(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記本体部が、対向する平行な直線部を有し、前記モータと電気回路とを含む電装品と電池の収容部とを備えた扁平な筐体と、該筐体の前記直線部に沿って両側に立設された凸壁部と、前記筐体の一方端に設けられ、空気取り入れ用の吸引口と空気吹き出し用の吐出口とを有するファンと、前記筐体の直線部の両側に形成されたガイド部材と、前記筐体に設けられた前記モータのスイッチと、前記本体部に着脱自在に設けられ、ファンの送風を受け入れる入口と、前記化学物質を収容する空間とを備えた収納ケース、を有し、
前記出口は、前記カバーにより開閉されるように前記収納ケースに設けられ、
前記カバーが、前記本体部と重なり合う形状で、前記筐体のガイド部材にガイドされる係合部材と、前記ファンの吸引口に対応した開口とを備え、前記凸壁部との間に収容空間を形成し、
前記カバーの係合部材が前記筐体のガイド部材にガイドされて前記カバーが前記本体部に重なり合った閉止位置から、本体部からずれた開放位置まで移動可能であり、該移動により前記カバーに形成されたファンの開口が前記ファンの吸引口を開き始めた位置から全開させる位置まで移動し、同時に、前記カバーが前記収納ケースの前記出口を開き始めた位置から全開させる位置まで移動し、その間前記作用部が、前記モータのスイッチをオン状態に保持することを特徴とする請求項1に記載の携帯用拡散器。
前記ファンが、前記凸壁部に連続して前記筐体の一方端に形成されたケーシング部と、前記筐体の該ケーシング部内に突出する前記モータの回転軸と、該回転軸に固定されたファンの回転翼と、前記ケーシング部に形成された座面に載置され、前記ファンの回転翼を覆って前記本体部との間にファンを構成するとともにファンが送風する空気を吸引するための吸引口を備えた仕切板とを有することを特徴とする請求項2に記載の携帯用拡散器。
前記カバーの開口がカバーのスライド方向に沿って複数に分割され、前記仕切板の吸引口もカバーのスライド方向に沿って複数に分割されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の携帯用拡散器。
【背景技術】
【0002】
携帯できる芳香器などの化学物質の拡散器としては、小型の容器内に、芳香剤等と共に、モータやファンを備えており、スイッチのオン/オフにより芳香を拡散できるようにしたものが種々提案されている。
【0003】
特許文献1では、モータとファンを備えた容器の入り口に芳香剤の入った蓋体を回動可能に設け、蓋体の回動によって、開閉するとともに、モータのスイッチをオン、オフする構成としている。蓋体が回動してスイッチオンになり、ファンが回転すると、ファンの風が蓋体内の芳香剤を吐出空気内に混合させて、芳香を室内に放出するようになっている。
【0004】
特許文献2では、2枚貝のように一端で蝶番結合している容器内に、モータやファンを収容し、ファンの前に芳香剤のカートリッジをセットした構造になっている。容器を開くと絶縁体が電気接点間から抜け出て電気接点が接触してオンとなりファンが回転し、ファンの風が芳香剤のカートリッジを通過することで、芳香を放出する。
【0005】
特許文献3では、芳香剤や電動ファンを収納する箱状のケース本体と、このケース本体の吸引口部を開閉するように、ケース本体にスライド自在に設けられたスライド部材とを備えた構成になっている。スイッチはケース本体にあり、スイッチを手で操作してオンにし、スライド部材を引き出して開放位置にすると、芳香を放出できる。
【0006】
特許文献4では、芳香剤の入った詰め替えユニットが装着されていない場合は、スイッチがオンにならず、詰め替えユニットが装着されている場合にのみスイッチがオンになる装着型化学物質放出器が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述した拡散器は、いずれもスイッチのオン/オフにより、化学物質が拡散されるか、されないかの2者択一であり、スイッチがオンになったときの風量は一定である。
