特許第5997846号(P5997846)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5997846無線電力伝達のための位置合わせシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5997846
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】無線電力伝達のための位置合わせシステム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/12 20160101AFI20160915BHJP
   H02J 50/90 20160101ALI20160915BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20160915BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20160915BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20160915BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20160915BHJP
【FI】
   H02J50/12
   H02J50/90
   H02J7/00 P
   H02J7/00 301D
   B60M7/00 X
   B60L11/18 C
   B60L5/00 B
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-543033(P2015-543033)
(86)(22)【出願日】2013年5月30日
(65)【公表番号】特表2016-503644(P2016-503644A)
(43)【公表日】2016年2月4日
(86)【国際出願番号】US2013043313
(87)【国際公開番号】WO2014077896
(87)【国際公開日】20140522
【審査請求日】2015年12月15日
(31)【優先権主張番号】13/677,362
(32)【優先日】2012年11月15日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】599023978
【氏名又は名称】デルファイ・テクノロジーズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー,スコット・エフ
【審査官】 高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/142040(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0223589(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0254503(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0098483(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00 − 50/90
B60L 5/00
B60L 11/18
B60M 7/00
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電側共振器(24)と受電側共振器(18)との間の位置合わせを行うためのシステム(10)であって、前記システム(10)は、
充電信号(28)およびビーコン信号(38)から成る群から選択される磁気信号を出射するように構成された送電側共振器(24)と、
前記充電信号(28)を無線で受信し、前記充電信号(28)に基づいて電力を提供するように構成された受電側共振器(18)と、
前記ビーコン信号(38)を無線で受信し、前記ビーコン信号(38)に基づいて、前記送電側共振器(24)と前記受電側共振器(18)との間の相対位置を示す位置信号を提供するように構成された磁気センサ(40)と、
前記磁気センサ(40)と通信するコントローラ(42)であって、前記コントローラ(42)が、前記位置信号を受信し、前記送電側共振器(24)と前記受電側共振器(18)とを位置合わせするために必要な動きを示す位置合わせ信号を提供するように構成される、コントローラ(42)と、
を備え、
