(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5997906
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】内視鏡システム及び内視鏡用光源装置
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20160915BHJP
A61B 1/06 20060101ALI20160915BHJP
A61B 1/04 20060101ALI20160915BHJP
G02B 23/26 20060101ALI20160915BHJP
【FI】
A61B1/00 300D
A61B1/06 B
A61B1/04 370
G02B23/26 B
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-16503(P2012-16503)
(22)【出願日】2012年1月30日
(65)【公開番号】特開2013-153919(P2013-153919A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2014年11月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100129746
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 滋郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147762
【弁理士】
【氏名又は名称】藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】飯田 充
【審査官】
▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2007/123028(WO,A1)
【文献】
特開2007−236416(JP,A)
【文献】
特開2002−336196(JP,A)
【文献】
特開2008−272507(JP,A)
【文献】
特開2001−314370(JP,A)
【文献】
特開2002−95635(JP,A)
【文献】
特開2011−101771(JP,A)
【文献】
特開昭64−46719(JP,A)
【文献】
特許第4009626(JP,B2)
【文献】
特開2004−321244(JP,A)
【文献】
特開2002−034908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 − 1/32
G02B 23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプと、
ランプにより照射された被写体を撮像し、映像信号を生成する撮影素子と、
前記ランプの光路上に配置され、前記ランプから出射された通常光の波長帯域の一部を透過させて特殊光を生成し、前記特殊光によって被写体を照射させるフィルタと、
前記特殊光により被写体を照射するとき、第1期間で前記ランプの出射光量を相対的に大きくするとともに、前記第1期間と連続する第2期間で相対的に出射光量を小さくするように前記ランプを制御するランプ制御部とを備え、
前記ランプ制御部が、前記ランプに入力される電流を前記第1期間では定格電流より大きくして前記第2期間では定格電流より小さくするとともに、前記第1および第2の期間に亘る電流の算術平均が定格電流以下となるように制御し、
前記第1期間で被写体を撮像し生成した映像信号を、特殊光画像データとして取得することを特徴とする内視鏡システム。
【請求項2】
前記特殊光画像データを、前記第1及び第2期間で得られた画像として、出力装置に連続して出力することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項3】
前記第1及び第2期間が繰り返されて複数の前記特殊光画像データが取得され、それら複数の特殊光画像データが前記出力装置に順次出力されて動画として映し出されることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡システム。
【請求項4】
前記第1及び第2期間それぞれにおいて、前記撮像素子が被写体を撮像し映像信号を生成し、前記特殊光画像データが前記出力装置に出力されるレートが、前記撮像素子の前記映像信号を生成するレートの1/2以下となることを特徴とする請求項3に記載の内視鏡システム。