【0009】
しかしながら、使用者からは、使用状況により芳香を強くしたり、弱くしたり調整できる機能の要請がある。そのためには、風量を調整する必要があるが、従来の拡散器では、対応することができない、という問題がある。
【0010】
本発明は、この問題の解決を図ったもので、風量の調節が可能な携帯用拡散器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために本発明の携帯用拡散器は、ファンとファン駆動用のモータと、前記ファンによる送風が吸引される吸引口、および送風により化学物質が放出される出口を有する本体部と、該本体部にスライド自在に装着され、直線的なスライドをすることによって前記ファンの吸引口を開閉すると共に前記ファンのモータをオン/オフする作用部を備えたカバーと、を有し、前記カバーがスライドしたとき、前記ファンの吸引口を開閉すると共に、前記収納ケースの出口を開閉し、前記カバーが前記吸引口と前記出口を開き始めた位置から全開させる位置まで移動する間、前記カバーの作用部が前記ファンをオン状態に保持することを特徴としている。
【0012】
前記本体部が、対向する平行な直線部を有し、前記モータと電気回路とを含む電装品と電池の収容部とを備えた扁平な筐体と、該筐体の前記直線部に沿って両側に立設された凸壁部と、前記筐体の一方端に設けられ、空気取り入れ用の吸引口と空気吹き出し用の吐出口とを有するファンと、前記筐体の直線部の両側に形成されたガイド部材と、前記筐体に設けられた前記モータのスイッチと、前記本体部に着脱自在に設けられ、ファンの送風を受け入れる入口と、前記化学物質を収容する空間とを備えた収納ケース、を有し、前記出口は、前記カバーにより開閉されるように前記収納ケースに設けられ、前記カバーが、前記本体部と重なり合う形状で、前記筐体のガイド部材にガイドされる係合部材と、前記ファンの吸引口に対応した開口とを備え、前記凸壁部との間に収容空間を形成し、前記カバーの係合部材が前記筐体のガイド部材にガイドされて前記カバーが前記本体部に重なり合った閉止位置から、本体部からずれた開放位置まで移動可能であり、該移動により前記カバーに形成されたファンの開口が前記ファンの吸引口を開き始めた位置から全開させる位置まで移動し、同時に、前記カバーが前記収納ケースの前記出口を開き始めた位置から全開させる位置まで移動し、その間前記作用部が、前記モータのスイッチをオン状態に保持する構成とすることが望ましい。
【0013】
前記ファンが、前記凸壁部に連続して前記筐体の一方端に形成されたケーシング部と、前記筐体の該ケーシング部内に突出する前記モータの回転軸と、該回転軸に固定されたファンの回転翼と、前記ケーシング部に形成された座面に載置され、前記ファンの回転翼を覆って前記本体部との間にファンを構成するとともにファンが送風する空気を吸引するための吸引口を備えた仕切板とを有する構成としたり、前記カバーの開口がカバーのスライド方向に沿って複数に分割され、前記仕切板の吸引口もカバーのスライド方向に沿って複数に分割されている構成としたり、前記カバーの開口が円弧状に配置され、前記仕切板の吸引口も円弧状に配置されている構成としたり、前記仕切板の複数の吸引口の円弧上における中心角が、前記回転翼の回転方向の上流側で小さく、下流側ほど大きい構成としたり、前記本体部のガイド部材が凹状の溝で、前記カバーの係合部が凸状のリブである構成としたり、前記スイッチが、前記凹状の溝内に突出し、前記作用部が凸状のリブの高さによりオン、オフされる構成としたり、前記カバーが全開位置に達したのを知らせるクリック機構を有する構成としたり、前記クリック機構が、前記本体部の前記凹状の溝内における前記スイッチの近傍に形成された突起と、前記凸状のリブに形成された突起とからなる構成とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の携帯用拡散器によれば、カバーを本体部に対して直線的にスライドさせることで、拡散器のファンをオン/オフできるだけでなく、カバーのスライド量に応じて、ファンの吸引量と拡散器の風量の双方を同時に調整することができるという優れた効果を奏する。