前記送電側共振器(24)が、前記送電側共振器(24)に電流を提供する電源(26)に結合され、前記電流の大きさが第1の電流閾値を超える場合、前記送電側共振器(24)が、前記充電信号(28)を出射し、前記電流の前記大きさが第2の電流閾値に満たない場合、前記送電側共振器(24)が、前記ビーコン信号(38)を出射し、
前記送電側共振器(24)が前記ビーコン信号(38)を出射する場合には、前記電流の前記大きさが一定であり、前記送電側共振器(24)が前記充電信号(28)を出射する場合には、前記電流の前記大きさが時変である、
システム(10)。
【請求項2】
前記第1の電流閾値が、前記第2の電流閾値よりも実質的に高い、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項3】
前記ビーコン信号(38)がパルス変調される、請求項に記載のシステム(10)。
【請求項4】
前記受電側共振器(18)および前記磁気センサ(40)が、車両(16)に配置される、請求項2に記載のシステム(10)。
【請求項5】
前記システム(10)が、前記車両(16)に配置される磁気センサ(40)のアレイをさらに備え、前記磁気センサ(40)のアレイが、複数の出力信号を提供し、前記コントローラ(42)が、前記複数の出力信号を処理することによって、前記送電側共振器(24)と前記受電側共振器(18)との間の相対位置を判定するようにさらに構成される、請求項に記載のシステム(10)。
【請求項6】
前記磁気センサ(40)のアレイの第1の部分(52)が、前記受電側共振器(18)の前方で前記車両(16)に配置される、請求項に記載のシステム(10)。
【請求項7】
前記磁気センサ(40)のアレイの第2の部分(54)が、前記受電側共振器(18)の後方で前記車両(16)に配置される、請求項に記載のシステム(10)。
【請求項8】
前記システム(10)が、前記コントローラ(42)と通信するディスプレイ(56)をさらに備え、前記ディスプレイ(56)が、前記位置合わせ信号に基づいて、前記受電側共振器(18)と前記送電側共振器(24)とを位置合わせするために前記車両(16)によって必要とされる動きのグラフィックな表示を提供する、請求項に記載のシステム(10)。
【請求項9】
前記受電側共振器(18)によって提供される前記電力が、前記車両(16)内に配置される電池(14)を充電する、請求項に記載のシステム(10)。
【請求項10】
受電側共振器(18)に対する送電側共振器(24)の位置を特定するための信号を提供するように構成された装置(12)であって、前記装置(12)は、
電流を提供する電源(26)と、
前記電流を受信するために前記電源(26)に結合される送電側共振器(24)とを備え、前記送電側共振器(24)が、磁気充電信号(28)を無線で受信し、前記磁気充電信号(28)に基づいて電力を提供する受電側共振器(18)に、前記磁気充電信号(28)を送信するように構成され、前記送電側共振器(24)が、磁気ビーコン信号(38)を無線で受信し、前記磁気ビーコン信号(38)に基づいて、前記送電側共振器(24)と前記受電側共振器(18)との間の相対位置を示す位置信号を提供する磁気センサ(40)に、前記磁気ビーコン信号(38)を送信するように構成され、前記電流の大きさが第1の電流閾値を超える場合、前記送電側共振器(24)が、前記磁気充電信号(28)を出射し、前記電流の前記大きさが第2の電流閾値に満たない場合、前記送電側共振器(24)が、前記磁気ビーコン信号(38)を出射し、
前記送電側共振器(24)が前記磁気ビーコン信号(38)を出射する場合には、前記電流の前記大きさが一定であり、前記送電側共振器(24)が前記磁気充電信号(28)を出射する場合には、前記電流の前記大きさが時変である、
装置(12)。
【請求項11】
前記第1の電流閾値が、前記第2の電流閾値よりも実質的に高い、請求項10に記載の装置(12)。
【請求項12】
前記磁気ビーコン信号(38)がパルス変調される、請求項10に記載の装置(12)。
【請求項13】
前記装置(12)が、車両(16)に配置される受電側共振器(18)に前記磁気充電信号(28)を送信し、前記車両(16)に配置される磁気センサ(40)に前記磁気ビーコン信号(38)を送信するように構成される、請求項10に記載の装置(12)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、一般に、送電側共振器と受電側共振器との間の無線電力伝達に関し、より詳細には、送電側共振器によって出射される磁気ビーコン信号を使用して送電側共振器を受電側共振器に位置合わせするためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]電気自動車および電気ハイブリッド車は、消費者に人気を博しつつある。