る。
【0061】
内側部材60は、ガイドワイヤ(たとえば、0.018インチ(約0.46mm)の直径を有する)が通され得るガイドワイヤルーメンを少なくとも部分的に画定する。管75を含む態様において、管75は、ガイドワイヤ(たとえば、0.018インチ(約0.46mm)の直径を有する)が通され得るガイドワイヤルーメンを少なくとも部分的に画定する。特定のそのような態様において、管75の内径は内側部材60(たとえば内層60a)の内径に実質的に等しい。ノーズコーン150は、ガイドワイヤ(たとえば、0.018インチ(約0.46mm)の直径を有する)が通され得るガイドワイヤルーメンを少なくとも部分的に画定する。したがって、プッシャアセンブリ500は、ガイドワイヤ(たとえば、0.018インチ(約0.46mm)の直径を有する)が通され得るガイドワイヤルーメンを含む。
【0062】
外側シース20の近位端はハンドル90に固定的に結合され、そして内側部材60の近位端はスイッチ50に結合されている。スイッチ50は、二つの異なる長軸方向長さ:(1)ステント係合部材45が外側シース20の遠位端から出ることができない第一の長さ、および(2)ステント係合部材45が外側シース20の遠位端から出ることができる(たとえば、ストップ120を取り外したのち)第二の長さを有するハンドル経路に沿ってスライドすることができる。ユーザは、ハンドル90に対してスイッチ50を前後に押したり引いたりして、ステント係合部材(本明細書に記載されるように内側部材60の遠位端に結合されている)を、ハンドル90に対して固定されている外側シース20に対し、遠位端方向に延ばし、近位端方向に引っ込めることができる。
【0063】
スイッチ50の遠位端方向への前進中、ステント係合部材45は位置33でステント30の内面と係合して(たとえば、
図5C〜5Fに示すように、編みフィラメント間の交点を「係止して」)、それにより、ステント30を外側シース20から遠位端方向に押し出す。
【0064】
スイッチ50の近位端方向への引き込み中、ステント係合部材45は、半径方向内向きに撓み、ステント30の内面に沿って非係止的にスライドするため、ステント30とは係合しない。ステント30は、スイッチ50を前後に動かすことにより、各前進動がステント30の一部分を外側シース20から押し出すことによって展開される。
図5Eおよび5Fは、それぞれ、ステント30が脈管、管路または管160の中で展開される様子を示す。ステント30の拡張およびステント30と脈管、管路または管壁160との係合が外側シース20を近位端方向に移動させ得るが、ユーザは、外側シース20を引き戻す、または回収するために何の機能をも実施しない。ひとたびステント30が展開されたならば、装置10は脈管、管路または管160から引き戻される。
【0065】
図6は、要素40(たとえば内側部材60を含む)がステント係合部材45に機械的に結合されている態様を示す。
図6に示す態様において、要素40の中間管42が支持管46に接続され、支持管はステント係合部材45に接続されている。ステント係合部材45は、少なくとも部分的にステント30のルーメン内に配置されている。スイッチ50の遠位端方向への移動に応答して要素40が遠位端方向に動くと、ステント係合部材45はステント30と係合して、ステント30を外側シース20に沿って進ませる。ステント係合部材45の近位端方向への運動はステント30の動きを生じさせない。このようなやり方の要素40の遠位端方向および近位端方向への繰返し往復運動が、ステント30が外側シース20から出るまでステント30の前進を生じさせる。当業者は、装置10の図示される態様が、ユーザが、ステント30とステント係合部材45との多数の係合(各係合は、ステント30の遠位端の近くで起こり、外側シース20の同時発生的引き戻しなしでステント30を遠位端方向に駆動し、ステント30を遠位端方向に駆動しない期間によって後続の係合から分けられる)を介してステント30を外側シース20の外へと遠位端方向に進めることができるよう、かつ、各係合を生じさせる装置10との接触(スイッチ50で起こる)のユーザの最も近位端側の点が装置ボディ90の近位端またはそれよりも遠くに位置するように構成されていることを理解するであろう。ステント係合部材45は、疲労応力破損などを緩和するのに役立ち、かつステント係合部材45がステント30のルーメン内で近位端方向にスライドするとき内方に折れることを可能にする、丸いダンベル形の端部を備えた撓みスロット48を含んでもよい。