【0015】
また、カバーを直線的にスライドさせるので、片手で操作することができ、オン/オフ操作だけでなく風量の調整の操作も容易にできるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の携帯用拡散器の分解斜視図である。同図に示すように本発明の携帯用拡散器100は、本体部10と、カバー20と、仕切板30及び収納ケース40とから構成されている。
【0018】
〔本体部〕
図2は本体部10の図で、(a)は上面図、(b)は側面図、(c)は下面図である。
図1も参照して説明すると、本体部10は
図2(a)の左右方向に相互に平行な直線部を含む長辺があり、
図2(a)の上下方向が短辺となる丸みを帯びた平行四辺形をしている。
図2(b)に示すように、本体部10の下部は扁平な筐体11で、内部には図示しないが電気回路やモータが収容されている。また、(c)の下面図に示すように、底面には電池の収容部を開閉する蓋11aが設けられ、ここを開いて電池を交換することができる。
【0019】
本体部10の長辺の両側には、筐体11の内側に凸壁12、12があり、本体部10の短辺の一方側には、ファンのケーシング13が形成されている。このケーシング13の長辺と平行な部分は、凸壁12、12と一体になっており、同じ高さで連続している。ケーシング13の短辺と平行な部分は、凸壁12と同じ高さで、曲線を描いており、ケーシング13の内側は、ファンの回転翼14を囲むように円形となっている。また、ケーシング13の円形の外側には、仕切板30を載置する平らな座面13aが形成されている。
【0020】
筐体11内に設けられたモータの回転軸14aは、筐体11の上平面15に垂直に突出しており、この回転軸14aにファンの回転翼14が固定されている。このように上平面15を境界にして筐体11内にモータ、電気回路等の電装品を収容することにより、電装品が化学物質の影響を受けないようにしている。
【0021】
筐体11の長辺の両外側には、溝状のガイド部材16が形成されている。このガイド部材16は、ケーシング13側では本体部10の端部まで形成され、反対側は凸壁12の終端までとなっている。
【0022】
図2(b)に示すように、このガイド部材16の溝内には、モータのスイッチ17が突出しており、スイッチ17の図の左側には、突起18が同じく溝内に突出している。スイッチ17は、本体部10の片側のみであるが、突起18は本体部10の反対側のガイド部材16内にも形成されている。また、ケーシング13の角部にも、別の突起19が設けられている。これらの突起18、19はクリック機構の一部であるが、詳細については後述する。
【0023】
〔カバー〕
図3はカバー20の図で、(a)は上面図、(b)は側面図、(c)は裏面図、(d)は(a)のI−I断面図である。カバー20の上面21は、本体部10と重なり合うように本体部10と同じ大きさと形状とを備えている。この上面21は、(b)、(d)に示すように、中央が高くなるように若干の湾曲が付与されている。また、上面21の一方側には、7個の開口25が円弧状に配列されている。これらの開口25は、上面21側がすり鉢状に拡大された皿状の孔である。
【0024】
上面21の両側と、短辺には連続した立壁22がある。長辺に直線的に形成された立壁22には、先端に立壁22から直角に係合部材23が形成され、係合部材には、作用部24が形成されている。カバー20の上面21の裏面は、ほぼ中央で、上面21と同じに湾曲した面21aと、平面21bとに分けられている。平面21bの奥には突起26がある。
【0025】
〔仕切板〕
図4は、仕切板30の上面図である。仕切板30は平板状で、
図2(a)に示す座面13a上に載置されるもので、ファンの回転翼14の上を覆ってファンの一部を構成する。仕切板30には、2つの丸い吸引口31、32と2つの円弧状の長孔である吸引口33、34とがある。これらの吸引口31〜34は、カバー20に形成された7つの開口25と重なり合うことができるように穿設されている。