これらの車両における電動機は、典型的には、その車両の電池パックに配置される複数の蓄電池から動力を供給される。車両が駐車されている間に電池が再充電される必要がある場合、有線の連結装置は、典型的には、車両運転者によって車両に接続される。しかしながら、車両が駐車される度に運転者の車両を「プラグインし(plug−in)」なければならないことを嫌う運転者もいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003]無線またはコネクタレスの充電器が提案されており、1996年3月12日にBruniらに発行された米国特許第5,498,948号、および2011年8月30日にOyobeらに発行された米国特許第8,008,888号を参照されたい。知られている無線充電器は、充電されている車両の下の駐車面に位置する送電側共振器または充電パッドと、その車両の下面に載置される対応する受電側共振器とを含む。そのような無線充電器は、送電側共振器と受電側共振器とが水平に(即ち、横方向および縦方向(換言すれば、長手方向)に)位置合わせされるように車両が駐車されている場合に、最も効率的である。しかしながら、送電側共振器および受電側共振器は、車両の真下および/または車両運転者の視野外に存在し得るため、車両をどこに駐車すれば送電側共振器と受電側共振器とが位置合わせされるのかを車両運転車が判断することは困難である。
【0004】
[0004]現行の無線充電システムには、車両の下面に取り付けられた受電側共振器と、その対応する給電側共振器とを、給電側共振器に対する車両の試行錯誤による位置決めを使用して位置合わせするための方法に依存するものもある。このような方法は、時間がかかり、再現可能性の低い結果を招く。他の無線充電システムは、車両上の受電側共振器を給電側共振器と位置合わせするために車輪止めを利用する。これらのシステムは、1つの特定の車両構成には正確な位置合わせを提供し得る一方で、車輪と受電側共振器との間の空間関係が異なる幅広い種類の車両には適切な位置合わせを提供しそうにない。
【0005】
[0005]上記の節において議論された主題は、単に上記の節における主題の言及を受けて従来技術とみなされるべきではない。同様に、上記の節において言及され、または上記の節の主題と関連付けられる問題は、従来技術において以前に認識されてきたものとみなされるべきではない。上記の節における主題は、種々のアプローチを表すに過ぎず、種々のアプローチ自体も発明となり得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006]本発明の一実施形態によれば、送電側共振器と受電側共振器との間の位置合わせを提供するためのシステムが提供される。本システムは、充電信号およびビーコン信号から成る群から選択される磁気信号を出射するように構成された送電側共振器と、充電信号を無線で受信し、充電信号に基づいて電力を提供するように構成された受電側共振器とを備える。本システムは、ビーコン信号を無線で受信し、ビーコン信号に基づいて、送電側共振器と受電側共振器との間の相対位置を示す位置信号を提供するように構成された磁気センサをさらに備える。本システムは、磁気センサと通信するコントローラであって、位置信号を受信し、送電側共振器と受電側共振器とを位置合わせするために必要な動きを示す位置合わせ信号を提供するように構成されるコントローラも備える。送電側共振器は、送電側共振器に電流を提供する電源に結合される。
【0007】
[0007]電流の大きさが第1の電流閾値を超える場合、送電側共振器は、充電信号を出射する。電流の大きさが第2の電流閾値に満たない場合、送電側共振器は、ビーコン信号を出射する。第1の電流閾値は、第2の電流閾値よりも実質的に高くなり得る。送電側共振器がビーコン信号を出射する場合には、電流の大きさが一定であり得、送電側共振器が充電信号を出射する場合には、電流の大きさが時変であり得る。ビーコン信号は、パルス変調されてもよい。あるいは、電流の大きさは、充電信号周波数がビーコン信号周波数よりも実質的に高く、充電信号およびビーコン信号が出射される場合に時変であってもよい。ビーコン信号周波数は、受電側共振器の共振周波数ではなくてもよい。ビーコン信号は、周波数変調されてもよい。
【0008】