【0066】
ステント係合部材45の性能は、
図7Aおよび7Bに示すような適切な形状の選択によって達成され得る。代替態様は、ステント前進を達成するために撓む、枢着されている、または他のやり方で形を変えるステント係合要素45を用いてもよい。ステント係合部材45の構成は、展開されるステント30のタイプに最も適するように選択され得る。ステント30が、参照により全体として本明細書に組み入れられる米国特許第7,018,401号に開示されている種類のような自己拡張性編みステントである場合、ステント係合部材45は、(a)ステント30を遠位端方向に駆動するときステント30の両側におけるワイヤ交点と係合し、(b)内方に変形し(たとえば、少なくとも部分的に撓みスロット48のせいで)、そしてステント30のルーメン内で近位端方向にスライドするように構成され得る。ステント30が、レーザ切断されたハイポチューブステントである場合、ステント係合部材45は、(a)ステント30を遠位端方向に駆動するときステント30の切断部分と係合し、そして(b)内方に変形し、ステント30のルーメン内で近位端方向にスライドするように構成され得る。
【0067】
図8は、ステント30を進ませ、そして展開させる過程の模式図を示す。ステント30の遠位端31は、外側シース20を出て、拡張した状態にある(たとえば、脈管もしくは管のサイズまで、またはその拡張時外径によって制限されるように)。要素40は、矢印によって示されるように近位端方向および遠位端方向に動く。ステント係合部材45が遠位端方向に移動するとき、それがステント30(たとえば、レーザ切断されたハイポチューブステントの切断部分または編みステントのフィラメント間の交点)と係合し、ステント30を遠位端方向に進めて、それによってステント30を外側シース20の外に駆動する。ステント係合部材45が近位端方向に移動するとき、ステント係合部材45の形状のせいでステント30の前進は起こらない。その代わり、ステント係合部材45の形状は、スイッチ50の近位端方向への移動中にステント係合部材がステント30の部分(たとえばワイヤ部分)の上に動き、それと遭遇するとき、外側シース20に対するステント30の軸方向位置を乱すことなく、それが内方に曲がる、または撓むことを可能にする。いくつかの態様において、ステント30の前進は、外側シース20の機械化された同時発生的引き戻しなしで、そして、装置ボディ90に対する外側シース20の動きなしで達成される(患者の体の動き、振動などによって生じる偶発的な動きは別として)。
【0068】
図9および10は、体内脈管160中のステント30の展開を模式的に示す。
図9は、制限された、または細長い形状のステント30を示す。これは、装置10の外側シース20内にあるときのステント30の形状(たとえば
図5Bに示すような)の例である。
図10は、自己拡張性ステント30が外側シース20から出るときにとり得る一つの状態である、体内脈管160中で拡張状態にあるステント30を示す。
【0069】
いくつかの態様において、装置10は、ステント30が外側シース20から完全には出ていないという条件で、前進および/または展開過程中にオペレータがステント30をシース内に戻すことを可能にするように構成されたステント保持要素70を含む。
図11および12Aを参照すると、装置10は、ステント30の近位端32に結合されたステント保持要素70を含む。ステント30の近位端32が外側シース20内にある限り、ステント係合部材45の近位端方向への移動中でさえ、ステント保持要素70の遠位端部分71とステント30との間の接触が存在する。ステント30の近位端32が外側シース20の外に進められるとき、ステント30は、ステント保持要素70の遠位端部分71の最大幅(図示する半径方向で見て)よりも大きい半径まで拡張する。その結果、ステント30とステント保持要素70との間の接触は終わり、ステント30の展開は不可逆性になる。したがって、ステント30の近位端部分(特に、ステント保持要素70に結合された近位端部分)が外側シース20内に配置されたままであるという条件で、ステント保持要素70を操作して、ステント30を近位端方向に外側シース20の中に引き戻す(オペレータの動作によって)ことが可能である。
【0070】