【請求項5】
前記第2期間で被写体が撮像され生成された映像信号は、出力装置に出力されないことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項6】
前記フィルタは、前記被写体への前記特殊光による照射と前記通常光による照射を選択的に行わせるように移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項7】
前記通常光により照射された被写体を撮像し生成した映像信号を、通常光画像データとして取得することを特徴とする請求項6に記載の内視鏡システム。
【請求項8】
前記ランプ制御部は、前記第1期間で被写体を照射し前記特殊光画像データを取得するときの前記ランプの出射光量を、前記通常光により被写体を照射し前記通常光画像データを取得するときの出射光量よりも大きくすることを特徴とする請求項7に記載の内視鏡システム。
【請求項9】
前記ランプ制御部は、前記通常光により前記被写体を照射するとき、前記ランプの出射光量が一定になるように制御することを特徴とする請求項6に記載の内視鏡システム。
【請求項10】
前記ランプは、キセノンランプであることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項11】
ランプと、
前記ランプの光路上に配置され、前記ランプから出射された通常光の波長帯域の一部を透過させて特殊光を生成し、前記特殊光によって被写体を照射させるフィルタと、
前記特殊光により被写体を照射するとき、第1期間で前記ランプの出射光量を相対的に大きくするとともに、前記第1期間と連続する第2期間で相対的に出射光量を小さくするように前記ランプを制御するランプ制御部とを備え、
前記ランプ制御部が、前記ランプに入力される電流を前記第1期間では定格電流より大きくして前記第2期間では定格電流より小さくするとともに、前記第1および第2の期間に亘る電流の算術平均が定格電流以下となるように制御し、
前記第1期間で被写体を撮像し生成した映像信号を、特殊光画像データとして取得することを特徴とする内視鏡用光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば狭帯域光観察等の特殊光画像観察を行うことが可能な内視鏡システム及び内視鏡用光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡システムでは、病変の発見を容易にするために、狭帯域の光を観察部位に照射して画像観察を行う狭帯域光観察と呼ばれる手法が用いられることがある(特許文献1等参照)。従来、狭帯域光観察を通常光画像観察と同じランプによって行うために、例えば、白色光を出射するランプの後段に、光路から退避可能で、かつ所定の波長帯域の光のみを透過させるフィルタを配設させることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−184046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記したフィルタを使用する構成にすると、ランプから発した光の一部はフィルタによりカットされ、被写体に照射される狭帯域光の光量が低下し、観察画像が暗くなるという問題が生じる。また、被写体照明が暗くなるため、速いシャッタースピードの電子シャッターで被写体を撮影することができず、静止画撮影でぶれが生じやすくなる。
【0005】
そこで、本発明は、狭帯域光観察等の特殊光画像観察において、観察画像が暗くなったり、静止画撮影で画像がぶれたりするのを防止することが可能な内視鏡システム及び内視鏡用光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る内視鏡システムは、ランプと、ランプにより照射された被写体を撮像し、映像信号を生成する撮影素子と、ランプの光路上に配置され、ランプから出射された通常光の波長帯域の一部を透過させて特殊光を生成し、特殊光によって被写体を照射させるフィルタと、特殊光により被写体を照射するとき、第1期間でランプの出射光量を相対的に大きくするとともに、第1期間と連続する第2期間で相対的に出射光量を小さくするようにランプを制御するランプ制御部とを備え、第1期間で被写体を撮像し生成した映像信号を、特殊光画像データとして取得することを特徴とする。
【0007】