[0008]受電側共振器および磁気センサは、車両に配置され得る。受電側共振器によって提供される電力は、車両内に配置される電池を充電し得る。本システムは、車両に配置される磁気センサのアレイをさらに備え得、磁気センサのアレイは、複数の出力信号を提供する。コントローラは、複数の出力信号を処理することによって、送電側共振器と受電側共振器との間の相対位置を判定するようにさらに構成され得る。磁気センサのアレイの第1の部分は、受電側共振器の前方で車両に配置され得、磁気センサのアレイの第2の部分は、受電側共振器の後方で車両に配置され得る。本システムは、コントローラと通信するディスプレイをさらに備え得る。ディスプレイは、位置合わせ信号に基づいて、受電側共振器と送電側共振器とを位置合わせするために車両によって必要とされる動きのグラフィックな表示を提供し得る。
【0009】
[0009]本発明の別の実施形態において、受電側共振器に対する送電側共振器の位置を特定するための信号を提供するように構成された装置が提供される。本装置は、電流を提供する電源と、電流を受信するために電源に結合される送電側共振器とを備える。送電側共振器は、磁気充電信号を無線で受信し、磁気充電信号に基づいて電力を提供する受電側共振器に、磁気充電信号を送信するように構成される。送電側共振器は、送電側共振器と受電側共振器との間の相対位置を示す磁気ビーコン信号を無線で受信し、磁気ビーコン信号に基づいて位置信号を提供する磁気センサに、磁気ビーコン信号を送信するようにも構成される。電流の大きさが第1の電流閾値を超える場合、送電側共振器は、磁気充電信号を出射し、電流の大きさが第2の電流閾値に満たない場合、送電側共振器は、磁気ビーコン信号を出射する。
【0010】
[0010]第1の電流閾値は、第2の電流閾値よりも実質的に高くなり得る。送電側共振器が磁気ビーコン信号を出射する場合には、電流の大きさが一定であり得、送電側共振器が磁気充電信号を出射する場合には、電流の大きさが時変であり得る。磁気ビーコン信号は、パルス変調されてもよく、磁気充電信号は、振幅変調されてもよい。あるいは、電流の大きさは、時変であってもよく、充電信号周波数は、ビーコン信号周波数よりも実質的に高くてもよい。磁気ビーコン信号は、周波数変調されてもよい。本装置は、車両に配置される受電側共振器に磁気充電信号を送信し、車両に配置される磁気センサに磁気ビーコン信号を送信するように構成され得る。
【0011】
[0011]本発明のさらなる特徴および利点は、非限定的な例として与えられるに過ぎない、本発明の好適な実施形態の以下の詳細な説明を読み、添付の図面を参照することで、より明確に現れるであろう。
【0012】
[0012]ここで、本発明は、添付の図面を参照しつつ、例として説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】[0013]一実施形態に係る、送電側共振器と受電側共振器とを位置合わせするためのシステムの側面図である。
図2】[0014]一実施形態に係る、図1の送電側共振器と受電側共振器とを位置合わせするためのシステムのブロック図である。
図3】[0015]一実施形態に係る、車両を駐車させるために使用される、図1の送電側共振器と受電側共振器とを位置合わせするためのシステムの斜視図である。
図4】[0016]別の実施形態に係る、2つの異なる車両を駐車させるために使用される、送電側共振器と受電側共振器とを位置合わせするためのシステムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0017]本明細書において説明されるものは、電気自動車充電システムにおいて使用されるシステムなどの、送電側共振器と受電側共振器との間の電力伝達の効率を最大化するために、送電側共振器と受電側共振器とを位置合わせするためのシステムである。送電側共振器は、送電側共振器および受電側共振器の共振周波数で振幅変調され得る磁気充電信号を出射する。電流を誘導する充電信号は、受電側共振器に送信される。このシステムは、ユーザに受電側共振器を送電側共振器に位置合わせするように指示するための磁気ビーコン信号を送信するために、送電側共振器も使用する。これは、比較的低い電流を送電側共振器に流して、磁場を生成することによって達成され得る。この電流は、磁場感知装置にとって最適な信号を生成するように、ビーコン信号の磁場が一定、パルス状、または充電信号よりもずっと低い周波数となるようなものであり得る。
【0015】
[0018]図1は、送電側共振器と受電側共振器とを位置合わせするためのシステム10の非限定的な例を例示する。システム10は、車両16における電池14を充電するための無線充電器12の一部であり得る。システム10は、車両16に取り付けられた受電側共振器18を備える。この非限定的な例における受電側共振器18は、車両16の下面20に位置する。受電側共振器18は、ほこり、泥、および湿度などの環境因子から受電側共振器18を隔離するように設計される受容パッド22の内部にパッケージングされ得る。
【0016】