ステント保持要素70の近位端部分72は、ステント30の近位端部分が外側シース20内に配置されているという条件で、近位端方向に外側シース20の中へのステント30の引き戻しを容易にし、かつステント保持線として特徴づけられ得るケーブルまたは類似装置を含んでもよい。ステント保持要素70の遠位端部分71は、ステント30中の開口(たとえば、フィラメント間の窓、ハイポチューブの切断部分)と係合するように構成された半径方向に突出している複数の爪73を含む管材料(たとえばハイポチューブ)の部品を含み得る。ステント保持要素70の管材料は、任意の適当なやり方(たとえばはんだ付け)でステント保持要素70の近位端部分72に結合されてもよい。
【0071】
図1Aおよび2Aに示すように、Yアダプタ95が装置ボディ90の近位端部分に結合され得る。内側部材60はまっすぐなアーム96に通して配置されてもよく、近位端部分72はYアダプタ95の斜めのアーム97に通して配置され得る。
図2Bに示すように、ステント保持要素位置マーカ93が線72に結合され、その線72に沿って、ステント保持要素70に結合されているステント30の相対位置に配置され得る。たとえば、マーカ93(たとえば熱収縮管材料の部品を含む)は、線72が斜めのアーム97の周の中に延びたとき、ステント30が外側シース20から完全に出るように線72に沿って配置され得る。このようにして、オペレータは、ステント30が外側シース20からどれくらい出たのかを知らせる視覚的インジケータを有する。
図1Aおよび2Aはまた、ステント保持要素70が、ステント保持要素70の操作を可能にする際に把持するものをユーザに提供するために、任意の適当なやり方で(たとえばLoctite(登録商標)接着剤によって)線72に結合されたフィンガ要素98を含み得ることを示す。
図12Bは、フィンガ要素98が断面で示されているステント保持要素70の態様を示し、線72とフィンガ要素98(ねじで接合される内側および外側部品を有してもよい)との間の例示的な接続位置99(たとえば接着剤を含む)を示す。
【0072】
いくつかの態様において、装置10は、たとえば、それぞれ外側シース20および内側部材60の洗い流しを可能にするための、サイドポート110(装置ボディ90に結合された)およびルアーフィッティング100(内側部材60の近位端62に結合された)を含む。洗い流しは、生理食塩水を用いてもよいし、処置の前に実施してもよい(たとえば、本明細書に記載されるような少なくとも一つの開口部157、158を介して)。本明細書に記載される装置のいくつかの態様は、外側シース20および/または内側部材60を洗い流すための設計を含み得るし、外側シース20および/または内側部材60の洗い流しができないように構成され得る。
図3Dは装置10の平面図であり、そして装置ボディ90の遠位端の近くに、
図3Eにさらに詳細に示される切欠き部を特定している。
【0073】
図2Cを参照すると、ストッパ120の第二の位置122が、スイッチ50がスロット52の全長を遠位端方向に移動することを可能にする。スロット52中のスイッチ50の最も遠位端側の位置(たとえば、ストッパ120が第二の位置120にあるとき)は、ステント係合部材45が外側シース20の遠位端に対して外側または遠くにあり、したがって、ステント30が、その拡張状態で外側シース20の外に駆動される領域にある位置に対応する。ステント保持要素70の遠位端部分71から切り離されている、この位置にあるステント30は、もはや外側シース20の中に引き戻すことはできない。さらに、拡張状態にあるステント30は、ステント係合部材45の上に半径方向の隙間を有する。本明細書に開示される装置の代替態様は、スイッチ50の移動を制限するための他の設計を用い得るし、調節可能な移動制限特徴を有しなくてもよい。
【0074】