特殊光画像データは、例えば、モニタ等の出力装置に出力され、好ましくは、第1及び第2期間で得られた画像として、出力装置に連続して出力される。このとき、第1及び第2期間は繰り返されて複数の特殊光画像データが取得されたほうが良く、それら複数の特殊光画像データは、出力装置に順次出力されて動画として映し出されることになる。
【0008】
撮像素子は、例えば、第1及び第2期間それぞれにおいて、被写体を撮像し映像信号を生成する。そして、特殊光画像データが出力装置に出力されるレートは、撮像素子の映像信号を生成するレートの1/2以下となることが好ましい。この場合、第2期間において被写体を撮像し生成した映像信号は、出力装置に出力されない。
【0009】
上記フィルタは、被写体への特殊光による照射と通常光による照射を選択的に行わせるように移動可能であったほうが良い。その場合、通常光により照射された被写体を撮像し生成した映像信号は、通常光画像データとして取得されることになる。
【0010】
ランプ制御部は、第1期間で特殊光により被写体を照射し、特殊光画像データを取得するときのランプの出射光量を、通常光により被写体を照明し、通常光画像データを取得するときの出射光量よりも大きくすることが好ましい。また、ランプ制御部は、第2期間で特殊光により被写体を照射するときのランプの出射光量を、通常光により被写体を照射し、通常光画像データを取得するときの出射光量よりも小さくすることが好ましい。さらに、例えば、ランプ制御部は、通常光により被写体を照射するとき、ランプの出射光量が一定になるように制御する。ランプは、例えば、キセノンランプである。
【0011】
本発明に係る内視鏡用光源装置は、ランプと、ランプの光路上に配置され、ランプから出射された通常光の波長帯域の一部を透過させて特殊光を生成し、特殊光によって被写体を照射させるフィルタと、特殊光により被写体を照射するとき、第1期間でランプの出射光量を相対的に大きくするとともに、第1期間と連続する第2期間で相対的に出射光量を小さくするようにランプを制御するランプ制御部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、ランプの出射光量を一定期間大きくすることで、特殊光画像観察時に観察画像を明るくすることができ、また、速いシャッタースピードで静止画を撮影しても画像がぶれにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電子内視鏡システムを示すためのブロック図である。
【
図2】通常光画像観察時の動作を示すタイミングチャートである。
【
図3】特殊光画像観察時の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電子内視鏡システムを示すためのブロック図である。
【0015】
内視鏡システムは、体内等の観察部位(被写体)を撮像し映像信号を生成する内視鏡(スコープ)10と、映像信号に対して画像処理を施すプロセッサ11と、モニタ12とを備える。内視鏡10は、可撓管からなり体内等に挿入される挿入部14を備えるとともに、コネクタ部15を介してプロセッサ11に接続される。内視鏡10には、ライトガイド16が挿通されており、その出射端は、挿入部14の先端部10Aに配置されるとともに、入射端はプロセッサ11内部に配置される。
【0016】
内視鏡10は、先端部10Aに、同時方式のCCD等から成る撮像素子17を備える。また、内視鏡10は、コネクタ部15内部に、前段信号処理回路18と、内視鏡10全体の動作を制御するマイコン19と、撮像素子17を駆動・制御するドライバ20を備える。
【0017】
プロセッサ11は、ランプ21を備え、光源装置としての機能を有する。また、プロセッサ11は、システムコントローラ31、プロセッサ信号処理回路32、タイミングコントローラ33、及びペリフェラルコントローラ34を備える。システムコントローラ31は、プロセッサ11全体を制御するとともに、内視鏡10のマイコン19に制御信号を出力する。タイミングコントローラ33は、信号処理回路32、ペリフェラルコントローラ34や、内視鏡10のマイコン19にタイミング信号を出力し、内視鏡10とプロセッサ11の動作タイミングを制御する。また、ペリフェラルコントローラ34は、ランプ21や後述するフィルタ27及び絞り28等の駆動を制御する。
【0018】
ランプ21は、ランプ制御部22を含むランプ電源23から電源が供給される。ランプ制御部22は、ランプ21に入力される電流値を制御して、ランプ21の出射光量を制御する。ランプ21は、キセノンランプ等の放電灯によって構成され、白色光(通常光)を放射する。本実施形態におけるランプ21の定格電流は、20Aである。