[0019]図2の非限定的な例において例示されるように、システム10は、送電側共振器24に電流を提供する電源26に結合される送電側共振器24も備える。送電側共振器24は、電源26によって供給される電流に基づいて、磁気充電信号28を出射するように構成される。
【0017】
[0020]図1を再度参照すると、送電側共振器24は、ほこり、泥、および湿度などの環境因子から送電側共振器24を分離するように設計される充電パッド30の内部にパッケージングされ得る。充電パッド30は、車両16の下の駐車面32上に常駐し得る。駐車面32は、車両16の所有者によって所有されるガレージの内部にあっても、または、電気自動車16に再充電サービスを提供する公共駐車場にあってもよい。受電側共振器18は、充電信号28を無線で受信し、送電側共振器24からの充電信号28に基づいて電力を提供するように構成される。
【0018】
[0021]受電側共振器18が送電側共振器24により接近して位置合わせされるほど、エネルギーは送電側共振器24から受電側共振器18へより効率的に伝達されることが認識されるべきである。さらに、受電側共振器18および送電側共振器24は車両16の真下に存在し得るため、受電側共振器18が送電側共振器24と縦方向および横方向に位置合わせされる位置に運転者が車両16を動かすことは困難となり得ることが認識されるべきである。本明細書において使用される場合、また、図3に例示される場合、米国自動車技術会(SAE:Society of Automotive Engineers)標準J670によって定義される座標系に従って、縦方向34はX軸に沿い、横方向36はY軸に沿う。限定としてではなく例として、受電側共振器18と送電側共振器24との間の垂直分離は、典型的には、約15センチメートルから20センチメートル(15〜20cm)である。
【0019】
[0022]図3の非限定的な例において例示されるように、送電側共振器24は、磁気ビーコン信号38も出射する。送電側共振器24は、送電側共振器24を流れる電流が高い場合、例えば、10アンペアを上回る場合、充電信号28を出射する。即ち、電流の大きさが第1の電流閾値を超える場合である。送電側共振器24は、送電側共振器24を流れる電流が低い場合、例えば、1アンペア未満である場合、ビーコン信号38を出射する。即ち、電流の大きさが第2の電流閾値に満たない場合である。ビーコン信号38は、送電側共振器24が露出される場合、例えば、車両の真下にない場合に送信され得るため、送電側共振器24を流れる電流は、ビーコン信号38が適用可能な国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP:International Committee on Non−ionizing Radiation Protection)のガイドライン以下で出射されるように、十分に低くあるべきである。第1の電流閾値は、第2の電流閾値よりも実質的に高くなり得る。本明細書において使用される場合、実質的に高いとは、第1の電流閾値のピーク値が第2の電流閾値のピーク値を5アンペアより多く超えることを意味する。そのため、送電側共振器24は、付加的な部品を備える必要なしに、充電信号28およびビーコン信号38の双方を出射する。送電側共振器24に充電信号またはビーコン信号を出射させるために送電側共振器24に供給される電流の値は、送電側共振器24の設計および用途によって異なり得ることが理解されるべきである。
【0020】
[0023]その開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる、Martinによる、2012年4月19日に公開された米国特許出願公開第2012/0095617号において示されるシステムなどの、受電側共振器と送電側共振器とを位置合わせするための他のシステムは、送電側共振器の位置から車両のRF受信機へRFビーコン信号を送信するための、充電パッド内部に位置する付加的なRF送信機を示している。
【0021】
[0024]送電側共振器24のみを使用してビーコン信号38を送信することは、RFビーコン信号を送信するために充電パッド30に付加的なRF送信機を追加するコストを除去し、充電コントローラ44とRF送信機との間の回路のコストを除去する。送電側共振器24を使用してビーコン信号38を送信することは、充電パッド30内部の環境(例えば、高い磁場、高/低温、湿度)に耐えることが可能なRF送信機を設計する煩雑さも除去する。
【0022】