図13および14は、ステント保持要素70の近位端部分72に結合された捕獲装置80を含む装置10の別の例示的態様を示す。捕獲装置80は、ステント係合部材45がステント30を進めるとき適切な量の近位端部分72を解放するように働く。捕獲装置80は、外側シース20からのステント30の完全な展開の前にステント30の遠位端方向への前進を停止させるように働くストップを含む。ストップ(適切な場所で近位端部分72に結合されている管材料、たとえばハイポチューブの部品であることができる)は、さらなる前進がステント30の展開を生じさせるであろうポイントでオペレータフィードバックを提供する(したがって、ストップは、ステント30の引き戻しがもはや不可能である場所のインジケータとして使用することができる)。ここで、オペレータは、ステント保持要素70を近位端方向に引くことによってステント30を再配置のための外側シース20の中に引き戻すことを選択し得るし、あるいは展開ストップレバー81を押し(これが、ストップが展開ストップレバーを迂回することを可能にし、ステント保持要素70の継続した遠位端方向への前進を可能にする)、スイッチ50を介して前進を継続することによってステント30の展開を進めてもよい。
【0075】
オペレータがステント30を再配置のために外側シース20の中に引き戻すことを選択するならば、オペレータは、保持を作動させレバー84を引くことができ、それが、図示される態様においては、捕獲装置80を装置ボディ90から切り離し、オペレータが、ステント保持要素70の近位端部分72を近位端方向に引くことによってステント30を引き戻すことを可能にする。ステント30がシース20の中に戻されたのち、捕獲装置80の保持プーリ82およびばね83が作動して、ステント保持要素70の過度なたるみを蓄積する。この態様において、ステント保持要素70の近位端部分72は、装置ボディ90内の中央には位置しない装置ボディ90の一部分に通されてもよい。本明細書に開示される装置の代替態様は、自動化捕獲装置のような捕獲装置80とは異なるふうに構成されている捕獲装置を含み得る。さらには、捕獲装置80は、フィンガ要素98の代わりに、
図1Aに示す装置10の態様における斜めのアーム97に結合され得る。
【0076】
本明細書に記載される装置10は、使い捨て可能であってもよく、任意の適当な技術、たとえばエチレンオキシドガスを使用する滅菌法を使用して滅菌されたのち、バッグ、パウチ、箱または他の適当な容器中に包装され得る。外側シース20の遠位端とノーズコーン150の近位端との間に、滅菌ガスが装置10中に流れることを可能にするための小さなギャップがあってもよい。容器は、容器上に印刷された、または容器の内部に含まれた、装置10を使用するための指示書を含み得る。装置10を容器から取り出したのち、生理食塩水を使用して外側シース20およびその内容物ならびに内側部材20を洗い流してもよい(たとえばサイドポート110を通して)。その後、ノーズコーン150が結合されている内側部材60を近位端方向に引くことにより、ノーズコーン150と外側シース20との間のギャップを閉じることができる。処置が血管にステントを挿入することを含むならば、装置10を適切な位置に配置するための任意の適当な技術が使用されてもよい(たとえばセルジンガー法)。任意の適当な可撓性非外傷性チップであってもよい装置10のノーズコーン150は、放射線不透過性であってもよく、装置10のための最遠位端マーカになってもよい。任意の適当な材料でできている別の放射線不透過性マーカ(たとえば白金または白金合金バンド)が、装置10におけるノーズコーン150に近い部分(たとえば(上記のような)外側シース20、要素40または内側部材60)に結合されて、装置10のための最近位端マーカを形成し得る。これら二つのマーカは、対象部位に対して装置10を配置してステント30の正確な展開を可能にするためにオペレータによって使用され得る。
【0077】
ステント(たとえばステント30)は、装置10を使用して、シース(たとえば外側シース20)から遠位端方向に押し出され、管状構造160に入れられ得る。いくつかの態様において、管状構造160は動物組織(たとえばヒト血管)である。他の態様において、管状構造160は動物組織ではなく、所与の装置技術を試験する、または一人または複数の人物、たとえば自らの診療において装置10またはステント前進技術の使用を考慮している医師に対してステント前進をデモンストレーションするために使用することができるポリマー構造を含む。
【0078】