【0019】
ランプ21から出射された光は、集光レンズ25を介してライトガイド16の入射端に入射されるとともに、ライトガイド16により出射端まで伝送され、内視鏡10の先端部10Aから被写体に照射される。
【0020】
ランプ21と集光レンズ25の間には、ランプ21側から順にフィルタ27、絞り28が配置される。フィルタ27は、特殊光画像観察時には、ランプ21の光路上に配置され、ランプ21から放射される白色光のうち一部の波長帯域の光を透過させる。すなわち、フィルタ27を透過する光は、ランプ21が発する光よりも狭い波長帯域を有する光となる。この波長帯域が狭い光は、特殊光としてライトガイド16を介して、先端部10Aから被写体に向けて照射される。
【0021】
フィルタ27は、ランプ21の光路から退避可能で、通常光画像観察時には光路から退避され、それにより、ランプ21からの光はフィルタ27でカットされず、先端部10Aからは白色光(通常光)が出射される。絞り28は、特殊光や通常光の光量をさらに調整する。
【0022】
特殊光又は通常光により照射された被写体は、撮像素子17により撮像される。すなわち、撮像素子17には、不図示の撮像レンズによって被写体像が結像され、光電変換により映像信号が生成される。映像信号は、不図示のアンプで増幅処理が施され、次いで、前段信号処理回路18で所定の前段信号処理が施された後、例えばデジタル信号としてプロセッサ11に送信される。映像信号は、さらにプロセッサ信号処理回路32で所定の後段画像処理が施されて画像データ(通常光画像データ又は特殊光画像データ)とされ、モニタ12に動画として出力される。また、内視鏡10の操作スイッチ38が押されると、静止画撮影が行われ、画像データは、静止画としてモニタ12に表示される。なお、動画や静止画の画像データは、適宜、記憶媒体等に記録されても良い。
【0023】
図2は、被写体に通常光が照射され、通常光画像観察が行われるときの画像出力の様子を示すタイミングチャートである。以下、
図2を用いて通常光画像観察時の動作を説明する。
【0024】
図2に示すように、撮像素子17は、30fps(frames per second)の駆動レートで駆動されており、1フレーム期間は1/30秒間となる。また、各フレーム期間は、前半の1/60秒間の奇数フィールド期間(第1期間)、及び後半の1/60秒間の偶数フィールド期間(第2期間)から成り、これら奇数・偶数フィールドが繰り返される。
【0025】
撮像素子17は、各フィールド期間(奇数フィールド期間、偶数フィールド期間)それぞれの露光期間(電荷蓄積期間)において露光され、受光面に結像された被写体像に対応する電荷を蓄積する。その後、撮像素子17は、蓄積した電荷をそれぞれ奇数・偶数フィールドの映像信号として出力する。ここで、内視鏡10は通常光を放射するため、撮像素子17は、通常光の反射光によって形成された通常光画像に対応した奇数フィールド、偶数フィールドの映像信号(ODD1、EVEN1、ODD2・・・)を繰り返し生成する。このように、撮像素子17では、各フィールドにおいて映像信号を生成し、60回/秒のレートで映像信号を生成する。
【0026】
奇数及び偶数フィールドの映像信号それぞれは、前段信号処理回路18で所定の前段信号処理が施された後、プロセッサ信号処理回路32に入力される。奇数及び偶数フィールドの映像信号それぞれは、プロセッサ信号処理回路32において、所定の後段画像処理が施されて通常光画像データに変換され、奇数及び偶数フィールドの通常光画像としてモニタ12に順次出力される。このように、通常光画像観察時、モニタ12の表示更新レートは、60回/秒となり、撮像素子17が映像信号を生成するレートと同一である。
【0027】
通常光画像観察時、ランプ21に入力される電流は、定格電流である一定値20Aに制御され、したがって、奇数及び偶数フィールド期間において、ランプの出射光量は同一である。そのため、奇数及び偶数フィールドの通常光画像データは、いずれも適切な輝度値を有するものとなり、モニタ12には適切な通常光画像が映し出される。
【0028】
図3は、被写体に特殊光が照射され、特殊光画像観察が行われるときの画像出力の様子を示すタイミングチャートである。以下、
図3を用いて、特殊光画像観察が行われるときの動作を説明する。
【0029】
撮像素子17は、特殊光画像観察時にも、30fpsの駆動レートで駆動されるように制御され、通常光画像観察時と同様に、1フィールド(偶数、奇数フィールド)の映像信号(ODD1、EVEN1、ODD2・・・)を60回/秒のレートで生成する。また、特殊光画像観察時には、内視鏡10は特殊光を放射するため、奇数および偶数フィールドの映像信号は、特殊光が照射された被写体を表す特殊光画像に対応するものである。