[0025]ビーコン信号38は、ビーコン信号38を無線で受信するように構成される磁気センサ40に、無線で送信される。磁気センサ40は、ビーコン信号38に基づいて、位置信号を提供する。位置信号は、送電側共振器24と受電側共振器18との間の相対位置を示す。図1に例示されるように、磁気センサ40も、車両16に取り付けられ得る。磁気センサ40は、カリフォルニア州マウンテンビューのApplied Physics Systems社から入手可能なモデル535などの三軸フラックスゲート磁力計であってもよい。あるいは、磁気センサ40は、ミネソタ州プリマスのHoneywell International Inc.社から入手可能なモデルHMC1053などの磁気抵抗センサであってもよい。
【0023】
[0026]図2に例示されるように、システム10は、前記磁気センサ40と通信するコントローラ42をさらに備え、以下、位置コントローラ42と称される。位置コントローラ42は、位置信号を受信し、送電側共振器24と受電側共振器18とを位置合わせするために車両16が必要とする側方移動、前後動、またはこの2つの組合せを示す位置合わせ信号を提供するように構成される。位置コントローラ42は、当業者には明らかであるように、マイクロプロセッサまたは他の制御回路などのプロセッサ(図示せず)を含み得る。位置コントローラ42は、磁気センサ40とシステム10に備えられ得る他のセンサまたは回路(図示せず)と通信可能であるように、アナログ/デジタル変換器回路およびデジタル/アナログ変換器回路(図示せず)も含み得る。位置コントローラ42は、1つまたは複数のルーチン、閾値およびキャプチャされたデータを記憶するための電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM:electrically erasable programmable read−only memory)などの、不揮発性メモリを含むメモリ(図示せず)も含み得る。1つまたは複数のルーチンは、送電側共振器24に対する受電側共振器18の位置を判定するためのステップを実行するために、プロセッサによって実行され得る。位置コントローラ42は、車両16の型とモデルを車両16の下面20に載置される受電側共振器18のその相関無線充電器位置に較正すること、安定的で信頼可能なユーザーインターフェイス出力を配信するために位置信号をフィルタリングすること、および磁気センサ40の出力精度を確認するためにシステム冗長検査を実行することを含むが、これらに限定されない機能を実行するようにさらに構成され得る。
【0024】
[0027]ここで図1に戻ると、システム10は、送電側共振器24によってどのくらいのエネルギーが出射されるかを判定する充電信号28を制御するためのコントローラ44も備え得、以下、充電コントローラ44と称される。充電コントローラ44は、ビーコン信号38も制御する。充電コントローラ44は、当業者には明らかであるように、マイクロプロセッサまたは他の制御回路などのプロセッサ(図示せず)を含み得る。充電コントローラ44は、電池14の充電状態を判定し、充電プロセスに関する他の情報を送信するために、車両16と通信することが可能な無線周波数(RF:radio frequency)送受信機46も含み得る。充電コントローラ44は、1つまたは複数のルーチン、閾値およびキャプチャされたデータを記憶するための電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)などの、不揮発性メモリを含むメモリ(図示せず)も含み得る。1つまたは複数のルーチンは、電池14が充電を必要とすることを充電コントローラ44によって受信されるRF信号が示すかを判定するためのステップを実行するためにプロセッサによって実行され得る。充電コントローラ44は、センサ(図示せず)とも通信し得、車両16が送電側共振器24の範囲内にあるかを判定するためのルーチンを実行し得る。充電コントローラ44は、電源26によって送電側共振器24に送られる電流を制御するためのルーチンも実行し得る。充電コントローラ44は、車両16が送電側共振器24の近接内で検出される場合、即ち、車両16が距離閾値未満の距離にある場合に、送電側共振器24がビーコン信号38を出射するのに十分な電流を提供するように電源26に命令するようにプログラムされ得る。この距離閾値は、例えば、6メートル(19.68フィート)であり得る。送電側共振器24に近接する車両16を検出するために使用される近接センサは、超音波センサ、磁気ループセンサ、空気圧センサ、または当業者によく知られている他の近接センサを含み得る。
【0025】