いくつかの方法は、ステントをステント係合要素(たとえばステント係合部材45)と繰り返し係合させることによって(係合の少なくとも二つは非係合期間によって分けられる)ステント(たとえばステント30)を遠位端方向に駆動してシース(たとえば外側シース20)から出し、管状構造160に入れること、およびステントが遠位端方向に駆動されてシースから出るとき、管状構造160に対するシースの軸方向位置を変えることによって管状構造160内でステントの軸方向密度を変えることを含む。ステントが遠位端方向に駆動されてシースの外に出るとき、装置10の残り部分はオペレータによって管状構造160に対して近位端方向に引き戻されて、ステントの展開部分が、そのステントが中で展開される管状構造160(たとえばヒト組織)に対して固定されたままになる。装置10の残り部分が引き戻される速度は、ステントの軸方向密度を変えるために変えられ得る。より低い引き戻し速度はステントの軸方向密度を高め、より高い引き戻し速度はステントの軸方向密度を下げる。ステントの軸方向密度を高めることは、たとえば、管状構造160の開通性を維持するためにより大きなフープ強度が必要とされる場合がある位置で、たとえば、
図15Aに示すような動脈200の狭窄領域210に沿って、より大きなフープ強度を提供し得る。ステントの軸方向密度を下げることは、たとえば、側方からステントの区分に出入りする流体流が期待される、または望まれる位置であってもよいし、あるいは第二のステントの穿通の位置であってもよく、それらのいずれも、たとえば
図15Bに示すような、脈管250の解剖学的分枝260に当てはまる場合がある。
【0079】
ステント前進方法のいくつかの態様は、ステントをその遠位端と近位端との間でステント係合要素(たとえばステント係合部材45)と繰り返し係合させることによって(係合の少なくとも二つは非係合期間によって分けられる)ステント(たとえばステント30)を遠位端方向に駆動してシース(たとえば外側シース20)から出し、管状構造160に入れること、および場合によってはステントを、その近位端において、シース内に配置されているステント保持要素(たとえばステント保持要素70)と係合させることを含む。
【0080】
いくつかの態様において、ステントをシースから遠位端方向に駆動する係合は、ステントが遠位端方向に駆動されるとき同時にシースを機械的に引き戻さないように構成されている装置、たとえば本明細書に記載されている装置10の変形を使用して達成され得る。これらの態様における管状構造160は、解剖学的管状構造(たとえば脈管または管路)であってもよいし、動物組織ではない管状構造(たとえば
図15Cに示すようなポリマーチューブ300)であってもよい。管状構造160のタイプにかかわらず、いくつかの態様において、方法はまた、ステントを、その近位端において、シース内に配置されているステント保持要素(たとえばステント保持要素70)と係合させることを含み得る。ステント保持要素は、ステント保持線(たとえば線72)を含んでもよく、そして方法はまた、ステントを駆動してシースから部分的に出したのち、ステント保持線を移動させることによってステントをシースの中に引き戻すことを含んでもよい。オペレータは、ユーザ操作可能な要素(たとえばスイッチ50)を親指で動かすことによってステントの駆動を達成し得る。ステントが編まれた物である場合、ステント係合要素は、ステントの一つまたは複数のワイヤ交点と係合し、ステントを駆動する係合中、遠位端方向に移動してもよく、そしてステント係合要素は、非係合期間中、ステントのルーメン内で近位端方向にスライドしてもよい。
【0081】
本明細書に記載される方法のいくつかは、ステントを進ませてシースから出し、管状構造に入れる方法を他者に教える方法である。いくつかの態様において、方法は、シース(たとえば外側シース20)およびシース内に配置されたステント(たとえばステント30)を含むステント送達装置(たとえば装置10)を使用する方法を人に教授することを含む。教えることは、以下の工程:ステントをステント係合要素(たとえばステント係合部材45)と繰り返し係合させることによって(係合の少なくとも二つは非係合期間によって分けられる)ステントを遠位端方向に駆動してシースから出し、管状構造に入れる工程、およびステントが遠位端方向に駆動されてシースから出るとき、場合によっては、管状構造に対するシースの軸方向位置を変えることによって管状構造内でステントの軸方向密度を変える工程を人にデモンストレーションすることを含み得る。
【0082】