【0026】
また、カバー20の開口25の数は7個であるのに対し、仕切板30の吸引口31〜34は4個であるが、これは、各開口と吸引口とを時計回り方向に見て、吸引口31、32が開口25の最初の2個(第1、2番目)の孔に対応し、吸引口33が次の2個(第3、4番目)の開口25に対応し、吸引口34が残りの3個(第5、6、7番目)の開口25に対応するようにしているためである。
【0027】
このように吸引口31〜34を4個にした理由は次のとおりである。ファンの回転翼14は、
図2(a)において時計方向に回転し、回転により風切り音が発生するが、
図4に示すように、吸引口31〜34の長さを中心角でθ1からθ4で表すと、吸引口31〜34では、θ1≦θ2<θ3<θ4と、回転方向の下流側ほど中心角を大きくすると、風切り音を小さくすることができるからである。θ1とθ2については、共に小さい角度であるから、θ1=θ2の場合も含めている。
【0028】
〔収納ケース〕
図5は、収納ケース40の図で、(a)はケースを閉じた状態の斜視図、(b)はケースを開いた状態の斜視図である。
【0029】
収納ケース40は、本体41と蓋体42とを蝶番43で結合した構成になっている。本体41、蓋体42はともに、蝶番43を除く3方を壁で囲まれ、蓋体42は、さらに左右両側に膨出部が形成されている。この形状は、本体部10に形成された収容空間に過不足なく収容するために決められたものである。この両側の膨出部には、凹凸部44が形成されているが、これによって収納ケース40を掴み易くし、着脱を容易にすることができる。また、収納ケース40の形状は非対称形状なので、装着方向を間違えないようになっている。
【0030】
収納ケース40の内部は空間であり、ここに芳香剤などの化学物質の入った袋45が入れられ、閉じられて
図5(a)に示す状態になる。
図5(a)に示すように、閉じられた収納ケース40の一端には、側面に空気の入口46があり、他端の上面には空気の出口47として4個の孔がある。
【0031】
図1の分解斜視図から理解されるように、収納ケース40は、本体部10の上平面15と、両長辺の凸壁12、12と、カバー20とで画定される空間内に過不足ない状態で収容される。したがって、本体部10にカバー20と仕切板30及び収納ケース40を取り付けた完成状態では、本体部10の外側には殆ど突出したり、凹んだりするものがない状態になる。このとき、カバー20の裏面に湾曲した面21aがあるので、収納ケース40の容量を大きくすることができる。
【0032】
また、収納ケース40は使い捨てにすることも可能であり、内部に収納する芳香剤を変えることで、異なる香りを楽しむこともできる。また、芳香剤に代えて消臭剤や殺虫剤を入れて消臭効果を得たり、殺虫効果を得たりすることも可能である。
【0033】
〔組立〕
図6は、本発明の携帯用拡散器の斜視図で、(a)は組立完了状態(全閉状態)、(b)、(c)は使用状態を示し、(b)は半開状態、(c)は全開状態を示す。
【0034】
本発明の携帯用拡散器100を組み立てる場合、まず、本体部10の座面13aに仕切板30を載置する。この場合、接着剤等で仕切板30を座面13aに固定してもよいが、単に載置しただけで、取外し可能な状態でもよい。これによって、筐体の上平面15と仕切板30で両側を挟まれ、ケーシング13で周囲を画定されたファンが形成される。ファンの空気取り入れ口は吸引口31〜34であり、吐出口は、回転翼14の側方の凸壁12、12間となる。
【0035】
本発明の実施例では、ファンを各部材に分け、筐体11の一部、回転翼14、ケーシング13及び仕切板30等で構成し、筐体11内のモータで駆動する構成にしたが、この構成に限定されるものではなく、ファンを一体のものとして筐体11に取り付ける構成としてもよい。
【0036】
次に、収納ケース40を所定の位置に載置する。形状が非対称形状なので、逆向きに載置することができず、自動的に正しく設置されるようになっている。
【0037】