[0028]充電コントローラ44は、RF通信リンクを介して位置コントローラ42と通信し得、充電コントローラ44は、位置コントローラ42が送電側共振器24と受電側共振器18とが十分に位置合わせされていると判定する場合に、充電信号28を出射するのに十分な電流を提供するように電源26に命令するようにプログラムされ得る。充電コントローラ44は、充電プロセスを開始するための入力を充電コントローラ44がユーザから受信する場合に、充電信号28を出射するのに十分な電流を提供するように電源26に命令するようにもプログラムされ得る。
【0026】
[0029]一実施形態によれば、充電コントローラ44は、送電側共振器24がビーコン信号38を出射する場合には、電源26によって供給される電流の大きさが一定になるように命令し、送電側共振器24が充電信号28を出射する場合には、電源26によって供給される電流の大きさが時変となるように命令し得るルーチンを実行し得る。即ち、電源26は、送電側共振器24が充電信号28を出射する場合には、交流電流(AC:alternating current)を送電側共振器24に供給し、送電側共振器24がビーコン信号38を出射する場合には、送電側共振器24に直流電流(DC:direct current)を供給する。したがって、磁気ビーコン信号38は、充電信号28が電流の大きさにおける変化に比例して時間と共に変動する磁場を送電側共振器24の周囲に生成する一方で、一定の磁場を送電側共振器24の周囲に生成する。送電側共振器24によって生成される一定の磁場は、永久磁石によって生成される磁場と同様であるため、フラックスゲート磁力計と共に使用することによく適している。永久磁石およびフラックスゲート磁気センサの使用に基づく車両誘導システムは、California PATH Research Report UCB−ITS−PRR−2005−23、「Demonstration of Automated Heavy−Duty Vehicles(自動重車両の実演)」、Shaldoverら著、University of California発行、Berkley、California、2005年6月において説明されており、この開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0027】
[0030]別の実施形態において、充電コントローラ44は、充電信号28またはビーコン信号38のどちらかが送信される場合に、指定された周波数において時間と共に電流の大きさを変動させるように電源26に命令するルーチンを実行し得る。即ち、電源26は、送電側共振器24が充電信号28を出射する場合、および送電側共振器24がビーコン信号38を出射する場合、交流電流(AC)を送電側共振器24に供給する。電源26の交流電流の周波数が充電信号28およびビーコン信号38の周波数を決定することは、容易に明らかとなるべきである。そのため、充電信号28の周波数およびビーコン信号38の周波数は、電流の周波数に依存する。充電信号28の周波数は、好適には、受電側共振器18の共振周波数またはその近くである。充電信号28の周波数は、ビーコン信号38の周波数よりも実質的に高くなり得る。本実施形態において、ビーコン信号38の周波数は、受電側共振器18の共振周波数範囲外であり得る。低周波磁気信号および磁気抵抗センサの使用に基づく車両誘導システムは、論文「A Positioning System with No Line−Of−Sight Restrictions for Cluttered Environments(クラッタ環境のための見通し線制限なしの位置決めシステム)」、Eric Prigge著、Stanford University発行、Palo Alto、California、2004年8月において説明されており、この開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0028】
[0031]図4に例示される別の非限定的な例によれば、充電コントローラ44は、ある送電側共振器48からのビーコン信号38と、異なる送電側共振器50からのビーコン信号38とを位置コントローラ42が区別できるようにビーコン信号38を符号化するように、送電側共振器24へ送られる電流を変動させるように電源26に命令するルーチンを実行し得る。これは、複数の送電側共振器48、50を有する複数の充電所が存在する場所において有益となり得る。第1の送電側共振器48のビーコン信号38は、第2の送電側共振器50のビーコン信号38とは異なるパルスパターンを使用してパルス変調され得る。充電コントローラ44は、充電コントローラ44が第1の送電側共振器24の近接内に車両16を検出する場合に、期待されるパルスパターンをRF送受信機46で車両16へ送信し得る。
【0029】