いくつかの態様において、方法は、シース(たとえば外側シース20)およびシース内に配置されたステント(たとえばステント30)を含むステント送達装置(たとえば装置10)を使用する方法を人に教えることを含む。教えることは、以下の工程:ステントをステント係合要素(たとえばステント係合部材45)と繰り返し係合させることによって(係合の少なくとも二つは非係合期間によって分けられる)ステントを遠位端方向に駆動してシースから出し、管状構造に入れる工程、および場合によっては、ステントを、その近位端において、シース内に配置されているステント保持要素(たとえばステント保持要素70)と係合させる工程を人にデモンストレーションすることを含み得る。
【0083】
いくつかの態様において、教える方法は、人の存在におけるライブデモンストレーションによって達成され得るし、その人のために再生される記録またはシミュレーションされたデモンストレーションによって達成されてもよい。記録されたデモンストレーションの例は、人によって実施され、カメラで捕らえられたものである。シミュレーションされたデモンストレーションの例は、実際には実施されなかったが、その代わり、コンピュータシステムおよびグラフィックスプログラムを使用して生成されたものである。記録またはシミュレーションされたデモンストレーションの場合、デモンストレーションは、任意の適当な形態、たとえばDVD上で、または任意の適当なビデオファイル(たとえば、.3gp、.avi、.dvx、.flv、.mkv、.mov、.mpg、.qt、.rm、.swf、.vob、.wmvなど)として存在してもよく、教えることは、任意の適当なコンピュータシステムを使用して視る人のためにデモンストレーションを再生することによって達成され得る。視る人はデモンストレーションを再生させ得る。たとえば、視る人は、インターネットまたは、たとえば
図16に示すような、ファイルへのアクセスを視る人に提供する任意の適当なコンピュータシステムを使用して、記録またはシミュレーションされたデモンストレーションファイルにアクセスし得る。
【0084】
いくつかの態様において、方法は、解剖学的構造の中へのステントの送達を含み、方法を達成するために使用される装置は、ステント前進を開始するのに望ましい患者内の位置にあり、ステント係合要素の動き(たとえばラチェット動)は、ステントの遠位端(処置中にその位置のより容易な視認を可能にするための一つまたは複数の放射線不透過性マーカを提供されることもできる)が装置のシースから出るが、解剖学的構造と接触するほど拡張するような程度には出ないように始まることができる。ステントの遠位端が、オペレータがそれを欲するところよりも近位端方向にあり、ステント保持要素が使用されているならば、ステント保持要素を近位端方向に引いてステントをシース内に戻し、装置中に再配置することができ、ステントが、オペレータがそれを欲するところよりも遠位端方向にあるならば、装置全体を近位端方向に引き戻し、展開過程を継続することができる。
【0085】
本明細書に記載される装置の特徴は、市販の医療用材料から作ることができる。たとえば、ノーズコーン150は、ポリエーテルブロックアミド(たとえば、Arkema Inc, Philadelphia, Paから市販されているPebax(登録商標)樹脂)を含んでもよい。内側部材60の遠位端部分(たとえば内側スリーブ61)は、ポリイミドを含んでもよく、ステンレス鋼ハイポチューブ(たとえば304または316Lステンレス鋼)を含む、より近位端方向の部分に結合されてもよい。内側部材60(たとえば外側スリーブ63)に結合されたルアーフィッティング100はポリカーボネートを含み得る。外側シース20は、編みポリエーテルブロックアミド(たとえば編みPebax(登録商標)樹脂を含む)を含み得る。装置ボディ90、スイッチ50、ブロック51およびストッパ120は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)プラスチック、ポリカーボネート、Delrin(登録商標)アセタール樹脂(DuPontから市販)などを含んでもよい。ストッパ120は、それを上記のように付勢するステンレス鋼ばねに結合されてもよい。要素40は、ポリイミドを含むシャフト(または、一連のシャフトはポリイミドまたはニッケル・チタン合金を含むハイポチューブを含む)を含んでもよく、ステント係合部材45は、適当な接着剤(たとえば、シアノアクリレート類を含むLoctite(登録商標)接着剤)でポリイミドシャフトに結合された軸部46(たとえば、ニッケル・チタン合金を含むハイポチューブを含む)および所望の形状に形成され、かつ軸部46に溶接(たとえばレーザ溶接)されたハイポチューブ(たとえばニッケル・チタン合金を含む)の部品を含んでもよいし、またはそれらに結合されてもよい。