次に、カバー20をはめる。このとき、カバー20の立壁22の先端に形成された両側の係合部材23の先端を、本体部10のガイド部材16の溝の端部から入れて、ガイドすることで、本体部10に対して正しい位置にカバー20を取り付けることができる。カバー20の裏面の平面21bが仕切板30のガタつきを防止するために、軽く押さえることになる。カバー20は本体部10に着脱自在である。以上で組立が完了する。
【0038】
なお、上記の例では、カバー20の取り付けの前に収納ケース40を取り付けているが、カバー20の取り付け後に収納ケース40を着脱してもよい。
【0039】
組立が完了した状態では、収納ケース40の空気の出口47はカバー20で閉鎖され、ほぼ密封された状態となって、収納ケース40内の芳香剤などの化学物質の臭いが漏れ出ない。また、収納ケース40は、ファンの下流側に配置されるので、収納ケース40内の化学物質の臭いが本体部10に移ることを防止できる。
【0040】
〔作用〕
図7は、係合部材23に形成された作用部24と、スイッチ17及び突起18の関係を示す概念図である。
図6(a)に示す状態から、カバー20を
図7の矢印の方向に移動するとして説明する。
【0041】
図7(a)に示す状態では、本発明の携帯用拡散器100は、
図6(a)に示す状態であり、モータは停止している。
【0042】
係合部材23の作用部24には、
図7の右側から、凹部24a、突起24b、大凹部24c、突起24d、凹部24eが形成されている。このうち、突起24bと24dとは同じ大きさで、凹部24aと凹部24eも同じ大きさである。また、突起24b、24dと係合部材23の高さも同じになっている。スイッチ17はバネにより図の下方に向けて付勢されており、図の上下方向に進退自在で、(a)に示す伸びた状態ではモータがオフとなり、(b)に示す縮んだ状態ではモータがオンになる。
【0043】
図7(a)に示す状態では、スイッチ17は大凹部24c内の右端にあり、モータはオフである。一方、突起18は先端が少しだけ凹部24eに入っていて、係合部材23の左右の移動を軽く阻止している。
【0044】
図7(a)の状態からカバー20がスライドすると、カバー20が開き始める。係合部材23は矢印方向に移動して、突起24dが突起18を乗り越えて、
図7(b)の状態になる。すると、スイッチ17は他方の突起24b上に乗り、押し込まれてモータをオンの状態にする。このとき突起24dが突起18を乗り越えるので、使用者にはクリックを感じることができ、モータがオンになったことを明瞭に感じ取ることができる。
なお、スイッチ17は凹部24aと凹部24eよりも幅が広いので、凹部24a、24eには落ち込むことがない。
【0045】
係合部材23がスライドを続け、
図7(b)の状態から
図7(c)の状態まで、突起18は大凹部24c内にある。この間、スイッチ17は凹部24aを通過して係合部材23と接触し続けるが、突起18の移動を阻止するものも何もないので、カバー20は軽く矢印の方向と反対方向の双方にスライドすることができる。この間は、
図6(b)に示すように、カバー20が収納ケース40の出口47の一部を覆った状態となり、吸引する空気量と吐出する風量の調整を行うことができる。
【0046】
図7(c)の状態から、係合部材23がさらに矢印方向にスライドをすると、
図7(d)に示すように、突起24bが突起18を乗り越え、使用者はクリックを感じ取る。このとき、
図6(c)に示すように、カバー20が収納ケース40の出口47を全開にする。
【0047】
係合部材23が矢印と逆方向に移動し、
図7(a)の状態に戻ったときは、突起24dが突起18を乗り越えるので、やはり、使用者はクリックを感じることができ、出口47の全閉とモータの停止を明瞭に感じ取ることができる。
【0048】
このように、作用部24と突起18の作用により、使用者は送風の開始位置と全開位置
とをクリックによって知ることができるので、その中間位置にカバー20をスライドすることによって、所望の風量を得ることができる。本発明の拡散器100では、拡散器100が吹き出す風量のみを増減するのではなく、拡散器100が吸引する空気量も同時に増減しているのが特徴である。