[0032]あるいは、第1の送電側共振器48のビーコン信号38は、第2の送電側共振器50のビーコン信号38とは異なる周波数変調信号を用いて周波数変調されてもよい。同様に、充電コントローラ44は、充電コントローラ44が第1の送電側共振器24の近接内に車両16を検出する場合に、期待される信号をRF送受信機46で車両16へ送信し得る。位置コントローラ42が2つの信号を区別できるように第1および第2のビーコン信号38を変調する他の方法も想定され得る。
【0030】
[0033]図1に例示されるように、受電側共振器18および磁気センサ40は、車両16に取り付けられ得る。位置コントローラ42も、車両16内に位置し得る。あるいは、位置コントローラ42は、充電コントローラ44の内部に組み込まれてもよく、磁気センサ40は、RF通信リンクを介して位置コントローラ42と通信してもよい。
【0031】
[0034]図2に例示されるように、システム10は、車両16に取り付けられる磁気センサ40のアレイを備え得る。磁気センサ40のアレイは、複数の出力信号を位置コントローラ42に提供する。位置コントローラ42は、指向性の三角測量、到着時間、または当業者によく知られている他の信号位置処理技法などの信号位置技法を使用して複数の出力信号を処理することによって、送電側共振器24と受電側共振器18との間の相対位置を判定するようにさらに構成され得る。磁気センサ40のアレイの第1の部分52は、受電側共振器18の前方で車両16に取り付けられ得る。センサのアレイの第1の部分52は、車両16の横軸に沿って対称的に配置され得る。このセンサの配置は、複数のセンサからの複数の出力間におけるより高度の差異を位置コントローラ42が受け取ることを確実にする。また、車両16はまず前端部から駐車位置に入ると思われるため、磁場は、車両16の前部において最も強く、かつ、最も検出しやすい。磁気センサ40は、磁気センサ40の各々についての受信ビーコン信号間に最大の差を提供するために車両16に実装制約が与えられる場合、互いにできる限り離れて配置されてもよい。加えて、磁気センサ40のアレイの第2の部分54は、受電側共振器18の後方で車両16に取り付けられ得る。これは、一旦車両16が送電側共振器24の上に存在すると、受電側共振器18に対する送電側共振器24の位置を判定する精度を改善し得る。第2の部分54も、付加的なセンサ冗長性および信号濾過能力を提供し得る。
【0032】
[0035]システム10は、位置コントローラ42と通信するディスプレイ56をさらに備え得る。ディスプレイ56は、位置合わせ信号に基づいて、受電側共振器18と送電側共振器24とを位置合わせするために車両16によって必要とされる動きのグラフィックな表示を提供し得る。ディスプレイ56は、車両の中央スタックなどの、車両運転者に見える位置において車両16の内部に位置し得る。ディスプレイ56は、別のディスプレイシステム、例えば、車両ナビゲーションディスプレイの一部であってもよい。あるいは、ディスプレイ56は、車両16の外部に、おそらくは、車両16の運転者に見える、駐車場の前方の位置に、位置してもよい。
【0033】
[0036]例示された実施形態は、送電側共振器24を車両16に取り付けられた受電側共振器18と位置合わせするためのシステム10に適用されるが、このシステム10は、例示された用途に限定されず、受電側共振器を有する携帯電話を充電パッド内の送電側共振器と位置合わせするなどの他の用途に適用されてもよい。
【0034】
[0037]こうして、送電側共振器24と受電側共振器18とを位置合わせするためのシステム10が提供される。システム10は、共振器18、24間の電力伝達を最大化するために、受電側共振器18を送電側共振器24と位置合わせするようにユーザを誘導すべく、磁気センサ40と共に使用されることができるビーコン信号38を出射する。システム10は、送電側共振器24、送電側共振器24を収容する充電パッド30、または無線充電器12に付加的な部品を追加することなく、磁気ビーコン信号38を提供する利益をもたらす。
【0035】
[0038]本発明は、その好適な実施形態の観点から説明されてきたが、本発明は、そのように限定されることは意図されず、むしろ、後続の特許請求の範囲において記載される範囲にのみ限定されることを意図される。そのうえ、第1(first)、第2(second)等の用語の使用は、重要度の順序を意味するものではなく、むしろ、第1、第2等の用語は、ある要素を別の要素と区別するために使用される。さらに、ある(a、an)等の用語の使用は、量の限定を意味するものではなく、むしろ、言及される項目の少なくとも1つの存在を意味する。
図1
図2
図3
図4