【0030】
ここで、ランプ21の出射光量は、奇数フィールドにおいて相対的に大きくなるとともに、偶数フィールドにおいて相対的に小さくなる。具体的には、奇数フィールド期間では、ランプ21に入力される電流は、定格電流(20A)より大きい30Aに制御されるとともに、偶数フィールド期間では、定格電流より小さい10Aに制御されている。そのため、奇数フィールドでは、撮像素子17において輝度値が十分に大きい映像信号が生成される一方、偶数フィールドでは輝度値が小さい映像信号が生成される。
【0031】
なお、ランプの出射光量は、奇数フィールド期間の全てにわたって相対的に大きくされる必要はなく、
図3に示すように露光期間において相対的に大きくされていれば良い。また、特殊光画像観察時には、ランプ21に入力される電流の算術平均が定格電流20A以下となるように制御され、ランプ21は総量として定格電流以下で駆動される。
【0032】
奇数及び偶数フィールドの映像信号は、通常光画像観察時と同様に前段信号処理回路18で前段信号処理が施され、次いで、プロセッサ信号処理回路32において、特殊光画像に対応した信号処理が行われる。
【0033】
具体的には、奇数フィールドの映像信号は、プロセッサ信号処理回路32において、所定の後段映像信号処理が施されて、奇数フィールドの特殊光画像データとして、不図示のメモリに保存されるとともにモニタ12に出力される。一方、偶数フィールドの映像信号は、信号処理回路32において、後段画像処理が施されずに削除され、モニタ12に画像として出力されず、代わりに、不図示のメモリに保存されている奇数フィールドの特殊光画像データが読み出され、偶数フィールドの画像としてモニタ12に出力される。これにより、特殊光画像観察時には、奇数フィールドで得られた画像データは、奇数・偶数フィールドで撮影された画像データとして、モニタ12に1フレーム期間にわたって連続して出力されることなる。
【0034】
この動作は繰り返され、奇数フィールドで得られた複数の特殊光画像データは、1フレーム期間毎に順次更新されてモニタに出力されていき、動画として映し出される。すなわち、特殊光画像撮像時、モニタ12の表示更新レートは、30回/秒となり、撮像素子17の映像信号を生成するレート(60フィールド/秒)の1/2となり、通常光画像撮影時の表示更新レートより遅くなる。
【0035】
以上のように、本実施形態では、特殊光画像観察において、奇数フィールドの撮像素子露光時にランプの出射光量を大きくすることで、明るい特殊光画像をモニタに出力することが可能になる。また、偶数フィールドでは、ランプ光量が抑えられ、トータルとしてランプ電流が定格を超えることが防止されるとともに、偶数フィールドの映像信号は、画像観察に使用されないため、不自然な画像がモニタに表示されることもない。
【0036】
なお、以上の説明では、動画が撮影される態様を示したが、静止画が撮影されるときも同様であり、奇数フィールドで得た映像信号により静止画が得られる。このとき、電子シャッターにより露光期間を短くすると、静止画のぶれを防止しやすくなる。なお、静止画撮影において、露光期間が短くされた場合、その露光期間に合わせて、出射光量が相対的に大きくされる期間も短くされても良い。
【0037】
また、以上の説明では、インターレース方式によって、CCDで映像信号が生成され、モニタに出力される態様を説明したが、プログレッシブ方式でも良い。プログレッシブ方式でも、1枚目の画像の取得時(第1期間)におけるランプ出射光量を相対的に大きくし、それに続く2枚目の画像の取得時(第2期間)におけるランプ出射光量を相対的に小さくし、これが繰り返し行われ、同様の態様で特殊光画像観察が行われる。
【0038】
なお、本実施形態では、特殊光画像撮像時のモニタ12の表示更新レートは、撮像素子17の駆動レートの1/2であったが、さらに低くても良く、例えば1/3や1/4となっても良い。この場合、3フィールドないし4フィールド期間にわたって同じ画像が、モニタ12に出力されることになる。また、撮像素子17は、上記した駆動レート以外で駆動されても良い。
【符号の説明】
【0039】
10 内視鏡
11 プロセッサ(光源装置)
12 モニタ(出力装置)
17 撮像素子
18 前段信号処理回路
21 ランプ
22 ランプ制御部
23 ランプ電源
27 フィルタ
32 プロセッサ信号処理回路