【0049】
なお、全開位置に達したとき、本体部10のケーシング13に形成された突起19が、カバー20に形成された突起26を乗り越えることでも、クリック感が生じるようになっており、全開位置を2つのクリックで強調している。
カバー20が吸引口31〜34と出口47とを共に開き始めた位置から全開させる位置まで移動する間のストロークにおいて、カバーの作用部24がファンをオン状態に保持している。
【0050】
本発明の拡散器では、スイッチ17がガイド部材16の溝内にあるので、使用者は、カバー20をスライドするだけでオン/オフの操作をワンタッチで行うことができる。また、スイッチ17をオン/オフする作用部24が、カバー20のスライド部分である係合部材23により構成されているので、スイッチを作用するための特別な部品を配することなく、スライドによりオン/オフする構成を単純化できる。
【0051】
図8、
図9は、カバー20の開口25と、仕切板30の吸引口31〜34との作用を説明する図である。これらの図では便宜的に、開口25を実線で表し、吸引口31〜34を仮想線で表した。本発明では、カバー20の開口25がカバー20のスライド方向に複数に分割され、仕切板30の吸引口31〜34もカバー20のスライド方向に複数に分割されているが、その理由について以下に説明する。
【0052】
図8(a)は、開口25と吸引口31がそれぞれ1個ずつの場合である。この場合は、所望の風量を確保するため開口25と吸引口31の双方を大きくしなければならない。開口25と吸引口31を大きくしたため、全閉状態から全開状態までに必要なスライド量はL1となる。
【0053】
図8(b)は、開口25と吸引口31がそれぞれ2個ずつの場合である。この場合は、開口25と吸引口31の大きさは、1個ずつの場合の1/2でよいので、スライド量は小さくなる。すなわち、開口25と吸引口31を交互に配置しているので、全閉状態から全開状態までに必要なスライド量はL2であり、明らかにL1>L2となる。
【0054】
すなわち、カバー20の開口25がスライド方向に複数に分割され、仕切板30の吸引口31〜34もカバー20のスライド方向に複数に分割されていると、全閉から全開までのストローク量を小さくすることができる。本発明のようなカバー20が直線的にスライドする拡散器においては、ストローク量を小さくすることで、芳香材等の化学物質拡散時、即ち、吸引孔31や開口25が全開付近の場合でも、カバー20が本体部10から張り出した長さ部分を小さくできるので、拡散機全体の大きさを抑制することができる。よって、片手での操作が容易にすることができるので、携帯性に優れる。
【0055】
図9は、本発明の開口25と吸引口31〜34の全閉から全開における位置関係を示す図である。開口25を実線で示し、吸引口31〜34を仮想線で示している。開口25も吸引口31〜34も円弧状に配置されているが、これは同時にスライド方向に分割配置されていることになる。
【0056】
図9(a)は、全閉状態を示す。開口25のすべてが吸引口31〜34と重なっていない状態である。これは、
図6(a)、
図7(a)に対応している。
【0057】
図9(b)は、半開状態を示す。開口25の一部が吸引口31〜34と重なっている状態である。これは
図6(b)、
図7(b)、(c)に対応している。
【0058】
図9(c)は、全開状態を示す。開口25のすべてが吸引口31〜34と重なっている状態である。これは
図6(c)、
図7(d)に対応している。
【0059】
本発明の携帯用拡散器は、全体として平行四辺形となっており、収納ケース40の空気の出口47が、長辺に対して傾斜しているので、出口47の孔の数を多くすることができ、出口47の面積を大きくして大風量を得ることができる。
【0060】
また、本発明の携帯用拡散器は小型軽量化が容易であり、ストラップホルダーを設け、ぶら下げて使用することも可能である。また、全体形状として角部を丸くしており、ポケットに入れた場合でも、引っかからないようにできる。