ステント保持要素70は、ナイロン、フッ化エチレンプロピレン(FEP)管材料またはポリエステル(PET)管材料のような材料で覆われている絡み合わせたステンレス鋼ワイヤ(近位端部分72として使用される)を含んでもよく、そして遠位端部分71はハイポチューブ(たとえばステンレス鋼を含む)を含んでもよい。さらには、ステントと外側シースとの間の接触のように、本装置の使用中に他と接触する、または接触し得る場合があるパーツの間の摩擦を減らすための工程が講じられてもよい。
【0086】
本明細書に記載される装置は、ワイヤのような多数のストランドから編まれたステントを含む自己拡張性編みステントを送達するために使用され得る。使用されてもよい製織技術のいくつかの例は、参照により全体として本明細書に組み入れられる米国特許第6,792,979号および第7,048,014号における技術を含む。ステントストランドがニチノールから作られたワイヤである場合、編みステントのストランドは、ニチノールハイポチューブのような材料の小さなセグメントを使用して接合されるストランド端部(たとえばワイヤ端部)で終端してもよい。ステントは、任意の熱処理およびアニーリング中に形成することができる酸化物層をステント面から除去して、それにより、ステント材料の表面仕上げおよび耐腐食性を改善するために、任意の適当な技術によってパシベート処理され得る。本装置とともに使用されてもよいステント(ステント係合部材45が係合し得るストランド交点を含む)のための適当なステント形成技術は、参照より全体として本明細書に組み入れられる米国特許出願第11/876,666号(米国特許公開公報第2008/0290076号として公開)に記載されている。
【0087】
本明細書に記載される装置および方法は、開示される特定の形態に限定されることを意図したものではないことが理解されよう。それどころか、それらは例示的態様の範囲に入るすべての変形、均等物および代替を包含する。たとえば、図示される装置の態様は、オペレータ入力に応答して同じ距離を移動するステント係合要素45およびスイッチ50を含むが、他の態様は、スイッチ50が移動する距離とその結果としてステント係合要素45が移動する距離との間に1:1ではない比(要素往復運動距離がスイッチ50の距離よりも大きく、または小さくなることができるような)を作り出すギヤまたは他の機構を含むこともできる。別の例として、装置は、フラッシュポート110および/またはステント保持要素70のような特徴を欠いてもよい。さらには、さらに他の態様は、ステントを遠位端方向に進ませるために、いずれも参照により全体として本明細書に組み入れられる米国特許第5,968,052号または米国特許第6,514,261号に示される機構に類似したスクイズ・トリガ機構を介して、または平行移動するのではなく回転し、所与の回転の一部分中にステントと係合し、その回転の別の部分中にはステント係合しないように構成されたカム部分を有するステント係合要素を介して、ステント30の周期的係合を達成するための他の構造を使用し得る。そのうえ、さらに他の態様は、カムを介してステント係合要素に結合された回転可能なユーザ操作可能な入力(長軸方向平行移動入力ではなく)のような別の形態のオペレータ入力を介するような、ステント係合要素(たとえばステント係合部材45)の他の形態の往復運動を使用し得る。
【0088】
本発明は特定の態様および例に関連して開示されたが、本発明は、具体的に開示された態様を超えて、本発明ならびにその自明な変形および均等物の他の代替態様および/または使用にも及ぶということが当業者によって理解されよう。加えて、本発明の態様のいくつかの変形が示され、詳細に説明されたが、本開示に基づき、本発明の範囲内である他の変形が当業者に容易に明らかになるであろう。また、態様の具体的な特徴および局面の様々な組み合わせまたは部分的組み合わせが実施されてもよく、なおも本発明の範囲に入るということが考えられる。開示された発明の態様の異なる形態を形成するために開示された態様の様々な特徴および局面を互いに組み合わせて、または代用することができることが理解されよう。したがって、本明細書に開示される発明の範囲は上記特定の態様によって限定されるべきではないということが意図される。